(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】伝熱板および熱交換素子
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20231208BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20231208BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28F3/08 311
F28D9/00
(21)【出願番号】P 2022511467
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2020015209
(87)【国際公開番号】W WO2021199407
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】外川 一
(72)【発明者】
【氏名】王 欣
(72)【発明者】
【氏名】大川 俊三郎
(72)【発明者】
【氏名】脇田 覚司
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-153551(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10329153(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018006436(DE,A1)
【文献】特開2004-293862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00
F28F 3/04,3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の表裏両面に複数の流路がそれぞれ形成され、前記第1方向に複数枚積層されて熱交換素子を形成する伝熱板であって、
前記複数の流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の波形形状部を有し、
前記波形形状部には、前記第1方向の一方に向かって凸となる表側凸部と、前記第1方向の他方に向かって凸となる裏側凸部とが、前記第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されており、
前記表側凸部の前記第2方向の両端
部には、前記第2方向に隣接する他の前記表側凸部に向かって突出して、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板に接触可能な表側突出部が
それぞれ設けられており、
前記表側突出部は、前記裏側凸部と、前記第2方向に隣接する2つの前記表側凸部と、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板とに囲われて形成される前記流路内に配置されて
おり、
前記第2方向に隣接する2つの前記表側突出部は、前記第2方向に隙間を空けて配置されており、
前記第2方向に隣接する2つの前記表側突出部の間の隙間の寸法は、前記裏側凸部の前記第2方向に沿った幅よりも小さいことを特徴とする伝熱板。
【請求項2】
第1方向の表裏両面に複数の流路がそれぞれ形成され、前記第1方向に複数枚積層されて熱交換素子を形成する伝熱板であって、
前記複数の流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の波形形状部を有し、
前記波形形状部には、前記第1方向の一方に向かって凸となる表側凸部と、前記第1方向の他方に向かって凸となる裏側凸部とが、前記第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されており、
前記表側凸部の前記第2方向の両端部のうち少なくとも一方の端部には、前記第2方向に隣接する他の前記表側凸部に向かって突出して、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板に接触可能な表側突出部が設けられており、
前記表側突出部は、前記裏側凸部と、前記第2方向に隣接する2つの前記表側凸部と、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板とに囲われて形成される前記流路内に配置されており、
前記表側突出部は、前記第1方向で前記表側凸部の頂部と前記裏側凸部の頂部との中間から前記表側凸部の頂部までの範囲内に設けられていることを特徴とす
る伝熱板。
【請求項3】
第1方向の表裏両面に複数の流路がそれぞれ形成され、前記第1方向に複数枚積層されて熱交換素子を形成する伝熱板であって、
前記複数の流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の波形形状部を有し、
前記波形形状部には、前記第1方向の一方に向かって凸となる表側凸部と、前記第1方向の他方に向かって凸となる裏側凸部とが、前記第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されており、
前記表側凸部の前記第2方向の両端部のうち少なくとも一方の端部には、前記第2方向に隣接する他の前記表側凸部に向かって突出して、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板に接触可能な表側突出部が設けられており、
前記表側突出部は、前記裏側凸部と、前記第2方向に隣接する2つの前記表側凸部と、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板とに囲われて形成される前記流路内に配置されており、
前記表側突出部は、前記第1方向の前記一方から前記他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部と、前記第1傾斜部のうち最も突出高さが高い部分から前記第1方向の前記他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部と、を有し、
前記表側突出部は、前記第2傾斜部の前記第1方向に沿った長さが前記第1傾斜部の前記第1方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されていることを特徴とす
る伝熱板。
【請求項4】
前記裏側凸部の前記第2方向の両端部のうち少なくとも一方の端部には、前記第2方向に隣接する他の前記裏側凸部に向かって突出して、前記熱交換素子を構成する伝熱板のうち前記伝熱板に前記第1方向に隣接する伝熱板に接触可能な裏側突出部が設けられていることを特徴とする請求項1
から3のいずれか1項に記載の伝熱板。
【請求項5】
前記表側突出部は、前記第1方向に対称形状に形成されていることを特徴とする請求項1
または2に記載の伝熱板。
【請求項6】
第1伝熱板と第2伝熱板とが交互に積層されて形成され、隣接する前記第1伝熱板の表面と前記第2伝熱板の裏面との間に複数の第1流路が形成されるとともに、隣接する前記第1伝熱板の裏面と前記第2伝熱板の表面との間に複数の第2流路が形成される熱交換素子であって、
前記第1伝熱板は、複数の前記第1流路のそれぞれの一部を形成するとともに複数の前記第2流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の第1波形形状部を有し、
前記第2伝熱板は、複数の前記第2流路のそれぞれの一部を形成するとともに複数の前記第1流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の第2波形形状部を有し、
前記第1波形形状部と前記第2波形形状部とは、前記第1伝熱板と前記第2伝熱板との積層方向である第1方向で重なる位置に配置され、
前記第1波形形状部には、前記第1方向の一方に向かって凸となる第1表側凸部と、前記第1方向の他方に向かって凸となる第1裏側凸部とが、前記第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されており、
前記第2波形形状部には、前記第1方向の一方に向かって凸となる第2表側凸部と、前記第1方向の他方に向かって凸となる第2裏側凸部とが、前記第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されており、
前記第1表側凸部と前記第2表側凸部とは、前記第1方向で重なる位置に配置されており、
前記第1裏側凸部と前記第2裏側凸部とは、前記第1方向で重なる位置に配置されており、
前記第1表側凸部の前記第2方向の両端
部には、前記第2方向に隣接する他の前記第1表側凸部に向かって突出して、前記第1伝熱板に前記第1方向に隣接する前記第2伝熱板の前記第2裏側凸部に接触可能な第1表側突出部が
それぞれ設けられており、
前記第2表側凸部の前記第2方向の両端
部には、前記第2方向に隣接する他の前記第2表側凸部に向かって突出して、前記第2伝熱板に前記第1方向に隣接する前記第1伝熱板の前記第1裏側凸部に接触可能な第2表側突出部が
それぞれ設けられており、
前記第1流路は、前記第1裏側凸部と、前記第2方向に隣接する2つの前記第1表側凸部と、前記第1伝熱板に前記第1方向に隣接する前記第2伝熱板の前記第2裏側凸部とに囲われて形成された第1表側流路を有し、
前記第2流路は、前記第2裏側凸部と、前記第2方向に隣接する2つの前記第2表側凸部と、前記第2伝熱板に前記第1方向に隣接する前記第1伝熱板の前記第1裏側凸部とに囲われて形成された第2表側流路を有し、
前記第1表側突出部は、前記第1表側流路内に配置されており、
前記第2表側突出部は、前記第2表側流路内に配置されて
おり、
前記第2方向に隣接する2つの前記第1表側突出部は、前記第2方向に隙間を空けて配置されており、
前記第2方向に隣接する2つの前記第1表側突出部の間の隙間の寸法は、前記第2裏側凸部の前記第2方向に沿った幅よりも小さく、
前記第2方向に隣接する2つの前記第2表側突出部は、前記第2方向に隙間を空けて配置されており、
前記第2方向に隣接する2つの前記第2表側突出部の間の隙間の寸法は、前記第1裏側凸部の前記第2方向に沿った幅よりも小さいことを特徴とする熱交換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気流同士の間で熱交換を行う伝熱板およびこの伝熱板を備える熱交換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室外から室内への給気流と室内から室外への排気流との間で熱交換を行う熱交換素子が知られている。熱交換素子を使用した換気を行うことにより、室内の冷暖房の効率を向上させて室内の空調に使用されるエネルギーの低減を図りながら、室内における良質な空気質の確保を図ることができる。
【0003】
特許文献1には、シート状の伝熱板が交互に積層されて形成された熱交換素子が開示されている。隣接する伝熱板同士の間には、複数の流路が形成されている。複数枚の伝熱板のそれぞれは、波形形状に形成された波形形状部を有する。複数の流路の一部は、波形形状部により形成されている。波形形状部には、積層方向の一方に向かって突出する凸部と、積層方向の他方に向かって突出する凸部とが流路幅方向に沿って交互に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術では、シート状の伝熱板を用いるため、波形形状部の剛性を確保できず、複数枚の伝熱板を積層したときに、波形形状部が沈み込むように変形するおそれがある。これにより、流路が塞がったり開きすぎたりするため、複数の流路ごとの圧力損失にバラツキが生じ、熱交換効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、波形形状部の変形を抑制することができる伝熱板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる伝熱板は、第1方向の表裏両面に複数の流路がそれぞれ形成され、第1方向に複数枚積層されて熱交換素子を形成する伝熱板であって、複数の流路のそれぞれの一部を形成する波形形状の波形形状部を有している。波形形状部には、第1方向の一方に向かって凸となる表側凸部と、第1方向の他方に向かって凸となる裏側凸部とが、第1方向と直交する第2方向に沿って交互に形成されている。表側凸部の第2方向の両端部には、第2方向に隣接する他の表側凸部に向かって突出して、熱交換素子を構成する伝熱板のうち伝熱板に第1方向に隣接する伝熱板に接触可能な表側突出部がそれぞれ設けられている。表側突出部は、裏側凸部と、第2方向に隣接する2つの表側凸部と、熱交換素子を構成する伝熱板のうち伝熱板に第1方向に隣接する伝熱板とに囲われて形成される流路内に配置されている。第2方向に隣接する2つの表側突出部は、第2方向に隙間を空けて配置されている。第2方向に隣接する2つの表側突出部の間の隙間の寸法は、裏側凸部の第2方向に沿った幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる伝熱板は、波形形状部の変形を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる熱交換素子を示す斜視図
【
図2】実施の形態1にかかる熱交換素子の第1伝熱板を示す平面図
【
図3】実施の形態1にかかる熱交換素子の第2伝熱板を示す平面図
【
図5】第1表側突出部および第2表側突出部を示す部分拡大平面図
【
図6】実施の形態1の変形例1にかかる熱交換素子の第1表側突出部および第2表側突出部を示す部分拡大平面図
【
図7】実施の形態1の変形例2にかかる熱交換素子の第1表側突出部および第2表側突出部を示す部分拡大平面図
【
図8】実施の形態1の変形例3にかかる熱交換素子の第1表側突出部および第2表側突出部を示す断面図
【
図9】実施の形態1の変形例4にかかる熱交換素子の第1表側突出部および第2表側突出部を示す断面図
【
図10】実施の形態1の変形例5にかかる熱交換素子の第1表側突出部および第2表側突出部を示す断面図
【
図11】実施の形態2にかかる熱交換素子を示す断面図であって、
図2および
図3に示されたIV-IV線に沿った断面図に相当する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態にかかる伝熱板および熱交換素子を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる熱交換素子100を示す斜視図である。なお、
図1の矢印Yは、流体の流れを示している。熱交換素子100は、六角柱状に形成されている。熱交換素子100は、第1伝熱板1と第2伝熱板2とが交互に積層されて形成されている。第1伝熱板1および第2伝熱板2は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラートなどを基材とした樹脂シートを用いて形成されている。隣接する第1伝熱板1の表面と第2伝熱板2の裏面との間には、複数の第1流路3が形成されている。隣接する第1伝熱板1の裏面と第2伝熱板2の表面との間には、複数の第2流路4が形成されている。第1流路3と第2流路4とは、互いに独立した流路である。以下の説明では、第1流路3に流れる流体を「第1空気流5」と称し、第2流路4に流れる流体を「第2空気流6」と称する。また、第1伝熱板1と第2伝熱板2とが積層される方向を「積層方向」と称する。また、各流路3,4の長さ方向を「流路長さ方向」と称する。また、各流路3,4の幅方向を「流路幅方向」と称する。積層方向と流路長さ方向と流路幅方向とは、互いに直交する。なお、本願明細書中の「直交」とは、完全に直交である状態の他、厳密には直交でなく僅かに斜交した状態も含まれる。また、第1伝熱板1と第2伝熱板2とをまとめて伝熱板1,2と称する場合もある。
【0012】
図2は、実施の形態1にかかる熱交換素子100の第1伝熱板1を示す平面図である。第1伝熱板1は、第1波形形状部11と、第1波形形状部11のうち流路長さ方向に沿った一端に接続される第1ヘッダ部12と、第1波形形状部11のうち流路長さ方向に沿った他端に接続される第2ヘッダ部13とを有する。
図2の実線矢印は、第1波形形状部11の表面、第1ヘッダ部12の表面および第2ヘッダ部13の表面を流れる第1空気流5の流れを示している。
図2に示される破線矢印は、第1波形形状部11の裏面、第1ヘッダ部12の裏面および第2ヘッダ部13の裏面を流れる第2空気流6の流れを示している。
【0013】
第1波形形状部11は、後述する第2波形形状部21の裏面との間に複数の第1部分流路31を形成するとともに、第2波形形状部21の表面との間に複数の第4部分流路41を形成する部分である。積層方向から見たときの第1波形形状部11の形状は、矩形である。複数の第1部分流路31は、複数の第1流路3のそれぞれの一部である。複数の第4部分流路41は、複数の第2流路4のそれぞれの一部である。第1波形形状部11は、山と谷とが交互に連続する波形形状に形成されている。第1波形形状部11については、後に詳しく説明する。
【0014】
第1ヘッダ部12は、後述する第3ヘッダ部22の裏面との間に、複数の第2部分流路32を形成する部分である。積層方向から見たときの第1ヘッダ部12の形状は、二等辺三角形である。複数の第2部分流路32は、第1部分流路31のそれぞれの一端と接続されており、複数の第1流路3のそれぞれの一部である。第1ヘッダ部12の表面には、互いに間隔を空けて複数の第1流路リブ12aが形成されている。第1流路リブ12aは、後述する第3ヘッダ部22の裏面に当接する。第1ヘッダ部12の表面と第3ヘッダ部22の裏面との間には、第1流路リブ12aにより区画された複数の第2部分流路32が形成される。複数の第2部分流路32のそれぞれの長さは、互いに異なっている。第2部分流路32の長さは、流路幅方向の一方から他方に向かうほど短い。
【0015】
第2ヘッダ部13は、後述する第4ヘッダ部23の裏面との間に、複数の第3部分流路33を形成する部分である。積層方向から見たときの第2ヘッダ部13の形状は、二等辺三角形である。複数の第3部分流路33は、第1部分流路31のそれぞれの他端と接続されており、複数の第1流路3のそれぞれの一部である。第2ヘッダ部13の表面には、互いに間隔を空けて複数の第2流路リブ13aが形成されている。第2流路リブ13aは、後述する第4ヘッダ部23の裏面に当接する。第2ヘッダ部13の表面と第4ヘッダ部23の裏面との間には、第2流路リブ13aにより区画された複数の第3部分流路33が形成される。複数の第3部分流路33のそれぞれの長さは、互いに異なっている。第3部分流路33の長さは、流路幅方向の一方から他方に向かうほど長い。第1流路リブ12aと第2流路リブ13aとは、第1部分流路31の流路長さ方向に対して傾斜している。つまり、第2部分流路32と第3部分流路33とは、第1部分流路31に対して傾斜している。第3部分流路33から流入する第1空気流5は、第1部分流路31を介して第2部分流路32を通過する。
【0016】
図3は、実施の形態1にかかる熱交換素子100の第2伝熱板2を示す平面図である。第2伝熱板2は、第2波形形状部21と、第2波形形状部21のうち流路長さ方向に沿った一端に接続される第3ヘッダ部22と、第2波形形状部21のうち流路長さ方向に沿った他端に接続される第4ヘッダ部23とを有する。
図3の実線矢印は、第2波形形状部21の表面、第3ヘッダ部22の表面および第4ヘッダ部23の表面を流れる第2空気流6の流れを示している。
図3に示される破線矢印は、第2波形形状部21の裏面、第3ヘッダ部22の裏面および第4ヘッダ部23の裏面を流れる第1空気流5の流れを示している。
【0017】
第2波形形状部21は、第1波形形状部11の裏面との間に複数の第4部分流路41を形成するとともに、第1波形形状部11の表面との間に複数の第1部分流路31を形成する部分である。積層方向から見たときの第2波形形状部21の形状は、矩形である。複数の第4部分流路41は、複数の第2流路4のそれぞれの一部である。複数の第1部分流路31は、複数の第1流路3のそれぞれの一部である。第2波形形状部21は、山と谷とが交互に連続する波形形状に形成されている。第2波形形状部21については、後に詳しく説明する。
図2および
図3に示すように、第1部分流路31と第4部分流路41とは、平行である。第1部分流路31を流れる第1空気流5の流れ方向と、第4部分流路41を流れる第2空気流6の流れ方向とは、180度異なっている。第1部分流路31を流れる第1空気流5と、第4部分流路41を流れる第2空気流6との間で熱が伝達される。なお、熱交換素子100は、空気流同士の間で、顕熱と潜熱とを伝達させる構成でもよいし、顕熱のみを伝達させる構成でもよい。
【0018】
図3に示すように、第3ヘッダ部22は、第1ヘッダ部12の裏面との間に、複数の第5部分流路42を形成する部分である。積層方向から見たときの第3ヘッダ部22の形状は、二等辺三角形である。複数の第5部分流路42は、第4部分流路41のそれぞれの一端と接続されており、複数の第2流路4のそれぞれの一部である。第3ヘッダ部22の表面には、互いに間隔を空けて複数の第3流路リブ22aが形成されている。第3流路リブ22aは、第1ヘッダ部12の裏面に当接する。第3ヘッダ部22の表面と第1ヘッダ部12の裏面との間には、第3流路リブ22aにより区画された複数の第5部分流路42が形成される。複数の第5部分流路42のそれぞれの長さは、互いに異なっている。第5部分流路42の長さは、流路幅方向の一方から他方に向かうほど長い。
図2および
図3に示すように、第2部分流路32を流れる第1空気流5の流れ方向と、第5部分流路42を流れる第2空気流6の流れ方向とは、交差する。
【0019】
図3に示すように、第4ヘッダ部23は、第2ヘッダ部13の裏面との間に、複数の第6部分流路43を形成する部分である。積層方向から見たときの第4ヘッダ部23の形状は、二等辺三角形である。複数の第6部分流路43は、第4部分流路41のそれぞれの他端と接続されており、複数の第2流路4のそれぞれの一部である。第4ヘッダ部23の表面には、互いに間隔を空けて複数の第4流路リブ23aが形成されている。第4流路リブ23aは、第2ヘッダ部13の裏面に当接する。第4ヘッダ部23の表面と第2ヘッダ部13の裏面との間には、第4流路リブ23aにより区画された複数の第6部分流路43が形成される。複数の第6部分流路43のそれぞれの長さは、互いに異なっている。第6部分流路43の長さは、流路幅方向の一方から他方に向かうほど短い。第3流路リブ22aと第4流路リブ23aとは、第4部分流路41の流路長さ方向に対して傾斜している。つまり、第5部分流路42と第6部分流路43とは、第4部分流路41に対して傾斜している。第5部分流路42から流入する第2空気流6は、第4部分流路41を介して第6部分流路43を通過する。
図2および
図3に示すように、第3部分流路33を流れる第1空気流5の流れ方向と、第6部分流路43を流れる第2空気流6の流れ方向とは、交差する。
【0020】
図4を参照して、第1波形形状部11について詳しく説明する。
図4は、
図2および
図3に示されたIV-IV線に沿った断面図である。第1波形形状部11には、積層方向の一方に向かって凸となる第1表側凸部14と、積層方向の他方に向かって凸となる第1裏側凸部15とが、流路幅方向に沿って交互に形成されている。
図4の二点鎖線Caは、第1波形形状部11の積層方向の中心を通る中心線であって、第1表側凸部14と第1裏側凸部15との境界線である。以下、積層方向の一方となる上向きを+X、積層方向の他方となる下向きを-Xとする。
【0021】
第1表側凸部14の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第1表側凸部14に向かって突出して、第1伝熱板1に積層方向の+Xの方向に隣接する第2伝熱板2に接触可能な第1表側突出部16が設けられている。第1表側突出部16は、第2伝熱板2の後述する第2裏側凸部25を支える役割を果たす。第1表側突出部16は、積層方向で第1表側凸部14の頂部14aと第1裏側凸部15の頂部15aとの中間から第1表側凸部14の頂部14aまでの範囲内に設けられていることが好ましく、積層方向で第1表側凸部14の頂部14aに近い位置にあることがより好ましい。第1表側突出部16は、第1表側凸部14の頂部14aよりも積層方向の+Xの方向に突出していない。第1表側突出部16は、積層方向に対称形状に形成されている。第1表側突出部16の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では流路幅方向に隣接する他の第1表側凸部14に向かって凸となる中空の半円形である。第1表側突出部16を含む第1表側凸部14の板厚は、均一である。
【0022】
第1波形形状部11は、複数の第1表側流路11aと、複数の第1裏側流路11bとを有する。第1表側流路11aと第1裏側流路11bとは、流路幅方向に交互に配置されている。第1表側流路11aは、第1空気流5が流れる第1部分流路31となる。第1裏側流路11bは、第2空気流6が流れる第4部分流路41となる。第1表側流路11aは、第1裏側凸部15と流路幅方向に隣接する2つの第1表側凸部14と後述する第2裏側凸部25とに囲われて形成された四角形の流路である。第1裏側流路11bは、第1表側凸部14と流路幅方向に隣接する2つの第1裏側凸部15と後述する第2表側凸部24とに囲われて形成された四角形の流路である。第1表側流路11a内には、第1表側突出部16が配置されている。隣り合う2つの第1表側流路11aの中心の間隔を1ピッチとしたときに、第1表側流路11aのピッチ数は、40ピッチ以上が好ましく、80ピッチ以上がより好ましく、140ピッチ以上がさらに好ましい。隣り合う2つの第1裏側流路11bの中心の間隔を1ピッチとしたときに、第1裏側流路11bのピッチ数は、40ピッチ以上が好ましく、80ピッチ以上がより好ましく、140ピッチ以上がさらに好ましい。
【0023】
図4を参照して、第2波形形状部21について詳しく説明する。第2波形形状部21には、積層方向の一方に向かって凸となる第2表側凸部24と、積層方向の他方に向かって凸となる第2裏側凸部25とが、流路幅方向に沿って交互に形成されている。
図4の二点鎖線Cbは、第2波形形状部21の積層方向の中心を通る中心線であって、第2表側凸部24と第2裏側凸部25との境界線である。第1表側凸部14と第2表側凸部24とは、積層方向で重なる位置に配置されている。第1裏側凸部15と第2裏側凸部25とは、積層方向で重なる位置に配置されている。
【0024】
第2表側凸部24の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第2表側凸部24に向かって突出して、第2伝熱板2に積層方向の+Xの方向に隣接する第1伝熱板1に接触可能な第2表側突出部26が設けられている。第2表側突出部26は、第1伝熱板1の第1裏側凸部15を支える役割を果たす。第2表側突出部26は、積層方向で第2表側凸部24の頂部24aと第2裏側凸部25の頂部25aとの中間から第2表側凸部24の頂部24aまでの範囲内に設けられていることが好ましく、積層方向で第2表側凸部24の頂部24aに近い位置にあることがより好ましい。第2表側突出部26は、第2表側凸部24の頂部24aよりも積層方向の+Xの方向に突出していない。第2表側突出部26は、積層方向に対称形状に形成されている。第2表側突出部26の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では流路幅方向に隣接する他の第2表側凸部24に向かって凸となる中空の半円形である。第2表側突出部26を含む第2表側凸部24の板厚は、均一である。
【0025】
第2波形形状部21は、複数の第2表側流路21aと、複数の第2裏側流路21bとを有する。第2表側流路21aと第2裏側流路21bとは、流路幅方向に交互に配置されている。第2表側流路21aは、第2空気流6が流れる第4部分流路41となる。第2裏側流路21bは、第1空気流5が流れる第1部分流路31となる。第2表側流路21aは、第2裏側凸部25と流路幅方向に隣接する2つの第2表側凸部24と第1裏側凸部15とに囲われて形成された四角形の流路である。第2裏側流路21bは、第2表側凸部24と流路幅方向に隣接する2つの第2裏側凸部25と第1表側凸部14とに囲われて形成された四角形の流路である。第2表側流路21a内には、第2表側突出部26が配置されている。第1表側流路11aと第2表側流路21aとは、積層方向に交互に配置されている。第1裏側流路11bと第2裏側流路21bとは、積層方向に交互に配置されている。隣り合う2つの第2表側流路21aの中心の間隔を1ピッチとしたときに、第2表側流路21aのピッチ数は、40ピッチ以上が好ましく、80ピッチ以上がより好ましく、140ピッチ以上がさらに好ましい。隣り合う2つの第2裏側流路21bの中心の間隔を1ピッチとしたときに、第2裏側流路21bのピッチ数は、40ピッチ以上が好ましく、80ピッチ以上がより好ましく、140ピッチ以上がさらに好ましい。
【0026】
第1表側流路11a内において流路幅方向に隣接する2つの第1表側突出部16は、流路幅方向に隙間を空けて配置されている。流路幅方向に隣接する2つの第1表側突出部16の間の隙間の寸法をW1、第2裏側凸部25の流路幅方向に沿った幅をW2としたときに、W2>W1の関係になるように設定されている。流路幅方向に隣接する2つの第1表側突出部16の間の隙間の寸法W1は、第2裏側凸部25の流路幅方向に沿った幅W2よりも小さい。第2表側流路21a内において流路幅方向に隣接する2つの第2表側突出部26は、流路幅方向に隙間を空けて配置されている。流路幅方向に隣接する2つの第2表側突出部26の間の隙間の寸法をW3、第1裏側凸部15の流路幅方向に沿った幅をW4としたときに、W4>W3の関係になるように設定されている。流路幅方向に隣接する2つの第2表側突出部26の間の隙間の寸法W3は、第1裏側凸部15の流路幅方向に沿った幅W4よりも小さい。
【0027】
図5は、第1表側突出部16および第2表側突出部26を示す部分拡大平面図である。なお、第1表側突出部16および第2表側突出部26が同じ構成であるため、
図5では第1表側突出部16および第2表側突出部26の符号を併記する。
図5では、ドットハッチングで第1表側突出部16および第2表側突出部26の領域を明確にしている。
図5に示すように、第1表側突出部16は、流路長さ方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられている。第1表側凸部14の流路幅方向に沿った一端部に設けられる第1表側突出部16と他端部に設けられる第1表側突出部16とは、流路
長さ方向で一致する位置に配置されている。第2表側突出部26は、流路長さ方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられている。第2表側凸部24の流路幅方向に沿った一端部に設けられる第2表側突出部26と他端部に設けられる第2表側突出部26とは、流路
長さ方向で一致する位置に配置されている。
【0028】
次に、
図1から
図4を参照して、熱交換素子100の製造方法について説明する。
図1に示される熱交換素子100の製造方法は、成形工程と、トリム工程と、積層工程と、を含む。成形工程では、真空成形、熱プレス成形などにより、
図2に示される第1波形形状部11、第1ヘッダ部12、第2ヘッダ部13および
図4に示される第1表側突出部16を一体で成形するとともに、
図3に示される第2波形形状部21、第3ヘッダ部22、第4ヘッダ部23および
図4に示される第2表側突出部26を一体で成形する。トリム工程では、成形された第1伝熱板1および第2伝熱板2を削って、その外形を整える。積層工程では、
図1に示すように、第1伝熱板1と第2伝熱板2とを交互に積層する。また、積層工程では、同じ流路3,4に2つの空気流5,6が混合することを防ぐために、第1伝熱板1と第2伝熱板2との間を接合する接合工程を行う。接合工程では、接着剤を用いた接着、または、熱、超音波などを用いた溶着工程を行うことが望ましい。以上の工程を経て製造された熱交換素子100の6つの角部のそれぞれには、樹脂製の図示しないフレームが取り付けられる。熱交換素子100とフレームとの間にシーリング剤を充填することにより、熱交換素子100とフレームとの隙間に2つの空気流5,6が流入して、熱交換素子100内で2つの空気流5,6が混合することを防ぐことができる。
【0029】
次に、熱交換素子100の効果について説明する。
【0030】
図4に示すように、本実施の形態では、第1表側凸部14の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第1表側凸部14に向かって突出して、第1伝熱板1に積層方向の+Xの方向に隣接する第2伝熱板2に接触可能な第1表側突出部16が設けられている。このため、複数枚の第1伝熱板1および第2伝熱板2が積層されたときに、第1伝熱板1の第1表側突出部16により、第2伝熱板2の第2裏側凸部25を支えることができる。これにより、第1波形形状部11の変形を抑制することができるとともに、第2裏側凸部25が第1表側流路11a内に落ち込むことを抑制できるため、第1部分流路31および第4部分流路41が塞がったり開きすぎたりすることを抑制できる。したがって、複数の第1部分流路31ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるとともに、複数の第4部分流路41ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるため、熱交換素子100の熱交換効率を向上させることができる。
【0031】
本実施の形態では、第2表側凸部24の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第2表側凸部24に向かって突出して、第2伝熱板2に積層方向の+Xの方向に隣接する第1伝熱板1に接触可能な第2表側突出部26が設けられている。このため、複数枚の第1伝熱板1および第2伝熱板2が積層されたときに、第2伝熱板2の第2表側突出部26により、第1伝熱板1の第1裏側凸部15を支えることができる。これにより、第2波形形状部21の変形を抑制することができるとともに、第1裏側凸部15が第2表側流路21a内に落ち込むことを抑制できるため、第1部分流路31および第4部分流路41が塞がったり開きすぎたりすることを抑制できる。したがって、複数の第1部分流路31ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるとともに、複数の第4部分流路41ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるため、熱交換素子100の熱交換効率を向上させることができる。
【0032】
本実施の形態では、流路幅方向に隣接する2つの第1表側突出部16の間の隙間の寸法W1は、第2裏側凸部25の流路幅方向に沿った幅W2よりも小さい。このような寸法関係に設定すると、2つの第1表側突出部16により第2裏側凸部25を確実に支えて、第2裏側凸部25が第1表側流路11a内に落ち込むことをより一層抑制できる。また、本実施の形態では、流路幅方向に隣接する2つの第2表側突出部26の間の隙間の寸法W3は、第1裏側凸部15の流路幅方向に沿った幅W4よりも小さい。このような寸法関係に設定すると、2つの第2表側突出部26により第1裏側凸部15を確実に支えて、第1裏側凸部15が第2表側流路21a内に落ち込むことをより一層抑制できる。
【0033】
本実施の形態では、第1表側突出部16は、積層方向で第1表側凸部14の頂部14aと第1裏側凸部15の頂部15aとの中間から第1表側凸部14の頂部14aまでの範囲内に設けられている。このため、第1表側突出部16により第2裏側凸部25を確実に支えて、第2裏側凸部25が第1表側流路11a内に落ち込むことをより一層抑制できる。また、本実施の形態では、第2表側突出部26は、積層方向で第2表側凸部24の頂部24aと第2裏側凸部25の頂部25aとの中間から第2表側凸部24の頂部24aまでの範囲内に設けられている。このため、第2表側突出部26により第1裏側凸部15を確実に支えて、第1裏側凸部15が第2表側流路21a内に落ち込むことをより一層抑制できる。
【0034】
本実施の形態では、第1表側突出部16および第2表側突出部26が中空であるため、第1表側突出部16および第2表側突出部26を設けたことによる重量の増加を抑えることができる。
【0035】
本実施の形態では、積層方向に対称形状に形成されている第1表側突出部16が小さいほど、第1表側流路11aの流路断面積を大きく確保することが可能となり、第1表側流路11aにおける圧力損失を抑制することができる。また、第1表側突出部16が積層方向に対称形状であると、第1表側突出部16が積層方向に非対称形状である場合に比べて、第1表側突出部16の断面積を小さくできる。これにより、第1表側流路11aの流路断面積を大きく確保することが可能となり、第1表側流路11aにおける圧力損失を抑制することができる。
【0036】
本実施の形態では、積層方向に対称形状に形成されている第2表側突出部26が小さいほど、第2表側流路21aの流路断面積を大きく確保することが可能となり、第2表側流路21aにおける圧力損失を抑制することができる。また、第2表側突出部26が積層方向に対称形状であると、第2表側突出部26が積層方向に非対称形状である場合に比べて、第2表側突出部26の断面積を小さくできる。これにより、第2表側流路21aの流路断面積を大きく確保することが可能となり、第2表側流路21aにおける圧力損失を抑制することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、六角柱状の熱交換素子100を例示したが、熱交換素子100の形状を限定する趣旨ではない。すなわち、六角柱状以外の熱交換素子100を用いてもよい。また、本実施の形態では、第1表側突出部16を、第1表側凸部14の流路幅方向の両端部に設けた例を図示したが、第1表側突出部16を、第1表側凸部14の流路幅方向の両端部のうち少なくとも一方の端部に設け、他方の端部をフラットにしてもよい。このようにすると、第1表側突出部16により第2裏側凸部25の落ち込みを抑制することができるとともに、第1表側凸部14の流路幅方向の他方の端部に第1表側突出部16がないため第1表側流路11aにおける圧力損失を抑制することができる。また、本実施の形態では、第2表側突出部26を、第2表側凸部24の流路幅方向の両端部に設けた例を図示したが、第2表側突出部26を、第2表側凸部24の流路幅方向の両端部のうち少なくとも一方の端部に設け、他方の端部をフラットにしてもよい。このようにすると、第2表側突出部26により第1裏側凸部15の落ち込みを抑制することができるとともに、第2表側凸部24の流路幅方向の他方の端部に第2表側突出部26がないため第2表側流路21aにおける圧力損失を抑制することができる。
【0038】
次に、
図6を参照して、実施の形態1の変形例1にかかる熱交換素子100Aについて説明する。
図6は、実施の形態1の変形例1にかかる熱交換素子100Aの第1表側突出部16Aおよび第2表側突出部26Aを示す部分拡大平面図である。なお、第1伝熱板1Aの第1表側突出部16Aおよび第2伝熱板2Aの第2表側突出部26Aが同じ構成であるため、
図6では第1表側突出部16Aおよび第2表側突出部26Aの符号を併記する。
図6では、ドットハッチングで第1表側突出部16Aおよび第2表側突出部26Aの領域を明確にしている。変形例1にかかる熱交換素子100Aは、第1表側突出部16Aおよび第2表側突出部26Aの配置が前記した実施の形態1の熱交換素子100と相違する。変形例1では、前記した実施の形態1の熱交換素子100と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第1表側突出部16Aは、流路長さ方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられている。第1表側凸部14Aの流路幅方向の一端部に設けられる第1表側突出部16Aと他端部に設けられる第1表側突出部16Aとは、流路長さ方向に互い違いに配置されている。第1表側凸部14Aの流路幅方向の一端部に設けられる第1表側突出部16Aと他端部に設けられる第1表側突出部16Aとは、流路長さ方向に互いにずれて配置されている。
【0040】
第2表側突出部26Aは、流路長さ方向に沿って互いに間隔を空けて複数設けられている。第2表側凸部24Aの流路幅方向の一端部に設けられる第2表側突出部26Aと他端部に設けられる第2表側突出部26Aとは、流路長さ方向に互い違いに配置されている。第2表側凸部24Aの流路幅方向の一端部に設けられる第2表側突出部26Aと他端部に設けられる第2表側突出部26Aとは、流路長さ方向に互いにずれて配置されている。
【0041】
本変形例では、第1表側凸部14Aの流路幅方向の一端部に設けられる第1表側突出部16Aと他端部に設けられる第1表側突出部16Aとは、流路長さ方向に互い違いに配置されていることにより、流路長さ方向で第1表側突出部16Aの位置を分散させることができる。これにより、樹脂シートを基材にして第1波形形状部11および第1表側突出部16Aを一体に形成する場合に、第1伝熱板1Aの全体の形状歪を抑えることができるとともに、第1表側突出部16Aにより図示しない第2裏側凸部25の落ち込みをより一層抑制することができる。また、本変形例では、第2表側凸部24Aの流路幅方向の一端部に設けられる第2表側突出部26Aと他端部に設けられる第2表側突出部26Aとは、流路長さ方向に互い違いに配置されていることにより、流路長さ方向で第2表側突出部26Aの位置を分散させることができる。これにより、樹脂シートを基材にして第2波形形状部21および第2表側突出部26Aを一体に形成する場合に、第2伝熱板2Aの全体の形状歪を抑えることができるとともに、第2表側突出部26Aにより図示しない第1裏側凸部15の落ち込みをより一層抑制することができる。
【0042】
次に、
図7を参照して、実施の形態1の変形例2にかかる熱交換素子100Bについて説明する。
図7は、実施の形態1の変形例2にかかる熱交換素子100Bの第1表側突出部16Bおよび第2表側突出部26Bを示す部分拡大平面図である。なお、第1伝熱板1Bの第1表側突出部16Bおよび第2伝熱板2Bの第2表側突出部26Bが同じ構成であるため、
図7では第1表側突出部16Bおよび第2表側突出部26Bの符号を併記する。
図7では、ドットハッチングで第1表側突出部16Bおよび第2表側突出部26Bの領域を明確にしている。変形例2にかかる熱交換素子100Bは、第1表側突出部16Bおよび第2表側突出部26Bの形状が前記した実施の形態1の熱交換素子100と相違する。変形例2では、前記した実施の形態1の熱交換素子100と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
第1表側突出部16Bは、第1表側凸部14Bの流路幅方向の一端部および他端部に1列ずつ設けられている。第1表側突出部16Bは、第1表側凸部14Bの流路長さ方向の全長に亘って延びている。第2表側突出部26Bは、第2表側凸部24Bの流路幅方向の一端部および他端部に1列ずつ設けられている。第2表側突出部26Bは、第2表側凸部24Bの流路長さ方向の全長に亘って延びている。
【0044】
本変形例では、第1表側突出部16Bは、第1表側凸部14Bの流路長さ方向の全長に亘って延びていることにより、図示しない第2裏側凸部25の第1表側流路11a内への部分的な落ち込みを抑制することができる。また、本変形例では、第2表側突出部26Bは、第2表側凸部24Bの流路長さ方向の全長に亘って延びていることにより、図示しない第1裏側凸部15の第2表側流路21a内への部分的な落ち込みを抑制することができる。
【0045】
次に、
図8を参照して、実施の形態1の変形例3にかかる熱交換素子100Cについて説明する。
図8は、実施の形態1の変形例3にかかる熱交換素子100Cの第1表側突出部16Cおよび第2表側突出部26Cを示す断面図である。なお、第1伝熱板1Cの第1表側突出部16Cおよび第2伝熱板2Cの第2表側突出部26Cが同じ構成であるため、
図8では第1表側突出部16Cおよび第2表側突出部26Cの符号を併記する。変形例3にかかる熱交換素子100Cは、第1表側突出部16Cおよび第2表側突出部26Cの形状が前記した実施の形態1の熱交換素子100と相違する。変形例3では、前記した実施の形態1の熱交換素子100と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
第1表側突出部16Cは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部18aと、第1傾斜部18aのうち最も突出高さが高い部分である頂部18cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部18bとを有する。第1表側突出部16Cは、第2傾斜部18bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部18aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。第1表側突出部16Cは、中空である。第1表側突出部16Cを含む第1表側凸部14Cの板厚は、均一である。
【0047】
第2表側突出部26Cは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部28aと、第1傾斜部28aのうち最も突出高さが高い部分である頂部28cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部28bとを有する。第2表側突出部26Cは、第2傾斜部28bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部28aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。第2表側突出部26Cは、中空である。第2表側突出部26Cを含む第2表側凸部24Cの板厚は、均一である。
【0048】
本変形例では、第1表側突出部16Cは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部18aと、第1傾斜部18aのうち最も突出高さが高い部分から積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部18bとを有する。第1表側突出部16Cは、第2傾斜部18bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部18aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。これにより、第1表側突出部16Cの頂部18cの位置を、積層方向で第1表側凸部14Cの頂部14aに近付けることができるため、第1表側突出部16Cにより支えられる図示しない第2裏側凸部25の落ち込みを抑制することができる。また、第1表側突出部16Cの頂部18cの位置を、積層方向で第1表側凸部14Cの頂部14aに近付けることができるため、積層方向の一方から他方に加わる積層荷重に対する第1表側凸部14Cの座屈耐力を向上させて、第1表側凸部14Cの剛性を高めることができる。
【0049】
また、本変形例では、第2表側突出部26Cは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部28aと、第1傾斜部28aのうち最も突出高さが高い部分から積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部28bとを有する。第2表側突出部26Cは、第2傾斜部28bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部28aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。これにより、第2表側突出部26Cの頂部28cの位置を、積層方向で第2表側凸部24Cの頂部24aに近付けることができるため、第2表側突出部26Cにより支えられる図示しない第1裏側凸部15の落ち込みを抑制することができる。また、第2表側突出部26Cの頂部28cの位置を、積層方向で第2表側凸部24Cの頂部24aに近付けることができるため、積層方向の一方から他方に加わる積層荷重に対する第2表側凸部24Cの座屈耐力を向上させて、第2表側凸部24Cの剛性を高めることができる。本変形例では、第1表側突出部16Cおよび第2表側突出部26Cが中空であるため、第1表側突出部16Cおよび第2表側突出部26Cを設けたことによる重量の増加を抑えることができる。
【0050】
次に、
図9を参照して、実施の形態1の変形例4にかかる熱交換素子100Dについて説明する。
図9は、実施の形態1の変形例4にかかる熱交換素子100Dの第1表側突出部16Dおよび第2表側突出部26Dを示す断面図である。なお、第1伝熱板1Dの第1表側突出部16Dおよび第2伝熱板2Dの第2表側突出部26Dが同じ構成であるため、
図9では第1表側突出部16Dおよび第2表側突出部26Dの符号を併記する。変形例4にかかる熱交換素子100Dは、第1表側突出部16Dおよび第2表側突出部26Dの形状が前記した実施の形態1の熱交換素子100と相違する。変形例4では、前記した実施の形態1の熱交換素子100と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
第1表側突出部16Dは、積層方向に対称形状に形成されている。第1表側突出部16Dの形状は、本変形例では流路幅方向に隣接する他の第1表側凸部14Dに向かって凸となる中実の半円形である。第1表側凸部14Dのうち第1表側突出部16Dが形成される部分は、他の部分よりも板厚が大きい。第1表側凸部14Dの板厚は、部分的に変化している。
【0052】
第2表側突出部26Dは、積層方向に対称形状に形成されている。第2表側突出部26Dの形状は、本変形例では流路幅方向に隣接する他の第2表側凸部24Dに向かって凸となる中実の半円形である。第2表側凸部24Dのうち第2表側突出部26Dが形成される部分は、他の部分よりも板厚が大きい。第2表側凸部24Dの板厚は、部分的に変化している。
【0053】
本変形例では、第1表側突出部16Dが中実であるため、第1表側突出部16Dの剛性を高めることができる。また、本変形例では、第2表側突出部26Dが中実であるため、第2表側突出部26Dの剛性を高めることができる。
【0054】
次に、
図10を参照して、実施の形態1の変形例5にかかる熱交換素子100Eについて説明する。
図10は、実施の形態1の変形例5にかかる熱交換素子100Eの第1表側突出部16Eおよび第2表側突出部26Eを示す断面図である。なお、第1伝熱板1Eの第1表側突出部16Eおよび第2伝熱板2Eの第2表側突出部26Eが同じ構成であるため、
図10では第1表側突出部16Eおよび第2表側突出部26Eの符号を併記する。変形例5にかかる熱交換素子100Eは、第1表側突出部16Eおよび第2表側突出部26Eの形状が前記した実施の形態1の熱交換素子100と相違する。変形例5では、前記した実施の形態1の熱交換素子100と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
第1表側突出部16Eは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部19aと、第1傾斜部19aのうち最も突出高さが高い部分である頂部19cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部19bとを有する。第1表側突出部16Eは、第2傾斜部19bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部19aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。第1表側突出部16Eは、中実である。第1表側凸部14Eのうち第1表側突出部16Eが形成される部分は、他の部分よりも板厚が大きい。第1表側凸部14Eの板厚は、部分的に変化している。
【0056】
第2表側突出部26Eは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部29aと、第1傾斜部29aのうち最も突出高さが高い部分である頂部29cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部29bとを有する。第2表側突出部26Eは、第2傾斜部29bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部29aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。第2表側突出部26Eは、中実である。第2表側凸部24Eのうち第2表側突出部26Eが形成される部分は、他の部分よりも板厚が大きい。第2表側凸部24Eの板厚は、部分的に変化している。
【0057】
本変形例では、第1表側突出部16Eは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部19aと、第1傾斜部19aのうち最も突出高さが高い部分である頂部19cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部19bとを有する。第1表側突出部16Eは、第2傾斜部19bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部19aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。これにより、第1表側突出部16Eの頂部19cの位置を、積層方向で第1表側凸部14Eの頂部14aに近付けることができるため、第1表側突出部16Eにより支えられる図示しない第2裏側凸部25の落ち込みを抑制することができる。また、第1表側突出部16Eの頂部19cの位置を、積層方向で第1表側凸部14Eの頂部14aに近付けることができるため、積層方向の一方から他方に加わる積層荷重に対する第1表側凸部14Eの座屈耐力を向上させて、第1表側凸部14Eの剛性を高めることができる。また、本変形例では、第1表側突出部16Eが中実であるため、第1表側突出部16Eの剛性をより一層高めることができる。
【0058】
また、本変形例では、第2表側突出部26Eは、積層方向の一方から他方に向かうにつれて突出高さが高くなる第1傾斜部29aと、第1傾斜部29aのうち最も突出高さが高い部分である頂部29cから積層方向の他方に向かうにつれて突出高さが低くなる第2傾斜部29bとを有する。第2表側突出部26Eは、第2傾斜部29bの積層方向に沿った長さが第1傾斜部29aの積層方向に沿った長さよりも長い非対称形状に形成されている。これにより、第2表側突出部26Eの頂部29cの位置を、積層方向で第2表側凸部24Eの頂部24aに近付けることができるため、第2表側突出部26Eにより支えられる図示しない第1裏側凸部15の落ち込みを抑制することができる。また、第2表側突出部26Eの頂部29cの位置を、積層方向で第2表側凸部24Eの頂部24aに近付けることができるため、積層方向の一方から他方に加わる積層荷重に対する第2表側凸部24Eの座屈耐力を向上させて、第2表側凸部24Eの剛性を高めることができる。また、本変形例では、第2表側突出部26Eが中実であるため、第2表側突出部26Eの剛性をより一層高めることができる。
【0059】
実施の形態2.
次に、
図11を参照して、実施の形態2にかかる熱交換素子100Fについて説明する。
図11は、実施の形態2にかかる熱交換素子100Fを示す断面図であって、
図2および
図3に示されたIV-IV線に沿った断面図に相当する図である。本実施の形態では、第1伝熱板1Fに第1裏側突出部17を設けた点、および、第2伝熱板2Fに第2裏側突出部27を設けた点が前記した実施の形態1と相違する。実施の形態2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
第1裏側凸部15の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第1裏側凸部15に向かって突出して、第1伝熱板1Fに積層方向の-Xの方向に隣接する第2伝熱板2Fに接触可能な第1裏側突出部17が設けられている。第1裏側突出部17は、第2伝熱板2Fの第2表側凸部24により支えられる。第1裏側突出部17は、積層方向で第1裏側凸部15の頂部15aと第1表側凸部14の頂部14aとの中間から第1裏側凸部15の頂部15aまでの範囲内に設けられていることが好ましく、積層方向で第1裏側凸部15の頂部15aに近い位置にあることがより好ましい。第1裏側突出部17は、第1裏側凸部15の頂部15aよりも積層方向の-Xの方向に突出していない。第1裏側突出部17の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では流路幅方向に隣接する他の第1裏側凸部15に向かって凸となる中実の半円形である。
【0061】
第2裏側凸部25の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第2裏側凸部25に向かって突出して、第2伝熱板2Fに積層方向の-Xの方向に隣接する第1伝熱板1Fに接触可能な第2裏側突出部27が設けられている。第2裏側突出部27は、第1伝熱板1Fの第1表側凸部14により支えられる。第2裏側突出部27は、積層方向で第2裏側凸部25の頂部25aと第2表側凸部24の頂部24aとの中間から第2裏側凸部25の頂部25aまでの範囲内に設けられていることが好ましく、積層方向で第2裏側凸部25の頂部25aに近い位置にあることがより好ましい。第2裏側突出部27は、第2裏側凸部25の頂部25aよりも積層方向の-Xの方向に突出していない。第2裏側突出部27の形状は、特に制限されないが、本実施の形態では流路幅方向に隣接する他の第2裏側凸部25に向かって凸となる中実の半円形である。
【0062】
図示は省略するが、第1伝熱板1Fおよび第2伝熱板2Fを製造する金型には、第1裏側突出部17および第2裏側突出部27を形成するための凹部が設けられる。金型の内部に圧縮空気を吹き付けて、樹脂シートを金型の凹部に沿わせる。樹脂シートのうち金型の凹部に沿わせた部分、すなわち第1裏側突出部17および第2裏側突出部27がアンダーカットとなるものの、本実施の形態では第1伝熱板1Fおよび第2伝熱板2Fの基材として薄い樹脂シートを用いるため、無理抜きをすることで成形品を金型から取り外すことができる。
【0063】
本実施の形態では、第1裏側凸部15の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第1裏側凸部15に向かって突出して、第1伝熱板1Fに積層方向の-Xの方向に隣接する第2伝熱板2Fに接触可能な第1裏側突出部17が設けられている。このため、複数枚の第1伝熱板1Fおよび第2伝熱板2Fが積層されたときに、第2伝熱板2Fの第2表側凸部24により、第1伝熱板1Fの第1裏側凸部15を確実に支えることができる。これにより、第1波形形状部11の変形を抑制することができるとともに、第1裏側凸部15が第2表側流路21a内に落ち込むことを抑制できるため、第1部分流路31および第4部分流路41が塞がったり開きすぎたりすることを抑制できる。したがって、複数の第1部分流路31ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるとともに、複数の第4部分流路41ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるため、熱交換素子100Fの熱交換効率を向上させることができる。
【0064】
本実施の形態では、第2裏側凸部25の流路幅方向の両端部には、流路幅方向に隣接する他の第2裏側凸部25に向かって突出して、第2伝熱板2Fに積層方向の-Xの方向に隣接する第1伝熱板1Fに接触可能な第2裏側突出部27が設けられている。このため、複数枚の第1伝熱板1Fおよび第2伝熱板2Fが積層されたときに、第1伝熱板1Fの第1表側凸部14により、第2伝熱板2Fの第2裏側凸部25を確実に支えることができる。これにより、第2波形形状部21の変形を抑制することができるとともに、第2裏側凸部25が第1表側流路11a内に落ち込むことを抑制できるため、第1部分流路31および第4部分流路41が塞がったり開きすぎたりすることを抑制できる。したがって、複数の第1部分流路31ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるとともに、複数の第4部分流路41ごとの圧力損失のバラツキを抑制できるため、熱交換素子100Fの熱交換効率を向上させることができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、第1裏側突出部17を、第1裏側凸部15の流路幅方向の両端部に設けた例を図示したが、第1裏側突出部17を、第1裏側凸部15の流路幅方向の両端部のうち少なくとも一方の端部に設け、他方の端部をフラットにしてもよい。このようにすると、第1裏側突出部17により第1裏側凸部15の落ち込みを抑制することができるとともに、第1裏側凸部15の流路幅方向の他方の端部に第1裏側突出部17がないため第1裏側流路11bにおける圧力損失を抑制できる。また、本実施の形態では、第2裏側突出部27を、第2裏側凸部25の流路幅方向の両端部に設けた例を図示したが、第2裏側突出部27を、第2裏側凸部25の流路幅方向の両端部のうち少なくとも一方の端部に設け、他方の端部をフラットにしてもよい。このようにすると、第2裏側突出部27により第2裏側凸部25の落ち込みを抑制することができるとともに、第2裏側凸部25の流路幅方向の他方の端部に第2裏側突出部27がないため第2裏側流路21bにおける圧力損失を抑制できる。
【0066】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 第1伝熱板、2,2A,2B,2C,2D,2E,2F 第2伝熱板、3 第1流路、4 第2流路、5 第1空気流、6 第2空気流、11 第1波形形状部、11a 第1表側流路、11b 第1裏側流路、12 第1ヘッダ部、12a 第1流路リブ、13 第2ヘッダ部、13a 第2流路リブ、14,14A,14B,14C,14D,14E 第1表側凸部、14a,15a,18c,19c,24a,25a,28c,29c 頂部、15 第1裏側凸部、16,16A,16B,16C,16D,16E 第1表側突出部、17 第1裏側突出部、18a,19a,28a,29a 第1傾斜部、18b,19b,28b,29b 第2傾斜部、21 第2波形形状部、21a 第2表側流路、21b 第2裏側流路、22 第3ヘッダ部、22a 第3流路リブ、23 第4ヘッダ部、23a 第4流路リブ、24,24A,24B,24C,24D,24E 第2表側凸部、25 第2裏側凸部、26,26A,26B,26C,26D,26E 第2表側突出部、27 第2裏側突出部、31 第1部分流路、32 第2部分流路、33 第3部分流路、41 第4部分流路、42 第5部分流路、43 第6部分流路、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F 熱交換素子。