(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】トリップ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 73/22 20060101AFI20231208BHJP
H01H 73/36 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01H73/22 B
H01H73/36 A
(21)【出願番号】P 2022523378
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2020004815
(87)【国際公開番号】W WO2021096004
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0144521
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】オ,ギョンファン
(72)【発明者】
【氏名】オ,キファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンファン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨンフン
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0041570(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0323753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/22
H01H 73/36
H01H 73/16
H01H 73/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに回転可能に結合されるシュータ(shooter)組立体と、
前記フレームに回転可能に結合され、前記シュータ組立体に接離する調整クロスバー(crossbar)とを含み、
前記調整クロスバーは、
一方向に延設され、前記シュータ組立体が接触する固定クロスバーと、
前記一方向に延設され、前記一方向に摺動可能に前記固定クロスバーに結合される移動クロスバーとを含み、
前記シュータ組立体は、
前記固定クロスバーを覆うように前記固定クロスバーに向かって延設され、
前記固定クロスバーは、
前記シュータ組立体に向かって突設され、前記シュータ組立体が据えられるシュータ支持部を含み、
前記移動クロスバーは、
トリップ動作を行う基準電流の大きさを調整する距離調整バーが挿入される距離調整バーホルダを含
み、
前記固定クロスバーの上側には、ホルダ挿入部が凹設され、
前記移動クロスバーには、前記ホルダ挿入部に挿入される拘束突出部が前記距離調整バーホルダの下部に突設される、
トリップ装置。
【請求項2】
前記固定クロスバーは、
前記移動クロスバーに面した一側から凹設される挿入空間部を含み、
前記移動クロスバーは、
前記固定クロスバーに面した一側から突設され、前記挿入空間部に挿入結合される挿入突出部を含む、
請求項1に記載のトリップ装置。
【請求項3】
前記挿入空間部は、前記一方向に所定距離だけ延設され、
前記挿入突出部は、前記一方向に摺動可能に前記挿入空間部に挿入結合される、
請求項2に記載のトリップ装置。
【請求項4】
前記挿入空間部は、複数形成され、複数の前記挿入空間部は、互いに所定距離だけ離隔して配置され、
前記挿入突出部は、複数形成され、複数の前記挿入突出部は、複数の前記挿入空間部にそれぞれ挿入結合される、
請求項3に記載のトリップ装置。
【請求項5】
前記フレームの内部には、所定の空間が形成され、
前記所定の空間には、
外部に通電可能に接続されるヒータ(heater)と、
前記ヒータに隣接して位置し、前記ヒータから発生する熱により前記調整クロスバーに向かって湾曲するように構成されるバイメタル(bimetal)が収容される、
請求項1に記載のトリップ装置。
【請求項6】
前記移動クロスバーは、
前記バイメタルに向かう方向に所定距離だけ延設される前記距離調整バーを含む、
請求項5に記載のトリップ装置。
【請求項7】
前記バイメタルは、
前記移動クロスバーが延設される前記一方向に対して傾斜して形成され、
前記移動クロスバーが前記一方向に摺動することにより、前記バイメタルに向かう前記距離調整バーの端部と前記バイメタル間の距離が調整される、
請求項6に記載のトリップ装置。
【請求項8】
前記フレームの内部には、所定の空間が形成され、
前記所定の空間には、
外部に通電可能に接続されるヒータ、
前記ヒータに隣接して位置し、前記ヒータに流れる電流により電場が形成されて磁化されるように構成されるマグネット(magnet)、
及び前記マグネットに隣接して位置し、前記フレームに回転可能に結合されるアーマチュア(amature)が収容される、
請求項1に記載のトリップ装置。
【請求項9】
前記アーマチュアは、前記調整クロスバーに接触し、
前記マグネットが磁化されて形成される磁力により前記マグネットに向かって回転すると、
前記アーマチュアが前記調整クロスバーを加圧し、前記調整クロスバーが前記シュータ組立体から遠ざかる方向に回転する、
請求項8に記載のトリップ装置。
【請求項10】
前記アーマチュアは、前記フレームに回転可能に結合されるアーマチュア回転軸を含み、
前記アーマチュア回転軸は、前記マグネットと前記調整クロスバー間に位置する、
請求項9に記載のトリップ装置。
【請求項11】
前記固定クロスバーは、
前記フレームの前記所定の空間から遠い側の一側から突設される受圧突出部を含み、
前記アーマチュアは、
前記調整クロスバーに向かう一端部が前記受圧突出部に隣接して位置する、
請求項9に記載のトリップ装置。
【請求項12】
前記固定クロスバーは、
前記固定クロスバーが延設される方向の両端部にそれぞれ突設され、前記フレームに回転可能に結合される回転軸を含む、
請求項1に記載のトリップ装置。
【請求項13】
前記シュータ組立体の下側には、前記シュータ組立体を付勢するように構成される弾性部材が備えら
れ、
前記固定クロスバーが回転すると、
前記シュータ組立体は、前記弾性部材に向かう方向に回転する、
請求項1に記載のトリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリップ装置(trip assembly)に関し、より具体的には、トリップ区間を精密に調節することができ、トリップ区間を調整する際に他の部材による干渉を防止することができるトリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線用遮断器(MCCB: Molded Case Circuit Breaker)は、配線に備えられ、電気的な過負荷状態や短絡事故の発生時に自動的に回路を遮断する。よって、配線に接続された回路や負荷などが電気的事故により損傷することを防止することができる。
【0003】
配線用遮断器は、トリップ装置を備える。トリップ装置は、前記過負荷状態や短絡事故などが発生すると、開閉機構のトリップ動作を行う。トリップ装置は、配線用遮断器に移動可能に結合される。
【0004】
トリップ装置は可動接触子に連結され、可動接触子はトリップ装置と共に移動する。トリップ装置が移動すると、可動接触子は、固定接触子に接触するか、又は固定接触子から離隔する。そうすると、配線用遮断器は、外部に通電するか、又は外部との通電が遮断される。
【0005】
図1に示すように、従来技術によるトリップ装置1000は、トリップ装置ケース1100と、クロスバー1200と、バイメタル(bimetal)1300と、シュータ1400と、ノブ1500とを含む。
【0006】
事故電流(大電流)がヒータ(heater)1130に沿って配線用遮断器の内部に流入すると、マグネット(magnet)1120に電磁力が発生する。よって、アーマチュア(amature)1110は、マグネット1120に向かって吸引され、一端がクロスバー1200の受圧突出部1220を加圧する。
【0007】
その結果、クロスバー1200が回転し、シュータ接触部1240とシュータ1400の接触状態が解除される。よって、シュータ1400が回転し、固定接触子と可動接触子が離隔する。
【0008】
過電流(小電流)がヒータ1130に沿って配線用遮断器の内部に流入すると、バイメタル1300が湾曲し、クロスバー1200に結合される間隔調節部1210を加圧する。
【0009】
よって、クロスバー1200は、同図に示す実施形態における時計方向に回転し、シュータ接触部1240とシュータ1400の接触状態が解除される。その結果、シュータ1400が回転し、固定接触子と可動接触子が離隔する。
【0010】
前述したように、配線用遮断器は、大電流が流れる場合と小電流が流れる場合のいずれの場合も遮断動作を行う。よって、配線用遮断器は、遮断対象である電流の大きさを設定する必要がある。
【0011】
図2に示すように、従来技術によるトリップ装置1000は、ノブ1500を含む。ノブ1500は、クロスバー1200に向かって延設されるノブ調節部1510を含む。ノブ調節部1510は、クロスバー1200のノブ連結部1230に結合される。
【0012】
ノブ1500は、トリップ装置ケース1100に回転可能に結合される。ノブ1500が回転すると、ノブ連結部1230に連結されたクロスバー1200がその延設方向の一方又は他方に移動する。
【0013】
ここで、間隔調節部1210に面したバイメタル1300の一側面は、前記方向に対して傾斜して形成される。よって、間隔調節部1210の前記方向における位置に応じて、バイメタル1300と間隔調節部1210間の距離が調節される。
【0014】
しかし、クロスバー1200は、シュータ接触部1240とシュータ1400が接触した状態で移動する。よって、クロスバー1200が移動すると、シュータ接触部1240とシュータ1400間で摩擦が生じる。
【0015】
よって、クロスバー1200が延設方向に移動する際に、シュータ接触部1240とシュータ1400間で引っ掛かり現象が発生する。よって、バイメタル1300が湾曲していなくても、前記引っ掛かり現象によりシュータ1400が任意にトリップ動作を行う恐れがある。
【0016】
また、クロスバー1200の内部には、導体素材のピンが挿入される。クロスバー1200が各ヒータ1130に沿って延びるので、前記ピンにより各相(phase)間に電気的な干渉が生じる。
【0017】
特許文献1(2017年7月5日)は、配線用遮断器を開示している。具体的には、クロスバーの摺動移動を防止するための係止リングを備える配線用遮断器を開示している。
【0018】
しかし、この先行技術文献には、クロスバーとシュータ間の摩擦を防止する方法を提示していないという限界がある。
【0019】
特許文献2(2017年7月13日)は、配線用遮断器を開示している。具体的には、調節部材を固設することによりノブなどを省略することのできる配線用遮断器を開示している。
【0020】
しかし、この先行技術文献にも、クロスバーとシュータ間の摩擦を防止する方法についての考察がないという限界がある。
【0021】
さらに、これらの先行技術文献は、クロスバーの内部に備えられる導体ピンにより各相で発生する電気的な干渉を防止する方法を提示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0076870号公報
【文献】韓国公開特許第10-2017-0081780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記問題を解決することのできる構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【0024】
まず、トリップ区間を調整する過程においてシュータとクロスバー間で発生する摩擦を最小限に抑えることのできる構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【0025】
また、トリップ区間を調整する過程においてバイメタルが任意に湾曲しない構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【0026】
さらに、トリップ区間を容易に調整することのできる構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【0027】
さらに、過電流又は事故電流が発生した場合にトリップ動作を円滑に行うことのできる構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【0028】
さらに、複数の相の電流が通電する場合に各電流間の電気的な干渉を最小限に抑えることのできる構造のトリップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的を達成するために、本発明は、フレームと、前記フレームに回転可能に結合されるシュータ組立体と、前記フレームに回転可能に結合され、前記シュータ組立体に接離する調整クロスバーとを含み、前記調整クロスバーは、一方向に延設され、前記シュータ組立体が接触する固定クロスバーと、前記一方向に延設され、前記一方向に摺動可能に前記固定クロスバーに結合される移動クロスバーとを含むトリップ装置を提供する。
【0030】
また、前記トリップ装置の前記固定クロスバーは、前記移動クロスバーに面した一側から凹設される挿入空間部を含み、前記移動クロスバーは、前記固定クロスバーに面した一側から突設され、前記挿入空間部に挿入結合される挿入突出部を含むようにしてもよい。
【0031】
さらに、前記トリップ装置の前記調整クロスバーの前記挿入空間部は、前記一方向に所定距離だけ延設され、前記挿入突出部は、前記一方向に摺動可能に前記挿入空間部に挿入結合されるようにしてもよい。
【0032】
さらに、前記トリップ装置の前記調整クロスバーの前記挿入空間部は、複数形成され、複数の前記挿入空間部は、互いに所定距離だけ離隔して配置され、前記挿入突出部は、複数形成され、複数の前記挿入突出部は、複数の前記挿入空間部にそれぞれ挿入結合されるようにしてもよい。
【0033】
さらに、前記トリップ装置の前記フレームの内部には、所定の空間が形成され、前記所定の空間には、外部に通電可能に接続されるヒータと、前記ヒータに隣接して位置し、前記ヒータから発生する熱により前記調整クロスバーに向かって湾曲するように構成されるバイメタルが収容されるようにしてもよい。
【0034】
さらに、前記トリップ装置の前記移動クロスバーは、前記バイメタルに向かう方向に所定距離だけ延設される距離調整バーを含むようにしてもよい。
【0035】
さらに、前記トリップ装置の前記バイメタルは、前記移動クロスバーが延設される前記一方向に対して傾斜して形成され、前記移動クロスバーが前記一方向に摺動することにより、前記バイメタルに向かう前記距離調整バーの端部と前記バイメタル間の距離が調整されるようにしてもよい。
【0036】
さらに、前記トリップ装置の前記フレームの内部には、所定の空間が形成され、前記所定の空間には、外部に通電可能に接続されるヒータ、前記ヒータに隣接して位置し、前記ヒータに流れる電流により電場が形成されて磁化(magnetize)されるように構成されるマグネット、及び前記マグネットに隣接して位置し、前記フレームに回転可能に結合されるアーマチュアが収容されるようにしてもよい。
【0037】
さらに、前記トリップ装置の前記アーマチュアは、前記調整クロスバーに接触し、前記マグネットが磁化されて形成される磁力により前記マグネットに向かって回転すると、前記アーマチュアが前記調整クロスバーを加圧し、前記調整クロスバーが前記シュータ組立体から遠ざかる方向に回転するようにしてもよい。
【0038】
さらに、前記トリップ装置の前記アーマチュアは、前記フレームに回転可能に結合されるアーマチュア回転軸を含み、前記アーマチュア回転軸は、前記マグネットと前記調整クロスバー間に位置するようにしてもよい。
【0039】
さらに、前記トリップ装置の前記固定クロスバーは、前記フレームの前記所定の空間から遠い側の一側から突設される受圧突出部を含み、前記アーマチュアは、前記調整クロスバーに向かう一端部が前記受圧突出部に隣接して位置するようにしてもよい。
【0040】
さらに、前記トリップ装置の前記シュータ組立体は、前記固定クロスバーを覆うように前記固定クロスバーに向かって延設され、前記固定クロスバーは、前記シュータ組立体に向かって突設され、前記シュータ組立体が据えられるシュータ支持部を含むようにしてもよい。
【0041】
さらに、前記トリップ装置の前記固定クロスバーは、前記固定クロスバーが延設される方向の両端部にそれぞれ突設され、前記フレームに回転可能に結合される回転軸を含むようにしてもよい。
【0042】
さらに、前記トリップ装置の前記シュータ組立体の下側には、前記シュータ組立体を付勢するように構成される弾性部材が備えられ、前記固定クロスバーが回転すると、前記シュータ組立体は、前記弾性部材に向かう方向に回転するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0044】
まず、トリップ区間は、調整クロスバーにより調整される。調整クロスバーは、フレームに回転可能に結合される固定クロスバーを含む。固定クロスバーは、フレームに支持され、延設方向に移動しない。
【0045】
固定クロスバーには、移動クロスバーが結合される。移動クロスバーは、延設方向に摺動可能に固定クロスバーに結合される。
【0046】
シュータ組立体は、固定クロスバーに据えられる。よって、シュータ組立体と固定クロスバーが接触する部分は、固定クロスバーの長手方向に移動しない。よって、シュータ組立体と固定クロスバー間では摩擦が発生しない。
【0047】
また、上記構造により、シュータ組立体と固定クロスバーが接触する部分は、固定クロスバーの長手方向に移動しない。前記部分は、シュータ組立体がトリップ動作を行う場合にのみ、シュータ組立体から遠ざかるように回転する。
【0048】
よって、トリップ区間が調整されても、シュータ組立体と調整クロスバー間の摩擦による引っ掛かり現象が発生しない。よって、トリップ区間を調整しても、バイメタルが任意に湾曲しない。
【0049】
また、バイメタルが湾曲して接触する距離調整バーは、移動クロスバーに備えられる。移動クロスバーが延設方向に移動すると、距離調整バーも移動クロスバーと共に延設方向に移動する。
【0050】
距離調整バーに面したバイメタルの一側面は、前記延設方向に対して傾斜して形成される。すなわち、距離調整バーが前記延設方向に移動すると、バイメタルに向かう距離調整バーの一側とバイメタル間の距離が変更される。
【0051】
よって、移動クロスバーを移動させるだけで、トリップ区間を容易に調整することができる。
【0052】
また、調整クロスバーは、バイメタルが湾曲して距離調整バーを加圧すると、シュータ組立体から遠ざかる方向に回転する。さらに、調整クロスバーは、アーマチュアがマグネットに向かって回転することにより、シュータ組立体から遠ざかる方向に回転する。
【0053】
シュータ組立体は、弾性部材により付勢される。弾性部材は、シュータ組立体を引っ張る方向の付勢力を与える。よって、調整クロスバーが回転すると、シュータ組立体は、弾性部材により与えられた付勢力により回転し、トリップ動作を行う。
【0054】
よって、過電流が発生する場合と事故電流が発生する場合のいずれの場合も調整クロスバーが回転し、シュータ組立体がトリップ動作が円滑に行われる。
【0055】
また、調整クロスバーの内部には、フレームに収容される各相毎に備えられる複数の加圧部を横断する導体部材が備えられない。すなわち、調整クロスバーは、固定クロスバーと移動クロスバーが結合されたものである。
【0056】
固定クロスバーと移動クロスバーは、それぞれ一方向に延設される固定本体部及び移動本体部を含む。固定本体部と移動本体部は、各相毎に備えられる複数の加圧部を横断するように延設される。ここで、固定本体部と移動本体部は、それぞれ非導電性素材で形成される。
【0057】
よって、トリップ装置に備えられる複数の加圧部が互いに電気的な影響を及ぼさない。よって、複数の相の電流がトリップ装置に通電しても、各相の電流間の電気的な干渉を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】従来技術による遮断器に備えられるトリップ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のトリップ装置においてノブが調節される状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態によるトリップ装置を示す斜視図である。
【
図4】
図3のトリップ装置に備えられる固定クロスバーを示す斜視図である。
【
図5】
図3のトリップ装置に備えられる移動クロスバーを示す斜視図である。
【
図6】
図4の固定クロスバーと
図5の移動クロスバーが結合される過程を示す斜視図である。
【
図7】
図6の過程により形成される調整クロスバーを示す斜視図である。
【
図8】
図7の調整クロスバーが結合されるトリップ装置を示す断面図である。
【
図9】
図7の調整クロスバーに備えられる移動クロスバーが一方に移動した状態を示す平面図である。
【
図11】
図7の調整クロスバーに備えられる移動クロスバーが他方に移動した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるトリップ装置10について詳細に説明する。
【0060】
以下の説明では、本発明の特徴を明確にするために、一部の構成要素についての説明を省略することもある。
【0061】
1.用語の定義
以下の説明に用いられる「遮断器」とは、電気回路を開閉する装置を意味する。一実施形態において、遮断器は配線用遮断器である。
【0062】
以下の説明に用いられる「過電流」とは、遮断器が作動するための電流の一種を意味する。一実施形態において、過電流は「小電流」に区分される。
【0063】
以下の説明に用いられる「事故電流」とは、遮断器が作動するための電流の一種を意味する。一実施形態において、事故電流は「大電流」に区分される。
【0064】
以下の説明に用いられる「上側」、「下側」、「左側」、「右側」、「前側」及び「後側」については、
図3及び
図9~
図12に示す座標系を参照されたい。
【0065】
2.本発明の実施形態によるトリップ装置10の構成についての説明
本発明の実施形態によるトリップ装置10は、遮断器に備えられ、過電流又は事故電流の発生時に回路を遮断する。一実施形態において、トリップ装置10は、配線用遮断器に備えられる。
【0066】
図3及び
図4に示すように、同図の例によるトリップ装置10は、フレーム100と、加圧部200と、シュータ組立体300と、バイメタル400と、調整クロスバー500とを含む。
【0067】
以下、
図3及び
図4を参照して、本発明の実施形態によるトリップ装置10の各構成について説明するが、調整クロスバー500については別項で説明する。
【0068】
(1)フレーム100についての説明
フレーム100は、トリップ装置10の外形を形成する。フレーム100の内部には、トリップ動作を行うための様々な構成要素が収容される。
【0069】
フレーム100は、絶縁性素材で形成される。トリップ装置10が備えられる遮断器の内部と外部が任意に通電することを防止するためである。
【0070】
フレーム100は、耐圧性、耐熱性素材で形成される。トリップ装置10が作動して可動接触子と固定接触子が離隔することにより発生するアークによる損傷を防ぐためである。
【0071】
一実施形態において、フレーム100は、合成樹脂素材で形成される。
【0072】
フレーム100は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に延設される。よって、フレーム100の内部空間に収容される構成要素は、上下方向に配置される。
【0073】
フレーム100は、収容部110と、隔壁120と、シュータ結合部130とを含む。
【0074】
収容部110は、フレーム100の内部に形成される空間である。収容部110には、トリップ動作を行うための様々な構成要素が収容される。
【0075】
収容部110は、複数備えられる。複数の収容部110は、隣接して配置される。同図に示す実施形態において、収容部110は、計4つ形成され、左右方向に隣接するように連続して配置される。
【0076】
これは、本発明の実施形態によるトリップ装置10が備えられる遮断器がR相、S相及びT相や、U相、V相及びW相をはじめとする三相及びN相の電流を遮断するように構成されることに起因する。収容部110の数は変更してもよい。
【0077】
収容部110間には、隔壁120が形成される。隔壁120は、隣接する収容部110間に位置する。隔壁120は、隣接する収容部110を物理的に離隔する。言い換えれば、隔壁120は、単一の大(big)収容部110を複数の小(small)収容部110に区画するものである。
【0078】
隔壁120により、各収容部110に収容される構成要素間の任意の接触や通電を防止することができる。
【0079】
シュータ結合部130には、シュータ組立体300が回転可能に結合される。シュータ結合部130の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側には、シュータ組立体300が結合される円弧(arc)状の溝が形成される。
【0080】
シュータ結合部130は、隔壁120の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側の端部から延設される。同図に示す実施形態において、シュータ結合部130は、左右方向の中央に設けられる隔壁120、すなわち左側及び右側にそれぞれ2つの収容部110が配置される隔壁120に位置する。
【0081】
シュータ結合部130の位置は、シュータ組立体300の位置に応じて変更してもよい。
【0082】
(2)加圧部200についての説明
加圧部200は、遮断器に事故電流又は過電流が流れると、トリップ動作を行うための駆動力を生成する。加圧部200は、収容部110に収容される。
【0083】
加圧部200は、複数備えられる。前述したように、本発明の実施形態によるトリップ装置10は、4つの収容部110を有する。よって、加圧部200も、4つ備えられ、複数の収容部110にそれぞれ収容される。
【0084】
加圧部200はヒータ210と、マグネット220と、アーマチュア230と、加圧突出部240とを含む。
【0085】
ヒータ210は、トリップ装置10が外部に通電する部分である。ヒータ210は、収容部110の両側、すなわち同図に示す実施形態における前側及び後側に所定距離だけ突出する。ヒータ210は、この突出した部分間に延設される。
【0086】
すなわち、ヒータ210は、フレーム100の前方外側から後方外側に連続する。
【0087】
ヒータ210の一端部、すなわち同図に示す実施形態における後端部は、遮断器に備えられる固定接触子に通電可能に接続される。よって、トリップ動作が行われていない場合、ヒータ210には固定接触子を通過した電流が流れる。
【0088】
ヒータ210の他端部、すなわち同図に示す実施形態における前端部は、外部の電源及び負荷に通電可能に接続される。トリップ動作が行われていない場合、遮断器の内部に流入した電流は、ヒータ210を通過して外部の電源又は負荷に流れる。
【0089】
ヒータ210に過電流が流れると、ヒータ210に熱が発生する。前記熱によりバイメタル400が距離調整バー630に向かって湾曲し、距離調整バー630を加圧する。よって、調整クロスバー500がシュータ組立体300から遠ざかるように移動し、トリップ動作が行われる。
【0090】
マグネット220は、事故電流がヒータ210を通過すると、前記電流により形成される電磁場に応じて、アーマチュア230を吸引する電磁力を生成する。
【0091】
マグネット220は、ヒータ210に隣接して配置される。マグネット220は、ヒータ210に流れる電流が形成する電磁場により磁化される。
【0092】
マグネット220は、アーマチュア230に隣接して配置される。同図に示す実施形態において、マグネット220は、ヒータ210とアーマチュア230間に位置する。また、マグネット220は、ヒータ210の前側に、かつアーマチュア230の後側に位置する。
【0093】
さらに、マグネット220は、アーマチュア230から所定距離だけ離隔して配置される。マグネット220が磁化されると、アーマチュア230は、マグネット220に向かって移動する。
【0094】
マグネット220は、電磁場により磁化される任意の形態で備えられる。一実施形態において、マグネット220は、永久磁石又は電磁石の形態で備えられる。
【0095】
同図に示す実施形態において、マグネット220は、ヒータ210と平行に形成される本体部と、本体部の両側、すなわち左右方向の端部からアーマチュア230に向かって延設される翼部とを含む。よって、マグネット220の表面積が大きくなるので、マグネット220が磁化されることにより生成される電磁力の強度が強化される。
【0096】
アーマチュア230は、マグネット220が磁化されることにより発生する電磁力により吸引される。すなわち、マグネット220が磁化されると、アーマチュア230は、マグネット220に向かって移動する。このようにして、トリップ動作を行うための駆動力が形成される。
【0097】
アーマチュア230は、マグネット220に隣接して配置される。同図に示す実施形態において、アーマチュア230は、マグネット220の前側に配置される。
【0098】
アーマチュア230は、収容部110の内部に収容される。アーマチュア230は、フレーム100に回転可能に結合される。すなわち、アーマチュア230は、アーマチュア回転軸231を軸として回転する。
【0099】
アーマチュア230は、調整クロスバー500に接触する。アーマチュア230がマグネット220に向かって回転移動すると、調整クロスバー500は、シュータ組立体300から遠ざかる方向に移動する。
【0100】
すなわち、アーマチュア230が移動することにより、調整クロスバー500は、アーマチュア230の移動方向とは逆方向に移動する。同図に示す実施形態において、アーマチュア230は後方に向かって移動するので、調整クロスバー500は前方に移動する。
【0101】
よって、調整クロスバー500とシュータ組立体300間の結合が解除され、シュータ組立体300がトリップ動作を行う。その詳細については後述する。
【0102】
加圧突出部240は、アーマチュア230の一端部から延設される。同図に示す実施形態において、加圧突出部240は、アーマチュア230の上側に位置する調整クロスバー500に向かって延設される。加圧突出部240の一端部は、調整クロスバー500の受圧突出部730の一面、すなわち同図に示す実施形態における背面に接触する。
【0103】
加圧突出部240の前記一端部は、アーマチュア回転軸231の上側に位置する。よって、加圧突出部240は、アーマチュア230の回転方向とは逆方向に回転する。
【0104】
加圧突出部240は、アーマチュア230と一体に回転移動する。すなわち、アーマチュア230がマグネット220に向かう方向に回転移動すると、加圧突出部240は、その逆方向、すなわちマグネット220から遠ざかる方向に回転移動する。言い換えれば、加圧突出部240は、調整クロスバー500に向かう方向に回転移動する。
【0105】
加圧突出部240が調整クロスバー500に向かう方向に回転移動すると、加圧突出部240は、受圧突出部730に接触する。加圧突出部240の回転移動が続くと、加圧突出部240は、受圧突出部730を加圧する。よって、調整クロスバー500がシュータ組立体300から遠ざかる方向に移動し、トリップ動作が行われる。
【0106】
(3)シュータ組立体300についての説明
シュータ組立体300は、過電流又は事故電流が流れると回転する。シュータ組立体300の回転により開閉機構部(図示せず)が調整され、遮断器が電流を遮断する。
【0107】
トリップ動作が求められない状況、すなわち遮断器に正常な電流が流れている状況では、シュータ組立体300は、調整クロスバー500に接触した状態を維持する。よって、シュータ組立体300の移動が制限される。
【0108】
トリップ動作が求められる状況、すなわち遮断器に過電流又は事故電流が流れている状況では、シュータ組立体300は、調整クロスバー500から離隔する。よって、シュータ組立体300が回転し、開閉機構部(図示せず)が調整される。
【0109】
シュータ組立体300は、フレーム100に回転可能に結合される。具体的には、シュータ本体部310は、シュータ結合部130に回転可能に結合される。
【0110】
シュータ組立体300は、調整クロスバー500により支持される。具体的には、クロスバー接触部330は、その下側がシュータ支持部760に支持される。この支持状態は、シュータ組立体300を下方に引っ張る弾性部材320により安定して維持される。
【0111】
シュータ組立体300は、開閉機構部(図示せず)に連結される。シュータ組立体300が回転すると、開閉機構部(図示せず)も回転する。
【0112】
同図に示す実施形態において、シュータ組立体300は、フレーム100の左右方向の中央部分に位置する。すなわち、シュータ組立体300の左側及び右側には、それぞれ2つの収容部110が位置する。シュータ組立体300の位置は、シュータ結合部130の位置に応じて変更してもよい。
【0113】
シュータ組立体300は、シュータ本体部310と、弾性部材320と、クロスバー接触部330とを含む。
【0114】
シュータ本体部310は、シュータ組立体300の本体を形成する。シュータ本体部310は、下端部から上方に湾曲して延びる第1部分と、第1部分の端部から前方に延設される第2部分とを含む。
【0115】
すなわち、シュータ本体部310は、シュータ結合部130からヒータ210に向かって湾曲して延びる第1部分と、シュータ結合部130から調整クロスバー500に向かって延びる第2部分とを含む。前記第2部分をクロスバー接触部330という。
【0116】
シュータ本体部310は、シュータ結合部130に回転可能に結合される。
【0117】
弾性部材320は、シュータ組立体300に付勢力を与える。前記付勢力により、クロスバー接触部330がシュータ支持部760に接触した状態が維持される。
【0118】
弾性部材320は、クロスバー接触部330の下側に位置する。クロスバー接触部330に近い側の弾性部材320の一側、すなわち上端部は、クロスバー接触部330に連結される。クロスバー接触部330から遠い側の弾性部材320の他側、すなわち下端部は、収容部110の内部の任意の部材に連結される。
【0119】
弾性部材320は、クロスバー接触部330と前記任意の部材間で引っ張られる。すなわち、弾性部材320は、所定の復元力を蓄えた状態でクロスバー接触部330の下側に位置する。すなわち、弾性部材320は、下方に引っ張る付勢力をクロスバー接触部330に加える。
【0120】
よって、クロスバー接触部330がシュータ支持部760に据えられた状態で、下方に向かう付勢力を受ける。よって、クロスバー接触部330がシュータ支持部760から任意に離隔しなくなる。
【0121】
また、加圧突出部240が受圧突出部730を加圧すると、調整クロスバー500がシュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における前方に移動する。
【0122】
よって、クロスバー接触部330の下側に位置するシュータ支持部760も前方に移動し、クロスバー接触部330とシュータ支持部760の接触状態が解除される。
【0123】
この場合、クロスバー接触部330は、弾性部材320の復元力により下方に移動する。同図に示す実施形態において、クロスバー接触部330がシュータ結合部130を軸として時計方向に回転することが理解されるであろう。
【0124】
弾性部材320は、形状の変形により復元力を蓄え、それを他の部材に伝達することのできる任意の形態で備えられる。一実施形態において、弾性部材320は、コイルばね(coil spring)の形態で備えられる。
【0125】
クロスバー接触部330は、シュータ組立体300が調整クロスバー500に接触する部分である。
【0126】
トリップ動作が行われていない時、クロスバー接触部330は、その下側がシュータ支持部760に据えられている。トリップ動作が行われると、クロスバー接触部330は、弾性部材320の復元力により、その端部が下方に向かって時計方向に回転する。
【0127】
クロスバー接触部330は、シュータ組立体300がシュータ結合部130に接触する部分から一側、すなわち同図に示す実施形態における前側に向かって所定距離だけ延設される。
【0128】
クロスバー接触部330は、トリップ動作が行われていない時はシュータ支持部760に据えられているが、トリップ動作が行われるとシュータ支持部760に接触しない程度に延設されることが好ましい。
【0129】
(4)バイメタル400についての説明
バイメタル400は、過電流が流れると、ヒータ210から発生する熱により距離調整バー630に向かって湾曲する。バイメタル400は、距離調整バー630を加圧する。よって、調整クロスバー500は、バイメタル400から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における前方に移動する。
【0130】
この移動により、クロスバー接触部330とシュータ支持部760が離隔し、シュータ本体部310が回転する。よって、トリップ動作が行われる。
【0131】
バイメタル400は、熱膨張係数が異なる複数の金属素材で形成される。バイメタル400を構成する金属素材のうち、距離調整バー630から遠い側に位置する金属素材の熱膨張係数は、距離調整バー630に隣接して位置する金属素材の熱膨張係数より大きい。
【0132】
よって、バイメタル400に熱が伝達されると、バイメタル400は、距離調整バー630に向かう方向に湾曲する。
【0133】
バイメタル400は、調整クロスバー500の延設方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に対して傾斜して形成される。すなわち、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離は、バイメタル400の左右方向の位置によって異なるように形成される。
【0134】
同図に示す実施形態において、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離は、左から右へ行くほど減少するように形成される。
【0135】
よって、距離調整バー630を左右方向に移動させることにより、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が調整される。よって、トリップ装置10がトリップ動作を行う基準電流の大きさが調整される。
【0136】
バイメタル400は、複数備えられる。複数のバイメタル400は、互いに所定距離離隔し、複数の各収容部110に収容される。同図に示す実施形態において、バイメタル400は、4つ備えられ、各収容部110に収容される。
【0137】
バイメタル400は、バイメタル400に向かう距離調整バー630の一端部、すなわち同図に示す実施形態における後端部から所定距離だけ離隔して配置される。
【0138】
バイメタル400は、ヒータ210に隣接して配置される。ヒータ210から発生した熱は、バイメタル400に伝達される。一実施形態において、バイメタル400は、上下方向に延設される。
【0139】
3.本発明の実施形態による調整クロスバー500についての説明
また、
図3及び
図4に示すように、本発明の実施形態によるトリップ装置10は、調整クロスバー500を含む。
【0140】
本発明の実施形態による調整クロスバー500は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に移動し、シュータ組立体300に接離する。よって、トリップ装置10が作動し、回路が開放又は閉鎖される。
【0141】
調整クロスバー500は、フレーム100に回転可能に結合される。加圧突出部240が受圧突出部730を加圧すると、調整クロスバー500は、シュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における時計方向に回転する。
【0142】
また、本発明の実施形態による調整クロスバー500は、他方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に移動する。よって、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が調節され、遮断対象となる電流の大きさが調整される。
【0143】
以下、
図5~
図8を参照して、本発明の実施形態による調整クロスバー500について詳細に説明する。
【0144】
同図に示す実施形態において、調整クロスバー500は、移動クロスバー600と、固定クロスバー700とを含む。調整クロスバー500は、移動クロスバー600と固定クロスバー700が結合されて形成される。同図に示す実施形態において、移動クロスバー600は、固定クロスバー700の前側に位置する。
【0145】
よって、後述する移動クロスバー600及び固定クロスバー700の各構成は、調整クロスバー500に含まれるものとみなされる。
【0146】
(1)移動クロスバー600についての説明
図5には、本発明の実施形態による調整クロスバー500に含まれる移動クロスバー600を示す。
【0147】
移動クロスバー600は、固定クロスバー700に摺動可能に結合される。すなわち、移動クロスバー600は、固定クロスバー700に対して長手方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に相対的に摺動する。
【0148】
移動クロスバー600は、固定クロスバー700と一体に移動する。すなわち、バイメタル400が湾曲して距離調整バー630を加圧すると、移動クロスバー600は、固定クロスバー700と共に移動する。
【0149】
ここで、移動クロスバー600がシュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における前方に向かって時計方向に回転することが理解されるであろう。
【0150】
移動クロスバー600は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設される。移動クロスバー600の延設長さは、フレーム100の左右方向の延設長さより小さくなるように決定される。よって、移動クロスバー600は、フレーム100に結合された状態で長手方向に所定距離だけ摺動する。
【0151】
移動クロスバー600は、移動本体部610と、距離調整バーホルダ620と、距離調整バー630と、ノブ結合部640と、挿入突出部650とを含む。
【0152】
移動本体部610は、移動クロスバー600の本体を形成する。移動本体部610は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設される。
【0153】
移動本体部610は、非導電性素材で形成される。一実施形態において、移動本体部610は、合成樹脂素材で形成される。よって、移動本体部610と加圧部200間の任意の通電が防止される。
【0154】
固定クロスバー700に面した移動本体部610の一側、すなわち同図に示す実施形態における後側には、挿入突出部650が所定距離だけ突設される。
【0155】
加圧部200から遠い側の移動本体部610の他側、すなわち同図に示す実施形態における上側には、距離調整バーホルダ620が所定距離だけ突設される。
【0156】
距離調整バーホルダ620には、距離調整バー630が貫通結合される。距離調整バー630は、距離調整バーホルダ620に挿入された状態で結合方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に所定距離だけ移動する。よって、距離調整バー630とバイメタル400間の最短距離が調整される。
【0157】
距離調整バーホルダ620は、複数備えられる。複数の距離調整バーホルダ620は、互いに所定距離だけ離隔して配置される。同図に示す実施形態において、距離調整バーホルダ620は、4つ備えられる。距離調整バーホルダ620の数は、収容部110又は加圧部200の数に応じて決定される。
【0158】
距離調整バーホルダ620は、加圧部200から遠い側の移動本体部610の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側に位置する。
【0159】
距離調整バーホルダ620は、延長部621と、バー挿入部622と、拘束突出部623とを含む。
【0160】
延長部621は、距離調整バーホルダ620の本体を形成する。延長部621は、移動本体部610から所定距離だけ延設される。移動本体部610に近い側の延長部621の一側、すなわち同図に示す実施形態における下端部は移動本体部610に結合される。
【0161】
移動本体部610から遠い側の延長部621の他側、すなわち同図に示す実施形態における上端部には、バー挿入部622が形成される。
【0162】
バー挿入部622には、距離調整バー630が貫挿される。バー挿入部622は、内部に貫通して形成される中空部を含む。距離調整バー630は、前記中空部に貫挿される。
【0163】
同図に示す実施形態において、距離調整バー630は、円形の断面を有する円筒状である。よって、中空部も、上記形状に応じて円形の断面を有するように形成される。
【0164】
中空部の内径は、距離調整バー630の外径より小さく形成される。よって、距離調整バー630が中空部に貫挿されると、バイメタル400に近づく方向やバイメタル400から遠ざかる方向に任意に移動しなくなる。
【0165】
拘束突出部623は、ホルダ挿入部711に挿入結合される。拘束突出部623は、ホルダ挿入部711に挿入された状態で、移動本体部610の移動により左右方向に所定距離だけ移動する。
【0166】
拘束突出部623は、移動本体部610に近い側の延長部621の一側、すなわち同図に示す実施形態における下端部に形成される。拘束突出部623は、所定距離だけ突設される。拘束突出部623の突出長さは、ホルダ挿入部711が凹設される長さより小さく形成されることが好ましい。
【0167】
拘束突出部623は、移動本体部610の延設方向、すなわち左右方向に所定の厚さを有するように形成される。拘束突出部623の厚さは、ホルダ挿入部711の延設方向、すなわち左右方向の長さより小さく形成されることが好ましい。
【0168】
よって、拘束突出部623がホルダ挿入部711に挿入されると、移動クロスバー600の摺動距離が制限される。すなわち、移動クロスバー600は、拘束突出部623の左側面がホルダ挿入部711を左側から囲う面に接触する位置と、拘束突出部623の右側面がホルダ挿入部711を右側から囲う面に接触する位置間で摺動する。
【0169】
距離調整バー630は、トリップ動作が求められる状況では、バイメタル400により加圧される。距離調整バー630は、バイメタル400に向かって延設される。
【0170】
距離調整バー630は、距離調整バーホルダ620に結合される。具体的には、距離調整バー630は、バー挿入部622の内部に形成される中空部に貫通して形成される。
【0171】
同図に示す実施形態において、距離調整バー630は、円形の断面を有し、前後方向に延設される円筒状である。
【0172】
バイメタル400に面した距離調整バー630の一端部は、丸く形成される。すなわち、距離調整バー630の前記一端部は、バイメタル400に向かって膨らむように形成される。よって、バイメタル400が湾曲する角度とは関係なく、バイメタル400が距離調整バー630を安定して加圧する。
【0173】
距離調整バー630の一端部とバイメタル400間の距離、すなわち距離調整バー630とバイメタル400間の最短距離は、変更することができる。それは、移動クロスバー600の摺動により達成される。その詳細については後述する。
【0174】
ノブ結合部640には、ノブ(図示せず)が挿入結合される。ノブ(図示せず)は、フレーム100に回転可能に結合される。ノブ(図示せず)が回転すると、ノブ結合部640及びそれに接続された移動本体部610は、左側又は右側に摺動する。
【0175】
ノブ結合部640は、加圧部200から遠い側の移動本体部610の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側に形成される。同図に示す実施形態において、ノブ結合部640は、右端に位置する距離調整バーホルダ620に隣接して位置する。ノブ結合部640の位置は、ノブ(図示せず)の位置に応じて変更してもよい。
【0176】
ノブ結合部640は、延長部641と、ノブ挿入部642とを含む。
【0177】
延長部641は、後側に向かって所定距離だけ延設される。延長部641は、互いに所定距離だけ離隔する第1延長部641a及び第2延長部641bを含む。前記所定距離は、ノブ挿入部642に挿入されるノブ(図示せず)の直径に応じて決定される。
【0178】
ノブ挿入部642は、ノブ(図示せず)が挿入される空間である。ノブ挿入部642は、第1延長部641aと第2延長部641bが離隔することにより形成される空間により規定される。
【0179】
挿入突出部650は、移動クロスバー600が固定クロスバー700に結合される部分である。挿入突出部650は、挿入空間部740に挿入結合される。
【0180】
挿入突出部650は、固定クロスバー700に面した移動本体部610の一側、すなわち同図に示す実施形態における後側から所定距離だけ突設される。挿入突出部650の突出長さは、挿入空間部740の陥没長さより小さく決定されることが好ましい。
【0181】
挿入突出部650は、複数形成される。同図に示す実施形態において、挿入突出部650は、3つ形成される。複数の挿入突出部650は、互いに所定距離離隔して位置する。同図に示す実施形態において、各挿入突出部650は、各距離調整バーホルダ620間に位置する。
【0182】
挿入突出部650は、距離調整バーホルダ620が延設される方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に所定の厚さを有するように形成される。
【0183】
挿入突出部650の内部には、固定クロスバー700に面した一端部から所定距離だけ凹設される溝が備えられる。前記溝は、挿入突出部650の上面及び下面が互いに向き合う空間を形成する。よって、挿入突出部650は、挿入空間部740に係合される。
【0184】
挿入突出部650は、挿入空間部740に挿入結合された状態で、移動本体部610の延設方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に移動する。
【0185】
(2)固定クロスバー700についての説明
図6には、本発明の実施形態による調整クロスバー500に含まれる固定クロスバー700を示す。
【0186】
固定クロスバー700には、移動クロスバー600が摺動可能に結合される。
【0187】
固定クロスバー700は、移動クロスバー600と一体に移動する。すなわち、バイメタル400が湾曲して距離調整バー630を加圧すると、固定クロスバー700は、移動クロスバー600と共に移動する。
【0188】
ここで、固定クロスバー700がシュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における前方に向かって時計方向に回転することが理解されるであろう。
【0189】
固定クロスバー700は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設される。すなわち、固定クロスバー700は、移動クロスバー600と同じ方向に延設される。
【0190】
固定クロスバー700の延設長さは、フレーム100の左右方向の長さと同一になるように形成される。よって、フレーム100に結合される固定クロスバー700は、左右方向に移動しない。
【0191】
固定クロスバー700は、フレーム100に回転可能に結合される。具体的には、回転軸720は、回転軸挿入孔111に回転可能に挿入結合される。よって、固定クロスバー700は、シュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち時計方向に回転する。
【0192】
固定クロスバー700は、固定本体部710と、回転軸720と、受圧突出部730と、挿入空間部740と、支持突出部750と、シュータ支持部760とを含む。
【0193】
固定本体部710は、固定クロスバー700の本体を形成する。固定本体部710は、一方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に延設される。固定本体部710の延設方向は、移動本体部610の延設方向と同一であることが理解されるであろう。
【0194】
固定本体部710は、非導電性素材で形成される。一実施形態において、固定本体部710は、合成樹脂素材で形成される。よって、固定本体部710と加圧部200間の任意の通電を防止することができる。
【0195】
固定本体部710の延設方向の各端部、すなわち同図に示す実施形態における左右方向の各端部には、回転軸720が所定距離だけ突設される。
【0196】
加圧部200から遠い側の固定本体部710の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側には、受圧突出部730及びシュータ支持部760が所定距離だけ突設される。
【0197】
移動クロスバー600に面した固定本体部710の他側、すなわち同図に示す実施形態における前側には、挿入空間部740が所定距離だけ凹設される。
【0198】
加圧部200に近い側の固定本体部710の他側、すなわち同図に示す実施形態における下側には、支持突出部750が所定距離だけ突設される。
【0199】
固定本体部710は、ホルダ挿入部711と、隆起部712とを含む。
【0200】
ホルダ挿入部711は、加圧部200から遠い側の固定本体部710の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側に所定距離だけ凹設される。ホルダ挿入部711が凹設される長さは、拘束突出部623の延設長さより大きい。
【0201】
ホルダ挿入部711は、固定クロスバー700と移動クロスバー600が結合される方向、すなわち同図に示す実施形態における前後方向に貫通して形成される。
【0202】
ホルダ挿入部711は、固定本体部710が延設される方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に所定距離だけ延設される。ホルダ挿入部711の左側及び右側は、隆起部712によりそれぞれ囲まれる。
【0203】
よって、拘束突出部623は、ホルダ挿入部711に挿入された状態で左又は右方向に所定距離だけ移動する。
【0204】
ホルダ挿入部711は、複数形成される。複数のホルダ挿入部711は、固定本体部710の延設方向、すなわち左右方向に互いに離隔して位置する。ホルダ挿入部711の数及び位置は、拘束突出部623の数及び位置及に応じて決定される。
【0205】
ホルダ挿入部711は、隆起部712間に位置する。
【0206】
隆起部712は、加圧部200から遠い側の固定本体部710の一面、すなわち同図に示す実施形態における上面を形成する。
【0207】
隆起部712は、ホルダ挿入部711の長手方向の各端部を囲むように形成される。すなわち、同図に示す実施形態において、隆起部712は、ホルダ挿入部711の左及び右端部を囲むように位置する。
【0208】
よって、ホルダ挿入部711に挿入された拘束突出部623の左右方向の移動距離は、隆起部712に接触する距離に制限される。
【0209】
隆起部712は、ホルダ挿入部711を左側及び右側からそれぞれ囲む2つの部分に分けられる。
【0210】
隆起部712は、複数形成される。複数の隆起部712は、固定本体部710の延設方向に互いに所定距離だけ離隔して配置される。複数の隆起部712は、各ホルダ挿入部711の左側及び右側を形成するようにそれぞれ位置する。
【0211】
回転軸720は、固定クロスバー700がフレーム100に回転可能に結合される部分である。回転軸720は、フレーム100の長手方向の各端部面に貫通して形成される回転軸挿入孔111に回転可能に挿入結合される。
【0212】
回転軸720は、固定本体部710の長手方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向の各端部に位置する。回転軸720は、固定本体部710の前記各端部から所定距離だけ突設される。
【0213】
回転軸720により、固定クロスバー700及び固定クロスバー700を含む調整クロスバー500は、フレーム100に対して相対的に回転する。
【0214】
受圧突出部730は、加圧突出部240により加圧される部分である。受圧突出部730が加圧されると、固定クロスバー700及び調整クロスバー500は、シュータ組立体300から遠ざかる方向に回転する。
【0215】
受圧突出部730は、加圧部200から遠い側の固定本体部710の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側に位置する。受圧突出部730は、固定本体部710の上側から所定距離だけ突設される。
【0216】
受圧突出部730は、複数備えられる。複数の受圧突出部730は、固定本体部710の延設方向に互いに所定距離だけ離隔して配置される。同図に示す実施形態において、受圧突出部730は、4つ備えられ、左右方向に互いに所定距離だけ離隔して配置される。各受圧突出部730間には、ホルダ挿入部711及び隆起部712が位置する。
【0217】
受圧突出部730の数及び位置が加圧突出部240の数及び位置に応じて決定されることが理解されるであろう。
【0218】
挿入空間部740は、拘束突出部623が挿入結合される空間である。挿入空間部740は、移動クロスバー600に面した固定本体部710の一面、すなわち同図に示す実施形態における前面に所定距離だけ凹設される。
【0219】
挿入空間部740は、固定本体部710の延設方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に所定距離だけ延設される。挿入空間部740の上記形状により、挿入空間部740に挿入結合される拘束突出部623が左右方向に移動する。
【0220】
挿入空間部740は、複数形成される。複数の挿入空間部740は、隔壁により区画される。前記隔壁により、固定本体部710の剛性が補強される。
【0221】
図示していない実施形態においては、隔壁が備えられない。すなわち、挿入空間部740は、固定本体部710の延設方向に連続して延設される。
【0222】
挿入空間部740は、高さ方向、すなわち同図に示す実施形態における上下方向に所定の幅を有するように形成される。前記幅は、挿入突出部650の上下方向の厚さと同一である。
【0223】
前述したように、挿入突出部650の内部に形成される溝により、挿入突出部650は、ある程度形状が変形し、挿入空間部740に嵌合される。上記実施形態において、挿入空間部740に挿入された挿入突出部650は、任意に分離されない。
【0224】
支持突出部750は、移動クロスバー600の移動本体部610を下側から支持する。支持突出部750は、固定本体部710の下側から、移動クロスバー600に向かって所定距離だけ突設される。
【0225】
支持突出部750は、複数形成される。複数の支持突出部750は、固定本体部710の延設方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に互いに所定距離だけ離隔して配置される。
【0226】
同図に示す実施形態において、支持突出部750は、各受圧突出部730の下側に位置するように配置される。この配置により、受圧突出部730が移動クロスバー600に向かう方向に加圧されると、支持突出部750が移動本体部610の下側を支持する。
【0227】
よって、受圧突出部730が加圧突出部240により加圧されると、調整クロスバー500が回転軸720を軸として回転する。その回転方向がシュータ組立体300から遠ざかる方向、すなわち同図に示す実施形態における時計方向であることについては前述した通りである。
【0228】
シュータ支持部760は、シュータ組立体300を支持する。具体的には、シュータ支持部760にシュータ組立体300のクロスバー接触部330が据えられる。シュータ支持部760とクロスバー接触部330が対向する各面は接触する。
【0229】
前述したように、クロスバー接触部330は、弾性部材320により、加圧部200に向かう方向、すなわち同図に示す実施形態における下向きの付勢力を受ける。よって、クロスバー接触部330がシュータ支持部760に据えられた状態が安定して維持される。
【0230】
シュータ支持部760は、加圧部200から遠い側の固定本体部710の一側、すなわち同図に示す実施形態における上側に位置する。シュータ支持部760は、固定本体部710の上側から所定距離だけ突設される。
【0231】
一実施形態において、シュータ支持部760は、据えられたクロスバー接触部330が水平に維持される長さだけ突設される。
【0232】
同図に示す実施形態において、シュータ支持部760は、固定本体部710の長手方向、すなわち左右方向に受圧突出部730が2つずつ位置するように配置される。すなわち、シュータ支持部760は、複数の受圧突出部730の中間部分に位置する。
【0233】
シュータ支持部760の位置は、シュータ組立体300の位置に応じて決定される。
【0234】
シュータ支持部760は、長手方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に移動しない。よって、クロスバー接触部330とシュータ支持部760間の接触状態が安定して維持される。
【0235】
よって、バイメタル400は、シュータ支持部760とクロスバー接触部330間の接触に影響されない。
【0236】
(3)調整クロスバー500の結合過程についての説明
図7及び
図8には、本発明の実施形態による調整クロスバー500が形成される過程を示す。
【0237】
前述したように、調整クロスバー500は、移動クロスバー600と固定クロスバー700が結合されて形成される。
【0238】
移動クロスバー600は、シュータ組立体300との距離が、固定クロスバー700とシュータ組立体300の距離より長くなるように配置される。すなわち、移動クロスバー600は、固定クロスバー700に比べて、シュータ組立体300から遠い側に配置される。
【0239】
同図に示す実施形態において、移動クロスバー600は、固定クロスバー700の前側に配置される。
【0240】
固定クロスバー700は、移動クロスバー600の後側に配置される。すなわち、固定クロスバー700は、シュータ組立体300と移動クロスバー600間に配置される。
【0241】
移動クロスバー600の挿入突出部650は、固定クロスバー700の挿入空間部740に挿入結合される。挿入突出部650と挿入空間部740は、それぞれ複数形成される。複数の挿入突出部650は、複数の挿入空間部740にそれぞれ挿入結合される。
【0242】
一実施形態において、挿入突出部650の厚さは、挿入空間部740の高さより大きく形成される。また、挿入突出部650の内部には溝が凹設され、前記溝を囲む挿入突出部650の上面及び下面が互いに向かって移動する。
【0243】
上記実施形態において、挿入突出部650は、挿入空間部740に嵌合される。よって、移動クロスバー600と固定クロスバー700が安定して結合される。
【0244】
ここで、挿入空間部740は、固定クロスバー700の長手方向に延設される。よって、挿入突出部650は、挿入空間部740に挿入された状態で左右方向に移動する。
【0245】
移動クロスバー600の拘束突出部623は、固定クロスバー700のホルダ挿入部711に挿入される。ホルダ挿入部711は、固定クロスバー700の長手方向に延設される。よって、拘束突出部623も、ホルダ挿入部711に挿入された状態で左右方向に移動する。
【0246】
上記結合により、移動クロスバー600は、固定クロスバー700に摺動可能に結合される。この摺動が調整クロスバー500の延設方向、すなわち同図に示す実施形態における左右方向に行われることについては前述した通りである。
【0247】
移動クロスバー600に形成される距離調整バーホルダ620は、固定クロスバー700に向かう方向に延設される。すなわち、移動クロスバー600が固定クロスバー700に結合されると、距離調整バーホルダ620は、固定本体部710を通過してシュータ組立体300に向かって延びる。
【0248】
よって、距離調整バーホルダ620に結合される距離調整バー630とバイメタル400間の距離が、トリップ動作を行うのに十分な距離となるように形成される。
【0249】
調整クロスバー500が形成されると、受圧突出部730と距離調整バーホルダ620は、調整クロスバー500の長手方向、すなわち左右方向に交互に配置される。
【0250】
また、シュータ支持部760は、調整クロスバー500の左右方向の中央部分に位置する。その位置がシュータ組立体300の位置に対応することについては前述した通りである。
【0251】
4.本発明の実施形態によるトリップ装置10の作動過程についての説明
以下、
図9~
図12を参照して、本発明の実施形態によるトリップ装置10が作動する過程について詳細に説明する。
【0252】
以下の説明に用いられるバイメタル400と距離調整バー630間の「最短距離」とは、バイメタル400に面した距離調整バー630の一端部とバイメタル400間の距離を意味する。
【0253】
次に、
図9及び
図10を参照して、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が減少するように調整される過程について説明する。
【0254】
同図に示す実施形態において、移動クロスバー600は、固定クロスバー700に対して相対的に左に摺動する。移動クロスバー600の移動距離が、拘束突出部623とホルダ挿入部711の結合、又は挿入突出部650と挿入空間部740の結合により制限されることについては前述した通りである。
【0255】
また、上記移動は、距離調整バーホルダ620と受圧突出部730間の相対的な距離の変化により表される。すなわち、移動クロスバー600が移動することにより、隣接して位置する距離調整バーホルダ620と受圧突出部730間の距離は、最大距離d1となる。
【0256】
よって、移動クロスバー600が左に移動することにより、距離調整バーホルダ620に結合される距離調整バー630も左に移動する。また、バイメタル400は、左へ行くほど距離調整バー630との最短距離が短くなるように形成される。
【0257】
よって、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が増加する。また、トリップ動作が行われるための基準電流値が減少するように調整される。
【0258】
ここで、固定クロスバー700は、移動クロスバー600の摺動とは関係なく、移動しない。よって、シュータ組立体300のクロスバー接触部330が据えられた固定クロスバー700のシュータ支持部760も移動しない。
【0259】
よって、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が減少するように移動クロスバー600が移動しても、クロスバー接触部330とシュータ支持部760間で摩擦が発生しない。
【0260】
次に、
図11及び
図12を参照して、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が増加するように調整される過程について説明する。
【0261】
同図に示す実施形態において、移動クロスバー600は、固定クロスバー700に対して相対的に右に摺動する。移動クロスバー600の移動距離が、拘束突出部623とホルダ挿入部711の結合、又は挿入突出部650と挿入空間部740の結合により制限されることについては前述した通りである。
【0262】
また、上記移動は、距離調整バーホルダ620と受圧突出部730間の相対的な距離の変化により表される。すなわち、移動クロスバー600が移動することにより、隣接して位置する距離調整バーホルダ620と受圧突出部730間の距離は、最小距離d2となる。
【0263】
よって、移動クロスバー600が右に移動することにより、距離調整バーホルダ620に結合される距離調整バー630も右に移動する。また、バイメタル400は、右へ行くほど距離調整バー630との最短距離が長くなるように形成される。
【0264】
よって、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が増加する。また、トリップ動作が行われるための基準電流値が増加するように調整される。
【0265】
ここで、固定クロスバー700は、移動クロスバー600の摺動とは関係なく、移動しない。よって、シュータ組立体300のクロスバー接触部330が据えられた固定クロスバー700のシュータ支持部760も移動しない。
【0266】
よって、バイメタル400と距離調整バー630間の最短距離が増加するように移動クロスバー600が移動しても、クロスバー接触部330とシュータ支持部760間で摩擦が発生しない。
【0267】
以上、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載される本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で本発明の様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0268】
10 トリップ装置
100 フレーム
110 収容部
111 回転軸挿入孔
120 隔壁
130 シュータ結合部
200 加圧部
210 ヒータ
220 マグネット
230 アーマチュア
231 アーマチュア回転軸
240 加圧突出部
300 シュータ組立体
310 シュータ本体部
320 弾性部材
330 クロスバー接触部
400 バイメタル
500 調整クロスバー
600 移動クロスバー
610 移動本体部
620 距離調整バーホルダ
621 延長部
622 バー挿入部
623 拘束突出部
630 距離調整バー
640 ノブ結合部
641 延長部
641a 第1延長部
641b 第2延長部
642 ノブ挿入部
650 挿入突出部
700 固定クロスバー
710 固定本体部
711 ホルダ挿入部
712 隆起部
720 回転軸
730 受圧突出部
740 挿入空間部
750 支持突出部
760 シュータ支持部
1000 従来技術によるトリップ装置
1100 トリップ装置ケース
1110 アーマチュア
1120 マグネット
1130 ヒータ
1200 クロスバー
1210 間隔調節部
1220 受圧突出部
1230 ノブ連結部
1240 シュータ接触部
1300 バイメタル
1400 シュータ
1500 ノブ
1510 ノブ調節部