(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】熱交換素子および熱交換型換気装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20231208BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20231208BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20231208BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
F28F9/02 E
F28D9/00
F28F3/08 301Z
F24F7/08 101B
(21)【出願番号】P 2022536003
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2020027272
(87)【国際公開番号】W WO2022013925
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三宅 史恭
(72)【発明者】
【氏名】柴田 啓子
(72)【発明者】
【氏名】外川 一
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-141876(JP,A)
【文献】米国特許第04535840(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0211826(US,A1)
【文献】米国特許第05301747(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0226685(US,A1)
【文献】特開平11-230688(JP,A)
【文献】国際公開第2005/036083(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0274865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 9/00
F28F 3/08
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
六角形状の第1仕切板と六角形状の第2仕切板とが交互に積層され、隣接する前記第1仕切板の表面と前記第2仕切板の裏面との間に第1流入口から第1流出口へ空気が流れる複数の第1流路が形成され、隣接する前記第1仕切板の裏面と前記第2仕切板の表面との間に第2流入口から第2流出口へ空気が流れる複数の第2流路が形成される熱交換素子であって、
前記第1仕切板は、
六角形における対向する辺である第1辺および第2辺に挟まれた領域に配置され、前記第1辺および前記第2辺に対し平行に延びる複数の第3流路を有する第1対向流部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の一方側に配置される第3辺および第4辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第3辺および前記第4辺のうちの前記第1辺に隣接する辺である前記第3辺から前記第4辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第1リブを有する第1ヘッダ部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の他方側に配置される第5辺および第6辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第5辺および前記第6辺のうちの前記第2辺に隣接する辺である前記第5辺から前記第6辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第2リブを有する第2ヘッダ部と、
を備え、
前記第2仕切板は、
六角形における対向する辺である第7辺および第8辺に挟まれた領域に配置され、前記第7辺および前記第8辺に対し平行に延びる複数の第4流路を有する第2対向流部と、
六角形における前記第7辺および前記第8辺の一方側に配置される第9辺および第10辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第9辺および前記第10辺のうちの前記第8辺に隣接する辺である前記第10辺から前記第9辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第3リブを有する第3ヘッダ部と、
六角形における前記第7辺および前記第8辺の他方側に配置される第11辺および第12辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第11辺および前記第12辺のうちの前記第7辺に隣接する辺である前記第12辺から前記第11辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第4リブを有する第4ヘッダ部と、
を備え、
前記第1辺と前記第7辺とが重なり、かつ前記第3辺と前記第9辺とが重なるように、前記第1仕切板と前記第2仕切板とが交互に積層され、前記第3辺と前記第9辺との間を前記第1流入口とし、前記第5辺と前記第11辺との間を前記第1流出口とし、前記第12辺と前記第6辺との間を第2流入口とし、前記第10辺と前記第4辺との間を第2流出口とし、前記第1リブ、前記第3流路、および前記第2リブによって前記第1流路を形成し、前記第4リブ、前記第4流路、および前記第3リブによって前記第2流路を形成し、
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブのうちの1つのリブである第5リブの延在方向のほうが、複数の前記第1リブのうちの前記第5リブより前記第4辺に近いリブである第6リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブのうちの1つのリブである第7リブの延在方向のほうが、複数の前記第2リブのうちの前記第7リブより前記第6辺に近いリブである第8リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブのうちの1つのリブである第9リブの延在方向のほうが、複数の前記第3リブのうちの前記第9リブより前記第9辺に近いリブである第10リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近く、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブのうちの1つのリブである第11リブの延在方向のほうが、複数の前記第4リブのうちの前記第11リブより前記第11辺に近いリブである第12リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近
く、
前記第1リブ、前記第2リブ、前記第3リブおよび前記第4リブは、中間部リブと、前記中間部リブより上流側に配置される上流側リブ、および前記中間部リブより下流側に配置される下流側リブを夫々有し、前記中間部リブは直線形状であり、前記上流側リブおよび前記下流側リブは曲線形状であり、
前記第1リブの上流側リブの曲率は、前記第1リブの下流側リブの曲率よりも大きく、
前記第4リブの上流側リブの曲率は、前記第4リブの下流側リブの曲率よりも大きく、
前記第2リブの下流側リブの曲率は、前記第2リブの上流側リブの曲率よりも大きく、
前記第3リブの下流側リブの曲率は、前記第3リブの上流側リブの曲率よりも大きい
ことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
六角形状の第1仕切板と六角形状の第2仕切板とが交互に積層され、隣接する前記第1仕切板の表面と前記第2仕切板の裏面との間に第1流入口から第1流出口へ空気が流れる複数の第1流路が形成され、隣接する前記第1仕切板の裏面と前記第2仕切板の表面との間に第2流入口から第2流出口へ空気が流れる複数の第2流路が形成される熱交換素子であって、
前記第1仕切板は、
六角形における対向する辺である第1辺および第2辺に挟まれた領域に配置され、前記第1辺および前記第2辺に対し平行に延びる複数の第3流路を有する第1対向流部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の一方側に配置される第3辺および第4辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第3辺および前記第4辺のうちの前記第1辺に隣接する辺である前記第3辺から前記第4辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第1リブを有する第1ヘッダ部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の他方側に配置される第5辺および第6辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第5辺および前記第6辺のうちの前記第2辺に隣接する辺である前記第5辺から前記第6辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第2リブを有する第2ヘッダ部と、
を備え、
前記第2仕切板は、
六角形における対向する辺である第7辺および第8辺に挟まれた領域に配置され、前記第7辺および前記第8辺に対し平行に延びる複数の第4流路を有する第2対向流部と、
六
角形における前記第7辺および前記第8辺の一方側に配置される第9辺および第10辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第9辺および前記第10辺のうちの前記第8辺に隣接する辺である前記第10辺から前記第9辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第3リブを有する第3ヘッダ部と、
六角形における前記第7辺および前記第8辺の他方側に配置される第11辺および第12辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第11辺および前記第12辺のうちの前記第7辺に隣接する辺である前記第12辺から前記第11辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第4リブを有する第4ヘッダ部と、
を備え、
前記第1辺と前記第7辺とが重なり、かつ前記第3辺と前記第9辺とが重なるように、前記第1仕切板と前記第2仕切板とが交互に積層され、前記第3辺と前記第9辺との間を前記第1流入口とし、前記第5辺と前記第11辺との間を前記第1流出口とし、前記第12辺と前記第6辺との間を第2流入口とし、前記第10辺と前記第4辺との間を第2流出口とし、前記第1リブ、前記第3流路、および前記第2リブによって前記第1流路を形成し、前記第4リブ、前記第4流路、および前記第3リブによって前記第2流路を形成し、
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブのうちの1つのリブである第5リブの延在方向のほうが、複数の前記第1リブのうちの前記第5リブより前記第4辺に近いリブである第6リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブのうちの1つのリブである第7リブの延在方向のほうが、複数の前記第2リブのうちの前記第7リブより前記第6辺に近いリブである第8リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブのうちの1つのリブである第9リブの延在方向のほうが、複数の前記第3リブのうちの前記第9リブより前記第9辺に近いリブである第10リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近く、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブのうちの1つのリブである第11リブの延在方向のほうが、複数の前記第4リブのうちの前記第11リブより前記第11辺に近いリブである第12リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近く、
前記第1リブ、前記第2リブ、前記第3リブおよび前記第4リブは、中間部リブと、前記中間部リブより上流側に配置される上流側リブ、および前記中間部リブより下流側に配置される下流側リブを夫々有し、前記中間部リブは直線形状であり、前記上流側リブおよび前記下流側リブは曲線形状であり、
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブの前記上流側リブは、同じ半径の円弧形状を呈し、
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブの前記下流側リブは、異なる半径の円弧形状を呈しかつ前記第4辺から遠ざかるほど曲率が大きくなり、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブの前記下流側リブは、同じ半径の円弧形状を呈し、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブの前記上流側リブは、異なる半径の円弧形状を呈しかつ前記第6辺から遠ざかるほど曲率が大きくなる
ことを特徴とす
る熱交換素子。
【請求項3】
六角形状の第1仕切板と六角形状の第2仕切板とが交互に積層され、隣接する前記第1仕切板の表面と前記第2仕切板の裏面との間に第1流入口から第1流出口へ空気が流れる複数の第1流路が形成され、隣接する前記第1仕切板の裏面と前記第2仕切板の表面との間に第2流入口から第2流出口へ空気が流れる複数の第2流路が形成される熱交換素子であって、
前記第1仕切板は、
六角形における対向する辺である第1辺および第2辺に挟まれた領域に配置され、前記第1辺および前記第2辺に対し平行に延びる複数の第3流路を有する第1対向流部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の一方側に配置される第3辺および第4辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第3辺および前記第4辺のうちの前記第1辺に隣接する辺である前記第3辺から前記第4辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第1リブを有する第1ヘッダ部と、
六角形における前記第1辺および前記第2辺の他方側に配置される第5辺および第6辺と前記第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第5辺および前記第6辺のうちの前記第2辺に隣接する辺である前記第5辺から前記第6辺に沿って前記第1対向流部に向かって延びる複数の第2リブを有する第2ヘッダ部と、
を備え、
前記第2仕切板は、
六角形における対向する辺である第7辺および第8辺に挟まれた領域に配置され、前記第7辺および前記第8辺に対し平行に延びる複数の第4流路を有する第2対向流部と、
六
角形における前記第7辺および前記第8辺の一方側に配置される第9辺および第10辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第9辺および前記第10辺のうちの前記第8辺に隣接する辺である前記第10辺から前記第9辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第3リブを有する第3ヘッダ部と、
六角形における前記第7辺および前記第8辺の他方側に配置される第11辺および第12辺と前記第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、前記第11辺および前記第12辺のうちの前記第7辺に隣接する辺である前記第12辺から前記第11辺に沿って前記第2対向流部に向かって延びる複数の第4リブを有する第4ヘッダ部と、
を備え、
前記第1辺と前記第7辺とが重なり、かつ前記第3辺と前記第9辺とが重なるように、前記第1仕切板と前記第2仕切板とが交互に積層され、前記第3辺と前記第9辺との間を前記第1流入口とし、前記第5辺と前記第11辺との間を前記第1流出口とし、前記第12辺と前記第6辺との間を第2流入口とし、前記第10辺と前記第4辺との間を第2流出口とし、前記第1リブ、前記第3流路、および前記第2リブによって前記第1流路を形成し、前記第4リブ、前記第4流路、および前記第3リブによって前記第2流路を形成し、
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブのうちの1つのリブである第5リブの延在方向のほうが、複数の前記第1リブのうちの前記第5リブより前記第4辺に近いリブである第6リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブのうちの1つのリブである第7リブの延在方向のほうが、複数の前記第2リブのうちの前記第7リブより前記第6辺に近いリブである第8リブの延在方向より、前記第3流路の延在方向に近く、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブのうちの1つのリブである第9リブの延在方向のほうが、複数の前記第3リブのうちの前記第9リブより前記第9辺に近いリブである第10リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近く、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブのうちの1つのリブである第11リブの延在方向のほうが、複数の前記第4リブのうちの前記第11リブより前記第11辺に近いリブである第12リブの延在方向より、前記第4流路の延在方向に近く、
前記第1リブ、前記第2リブ、前記第3リブおよび前記第4リブは、中間部リブと、前記中間部リブより上流側に配置される上流側リブ、および前記中間部リブより下流側に配置される下流側リブを夫々有し、前記中間部リブは直線形状であり、前記上流側リブおよび前記下流側リブは曲線形状であり、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブの前記下流側リブは、同じ半径の円弧形状を呈し、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブの前記上流側リブは、異なる半径の円弧形状を呈しかつ前記第9辺から遠ざかるほど曲率が大きくなり、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブの前記上流側リブは、同じ半径の円弧形状を呈し、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブの前記下流側リブは、異なる半径の円弧形状を呈しかつ前記第11辺から遠ざかるほど曲率が大きくなる
ことを特徴とす
る熱交換素子。
【請求項4】
前記第1ヘッダ部の複数の前記第1リブの延在方向は、前記第4辺から遠くなるほど前記第3流路の延在方向に近くなり、
前記第2ヘッダ部の複数の前記第2リブの延在方向は、前記第6辺から遠くなるほど前記第3流路の延在方向に近くなり、
前記第3ヘッダ部の複数の前記第3リブの延在方向は、前記第9辺から遠くなるほど前記第4流路の延在方向に近くなり、
前記第4ヘッダ部の複数の前記第4リブの延在方向は、前記第11辺から遠くなるほど前記第4流路の延在方向に近くなる
ことを特徴とする請求項1
から請求項3のいずれか一つに記載の熱交換素子。
【請求項5】
前記上流側リブの延在方向は、前記中間部リブの延在方向よりも、前記第3流路の延在方向に近く、
前記下流側リブの延在方向は、前記中間部リブの延在方向よりも、前記第3流路の延在方向に近い
ことを特徴とする請求項
1から請求項3
のいずれか一つに記載の熱交換素子。
【請求項6】
前記第1リブ、前記第2リブ、前記第3リブおよび前記第4リブは、直線を含むS字形状または直線を含む逆S字形状である
ことを特徴とする請求項
5に記載の熱交換素子。
【請求項7】
前記第1リブの上流側リブの上流側端は、前記第3辺に直交し、
前記第2リブの下流側リブの下流側端は、前記第5辺に直交し、
前記第3リブの下流側リブの下流側端は、前記第10辺に直交し、
前記第4リブの上流側リブの上流側端は、前記第12辺に直交する
ことを特徴とする請求項
1から請求項
6のいずれか一つに記載の熱交換素子。
【請求項8】
前記第1リブの下流側リブの下流側端は、空隙を挟んで前記第1対向流部の上流側端と対向し、前記第1リブの下流側リブは円弧形状であり、前記第1リブの下流側リブの仮想延長線が前記第3流路の延在方向を示す直線と接し、
前記第2リブの上流側リブの上流側端は、空隙を挟んで前記第1対向流部の下流側端と対向し、前記第2リブの上流側リブは円弧形状であり、前記第2リブの上流側リブの仮想延長線が前記第3流路の延在方向を示す直線と接し、
前記第3リブの上流側リブの上流側端は、空隙を挟んで前記第2対向流部の下流側端と対向し、前記第3リブの上流側リブは円弧形状であり、前記第3リブの下流側リブの仮想延長線が前記第4流路の延在方向を示す直線と接し、
前記第4リブの下流側リブの下流側端は、空隙を挟んで前記第2対向流部の上流側端と対向し、前記第4リブの下流側リブは円弧形状であり、前記第4リブの下流側リブの仮想延長線が前記第4流路の延在方向を示す直線と接する
ことを特徴とする請求項
1から請求項
7のいずれか一つに記載の熱交換素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の熱交換素子を搭載したことを特徴とする熱交換型換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層された板材間に、2流体を通過させて熱交換を行う熱交換素子および熱交換型換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換素子に用いられる2流体の熱交換の流れ形式に関しては、2流体が互いに直交して流れる直交流形式と、2流体が互いに対向して逆向きに流れる対向流形式がある。圧力損失が同一となる条件下では、単位体積当たりの熱交換量は対向流形式のほうが理論上大きくなる。
【0003】
対向流型熱交換素子は、一般的に、熱交換を行う対向流部と、流入出口と対向流部との間で給気流と排気流の方向を対向流部での対向方向に切り替えるヘッダ部とを有している。特許文献1では、対向流部に対応するセントラル部と、ヘッダ部に対応するエンド部を有し、エンド部は、流入出口からセントラル部に向かって等間隔で平行な複数の流路を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0370609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、エンド部は、流入出口からセントラル部に向かって等間隔で平行な複数の流路を有しているので、エンド部での気流は均一な流れとならず、圧力損失が大きくなり、気流の淀みが発生する。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ヘッダ部での圧力損失を抑え、かつ対向流部へ均一に気流を流入させることができる熱交換素子および熱交換型換気装置を得ることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の熱交換素子では、六角形状の第1仕切板と六角形状の第2仕切板とが交互に積層され、隣接する第1仕切板の表面と第2仕切板の裏面との間に第1流入口から第1流出口へ空気が流れる複数の第1流路が形成され、隣接する第1仕切板の裏面と第2仕切板の表面との間に第2流入口から第2流出口へ空気が流れる複数の第2流路が形成される。第1仕切板は、六角形における対向する辺である第1辺および第2辺に挟まれた領域に配置され、第1辺および第2辺に対し平行に延びる複数の第3流路を有する第1対向流部と、六角形における第1辺および第2辺の一方側に配置される第3辺および第4辺と第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、第3辺および第4辺のうちの第1辺に隣接する辺である第3辺から第4辺に沿って第1対向流部に向かって延びる複数の第1リブを有する第1ヘッダ部と、六角形における第1辺および第2辺の他方側に配置される第5辺および第6辺と第1対向流部とで挟まれた領域に配置され、第5辺および第6辺のうちの第2辺に隣接する辺である第5辺から第6辺に沿って第1対向流部に向かって延びる複数の第2リブを有する第2ヘッダ部と、を備える。第2仕切板は、六角形における対向する辺である第7辺および第8辺に挟まれた領域に配置され、第7辺および第8辺に対し平行に延びる複数の第4流路を有する第2対向流部と、六角形における第7辺および第8辺の一方側に配置される第9辺および第10辺と第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、第9辺および第10辺のうちの第8辺に隣接する辺である第10辺から第9辺に沿って第2対向流部に向かって延びる複数の第3リブを有する第3ヘッダ部と、六角形における第7辺および第8辺の他方側に配置される第11辺および第12辺と第2対向流部とで挟まれた領域に配置され、第11辺および第12辺のうちの第7辺に隣接する辺である第12辺から第11辺に沿って第2対向流部に向かって延びる複数の第4リブを有する第4ヘッダ部と、を備える。第1辺と第7辺とが重なり、かつ第3辺と第9辺とが重なるように、第1仕切板と第2仕切板とが交互に積層される。第3辺と第9辺との間を第1流入口とする。第5辺と第11辺との間を第1流出口とする。第12辺と第6辺との間を第2流入口とし、第10辺と第4辺との間を第2流出口とし、第1リブ、第3流路、および第2リブによって第1流路を形成する。第4リブ、第4流路、および第3リブによって第2流路を形成する。第1ヘッダ部の複数の第1リブのうちの1つのリブである第5リブの延在方向のほうが、複数の第1リブのうちの第5リブより第4辺に近いリブである第6リブの延在方向より、第3流路の延在方向に近い。第2ヘッダ部の複数の第2リブのうちの1つのリブである第7リブの延在方向のほうが、複数の第2リブのうちの第7リブより第6辺に近いリブである第8リブの延在方向より、第3流路の延在方向に近い。第3ヘッダ部の複数の第3リブのうちの1つのリブである第9リブの延在方向のほうが、複数の第3リブのうちの第9リブより第9辺に近いリブである第10リブの延在方向より、第4流路の延在方向に近い。第4ヘッダ部の複数の第4リブのうちの1つのリブである第11リブの延在方向のほうが、複数の第4リブのうちの第11リブより第11辺に近いリブである第12リブの延在方向より、第4流路の延在方向に近い。第1リブ、第2リブ、第3リブおよび第4リブは、中間部リブと、中間部リブより上流側に配置される上流側リブ、および中間部リブより下流側に配置される下流側リブを夫々有し、中間部リブは直線形状であり、上流側リブおよび下流側リブは曲線形状である。第1リブの上流側リブの曲率は、第1リブの下流側リブの曲率よりも大きく、第4リブの上流側リブの曲率は、第4リブの下流側リブの曲率よりも大きく、第2リブの下流側リブの曲率は、第2リブの上流側リブの曲率よりも大きく、第3リブの下流側リブの曲率は、第3リブの上流側リブの曲率よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ヘッダ部での圧力損失を抑え、かつ対向流部へ均一に気流を流入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態の熱交換素子の概略構成を示す外観斜視図
【
図2】実施の形態の熱交換素子の第1仕切板を示す斜視図
【
図3】実施の形態の熱交換素子の第2仕切板を示す斜視図
【
図4】実施の形態の熱交換素子の第1対向流部および第2対向流部の積層状態を示す断面図
【
図5】実施の形態の熱交換素子の第1ヘッダ部の複数の第1リブの配置状態を示す平面図
【
図6】実施の形態の熱交換素子の第1ヘッダ部の複数の第1リブの端部形状などをより詳細に説明するための平面図
【
図7】実施の形態の熱交換素子の下流側リブと第1対向流部の流路との位置関係を示す平面図
【
図8】実施の形態の熱交換素子の第2ヘッダ部の複数の第2リブの配置状態を示す平面図
【
図9】実施の形態の熱交換素子の第2ヘッダ部の複数の第2リブの端部形状などをより詳細に説明するための平面図
【
図10】比較例のリブ配置でのヘッダ部の風速分布を示す図
【
図11】本実施の形態のリブ配置での第1ヘッダ部の風速分布を示す図
【
図12】本実施の形態のリブ配置での第1ヘッダ部の風速分布を示す図
【
図13】本実施の形態の熱交換素子が搭載される熱交換型換気装置を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態にかかる熱交換素子および熱交換型換気装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係る対向流型の熱交換素子100の概略構成を示す外観斜視図である。熱交換素子100は、六角柱状に形成されている。熱交換素子100は、複数の第1仕切板1と、複数の第2仕切板2とを有している。第1仕切板1と第2仕切板2は、交互に積層されている。第1仕切板1および第2仕切板2は、六角形状の樹脂または金属などのシートによって形成されている。
【0012】
図1においては、第1仕切板1が最上層に配置されているので、第1仕切板1のみの構造が示されており、第2仕切板2の構造は示されていない。第1仕切板1の構造および第2仕切板2の構造に関しては、
図2、
図3を用いて後述する。
図1に示されるように、隣接する第1仕切板1の表面と第2仕切板2の裏面との間には、実線の矢印F1,F2,F3,F4,およびF5で空気の流れが示される第1流路が形成されている。隣接する第1仕切板1の裏面と第2仕切板2の表面との間には、破線の矢印G1,G2,G3,G4,およびG5で空気の流れが示される第2流路が形成されている。第1仕切板1の表面とは、第1流路を形成するためのリブ(後述する)が形成されている面のことを言い、第1仕切板1の裏面とは、表面の逆の面のことを言う。第2仕切板2の表面とは、第2流路を形成するためのリブ(後述する)が形成されている面のことを言い、第2仕切板2の裏面とは、表面の逆面のことを言う。
【0013】
図2は、実施の形態にかかる熱交換素子100の第1仕切板1を示す斜視図である。
図2は、
図1と同じ方向から熱交換素子100を見た状態を示している。第1仕切板1は、熱交換部としての第1対向流部10と、第1流入口11と、第1流入口11と第1対向流部10とを繋ぐ部分である第1ヘッダ部12と、第1流出口13と、第1流出口13と第1対向流部10とを繋ぐ部分である第2ヘッダ部14とを有する。第1仕切板1は、6つの辺1a,1b,1c,1d,1e,1fを有する。第1辺1aと第2辺1bで挟まれた領域に第1対向流部10が形成される。第1辺1aおよび第2辺1bの一方側に、例えば、第3辺1cおよび第4辺1dが配置され、第1辺1aおよび第2辺1bの他方側に、例えば、第5辺1eおよび第6辺1fが配置される。第3辺1cと第4辺1dと第1対向流部10とで挟まれた領域に、三角形状の第1ヘッダ部12が配置される。第5辺1eと第6辺1fと第1対向流部10とで挟まれた領域に、三角形状の第2ヘッダ部14が配置される。
【0014】
第2仕切板2と積層されたとき、第1流入口11に対応する第3辺1cの部分および第1流出口13に対応する第5辺1eの部分にのみ開口が形成され、第1辺1a,第2辺1b,第4辺1dおよび第6辺1fの各部分は閉塞されるように、第1仕切板1の6つの辺の部分が形成されている。すなわち、第1辺1a,第2辺1b,第4辺1dおよび第6辺1fの各部分は閉塞されるように、例えば、立ち上がり形状となっている。なお、
図2に示す第1仕切板1においては、第1辺1aにおける第3辺1cと隣接する一部分(図示では、半分程度)に関しては、開口が形成されるように、立ち上がり形状となっていない。また、第2辺1bにおける第5辺1eと隣接する一部分(図示では、半分程度)に関しても、開口が形成されるように、立ち上がり形状となっていない。さらに、第1対向流部10における第1辺1aと第3辺1cとの交点を角部とするコーナー領域には、後述する熱交換部としての波型体10aが形成されていない。同様に、第1対向流部10における第2辺1bと第5辺1eとの交点を角部とするコーナー領域にも、後述する熱交換部としての波型体10aが形成されていない。
【0015】
第1対向流部10は、第1辺1aおよび第2辺1bに平行に延在する複数の流路を有する。第1対向流部10に形成される複数の流路が請求の範囲における第3流路に対応する。
図4は、第1対向流部10の一例を示す一部断面図である。
図4は、第1辺1aおよび第2辺1bを垂直に切断した断面図を示している。第1対向流部10は、凹部と凸部とが交互に連続して形成される波形形状を呈する波型体10aを有する。熱交換部としての第1対向流部10の複数の流路に関しては、第1辺1aおよび第2辺1bに平行に延在する複数の流路が形成されるのであれば、
図4の構造に限らず、他の構造を採用してもよい。
【0016】
図2に示すように、第1ヘッダ部12には、突出された複数の第1リブ12aが間隔をおいて形成されている。第2ヘッダ部14には、突出された複数の第2リブ14aが間隔をおいて形成されている。これらの第1リブ12aおよび第2リブ14aは、プレス加工、真空成形などによって形成される。
【0017】
複数の第1リブ12aは、第3辺1cから第4辺1dに沿って第1対向流部10に向かって延びている。複数の第1リブ12aの各々は、S字形状を呈している。第4辺1dに近い第1リブ12aほど長さが長くなっている。複数の第2リブ14aは、第5辺1eから第6辺1fに沿って第1対向流部10に向かって延びている。複数の第2リブ14aの各々は、S字形状を呈している。第6辺1fに近い第2リブ14aほど長さが長くなっている。これらの第1リブ12a,第2リブ14aの詳細については後述する。
【0018】
図3は、実施の形態にかかる熱交換素子100の第2仕切板2を示す斜視図である。
図3は、
図1と同じ方向から熱交換素子100を見た状態を示している。第2仕切板2は、熱交換部としての第2対向流部20と、第2流入口21と、第2流入口21と第2対向流部20とを繋ぐ部分である第4ヘッダ部22と、第2流出口23と、第2流出口23と第2対向流部20とを繋ぐ部分である第3ヘッダ部24とを有する。第2仕切板2は、6つの辺2a,2b,2c,2d,2e,2fを有する。第7辺2aと第8辺2bで挟まれた領域に第2対向流部20が形成される。第7辺2aおよび第8辺2bの一方側に、例えば、第9辺2cおよび第10辺2dが配置され、第7辺2aおよび第8辺2bの他方側に、例えば、第11辺2eおよび第12辺2fが配置される。第9辺2cと第10辺2dと第2対向流部20とで挟まれた領域に、三角形状の第3ヘッダ部24が配置される。第11辺2eと第12辺2fと第2対向流部20とで挟まれた領域に、三角形状の第4ヘッダ部22が配置される。
【0019】
第1仕切板1と積層されたとき、第2流入口21に対応する第12辺2fの部分および第2流出口23に対応する第10辺2dの部分にのみ開口が形成され、第7辺2a,第8辺2b,第9辺2cおよび第11辺2eの各部分は閉塞されるように、第2仕切板2の6つの辺の部分が形成されている。すなわち、第7辺2a,第8辺2b,第9辺2cおよび第11辺2eの各部分は閉塞されるように、例えば、立ち上がり形状となっている。なお、
図3に示す第2仕切板2においては、第7辺2aにおける第12辺2fと隣接する一部分(図示では、半分程度)に関しては、開口が形成されるように、立ち上がり形状となっていない。また、第8辺2bにおける第10辺2dと隣接する一部分(図示では、半分程度)に関しても、開口が形成されるように、立ち上がり形状となっていない。さらに、第2対向流部20における第7辺2aと第12辺2fとの交点を角部とするコーナー領域には、後述する熱交換部としての波型体20aが形成されていない。同様に、第2対向流部20における第8辺2bと第10辺2dとの交点を角部とするコーナー領域にも、後述する熱交換部としての波型体20aが形成されていない。
【0020】
第2対向流部20は、第7辺2aおよび第8辺2bに平行に延在する複数の流路を有する。第2対向流部20に形成される複数の流路が請求の範囲における第4流路に対応する。第2対向流部20は、
図4に示すように、凹部と凸部とが交互に連続して形成される波形形状を呈する波型体20aを有する。熱交換部としての第2対向流部20の複数の流路に関しては、第7辺2aおよび第8辺2bに平行に延在する複数の流路が形成されるのであれば、
図4の構造に限らず、他の構造を採用してもよい。
【0021】
図3に示すように、第3ヘッダ部24には、突出された複数の第3リブ24aが間隔をおいて形成されている。第4ヘッダ部22には、突出された複数の第4リブ22aが間隔をおいて形成されている。これらの第3リブ24a,第4リブ22aは、プレス加工、真空成形などによって形成される。
【0022】
複数の第3リブ24aは、第10辺2dから第9辺2cに沿って第2対向流部20に向かって延びている。複数の第3リブ24aの各々は、逆S字形状を呈している。第9辺2cに近い第3リブ24aほど長さが長くなっている。複数の第4リブ22aは、第12辺2fから第11辺2eに沿って第2対向流部20に向かって延びている。複数の第4リブ22aの各々は、逆S字形状を呈している。第11辺2eに近い第4リブ22aほど長さが長くなっている。これらの第3リブ24a,第4リブ22aの詳細については後述する。
【0023】
実施の形態にかかる熱交換素子100においては、第1辺1aと第7辺2aとが重なり、第3辺1cと第9辺2cとが重なるように、第1仕切板1と第2仕切板2とが交互に積層される。より具体的には、さらに、第2辺1bと第8辺2bとが重なり、第4辺1dと第10辺2dとが重なり、第5辺1eと第11辺2eとが重なり、第6辺1fと第12辺2fとが重なっている。
【0024】
また、第1仕切板1と第2仕切板2とを重ねることで、第1仕切板1の第3辺1cと第2仕切板2の第9辺2cとの間に第1流入口11が形成される。第1仕切板1の第5辺1eと第2仕切板2の第11辺2eとの間に第1流出口13が形成される。第2仕切板2の第12辺2fと第1仕切板1の第6辺1fとの間に第2流入口21が形成される。第2仕切板2の第10辺2dと第1仕切板1の第4辺1dとの間に第2流出口23が形成される。
【0025】
また、第1仕切板1と第2仕切板2とを重ねることで、第1リブ12a、第1対向流部10の複数の流路、および第2リブ14aによって、
図1に示した矢印F1,F2,F3,F4,およびF5で示される第1流路が形成される。また、第4リブ22a、第2対向流部20の複数の流路、および第3リブ24aによって、
図1に示した矢印G1,G2,G3,G4,およびG5で示される第2流路が形成される。
【0026】
第1流入口11に流入された空気は、
図1に示した矢印F1,F2,F3,F4,およびF5で示されるように、第1ヘッダ部12で第1対向流部10に向けて流れの方向が変化され、第1対向流部10を通過し、第2ヘッダ部14で第1流出口13に向けて流れの方向が変化され、第1流出口13から放出される。第2流入口21に流入された空気は、
図1に示した矢印G1,G2,G3,G4,およびG5で示されるように、第4ヘッダ部22で第2対向流部20に向けて流れの方向が変化され、第2対向流部20を通過し、第3ヘッダ部24で第2流出口23に向けて流れの方向が変化され、第2流出口23から放出される。第1対向流部10と第2対向流部20とが重ねられた部分では、空気が逆向きに対向するように流れ、二流体間での熱交換が行われる。
【0027】
また、第1仕切板1の第5辺1eと第6辺1fとの交点と、第1仕切板1の第3辺1cと第4辺1dとの交点と、を結ぶ軸を中心軸として、
図1に示した矢印F1,F2,F3,F4,およびF5で示される第1流路と、矢印G1,G2,G3,G4,およびG5で示される第2流路とが対称となるように、第1流入口11、複数の第1リブ12a、第1対向流部10の複数の流路、複数の第2リブ14a、および第1流出口13と、第2流出口23、複数の第3リブ24a、第2対向流部20の複数の流路、複数の第4リブ22a、および第2流入口21と、が配置されている。
【0028】
図5は、流入口側ヘッダである第1ヘッダ部12の複数の第1リブ12aの配置状態を示す平面図である。第4ヘッダ部22も同様の配置状態である。複数の第1リブ12aの延在方向は異なっており、複数の第1リブ12aのうち、第1流入口11に隣接する第4辺1dに近いリブの延在方向より、第4辺1dから遠いリブの延在方向のほうが、第1対向流部10の流路の延在方向F3に近くなっている。すなわち、第4辺1dに近い第1リブ12aの延在方向と第1対向流部10の流路の延在方向F3とのなす角度のほうが、第4辺1dから遠い第1リブ12aの延在方向と第1対向流部10の流路の延在方向F3とのなす角度より小さくなっている。さらに別言すれば、第1ヘッダ部12の複数の第1リブ12aの延在方向は、第4辺1dから遠くなるほど第1対向流部10の流路の延在方向F3に近くなっている。これにより、第1ヘッダ部12においては、複数の第1リブ12aによって形成された複数の流路の幅が、第1流入口11側よりも第1対向流部10側のほうが広くなっている。
【0029】
図5に示される4つの第1リブ12aの延在方向を、第4辺1dに対する角度θ1~θ4で表すとする。第4辺1dに最も近い第1リブ12aの角度をθ1とし、第4辺1dに2番目に近い第1リブ12aの角度をθ2とし、第4辺1dに3番目に近い第1リブ12aの角度をθ3とし、第4辺1dに最も遠い第1リブ12aの角度をθ4とする。複数の第1リブ12a間には、θ1<θ2<θ3<θ4の関係が成立する。
【0030】
図6は、第1ヘッダ部12の複数の第1リブ12aの端部形状などをより詳細に説明するための平面図である。第1リブ12aは、上流側リブ120、中間部リブ121、下流側リブ122によって構成されている。中間部リブ121は直線形状である。上流側リブ120は、曲線形状であり、1つの円弧によって形成される単一R形状である。複数の第1リブ12aの各上流側リブ120の単一R形状の半径は、全ての第1リブ12a間で、同じである。
【0031】
下流側リブ122は、曲線形状であり、1つの円弧によって形成される単一R形状である。複数の第1リブ12aの各下流側リブ122の単一R形状の半径は、各々の第1リブ12aで異なっている。複数の第1リブ12aの各下流側リブ122の半径は、第4辺1dから遠ざかるほど曲率が大きくなっている。
【0032】
また、1つの第1リブ12aの上流側リブ120と下流側リブ122とに着目したとき、上流側リブ120の曲率は、下流側リブ122の曲率よりも大きく設定されている。
【0033】
このように、第1リブ12aの全体形状は概ね、直線を含むS字形状、別言すればS字を縦に長く伸ばした形状を呈している。前述した第1リブ12aの延在方向は、中間部リブ121の延在方向で表されている。
【0034】
上流側リブ120の上流側先端の方向および下流側リブ122の下流側先端の方向は、中間部リブ121の方向よりも、第1対向流部10の流路の延在方向F3との角度差が小さい。詳しくは、上流側リブ120の上流側先端は、第1流入口11を構成する第3辺1cに対し概ね直交している。
【0035】
また、下流側リブ122の下流側先端の方向は、第1対向流部10の流路の延在方向F3に対し平行に近い角度となっている。
図7を用いて、下流側リブ122と第1対向流部10の流路との関係についてさらに詳しく説明する。
図7は、下流側リブ122と第1対向流部10の流路との位置関係を示す平面図である。
図7に示すように、下流側リブ122の下流側先端は、第1対向流部10まで延在せず、空隙Δtを挟んで第1対向流部10の上流側端と対向している。また、下流側リブ122の単一R形状の仮想延長線125は、第1対向流部10の流路の延在方向F3を示す直線と接している。
【0036】
なお、上流側リブ120および下流側リブ122は、単一Rの円弧形状の例を示したが、複数の半径Rを有する円弧を組み合わせた曲線形状でもよい。また、中間部リブ121は直線形状の例を示したが、全体的に概ね直線であれば多少の曲線であってもよい。
【0037】
つぎに、
図8、
図9を用いて流出口側ヘッダである第2ヘッダ部14の複数の第2リブ14aについて説明する。
図8は、第2ヘッダ部14の複数の第2リブ14aの配置状態を示す平面図である。第3ヘッダ部24も同様の配置状態である。複数の第2リブ14aの延在方向は異なっており、複数の第2リブ14aのうち、第1流出口13に隣接する第6辺1fに近いリブの延在方向より、第6辺1fから遠いリブの延在方向のほうが、第1対向流部10の流路の延在方向F3に近くなっている。すなわち、第6辺1fに近い第2リブ14aの延在方向と第1対向流部10の流路の延在方向F3とのなす角度のほうが、第6辺1fから遠い第2リブ14aの延在方向と第1対向流部10の流路の延在方向F3とのなす角度より小さくなっている。さらに別言すれば、第2ヘッダ部14の複数の第2リブ14aの延在方向は、第6辺1fから遠くなるほど第1対向流部10の流路の延在方向F3に近くなっている。これにより、第2ヘッダ部14においては、複数の第2リブ14aによって形成された複数の流路の幅が、第1流出口13側よりも第1対向流部10側のほうが広くなっている。
【0038】
図8に示される4つの第2リブ14aの延在方向を、第6辺1fに対する角度φ1~φ4で表すとする。第6辺1fに最も近い第2リブ14aの角度をφ1とし、第6辺1fに2番目に近い第2リブ14aの角度をφ2とし、第6辺1fに3番目に近い第2リブ14aの角度をφ3とし、第6辺1fに最も遠い第2リブ14aの角度をφ4とする。複数の第2リブ14a間には、φ1<φ2<φ3<φ4の関係が成立する。
【0039】
図9は、第2ヘッダ部14の複数の第2リブ14aの端部形状などをより詳細に説明するための平面図である。第2リブ14aは、下流側リブ140、中間部リブ141、上流側リブ142によって構成されている。中間部リブ141は直線形状である。下流側リブ140は、曲線形状であり、1つの円弧によって形成される単一R形状である。複数の第2リブ14aの各下流側リブ140の単一R形状の半径は、全ての第2リブ14a間で、同じである。
【0040】
上流側リブ142は、曲線形状であり、1つの円弧によって形成される単一R形状である。複数の第2リブ14aの各上流側リブ142の単一R形状の半径は、各々の第2リブ14aで異なっている。複数の第2リブ14aの各上流側リブ142の半径は、第6辺1fから遠ざかるほど曲率が大きくなっている。
【0041】
また、1つの第2リブ14aの下流側リブ140と上流側リブ142とに着目したとき、下流側リブ140の曲率は、上流側リブ142の曲率よりも大きく設定されている。
【0042】
このように、第2リブ14aの全体形状は概ね、直線を含むS字形状、別言すればS字を縦に長く伸ばした形状を呈している。前述した第2リブ14aの延在方向は、中間部リブ141の延在方向で表されている。
【0043】
下流側リブ140の下流側先端の方向および上流側リブ142の上流側先端の方向は、中間部リブ141の方向よりも、第1対向流部10の流路の延在方向F3との角度差が小さい。詳しくは、下流側リブ140の下流側先端は、第1流出口13を構成する第5辺1eに対し概ね直交している。
【0044】
また、上流側リブ142の上流側先端の方向は、第1対向流部10の流路の延在方向F3に対し平行に近い角度となっている。
図7で示した第1リブ12aの下流側リブ122と同様、上流側リブ142の上流側先端は、第1対向流部10まで延在せず、空隙を挟んで第1対向流部10の下流側端と対向している。また、上流側リブ142の単一R形状の仮想延長線は、第1対向流部10の流路の延在方向F3を示す直線と接している。
【0045】
下流側リブ140および上流側リブ142は、単一Rの円弧形状の例を示したが、複数の半径Rを有する円弧を組み合わせた曲線形状でもよい。また、中間部リブ141は直線形状の例を示したが、全体的に概ね直線であれば多少の曲線であってもよい。
【0046】
図10は、比較例のリブ配置でのヘッダ部の風速分布を示す図である。比較例では、第1ヘッダ部12に対応する部分の風速分布を示している。複数のリブ50は互いに平行に配置され、各リブ50間の流路幅はリブ50の全長に亘って等間隔である。また、比較例では、各リブ50の上流側リブに対応する部分には、円弧形状が形成されていない。比較例の場合は、流れの淀み43が各リブ50で発生しており、圧力損失の原因のひとつとなる。
【0047】
図11は、本実施の形態のリブ配置での第1ヘッダ部12の風速分布を示す図である。
図11では、リブの角度と先端形状のそれぞれの効果を確認するため、各第1リブ12aの上流側リブ120に円弧形状を付けておらず、前述したθ1<θ2<θ3<θ4の関係が成立するように第1リブ12aのリブ角度を設定している。
図11の場合は、流入気流のリブ衝突角度が小さくなることで、第4辺1dに最も近い第1リブ12aにのみ淀み44が発生しているが、これ以外の第1リブ12aでは、淀みが解消している。また、θ1<θ2<θ3<θ4としたことで、第1対向流部10の付近での風速分布に影響がなく、熱交換効率を妨げることはない。
【0048】
図12は、本実施の形態のリブ配置での第1ヘッダ部12の風速分布を示す図である。
図12では、リブの角度と先端形状のそれぞれの効果を確認するため、リブ角度については比較例と同様、各第1リブ12aで同じとし、各第1リブ12aの上流側リブ120に円弧形状を付けている。
図12の場合は、全ての第1リブ12aでリブに沿う気流となっており、淀みが解消している。ただし、第4辺1dから遠い2つの第1リブ12aにおいて、
図11における同個所のリブ周りの分布と比較して、流れに淀み45が発生している。これらの淀み45は、
図11に示したように、θ1<θ2<θ3<θ4のリブ角度とすることで、解消することができる。
【0049】
このように実施の形態によれば、θ1<θ2<θ3<θ4の関係、またはφ1<φ2<φ3<φ4の関係が成立するように、ヘッダ部における複数のリブを形成している。これにより、ヘッダ部においては、複数のリブによって形成された複数の流路の幅が、流入口側よりも対向流部側のほうが広くなっている。このため、ヘッダ部での圧力損失が抑えられ、対向流部へ均一に気流を流入させることができるようになる。
【0050】
また、この実施の形態では、流入口側ヘッダの上流側リブに円弧形状を付け、上流側リブの上流側端が流入口を構成する辺に直交するようにしている。このため、流入口での空気流の流入方向と流入口側ヘッダの上流側リブの方向が一致し、流入口での圧力損失が抑えられる。また、流出口側ヘッダの下流側リブに円弧形状を付け、下流側リブの下流側端が流出口を構成する辺に直交するようにしている。このため、流出口での空気流の流出方向と流出口側ヘッダの下流側リブの方向が一致し、流出口での圧力損失が抑えられる。
【0051】
また、この実施の形態では、上流側リブの延在方向は、中間部リブの延在方向よりも、対向流部の流路の延在方向に近く、下流側リブの延在方向は、中間部リブの延在方向よりも、対向流部の流路の延在方向に近くしている。このため、ヘッダ部における圧力損失を抑えることができる。
【0052】
また、この実施の形態では、第1リブ12aの下流側リブ122の下流側端は、空隙Δtを挟んで第1対向流部10の上流側端と対向し、第1リブ12aの下流側リブ122は円弧形状であり、第1リブ12aの下流側リブ122の仮想延長線125が第1対向流部10の流路の延在方向F3と接し、第2リブ14aの上流側リブ142の上流側端は、空隙を挟んで第1対向流部10の下流側端と対向し、第2リブ14aの上流側リブ142は円弧形状であり、第2リブ14aの上流側リブ142の仮想延長線が第1対向流部10の流路の延在方向F3と接している。このため、第1リブ12aから第1対向流部10への流れおよび第1対向流部10から第2リブ14aへの流れの圧力損失を抑えることができる。
【0053】
また、第1ヘッダ部12の複数の第1リブ12aの下流側リブ122は、異なる半径の円弧形状を呈しかつ第4辺1dから遠ざかるほど曲率が大きくなり、第2ヘッダ部14の複数の第2リブ14aの上流側リブ142は、異なる半径の円弧形状を呈しかつ第6辺1fから遠ざかるほど曲率が大きくなっている。このため、第1リブ12aから第1対向流部10への流れが均一化され第1対向流部10から第2リブ14aへの流れが均一化される。
【0054】
ところで、
図1の熱交換素子100を平面図として見た場合、
図1の熱交換素子100においては、第1仕切板1で左下から右上に向かう第1流路が形成され、第2仕切板2で右下から左上に向かう第2流路が形成されたとする。他の実施形態では、第1仕切板1で左上から右下に向かう第1流路を形成し、第2仕切板2で右上から左下に向かう第2流路を形成してもよいし、第1仕切板1で右下から左上に向かう第1流路を形成し、第2仕切板2で左下から右上に向かう第2流路を形成してもよいし、第1仕切板1で右上から左下に向かう第1流路を形成し、第2仕切板2で左上から右下に向かう第2流路を形成してもよい。
【0055】
次に、熱交換素子100を備える熱交換型換気装置200について説明する。
図13は、熱交換素子100が搭載される熱交換型換気装置200を示す概念図である。
【0056】
熱交換型換気装置200は、給気送風機214と、排気送風機215と、熱交換素子100と、ケーシング213とを備える。
【0057】
ケーシング213は、給気送風機214、排気送風機215および熱交換素子100を収容する箱状の部材である。ケーシング213の内部には、第1空気流207が通過する給気風路216と、第2空気流208が通過する排気風路217とが設けられている。第1空気流207は、室外から室内への給気流である。第2空気流208は、室内から室外への排気流である。ケーシング213のうち室内側の側面には、給気吹出口220と排気吸込口219とが設けられている。ケーシング213のうち室外側の側面には、給気吸込口218と排気吹出口221とが設けられている。
【0058】
給気送風機214は、給気風路216内に配置されている。給気送風機214は、室外の空気を給気吸込口218から給気風路216へ取り込んで第1空気流207を発生させる。第1空気流207は、給気風路216を流れて、給気吹出口220から室内へ向けて吹き出される。給気送風機214は、室外から室内に向けた第1空気流207を発生する。
【0059】
排気送風機215は、排気風路217内に配置されている。排気送風機215は、室内の空気を排気吸込口219から排気風路217へ取り込んで第2空気流208を発生させる。第2空気流208は、排気風路217を流れて、排気吹出口221から室外へ向けて吹き出される。排気送風機215は、室内から室外に向けた第2空気流208を発生させる。
【0060】
熱交換素子100は、給気風路216と排気風路217とが交差する位置に設けられている。熱交換素子100は、給気風路216を流れる第1空気流207と排気風路217を流れる第2空気流208との全熱交換を行う。熱交換型換気装置200は、熱交換素子100での全熱交換により、室内からの排気流の顕熱と潜熱とを回収して、回収された顕熱と潜熱とを給気流へ伝達させる。また、熱交換型換気装置200は、熱交換素子100での全熱交換により、室外からの給気流の顕熱と潜熱とを回収して、回収された顕熱と潜熱とを排気流へ伝達させる。熱交換型換気装置200は、室内の冷暖房の効率と除加湿の効率とを向上させ、室内の空調に使用されるエネルギーを低減させることができる。なお、熱交換素子100は、排気流と空気流との間で顕熱のみを伝達させる構成にしてもよい。
【0061】
以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 第1仕切板、1a 第1辺、1b 第2辺、1c 第3辺、1d 第4辺、1e 第5辺、1f 第6辺、2 第2仕切板、2a 第7辺、2b 第8辺、2c 第9辺、2d 第10辺、2e 第11辺、2f 第12辺、10 第1対向流部、11 第1流入口、12 第1ヘッダ部、12a 第1リブ、13 第1流出口、14 第2ヘッダ部、14a 第2リブ、20 第2対向流部、21 第2流入口、22 第4ヘッダ部、22a 第4リブ、23 第2流出口、24 第3ヘッダ部、24a 第3リブ、100 熱交換素子、120,142 上流側リブ、121,141 中間部リブ、122,140 下流側リブ、200 熱交換型換気装置。