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特許7399292圧縮機から液体を除去するためのシステムを有する圧縮機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】圧縮機から液体を除去するためのシステムを有する圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 17/12 20060101AFI20231208BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20231208BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F04D17/12
F04D29/42 M
F04D29/70 M
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022534241
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020025571
(87)【国際公開番号】W WO2021115633
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】102019000023883
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビギ、マヌエレ
(72)【発明者】
【氏名】フィオラヴァンティ、ドゥッチョ
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ネリ、マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ドッツィーニ、マッテオ
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0048546(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0010947(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0048895(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 17/12
F04D 29/42
F04D 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心圧縮機であって、
ガス入口及びガス出口を備えるケーシングと、
前記ケーシング内に配置され、垂直回転軸を中心に回転するように構成されたロータであって、前記ロータは、インペラ吸込側及びインペラ吐出側を有する少なくとも1つのインペラを備える、ロータと、
前記ガス入口から前記ガス出口に延在するガス流路と、
前記ケーシング内で、前記ガス入口から前記インペラ吸込側に向かって上方に延在し、前記垂直回転軸の周りに環形状に形成され、側方で前記ガス入口に流体接続する入口プレナムと
下部吸込端及び上部排出端を有し、前記垂直回転軸の円周方向に前記ガス入口から離間して配置された、少なくとも1つの吸込管と、を備え
前記下部吸込端は、前記入口プレナムの底部に配置され、
前記少なくとも1つの吸込管は、前記インペラ吸込側に向かって上方に延在する、遠心圧縮機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの吸込管の前記上部排出端は、前記インペラ吸込側の前方に配置されている、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの吸込管は、前記垂直回転軸に対して前記ガス入口の反対側に配置されている、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記下部吸込端は、前記入口プレナムの前記底部に配置された沈降室内に位置付けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記入口プレナムは、前記ガス入口のほぼ反対側に位置する、区画フィンによって2つの入口プレナム部分に分割され、前記沈降室は、前記区画フィンによって形成されている、請求項4に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの吸込管は、前記区画フィン内に形成されている、請求項5に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記少なくとも1つの吸込管内の流体流を促進するように適合されたエジェクタを更に備える、請求項1から6のいずれか一項以上に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記エジェクタは、前記少なくとも1つのインペラの下流で、前記ガス流路に流体結合されている、請求項7に記載の遠心圧縮機。
【請求項9】
前記エジェクタを前記ガス流路に接続する加圧ガスダクトと、前記加圧ガスダクトを選択的に閉鎖及び開放するように適合された閉鎖部材と、を更に備える、請求項8に記載の遠心圧縮機。
【請求項10】
前記遠心圧縮機内の液体を収集するように適合された少なくとも1つの排水ダクトを更に備える、請求項1から9のいずれか一項以上に記載の遠心圧縮機。
【請求項11】
前記少なくとも1つの排水ダクトは、前記入口プレナムを内側から支持する部材である、前記入口プレナムを横切ストラットを通って延在する、請求項10に記載の遠心圧縮機。
【請求項12】
前記入口プレナムの前記底部の下に少なくとも部分的に延在し、前記入口プレナムに流体結合された液体収集室を更に備え、前記少なくとも1つの排水ダクトは、前記液体収集室に流体結合されている、請求項10又は11に記載の遠心圧縮機。
【請求項13】
前記液体収集室は、前記入口プレナムによって部分的に囲まれている、請求項12に記載の遠心圧縮機。
【請求項14】
ロータ軸受は、前記液体収集室内に収容されている、請求項12又は13に記載の遠心圧縮機。
【請求項15】
前記入口プレナムは、前記ロータ軸受を取り囲む、請求項14に記載の遠心圧縮機。
【請求項16】
前記液体収集室は、前記ロータ軸受の下のレベルで前記入口プレナム内で終了する少なくとも1つの連通ダクトを介して前記入口プレナムと流体連通している、請求項14又は15に記載の遠心圧縮機。
【請求項17】
前記液体収集室は、加圧ガス源と流体連通している、請求項14から16のいずれか一項以上に記載の遠心圧縮機。
【請求項18】
前記液体収集室は、前記少なくとも1つのインペラの下流で、前記ガス流路と流体連通している、請求項13から17のいずれか一項以上に記載の遠心圧縮機。
【請求項19】
前記ロータに駆動可能に結合され、前記ケーシング内に収容されたモータを更に備える、請求項1から18のいずれか一項以上に記載の遠心圧縮機。
【請求項20】
前記入口プレナムの前記底部の形状は、流入ガスのエネルギーが前記入口プレナムに滞留する液体を前記少なくとも1つの吸込管に引き込むように前記垂直回転軸の周りで変化する、請求項1から19のいずれか一項記載の遠心圧縮機。
【請求項21】
ガス入口及びガス出口を有するケーシングと、垂直回転軸を中心に回転するように前記ケーシング内に配置されたロータであって、前記ロータは、インペラ吸込側及びインペラ吐出側を有する少なくとも1つのインペラを備える、ロータと、前記ガス入口から前記ガス出口に延在するガス流路と、前記ケーシング内に配置され、前記ガス入口から前記インペラ吸込側に向かって上方に延在し、前記垂直回転軸の周りに環形状に形成され、側方で前記ガス入口に流体結合する入口プレナムと
を備える、液体耐性遠心圧縮機から液体を除去する方法であって、前記方法は、
前記遠心圧縮機の前記入口プレナム内に液体を収集するステップと、
前記入口プレナムの底部に下部吸込端を有し、前記下部吸込端から前記インペラ吸込側に向かって排出端まで上方に延在し、前記垂直回転軸の円周方向に前記ガス入口から離間して配置された、少なくとも1つの吸込管を介して前記入口プレナムから液体を吸引するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、遠心圧縮機及び遠心電動圧縮機、並びにそのような圧縮機及び電動圧縮機を動作させるための方法に関する。具体的には、本開示の実施形態は、垂直遠心圧縮機などの液体耐性圧縮機、及び始動時に圧縮機から液体を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、ガス流の圧力を高めるために使用される。軸流圧縮機及び遠心圧縮機を含む動的圧縮機は、後者がラジアル圧縮機とも呼ばれ、ロータを通る流体の連続した流れに運動エネルギーを加えることによって流体の圧力を上昇させる。次いで、ディフューザを通るガス流を遅くすることによって、運動エネルギーを静圧に変換する。
【0003】
圧縮機は、気体流体を処理するように設計されている。しかしながら、いくつかの用途では、ガス流は、例えば、小さな液滴の形態で液相も含有し得る。液相の存在に耐えるように適合された圧縮機は、液体耐性圧縮機と呼ばれることがある。液相と気相との混合物が圧縮機を通して加工され得る典型的な用途は、油及びガスの分野である。
【0004】
液体を収集し、圧縮機から除去するものとする。この目的のために、外部排水システムが通常提供される。これらのシステムは、圧縮機の複雑さ及びコストを増加させる。それらは機能不良を起こしやすいことがあり、これは特に、保守又は修理の介入が困難であり得る海中設備において重要になり得る。US2019/0048895は、外部排水システムを必要としない遠心電動圧縮機を開示している。
【0005】
上記の圧縮機は、液体耐性圧縮機の分野における実質的な改善を表すが、特に液体排水効率に関して、更なる改善の余地がある。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示されるのは、ケーシングと、垂直回転軸の周りを回転するためにケーシング内に配置されたロータと、を含む遠心圧縮機である。ロータは、少なくとも1つのインペラを含む。いくつかの実施形態では、圧縮機は、列状、又は任意の他の適切な配置、例えば背中合わせの構成に配置された複数のインペラを含む。
【0007】
圧縮機は、ガス入口からインペラの吸込側に向かって延在する入口プレナムを更に含む。本明細書に開示される実施形態に従って、圧縮機の底部領域に収集された液体の除去を容易にするために、吸込管が提供され、吸入管は、入口プレナムの底部に配置された下部吸込端を有する。吸込管は、圧縮機のインペラの吸込側に向かって上方に延在する。圧縮機が2つ以上のインペラを有する場合、吸込管は、第1のインペラ、すなわち最も上流のインペラの吸込側に向かって延在することができる。インペラ吸込側の回転インペラによって生成された低いガス圧は、吸込管を通って伝播され、入口プレナムの底部に集まった液体の除去を容易にする。
【0008】
吸込管を通る液体の吸込を改善するために、吸込管の排出端は、インペラブレードの前縁部に可能な限り近く、インペラ吸込側の前に配置することができる。
【0009】
いくつかの現在好ましい実施形態によれば、吸込管は、圧縮機ロータの回転軸に対してガス入口の反対側に配置されている。ここでは、沈降室を、好ましくは入口プレナムの底部に隣接して形成することができる。沈降室内に入ってくるガスの速度は低く、ほぼゼロであり得る。このようにして、吸込管の入口端と出口端との間により高い圧力差を確立することができ、入口プレナムの底部に滞留する液体の除去を促進する。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、入口プレナムは、ガス入口のほぼ反対側に位置する区画フィンによって2つの入口プレナム部分に分割することができる。沈降室は、フィンによって形成することができる。吸込管は、フィン内に収容し得るか、又はフィンによって形成し得る。
【0011】
上記の吸込構成の効率を更に改善するために、いくつかの実施形態によれば、吸込管内の流体流を促進するように適合されたエジェクタを提供することができる。エジェクタは、入口プレナム内のガス圧力よりも高い圧力でガス流によって操作することができる。例えば、ガス流を、インペラの下流のガス流路の点から迂回させることができる。2つ以上のインペラがある場合、加圧ガスは、圧縮機インペラのうちの1つの下流、例えば最後のインペラの下流のガス流路の点から迂回させることができる。
【0012】
圧縮機は、圧縮機内の液体を収集するように適合された1つ以上の排水ダクトを含むことができる。液体は、圧縮機の底部に、例えば、入口プレナム及び/又は液体収集室内で、少なくとも部分的に入口プレナムの底部の下に延在し、入口プレナムに流体結合され得る。液体収集室は、液体収集室内の圧力が入口プレナム内の圧力よりも高く維持されるように、圧縮ガス源と流体連通して、液体収集室から入口プレナムへの液体の移動を促進することができる。
【0013】
遠心圧縮機は、圧縮機のロータに駆動可能に結合され、圧縮機の同一のケーシング内に収容された電気モータを含む電動圧縮機として構成することができる。
【0014】
液体を液体耐性遠心圧縮機から除去するための方法も本明細書に開示される。この方法は、圧縮機の入口プレナム内に液体を収集するステップを含む。この方法は更に、入口プレナムの底部に下部吸込端を有し、吸込端から圧縮機の第1のインペラの吸込側に向かって排出端まで上方に延在する少なくとも1つの吸込管を介して入口プレナムから液体を吸引することを提供する。
【0015】
本開示の圧縮機及び方法の更なる特徴及び実施形態は、以下の詳細な説明に記載され、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くは、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、理解が深まるにつれてすぐにより完全に分かるようになるであろう。
図1】軸方向平面による本開示による電動圧縮機の断面図である。
図2図1に示される電動圧縮機の断面の拡大図である。
図3図1の線III-IIIによる断面図である。
図4図2の詳細IVの拡大図である。
図5】本開示による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書では、圧縮機の底部領域に収集された液体がより効率的に除去される、新規かつ有用な遠心圧縮機が開示される。圧縮機は、モータと一体型、すなわちモータ及び圧縮機の両方を収容する共通ケーシングを有する電動圧縮機として構成されてもよい。
【0018】
圧縮機は、ガス入口及びガス出口、並びにガス入口からガス出口まで延在するガス流路を含む。ガス流は、1つ以上のインペラ及び1つ以上のディフューザを通して処理される。ガスは、回転インペラ(単数又は複数)によってガスに運動エネルギーを加え、その後、静止ディフューザ(単数又は複数)内のガス流を減速させることによって圧縮される。圧縮機は、垂直圧縮機として構成され、(圧縮機が設置され、動作中に)ロータは垂直軸を中心に回転する。ガス入口は圧縮機の底部領域に位置し、ガス出口はガス入口の上方のレベルに配置される。入口プレナムは、ガス入口とインペラとの間、又は2つ以上のインペラがある場合は第1のインペラとの間に設けられる。ガス流中に存在する可能性がある液体は、入口プレナムの底部に蓄積する。入口プレナムからの液相の排出を改善するために、入口プレナムの底部からインペラ(又は、好ましくは、2つ以上のインペラがある場合には、第1のインペラ)の吸込側に向かって上方に延在する少なくとも1つの吸込管が設けられる。従って、インペラによって生成された吸込は、吸込管を通って、吸込管の吸込端が位置する入口プレナムの底部に向かって伝播する。従って、入口プレナムの底部からの液体は、入口プレナムの底部からの吸込によって効率的に除去され、ガス流路を通るその前進は、圧縮機の底部領域に収集された液相を除去するように促進される。
【0019】
上記のように、及び以下の詳細な説明から容易に明らかになるように、本開示は、垂直圧縮機、すなわち圧縮機が動作中に、垂直軸を中心に回転するように適合されたロータを有する圧縮機に関する。本開示において、圧縮機の様々な部分の空間的関係を参照する。「上部(upper)」、「より高い(higher)」、「下部(lower)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(above)」、「下方(below)」、「下(under)」、「上向き(upwards)」、「下向き(downwards)」などの用語は、圧縮機が動作中、すなわち、異なる指示がない限り、回転軸が垂直位置にあるときに、様々な構成要素の位置を指す。本明細書で使用される「上流」及び「下流」という用語は、異なる指示がない限り、圧縮機を通る流体流の方向を指す。
【0020】
ここで図面を参照すると、図1は、圧縮機の回転軸A-Aを含む平面に沿って取られた電動圧縮機1の断面図を示す。電動圧縮機1は、モータセクション3及び圧縮機セクション5を収容するケーシング2を含む。次いで、ケーシング2は、頂部閉鎖部2.1、上部ケーシング部2.2、下部ケーシング部2.3、及び底部閉鎖部2.4を含むことができる。
【0021】
モータセクション3は、圧縮機の駆動部を収容する。具体的には、図示の実施形態では、モータセクション3は、回転軸A-Aを中心にケーシング2内で回転するように支持されたロータを有する電気モータ7を収容する。モータ7のロータは、好適な軸受9、11によって支持され得る。いくつかの実施形態では、軸受9及び11は能動磁気軸受であり得る。より具体的には、モータ7のロータは、上部軸受9内で回転するように収容された上部シャフト端7.1と、下部軸受11内で回転するように収容された下部シャフト端7.2とを有することができる。
【0022】
圧縮機セクション5は、圧縮機13を収容する。圧縮機13は、全体として15とラベル付けされた、一般に(図2も参照)「圧縮機バンドル」とも称される静止部分を含む。圧縮機13の静止部分15は、1つ以上のインペラ用の1つ以上のディフューザを含む。ディフューザは、15.1、15.2、及び15.3とラベル付けされている。圧縮機13は、回転軸A-Aを中心に回転するように配置されたロータ16を更に含み、ロータは、シャフト17及び複数のインペラ16.1、16.2、16.3、及び16.4を含む。インペラ及びディフューザの数は一例であり、当業者は、本明細書に開示される圧縮機の利点のいくつかが、単一段圧縮機、すなわち単一のインペラを有する圧縮機においても達成され得ることを理解するであろう。
【0023】
圧縮機13のシャフト17は、モータ7のシャフト7.2に駆動可能に結合され、軸受11によって支持され得、その底部端は、ロータ16の下に配置された底部軸受21によって支持され得る。
【0024】
各インペラは、インペラ吸込側及びインペラ吐出側を有する。図2では、インペラ16.1のインペラ吸込側は23とラベル付けされ、関連するインペラ吐出側は25とラベル付けされている。インペラ吐出側は、第1のディフューザ15.1に流体結合されている。
【0025】
最も下流のインペラ16.4は、スクロール27に流体結合され、スクロールは次に、圧縮機13のガス出口29と流体連通する。
【0026】
圧縮機13は、ガス入口28から第1のインペラ16.1の吸込側に向かって延在する入口プレナム31を更に含む。入口プレナム31は、インペラ16.1の吸込側23の前に位置する入口プレナムの底部31.1から頂部に向かって延在する。図3から最もよく理解され得るように、入口プレナム31は、電動圧縮機1の回転軸A-Aの周りに円周方向に延在し、断面図においてテーパ形状を有し、頂部ではより狭い横方向寸法を有し、底部ではより大きい横方向寸法を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、入口プレナム31の外側境界は、圧縮機13の静止部分15によって画定され、入口プレナム31の内側境界は、入口プレナム31のハブを形成する軸方向内側本体33Aと、内側本体33Aを取り囲むシュラウド33Bとの間に画定される。内側本体33A及びシュラウド33Bは、ストラット35によって互いに結合されている。図2に示すように、ストラット35は、入口プレナム31を通って流れるガスのヘッドロスを低減するために、空気力学的輪郭、例えば翼形部輪郭を有することができる。
【0028】
上記のように、入口プレナム31は、ガス入口28に流体結合されている。ガス入口28の反対側には、入口プレナム31にフィン37を設けることができる。フィン37は、後述する目的のために、入口プレナム31を2つの部分に分割し、入口プレナム31の底部31.1に、いわゆる沈降領域又は沈降室39を形成する。
【0029】
従って、ガス流路が電動圧縮機1に形成され、ガス流路は、ガス入口28、入口プレナム31、インペラ16.1、16.2、16.3、16.4、及び関連するディフューザ15.1、15.2、15.3、スクロール27、及びガス出口29を含む。
【0030】
入口プレナム31の半径方向内面及び底面を形成する内側本体33Aはまた、底部軸受21が収容される座部を画定する。底部軸受21は、軸受9及び11と同様に、能動磁気軸受であり得る。
【0031】
内側本体33Aは内側空洞を有し、液体収集室41は内側本体33Aの中及び下に、この内側本体33Aとケーシング2の底部閉鎖部2.4との間に形成される。液体収集室41は、そのうちの1つが図2に例として示され、43とラベル付けされた排水ダクトを介して、圧縮機5の残りの部分から液体を重力によって収集するように適合させることができる。
【0032】
液体収集室41は、入口プレナム31と流体結合され得る。液体収集室41の底部、すなわちその最下部点は、図1及び図2に示されるように、入口プレナム31の底部よりも下方に配置することができる。いくつかの実施形態では、液体収集室41と入口プレナム31との間の流体接続は、少なくとも1つの連通ダクト45を介して確立することができる。連通ダクト45は、液体収集室41内の下部入口45.1と、入口プレナム31内の上部出口45.2とを有する。好ましい実施形態では、上部出口45.2は、軸受21よりも低いレベルに配置される。後述する方法で入口プレナム31から液体を効率的に吸引することにより、液体収集室41内の液面は常に軸受21の下を維持し、軸受21が水浸しになるのを防止する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「吸引する」及び「吸引すること」という用語は、「吸込によって吸引又は除去する」ことを意味する。
【0034】
液体収集室41から入口プレナム31の底部に向かって上方に液体の流れを促進するために、いくつかの実施形態では、圧力ライン42は、液体収集室41を圧力源、例えば加圧又は部分的に加圧されたプロセスガスの供給源と流体連通させる。加圧又は部分的に加圧されたプロセスガスは、第1のインペラ16.1の下流の圧縮機5のガス流路から迂回させることができる。図2に示すように、例えば、圧力ライン42は、スクロール27と流体連通することができる。他の実施形態では、圧力ライン42の入口端は、ガス出口29に、又はガス圧力が入口プレナム31よりも高いガス流路の任意の他の部分に接続することができる。例えば、圧力ライン42の入口端は、第1又は任意の後続のインペラ16.1、16.2、16.3と下流のインペラとの間、又は最も下流のインペラ16.4とガス出口29との間の任意の点に配置することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、圧力ライン42は、内側本体33Aをシュラウド33Bに接続するストラット35のうちの1つを通って延在することができる。
【0036】
上記の構成により、圧縮機を通って処理される流体に含まれる液体は、特に電動圧縮機1の動作停止期間中に、液体収集室41内に、場合によっては入口プレナム31の底部に重力によって収集される。始動時に、液相を圧縮機13(入口プレナム31及び液体収集室41)の底部から除去する。
【0037】
設置中又は長期間の動作停止後、圧縮機セクション5の底部に収集された液体のレベルは上昇して、第1及び後続のインペラ16.1、16.2、16.3、16.4を充填し得る。圧縮機が始動されると、ロータ16は低速で回転し、液体はインペラを通って圧送され、圧縮機13はポンプとして動作する。このポンピング効果は、第1のインペラ16.1の吸込側23の下に液面を低下させる。ロータ16の回転速度は増加し、ガス入口28からのガス流と組み合わせて、液体の自由レベルを超える圧力の減少は、インペラ16.1に向かう液体の吸込を引き起こす。
【0038】
しかしながら、入口プレナム31内の液体のレベルが低下するにつれて、入口プレナム31からの液体の除去がより困難になる。
【0039】
入口プレナム31の底部からの液体の効率的な吸込を確実にするために、図に示す実施形態では、第1の下部吸込端51.1及び第2の上部排出端51.2を有する吸込管51が設けられる。図2に特に示されるように、下部吸込端51.1は、入口プレナム31の底部31.1に位置する。本明細書で理解されるように、「底部に」とは、吸込端51.1が、入口プレナム31の内側の最下位置、又は最下位置の上方に、しかし好ましくは入口プレナム31の下半分に配置され得ることを意味する。吸込管51は、第1のインペラ16.1の吸込側23に向かって上方に延在し、その第2の上部排出端51.2は、第1のインペラ16.1の入口の直前に、又はそこから距離を置いて配置することができる。いずれにしても、吸込管51の上部排出端51.2は、圧縮機13が動作しているときに、吸込管51の第1の下部吸込端51.1の圧力よりも低いガス圧力が確立され、それによって、入口プレナム31から液体を吸い込む位置に位置する。
【0040】
実際、吸込管51は、インペラ16.1の吸込側又はその近くに存在する圧力を入口プレナム31の底部に向かって伝播する。入口プレナム31の下部に液体が存在し、その中に滞留する傾向がある場合、吸込管51を通る吸込は、吸込管51を通ってインペラ16.1の吸込側23に向かって当該液体を輸送させる。従って、滞留する液体の効率的な除去が吸込によって得られる。
【0041】
いくつかの実施形態では、2つ以上の吸込管51を提供することができる。
【0042】
図1及び図2に示す例示的な実施形態では、入口プレナム31の底部31.1は、可変の高さを有する。より具体的には、入口プレナム31の底部31.1は、ガス入口28の領域のより低いレベルにあり、反対の領域、すなわち吸込管51が配置されている場所のより高いレベルにある。言い換えれば、圧縮機13の回転軸を含む平面に沿った入口プレナム31の断面は、軸の周りで変化する。入口プレナム31の底部31.1のこの形状により、流入ガスのエネルギーを利用して、入口プレナム31の最下部に滞留する液体を吸込管51に向かって引き寄せることができる。
【0043】
吸込管51の吸込効率を促進するために、その下部吸込端51.2は、例えば、フィン37内の空洞として形成された沈降室39内に配置され得る。本明細書で使用する場合、「沈降室」又は「沈降領域」という用語は、ガス入口28を通って圧縮機13に入る流体で満たされた容積として理解され、流体の速度は低下し、ほぼゼロであり得る。ここで、流体流の運動エネルギーは、圧力エネルギーに変換され、吸込管51を通る液体の吸込を促進する。
【0044】
図1図2、及び図3に示す実施形態では、吸込管51はフィン37の内側に形成され、それにより、圧縮機13の構成要素の数が低減され、吸込管51は、ガス入口28の反対側の入口プレナム31の内側に常に正確に配置された状態に維持される。
【0045】
いくつかの実施形態では、入口プレナム31の底部31.1からの液体の吸込を更に促進するために、吸込管51の入口端内又は入口端にエジェクタ(すなわち、エジェクタポンプ)を設けることができる。エジェクタは、第1の下部吸込端51.1で、又は吸込管51に沿った任意の適切な位置で加圧流体(例えば、加圧された又は部分的に加圧されたプロセスガス)を注入することによって動作される。加圧ガスは、ガス流路に沿って主ガス流から迂回させることができる。例えば、上記と同一の圧力ライン42をそのような目的のために使用することができる。しかしながら、図示の実施形態では、エジェクタに供給するために、別個の圧力ライン55が設けられている。圧力ライン55は、ガス流路の高圧部分、例えばインペラ16.1、16.2、16.3及び16.4のうちの1つの下流又はディフューザ15.1、15.2、15.3のうちの1つの下流と流体連通することができる。他の実施形態では、圧力ライン55は、図2に示すように、スクロール27又はガス出口29と流体連通している。
【0046】
圧力ライン55は、吸込管51内又はその吸込端51.1に配置されたエジェクタ57 (図4の拡大図を参照)に流体結合することができる。
【0047】
入口プレナム31の底部31.1から液体を除去するために増強された吸込が必要な場合、加圧ガスをエジェクタ57に吐出するために圧力ライン55を開放することができる。加圧ガスが必要ない場合、圧力ライン55は、例えば、制御されたバルブ59(図2)によって閉鎖することができる。これにより、圧縮機13の全体的な効率が改善される。
【0048】
以上説明した電動圧縮機1において、圧縮機13から液体を除去して運転を開始する方法は、以下のようにして行うことができる。電動圧縮機1は、圧縮機13が少なくとも部分的に液体で満たされたときに開始される。例えば、液体は、圧縮機13の以下の領域、液体収集室41、入口プレナム31、1つ、いくつか、又は全てのインペラ16.1、16.2、16.3、16.4のうちの1つ以上に存在することができる。
【0049】
液体が吸込管51の上部排出端51.2の高さより上に存在する場合、液体はインペラを通って圧送される。インペラ16.1の吸込側で発生した吸込は、吸込管51を通って伝播して、入口プレナム31の底部31.1から、及び連通ダクト45を通って液体収集室41からの液体の吸込を促進する。
【0050】
圧縮機13の下部に収集された液体は、完全なガス流路が実質的に液体を含まなくなるまで徐々に除去される。圧縮機13内に依然として収容されている液体は、液体収集室41内に集まり、吸込管51の第1の下部吸込端51.1のレベルの下に留まることができる。この方法は、図5のフローチャートに要約されている。
【0051】
電動圧縮機1の動作中、液相は、例えば小さな液滴の形態で、ガス入口28を通って圧縮機13に入るガス中に存在してもよく、又はガス流路に沿ったガス流中に凝縮してもよい。圧縮機13は、気相から液相を分離するように適合された特徴(それ自体既知)を含んでもよく、そのような液相は、液体収集室41内に重力によって収集され、吸込管51を通して吸引することができる。従って、電動圧縮機1の始動時及び通常運転中の両方において、液体の効率的な除去が得られる。
【0052】
本発明は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法工程の順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。

図1
図2
図3
図4
図5