IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイチ.ビー.フラー カンパニーの特許一覧

特許7399264速硬性湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物及びそれを含む物品
<>
  • 特許-速硬性湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物及びそれを含む物品 図1
  • 特許-速硬性湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物及びそれを含む物品 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】速硬性湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物及びそれを含む物品
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20231208BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 171/00 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 167/00 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 167/04 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 131/04 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 123/08 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231208BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231208BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20231208BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20231208BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
C09J175/04
C09J171/00
C09J167/00
C09J167/04
C09J131/04
C09J133/06
C09J123/08
C09J11/04
C09J11/08
B60Q1/04 Z
F21S41/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022511307
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020047987
(87)【国際公開番号】W WO2021041534
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】62/891,808
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509292766
【氏名又は名称】エイチ.ビー.フラー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケレン・イー・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】マーレン・エー・バルベルデ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】チュエ・モウア
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0118986(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106221648(CN,A)
【文献】特開2017-115081(JP,A)
【文献】特開平11-092729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも55℃の結晶化ピーク温度を示す結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びジイソシアネートの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、
粘土と、
ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーと、
エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の熱可塑性ポリマーと、
熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカプロラクトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の熱可塑性ポリマーと、
第1の粘着付与剤と、
を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
25重量%~45重量%のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、
5重量%~30重量%の粘土と、
を含む、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、5:1~2:1のNCO:OH比を有する、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
アルファ-メチルスチレン粘着付与剤を含む第2の粘着付与剤を更に含み、
前記第1の粘着付与剤が芳香族炭化水素樹脂を含む、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が、少なくとも500ニュートンの5分間重なり剪断強度を示す、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
前記組成物が、少なくとも640ニュートンの高温重なり剪断強度を示す、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
前記組成物が、溶融物から冷却すると、少なくとも45℃の結晶転移温度を示す、請求項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記組成物が、フォギング試験法に従って試験した場合、少なくとも90%の透過率を示す、請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
少なくとも55℃の結晶化ピーク温度を示す結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びジイソシアネートの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、
粘土と、
ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーと、
エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性ポリマーと、
第1の粘着付与剤と、
を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
ヘッドランプであって、
ポリカーボネート基材と、
ポリプロピレン基材と、
硬化した請求項に記載の接着剤組成物と、を含み、
前記ポリカーボネート基材が、硬化した前記接着剤組成物を介して前記ポリプロピレン基材に接合されている、ヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物の配合に関する。
【0002】
製造プロセスを改善するための努力が常に行われている。自動車産業では、例えば、それらの組み立てに接着剤を必要とする多くの部品がある。これらの部品の多くについては、接着剤が、それらから作製される部品を(例えば、信頼性及び不透湿性シールについて)試験することを可能にし、かつ比較的短期間で更なる処理を行うのに十分な強度レベルを迅速に達成することが重要である。必要な接合強度が迅速に達成されない場合、組み立てられた部品は、更なる処理又は試験中にはがれてしまう場合がある。加えて、組み立てられた部品次第で、後続の製造ステップは、部品に対して必要な接合強度レベルを達成するために必要とされる追加の時間に対応するために、遅延を必要とする可能性がある。消費者から見える部品については、美観も重要である。
【0003】
湿気硬化型ホットメルトポリウレタン接着剤組成物は既知であり、種々の用途で使用されている。米国特許第9,605,187号は、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を開示している。同187特許の実施例において、プレポリマーは、DYNACOLL 7380から形成され、これは、DSC試験法による結晶化によって測定される76.80秒(s)の結晶化ピークまでの時間、52.6℃の結晶化ピーク温度、及び0.58℃/秒(℃/s)の結晶化速度を有する。
【0004】
いくつかの湿気硬化型ホットメルトポリウレタン接着剤組成物は、十分に短い時間での十分に高い接合強度、高温の非硬化状態での十分な高温強度、寸法安定性、又は例えば自動車産業における用途を含むいくつかの工業用途で有用である、そのような特性の組み合わせを発揮する。いくつかのホットメルト湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物は、硬化中に接着ラインから流出することがあり、接着剤で作製された部品のユーザから見えてしまう場合がある。これは、美観的に望ましくない部品を作成することになり、不良部品につながる可能性がある。
【0005】
短時間で良好な接合強度及び良好な高温強度を示すホットメルト接着剤組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9605187号明細書
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、少なくとも55℃の結晶化ピーク温度を示す結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びジイソシアネートの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、粘土と、ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーと、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の熱可塑性ポリマーと、第1の粘着付与剤と、任意選択で、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカプロラクトンからなる群から選択される第2の熱可塑性ポリマーと、を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であることを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールは、少なくとも66℃の結晶化ピーク温度を示す。
【0008】
一実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、10重量%~50重量%のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、1重量%~40重量%の粘土と、を含む。別の実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、25重量%~45重量%のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、5重量%~30重量%の粘土と、を含む。
【0009】
他の実施形態では、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、5:1~2:1のNCO:OH比を有する。別の実施形態では、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、4:1~3:1のNCO:OH比を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、10重量%~20重量%の粘土を含む。
【0011】
他の実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、5重量%~35重量%の粘着付与剤を含む。一実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、第2の粘着付与剤(例えば、アルファ-メチルスチレン粘着付与剤)を更に含む。
【0012】
別の実施形態では、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物が、酸化防止剤を更に含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも80℃の融点を示す。いくつかの実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも90℃の融点を示す。他の実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも2個の炭素原子を有するジオール及び10~20個の炭素原子を有する二塩基酸に由来する。他の実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも2個の炭素原子を有するジオール及び12~20個の炭素原子を有する二塩基酸に由来する。別の実施形態では、結晶性ポリエステルポリオールが、エチレングリコール、及びテトラデカン二酸、ドデカン二酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二塩基酸に由来する。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性ポリマーが、少なくとも80℃の溶融温度を示す。
【0014】
一実施形態では、組成物が、少なくとも100ニュートンの5分間重なり剪断強度を示す。別の実施形態では、組成物が、少なくとも500ニュートンの5分間重なり剪断強度を示す。他の実施形態では、組成物が、少なくとも600ニュートンの5分間重なり剪断強度を示す。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物が、少なくとも450ニュートンの高温重なり剪断強度を示す。いくつかの実施形態では、組成物が、少なくとも640ニュートンの高温重なり剪断強度を示す。
【0016】
別の実施形態では、組成物が3分間の静荷重試験法に合格する。
【0017】
別の実施形態では、組成物が、溶融物から冷却すると、215秒以下の結晶転移時間を示す。他の実施形態では、組成物が、溶融物から冷却すると、少なくとも45℃の結晶転移温度を示す。
【0018】
いくつかの実施形態では、フォギング試験法に従って試験した場合、組成物が少なくとも90%の透過率を示す。他の実施形態では、フォギング試験法に従って試験した場合、組成物が100%の透過率を示す。
【0019】
別の態様では、本発明は第1の基材と、第2の基材と、上述又は本明細書に記載の硬化した湿気硬化型接着剤組成物と、を含み、第1の基材が、硬化した接着剤組成物を介して第2の基材に接合されている物品であることを特徴とする。一実施形態では、第1の基材がポリカーボネートであり、第2の基材がポリプロピレンである。一実施形態では、物品はヘッドランプであって、ポリカーボネート基材と、ポリプロピレン基材と、上述又は本明細書に記載の硬化した湿気硬化型接着剤組成物と、を含み、ポリカーボネート基材が、硬化した接着剤組成物を介してポリプロピレン基材に接合されている。
【0020】
本発明は、比較的短時間での良好な接着性及び良好な高温強度を示す、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物であることを特徴とする。
【0021】
他の特徴及び利点は、以下の図面の簡単な説明、好ましい実施形態の記載、及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1、3及び4、並びに対照C1の組成についての、貯蔵弾性率(kPa)及び損失弾性率(kPa)対温度(摂氏度)のプロットである。
図2】実施例1、3及び4、並びに対照C1の組成についての、貯蔵弾性率(kPa)及び温度対時間のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー、粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、第1の熱可塑性ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、並びに任意選択で熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカプロラクトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される熱可塑性ポリマーを含む。好ましくは湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、溶融物から冷却する際、レオロジー試験法による結晶転移温度によって決定するように、少なくとも40℃、少なくとも45℃、又は更には少なくとも50℃での結晶転移、レオロジー試験法による結晶転移までの時間によって決定するように、15分未満、10分以下、5分以下、4分以下、215秒以下、180秒以下、又は更には120秒以下の結晶転移時間を示す。
【0024】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物はまた、好ましくは、接着剤の比較的短期間で良好な接合強度を示す。接着剤組成物の接合強度の有用な尺度の1つは、静荷重保持能力である。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、3分以内の適用、2分以内の適用、また更に1分以内の適用で、少なくとも6.8キログラム(kg)の静荷重を保持することができる。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、1分後、5分後、又は更には10分後の3分間静荷重試験法に合格する。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物はまた、試験法で指定された3分の代わりに、接着剤を溝に充填後2分、又は更には1分で接着剤が試験されるように、方法が修正される修正静荷重試験法に合格するよう配合することができる。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、1分、5分、又は更には10分でこのような修正静荷重試験法に合格することが好ましい。
【0025】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、5分間重なり剪断試験法に従って試験した場合、少なくとも100ニュートン(N)、少なくとも300N、少なくとも400N、少なくとも500N、少なくとも600N、少なくとも700N、500N~1500N、又は更には600N~1500Nの重なり剪断を示し、107℃での高温重なり剪断強度試験法に従って試験した場合、少なくとも400N、少なくとも450N、少なくとも500N、少なくとも600N、少なくとも640N、又は更には450N~650Nの高温重なり剪断を示す。
【0026】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、フォギング試験法に従って試験した場合、好ましくは、少なくとも60%の透過率、少なくとも70%の透過率、少なくとも80%の透過率、少なくとも90%の透過率、又は更には100%の透過率を示す。
【0027】
ホットメルト接着剤組成物は、例えば、180℃、163℃、又は更には150℃の温度で30,000センチポアズ(cP)以下、20,000cP以下、15,000cP以下、10,000cP以下、又は更には少なくとも5000cP以下の粘度を含む任意の適切な粘度を示すよう配合することができる。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物はまた、好ましくは、163℃での8時間の試験期間にわたって+/-5%以下、+/-3%以下、又は更には+/-2%以下の粘度の平均時間変化を示す。
【0028】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、リフローを示さない。リフローを測定する1つの有用な方法は、リフロー試験法である。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、リフロー試験法に合格する。
【0029】
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー
有用なイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーとしては、例えば、結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ジイソシアネート、及び任意選択で他のポリオールの反応生成物、結晶性ポリエステルポリオール、ジイソシアネート、及び任意選択で他のポリオールの反応生成物、ポリエーテルポリオール、ジイソシアネート、及び任意選択で他のポリオールの反応生成物、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成するために使用されるポリオール(複数可)上に存在するヒドロキシル基(OH)の合計に対するイソシアネート基(NCO)の化学量論比は、好ましくは、6:1以下、5:1~2:1、4:1~3:1、又は更には3.5:1である。
【0030】
結晶性ポリエステルポリオール
ポリウレタンプレポリマーが誘導される結晶性ポリエステルポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。有用な結晶性ポリエステルポリオールは、DSC試験法による結晶化によって決定されるように、少なくとも80℃、少なくとも85℃、又は更には少なくとも90℃の融点、少なくとも55℃、少なくとも60℃、又は更には少なくとも65℃の結晶化ピーク温度、及び75秒(s)以下、70秒以下、65秒以下、60秒以下、又は更には55秒以下の結晶化ピークまでの時間を有する。結晶性ポリエステルポリオールは、好ましくは、少なくとも1000g/mol、又は更には2000g/モル~4000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。適切な結晶性ポリエステルポリオールには、少なくとも1つのジオールと(例えば、少なくとも2個の炭素原子の炭素鎖を有する脂肪族ジオール脂環式ジオール、及びこれらの組み合わせ)、少なくとも1つの二塩基酸(例えば、少なくとも10個の炭素原子、少なくとも12個の炭素原子、少なくとも14個の炭素原子10個の炭素原子~20個の炭素原子、12個の炭素原子~20個の炭素原子、又は更には12~16個の炭素原子を有する脂肪族二塩基酸、芳香族二塩基酸、及びこれらの組み合わせ)との反応生成物が挙げられる。有用な脂肪族ジオールの一例は、エチレングリコールである。適切な二塩基酸の例としては、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、セバシン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な結晶性ポリエステルポリオールの具体例としては、エチレングリコール/テトラデカン二酸、エチレングリコール/ドデカン二酸、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
有用な結晶性ポリエステルポリオールは、例えば、Evonik Corporation(Parsippany,New Jersey)より入手可能な商品名DYNACOLLシリーズ(製造業者によって報告されるように90℃の融点を有し、DSC試験法による結晶化によって測定される場合51秒の結晶化ピークまでの時間、68.7℃の結晶化ピーク温度、及び0.91℃/秒の結晶化速度を有するDYNACOLL 7490エチレングリコール/テトラデカン二酸結晶性ポリエステルポリオール、及び製造業者によって報告されるように85℃の融点を有し、DSC試験法による結晶化によって測定される場合66秒の結晶化ピークまでの時間、59℃の結晶化ピーク温度、及び0.68℃/秒の結晶化速度を有するDYNACOLL 7330エチレングリコール/ドデカン二酸結晶性ポリエステルポリオール)を含む、種々の商品名で販売されている。
【0032】
ポリエーテルポリオール
ポリウレタンプレポリマーが誘導されるポリエーテルポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。有用なポリエーテルポリオールには、直鎖及び分枝ポリエーテルホモポリマー及びコポリマーが挙げられ、ポリエーテルポリオールコポリマーは、例えば、ランダム及びブロック構成を含む種々の構成を有し得る。ポリエーテルポリオールは、環状酸化物モノマー(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、1,4-ブチレンオキシド、及びテトラヒドロフラン)、並びに任意選択で、例えば多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロール-プロパン、ペンタエリスリトール及びビスフェノールA)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエタノールアミン、1,2-プロパンジチオール、及びこれらの組み合わせを含む、少なくとも2つの活性水素を有する多官能性開始剤から誘導される。
【0033】
適切なアルキレンオキシドでキャップされたポリエーテルポリオールには、第1の成分の付加物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,3-グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、及びこれらの組み合わせ)と、第2の成分(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びこれらの組み合わせとの反応生成物が挙げられる。特に有用なポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレンオキシド若しくはブチレンオキシドでキャップされた、又はエチレンオキシドで共重合されたポリテトラメチレンエーテルグリコールの反応生成物(例えば、エチレンオキシドでキャップされたプロピレングリコール)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
適切な市販のポリエーテルポリオールは、例えば、The Lycra Company(Wilmington、Delaware)より入手可能な商品名TERATHANEシリーズ(TERATHANE 2000ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びTERATHANE 1000ポリエーテルグリコール)、Dow Chemical(Midland,Michigan)より入手可能な商品名VORANOLシリーズ、(VORANOL220-056ポリエーテルポリール及びVORANOL 2000 Lポリプロピレングリコール)、Covestro LLC(Pittsburgh,Pennsylvania)より入手可能な商品名DESMOPHEN、ARCOL及びACCLAIMシリーズ(DESMOPHEN 2061 BDポリプロピレンエーテルポリオール、DESMOPHEN 2060 BDポリプロピレンポリエーテルポリオール、ARCOL PPG-2000ポリプロピレングリコール、ARCOL PPG-1000ポリプロピレングリコール、及びACCLAIM Polyol 703ポリプロピレングリコール)、並びにMonument Chemical Kentucky LLC(Brandenburg,Kentucky)より入手可能な、PolyGポリプロピレングリコール及びPOLY-G 55-56エチレン-オキシドキャップポリエチレングリコールを含む、種々の商品名で販売されている。
【0035】
ジイソシアネート
ポリウレタンプレポリマーが誘導されるジイソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及びこれらの組み合わせを含む任意の適切なジイソシアネートであり得る。有用な芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)(例えば、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(すなわち、2,4’-MDI)、ジフェニルメタン-2,2’-ジイソシアネート(すなわち、2,2’-MDI)、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(すなわち、4,4’-MDI)、及びこれらの組み合わせ)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(例えば、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、及びこれらの組み合わせ)、トルエンジイソシアネート(TDI)(例えば、2,4-TDI、2,6-TDI、及びこれらの組み合わせ)、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。有用な脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、(すなわち、IPDI))、1-メチル-2,4-ジイソシアナト-シクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(すなわち、TMCDI)、前述の芳香族ジイソシアネートの水素化生成物(例えば、水素添加2,4’-MDI、水素添加2,2’-MDI、水素添加4,4’-MDI、及びこれらの組み合わせ)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びこれらの組み合わせ)、リジンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
イソシアネート末端プレポリマーは、任意選択で、モノマージイソシアネートの量が0.5重量%未満、0.25重量%未満、又は更には0.1重量%未満のジイソシアネートモノマーであるように、残留モノマージイソシアネートを剥離する。
【0037】
有用なジイソシアネートモノマーは、例えば、COVESTRO LLC(Pittsburgh,Pennsylvania)より入手可能な商品名DESMODUR及びMODURシリーズ、例えば、BASF Corp.(Wyandotte,Michigan)より入手可能なMODUR M 4,4’-MDI、LUPRANATE M 4,4’-MDI、及びHuntsman Corp.(Auburn Hills,Michigan)より入手可能なRUBINATE44を含む、種々の商品名で販売されている。
【0038】
粘土
有用な粘土としては、例えば、カオリン粘土(チャイナクレイとも呼ばれる)、焼成カオリン粘土、ボール粘土、パイロフィライト、スメクタイト(例えば、モンモリロナイト及びベントナイトスメクタイト)、セピオライト、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な粘土は、ASTM D1993によって決定されるとおり、1グラム当たり11平方メートル(m/g)超、15m/g超、又は更には20m/g超、のBET表面積を示す。カオリン粘土の有用な供給源としては、Sibelco North America,Inc.(Charlotte,North Carolina)より入手可能な、0.5μmの中央粒径及び24m/gのBET表面積を有するSNOBRITE白色体質顔料が挙げられる。ホットメルト接着剤組成物は、1重量%~40重量%、5重量%~30重量%、又は更には10重量%~20重量%の粘土を含む。
【0039】
ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマー
ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーは、好ましくは、少なくとも125℃、少なくとも130℃、又は更には少なくとも140℃の溶融温度(毎分10℃の昇温速度でISO11357-1/-3に従って決定)、及び2.16キログラムの重りを使用して190℃で試験したときに、50g/10分以下、25g/10分以下、15g/10分以下、又は更には2g/10分~15g/10分のメルトフローレート(melt flow rate、MFR)を示す。有用なポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーは、75,000g/mol超、又は更には100,000g/mol超の重量平均分子量(Mw)を有する。有用なポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーは、硬質ポリエステルセグメント及び軟質ポリエステルセグメントを含み、硬質ポリエステルセグメントは、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジ安息香酸、及びベンゼン核を有する置換ジカルボキシ化合物)と、比較的低分子量のジオール(例えば、250g/モル未満の分子量を有するC2~C6アルキレンジオール(例えば、エタンジオール、プロパンジオール、イソブチレンジオール、及びブタンジオール))とから誘導され、550g/モル未満の分子量を有する繰り返し単位(すなわち、短鎖エステル単位)を形成し、また軟質ポリエステルセグメントは、ジカルボン酸と、比較的高分子量のポリオール(例えば、長鎖ポリオール(例えば少なくとも350g/モルの分子量を有するグリコール))と、任意選択で低分子量ジオールとから誘導され、より大きい分子量を有する繰り返し単位(すなわち、長鎖エステル単位)を形成する。
【0040】
軟質セグメントを調製するために使用される有用な長鎖ポリオールは、350g/mol~6000g/mol、600g/モル~3,000g/モル、又は更には1000g/mol~3000g/molの分子量を有する。有用な長鎖ポリオール(例えば、グリコール)は、55℃未満の融点及び2.5:1超の炭素原子対酸素原子比を有する。有用な長鎖ポリオールは、ポリアルキレングリコール及びポリ(アルキレンオキシド)ジカルボン酸のグリコールエステルを含み、アルキレン基は、2~9個の炭素原子(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、及びこれらの組み合わせ)を含む。有用なポリエステル/ポリエーテルコポリマーは、米国特許第9,605,187号(Helmeke et al.)、米国特許第5,939,499号(Anderson et al.)、及び米国特許第8,822,031号(Helmeke et al.)に開示されている。特に有用なポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーは、600g/モル~300g/モルの数平均分子量を有する、テレフタル酸、1,4-ブタンジオール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコールから誘導される。
【0041】
有用なポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーは、例えば、DuPont(Wilmington,Delaware)より入手可能な商品名HYTRELシリーズ(5g/10分のMFRを有するHYTREL 3078ポリエステル/ポリエーテルコポリマーエラストマー)、及びTicona GmbH(Germany)より入手可能な商品名RITEFLEXシリーズ(9g/10分のMFRを有するRITEFLEX 425熱可塑性エラストマー)を含む、種々の商品名で販売されている。
【0042】
第1の熱可塑性ポリマー:ビニル由来コポリマー
有用なビニル由来コポリマーとしては、例えば、エチレン-ビニルアセテートコポリマー、エチレン(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
有用なエチレンビニルアセテートコポリマーは、30重量%~60重量%、又は更には40重量%~60重量%のビニルアセテートを含む。適切なエチレンビニルアセテートコポリマーは、例えば、Lanxess Corporation(Pittsburgh,Pennsylvania)より入手可能な商品名LEVAMELTシリーズ(LEVAMELT 456エチレンビニルアセテートコポリマー)、及びAT Plastics,Inc.(Edmonton,Alberta,Canada)より入手可能な商品名ATEVAシリーズ(ATEVA 4030)を含む、種々の商品名で市販されている。
【0044】
適切なエチレン(アルキル)アクリレートコポリマーは、エチレン及び、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソ-プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソ-プロピルメタクリレート、及びこれらの組み合わせを含む、アクリル酸及びメタクリル酸のC1~C12エステルのうちの少なくとも1つのコモノマーから誘導される。
【0045】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは、1重量%~10重量%、1重量%~8重量%、又は更には2重量%~5重量%のビニル由来コポリマーを含む。
【0046】
任意選択の第2の熱可塑性ポリマー
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、任意選択により、第2の熱可塑性ポリマーを含む。第2の熱可塑性ポリマーは、好ましくはヒドロキシ官能基を含む。適切な第2の熱可塑性ポリマーとしては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(例えば、ジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、E-カプロラクトン、及びこれらの組み合わせ)、二塩基酸(脂肪族二塩基酸(例えば、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸アゼライン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、及びこれらの組み合わせ)、芳香族二塩基酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸無水物、及びこれらの組み合わせ)、並びにジイソシアネート由来の熱可塑性ポリウレタン)、熱可塑性ポリカプロラクトン、及びこれらの組み合わせを含む。第2の熱可塑性ポリマーは、好ましくは、-20℃以下、-30℃以下、又は更には-40℃以下のガラス転移温度Tg、及び少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、又は更には少なくとも80℃の融点を示す。適切な第2の熱可塑性ポリマーは、DSC試験法による結晶化によって測定される場合、1分(min)~10分、1分~5分、又は更には1分~4分の結晶化ピークまでの時間を有する。有用な熱可塑性ポリマーは、少なくとも50,000g/mol、少なくとも60,000g/mol、少なくとも70,000g/mol、又は更には少なくとも90,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0047】
好適な熱可塑性ポリマーは、例えば、INGEVITY Corporation(North Charleston,South Carolina)より入手可能な商品名CAPAシリーズ(50,000g/molのMwを有するCAPA6500ポリカプロラクトン)、及びThe Lubrizol Corporation(Wickliffe,Ohio)より入手可能な商品名PEARLBONDシリーズ(PEARLBOND ECO 590、PEARLBOND 539、PEARLBOND 220及びPEARLBOND 520熱可塑性ポリウレタン)を含む、種々の商品名で市販されている。
【0048】
ホットメルト接着剤組成物は、任意選択により0重量%~10重量%、1重量%~8重量%、又は更には2重量%~5重量%の熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0049】
粘着付与剤
粘着付与剤は、好ましくは、100℃超、110℃超、120℃超、135℃超、又は更には145℃超の環球式軟化点を有する。有用な粘着付与剤は、500ppm超、1000ppm超、1500パーツパーミリオン(ppm)以下、1000ppm以下、750ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、又は更には300ppm以下の揮発性有機成分含有量(voc)を有する(製造業者によって報告される)。粘着付与剤は、少なくとも2つの粘着付与剤の混合物であり得、一方の粘着付与剤は他方より多くのvocを有し、例えば、一方の粘着付与剤は500ppm超のvocを有し、一方の粘着付与剤は500ppm未満のvoc含有量を有する。
有用な粘着付与剤は、芳香族部分及びエチレンから誘導され、例えば、芳香族樹脂、芳香族-脂肪族樹脂(例えば、芳香族-脂肪族石油炭化水素樹脂)、及びこれらの組み合わせを含む。適切な芳香族粘着付与剤としては、例えば、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、三級ブチルスチレン、クロロスチレン、インデン、メチルインデン、クモロンインデン、及びこれらの組み合わせに由来する粘着付与剤が挙げられ、任意選択的に少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマー(例えば、1,3-ブタジエン、シス-1,3-ペンタジエン、トランス-1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-2-ブテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの組み合わせ)と共重合される。
【0050】
有用な芳香族-脂肪族石油炭化水素樹脂としては、例えば、C9系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、C5/C9コポリマー系樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0051】
有用な粘着付与剤は、例えば、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)より入手可能な商品名KRISTALEXシリーズ、(KRISTALEX 5140 SDアルファ-メチルスチレン粘着付与樹脂及びKRISTALEX 3100 SDアルファ-メチルスチレン粘着付与樹脂)、Kolon Industries Inc.(Seoul,Republic of Korea)より入手可能な商品名HIKOTACKシリーズ、(HIKOTACK P110S C9樹脂)例えば、ExxonMobil Chemical Company(Houston,Texas)より入手可能な商品名ESCOREZシリーズ(ESCOREZ 5637芳香族修飾、脂環式炭化水素樹脂、ESCOREZ 5600芳香族修飾、脂環式炭化水素樹脂、ESCOREZ 5615芳香族修飾、脂環式炭化水素樹脂及びESCOREZ 5690芳香族修飾、脂環式炭化水素樹脂)、例えば、Cray Valley HSC(Exton,Pennsylvania)より入手可能な商品名WINGTACKシリーズ(WINGTACK 86芳香族修飾、C-5炭化水素樹脂、WINGTACK EXTRA芳香族修飾、C-5炭化水素樹脂)、並びに、Eastman Chemical Company(Kingsport,Tennessee)より入手可能な商品名PICCOTACシリーズ(PICCOTAC 8095芳香族修飾、C-5炭化水素樹脂)を含む、種々の商品名で販売されている。Eastman Chemical Co.(Kingsport,Tennessee)により製造されたKRISTALEX、PLASTOLYN及びPICCOTEXアルファ-メチルスチレン粘着付与剤。
【0052】
ホットメルト接着剤組成物は、少なくとも5重量%、10重量%~60重量%以下、少なくとも10重量%、15重量%~55重量%、15重量%~50重量%、5重量%~35重量%、又は更には20重量%~45重量%の粘着付与剤を含む。
【0053】
触媒
任意選択で、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、硬化反応速度を上昇させる触媒を含む。有用な触媒としては、エーテル及びモルホリン官能基を含む触媒が挙げられ、この例には、ジ(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、及び、4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルホリン(DMDEE)が挙げられる。適切な市販の触媒は、例えば、JEFFCAT DMDEE 4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルホリンを含み、これは、Huntsman Corp(Houston,Texas)から入手可能である。他の適切な触媒としては、例えば、金属カルボン酸塩及びジブチルスズジラウレートが挙げられる。有用な金属カルボン酸塩としては、例えば、コバルトカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
触媒が存在する場合、接着剤組成物は、接着剤組成物の重量に基づいて、約0.01重量%~約0.5重量%の触媒を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、湿気硬化型触媒は、ポリウレタンプレポリマー形成中に存在し、ポリウレタンプレポリマーの骨格に組み込まれる。
【0056】
添加剤
ホットメルト接着剤組成物は、任意選択的に、酸化防止剤、安定剤、追加のポリマー(例えば、スチレンブロックコポリマー、ビニルアルコールコポリマー、及びこれらの組み合わせ)、接着促進剤、紫外線安定剤、接着促進剤(すなわち、シラン系接着促進剤)、レオロジー調整剤、腐食防止剤、着色剤(例えば、顔料(例えば、カーボンブラック(例えば、PTMEG分散カーボンブラック))及び染料)、充填剤、難燃剤、核剤、及びこれらの組み合わせなどを含む、種々の追加成分を含む。
【0057】
有用な酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3,(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリス-(p-ノニルフェニル)-ホスファイト(TNPP)及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ジフェニレン-ジホスホナイト等の亜リン酸塩類、ジ-ステアリル-3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。有用な酸化防止剤は、例えば、いずれもBASF Corporation(Florham Park,New Jersey)より入手可能な商品名IRGANOXシリーズ(IRGANOX 1010、IRGANOX 565及びIRGANOX 1076ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びIRGAFOS 168亜リン酸系酸化防止剤)、並びにAlbemarle Corporation(Baton Rouge,Louisiana)より入手可能なETHYL 702 4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)を含む、種々の商品名で市販されている。存在する場合、接着剤組成物は、好ましくは、約0.1重量%~約2重量%の酸化防止剤を含む。
【0058】
有用な任意の充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、ウォラストナイト、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、任意の適切な方法によって形成することができる。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を形成する有用な方法としては、例えば、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、及び熱可塑性ポリマーなどの任意選択成分を任意の順序で組み合わせること、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、及び熱可塑性ポリマーなどの任意選択成分を含む組成物と組み合わせること、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを形成し、その後、粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、及び任意選択成分のうちの少なくとも1つを、任意の順序で添加すること、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、及び熱可塑性ポリマーなどの任意選択成分のうちの少なくとも1つの存在下で形成すること、粘土、ポリエステル/ポリエーテルエラストマー、ビニル由来コポリマー、粘着付与剤、及び熱可塑性ポリマーなどの任意選択成分を任意の順序で組み合わせ、その後、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを添加すること、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。前述の方法のいずれかにおいて、組成物の成分は、順次、同時に、実質的に同時に、及びこれらの組み合わせで添加され得る。
【0060】
使用
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、2つの基材を共に恒久的に接合し、第2の基材に対する第1の基材の移動を防止することを含む、種々の用途に有用である。湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、極性基材、非極性基材、硬質基材(すなわち、この基材は、一人では両手で曲げることができないか、又は両手で基材を曲げようとすると破断する)、可撓性基材(例えば、可撓性基材(すなわち、この基材は、両手の力以下で曲げることができる)、多孔質基材、導電性基材、絶縁性基材、透明基材、及びこれらの組み合わせなどを含む、種々の特性を有する基材を接合する際の使用に適したものとなるように配合することができ、例えば、シート(例えば、金属シート、ポリマーシート、ガラスシート、連続シート、不連続シート、及びこれらの組み合わせ)、フィルム(例えば、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、連続フィルム、不連続フィルム、及びこれらの組み合わせ)、箔(例えば、金属箔)、繊維、糸、撚り糸、織布、不織布、及びこれらの組み合わせを含む、種々の形態の基材が含まれる。
【0061】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及び配向ポリプロピレン、ポリオレフィンと他のコモノマーとのコポリマー)、ポリエーテルテレフタラート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸イオノマー、エチレンビニルアルコール、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアミド、(例えば、ナイロン-6及びナイロン-6,6、)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、ポリスチレン、及びエポキシ)、ポリマー複合材(例えば、ポリマーと、金属、セルロース、ガラス、ポリマー、及びこれらの組み合わせとの複合材)、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、金、銀、プラチナ、及びマグネシウム、並びにスチール、スズ、黄銅、及びマグネシウムとアルミニウム合金などの金属合金)、炭素繊維複合材、他の繊維系複合材、グラフェン、フィラー、ガラス(例えば、アルカリアルミノケイ酸塩強化ガラス及びホウケイ酸塩ガラス)、石英、窒化ホウ素、窒化ガリウム、サファイア、シリコン、炭化物、セラミック、及びこれらの組み合わせなどを含む基材を含む、種々の基材を共に接合する際の使用に適したものとなるように配合することができる。特に有用な用途として、硬化した接着剤組成物を介してポリカーボネート基材をポリプロピレン基材に接合することが挙げられる。
【0062】
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物は、例えば、自動車の接着剤成分、自動車のシーリング成分、自動車産業用途(例えば、車両構造(例えば、ヘッドランプ構造))、レクリエーション車両、窓構造、器具、フィルタ、電子アセンブリ、木材材料、プラスチック材料、積層パネル、縁貼り、プロファイル包装、包装、及び織物を含む、種々の工業用途での使用に好適である。
【0063】
接着剤組成物は、例えば、手動又は自動微細線分注、スロットダイコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、転写式塗布、パターンコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、フィラメントコーティング、押し出し式、エアナイフ、トレーリングブレード、はけ塗り、浸し塗り、ドクターブレード、オフセットグラビアコーティング、輪転グラビアコーティング、及び、これらの組み合わせを含む任意の適切な塗布法を使用して、塗布することができる。湿気硬化型接着剤組成物は、連続的又は不連続(例えば、パターン)形態であり得、ビーズ、コーティング、層(例えば、単層及び複数の層)、並びにこれらの組み合わせとして適用され得る。
【0064】
接着剤組成物は、例えば、120℃~190℃、又は更には140℃~180℃を含む任意の適切な温度で適用することができる。
【0065】
任意選択で、接着を強化するために、例えば、コロナ処理、化学処理、火炎処理、及び、これらの組み合わせを含む基材表面への接着を強化するための何らかの適切な方法を使用して、湿気硬化型接着剤組成物を塗布する基材の表面を処理する。
【0066】
次に、本発明を以下の実施例により説明する。特に指示がない限り、実施例に記載される全ての部、比、百分率、及び量は、重量を基準としたものである。
【実施例
【0067】
試験手順
実施例で使用する試験手順には、以下のものが含まれる。特に指示がない限り、全ての比及び百分率は、重量を基準としたものである。別途指定されない限り、この手順は、室温(つまり、20℃~25℃までの周囲温度)で実施する。
【0068】
DSC試験法による結晶化
結晶転移までの時間及び結晶化ピーク温度は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)機器にて、「示差走査熱量測定による融解熱及び結晶化のための標準試験法」と題するASTM E-793-01に従い、以下の条件を使用して決定する。試験される成分を、毎分100℃(℃/分)の速度でその溶融温度を超える温度に加熱し、次いで30℃/分の速度で冷却する。成分が発熱結晶転移ピークを示す時間及び温度に注目し、秒及び摂氏度(℃)でそれぞれ記録し、それぞれ結晶化ピークまでの時間及び結晶化ピーク温度とする。
【0069】
レオロジー試験法による結晶転移までの時間
結晶転移の開始までの時間は、並行平板型レオロジーを使用して評価する。並行平板型レオメーター環境温度制御を150℃に設定する。溶融した接着剤組成物の試料を並行平板の底部に塗布し、試験用にレオメーターを以下のようにプログラムする。
【0070】
試料を最初に150℃で200秒(s)に調整する。次いで、並行平板環境温度を同時に25℃に設定しながら試料の試験を開始し、振動設定を0.1%歪み及び毎秒10.0ラジアンの角振動数に設定する。プログラムを、最低15分間、又は動的弾性率に明らかな変化がなくなるまで実行する。存在する場合、結晶転移が開始する時間は記録され、本明細書では結晶転移時間と呼ばれる。結晶転移は、貯蔵弾性率の正の変化率の急速な増加である。
【0071】
レオロジー試験法による結晶転移温度
結晶転移の開始が生じる温度は、並行平板レオロジーを使用して評価する。並行平板型レオメーター環境温度制御を150℃に設定する。溶融した接着剤組成物の試料を並行平板の底部に塗布し、試験用にレオメーターを以下のようにプログラムする。
【0072】
試料を最初に150℃で200秒(s)に調整し、振動設定を0.1%歪み及び毎秒10.0ラジアンの角振動数に設定する。次いで、試料を3℃/分の速度で同時に冷却しながら、試料の試験を開始する。プログラムを、最低15分間、又は動的弾性率に明らかな変化がなくなるまで実行する。貯蔵弾性率がクロスオーバー温度である損失弾性率よりも大きくなる温度を記録する。存在する場合、結晶転移が開始する温度は記録され、本明細書では結晶転移温度と呼ばれる。結晶転移は、貯蔵弾性率の正の変化率の急速な増加である。
【0073】
重なり剪断試験法
試料の調製方法
いくつかの1インチ×4インチ×0.125インチ(2.54cm×10.16cm×0.3175cm)のポリカーボネート及びポリプロピレン基材を、水とフリーリンス型(free rinsing)石鹸との混合物を使用してすすぐ。次いで、それが乾燥するまで、マイクロファイバークロスを使用して各基材を拭く。次いで、基材から試料を作製する前に、基材を23℃及び相対湿度50%の制御された環境に24時間置く。次いで、ポリプロピレン基材を、1センチメートル当たり少なくとも40ダイン(ダイン/cm)の表面エネルギーになるまでプラズマ表面処理する。
【0074】
2つの、長さ1.25インチ×0.03インチ(3.175cm×0.0762cm)の厚さのスペーサワイヤを、ポリプロピレン基材上にポリプロピレン基材の1インチ(2.54cm)の寸法に平行に配置する。これらのスペーサワイヤにより、各重なり剪断が厚さ0.03インチ(0.0762cm)であることが確実となる。スペーサワイヤは、接合後の除去を可能にするのに十分な長さである。各接合は、1インチ×1インチ×0.03インチ(2.54cm×2.54cm×0.0762cm)の接合寸法を有する。試験する少量の接着剤組成物を、ポリプロピレン表面上のワイヤスペーサの上に配置する。次いで、ポリカーボネート基材をポリプロピレン基材と位置合せし、接合領域の幅及び長さが1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)であることを確実にする。過剰な接着剤が接合領域からはみ出るまで、5秒以下の間で、ポリカーボネートに圧力を適用する。次いで、寸法を崩すことなく試料を取り扱えるまで接着剤組成物が十分に硬化したら、過剰な接着剤を試料基材から落とし、スペーサワイヤを除去する。次いで、試料を23℃及び相対湿度50%で制御された環境に置く。
【0075】
試験法
規定の硬化時間に達すると、試料強度を、インストロン試験機などの引張試験機で評価する。試料を12.7mm/分の速度で引っ張る。試料の最大負荷値及び破損モードの両方を得て、記録する。
【0076】
5分間重なり剪断試験法
接合直後にタイマーを開始することを除き、上記の重なり剪断強度試験法に従って、5分間重なり剪断強度を決定する。接合5分後に、試料の重なり剪断を、破損するまで測定する。最大負荷及び破損モードを記録する。合計3つの試料を試験し、平均最大負荷及び平均破損モードを記録する。基材が破断すると、破損時の最大負荷が記録される。
【0077】
高温重なり剪断試験法
高温重なり剪断強度は、試料を23℃及び相対湿度50%で14日間硬化させることを除いて、上記の重なり剪断試験法のように接合試料を調製後、107℃で測定する。次いで、試料を、107℃に設定し、107℃で30分間に調整した、制御された環境チャンバを備えたインストロン引張試験機に入れる。各試料を、破損するまで重なり剪断モードで試験する。最大負荷及び破損モードを記録する。合計3つの試料を試験し、平均最大負荷及び平均破損モードを記録する。基材が破断すると破損時の最大負荷が記録される。
【0078】
3分間静荷重試験法
プラズマ処理されたポリプロピレン試験ジグの7mm×20mm×8mmの溝に、試験する接着剤組成物を充填する。溝を接着剤組成物で充填した直後に、20mm×254mm×3mmのポリカーボネートプラークの20mm×3mmの端部を接着剤組成物中に配置し、ポリカーボネートプラークを溝の中に立ち上げ、溝に対して垂直に位置付ける。接合領域は322.58mmである。プラークを接着剤組成物に挿入した3分後に、6.8キログラム(kg)の重りをポリカーボネートプラークから懸垂する。破損までの時間を、静荷重時間として記録する。破損までの時間が試験期間よりも長い場合、合格として記録する。破損までの時間が10分を超える場合、接着剤組成物の静荷重を、10分で合格として記録する。
【0079】
修正静荷重試験法
試験試料は、6.8kgの重りをポリカーボネートプラークから懸垂する時点が異なることを除いて、3分間静荷重試験法にて上述したように調製され、試験法が実施される。1分間試験法では、接着剤組成物を溝に充填し、ポリカーボネートプラークを接着剤組成物に挿入した1分後に、6.8kgの重りをポリカーボネートプラークから懸垂する。2分間試験法では、接着剤組成物を溝に充填し、ポリカーボネートプラークを接着剤組成物に挿入した2分後に、6.8kgの重りをポリカーボネートプラークから懸垂する。
【0080】
リフロー試験法
プラズマ処理されたポリプロピレン試験ジグの7mm×20mm×8mmの溝に、試験する接着剤組成物を充填する。溝を接着剤組成物で充填した直後に、20mm×254mm×3mmのポリカーボネートプラークの20mm×3mmの端部を接着剤組成物中に配置し、ポリカーボネートプラークを溝の中に立ち上げ、溝に対して垂直に位置付ける。接合領域は322.58mmである。接着剤組成物を、15分、30分、60分、4時間(h)、24時間、及び48時間の期間にわたって室温で硬化させる。硬化時間後、試験試料を試験チャンバ内で垂直に吊るし、120℃で4時間放置する。次いで、試験試料をチャンバから注意深く取り出し、取り出しから10分以内に、接着剤を評価する。次いで、試験試料をチャンバに戻して更に20時間、合計放置時間は24時間となる。試料を、肉眼による目視検査にて各硬化時間において評価する。接着剤が初期接合領域の外側に目視できない場合、接着剤は、リフローを示さないと判断する。接着剤が初期接合領域の外側に目視できる場合、接着剤は、リフローしたと判断する。
【0081】
粘度試験法
粘度は、毎分10回転の27番スピンドルを使用した、ブルックフィールドサーモセル粘度計(Brookfield Thermosel Viscometer)を使用して、温度が163℃である溶融試料にて測定する。
【0082】
粘度試験法における平均変化率
1時間当たりの粘度の平均変化率は、粘度試験法に従って組成物の粘度を温度(T)で8時間(t)の期間にわたって測定することにより決定される。粘度計で30分後の初期粘度読み取り値をViとして記録し、8時間試験後の粘度読み取り値をVtとして記録する。粘度の平均変化率は、以下の式に従って計算される。
粘度の変化率=[[(Vt-Vi)/Vi]100]/8。
【0083】
フォギング試験法
フォギングは、「ゴム又はプラスチックでコーティングされた布-自動車内部のトリム材料のフォギング特性の決定」と題するISO6452、第2版(2007年6月1日)に従って、決定及び試験する。この試験は、完全に硬化した、又は架橋した接着剤で遂行する。結果は、透過率%として報告される。
【0084】
実施例1~4
湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を以下のように調製し、各成分の量を表1に示す。約3500g/molのMn及び90℃の融点(製造業者によって報告される)を有する、DYNACOLL 7490エチレングリコール/テトラデカン二酸結晶性ポリエステルポリオール、TERATHANE PTMEG 2000ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及び顔料を組み合わせ、液体になるまで120℃に加熱した。次いで、混合物を真空下で約1時間保持して、混合物を乾燥させた。次いでジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートを、窒素雰囲気下で混合物に添加し、続いて真空引きを行った。反応を120℃で1時間進行させて、ポリウレタンプレポリマーを形成した。遊離イソシアネート(NCO)を測定し、少なくとも2%であると決定した。
【0085】
粘着付与剤、カオリン粘土(0.5μmの中央粒径及び24g/mのBET表面積を有する)、及びLEVAMELT 456エチレン酢酸ビニルを成分が液体になるまで、175℃に加熱した。混合物を、真空下で、1時間、175℃で混合した。次いで、混合物の温度を185℃~190℃まで上昇させた。次いで、HYTREL 3078 ポリエステル/ポリエーテルコポリマーを添加し、1時間真空にした。1時間後、PEARLBOND ECO 590熱可塑性ポリウレタンを混合物に添加し、温度を175℃に低下させた。混合物を真空下で15~30分間、又は混合物が完全に均質に見えるまで保持した。次いで、ポリウレタンプレポリマー及びDMDEE4,4’-(オキシジ-2,1-エタンジイル)ビス-モルホリンを添加し、温度を165℃に低下させた。混合を真空下で30分間、又は均一な組成物が得られるまで続けた。各成分の量を、表1に記載した。
【0086】
対照C1
DYNACOLL 7490の代わりにPIOTHANE 3500 HDを使用することを除いて、上記実施例1~4に開示された方法に従って、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を調製した。成分の量を以下の表1に示す。PIOTHANE 3500 HDは、DSC試験法による結晶化によって測定する場合、76.80秒の結晶化ピークまでの時間、52.6℃の結晶化ピーク温度、及び0.58℃/秒の結晶化速度を有する。
【0087】
実施例5
PEARLBOND ECO 590を組成物に添加しないことを除いて、上記実施例1~4に開示された方法に従って、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物を調製した。成分の量を以下の表1に示す。
【0088】
実施例1~5及び対照1の湿気硬化型ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を、粘度、粘度の平均変化率、5分間重なり剪断、高温重なり剪断、結晶転移までのレオロジー時間、結晶転移のレオロジー温度、及びフォギング(透過率%)試験法のうちの1つ以上に従って試験した。結果を表1に報告する。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例1、3、及び4並びに対照C1の結晶転移温度のプロットを図1に示す。円形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例1の貯蔵弾性率及び損失弾性率を反映し、三角形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例3の貯蔵弾性率及び損失弾性率を反映し、十字形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例4の貯蔵弾性率及び損失弾性率を反映し、四角形を伴う実線及び点線はそれぞれ対照C1の貯蔵弾性率及び損失弾性率を反映している。x軸は摂氏度での温度であり、y軸はキロパスカル(kPa)での貯蔵弾性率及びkPaでの損失弾性率である。
【0091】
実施例1、3、及び4並びに対照C1の結晶転移までの時間のプロットを図2に示す。円形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例1の貯蔵弾性率及び温度を反映し、三角形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例3の貯蔵弾性率及び温度を反映し、十字形を伴う実線及び点線はそれぞれ実施例4の貯蔵弾性率及び温度を反映し、四角形を伴う実線及び点線はそれぞれ対照C1の貯蔵弾性率及び温度を反映している。x軸は分での時間であり、左のy軸はkPaでの貯蔵弾性率であり、右のy軸は摂氏度での温度である。
【0092】
1. 少なくとも55℃の結晶化ピーク温度を有する結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びジイソシアネートの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、粘土と、ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーと、エチレンビニルアセテートコポリマー、(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の熱可塑性ポリマーと、第1の粘着付与剤と、を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0093】
2. 少なくとも55℃の結晶化ピーク温度を有する結晶性ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びジイソシアネートの反応生成物を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、粘土と、ポリエステル/ポリエーテル熱可塑性エラストマーと、エチレンビニルアセテートコポリマー、(アルキル)アクリレートコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の熱可塑性ポリマーと、第1の粘着付与剤と、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリカプロラクトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の熱可塑性ポリマーと、を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0094】
3. 25重量%~45重量%のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーと、5重量%~30重量%の粘土と、を含む、上記の段落1又は2に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0095】
4. イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、5:1~2:1のNCO:OH比を有する、段落1~3のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0096】
5. イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、4:1~3:1のNCO:OH比を有する、段落1~3のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0097】
6. 10重量%~20重量%の粘土を含む、段落1~5のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0098】
7. 5重量%~35重量%の粘着付与剤を含む、段落1~6のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0099】
8. アルファ-メチルスチレン粘着付与剤を含む第2の粘着付与剤を更に含む、段落1~7のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0100】
9. 結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも60℃の結晶化ピーク温度を示す、段落1~8のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0101】
10. 結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも80℃の融点を示す、段落1~9のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0102】
11. 結晶性ポリエステルポリオールが、少なくとも2個の炭素原子を有するジオール及び12~20個の炭素原子を有する二塩基酸に由来する、段落1~10のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0103】
12. 結晶性ポリエステルポリオールが、エチレングリコール、並びにテトラデカン二酸、ドデカン二酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二塩基酸に由来する、段落1~11のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0104】
13. 第2の熱可塑性ポリマーが、少なくとも80℃の溶融温度を示す、段落2~12のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0105】
14. 組成物が、少なくとも100ニュートン、少なくとも500ニュートン、又は少なくとも600ニュートンの、5分間重なり剪断強度を示す、段落1~13のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0106】
15. 組成物が、少なくとも450ニュートン、少なくとも500ニュートン、少なくとも640ニュートンの、高温重なり剪断強度を示す、段落1~14のいずれか1つに記載の組成物湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0107】
16. 組成物が、溶融物から冷却すると、215秒以下の結晶転移時間を示す、段落1~15のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0108】
17. 組成物が、溶融物から冷却すると、少なくとも45℃の結晶転移温度を示す、段落1~16のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0109】
18. フォギング試験法に従って試験した場合、組成物が少なくとも90%の透過率を示す、段落1~17のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0110】
19. フォギング試験法に従って試験した場合、組成物が100%の透過率を示す、段落1~17のいずれか1つに記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物。
【0111】
20. 物品であって、第1の基材と、第2の基材と、硬化した段落1~19のいずれか1つに記載の接着剤組成物と、を含み、第1の基材が、硬化した接着剤組成物を介して第2の基材に接合されている、物品。
【0112】
21. 第1の基材がポリカーボネートを含み、第2の基材がポリプロピレンを含む、段落24に記載の物品。
【0113】
22. ヘッドランプであって、ポリカーボネート基材と、ポリプロピレン基材と、硬化した段落1~19のいずれか1つに記載の接着剤組成物と、を含み、ポリカーボネート基材が、硬化した接着剤組成物を介してポリプロピレン基材に接合されている、ヘッドランプ。
図1
図2