(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ガスセンサを動作させ、較正する方法、及び関連するガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20231208BHJP
G01N 27/26 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G01N27/12 A
G01N27/26 381B
(21)【出願番号】P 2022523321
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020070681
(87)【国際公開番号】W WO2021081553
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519052880
【氏名又は名称】ネバダ・ナノテック・システムズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ベンジャミン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテン,ラルフ・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ハートゥン,ボーン・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヤグリオグル,オンニク
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ジェシー・ディー
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0188297(US,A1)
【文献】特表2019-528463(JP,A)
【文献】特開2003-185613(JP,A)
【文献】特表2013-541019(JP,A)
【文献】特開2014-109448(JP,A)
【文献】特開2011-133369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0293590(US,A1)
【文献】米国特許第05554273(US,A)
【文献】特開2012-177634(JP,A)
【文献】特開2008-123767(JP,A)
【文献】特開昭62-070747(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0202961(US,A1)
【文献】実開平02-120062(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - 27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスセンサを較正する方法であって、
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することと、
1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの感度を含む1つ以上の初期較正係数を判定することと、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件が前記ガスセンサの動作中に変動する間に、前記ガスセンサの応答を測定することによって、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することと、
前記ガスセンサの前記1つ以上の初期較正係数を調整することであって、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度と、
前記1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度との間の関係と、に基づいて、
前記ガスセンサの前記1つ以上の初期較正係数を調整することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することが、前記ガスセンサに近接する湿度、温度、圧力、及び
1つ以上の揮発性有機化合物の濃度のうちの1つ以上に対する前記ガスセンサの感度を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することが、所定の時間間隔で、前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
実験室における前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件
に対する前記ガスセンサの前記感度を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
実験室における前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件
に対する前記ガスセンサの前記感度を判定することが、前記ガスセンサが前記ガスセンサと関連付けられたセンサアセンブリに含まれる通信チャネルを介して使用される間に、前記ガスセンサを定期的に更新することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスセンサが曝露されるガスの総投与量に基づいて、前記1つ以上の初期較正係数を調整することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の初期較正係数を調整することが、1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度に対する、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度の変化率に基づいて、前記
1つ以上の初期較正係数を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
更に、金属酸化物半導体センサ、共振センサ、電気化学センサ、触媒センサ、熱伝導率センサ、又は光学センサのうちの少なくとも1つを備えるように前記ガスセンサを選択すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ガスセンサに近接する湿度、温度、圧力、及びガス濃度の影響に対して前記ガスセンサの出力を補償して、補償されたセンサ出力を判定することと、
前記調整された1つ以上の初期較正係数に基づいて、前記補償されたセンサ出力を調整することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することが、前記ガスセンサと一体化された湿度センサ、温度センサ、圧力センサ、及び揮発性有機化合物センサのうちの1つ以上で、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ガスセンサが、ホットプレートを備え、前記ホットプレートで温度及び湿度を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ガスセンサが、熱伝導率センサを備え、前記熱伝導率センサで、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ダイアフラムで圧力を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上の共振センサで圧力又は湿度を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの関心対象の分析物を検出するように構成されたガスセンサを
較正する方法であって、
少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在下における複数の湿度レベル、複数の温度、及び複数の圧力のうちの1つ以上で前記センサの応答を測定することによって、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することと、
湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の効果に対する前記ガスセンサの応答を、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの少なくとも1つと、現在の、前記センサに近接する前記湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上と、に基づいて補償して、前記ガスセンサの補償された応答を判定することと、
前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの感度と、湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上に対する前記ガスセンサの感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサの前記補償された応答を較正することと、
を含む、方法。
【請求項16】
湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上に対する前記ガスセンサの現在の感度に基づいて、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガスセンサの前記応答の変化を、湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上の変化に相関させて、前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在を判定することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数の追加のガスセンサからの応答の欠如に基づいて、前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在を判定することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
履歴センサ応答に基づいて、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在下における、所定量よりも大きい、前記ガスセンサの前記補償された応答を判定することに応答して、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
ガスの少なくとも1つの特性を判定する
ためのガスセンサを較正する方法であって、
湿度、温度、及び圧力の変化に対するガスセンサの応答を測定し、湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの感度を判定することと、
前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの前記感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサが少なくとも1つの関心対象の分析物に曝露されたときに、前記ガスセンサの前記応答を較正することと、
を含む、方法。
【請求項22】
湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの現在の感度に基づいて、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ガスセンサの前記応答を較正する前に、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つで前記ガスセンサの前記応答を補償して、前記ガスセンサの補償された応答を判定することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ガスセンサの前記応答を較正することが、前記ガスセンサの前記補償された応答に数学関数を適用することを含み、前記数学関数が、前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、湿度、温度、及び圧力に対する前記感度及び前記ガスセンサと、の間の前記関係に基づく較正係数を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
経過時間、履歴データの量、閾値よりも大きい補償誤差、又は前記少なくとも1つの温度補償係数、前記圧力補償係数、又は前記湿度補償係数の変化率に基づいて、前記温度補償係数、前記圧力補償係数、又は前記湿度補償係数のうちの前記少なくとも1つを定期的に調整することを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ガス検出器であって、
前記ガスセンサに近接して位置する1つ以上のガスに曝露されるように構成されたガスセンサと、
前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つを判定するように構成された少なくとも1つの環境センサと、
処理サブシステムであって、
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの感度を、前記ガスセンサの出力と前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件との間の関係に基づいて判定し、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度と、1つ以上の関心対象のガスへの曝露に対する前記ガスセンサの感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサの前記出力を較正するように構成された、処理サブシステムと、を備える、ガス検出器。
【請求項27】
前記処理サブシステムが、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つに基づいて、温度、圧力、又は湿度のうちの少なくとも1つに対して、前記ガスセンサの前記出力を補償するように更に構成されている、請求項26に記載のガス検出器。
【請求項28】
前記温度補償係数、前記圧力補償係数、及び前記湿度補償係数のうちの前記少なくとも1つが、前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つの環境変化に基づいて、経時的に調整される、請求項27に記載のガス検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、「method of calibrating and compensating a gas sensor,and related GAS sensors」に対する、2019年10月22日に出願された米国仮特許出願第62/924,576号の出願日の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、概して、センサに近接する1つ以上の条件(例えば、水蒸気(湿度)、温度、圧力、センサに近接する1つ以上のガスの濃度のうちの1つ以上)に基づいて、通常の使用及び動作中にセンサを較正及び補償する方法、及び関連するセンサに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、1つ以上の条件(例えば、水分濃度)に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、センサに近接する1つ以上の条件(例えば、水の濃度)に基づくセンサの使用及び動作中に判定された1つ以上の条件(例えば、水分濃度)に対するセンサの感度と、の間の関係に基づいてセンサを較正及び補償する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスセンサは、従来、関心対象の分析物を含む試料への曝露に応答して関心対象の分析物と相互作用するように定型化され、構成された1つ以上のコーティングを含む。例えば、金属酸化物半導体(Metal Oxide Semiconductor、MOS)センサは、関心対象の分析物と相互作用するように定型化され、構成された、曝露される金属酸化物コーティングを含み得る。金属酸化物コーティングと関心対象の分析物との相互作用に応答して、金属酸化物コーティングと関心対象の分析物との相互作用に起因して、金属酸化物コーティングの電気抵抗が変化し得る。関心対象の分析物の濃度又は存在は、例えば、参照ガス又は周囲環境に曝露されたときの金属酸化物コーティングの電気抵抗に対する金属酸化物コーティングの電気抵抗の変化に基づいて、判定される。マイクロカンチレバーセンサなどの共振センサは、経時的に(例えば、コーティングの被毒又は汚損に起因して)変化し得る吸収特性を有する酸化物又はポリマーなどのコーティングを有し得る。これらの変化は、分析物の濃度の変化に対する共振センサの感度に影響を与える。
【0004】
ガスセンサの寿命にわたって、ガスセンサは、様々な条件で様々なガス、並びに1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度の揺れに曝露され得る。多くのガスセンサの目的は、ガスセンサに近接して存在するガスの濃度を正確に報告することである。ガスセンサに近接する温度、圧力、及び湿度などの周囲条件は、ガスセンサの読み取り値の精度に影響を与え得る。湿度は、含水量が空気中で1ppm未満~数千ppmの範囲であり得、かつ多くのガスセンサが水蒸気に対して交差感度を有することから、特に懸念事項である。したがって、ガスセンサに近接する水蒸気の濃度は、ガスセンサに近接する関心対象の分析物の濃度とは無関係に、ガスセンサの出力に影響を与え得る。加えて、ガスセンサが経時するにつれて、ガスセンサは、関心対象の分析物への曝露に対して異なる感度を呈し得る。言い換えれば、関心対象の分析物と同じ濃度への曝露に対するガスセンサ(例えば、金属酸化物コーティング又は電気化学コーティングを含む)の応答は、ガスセンサの寿命にわたって異なる抵抗を呈し得る。代替的に、分析物の濃度に対する共振周波数センサの感度は、共振センサの寿命にわたって変化し得る。加えて、金属酸化物コーティングは、金属酸化物コーティングが環境内の異なるガスと反応し、相互作用する際に被毒し得る。更に、経時的に、センサ応答は、いわゆる「センサドリフト」でドリフトし得、センサの出力は、測定された特性(例えば、ガス試料中の関心対象の分析物の濃度)とは無関係にゆっくりと変化(すなわち、ドリフト)する。ガスセンサの時間、センサドリフト、経時、化学履歴、及び被毒は、ガスセンサの精度を低減させ得、そのため、ガスセンサの応答は、ガスセンサに近接する試料に存在する分析物の実際の濃度を表さないものとなる。センサドリフトは、誤った警告、不正確さをもたらし得るか、又は関心対象の分析物がガスセンサに近接して存在するときに、関心対象の分析物の検出の欠如をもたらし得る。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、ガスセンサを較正する方法及び関連するガスセンサを含む。例えば、一実施形態によれば、ガスの少なくとも1つの特性を判定する方法は、湿度に対するガスセンサの感度を判定することと、湿度に対するガスセンサの感度と少なくとも1つの関心対象の分析物に対するガスセンサの感度との間の所定の関係を使用して、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するガスセンサの少なくとも1つの記憶された較正パラメータを調整して、調整された較正パラメータを判定することと、調整された較正パラメータによってガスセンサの出力を補償することと、を含む。
【0006】
追加の実施形態では、ガスセンサを較正する方法は、ガスセンサを、既知の濃度又は測定された濃度のうちの少なくとも1つを有する水蒸気に曝露することと、ガスセンサの応答を測定して、湿気濃度の変化に曝露し、ガスセンサの応答を測定して湿気に曝露した後に、湿気への曝露に対するガスセンサの応答に基づいて、関心対象の分析物への曝露に対するガスセンサの応答に適用される較正係数を調整することと、を含む。
【0007】
更なる実施形態では、ガス検出器は、ハウジングと、ガス検出器に近接して位置する試料ガスに曝露されるように構成されたガスセンサと、ガスセンサに近接する湿気濃度を判定するように構成された少なくとも1つの環境センサと、異なる湿気濃度を有する試料への曝露に応答したガスセンサの出力に基づいて湿気への曝露に対するガスセンサの感度を判定し、湿気への曝露に対するガスセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物への曝露に対するガスセンサの感度と、の間の関係に基づいてガスセンサの応答を較正するように構成されたプロセッサと、を備える。同様の様式で、温度及び大気圧センサの感度を較正に組み込んで、センサの精度を更に高めることができる。マルチセンサシステムでは、2つ以上のセンサに対する応答を不利にする任意の環境条件への曝露に基づいて、システム内の他のセンサによってセンサを較正することができ、例えば、温度、圧力、湿度、CO、CO2の変化に対して交差感度がある任意の2つのセンサ又は任意の数の揮発性有機化合物を、補償及び較正係数を導出するために交差相関させ得る。
【0008】
更に追加の実施形態では、ガスセンサを較正する方法は、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することと、1つ以上の関心対象の分析物に対するガスセンサの感度を含む1つ以上の初期較正係数を判定することと、ガスセンサに近接する1つ以上の条件がガスセンサの動作中に変動する間に、ガスセンサの応答を測定することによって、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することと、少なくとも部分的に、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度と、1つ以上の関心対象の分析物に対するガスセンサの感度とガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度との間の関係とに基づいて、ガスセンサの1つ以上の初期較正係数を調整することと、を含む。
【0009】
更なる実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物を検出するように構成されたガスセンサを動作させる方法は、少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在下における複数の湿度レベル、複数の温度、及び複数の圧力のうちの1つ以上でセンサの応答を測定することによって、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することと、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つと、現在の、センサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上と、に基づいて、湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つの影響に対してガスセンサの応答を補償して、ガスセンサの補償された応答を判定することと、少なくとも部分的に、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するガスセンサの感度と湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上に対するガスセンサの感度との間の関係に基づいて、ガスセンサの補償された応答を較正することと、を含む。
【0010】
追加の実施形態では、ガス検出器は、ガスセンサに近接して位置する1つ以上のガスに曝露されるように構成されたガスセンサと、ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つを判定するように構成された少なくとも1つの環境センサと、処理サブシステムと、を備える。処理サブシステムは、ガスセンサの出力とガスセンサに近接する1つ以上の条件との間の関係に基づいて、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定し、かつガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度と1つ以上の関心対象のガスへの曝露に対するガスセンサの感度との間の関係に基づいて、ガスセンサの出力を較正するように構成されている。
【0011】
更なる実施形態では、ガスセンサの機能性を判定する方法は、ガスセンサの応答を測定しながら、センサでガスセンサに近接する状態を測定することと、ガスセンサに近接する測定された条件と、ガスセンサに近接する変動する条件でのガスセンサの応答と、に基づいて、ガスセンサの機能性を判定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、センサで関心対象の分析物の少なくとも1つの特性を測定する方法の簡略フロー図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、センサに近接する1つ以上のガス(関心対象の分析物以外)の湿度、温度、圧力、又は濃度のうちの1つに対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係を例示するグラフ表現である。
【
図2B】本開示の実施形態による、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度(S
(T,P,H,or C))に対する、ガスに対するセンサの感度(S
g)の比率の経時的な変化を例示するグラフ表現である。
【
図3A】本開示の実施形態による、ガスセンサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するガスセンサの感度のグラフ表現である。
【
図3B】本開示の実施形態による、ガスセンサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するガスセンサの感度のグラフ表現である。
【
図3C】本開示の実施形態による、ガスセンサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するガスセンサの感度のグラフ表現である。
【
図4A】本開示の実施形態による、時間の関数(T
0、T
1、T
2、及びT
3)としての、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するガスセンサの感度の間の相関のグラフ表現である。
【
図4B】本開示の実施形態による、時間の関数(T
0、T
1、T
2、及びT
3)としての、関心対象の分析物ガスに対するガスセンサの感度のグラフ表現である。
【
図5】本開示の実施形態による、絶対湿度(Absolute Humidity、AH)の変化及びセンサ抵抗(R
raw)の対応する変化、並びに補償されたセンサ抵抗(R
comp)を例示している。
【
図6A】本開示の実施形態による、一定期間にわたるセンサ抵抗を、対応する絶対湿度変化とともに例示している。
【
図6B】本開示の実施形態による、
図6Aから得られた絶対湿度に対してプロットされたセンサ抵抗を例示している。
【
図7】本開示の実施形態による、1つ以上のガスセンサを含む検出器の全体的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に提示される説明図は、任意の特定の材料、構成要素、又はシステムの実際の図を意味するものではなく、本開示の実施形態について記載するのに用いられる、単なる理想化された表現である。
【0014】
以下の説明は、本明細書に記載される実施形態の完全な説明を提供するために、材料タイプ、材料の厚さ、及び処理技術などの特定の詳細を提供する。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される実施形態が、これらの特定の詳細を用いることなく実施され得ることを理解するであろう。実際、実施形態は、業界で用いられる従来の製造技術と併せて実施され得る。
【0015】
本明細書に記載される実施形態によれば、センサ(例えば、現場の)の使用及び動作中にセンサ(例えば、ガスセンサ、別のセンサ)を較正及び補償する方法について記載される。この方法は、センサに近接する水蒸気曝露(すなわち、湿度に対するセンサの現在の感度)の変化に対するセンサの現在の(例えば、現時点の)感度を判定することを含む。センサに近接する湿気濃度(すなわち、湿度)は、センサに近接して位置する1つ以上の環境センサを使用して判定(例えば、測定)され得る。湿度への曝露に対するセンサの感度は、センサに近接する湿度(例えば、水蒸気濃度)をセンサの応答(例えば、既知の水分濃度を有する既知の試料に曝露されたときセンサのベースライン出力信号に対するセンサの出力信号であり、水分濃度は、センサの出力信号の変化に相関し得る)に相関させることなどによって判定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物以外の1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度が判定され得る。
【0016】
センサは、湿度の自然な変化を呈する場所に位置付けられ得る。例えば、周囲条件の空気は、約100ppm未満~約10,000ppmの水蒸気の範囲の水蒸気濃度を呈し得る。1日を通して、温度、圧力、及び湿度の日変動に起因して、空気中の水蒸気の濃度は、数千ppmだけ変動し得る。加えて、センサは、様々な濃度の1つ以上のガス(例えば、二酸化炭素、一酸化炭素、1つ以上の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound、VOC)(例えば、光化学反応で沈殿する、一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸、金属炭化物又は炭酸塩、及び炭酸アンモニウム、を除く炭素の化合物)に曝露され得る。よって、センサは、1つ以上の条件の日変動を呈する場所に位置付けられ得る。日変動を呈する1つ以上の条件は、センサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上を含み得る。水分濃度に対するセンサの感度は、湿度の自然変動を呈するセンサに近接する環境からの試料への曝露に応答するセンサの出力と、センサに近接する既知の又は測定された湿度と、の関係に基づいて判定され得る。よって、湿度に対するセンサの感度(すなわち、湿度への曝露に対するセンサの感度)は、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、10、20など)の湿気濃度の各々におけるセンサのベースライン出力に対するセンサの出力の変化に基づいて判定され得る。いくつかの実施形態では、センサは、工場較正中などに、既知の濃度の水蒸気(湿度)に曝露され得る(例えば、湿度が、分析物が危険であるか、又は爆発性である場合など、より便利な較正ガスである場合)。同様に、センサは、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、及び濃度の日変化に曝露され得る。
【0017】
センサは、センサに近接する少なくとも1つの条件に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の所定の関係を呈し得る。例えば、センサは、湿度への曝露に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度(すなわち、少なくとも1つの関心対象の分析物への曝露に対するセンサの感度)と、の間の所定の関係を呈し得る。センサは、温度に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間、圧力に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの濃度に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の、所定の関係を更に呈し得る。センサは、センサに近接する1つ以上の環境条件(例えば、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上)に対するセンサの感度と、1つ以上の関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の固有の関係を呈し得る。いくつかの実施形態では、センサは、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の各々への曝露に対するセンサの感度と、各関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の固有の関係を呈し得る。いくつかの実施形態では、関係は、センサに使用される材料に依存し得、センサ(又はセンサと同様の量)が製造されるときなど、工場で判定され得る。例えば、センサのために選択された材料及びセンサの動作条件に基づいて、特定のセンサが、所定の量、割合であるか、又は1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対する特定のセンサの応答よりも大きい(又は小さい)、少なくとも1つの関心対象の分析物に応答する固有の能力を有することが、実験室試験によって判定され得る。1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度(例えば、応答)が変化する場合、少なくとも1つの関心対象の分析物の較正係数(パラメータ)が、所定の関係に基づいて調整され得る。較正係数をセンサの応答に適用して、センサによって分析された試料の正確な特性(例えば、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度)を判定し得る。よって、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度との間の所定の関係と、に基づいて判定され得る。センサの1つ以上の保存された較正係数(パラメータ)は、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの判定された感度に基づいて調整され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度は、所定の間隔(例えば、秒、分、時間、6時間ごと、12時間ごと、毎日、毎週、隔週、毎月、毎年など)で判定され得、センサは、そのような間隔で再較正され得る。別の実施形態では、所定の間隔は、メモリに記憶された履歴データ値のカウントに、又は最新の再較正から得られた測定値数のカウントに基づき得る。センサは、いくつかの実施形態では、手動で(例えば、ユーザ入力に基づいて)再較正され得る。他の実施形態では、センサは、例えば、センサに近接する1つ以上の条件に対するセンサの感度の変化に応答してセンサを再較正するように構成された処理サブシステムを含み得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「水分濃度」、「湿気濃度」、「水の濃度」、及び「湿気の濃度」という用語は、互換的に使用され、水蒸気の濃度(例えば、ppm)を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「センサ」及び「ガスセンサ」という用語は、互換的に使用される。
【0020】
本明細書で使用される場合、センサの「出力」、センサの「出力信号」、及びセンサの「応答」という用語は、互換的に使用される。センサの出力は、センサのコーティング材料の抵抗などのセンサの抵抗、センサの共振周波数、センサの抵抗の変化(ΔR)、センサのコンダクタンスの変化(ΔG)、センサの電流の変化(ΔI)、センサの共振周波数の変化(ΔF)、若しくは任意の他のセンサ出力、又はそれらの組み合わせであり得るか、又はそれに対応し得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、ガスセンサ手段の「ベースライン応答」という用語は、関心対象の分析物の非存在下において、及びベースライン湿度、温度、及び圧力で、ベースライン材料(例えば、空気などのベースラインガス)に曝露されたときのセンサの応答を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、特定の入力パラメータ(例えば、1つ以上のガス、少なくとも1つの関心対象の分析物の湿度、温度、圧力、濃度)に対するセンサの「感度」という用語は、測定されている特定の入力パラメータの単位変化当たりのセンサの出力の変化を意味し、含む。一例として、水分濃度(例えば、湿度)に対するセンサの感度は、センサが曝露される水蒸気濃度の変化当たりのセンサの出力の変化(例えば、水蒸気のppmの変化、水蒸気のモルパーセントの変化、相対湿度又は絶対湿度(g/m3)の変化当たりなど)を意味し、含む。同様に、関心対象の分析物に対するセンサの感度は、センサが曝露される関心対象の分析物の濃度の変化当たりのセンサの出力の変化を意味し、含む。「水に対するセンサの感度」、「水への曝露に対するセンサの感度」、及び「絶対湿度に対するセンサの感度」という用語は、互換的に使用される。「関心対象の分析物に対するセンサの感度」及び「関心対象の分析物への曝露に対するセンサの感度」という用語は、互換的に使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「較正」及び「補償」という用語は、個別の意味を有する。本明細書で使用される場合、センサの「補償」という用語は、センサ応答が測定される時点でセンサに近接する環境条件に基づく1つ以上の係数によるセンサの応答の調整を意味し、含み、したがって、センサ(例えば、ガス濃度及び/又は同定)によって判定される特性のより高い精度を提供する。非限定的な例として、センサ応答は、センサ応答が測定される時点でセンサに近接する1つ以上のガスの現在の温度、現在の圧力、現在の湿度、及び現在の濃度のうちの1つ以上に対して補償され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、センサの「較正」という用語は、1つ以上の関心対象の分析物に対するセンサの感度の変化に対するセンサ応答の補正を意味し、含む。したがって、本明細書で使用される場合、「較正」は、1つ以上の較正係数に、及びセンサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度と、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度との間の関係と、に基づいて、センサの出力を調整することを意味し、含む。センサ出力は、センサの現在の条件(例えば、経時)に基づいてセンサからの改善された信号を容易にするための較正されたセンサ応答を取得するためにセンサの出力に適用される、アルゴリズム、1つ以上の較正係数、ルックアップテーブル、又は別のパラメータのうちの1つ以上で較正され得る。センサ出力の較正は、1つ以上のガス及び適切なガス識別の濃度の判定を容易にし得る。センサの較正係数(例えば、較正アルゴリズム)は、センサドリフト、経時、化学曝露履歴、被毒などによって、センサの寿命にわたって変化し得る。
【0025】
センサの補償は、センサのベースライン応答の調整を含み得る。センサのベースライン応答は、関心対象の分析物がセンサに近接していない場合(例えば、センサが、ベースラインガスに、又は実質的に関心対象の分析物がない(例えば、含まない)周囲雰囲気に、曝露される場合など)の、センサ出力である。ベースライン応答は、センサに近接する(例えば、少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)ガスの温度、圧力、湿度、及び/又は濃度の変動に起因して変化し得る。別の言い方をすれば、ベースライン応答は、センサに近接するガスの温度、圧力、湿度、及び/又は濃度によって影響を受け得る。センサの補償された応答は、一般に、ガスセンサに近接するガスの温度、圧力、相対湿度、及び/又は濃度が変化している場合でも、平坦であり得る(すなわち、実質的に変化を呈しない)。言い換えれば、センサの応答は、センサの補償された応答(ガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の変化)が所定範囲内に留まる(例えば、所定変動未満を呈する)ように、ガスのそれぞれのベースライン湿度、温度、圧力、及び濃度に対するガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の変化に対して補償され得る。よって、センサの補償された応答は、センサが1つ以上の関心対象の分析物に曝露されないときに比較的(例えば、実質的に)平坦であり得る。ガスの温度、圧力、湿度、及び/又は濃度の事象(すなわち、それぞれ、ガスの温度、圧力、湿度、及び/又は濃度の変化)に時間及び持続時間で相関するセンサの平坦な応答からの偏差は、補償されたセンサ応答が、変化する環境条件に関して平坦な応答に戻るように、その特定のパラメータの補償(ガスの温度、圧力、湿度、又は濃度)を調整するべきであるという指標であり得る。センサに近接するガスの温度、圧力、相対湿度、及び/又は濃度の変化に時間及び持続時間で相関しないセンサ応答(例えば、センサの補償された応答)の変化は、補償されたセンサ応答の変化に近接する変化が、センサに近接するガスの温度、圧力、相対湿度、及び/又は濃度以外の条件の変化(例えば、ガスセンサに近接する1つ以上の関心対象の分析物(例えば、ベースライン又は参照ガスとは異なるガス)の濃度の変化など)に起因することの指標であり得る。いくつかのそのような実施形態では、補償パラメータは、1つ以上の関心対象の分析物がセンサに近接して存在するときに、補償されたセンサ応答に基づいて調整されない場合がある。マルチセンサシステムでは、様々なセンサ(例えば、分析物ガスと相互作用するように定型化され、構成されたコーティングを含むセンサ、及びコーティングされていないセンサ又は不活性コーティングを含むセンサ)の間の差動応答を使用して、センサに近接する(例えば、ガス中の)1つ以上の関心対象の分析物の存在を検出し得、1つ以上の分析物への曝露に対するセンサの応答に基づいて補償係数を調整するべきではないことを示している。
【0026】
初期(例えば、ベースライン)の較正係数、補償係数、及びセンサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの応答と、少なくとも1つの分析物に対するセンサの応答と、の間の関係は、工場でセンサが製造され、センサのメモリに記憶されるときに判定され得る。使用及び動作において、温度、圧力、及び湿度は、センサに近接する環境センサで測定され得る。温度及び湿度はまた、センサを含むシステムの一部を含んでも含む場合があるか、又は含まない場合がある、ホットプレートセンサで測定され得る。例えば、温度は、ホットプレートセンサのヒータの抵抗から直接測定され得る。湿度は、ホットプレートを使用して、ホットプレートに近接する空気の熱伝導率を測定することによって判定され得る。いくつかの実施形態では、圧力は、共鳴センサによって、又は密閉された空洞上の膜のたわみを測定することによって検出された密度から導出され得る。いくつかの実施形態では、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの濃度は、センサに近接する別のセンサで判定され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、センサ出力は、以下の式(1)に従って較正され得る:
【0028】
【数1】
式中、Cは、ガス試料中の関心対象の分析物の濃度であり、S(T,P,H,C & t)は、センサに近接する(関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、濃度の関数としての関心対象の分析物に対するガスセンサの感度の較正係数、及び時間(それぞれ、T,P,H,& t)であり、R
compは、センサの補償された応答(例えば、補償された出力抵抗)(すなわち、それぞれの補償係数に基づいて、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度に対して補償されたセンサの出力)であり、R
gは、関心対象の分析物を含むガスへの曝露に応答するガスセンサの出力抵抗(すなわち、現在のセンサ出力)である。
【0029】
図1は、本開示の実施形態による、センサ(例えば、ガスセンサ)を備えるシステムで関心対象の分析物の少なくとも1つの特性を測定する方法100の簡略フロー図である。方法100は、センサの試料セットを特徴付けること(例えば、工場で)を含む動作102を含む。センサの試料セットを特徴付けることは、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、経時的な圧力、及び濃度のうちの1つ以上などの、1つ以上のセンサに近接する1つ以上の条件に対するセンサの試料セットの1つ以上のセンサの感度を判定することと、経時的に、1つ以上の関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度を判定することと、経時的に、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度と、センサに近接する温度、圧力、湿度(例えば、絶対湿度、比較的湿度)、及び濃度のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度と、の間の相関を判定することと、を含み、動作103は、製造時に、(動作102で特徴付けられた1つ以上のセンサとは異なり得る)特定のセンサの環境補償係数及び較正(例えば、ガス較正)係数を判定することを含み、動作104は、センサの応答(例えば、出力)、並びにセンサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、絶対湿度)、温度、圧力、及び濃度(H、T、P、及びC)データを含む生データをセンサから収集することを含み、動作106は、現在の補償係数を使用して、センサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度の影響に対してセンサからの生データ(例えば、センサの応答)を補償して、補償されたセンサ応答を判定することを含み、動作108は、補償されたセンサ応答及び現在の較正係数に基づいて、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度を判定することを含み、動作110は、少なくとも1つの関心対象の分析物の判定された濃度が所定値(閾値)を超える場合に、センサに近接する試料(例えば、ガス試料)の少なくとも1つの特性を出力することと、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度が所定値未満である(すなわち、分析物ガスが検出されない)場合に、所定値未満の生センサデータを、センサのメモリ内の履歴データファイルに保存することと、を含み、動作112は、1つ以上の関心対象の分析物が存在しないときに、メモリに保存された履歴データをレビューして(履歴データファイルのデータ)、補償係数の精度を判定し、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度を判定することと、現在の補償係数が適切であるかどうかを判定し、補償係数を調整すること(
図3B)と、1つ以上のガスの湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度、及びセンサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、それぞれの各関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の所定の関係に基づいて、各関心対象の分析物に対して記憶された較正係数を調整することと、を含む。
【0030】
動作102は、様々な条件(例えば、関心対象の分析物、センサドリフト、経時、化学履歴(例えば、様々な揮発性有機化合物(VOC))及び被毒)への1つ以上のセンサの曝露に基づいて、1つ以上のセンサの特性を特徴付けるために、センサのセットの1つ以上のセンサを特徴付けることを含む。1つ以上のセンサを特徴付けることは、1つ以上のガス(例えば、CO
2、CO、1つ以上のVOC)の温度、圧力、湿度、又は濃度のうちの1つ以上などの、1つ以上のセンサに近接する1つ以上の条件に対する1つ以上のセンサの感度を経時的に判定することと、経時的に、1つ以上の関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度を判定することと、同じ期間にわたって、少なくとも1つの関心対象の分析物(例えば、ガス)に対する1つ以上のセンサ(例えば、1つ以上のガスセンサ)の感度と、1つ以上の条件に対する1つ以上のセンサの感度と、の間の相関を判定することと、を含む。この期間にわたって1つ以上のセンサを特徴付けることは、使用及び動作中にセンサが経時するにつれて、温度、圧力、湿度、1つ以上のガス、少なくとも1つの関心対象の分析物、及び少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、湿度、温度、圧力、及び1つ以上のガスのうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の相関、のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度を判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、動作102は、判定された感度に基づいて、センサの初期の補償係数及び較正係数を判定することを更に含み得る。初期補償係数は、同じ試料であるが、異なる温度、異なる圧力、又は異なる絶対湿度のうちの1つ以上にある試料(例えば、参照ガス、較正ガスなどのガス)への曝露に応答して、センサの補償された出力が実質的に一定のままである(例えば、
図5を参照して記載されるように、所定量未満の変化割合を呈する、所定範囲の値内である)ように設定され得る。本明細書に記載されるように、1つ以上のセンサは、例えば、金属酸化物半導体(MOS)センサ、マイクロホットプレートセンサ、共振センサ(例えば、マイクロカンチレバーセンサ)、電気化学センサ、ポリマーセンサ、光学センサ、別のセンサ、又はそれらの組み合わせを含むガスセンサを含み得る。初期較正係数は、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度に基づき得る。センサは、米国特許出願第2018/0052124号に記載されたセンサのうちの1つ以上を含み得、その開示全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
温度、圧力、湿度(例えば、水)と、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスに対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の相関(例えば、関係)は、実験室(例えば、工場)で判定され得る。相関関係は、各関心対象の分析物に対して判定され得る。言い換えれば、異なる分析物は、経時的な温度、圧力、湿度、又は1つ以上のガスに対するセンサの感度(
図4A)と、経時的な特定の関心対象の分析物に対するセンサの感度(
図4B)と、の間の異なる関係を呈し得る。いくつかの実施形態では、相関は、各センサに対して判定され、各センサは、固有の相関を呈し得る。他の実施形態では、相関は、例えば、同じ組成物(例えば、金属酸化物コーティング材料、触媒材料、又は他のコーティング材料)を有し、かつセンサの製造バッチ内の他のセンサとして構成する(例えば、熱質量)1つ以上の代表的なセンサで判定される。いくつかの実施形態では、異なる組成物(例えば、異なる金属酸化物コーティング材料)を含むセンサは、異なる相関を呈し得る。動作102は、製品製造前に特定のセンサタイプに対して1回実行され得る。他の実施形態では、長期間にわたって特性データを収集することが望ましい場合があることから、1つ以上のセンサは、例えば、通信ポート718(
図7)を介して更新され、かつ新しい特性データを組み込むように構成され得、これにより、1つ以上のセンサが使用されている場合に、センサの特性データのダウンロード及び特徴付けが容易になり得る。いくつかの実施形態では、動作102は、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する較正なしにガスセンサの生産を容易にし得る。言い換えれば、本明細書に記載するように、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、湿度、温度、圧力、及び1つ以上のガスのうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の関係を使用して、(較正のための少なくとも1つの関心対象の分析物の既知の濃度へのセンサの曝露とは対照的に)この関係と湿度、温度、圧力、及び1つ以上のガスのうちの1つ以上に対するセンサの初期感度とに基づいて、センサを較正し得る。例えば、湿度に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物(例えば、ガス)に対するセンサの感度と、の間の関係が確立される場合、センサの湿度応答(例えば、湿度に対するセンサの感度)を使用して、センサを特定の関心対象の分析物に曝露させる必要性なしに、少なくとも1つの関心対象の分析物(例えば、ガス)に対する初期較正係数を確立し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度を判定することは、1つ以上のセンサが様々な時間にベースライン試料(例えば、少なくとも1つの関心対象の分析物を含まない)に曝露される場合、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上を変動させながら、1つ以上のセンサの応答を測定することを含む。例えば、
図4Aを参照すると、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度は、時間T
0、T
1、T
2、及びT
3(これらは、1つ以上のセンサの経時の様々な段階に対応し得る)で判定され得る。各時間T
0、T
1、T
2、及びT
3での1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度は、湿度、温度、圧力、又はガス濃度のそれぞれのものに対するセンサ応答の曲線の傾き(例えば、線)として、又は湿度、温度、圧力、及びガス濃度のうちの1つ以上の関数である方程式として、表され得る。
【0033】
他の実施形態では、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度とセンサの出力(それぞれ、温度、圧力、湿度、又は1つ以上のガスの濃度に対するセンサの感度)との関係は、非線形方程式として表され得る。例えば、いくつかの実施形態では、関係は、非線形方程式として表され、センサ応答の程度は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度の増加とともに減少する。言い換えると、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の増加とともに、センサ応答の大きさの増加率は、減少し得る。いくつかのそのような実施形態では、センサは、MOSセンサを備え得る。いくつかの実施形態では、湿度、温度、及び圧力に対するセンサの感度は、例えばS=1/X+Aなどの、方程式で表され得、式中、Sは、感度であり、Xは、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度であり、Aは、ゼロを含む数であり、正又は負であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上の条件(例えば、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上)に対する1つ以上のセンサの感度は、1つ以上のセンサに近接する関心対象の分析物の無視できるか又は一定の濃度(例えば、約1ppm未満、約0ppmなど)を維持し、かつ1つ以上のセンサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上の変化に応答する1つ以上のセンサの出力(例えば、ベースライン抵抗に対する抵抗の変化(ΔR)、コンダクタンスの変化(ΔG)、共振周波数の変化、電圧の変化、電流の変化など)を測定することによって、判定され得る。
図3Aは、較正に使用されるパラメータを確立するために実験室でシミュレートされ得る周囲雰囲気中(例えば、関心対象物の存在の外)でセンサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度を例示するグラフ表現である。センサの出力(例えば、ガスセンサの抵抗、ガスセンサの共振周波数の変化、ガスセンサの電圧の変化、ガスセンサの電流の変化、ガスセンサのコンダクタンスの変化)は、センサの電極などで測定され得る。センサの出力(例えば、センサの抵抗の対数など)は、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対してプロットされ得る。ガスの温度、圧力、湿度、又は濃度とセンサの出力との関係が、判定され得、矢印302によって示されるように、傾き、x交差、及びy交差を有する線として表され、ガスの温度、圧力、湿度(例えば、水分)に対するセンサの感度は、例示される線の傾きとして表される。
図3Aを引き続き参照すると、センサの応答は、(現場データに由来して)ガスの温度、圧力、湿度、及び濃度が変動する間、センサに近接するガスの存在によって引き起こされ得るバックグラウンドノイズを呈し得る。そのようなバックグラウンドノイズは、センサの応答を平均化するか、又はローパスフィルタリングすることによって、除去され得る。
図3Aに示される干渉ガスによって引き起こされる外れ値の点又はノイズを除去して、ガスの温度、圧力、湿度、又は濃度のみに対するセンサの応答の精度を増加させ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上の条件(例えば、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度(水分濃度)、及び/又は濃度のうちの1つ以上)に対するセンサの感度を判定することは、センサの出力の短期変動を除去するために、センサの出力をローパスフィルタリング又は平均化するなど、当技術分野で知られているような信号処理又は調整を含み得る。例えば、
図3Aを参照すると、センサノイズの結果としての短期センサ変動、又は周囲環境内の他のガスへの応答が、ライン302上に重ね合わされて例示されている。そのような短期変動は、測定中に存在する干渉分析物の存在に起因し得る。平均化又はローパスフィルタリングは、短期変動の影響を除去又は低減し得、センサの信号対ノイズ比を増加させ得る。例えば、回帰分析を使用して、センサ出力に近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度のうちの1つ以上とセンサ出力との間の基礎となる関係を判定し得る。いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度のうちの1つ以上に対する感度は、1つ以上の関心対象の分析物が存在せず、かつ環境条件の変化がある場合に判定される。他の実施形態では、センサで取得されたデータは、関心対象の分析物に曝露されず、センサが関心対象の分析物に曝露されたときに取得されたデータを一緒に使用して、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの感度を判定し得る。センサ応答のノイズは、
図3Cに示されるように、センサが応答する微量のガス(揮発性有機化合物など)の存在によって引き起こされ得る。この例では、
図3Cに示されるように、センサの最小応答を平均化することによって、応答のより正確な傾きが取得され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、水分(湿気)の濃度、又は濃度の対数は、センサによって測定された抵抗の対数との線形関係を呈し得る。しかしながら、本開示は、そのようには限定されず、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度は、線形以外であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度を判定することは、1つ以上のセンサに近接する少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度を変動させながら、1つ以上のセンサの応答を測定することを含む。例えば、
図4Bを参照すると、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度は、T
0、T
1、T
2、及びT
3(例えば、
図4Aを参照して上述した同じ時間T
0、T
1、T
2、及びT
3に対応する)で判定され得る。各時間T
0、T
1、T
2、及びT
3における少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度は、曲線の傾き(例えば、線)として、又は少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度の関数である方程式として表され得る。
【0038】
よって、いくつかの実施形態では、関心対象の分析物への曝露に対するセンサの感度は、
図4Bと同様の、関心対象の分析物の濃度とセンサの出力(例えば、抵抗)との間の関係を示す線の傾き(又は傾きの絶対値)に対応し得、x軸は、関心対象の分析物の濃度の対数であり、y軸は、センサの出力の対数である。
【0039】
引き続き
図1を参照すると、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対する1つ以上のセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度と、の間の関係を判定することは、例えば、1つ以上の関心対象の分析物に対する1つ以上のセンサの感度を、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度のうちの1つ以上の関数として判定することを含む。例えば、
図2Aは、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度(それぞれ、S
H、S
T、S
P、S
C)と、少なくとも1つの関心対象の分析物(例えば、ガス)に対するセンサの感度(S
g)と、の間の関係のグラフ表現である。比率は、任意の特定の点における曲線の傾きに対応する。言い換えれば、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの所与の感度について、比率は、少なくとも1つの関心対象の分析物(例えば、ガス)に対するセンサの対応する感度を、湿度、温度、及び圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度によって除算したものに対応し得る。
図2Aでは、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上に対するセンサの感度は、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度に対してグラフ化され得る。湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度は、上述したように(例えば、
図3A~
図3C及び
図4Aに関して)判定され得る。湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度の各値について、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度は、上述したように(例えば、例えば
図4Bに関して)判定され得る。
【0040】
図2Bは、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサ感度に対する、少なくとも1つの分析物(例えば、ガス)に対するセンサ感度の比率がどのように経時的に変動し得るかのグラフ表現である。曲線202は、(
図4Aを参照して図示され、記載されるように)センサに近接するガスに分析物が存在しない場合に、経時的に(T
0、T
1、T
2、T
3)、温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの応答を測定(例えば、監視)し、かつ(
図4Bを参照して図示され、記載されるように)同じ期間にわたって(T
0、T
1、T
2、T
3)、関心対象の分析物ガスに対するセンサの応答を測定することによって、導出され得る。曲線202の点は、所与の時間における同じ持続時間にわたる、温度、圧力、湿度、及び濃度のうちの1つ以上の変化に対するセンサの応答に対する、関心対象の分析物への曝露に対するセンサの応答の比率を表す。例えば、曲線202上の各点は、
図2Aに例示される関係を表し、曲線202は、数期間にわたる関係を表す。いくつかの実施形態では、応答中の分析物(例えば、ガス)を有さない同等の信号を、分析物(例えば、ガス)の存在に起因する信号の部分を減算することによって取得することができる。
【0041】
図2Bを引き続き参照すると、曲線204は、揮発性有機化合物(VOC)(例えば、VOCppm・時間)、既知の被毒ガス、及び様々な環境条件(例えば、
oK・時間、キロパスカル・時間)などの多様なガスへのセンサの曝露履歴の関数などの、センサの経時の関数として導出され得る。センサの曝露履歴は、様々なガスへのピーク曝露濃度、平均曝露濃度、及び総投与量曝露(例えば、ppm・時間)を含むことができる。いくつかの実施形態では、比率S
g/S(
T,P,H,or C)は、センサが経験する総投与量又は曝露に基づいて調整され得る。センサが曝露されるガスの総投与量及び環境条件に対するセンサの応答は、動作102に例示されるように、所定であり得るか、又は工場で特徴付けられ得る。これらの応答はまた、通信ポート718を介して現場のユニットに定期的に更新され得る(
図7)。いくつかの実施形態では、曲線204は、各センサが変動するレベルの経時(例えば、様々なレベルの毒ガス)に曝露されるいくつかのセンサで、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の関係を特徴付けることによって、導出され得る。特定の量の経時に曝露された各センサは、特定の曲線204に対応し得る。いくつかの実施形態では、センサの処理サブシステムは、センサの経時に基づいて、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の適切な関係を使用するように構成されている。
【0042】
図2Aは、温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係を例示し、かつ
図2Bは、グラフで経時的に、温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係を例示しているが、他の実施形態では、関係は、ルックアップテーブルの形態であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、経時的な温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの所与の感度について、ルックアップテーブルは、経時的に、関心対象の分析物に対するセンサの感度の対応する値(例えば、係数)を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係は、数学方程式の形態であり得る。非限定的な例として、いくつかのそのような実施形態では、センサに近接する1つ以上のガスのセンサ湿度、温度、圧力、及び濃度の感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係(
図2Aの曲線として例示され、
図2Bのy軸によって例示される)は、数学公式として表され得る。関係は、センサが様々な試料に曝露された時間と、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度との、一方又は両方に基づいて判定され得る。非限定的な一例として、関係は、S
g=B*S
Xとして表され得、式中、Sgは、上述したものと同じであり、S
Xは、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つに対するセンサの感度であり、Bは、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度が1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度の増加とともに増加することを示す係数(例えば、数などの乗算係数)である。別の非限定的な例として、いくつかの実施形態では、関係は、S
g=S
X
(1-C)として表され得、式中、S
g及びS
Xは、前のものと同じであり、Cは、係数である。
【0044】
図2Bを参照すると、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係は、温度、圧力、湿度、及び濃度に対するセンサの感度を判定し、かつ関心対象の分析物に対するセンサの感度を判定し、かつこれらの感度の比率を時間の関数としてプロットすることによって、判定され得る。例えば、
図4Aを参照すると、1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度は、複数回(例えば、時間T
0、時間T
1、時間T
2、時間T
3など)、上述したように、そのような時間に異なる環境条件への曝露に対するセンサの応答を測定することによって、判定され得る。各時間(例えば、時間T
0、時間T
1、時間T
2、時間T
3など)は、センサによって複数の測定が行われる持続時間を表し得る。同様に、
図4Bを参照すると、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度は、複数回(例えば、時間T
0、時間T
1、時間T
2、時間T
3など)、判定され得、これらは、少なくとも1つの関心対象の分析物の異なる濃度への曝露に対するセンサの応答を測定することによって、温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度を判定することを参照して上述したものと、同じ時間(例えば、持続時間)であり得る。言い換えれば、
図4Aは、x軸上の(関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対してy軸上にセンサ応答をグラフ化し、
図4Bは、y軸上のセンサ応答(すなわち、
図4Aの同じセンサ応答)とx軸上の関心対象の分析物の濃度とをグラフ化している。所与の時間における湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度に対する、関心対象の分析物に対するセンサの感度の比率は、
図2Aの曲線として、及び
図2Bの点として表されている。例えば、時間Tで
0、
図4AでT
0と標記された線の傾きは、T
0に対応する時間において
図2Bに例示される相関の点のx値であり、対応するy値は、
図4BでT
0と標記された(又は時間T
0直後の時間における)線の傾きである。言い換えれば、時間T
0で、時間T
0に対応する
図2Bの曲線202、204のうちの1つの上の点のy値は、
図4BでT
0と標記された線の傾きを
図4AでT
0と標記された線の傾きで除算したものである。温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の両方を測定して、
図2Bの別の点を生成するプロセスを十分な回数繰り返して、温度、圧力、湿度、及び濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係(相関)を時間の関数として生成し得る。各T
0、T
1、T
2、及びT
3間の時間差は、日、週、月、又は年であり得、センサの異なるレベルの経時を表し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度もうちの1つ以上に対するセンサの感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の関係は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、濃度、及び少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度のうちの1つ以上のある範囲にわたって線形ではなく、関係は、方程式として表され得る。例えば、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度は、第1の方程式として表され得る。同様に、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度は、第2の方程式として表され得る。感度間の関係は、第2の方程式の導関数に対する第1の方程式の導関数として表され得る。言い換えれば、
図4B及び
図4Aの曲線の各点におけるセンサの局所感度(又は傾き)は、それぞれの第1の方程式の導関数及び第2の方程式の導関数として表され得る。更に他の実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物と1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上との各々に対するセンサの平均感度は、感度曲線をボックスカーアベレージングすることなどによって平均化され得る。更なる実施形態では、非線形感度は、(例えば、
図4A及び
図4Bに例示されるように)線形関係で近似され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、プロセスを、
図2Bに例示される関係を判定するのに十分なデータを生成するために、毎日、毎月、又は数年にわたって繰り返すことができる。それゆえ、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度と分析物に対するセンサの感度との関係が確立され、その後、本明細書に記載するように、ガスの温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度に基づいて分析物に対するセンサ応答を較正するために使用され得る。関心対象の分析物に対するセンサの最新の感度は、センサを較正するために工場で判定され得、初期較正係数に対応し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物への曝露に対するセンサの感度は、センサに近接する所定濃度の湿度(約0ppm、約10ppm未満、約100ppm未満、約500ppm未満、約1,000ppm未満などの水分)を維持し、かつ出力(例えば、所定濃度の湿度での関心対象の分析物に対するセンサの感度を判定するための関心対象の分析物の濃度の変化に応答するセンサの、ベースライン抵抗に対する抵抗の変化(ΔR)などの抵抗、コンダクタンスの変化(ΔG)、共振周波数の変化(ΔF)、電圧の変化(ΔV)、電流の変化(ΔI)を測定することによって、湿度の関数として判定され得る。いくつかの実施形態では、湿度の濃度は、約10ppm未満又は約0ppmなど、無視可能であり得る。他の実施形態では、湿度の濃度は、約1,000ppm超、約2,000ppm超、約5,000ppm超、又は更には約10,000ppm超であり得る。いくつかの湿度レベルで少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度を判定することは、センサに近接する湿度に対するセンサ応答を較正することを容易にし得る。別の言い方をすれば、少なくとも1つの関心対象の分析物への曝露に対するセンサの応答は、センサが少なくとも1つの関心対象の分析物に曝露されたときの、センサに近接する湿度レベルに依存し得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度は、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度だけでなく、センサ応答が測定されるバックグラウンド湿度にも依存し得る。変動する湿度レベルでの少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度を判定することは、センサの応答の改善された較正を容易にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、センサの応答は、センサが少なくとも1つの関心対象の分析物に曝露されたときに測定された湿度レベルに基づいて、異なって(例えば、異なる数学公式で、異なる較正係数で、異なるオフセットで)較正され得る。湿度の正常な日々の変動は、本明細書に記載するように、関心対象の分析物(較正係数)に対するセンサの感度を調整するために使用され得る変動させたセンサ応答を提供する。工場較正の一環などのいくつかの実施形態では、湿度は、較正ガスとして意図的に適用され得る。
【0048】
図1を参照すると、動作103は、製造時に特定の(例えば、新しい)センサの初期の環境補償係数及び較正係数(例えば、ガス較正係数)を判定することを含む。本明細書に記載するように、初期環境補償係数及び初期較正係数は、センサの使用及び動作中にセンサ応答を較正し、補償するための動作112を介して、動作104の反復的な更新プロセスの前の開始点を確立する。いくつかの実施形態では、センサ特性データが補償及び較正係数を初期化するのに十分である場合、動作103は、省略される。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、動作102は、センサの初期の環境補償係数及び較正係数を判定することを含み得る(初期の環境補償係数及び較正係数が特定のセンサごとに判定されないように)。例えば、(少なくとも1つの対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの初期感度と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度との間の既知の関係と、を使用して、初期較正係数を判定し得る。他の実施形態では、水蒸気を較正ガスとして使用して、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と湿度に対するセンサの感度との間の既知の関係に基づいて、初期較正係数を判定し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、動作103は、(少なくとも1つの対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度の各々に対する初期環境補償係数、並びにセンサが製造された時点でのガス較正係数を判定することを更に含む。各パラメータに対する補償係数を判定することは、センサに近接する組成物(例えば、関心対象の分析物が実質的にない周囲ガス)を維持し、センサの出力を測定しながらセンサに近接する特定のパラメータ(例えば、温度、圧力、湿度、及びガス濃度のうちの1つ)を変化させることを含み得る。例えば、温度に対する補償係数を判定するために、センサを、参照ガス(例えば、周囲ガス)に曝露し得、センサの応答が測定される間、センサに近接する温度を変化させ得る。温度補償係数を、温度補償係数とセンサの応答との間の関係がセンサの補償された応答をもたらすように導出し得、センサの補償された応答は、センサに近接する温度が(センサに近接する、組成、圧力、及び湿度などの他の条件が実質的に一定のままでありながら)変化するときに、実質的に一定(すなわち、約プラスマイナス約5%未満などの、所定範囲内)である。別の言い方をすれば、温度補償係数は、センサの応答が温度補償係数で補償されて、センサの補償された応答をもたらし、センサの補償された応答が、センサが変化する温度に曝露されたときに実質的に一定のままであり得るように、判定され得る。いくつかの実施形態では、湿度、温度、及び圧力に対する補償係数は、湿度、温度、及び圧力のうちのそれぞれ1つに対するセンサの感度とは異なる。いくつかの実施形態では、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上に対するセンサの感度を使用して、例えば、アルゴリズム論理、方程式、又は他の関係を使用して、それぞれ湿度、温度、及び圧力の影響に対しセンサを補償し得る。
【0050】
圧力の補償係数を判定するために、センサを参照(例えば、周囲ガス)に曝露して、センサの応答を測定しながら圧力を変化させ得る。圧力補償係数を、圧力補償係数とセンサの応答との間の関係がセンサの補償された応答をもたらすように導出し得、センサの補償された応答は、センサに近接する圧力が変化するときに実質的に一定(すなわち、約プラスマイナス約5%未満などの所定範囲内)である。
【0051】
湿度の補償係数を判定するために、センサを参照ガス(例えば、周囲ガス)に曝露して、センサの応答が測定される間、湿度を変化させ得る。湿度補償係数を、湿度補償係数とセンサの応答との間の関係がセンサの補償された出力をもたらすように導出し得、ガスセンサの補償された応答は、センサに近接する湿度が変化するときに実質的に一定である(すなわち、約プラスマイナス約5%未満などの所定範囲内)である。
【0052】
(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)ガスの濃度に対する補償係数を判定するために、センサを、参照ガス(例えば、ベースライン湿度、温度、及び圧力を有する周囲ガス)に曝露し得、センサの応答が測定される間、ガスの濃度を変化させ得る。濃度補償係数を、濃度補償係数とセンサの応答との間の関係がセンサの補償された出力をもたらすように導出し得、ガスセンサの補償された応答は、センサに近接するガスの濃度が変化するときに実質的に一定である(すなわち、約プラスマイナス約5%未満などの所定範囲内)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、湿度、温度、圧力、及びガス濃度の各々に対する補償係数は、線形回帰、又はそれぞれの補償係数の変化に基づいて、センサの補償された応答を所定範囲内になるように適合させる別の方法を使用して判定され得る。
【0054】
例えば、
図5は、絶対湿度(AH)、生センサデータ(R
raw)(センサの未補償かつ未較正の応答)、及び補償されたセンサデータ(R
comp)間の関係の簡略説明図である。この説明図のR
compプロットは、他のガスが存在しない場合の湿度変化に応答した補償誤差を示す。湿度に対する補償係数の精度が、
図5に例示される関係を使用して判定され得る。言い換えれば、補償されたセンサデータ(R
comp)は、センサが関心対象の任意のVOC又は分析物に曝露されない(すなわち、関心対象の分析物が存在しない)場合、湿度が変化しても、比較的平坦になるように調整され得る。同様に、(少なくとも1つの関心対象の分析物以外のガスに対する)温度、圧力、及びガス濃度に対する現在の補償係数は、同様の様式で調整され得る。
図5に示されるような補償誤差の存在をトリガとして使用して、動作112を参照して記載したように、補償係数の調整を実行することができる。
【0055】
図1を引き続き参照すると、動作104は、センサに近接する(少なくとも1つの分析物以外の)1つ以上のガスのセンサ応答、温度、圧力、湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、及び濃度のデータを含む、センサから生データを収集することを含む。動作104は、センサから、及び1つ以上の環境センサから生データを収集すること(例えば、R
raw)を含み得る。センサ及び環境センサを試料に曝露し得、センサの出力信号を収集し得る。生データは、試料への曝露に応答するセンサの出力信号(すなわち、応答)であり得る。試料は、センサの場所に近接する雰囲気からの試料であり得る。動作104は、センサの応答を測定し、かつセンサに近接する温度、圧力、及び相対湿度を測定することによって、センサを含むシステムから生データを収集することを含み得る。温度、圧力、及び相対湿度は、例えば、センサに近接する環境センサで測定され得る。センサの応答を測定することは、センサの抵抗変化を測定することを含み得る。他の実施形態では、センサの応答を測定することは、センサの共振パラメータ(例えば、共振周波数)を測定することを含み得る。
【0056】
所与の時間におけるセンサに近接する水蒸気の濃度(例えば、湿度)は、例えば、センサに近接して位置する1つ以上の環境センサで判定され得る。非限定的な例として、センサに近接する湿度(例えば、水分濃度)は、絶対湿度を測定するように構成された湿度センサで判定され得る。他の実施形態では、センサに近接する温度、圧力、及び相対湿度は、センサに近接する温度センサ、圧力センサ、及び相対湿度センサなどで測定され得る。センサに近接する水分の濃度(湿度)は、温度、圧力、及び相対湿度を絶対湿度に相関させる数学方程式を使用して、センサに近接する現在の温度、圧力、及び相対湿度に基づいて判定され得る。いくつかの実施形態では、温度及び湿度は、ガスセンサを含むシステムの一部を含む場合があるか、又は含まない場合がある、ホットプレートセンサで測定され得る。非限定的な例として、温度を、ホットプレートセンサのヒータの抵抗から直接測定することができる。湿度は、ホットプレートで周囲空気の熱伝導率を測定することによって測定され得る。共振センサによって検出された密度又は粘性減衰から、又は密封された空洞を覆うダイアフラムの偏向を測定することによって、圧力を導出し得る。いくつかの実施形態では、(少なくとも1つの対象の分析物以外の)センサに近接する1つ以上のガスの濃度は、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度を測定するためのセンサに近接する1つ以上の追加のガスセンサで測定され得る。いくつかの実施形態では、センサに加えて、単一のシリコンダイは、温度及び湿度を判定するためのホットプレートセンサの各々と、圧力を判定するための密閉された空洞を覆う共振センサ及び/又はダイアフラムのうちの1つを含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、湿気の濃度、及び濃度のうちの1つ以上は、約1時間ごと、約30分ごと、約15分ごと、約5分ごと、約1分ごと、約30秒ごと、約5秒ごと、約2秒ごと、約1秒ごと、又は別の間隔などの、定期的な間隔で測定され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のガスの温度、圧力、湿気の濃度、及び濃度のうちの1つ以上は、約2秒ごとに判定される。しかしながら、本開示はそのようには限定されず、そのような特性は、異なる間隔で判定され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のガスの温度、圧力、湿気の濃度、及び濃度のうちの1つ以上は、均等に離間していなくてもよいランダムな間隔で測定される。センサの抵抗変化(ΔR)、コンダクタンスの変化(ΔG)、センサの共振周波数の変化(ΔF)、センサの電圧の変化(ΔV)、又はセンサの電流の変化(ΔV)は、1つ以上のガスの温度、圧力、湿気の濃度、及び濃度のうちの1つ以上が判定されるたびに計算されて、1つ以上のガスの温度、圧力、湿気の濃度、又は濃度のうちのそれぞれの1つ以上に対するセンサの現在の感度を判定し得る。
【0058】
動作106は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度の各々に対する現在の(例えば、最新の)補償係数を使用して、センサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、相対湿度)、温度、圧力、又は濃度の影響に対して生データを補償して、補償されたセンサ応答を判定することを含む。生データを補償することは、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び/又は濃度の変化に関して、センサに近接する周囲ガスに曝露されたときに、補償されたセンサ応答が実質的に一定のままになるように、生データを調整することを含み得る。いくつかの実施形態では、生データは、(動作102中に判定される)初期補償係数で補償され得る。他の実施形態では、本明細書に記載するように、生データは、1つ以上の調整された補償係数で補償され得る。
【0059】
センサ出力が(センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の)環境効果に対するセンサ出力の補償の一般化された数学公式の一実施形態が、以下の式(2)に示され:
【0060】
【数2】
式中、R
compは、センサの補償された出力であり、R
rawは、生センサ出力であり、AH
nは、現在測定されている絶対湿度であり、AH
0は、ベースライン又は開始絶対湿度(センサにベースラインが設けられた絶対湿度)であり、Qは、湿度補償係数であり、T
nは、現在の温であり、T
0は、ベースライン又は開始温度(センサにベースラインが設けられた温度)であり、Wは、温度補償係数であり、P
nは、現在の圧力であり、P
0は、ベースライン又は開始圧力(センサにベースラインが設けられた圧力)であり、Zは、圧力補償係数であり、C
nは、センサに近接する(VOCなどの、少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)ガスの現在の濃度であり、C
0は、ガスのベースライン濃度であり、Xは、ガス補償係数である。センサが2つ以上の追加のガスに対して補償される場合、式(2)は、センサに近接する各ガスの補償に関する追加の項を含み得る。一実施形態では、センサのベースライン抵抗は、環境要因(すなわち、所与の環境条件でのセンサのベースライン抵抗)に対して工場で較正される。例えば、R
rawは、
図3Bに例示されるようにAHの関数(例えば、湿度に対するセンサの感度)として確立され得、R
compは、数学関数又はルックアップテーブルで確立され得る。別の実施形態では、R
rawは、所与のAH、T、P、及びガス濃度に対して確立され得(すなわち、式(2)におけるAH
0、T
0、P
0、及びC
0)、湿度、温度、圧力、及びガス濃度の現在の値(すなわち、式(2)におけるAH
n、T
n、P
n、及びC
n)を式(2)で使用して、R
rawを補償し、R
compの値を判定する。この実施形態では、R
rawは、センサがオンになったときの生センサ応答又は抵抗値であり、補償された抵抗値R
compは、式(2)を使用して、R
rawと、任意の所与の時間における環境条件(例えば、AH
n、T
n、P
n、及びC
n)と、の関数として連続的に計算される。較正され、補償されたガス濃度の完全な表現は、式(2)からのR
compを式(1)に代入することによって導出され得る。いくつかの実施形態では、Q、W、Z、及びXは、(例えば、
図4Aにおけるように)湿度、温度、圧力、及びガス濃度のうちのそれぞれの1つに対するセンサの感度が線形ではない実施形態に対応し得、例えば、経験的試験を実施すること、及び指数曲線フィッティング法又は別の方法を使用することによって、それぞれの感度から導出され得る係数である。
【0061】
別の非限定的な例として、補償されたセンサ応答は、以下の式(3)に従って判定され得:
【0062】
【数3】
式中、ΔR
compは、補償されたセンサ応答であり、ΔRは、上述したものと同じであり、それぞれのセンサのベースライン抵抗、共振周波数、電圧、又は電流に対する試料への曝露に応答するガスセンサの抵抗、共振周波数、電圧、及び電流のうちの1つ以上の変化に対応し、CF
Hは、湿度補償係数であり、Hは、センサに近接する湿度(絶対湿度又は相対湿度のうちの1つ)であり、CF
Tは、温度補償係数であり、Tは、センサに近接する温度(例えば、ケルビン、摂氏、又は華氏)であり、CF
Pは、圧力補償係数であり、Pは、センサに近接する圧力(例えば、絶対圧力)であり、CF
Cは、濃度補償係数であり、Cは、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)ガスの濃度であり、w、x、y、及びzの各々は、数値定数である。いくつかの実施形態では、センサは、各追加のガスに対して式(3)と同様の項を追加することによって、センサに近接する2つ以上の追加のガスに対して補償され得る。式(3)が抵抗の変化を参照して記載されてきたが、本開示は、そのようには限定されない。他の実施形態では、補償されたセンサ応答は、センサの共振周波数の変化、センサの電圧の変化、又はセンサの電流の変化に対応し得る。いくつかの実施形態では、CF
H、CF
T、CF
P、及びCF
Cは、センサに近接する湿度、温度、圧力、及びガス濃度のうちのそれぞれ1つに対するセンサの感度に対応する。いくつかのそのような実施形態では、センサの応答と湿度、温度、圧力、及びガス濃度の各々との間の関係(例えば、湿度、温度、圧力、及びガス濃度の各々に対するセンサの感度)は、例えば、
図4Aにおけるように線形であり得る。
【0063】
式(3)はセンサ出力を補償するための特定の式であるが、本開示は、そのようには限定されず、それぞれの湿度補償係数、温度補償係数、圧力補償係数、及びガス濃度補償係数のうちの1つ以上を使用して、他の方程式に従って、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対して補償され得る。例えば、湿度補償係数、温度補償係数、圧力補償係数、及びガス濃度補償係数の各々は、湿度、温度、圧力、及びセンサに近接する1つ以上の他のガスのうちのそれぞれの1つに関連する非線形関数であり得る。本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、補償係数は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の各々に対するセンサの感度に基づいて調整され得、これにより、センサの精度が増加し得る。
【0064】
動作108は、補償されたセンサ出力及び現在の較正係数に基づいて、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度を判定することを含む。少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度は、以下の式(4)に従って判定され得:
【0065】
【数4】
式中、C
analyteは、関心対象の分析物ガスの濃度であり、ΔR
compは、補償されたセンサ応答(動作106で判定される)であり、S
0は、試料の少なくとも1つの特性(例えば、関心対象の分析物の濃度)をセンサの応答のうちの1つ、又はセンサのベースラインセンサ応答に対するセンサの応答の変化に相関させるセンサの、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の現在の関係(例えば、初期関係、又は現在の感度に基づく調整された関係)であり、S(
H,T,P,C)は、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度である。いくつかの実施形態では、S
0は、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度と、湿度、温度、圧力、及びガス濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の関係を含む。上で考察されるように、関数S
0の値は、ルックアップテーブル、1つ以上の湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するガスセンサの感度と分析物に対するガスセンサの感度との間の数学的相関、又は別の方法(例えば、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度に対応する特定の時間における、
図2Bの曲線202又は曲線204の傾き)で判定され得る。例えば、S
0は、特定の時間における曲線202又は曲線204の傾きに対応し得る。他の実施形態では、S
0は、数学方程式を含む。いくつかの実施形態では、S
0は、動作102中など、工場で判定される。他の実施形態では、S
0は、最新の較正係数であり、例えば、
図2Bから判定されるものである。言い換えれば、S
0は、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間の関係(すなわち、S
0=S
g/S
(H,T,P,C))である。よって、S
0にS
(H,T,P,C)を乗算することにより、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度(すなわち、S
g)がもたらされる。式(4)のΔR
compを、式(2)、式(3)、又は環境条件に対する任意の補償されたセンサ応答から判定されるR
compで置き換え得る。上述したように、S
0の値は、動作102中などの、センサの初期較正中に、工場で判定され得る。本明細書に記載するように、S
0の値は、センサに近接する1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの現在の感度に基づいて調整され得る。いくつかの実施形態では、式(4)を、以下の式(5)として書き換え得:
【0066】
【数5】
式中、S
gは、
図2A及び
図2Bを参照して上述したように、較正係数を含み、湿度、温度、圧力のうちの1つ以上、及び1つ以上のガスに対するセンサの現在の感度に基づいて判定される。
【0067】
動作110は、ガス試料の少なくとも1つの特性(例えば、関心対象の分析物の濃度)を出力することと、センサと関連付けられたメモリの全てのデータを保存することと、を含む。所定のガス濃度閾値を超えない結果は、履歴データファイルに保存される。言い換えれば、関心対象の分析物の存在に対応しない判定された濃度(補償され、較正された応答に基づく)は、メモリの履歴データファイルに保存され得る。履歴データファイルを使用して、センサに近接する1つ以上のガスの湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度に対するセンサの感度を判定する。ガスの存在を示す、所定値を超えるデータは、メモリの別個のデータセットに保存され得る。データは、補償されたセンサ応答、現在の較正係数、ガス試料濃度、生データ、センサに近接する1つ以上のガスの温度、圧力、相対湿度、濃度、時間情報(例えば、日付、時間、センサ動作の持続時間、センサ応答の時間)などを含み得、これらの全ては、センサと関連付けられたメモリに記憶され得る。少なくとも1つの特性は、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度、ガス試料の熱伝導率、ガス試料の組成(例えば、ガス試料の各成分のモル分率)、ガス試料の1つ以上の成分のモル分率)、又はガス試料の別の特性を含み得る。いくつかの実施形態では、データ及び補償されたセンサ応答データは、システムメモリに記憶され得る。
【0068】
図1を引き続き参照すると、動作112は、センサと関連付けられたメモリに記憶された履歴データに基づいて補償及び較正係数を更新することを含む。動作112は、(例えば、動作104~110中に取得されたデータなどの、履歴データに基づく)履歴範囲にわたって、センサに近接する(少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの温度、圧力、湿度、及び濃度に対するセンサの感度を判定することを含む。いくつかの実施形態では、履歴データは、分析物ガスが存在する試料への曝露に対するセンサの応答に対応するデータを含まない(例えば、補償されたデータが、所定値(閾値)を超える場合)。履歴データの分析は、何百、何千、又はより多くのデータサンプルを使用して、環境条件のある範囲にわたってデータ(センサ応答)を平均化することを含み得る。外れ履歴データ値(検出閾値を超えないノイズ又はバックグラウンドのガス濃度によって引き起こされ得る)を排除して、データ「平滑化」を向上させ得る。他の技術を使用して、履歴データにおける分析物ガスの欠如を判定することもできる。一実施形態では、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度の変化に対する時間を合わせたセンサの応答の相関を判定することを使用して、現在のセンサ応答が分析物の存在に起因するかどうかを判定し得る。例えば、センサ応答が、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度の変化と常に一致する場合、このことは、湿度、温度、又は圧力がセンサの応答の変化の源であるという強い指標である。1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度のいくつかの変化が正確な補償をもたらし、かつ1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度の他の変化が正確な補償をもたらさない場合、不正確な補償は、そのような時間に追加のガスが存在したという表示であり得る。更に別の例として、マルチセンサシステムでは、マルチセンサシステムのセンサのいずれも、少なくとも1つの関心対象の分析物(ベースラインガス(例えば、空気)以外の別のガス)の存在を示さない場合、このことはまた、干渉ガスが存在しないという良好な指標となろう。使用及び動作中、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、濃度、及びセンサ出力(S
out)が測定される。センサ出力を、湿度、温度、圧力、及びガス濃度に対する感度係数(S
H、S
T、S
P、及びS
C)を使用して補償して、例えば、動作106、並びに式(2)及び式(3)を参照して上述したように、センサ出力に対する湿度、温度、及び圧力の影響を排除又は低減し得る。
【0069】
動作112は、現在の補償係数が適切であるかどうかを判定することを更に含む。(
図5に示されるような)残留補償誤差が所定値(閾値)を超える場合(例えば、R
comp値が、ベースライン値から約5パーセントよりも大きく逸脱する場合)、補償係数が調整され得る。例として、R
compの値が所定値を超える(例えば、湿度補償誤差が所定値(閾値)を超える)場合、湿度補償係数は、最新の履歴データに基づいて調整され得る。(
図5を参照する)この実施例では、湿度に対するセンサの感度が変化したことから、ガス又は関心対象の分析物に対するセンサの感度は、(例えば、
図2Bに示されるように)湿度に対するセンサの感度とガス又は関心対象の分析物に対するセンサの感度との間の関係に基づく変化を呈し得る。それゆえ、較正係数は、動作102において確立された関係に従って動作112の動作b)において示されるように、かつ
図2Bに例示されるように、調整され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、動作112は、履歴データを分析して、補償及び較正係数の精度を判定することを含み得る。いくつかの実施形態では、(
図4Aを参照して上述したように)分析物が存在しないときに収集された履歴データを平均化して、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度の各々に対するセンサの感度に対応する傾きを取得し得る。判定された傾きを使用して、1つ以上のガスのそれぞれの湿度、温度、圧力、及び濃度の各々に対してセンサの補償係数を調整し得る。湿度、温度、圧力、及び1つ以上のガスに対するセンサの感度が判定されると、動作102並びに
図2A及び
図2Bを参照して上述したように、分析物ガスに対するセンサの感度を判定することができる。
【0071】
図3Bは、経時的な湿度に対するセンサの感度の変化を例示している。そのような変化は、センサの精度を維持するために、補償及び較正係数が調整され得ることを示し得る。
図3Cは、センサに近接する微量のガス又は揮発性有機化合物(VOC)によって引き起こされるセンサ応答のノイズを排除する方法を例示している。任意の干渉ガスが、センサの応答における下向きの逸脱を引き起こし得るゆえに、履歴データにおける最も正のデータポイントを使用することのみによって精度を改善し得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、動作104及び106の一方又は両方は、
図3Cに示されるように、微量ガス又は揮発性有機化合物の存在に起因して、センサの出力におけるノイズに対してセンサの出力を補正することを含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、システムは、例えば、毎秒、毎分、毎時、6時間ごと、12時間ごと、毎日、2日ごと、4日ごと、毎週、隔週、毎月、所定数月ごとなどの、所定の持続時間後に、補償係数及び較正係数の精度を判定するように較正され得る。他の実施形態では、システムは、例えば、各測定の後、約10回の測定ごとの後、約50回の測定ごとの後、約100回の測定ごとの後、約250回の測定ごとの後、約500回の測定ごとの後、約1,000回の測定ごとの後、又は約5,000回以上の測定ごとの後などの、ガスセンサによって所定回数の測定が行われ、記憶された後に、補償係数及び較正係数の精度をチェックするように構成され得る。いくつかの実施形態では、補償及び較正係数は、履歴データに検出された補償値の変化率に基づいて、調整され得る。例えば、補償値に検出された誤差は、閾値を超えない場合があるが、1つ以上の履歴値から後続の履歴値への変化は、補償値及び較正係数を調整するべきであることを示す傾向を示し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度に対するセンサの現在の感度を判定することは、例えば、式(2)に示されるように、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対してセンサの出力信号を補償することを含み得る。他の実施形態では、センサの出力は、センサが曝露される温度の変化ごとのセンサの出力の変化(すなわち、温度に対するセンサの感度と称され得るΔR/ΔT)と、センサが曝露される湿気の濃度の変化ごとのセンサの出力の変化(すなわち、ΔR/ppmH
2O)と、の間の1つ以上の既知の関係に基づいて補償され得る。例えば、
図4Aを参照すると、関係は、いくつかの個別の時間間隔についてグラフで表され得、T
0は、初期センサ応答であり、T
3は、典型的には、長期間が経過した後の最新のセンサ応答を表す。それゆえ、T
0~T
3と標記された曲線は、センサが経時的にどのように経時するかを示す。最初に、いくつかの実施形態では、関係は、実験室で判定され得る。言い換えれば、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度は、センサが経時するにつれて様々な時間に判定され得る。他の実施形態では、関係は、既知の数学方程式に基づく。他の実施形態では、曲線は、通信ポート718(
図7)を通して取得されたデータを介するなど、現場で使用及び動作中のセンサから累積され得る。
図4Aを参照すると、センサからの出力信号は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、1つ以上のガスのそれぞれの現在の湿度、温度、圧力、及び濃度と、に基づいて、補償され得る。
図4Bを参照すると、関心対象の分析物に曝露されたときのセンサからの出力信号もまた、センサが経時するにつれて、初期センサ応答(T
0)から最新のセンサ応答(T
3)へ変動し得る。言い換えれば、関心対象の分析物に対するセンサの感度(
図4B)は、1つ以上のVOCの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの感度に、時間の関数として、
図2Bに示される1つ以上のガスの絶対温度、圧力、湿度、又は濃度に対するセンサの感度に対する、少なくとも1つの分析物ガスに対するセンサに対する感度の比率によって定義される係数を乗算することによる、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの応答(
図4A)によって、調整され得る。上述したように、他の実施形態では、関心対象の分析物に対するセンサの感度は、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度と、の間のルックアップテーブル又は数学的相関に基づいて、調整され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、較正係数S
0は、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの現在の感度と、動作102で判定され、かつ
図2Bに示される、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの感度と関心対象の分析物に対するセンサの感度との間の関係と、に基づいて、調整され得る。よって、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの現在の感度を使用して、1つ以上のVOCの湿度、温度、圧力、又は濃度に対するセンサの感度と、関心対象の分析物に対するセンサの感度と、の間の所定の関係に基づいて、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの現在の感度を判定し得る。
【0075】
よって、温度、圧力、又は湿度への曝露に対するガスセンサの現在の感度に基づいて判定され得る、関心対象の分析物への曝露に対するセンサの現在の感度に基づいて、調整された較正係数が定期的に判定され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、補償係数及び較正係数が更新された後、方法100は、動作104に戻り、動作104~112を繰り返すことを含む。
【0077】
図1は、特定の順序を含むものとして記載されてきたが、本開示は、そのようには限定されない。他の実施形態では、方法100は、任意の順序で、及び
図1に示される特定の順序以外で、進行し得る。
【0078】
調整された較正係数は、関心対象の分析物の濃度を判定するために使用されるものとして記載されてきたが、他の実施形態では、調整された較正係数は、センサが曝露される試料の別の特性又は状態を判定するために使用され得る。いくつかのそのような実施形態では、調整された較正係数を使用して、センサの出力信号を調整し得、その調整された出力信号を使用して、存在するガスのタイプ(例えば、様々なガス、ガス試料の組成の同定)などの試料の少なくとも1つの特性を判定し得る。
【0079】
よって、少なくとも1つの関心対象の分析物を含むガス試料の少なくとも1つの特性を判定する方法は、センサの典型的なセンサ性能(例えば、工場特徴付け)を判定することを含む。例えば、典型的なセンサ性能を判定することは、動作102及び
図4Aを参照して上述したように、動作102及び
図4Aを参照して上述したように、ある期間(例えば、日、週、月、年間など)にわたって(例えば、少なくとも1つの関心対象の分析物以外の)1つ以上のガスの湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度を判定することと、動作102及び
図4Bを参照して上述したように、同じ期間にわたって少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサ感度の変化を判定することと、動作102及び
図1を参照して上述したように、1つ以上のガスの湿度、温度、圧力、及び濃度のうちの1つ以上に対するセンサの感度の変化と、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するセンサの感度の変化と、の間の関係を判定することと、初期の補償係数及び較正係数を判定し、保存することと、を含み得る。この方法は、センサを配備し、センサで取得されたデータを収集、記憶、及び報告することを更に含む。例えば、生データは、環境センサから収集され得(1つ以上のガスの温度、圧力、湿度(例えば、絶対湿度、相対湿度)、及び濃度のデータを含む)、データは、センサ(例えば、センサの応答)から収集され得る。センサ応答は、現在記憶されている補償係数で補償され得、補償されたセンサ応答は、現在の較正係数に基づいて較正され得る。この方法は、十分な履歴データが収集された後に、補償及び較正係数を更新することを更に含む。例えば、絶対湿度に対するセンサの現在の感度は、動作112及び
図3Bを参照して上述したように、履歴データを使用して判定され得る。この方法は、動作112及び
図5(以下に記載される)を参照して上述したように、履歴データを使用して、補償係数が温度、圧力、及び絶対湿度の影響を適切に除去されるかどうかを判定することを含む。加えて、絶対湿度に対するセンサの感度と少なくとも1つの分析物に対するセンサの感度との間の関係(動作102中に判定される)を使用して、湿度(例えば、絶対湿度)、温度、圧力、及び1つ以上のガスに対するセンサの現在の感度に基づいて、較正係数を更新し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、センサの機能性(例えば、センサが動作しているかどうか)は、少なくとも部分的に、湿度に対するセンサの感度とセンサに近接する湿度との間の関係に基づいて判定され得る。センサに近接する湿度は、環境湿度センサ又はホットプレートセンサなどで、上述したように測定され、判定され得る。
【0081】
例えば、ガスセンサに近接する湿度と湿度に対するガスセンサの感度との間の関係を使用して、ガスセンサが意図するように動作しているかどうか(例えば、ガスセンサがガスセンサに近接する湿度に曝されているかどうか)を判定し得る。例えば、湿度とガスセンサの応答(例えば、湿度に対するセンサの感度)との関係を使用して、ガスセンサが湿度を含む試料に曝露されているかどうかを判定し得る。言い換えれば、ガスセンサは、ガスセンサに近接する湿度レベルに基づく応答を呈し得、その湿度レベルは、湿度センサによって測定される。ガスセンサが湿度センサによって測定された湿度に相関する応答を呈さない場合などの、いくつかの実施形態では、ガスセンサが周囲の雰囲気に十分に曝露されておらず、ガスセンサが使用に不適であり、適切に動作していないことを示していると、判定され得る。ガスセンサは、ガスセンサの応答が測定された湿度と一致しないと判定することに応答して、ガスセンサが障害を起こしたという指標を提供するように、構成され得る。
【0082】
いくつかのそのような実施形態では、センサによって測定された湿度を使用して、適切な動作についてセンサを自己チェックし得る(例えば、センサが閉塞され、周囲環境内のガスに十分に曝露されているかどうかを判定するため)。いくつかの実施形態では、ガスセンサが曝露される湿度の日変動を使用して、いわゆる「バンプテスト」を容易にし、ガスセンサが機能的であるかどうかを判定し得る。言い換えれば、ガスセンサが曝露される湿度は、湿度センサで測定され得、測定された湿度レベルに対してガスセンサの応答をチェックして、測定された湿度レベルに基づいて、ガスセンサの応答がガスセンサの予想される応答と一致するかどうかを判定し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、センサの特性応答、若しくは応答挙動、又は湿度、温度、及び圧力に関するセンサの応答挙動は、センサが周囲環境に曝露されていないという証拠について監視され得る。例えば、センサは、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の変動を伴わずに、又は対応する持続時間にわたる履歴変動と比較して実質的に制動されている湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の変動を伴って、ある持続時間にわたって湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上を測定することに応答して、センサが周囲環境に曝露されていないと判定するための処理サブシステムを含み得る。湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上が、持続時間にわたって変動又は制動された変動を呈さないという指標は、環境ガス(例えば、湿気を含む空気)がセンサ中に又はセンサ外へ自由に流れないような、センサ内の閉塞の指標であり得る。いくつかの実施形態では、センサは、機械学習するように構成された処理サブシステムを含むか、又はある持続時間にわたるセンサ出力及び同じ持続時間にわたるセンサ出力のパターンを認識して、センサの出力が、周囲環境ガス(例えば、空気)の進入及び/又は退出の変化を示す履歴出力の出力と一致しないときを判定するための、人工知能アルゴリズムを含む。
【0084】
センサは、少なくとも1つの関心対象の分析物の少なくとも1つの特性(例えば、流れ、存在、同一性、組成、1つ以上の成分の濃度)を測定するように構成された任意のタイプのセンサを備え得る。いくつかの実施形態では、センサは、少なくとも1つの関心対象の分析物の存在を判定するように構成されており、少なくとも1つの関心対象の分析物の濃度を判定するように更に構成され得る。非限定的な例として、センサは、金属酸化物半導体(MOS)センサ、電気化学センサ、共振センサ(例えば、マイクロカンチレバーセンサ)、触媒センサ、熱伝導率センサ、ポリマーセンサ、光学センサ、又は別のセンサを備え得る。
【0085】
図6Aは、生のセンサ応答が絶対湿度変化に関して3日間にわたってどのように応答し得るかを例示している。センサ応答及び絶対湿度応答(絶対湿度センサの応答)が、同時に測定される。
図6Aは、異なるイベントが間に発生する異なる期間(T
1、T
2、T
3、T
4、T
5、T
6、及びT
7)を例示している。T
1、T
3、及びT
6中、ガスセンサに近接する揮発性有機化合物(VOC)の濃度が変化しており、センサは、変動する応答を呈する。T
2、T
4、及びT
7中、ガスセンサに近接するガス、又はガスセンサに近接する絶対湿度に、実質的な変化はない。T
5中、ガスセンサに近接する湿度が変化する一方、ガスセンサに近接するVOC濃度(又は関心対象の分析物)に実質的な変化はない。T
2、T
4、及びT
7中、ガスセンサの応答は、それぞれR1、R2、及びR3として表され、絶対湿度センサの応答は、それぞれAH1、AH2、及びAH3である。いくつかの実施形態では、これらの平坦な領域中に、湿度対センサ応答データが収集され得る。
図6Bは、ガスセンサに近接する絶対湿度の関数としてのセンサ応答を例示している。
図6Bに例示されるデータは、
図6AのR1、R2、及びR3の期間中に収集され得、これらの期間中に分析物ガスが存在しないことによる。
図6Bに例示されるように、ガスセンサの感度は、ガスセンサの初期感度に対して時間とともに変化し得る。あるいは、
図6Aに別の期間(T
5)が示されており、この場合に、センサ応答は、ΔRと標記され、絶対湿度応答は、ΔAHと標記され、絶対湿度は、比較的急速に変化しており、生センサデータは、絶対湿度変化を追跡している。いくつかの実施形態では、この期間中に、湿度対センサ応答データを収集して、湿度に対するガスセンサの現在の感度を判定し得る。
【0086】
図7は、本開示の実施形態による、1つ以上のセンサ(例えば、ガスセンサ)を含む検出器700の簡略ブロック図である。検出器700は、温度、圧力、及び/又は湿度を検出するための少なくとも1つのガスセンサ704及び少なくとも1つの環境センサ706などの1つ以上のセンサを収容するハウジング702を含む。ガスセンサ704は、本明細書に記載されるガスセンサのうちの1つ以上を含み得、少なくとも部分的に、温度、圧力又は湿度に対するガスセンサ704の感度と、関心対象の分析物への曝露に対するガスセンサ704の感度と、の間の関係に基づいて、試料の少なくとも1つの特性を判定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ガスセンサ704及び環境センサ706の各々は、同じ基板上に配設されている。
【0087】
処理サブシステム720(本明細書では「サブシステム」とも呼ばれる)は、データバス712を通して個々のセンサ704、706へと、アナログデジタル(A/D)及びデジタルアナログ(D/A)コンバータ708にインターフェース接続され得る。処理サブシステム720は、中央処理ユニット(CPU)などのプロセッサ714、メモリ716(ソフトウェア、データベース、ベースラインデータ、較正データなどを含む)、通信ポート718、及び任意選択的に、中央処理ユニット714と動作可能に通信するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)710を含み得る。通信ポート718は、1つ以上の入力デバイス及び1つ以上の出力デバイスなどの1つ以上のデバイス722と動作可能に通信し得る。通信ポート718はまた、センサが現場に配備されたときにファームウェア又はソフトウェアを更新するために使用され得る。いくつかの実施形態では、フレームアレスタ及びフィルタは、センサ704、706のいくつか又は全てと、分析されているガス試料と、の間で使用され得る。
【0088】
検出器700は、使用及び動作中、ガスセンサ704及び環境センサ706を、検出器700に近接する雰囲気を表す試料に連続的に曝露するように構成され得る。環境センサ706からの出力は、メモリ716と通信し、かつ検出器700に近接する湿気濃度を判定し得るプロセッサ714に送信され得る。プロセッサ714及びメモリ716は、ガスセンサ704が検出器700の通常動作中に曝露される様々な湿気濃度でのガスセンサ704の出力に基づいて,湿度への曝露に対するガスセンサ704の現在の感度を判定するように構成され得る。湿度に対するガスセンサ704の現在の感度を使用して、湿度に対するガスセンサ704の感度と、関心対象の分析物に対するガスセンサ704の感度と、の間の相関に基づいて、ガスセンサ704を再較正し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ714は、ガスセンサ704を定期的に(例えば、秒、分、時間、4時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、毎日、毎週など)再較正するように構成されている。更に他の実施形態では、プロセッサ714は、補償誤差があると判定した後に、ガスセンサ704を再較正するように構成されている。よって、検出器700は、検出器700及びガスセンサ704が経時するにつれて、リアルタイムでガスセンサ704を連続的に再較正するように構成され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、センサが経時するにつれて、同じ濃度の関心対象の分析物への曝露に応答するセンサの抵抗の変化が、減少し得る。言い換えれば、同じ濃度の関心対象の分析物への曝露に対するセンサの応答(例えば、信号)は、センサが経時するにつれて減少し得る。本明細書に記載される実施形態によれば、検出器は、雰囲気中のそのような条件での自然変動(例えば、日変動)中に取得された水蒸気濃度(例えば、湿度)、温度、及び/又は圧力データを使用して、湿度、温度、及び/又は圧力への曝露に対するセンサの現在の感度を判定し得る。湿度、温度、及び/又は圧力に対するセンサの感度は、1つ以上の関心対象の分析物に対するセンサの感度に比例し得る。よって、センサは、別個の較正ガスを使用することなく、又はセンサを較正するために、サービスし続けながら、定期的に較正され得る。言い換えれば、いくつかの実施形態では、センサは、ガスセンサが、通常の使用及び動作中に曝露されるか、又は、例えば、工場較正中に意図的に曝露され得る蒸気である、湿度で較正され得る。検出器が、湿気濃度の正弦波状変動を示す環境内に位置し得ることから、検出器と関連付けられたセンサは、自然に、異なる湿気濃度に曝露され得、このことにより、湿度への曝露に対するセンサの感度の判定が容易になり得る。言い換えれば、湿度に対するセンサの現在の感度を判定するために使用されるデータは、センサに近接して自然に存在し得る。
【0090】
本開示の追加の非限定的な例示的な実施形態を以下に述べる。
【0091】
実施形態1:ガスセンサを較正する方法であって、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することと、1つ以上の関心対象の分析物に対するガスセンサの感度を含む1つ以上の初期較正係数を判定することと、ガスセンサに近接する1つ以上の条件がガスセンサの動作中に変動する間に、ガスセンサの応答を測定することによって、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することと、少なくとも部分的に、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度と、1つ以上の関心対象の分析物に対するガスセンサの感度とガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度との間の関係と、に基づいて、ガスセンサの1つ以上の初期較正係数を調整することと、を含む、方法。
【0092】
実施形態2:ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することが、ガスセンサに近接する1つ以上の揮発性有機化合物の湿度、温度、圧力、及び協調のうちの1つ以上に対するガスセンサの感度を判定することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0093】
実施形態3:ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することが、所定の時間間隔で、1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することを含む、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
【0094】
実施形態4:ガスセンサの感度と実験室におけるガスセンサに近接する1つ以上の条件との間の関係を判定することを更に含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態5:ガスセンサの感度と実験室におけるガスセンサに近接する1つ以上の条件との間の関係を判定することが、ガスセンサがガスセンサと関連付けられたセンサアセンブリに含まれる通信チャネルを介して使用される間に、ガスセンサを定期的に更新することを含む、実施形態4に記載の方法。
【0096】
実施形態6:ガスセンサが曝露されるガスの総投与量に基づいて、1つ以上の初期較正係数を調整することを更に含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態7:1つ以上の初期較正係数を調整することが、1つ以上の関心対象の分析物に対するガスセンサの感度に対する、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度の変化率に基づいて、較正係数を調整することを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態8:更に、金属酸化物半導体センサ、共振センサ、電気化学センサ、触媒センサ、熱伝導率センサ、又は光学センサのうちの少なくとも1つを備えるようにガスセンサを選択することからなる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態9:ガスセンサに近接する湿度、温度、圧力、及びガス濃度の影響に対して、ガスセンサの出力を補償して、補償されたセンサ出力を判定することと、調整された1つ以上の初期較正係数に基づいて、補償されたセンサ出力を調整することと、を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態10:ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することが、ガスセンサと一体化された湿度センサ、温度センサ、圧力センサ、及び揮発性有機化合物センサのうちの1つ以上で、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの現在の感度を判定することを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態11:ガスセンサが、ホットプレートを備え、ホットプレートで温度及び湿度を判定することを更に含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態12:ガスセンサが、熱伝導率センサを備え、熱伝導率センサで、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上を判定することを更に含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態13:ダイアフラムで圧力を判定することを更に含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施形態14:1つ以上の共振センサで圧力又は湿度を判定することを更に含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態15:少なくとも1つの関心対象の分析物を検出するように構成されたガスセンサを動作させる方法であって、少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在下における複数の湿度レベル、複数の温度、及び複数の圧力のうちの1つ以上でセンサの応答を測定することによって、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することと、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つと、現在の、センサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上と、に基づいて、湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つの影響に対してガスセンサの応答を補償して、ガスセンサの補償された応答を判定することと、少なくとも部分的に、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するガスセンサの感度と湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上に対するガスセンサの感度との間の関係に基づいて、ガスセンサの補償された応答を較正することと、を含む、方法。
【0106】
実施形態16:湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上に対するガスセンサの現在の感度に基づいて、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを調整することを更に含む、実施形態15に記載の方法。
【0107】
実施形態17:ガスセンサの応答の変化を、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の変化に相関させて、少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在を判定することを更に含む、実施形態15又は実施形態16に記載の方法。
【0108】
実施形態18:複数の追加のガスセンサからの応答の欠如に基づいて、少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在を判定することを更に含む、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態19:履歴センサ応答に基づいて、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを調整することを更に含む、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態20:少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在下における、所定量よりも大きい、ガスセンサの補償された応答を判定することに応答して、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを調整することを更に含む、実施形態15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態21:ガスセンサを動作させて、ガスの少なくとも1つの特性を判定する方法であって、湿度、温度、及び圧力の変化に対するガスセンサの応答を測定し、湿度、温度、及び圧力に対するガスセンサの感度を判定することと、少なくとも部分的に、少なくとも1つの関心対象の分析物に対するガスセンサの感度と、湿度、温度、及び圧力に対するガスセンサの感度と、の間の関係に基づいて、ガスセンサが少なくとも1つの関心対象の分析物に曝露されたときに、ガスセンサの応答を較正することと、を含む、方法。
【0112】
実施形態22:湿度、温度、及び圧力に対するガスセンサの現在の感度に基づいて、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することを更に含む、実施形態21に記載の方法。
【0113】
実施形態23:ガスセンサの応答を較正する前に、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つでガスセンサの応答を補償して、ガスセンサの補償された応答を判定することを更に含む、実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0114】
実施形態24:ガスセンサの応答を較正することが、ガスセンサの補償された応答に数学関数を適用することを含み、数学関数が、少なくとも1つの関心対象に対するガスセンサの感度と、湿度、温度、及び圧力に対する感度及びガスセンサと、の間の関係に基づく較正係数を含む、実施形態23に記載の方法。
【0115】
実施形態25:経過時間、履歴データの量、閾値よりも大きい補償誤差、又は少なくとも1つの温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数の変化率に基づいて、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つを定期的に調整することを更に含む、実施形態24に記載の方法。
【0116】
実施形態26:ガス検出器であって、ガスセンサに近接して位置する1つ以上のガスに曝露されるように構成されたガスセンサと、ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つを判定するように構成された少なくとも1つの環境センサと、処理サブシステムであって、ガスセンサの出力とガスセンサに近接する1つ以上の条件との間の関係に基づいて、ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定し、かつガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度と1つ以上の関心対象のガスへの曝露に対するガスセンサの感度との間の関係に基づいて、ガスセンサの出力を較正するように構成された、処理サブシステムと、を備える、ガス検出器。
【0117】
実施形態27:処理サブシステムが、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つに基づいて、温度、圧力、又は湿度のうちの少なくとも1つに対して、ガスセンサの出力を補償するように更に構成されている、実施形態26に記載のガス検出器。
【0118】
実施形態28:温度補償係数、圧力補償係数、及び湿度補償係数のうちの少なくとも1つが、ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つの環境変化に基づいて、経時的に調整される、実施形態27に記載のガス検出器。
【0119】
実施形態29:ガスセンサの機能性を判定する方法であって、ガスセンサの応答を測定しながら、センサでガスセンサに近接する状態を測定することと、ガスセンサに近接する測定された条件と、ガスセンサに近接する変動する条件でのガスセンサの応答と、に基づいて、ガスセンサの機能性を判定することと、を含む、方法。
【0120】
実施形態30:センサでガスセンサに近接する条件を測定することが、湿度センサでガスセンサに近接する湿度を測定することを含む、実施形態29に記載の方法。
【0121】
実施形態31:条件に対するガスセンサの感度を判定することと、ガスセンサの感度を条件に相関させることと、ガスセンサの応答の変化と時間を合わせて対応しない測定された条件の変化に応答して、ガスセンサの閉塞を判定することと、を更に含む、実施形態29又は実施形態30に記載の方法。
【0122】
実施形態32:ガスセンサの機能性を判定することが、ガスセンサに近接する測定された条件に時間を合わせて相関しないガスセンサの応答に応答して、ガスセンサの閉塞を判定することを含む、実施形態29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
実施形態33:ガスセンサに近接する条件を測定することが、ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の日変動を測定することを含み、ガスセンサの機能性を判定することが、ガスセンサの応答がガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の日変動に対応する変動を呈さないと判定することに応答して、ガスセンサの閉塞を判定することを含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
本開示は、様々な修正及び代替的な形態の余地があるが、特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に記載されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本開示は、以下の添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な均等物によって定義される、本開示の範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を網羅するものである。
[発明の態様]
[1]
ガスセンサを較正する方法であって、
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することと、
1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの感度を含む1つ以上の初期較正係数を判定することと、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件が前記ガスセンサの動作中に変動する間に、前記ガスセンサの応答を測定することによって、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することと、
少なくとも部分的に、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度と、
前記1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度と、の間の関係と、に基づいて、前記ガスセンサの前記1つ以上の初期較正係数を調整することと、を含む、方法。
[2]
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対するガスセンサの感度を判定することが、湿度、温度、圧力、及び前記ガスセンサに近接する1つ以上の揮発性有機化合物の濃度のうちの1つ以上に対する前記ガスセンサの感度を判定することを含む、1に記載の方法。
[3]
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することが、所定の時間間隔で、前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度を判定することを含む、1に記載の方法。
[4]
前記ガスセンサの前記感度と実験室における前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件との間の前記関係を判定することを更に含む、1に記載の方法。
[5]
前記ガスセンサの前記感度と実験室における前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件との間の前記関係を判定することが、前記ガスセンサが前記ガスセンサと関連付けられたセンサアセンブリに含まれる通信チャネルを介して使用される間に、前記ガスセンサを定期的に更新することを含む、4に記載の方法。
[6]
前記ガスセンサが曝露されるガスの総投与量に基づいて、前記1つ以上の初期較正係数を調整することを更に含む、1に記載の方法。
[7]
前記1つ以上の初期較正係数を調整することが、1つ以上の関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度に対する、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度の変化率に基づいて、前記較正係数を調整することを含む、1に記載の方法。
[8]
更に、金属酸化物半導体センサ、共振センサ、電気化学センサ、触媒センサ、熱伝導率センサ、又は光学センサのうちの少なくとも1つを備えるように前記ガスセンサを選択することからなる、1に記載の方法。
[9]
前記ガスセンサに近接する湿度、温度、圧力、及びガス濃度の影響に対して前記ガスセンサの出力を補償して、補償されたセンサ出力を判定することと、
前記調整された1つ以上の初期較正係数に基づいて、前記補償されたセンサ出力を調整することと、を更に含む、1に記載の方法。
[10]
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの現在の感度を判定することが、前記ガスセンサと一体化された湿度センサ、温度センサ、圧力センサ、及び揮発性有機化合物センサのうちの1つ以上で、前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記現在の感度を判定することを含む、1に記載の方法。
[11]
前記ガスセンサが、ホットプレートを備え、前記ホットプレートで温度及び湿度を判定することを更に含む、1に記載の方法。
[12]
前記ガスセンサが、熱伝導率センサを備え、前記熱伝導率センサで、湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上を判定することを更に含む、1に記載の方法。
[13]
ダイアフラムで圧力を判定することを更に含む、1に記載の方法。
[14]
1つ以上の共振センサで圧力又は湿度を判定することを更に含む、1に記載の方法。
[15]
少なくとも1つの関心対象の分析物を検出するように構成されたガスセンサを動作させる方法であって、
少なくとも1つの関心対象の分析物の非存在下における複数の湿度レベル、複数の温度、及び複数の圧力のうちの1つ以上で前記センサの応答を測定することによって、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することと、
湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の効果に対する前記ガスセンサの応答を、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの少なくとも1つと、現在の、前記センサに近接する前記湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上と、に基づいて補償して、前記ガスセンサの補償された応答を判定することと、
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの感度と、湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上に対する前記ガスセンサの感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサの前記補償された応答を較正することと、を含む、方法。
[16]
湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上に対する前記ガスセンサの現在の感度に基づいて、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、15に記載の方法。
[17]
前記ガスセンサの前記応答の変化を、湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上の変化に相関させて、前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在を判定することを更に含む、15に記載の方法。
[18]
複数の追加のガスセンサからの応答の欠如に基づいて、前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在を判定することを更に含む、15に記載の方法。
[19]
履歴センサ応答に基づいて、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、15に記載の方法。
[20]
前記少なくとも1つの関心対象の分析物の前記非存在下における、所定量よりも大きい、前記ガスセンサの前記補償された応答を判定することに応答して、前記湿度補償係数、前記温度補償係数、及び前記圧力補償係数のうちの前記少なくとも1つを調整することを更に含む、15に記載の方法。
[21]
ガスセンサを動作させて、ガスの少なくとも1つの特性を判定する方法であって、
湿度、温度、及び圧力の変化に対するガスセンサの応答を測定し、湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの感度を判定することと、
少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの前記感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサが少なくとも1つの関心対象の分析物に曝露されたときに、前記ガスセンサの前記応答を較正することと、を含む、方法。
[22]
湿度、温度、及び圧力に対する前記ガスセンサの現在の感度に基づいて、湿度補償係数、温度補償係数、及び圧力補償係数のうちの少なくとも1つを判定することを更に含む、21に記載の方法。
[23]
前記ガスセンサの前記応答を較正する前に、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つで前記ガスセンサの前記応答を補償して、前記ガスセンサの補償された応答を判定することを更に含む、21に記載の方法。
[24]
前記ガスセンサの前記応答を較正することが、前記ガスセンサの前記補償された応答に数学関数を適用することを含み、前記数学関数が、前記少なくとも1つの関心対象の分析物に対する前記ガスセンサの前記感度と、湿度、温度、及び圧力に対する前記感度及び前記ガスセンサと、の間の前記関係に基づく較正係数を含む、23に記載の方法。
[25]
経過時間、履歴データの量、閾値よりも大きい補償誤差、又は前記少なくとも1つの温度補償係数、前記圧力補償係数、又は前記湿度補償係数の変化率に基づいて、前記温度補償係数、前記圧力補償係数、又は前記湿度補償係数のうちの前記少なくとも1つを定期的に調整することを更に含む、24に記載の方法。
[26]
ガス検出器であって、
前記ガスセンサに近接して位置する1つ以上のガスに曝露されるように構成されたガスセンサと、
前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つを判定するように構成された少なくとも1つの環境センサと、
処理サブシステムであって、
前記ガスセンサに近接する1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの感度を、前記ガスセンサの出力と前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件との間の関係に基づいて判定し、
前記ガスセンサに近接する前記1つ以上の条件に対する前記ガスセンサの前記感度と、1つ以上の関心対象のガスへの曝露に対する前記ガスセンサの感度と、の間の関係に基づいて、前記ガスセンサの前記出力を較正するように構成された、処理サブシステムと、を備える、ガス検出器。
[27]
前記処理サブシステムが、温度補償係数、圧力補償係数、又は湿度補償係数のうちの少なくとも1つに基づいて、温度、圧力、又は湿度のうちの少なくとも1つに対して、前記ガスセンサの前記出力を補償するように更に構成されている、26に記載のガス検出器。
[28]
前記温度補償係数、前記圧力補償係数、及び前記湿度補償係数のうちの前記少なくとも1つが、前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの少なくとも1つの環境変化に基づいて、経時的に調整される、27に記載のガス検出器。
[29]
ガスセンサの機能性を判定する方法であって、
前記ガスセンサの応答を測定しながら、センサでガスセンサに近接する条件を測定することと、
前記ガスセンサに近接する前記測定された条件と、前記ガスセンサに近接する変動する条件での前記ガスセンサの応答と、に基づいて、前記ガスセンサの機能性を判定することと、を含む、方法。
[30]
センサでガスセンサに近接する条件を測定することが、湿度センサで前記ガスセンサに近接する湿度を測定することを含む、29に記載の方法。
[31]
前記条件に対する前記ガスセンサの感度を判定することと、
前記ガスセンサの前記感度を前記条件に相関させることと、
前記ガスセンサの前記応答の変化と時間を合わせて対応しない前記測定された条件の変化に応答して、前記ガスセンサの閉塞を判定することと、を更に含む、29に記載の方法。
[32]
前記ガスセンサの機能性を判定することが、前記ガスセンサに近接する前記測定された条件に時間を合わせて相関しない前記ガスセンサの応答に応答して、前記ガスセンサの閉塞を判定することを含む、29に記載の方法。
[33]
前記ガスセンサに近接する条件を測定することが、前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの1つ以上の日変動を測定することを含み、
前記ガスセンサの機能性を判定することが、前記ガスセンサの前記応答が、前記ガスセンサに近接する湿度、温度、及び圧力のうちの前記1つ以上の前記日変動に対応する変動を呈さないと判定することに応答して、前記ガスセンサの閉塞を判定することを含む、29に記載の方法。