(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25B 47/02 20060101AFI20231208BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231208BHJP
F25B 6/04 20060101ALI20231208BHJP
F28G 9/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F25B47/02 B
F25B1/00 101G
F25B1/00 381D
F25B6/04 Z
F28G9/00 Z
(21)【出願番号】P 2022529178
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2020021788
(87)【国際公開番号】W WO2021245791
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江上 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡島 圭吾
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-112316(JP,A)
【文献】国際公開第2016/046882(WO,A1)
【文献】特開2009-293839(JP,A)
【文献】特開2015-215117(JP,A)
【文献】特開平07-294059(JP,A)
【文献】実開平07-030095(JP,U)
【文献】登録実用新案第3192991(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25B 1/00
F25B 6/04
F28G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却運転と洗浄運転と除霜運転とを行なう冷却装置であって、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された前記冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器と、
前記熱交換器を通過した前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記冷媒を膨張させる膨張装置と、
前記膨張装置を通過した前記冷媒を前記圧縮機に戻す前に蒸発させる蒸発器と、
前記熱媒体を貯留するタンクと、
前記タンクと前記熱交換器との間で前記熱媒体を循環させるポンプと、
前記タンクに貯留された前記熱媒体を前記蒸発器の外表面に散布する散布装置と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒の温度または前記凝縮器において前記冷媒と熱交換する媒体の温度を検出する第1温度センサと、
前記タンクに貯留される前記熱媒体の温度を検出する第2温度センサと、
前記第1温度センサの出力に応じて前記凝縮器における前記冷媒からの放熱量を調整するように構成された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第2温度センサが検出する温度が目標温度に到達するように前記ポンプを用いて前記タンクと前記熱交換器との間で前記熱媒体を循環させた後に前記散布装置によって前記熱媒体を前記蒸発器の外表面に散布するように構成され、
前記制御装置は、前記洗浄運転において、前記目標温度を第1温度に設定した後に前記散布装置によって前記蒸発器の外表面に前記熱媒体を散布させるように構成され、
前記制御装置は、前記除霜運転において、前記第1温度よりも低い温度の前記熱媒体を前記蒸発器の外表面に散布させるように構成され、
前記制御装置は、予め設定された前記除霜運転および前記洗浄運転のスケジュールにしたがって前記ポンプを制御するように構成され
、
前記制御装置は、現在時刻が前記除霜運転および前記洗浄運転の開始時刻でなく、かつ前記現在時刻が前記除霜運転および前記洗浄運転の実行中でなく、かつ前記タンクの前記熱媒体の量が目標量以上である場合において、前記スケジュールにおいて
前記現在時刻からみて次に設定された運転が前記除霜運転である
ときには前記ポンプを停止させ、前記スケジュールにおいて
前記現在時刻からみて次に設定された運転が前記洗浄運転である
ときには前記ポンプを稼働させることを許可するように構成される、冷却装置。
【請求項2】
前記凝縮器に前記冷媒と熱交換する空気を供給するファンをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1温度センサの検出する温度がしきい値よりも低い場合には、前記第1温度センサの検出する温度が前記しきい値よりも高い場合よりも前記ファンの回転速度を低下させるように構成される、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒が前記凝縮器に通過しないように迂回させるバイパス流路と、
前記バイパス流路に設けられた流量調整弁とをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1温度センサの検出する温度がしきい値よりも低い場合には、前記第1温度センサの検出する温度が前記しきい値よりも高い場合よりも前記流量調整弁を通過する前記冷媒の流量を増加させるように構成される、請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄機能を有する冷却装置が知られている。たとえば、特許第5496555号公報(特許文献1)には、ユニットクーラの冷媒が通過する冷却用コイルの表面を洗浄する洗浄装置が開示されている。このユニットクーラの洗浄装置によれば、複数に分割した領域ごとに給水源からの水を選択的に順次噴出することにより、冷却用コイルの表面の洗浄領域全体を満遍なく洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
常温の水を用いた自動洗浄は、ユニットクーラ内部の汚れに起因する性能低下などに効果がある。しかし、固着する油性汚れは、低温または常温の水では落ちにくく、洗浄効果がないか、または洗浄に時間がかかるなどの課題がある。洗剤を使用すれば洗浄力を上げることができるが、被冷却物への洗剤混入のおそれがある。温水を使用することも考えられるが、ヒータによって温水を生成するのでは、消費電力が増加してしまう。
【0005】
本開示は、洗剤を使用せずに適切な温度の温水を使用して蒸発器の洗浄性能を向上させた冷却装置について開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、冷却装置に関する。冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出された冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器と、熱交換器を通過した冷媒を凝縮させる凝縮器と、冷媒を膨張させる膨張装置と、膨張装置を通過した冷媒を圧縮機に戻す前に蒸発させる蒸発器とを備える。冷却装置は、さらに、熱媒体を貯留するタンクと、タンクと熱交換器との間で熱媒体を循環させるポンプと、タンクに貯留された熱媒体を蒸発器の外表面に散布する散布装置と、第1温度センサと、制御装置とを備える。第1温度センサは、圧縮機から吐出される冷媒の温度または凝縮器において冷媒と熱交換する媒体の温度を検出するように構成される。制御装置は、第1温度センサの出力に応じて凝縮器における冷媒からの放熱量を調整するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の冷却装置は、温水を生成することが可能であり、生成した温水を蒸発器の外表面に散布することができる。このため、洗浄効果が高い高温水を洗浄水として使用し、油性汚れに対して有効な洗浄を行なうことができる。さらに、高温水は常温水より洗浄力が高いため、常温水を使用した場合より洗浄時間を短縮することができ、洗浄水量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の冷却装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】タンクの水を加熱する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】洗浄運転および冷却運転時の水に関する制御を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図6に示した変形例におけるタンクの水を加熱する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】除霜運転と洗浄運転とを実施する場合の水に関する制御を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図8におけるステップS30Bの処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】除霜運転および洗浄運転のスケジュールと温水生成期間の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。なお、以下の図は各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の冷却装置の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示されるように、冷却装置100は、圧縮機1と、室外ユニット2と、膨張装置3と、ユニットクーラ4(熱交換ユニット)と、洗浄装置5と、制御装置50とを備える。
【0011】
室外ユニットは、凝縮器21と、ファン24とを含む。なお、圧縮機1、膨張装置3および外気温を測定する温度センサ32も室外ユニットに設けられていても良い。
【0012】
冷却装置100には、冷媒が封入されている。冷却装置100は、圧縮機1、凝縮器21、膨張装置3、およびユニットクーラ4の順に冷媒を循環させる冷媒回路C1を備える。冷媒回路C1を循環する冷媒としては、たとえば、フロン冷媒(R404A、R410Aなど)、自然冷媒(CO2、NH3など)を用いることができる。膨張装置3としては、たとえば、電子膨張弁を用いることができる。ユニットクーラ4は、蒸発器41と、ファン44と、図示しないドレンパンとを含む。
【0013】
洗浄装置5は、熱媒体を用いて蒸発器41の洗浄を行なう。熱媒体としては、蒸発器41の洗浄に使用できる液体であれば特に限定されないが、たとえば水を用いることができる。以下、熱媒体として水を使用する例を説明する。
【0014】
洗浄装置5は、タンク6と、ポンプ7と、電磁弁8,9と、熱交換器10と、散布装置11とを含む。
【0015】
熱交換器10は、冷媒を流通させる流路10Aと水を流通させる流路10Bとを含む。熱交換器10は、流路10Aを流れる冷媒と流路10Bを流れる水との間で熱交換をさせるように構成される。熱交換器10は、たとえば、プレート熱交換器、二重管コイル、シェル&チューブ熱交換器などの熱交換器により構成される。流路10Aは、冷媒回路C1の圧縮機1と凝縮器21との間に組み込まれる。
【0016】
洗浄装置5は、水を貯留するタンク6、ポンプ7、電磁弁8、および熱交換器10の流路10Bを配管で接続し、水を循環させる水回路C2を備える。
【0017】
散布装置11には、洗浄水が供給される給水口と、洗浄水を噴射する複数のノズルとが形成されている。ファン44は、蒸発器41を通過する気流を形成する。ドレンパンは、蒸発器41からの水滴を受ける。ドレンパンに落下した水滴は、図示しない配水管から排水される。
【0018】
また、タンク6には、水位Lwを検出するセンサ12と、タンク6に貯留された水温Twを検出するセンサ13とが設けられ、タンク6の上部には、タンク6に対する水の供給流路を開閉する電磁弁14が設けられている。
【0019】
冷却装置100は、さらに、圧縮機1と、ファン24,44と、膨張装置3と、ポンプ7と、温度センサ31,32と、電磁弁8、9、14の動作を制御する制御装置50とを備える。
【0020】
電磁弁8は、水が循環する水回路C2に設けられる。電磁弁9は、水回路C2から散布装置11に水を供給する配管に設けられる。
【0021】
制御装置50は、電磁弁8および電磁弁9を用いて、水が水回路C2を循環する流路と、水が散布装置11に至る流路とを切り替える。
【0022】
なお、電磁弁8、9に代えて、切替装置として三方弁を設けるようにしても良い。この場合、三方のうちの一つを熱交換器10の流路10Bに接続し、三方のうちの一つをポンプ7に接続し、三方のうちの一つを散布装置11に接続する。
【0023】
散布装置11は、水を蒸発器41に散水し、蒸発器41に付着した汚れなどを洗浄するものである。
【0024】
電磁弁9が開かれることにより、ポンプ7から水が散布装置11に供給され、ユニットクーラ4の内部の自動洗浄が開始される。電磁弁9が閉じられることにより、自動洗浄が終了する。
【0025】
制御装置50は、処理装置51と、メモリ52と、図示しない入出力部とを含む。処理装置51は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリ52に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。処理装置51がCPUの場合、制御装置50の機能は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアはプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。処理装置51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行する。メモリ52には、不揮発性または揮発性の半導体メモリ(たとえばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が含まれる。なお、CPUは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいはDSP(Digital Signal Processor)とも呼ばれる。
【0026】
制御装置50は、圧縮機1の駆動周波数を制御して、圧縮機1が単位時間当たりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置50は、蒸発器41から流出する冷媒の過熱度が所望の範囲となるように、膨張装置3の開度を制御する。制御装置50は、ファン44の単位時間当たりの送風量を制御する。制御装置50は、電磁弁8,9,14を制御する。
【0027】
制御装置50は、除霜条件が成立した場合、除霜運転を行なう。除霜条件としては、たとえば、前回の除霜運転から一定の時間が経過したという条件を挙げることができる。なお、除霜の方法については、たとえば、圧縮機1を停止して、ファン44の送風による蒸発器41の除霜を実行するオフサイクルデフロストを使用することができる。また、制御装置50は、洗浄条件が成立した場合、洗浄運転を行なう。洗浄条件としては、たとえば、一日の食品加工作業終了時などの時刻に現在時刻が一致したという条件を挙げることができる。除霜運転および洗浄運転以外の時間は、制御装置50は冷却運転を行なう。冷却運転中に洗浄運転に必要な温水を生成するために、制御装置50は、温度センサ31または32の出力に応じて凝縮器21における冷媒からの放熱量を調整する。
【0028】
図2は、冷却運転時の水の流れを示す図である。冷却運転時には、制御装置50は、圧縮機1を運転して冷媒を冷媒回路C1に循環させるとともに、電磁弁8を開き、電磁弁9を閉じる。冷却運転中において、制御装置50はポンプ7を作動させて水を水回路C2に循環させる。センサ13により検知されたタンク内の水温Twが目標温度Y℃以上に上昇した場合、制御装置50は、ポンプ7を停止することによって水回路C2の水の循環を停止させる。タンク6内の水温Twが目標温度Y℃未満に低下した場合には、制御装置50は、ポンプ7を作動させて水の循環を再開させ、水温Twを上昇させる。
【0029】
図3は、洗浄運転時の水の流れを示す図である。蒸発器に付着したごみおよび汚れを洗浄する洗浄運転時には、制御装置50は、圧縮機1を停止して冷媒回路C1における冷媒の循環を中断させるとともに、電磁弁8を閉じ、電磁弁9を開く。洗浄運転中において、制御装置50は設定した時間だけポンプ7を作動させて水を散布装置11に供給する。タンク6に温水が貯留されている場合には、油汚れなどを温水によって落とすことができる。
【0030】
なお、タンク6内には水位Lwを検出するセンサ12が設置される。制御装置50は、
図2に示す冷却運転中に水位Lwが一定値以下に低下した場合、タンク6に水を供給する電磁弁14を開く。ただし、
図3に示す洗浄運転中はタンク6内の水の温度低下を避けるため、制御装置50は、水位Lwが低下しても電磁弁14を閉止したままとし水の供給はしない。
【0031】
図4は、タンクの水を加熱する処理を説明するためのフローチャートである。制御装置50は、
図4に示す処理を実行することによって、水温Twを目標温度Y℃まで上昇させる。しかし、冷媒回路C1からの放熱量は、外気温度が低いほど多くなるため、外気温度が低いと、圧縮機1の吐出ガス温度が十分に上昇しない場合も考えられる。そこで、制御装置50は、
図4に示すフローチャートの処理を、一定時間ごと、または判定条件が成立するごとに、冷却装置100を制御するメインルーチンから呼び出して実行する。
【0032】
温水を目標温度Y℃にするためには、圧縮機1の吐出ガス温度を確保することが重要である。吐出ガスの温度T1は、温水の目標温度Y℃よりも高い必要がある。したがって、吐出ガスの目標温度T1*は、Y+αに設定される。たとえば、αを10℃に設定した場合、温水の目標温度Y℃が60℃のときには、吐出ガスの目標温度T1*は70℃に設定される。
【0033】
まず、ステップS1において、制御装置50は、圧縮機1の吐出する冷媒の温度T1が目標温度T1*以下であるか否かを判断する。T1>T1*であった場合には(S1でNO)、制御装置50は、ステップS2,S3の処理は行なわずに制御をメインルーチンに戻す。
【0034】
一方、T1≦T1*であった場合には(S1でYES)、制御装置50は、ステップS2において、凝縮器21に送風するファン24の出力が0%であるか否かを判断する。
【0035】
ファン24の出力が0%であった場合(S2でYES)、これ以上ファン24の出力を低下させることはできないため、制御装置50は、ステップS3の処理は行なわずに制御をメインルーチンに戻す。
【0036】
一方、ファン24の出力が0%でなかった場合(S2でNO)、制御装置50は、ステップS3において、ファン24の出力をx%ダウンさせる。
【0037】
以上のような制御が繰返し実行されることによって、水を適温にするための熱源として冷媒の温度T1が確保できる。
【0038】
本実施の形態では、熱交換器10において水と熱交換する冷媒ガスの温度が目標温度T1*よりも低い場合にファン24の回転速度を通常よりも低下させるので、冷媒回路C1からの放熱量が減少し、吐出ガス温度を上昇させることができる。
【0039】
なお、冷媒回路C1からの放熱量は、外気温度が低いほど多くなるため、吐出ガス温度に代えて外気温度に応じて放熱量を調整しても良い。たとえば、冬場は凝縮器21から外気への放熱量が多くなるため吐出温度T1が低くなり、洗浄水の温度を保てなくなることが考えられる。その場合、冷媒を循環させる冷凍サイクルに支障をきたさない程度に、凝縮器21のファン24の出力を低下または停止させ、凝縮器21における放熱量を少なくする。これにより、凝縮温度を高く保つことで圧縮機吐出温度を確保し温水生成を行なう。なお、凝縮器21が水冷式の場合には、ファン24に代えて冷却水を凝縮器21に送るポンプの出力を同様に制御すれば良い。
【0040】
それでも目標水温Y℃を確保できない場合は、たとえば
図4のステップS2でYESに分岐した後に、インバータ制御で一時的に圧縮機1運転出力を増加させて温水生成を行なう運転パターンを設けてもよい。
【0041】
図5は、洗浄運転および冷却運転時の水に関する制御を説明するためのフローチャートである。
図5に示すフローチャートの処理は、一定時間ごと、または判定条件が成立するごとに、冷却装置100を制御するメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0042】
まず、ステップS11において制御装置50は、現在時刻が予め定められた洗浄運転の開始時刻であるか否かを判断する。洗浄運転の開始時刻である場合(S11でYES)、制御装置50は、ステップS12において冷却運転を停止する。この場合、圧縮機1および送風機(ファン24,44)の運転が停止される。またステップS12において、制御装置50は、電磁弁8を閉止し、電磁弁9を開く。
図5においては、OFFが電磁弁の閉じた状態を示し、ONが開いた状態を示す。そしてステップS13において制御装置50はポンプ7を運転させる。これにより、
図3の矢印で示した経路で水がタンク6から散布装置11に供給され、蒸発器41の外表面が洗浄される。
【0043】
そして、ステップS14において制御装置50は、洗浄運転を開始してから設定時間が経過したか否かを判断する。設定時間が経過していない場合(S14でNO)、制御装置50は、ステップS13のポンプ7の運転を継続する。設定時間が経過した場合(S14でYES)、制御装置50は、ステップS15において、ポンプ7の運転を停止し、ステップS16において電磁弁9を閉じて、洗浄運転を終了し、制御をメインルーチンに戻す。
【0044】
一方、洗浄運転の開始時刻でない場合(S11でNO)、制御装置50は、ステップS17において冷却運転を開始する。この場合、圧縮機1および送風機(ファン24,44)が運転される。またステップS17において、制御装置50は、電磁弁9を閉じ、電磁弁8を開く。
【0045】
続いて、ステップS18において、制御装置50は、センサ12の出力に基づいて、タンク6内の水位Lwが目標水位Lw*以上であるか否かを判断する。水位Lwが目標水位Lw*以上でない場合(S18でNO)、制御装置50は、電磁弁14を一定時間だけ開いてタンク6に給水を行ない、再びステップS18において水位Lwを目標水位Lw*と比較する。
【0046】
水位Lwが目標水位Lw*以上である場合(S18でYES)、制御装置50は、ステップS20において、タンク6内の水温Twが目標温度Y℃より低いか否かを判断する。Tw<Yである場合(S20でYES)、制御装置50は、ポンプ7を運転させ、タンク6と熱交換器10との間で水を循環させ水温Twを上昇させる。一方、Tw<Yでない場合(S20でNO)、水温Twを上昇させる必要はない。したがって、制御装置50は、ポンプ7を停止させ、タンク6と熱交換器10との間の水の循環を中止させる。
【0047】
図6は、冷却装置の変形例を示す図である。
図6に示す変形例の冷却装置100Aは、
図1に示した冷却装置100の構成に加えて、冷媒が凝縮器21に通過しないように迂回させるバイパス流路110と、バイパス流路110に設けられた流量調整弁111とをさらに備える。他の部分の
図7の構成については、
図1と同様であるので、説明は繰返さない。流量調整弁111は、開度を変更して複数段階に流量を調整できることが好ましいが、電磁弁であってもよい。
【0048】
制御装置50は、温度センサ31または32の検出する温度がしきい値よりも低い場合には、温度センサ31または32の検出する温度がしきい値よりも高い場合よりも流量調整弁111を通過する冷媒の流量を増加させる。
【0049】
これにより、凝縮器21において冷媒から外気に放熱される熱量が減少する。その結果吐出温度T1を上昇させることができ、熱交換器10において冷媒から水へ放熱される熱量を確保することができる。たとえば、冬場など外気温度が低い場合にこのような構成および制御が有効である。
【0050】
図7は、
図6に示した変形例におけるタンクの水を加熱する処理を説明するためのフローチャートである。制御装置50は、
図7に示す処理を実行することによって、水温Twを目標温度Y℃まで上昇させる。
図7に示すフローチャートの処理は、一定時間ごと、または判定条件が成立するごとに、冷却装置100を制御するメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0051】
図7に示すフローチャートは、
図4に示したフローチャートにステップS4の処理を追加したものである。ステップS4以外の処理については、
図4と同じであるので、説明は繰返さない。
【0052】
図7において、ファン24の出力が0%である場合(S2でYES)、制御装置50はステップS4の処理を実行する。ステップS4では、制御装置50は、流量調整弁111を開き凝縮器21を迂回させて(バイパスさせて)冷媒の一部または全部を膨張装置3に向けて流す。
【0053】
これにより、ファン24を停止している場合においても、凝縮器21において冷媒から外気に放熱される熱量をさらに減少させることができるので、圧縮機1の吐出温度T1を上昇させることができる。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態1では、散布装置11を使用する洗浄運転について説明したが、散布装置11を使用して蒸発器41の除霜を行なうことも可能である。実施の形態2では、散布装置11を使用して除霜運転および洗浄運転を実行する冷却装置について説明する。なお、実施の形態2の冷却装置の構成については、
図1または
図6に示した冷却装置と同様であるので、説明は繰返さない。
【0055】
実施の形態2では、制御装置50は、除霜条件が成立した場合、圧縮機1およびファン44を停止して、
図3の矢印に示した経路で水を流し散布装置11によって水を蒸発器41の外表面に散布する除霜運転を行なう。除霜条件としては、たとえば、1日の運転スケジュールにおいて予め除霜運転を開始する時刻が決められており、現在時刻が開始時刻に一致するという条件を挙げることができる。なお、除霜条件については、上記に限定されず、他の条件で行なわれても良い。
【0056】
図8は、除霜運転と洗浄運転とを実施する場合の水に関する制御を説明するためのフローチャートである。
図8に示すフローチャートの処理は、一定時間ごと、または判定条件が成立するごとに、冷却装置100を制御するメインルーチンから呼び出されて実行される。
【0057】
まず、ステップS11Bにおいて制御装置50は、現在時刻が予め定められた除霜運転の開始時刻または洗浄運転の開始時刻であるか否かを判断する。除霜運転の開始時刻または洗浄運転の開始時刻である場合(S11BでYES)、制御装置50は、ステップS12において冷却運転を停止する。この場合、圧縮機1および送風機(ファン24,44)の運転が停止される。またステップS12において、制御装置50は、電磁弁8を閉止し、電磁弁9を開く。
図8においては、OFFが電磁弁の閉じた状態を示し、ONが開いた状態を示す。そしてステップS13において制御装置50はポンプ7を運転させる。これにより、
図3の矢印で示した経路で水がタンク6から散布装置11に供給され、蒸発器41の外表面に散水される。
【0058】
そして、ステップS14Bにおいて制御装置50は、除霜運転または洗浄運転を開始してから設定時間が経過したか否かを判断する。設定時間が経過していない場合(S14BでNO)、制御装置50は、ステップS13のポンプ7の運転を継続する。設定時間が経過した場合(S14BでYES)、制御装置50は、ステップS15において、ポンプ7の運転を停止し、ステップS16において電磁弁9を閉じて、洗浄運転を終了し、制御をメインルーチンに戻す。
【0059】
一方、除霜運転の開始時刻および洗浄運転の開始時刻のいずれでもない場合(S11BでNO)、制御装置50は、ステップS17において冷却運転を開始する。この場合、圧縮機1および送風機(ファン24,44)が運転される。またステップS17において、制御装置50は、電磁弁9を閉じ、電磁弁8を開く。
【0060】
続いて、ステップS18において、制御装置50は、センサ12の出力に基づいて、タンク6内の水位Lwが目標水位Lw*以上であるか否かを判断する。水位Lwが目標水位Lw*以上でない場合(S18でNO)、制御装置50は、電磁弁14を一定時間だけ開いてタンク6に給水を行ない、再びステップS18において水位Lwを目標水位Lw*と比較する。
【0061】
水位Lwが目標水位Lw*以上である場合(S18でYES)、制御装置50は、ステップS30Bにおいて、現在の時刻が温水生成期間中に該当するか否かを判断する。この処理の詳細については、
図9を用いて後に説明する。
【0062】
現在の時刻が温水生成期間中に該当する場合(S30BでYES)、制御装置50は、ステップS20において、タンク6内の水温Twが目標温度Y℃より低いか否かを判断する。Tw<Yである場合(S20でYES)、制御装置50は、ステップS21においてポンプ7を運転させ、タンク6と熱交換器10との間で水を循環させ水温を上昇させる。
【0063】
一方、現在の時刻が温水生成期間中に該当しない場合(S30BでNO)、およびTw<Yでない場合(S20でNO)には、水温を上昇させる必要はない。したがって、制御装置50は、ステップS22においてポンプ7を停止させ、タンク6と熱交換器10との間の水の循環を中止させる。
【0064】
図9は、
図8におけるステップS30Bの処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS30Bの処理においては、温水を使用する運転がされる。温水を使用するか否かは、各スケジュールにおける除霜運転、洗浄運転ごとに予め設定しておくことができる。
【0065】
まずステップS41において、制御装置50は、温水使用が洗浄運転のみに設定されているか否かを判断する。温水使用が洗浄運転のみに設定されている場合(S41でYES)、除霜運転では温水は使用されないので、ステップS42において、次の散水スケジュールに洗浄運転が予定されているか否かを判断する。
【0066】
次のスケジュールが洗浄運転であった場合(S42でYES)、ステップS43において、制御装置50は現在の時刻が温水生成期間中であると判断する。逆に、次のスケジュールが洗浄運転でない場合(S42でNO)、ステップS43において、制御装置50は現在の時刻が温水生成期間中でないと判断する。また、ステップS41において、除霜運転時にも温水を使用するように設定されていた場合(S41でNO)、常時温水が生成されるため、制御装置50はステップS45において現在の時刻が温水生成期間中であると判断する。
【0067】
このように、現在の時刻が温水生成期間中であるか否かが判断された後、
図8のステップS20~S22の処理が実行される。
【0068】
図10は、除霜運転および洗浄運転のスケジュールと温水生成期間の一例を説明するための図である。
図10においては、除霜開始時間として6時、12時、18時が設定されている。また、洗浄開始時間として22時が設定されている。そして、温水使用は、洗浄運転のみであり、除霜運転では常温の水が使用される。
【0069】
図10において、夜22時の洗浄運転が終了してから朝6時の除霜運転開始時間までの期間は、
図9のステップS42においてNOと判断され、温水生成期間中ではないと判断される。同様に、6時の除霜運転が終了してから12時の除霜運転開始時間までの期間、および12時の除霜運転が終了してから18時の除霜運転開始時間までの期間も、温水生成期間中ではないと判断される。
【0070】
一方、19時の除霜運転が終了してから22時の洗浄運転が開始されるまでの期間は、温水生成期間中であると判断される。
【0071】
このようなスケジュールが設定された結果、1日のうち、18時の除霜運転が終了してから22時の洗浄運転が開始されるまでの間にポンプ7および熱交換器10によって洗浄に必要な温水が生成される。そして、22時~18時の間は、ポンプ7を動かさなくても良いので、消費電力を低減させることができる。
【0072】
なお、
図10では、除霜開始時刻、洗浄開始時刻と、除霜運転に温水を使用しないようにした設定の例が示されたが、除霜運転、洗浄運転ごとに別々に目標温度Y℃を設定可能としても良い。また、除霜運転に温水を使用し、洗浄運転に常温水を使用するようにしても良い。
【0073】
(まとめ)
以下に、本実施の形態について、再び図面を参照して総括する。
【0074】
本開示は、冷却装置100,100Aに関する。
図1および
図6に示す冷却装置100,100Aは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1から吐出された冷媒と水とを熱交換させる熱交換器10と、熱交換器10を通過した冷媒を凝縮させる凝縮器21と、冷媒を膨張させる膨張装置3と、膨張装置3を通過した冷媒を圧縮機1に戻す前に蒸発させる蒸発器41とを備える。冷却装置100,100Aは、さらに、水を貯留するタンク6と、タンク6と熱交換器10との間で水を循環させるポンプ7と、タンク6に貯留された水を蒸発器41の外表面に散布する散布装置11と、第1温度センサ(31,32)と、制御装置50とを備える。第1温度センサは(31,32)は、圧縮機1から吐出される冷媒の温度T1または凝縮器21において冷媒と熱交換する媒体の温度T2を検出するように構成される。制御装置50は、第1温度センサの出力に応じて凝縮器21における冷媒からの放熱量を調整するように構成される。
【0075】
このように、冷却装置100,100Aは、温水を生成することが可能であり、生成した温水を蒸発器41の外表面に散布することができる。このため、洗浄効果が高い高温水を洗浄水として使用し、油性汚れに対して有効な洗浄を行なうことができる。さらに、高温水は常温水より洗浄力が高いため、常温水を使用した場合より洗浄時間を短縮することができ、洗浄水量を削減できる。
【0076】
また、洗浄用の高温水生成には、冷凍サイクルから外気に放熱されていた排熱の一部を利用するため、電気ヒータまたは給湯器などの追加機器が不要である。また、電気ヒータ等で温水を生成する場合、温水生成のためのエネルギーが別途必要となるが、本発明では、追加電熱機器が不要であるため、消費電力を削減できる。
【0077】
また、洗浄運転中は冷却運転できないため、冷蔵庫内の温度が上昇し、被冷却物の鮮度低下を引き起こす可能性がある。本実施の形態では、常温水を用いた場合より、洗浄時間を短くできるため、冷却運転を中断する時間が短くて済む。このため、被冷却物の鮮度低下を抑制できる。また、冷却運転中断時の庫内温度上昇幅が少ないため、洗浄運転後の冷却に使用する消費電力を削減することができる。
【0078】
また、除霜運転として、冷媒の循環を止めてファンを回すだけのオフサイクル運転を行なっていたような場合、本実施の形態では、洗浄運転中は、温水によって蒸発器の温度が上昇するため除霜効果も得られるので、洗浄の頻度によっては除霜運転が不要となり冷却運転を停止する時間を少なくすることができる。
【0079】
好ましくは、冷却装置100,100Aは、凝縮器21に冷媒と熱交換する空気を供給するファン24をさらに備える。
図4および
図7に示すように、制御装置50は、第1温度センサの検出する温度T1がしきい値T1*よりも低い場合には(S1でYES)、第1温度センサの検出する温度T1がしきい値T1*よりも高い場合(S1でNO)よりもファン24の回転速度を低下させる。
【0080】
温水を目標温度にするためには、圧縮機1の吐出ガス温度を確保することが重要である。たとえば、温水の目標温度が60℃である場合、吐出ガス温度は60℃よりも高い必要がある。本実施の形態では、熱交換器10において水と熱交換する冷媒ガスの温度がしきい値よりも低い場合にファン24の回転速度を通常よりも低下させるので、冷媒回路C1からの放熱量が減少し、吐出ガス温度を上昇させることができる。なお、冷媒回路C1からの放熱量は、外気温度が低いほど多くなるため、吐出ガス温度T1に代えて外気温度T2に応じて放熱量を調整しても良い。
【0081】
図6に示すように、好ましくは、冷却装置100Aは、冷媒が凝縮器21に通過しないように迂回させるバイパス流路110と、バイパス流路110に設けられた流量調整弁111とをさらに備える。制御装置50は、第1温度センサの検出する温度がしきい値よりも低い場合には、第1温度センサの検出する温度がしきい値よりも高い場合よりも流量調整弁111を通過する冷媒の流量を増加させる。
【0082】
図6に示す冷却装置100Aでは、熱交換器10において水と熱交換する冷媒ガスの温度がしきい値よりも低い場合に流量調整弁111を通過する冷媒の流量を増加させるので、冷媒回路C1からの放熱量が減少し、吐出ガス温度を上昇させることができる。この場合も、吐出ガス温度T1に代えて外気温度T2に応じて放熱量を調整しても良い。
【0083】
なお、冬場など熱交換器10の出口部分で冷媒が完全に液冷媒に凝縮される場合は、凝縮器21のファン24(水冷式凝縮器の場合は冷却水ポンプ)を停止させて、熱交換器10のみを用いて冷媒を凝縮してもよい。
【0084】
好ましくは、冷却装置100,100Aは、タンク6に貯留される水の水温Twを検出するセンサ13をさらに備える。制御装置50は、センサ13が検出する温度が目標温度Y℃に到達するようにポンプ7を用いてタンク6と熱交換器10との間で水を循環させた後に散布装置11によって水を蒸発器41の外表面に散布する。
【0085】
このような構成で水を循環させることによって、熱交換器10の熱交換量が少ない場合でも、タンク6内に貯留される水の温度を目標温度に近づけることができる。
【0086】
より好ましくは、
図8~
図10に示すように、制御装置50は、目標温度を第1温度Y℃に設定した後に散布装置11によって蒸発器41の外表面に散布する洗浄運転と、第1温度よりも低い温度の水(常温水)を蒸発器41の外表面に散布する除霜運転とを実行する。
【0087】
このように制御することによって、除霜運転の準備期間におけるポンプ7の消費電力を低減させることができる。
【0088】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 圧縮機、2 室外ユニット、3 膨張装置、4 ユニットクーラ、5 洗浄装置、6 タンク、7 ポンプ、8,9,14 電磁弁、10 熱交換器、10A,10B 流路、11 散布装置、12,13 センサ、21 凝縮器、24,44 ファン、31,32 温度センサ、41 蒸発器、50 制御装置、51 処理装置、52 メモリ、100,100A 冷却装置、110 バイパス流路、111 流量調整弁、C1 冷媒回路、C2 水回路。