IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図1
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図2
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図3
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図4
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図5
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図6
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図7
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図8
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図9
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図10
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図11
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図12
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図13
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図14
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図15
  • 特許-静電容量検出装置および製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】静電容量検出装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20231208BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231208BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01H36/00 V
H01H36/00 J
H01H36/00 N
G06F3/041 580
G06F3/044
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022536155
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(86)【国際出願番号】 JP2021019410
(87)【国際公開番号】W WO2022014158
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020122236
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 哲
(72)【発明者】
【氏名】正木 毅
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 尚
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大下 和人
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-286314(JP,A)
【文献】特開2001-243010(JP,A)
【文献】米国特許第9176636(US,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1862985(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の表面に設けられ、操作面に対する操作体の近接を検出する検出電極と、
前記第1基板の裏面側に設けられた浮遊容量結合導体と、
前記第1基板の表面において、前記検出電極を取り囲むように設けられた第1外周電極と、
前記検出電極を取り囲むように並べて設けられ、前記第1基板の厚さ方向に沿って延在し、前記第1外周電極および前記浮遊容量結合導体の各々に接続された複数の側方電極と
を備え
前記第1基板の表面に対して重ねて設けられた1または複数の第2基板をさらに備え、
前記1または複数の第2基板の各々は、平面視において前記検出電極を取り囲むように設けられた第2外周電極を有し、
前記複数の側方電極の各々は、
前記1または複数の第2基板の各々の前記第2外周電極にさらに接続されている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記側方電極は、
スルーホールである
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記スルーホールの設置間隔は、前記スルーホールの長さよりも短い
ことを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記浮遊容量結合導体は、前記第1基板の裏面に設けられている
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1基板の裏面に対して重ねて設けられた1または複数の第3基板をさらに備え、
前記浮遊容量結合導体は、前記1または複数の第3基板のうちの、いずれか一の前記第3基板に設けられている
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
第1基板の表面に、操作面に対する操作体の近接を検出する検出電極を形成する検出電極形成工程と、
前記第1基板の裏面側に、浮遊容量結合導体を形成する浮遊容量結合導体形成工程と、
前記第1基板の表面に、前記検出電極を取り囲むように設けられた第1外周電極を形成する第1外周電極形成工程と、
前記第1基板の厚さ方向に沿って延在し、且つ前記第1外周電極および前記浮遊容量結合導体の各々に接続された複数の側方電極を、前記検出電極を取り囲むように並べて形成する側方電極形成工程と
を含み、
前記第1基板の表面に対して重ねて設けられた1または複数の第2基板の各々に、平面視において前記検出電極を取り囲むように設けられた第2外周電極を形成する第2外周電極形成工程をさらに含み、
前記複数の側方電極の各々は、
前記1または複数の第2基板の各々の前記第2外周電極にさらに接続されている
ことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量検出装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作面に設けられた検出電極における静電容量の変化に基づいて、操作面に対する操作体の近接状態を検出する静電容量検出装置が知られている。また、このような検出装置において、検出電極の裏側に、シールド電極を重ねて設けるようにした技術が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、検出電極と、検出電極を取り囲む環状シールド電極膜と、検出電極の下側に配置されたシールド電極膜とを備えた電極システムが開示されており、環状シールド電極膜とシールド電極膜とをビアを介して導電接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-286314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の静電容量検出装置では検出電極と静電容量検出装置の周囲の外部グラウンドとが、容量結合しており、これに起因して、例えば、静電容量検出装置の側面に人が接近した場合にも、検出電極の自己容量の変化が大きくなり、誤って操作面に操作体が近接しているものと誤検出してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る静電容量検出装置は、第1基板と、第1基板の表面に設けられ、操作面に対する操作体の近接を検出する検出電極と、第1基板の裏面側に設けられた浮遊容量結合導体と、第1基板の表面において、検出電極を取り囲むように設けられた第1外周電極と、検出電極を取り囲むように並べて設けられ、第1基板の厚さ方向に沿って延在し、第1外周電極および浮遊容量結合導体の各々に接続された複数の側方電極とを備える。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、誤検出を抑制することが可能な小型の静電容量検出装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る静電容量検出装置の平面図
図2】一実施形態に係る静電容量検出装置のA-A断面図
図3】一実施形態に係る静電容量検出装置が備える各導電層の構成を示す斜視図
図4】比較例に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図5】比較例に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図6】比較例に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図7】一実施形態に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図8】一実施形態に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図9】一実施形態に係る静電容量検出装置による容量結合を模式的に示す図
図10】静電容量値の変化を示すグラフ
図11】第1変形例に係る静電容量検出装置の平面図
図12】第1変形例に係る静電容量検出装置のB-B断面図
図13】第2変形例に係る静電容量検出装置の平面図
図14】第2変形例に係る静電容量検出装置のC-C断面図
図15】第3変形例に係る静電容量検出装置の平面図
図16】第3変形例に係る静電容量検出装置のD-D断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る静電容量検出装置100の平面図である。図1に示すように、静電容量検出装置100は、全体的に薄型の直方体形状を有する装置である。静電容量検出装置100の表面は、操作面100Aとなっている。静電容量検出装置100は、操作面100Aに対する操作者の手の近接状態を、静電容量の変化によって検出することができる。
【0011】
例えば、静電容量検出装置100は、自動者等の車両の所定位置(たとえば、ドアハンドル、センターコンソール等)に設置され、操作者の手の近接状態に応じて、車両の電装品(例えば、ドアロック、オーディオ、エアコン等)の動作を制御するために用いられる。但し、これに限らず、静電容量検出装置100は、如何なる用途に用いられてもよい。
【0012】
図2は、一実施形態に係る静電容量検出装置100のA-A断面図である。図3は、一実施形態に係る静電容量検出装置100が備える各導電層L1~L4の構成を示す斜視図である。
【0013】
図2に示すように、静電容量検出装置100は、操作面100A側から順に、第2基板112-2、第2基板112-1、および第1基板111を有する。静電容量検出装置100は、これら複数の基板112-2,112-1,111が積層された、いわゆる多層基板構造を有する。各基板112-2,112-1,111は、平面視において矩形状を有する、平板状の部材である。各基板112-2,112-1,111としては、例えば、PWB(Printed Wiring Board)が用いられる。
【0014】
また、図2および図3に示すように、静電容量検出装置100は、操作面100A側から順に、第1導電層L1、第2導電層L2、第3導電層L3、および第4導電層L4を有する。第1導電層L1は、第2基板112-2の表面(すなわち、操作面100A)に形成されている。第2導電層L2は、第2基板112-2と第2基板112-1との間に形成されている。第3導電層L3は、第2基板112-1と第1基板111との間に形成されている。第4導電層L4は、第1基板111の裏面に形成されている。各導電層L1~L4は、導電性を有する薄膜状の層である。例えば、各導電層L1~L4は、各種導電膜(例えば、銅膜)が用いられて形成される。
【0015】
また、図2および図3に示すように、第3導電層L3の中央部には、平面視において矩形状(各基板112-2,112-1,111がなす矩形状よりも小さい矩形状)の検出電極121が設けられている。検出電極121は、操作面100Aに対する操作体の近接を検出する。具体的には、検出電極121は、操作面100Aに対する操作体の近接を、当該検出電極121を流れる電流が変化することによって検出する。図2に示すように、検出電極121は、制御回路140に接続されている。制御回路140は、検出電極121を駆動し、検出電極121を流れる電流の変化を測定することにより、操作面100Aに対する操作者の指の近接状態を検出することができる。
【0016】
また、図2および図3に示すように、第4導電層L4には、浮遊容量結合導体122が設けられている。浮遊容量結合導体122は、平面視において第2基板112-2の裏面を全域に亘って覆う形状(すなわち、矩形状)を有する。図2に示すように、浮遊容量結合導体122は、制御回路140に接続されている。浮遊容量結合導体122は、制御回路140から、検出電極121の駆動信号と同期した波形を有する駆動信号が加えられる。これにより、浮遊容量結合導体122は、検出電極121と同電位となり、静電容量検出装置100の周囲の外部グラウンド10(図2参照)と容量結合し、外部グラウンド10と検出電極121とが容量結合してしまうことを防止することができる。なお、上記の実施例では、制御回路140は、検出電極121と浮遊容量結合導体122のいずれにも駆動信号を加えるが、検出電極121には必ずしも駆動信号を加えなくともよい。すなわち検出電極121と浮遊容量結合導体122は容量結合しているので、浮遊容量結合導体122に駆動信号を加えることで、容量結合した検出電極121にも浮遊容量結合導体122と同期した波形信号を加えることができるためである。
【0017】
また、図2および図3に示すように、第1導電層L1、第2導電層L2、および第3導電層L3の各々には、平面視において検出電極121を取り囲む矩形枠状の、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、および第1外周電極123の各々が設けられている。
【0018】
また、図1図3に示すように、静電容量検出装置100は、検出電極121の周囲において、検出電極121を取り囲むように並べて設けられた、複数のスルーホール130を備える。スルーホール130は、貫通孔の内壁面に導体膜(例えば、銅膜)が形成されているものであり、「側方電極」の一例である。図2に示すように、各スルーホール130は、静電容量検出装置100の表面(すなわち、操作面100A)から静電容量検出装置100の底面まで、静電容量検出装置100を貫通して設けられている。図2に示すように、各スルーホール130は、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、および第1外周電極123の各々と、浮遊容量結合導体122とに対し、物理的且つ電気的に接続されている。これにより、一実施形態に係る静電容量検出装置100は、複数のスルーホール130の各々と、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、および第1外周電極123の各々とが、浮遊容量結合導体122とともに検出電極121と同電位になり、静電容量検出装置100の周囲の外部グラウンド10と容量結合することで、外部グラウンド10と検出電極121とが容量結合してしまうことを防止することができる。一例として、スルーホールの内径は0.6mmであり、スルーホールの設置間隔は1.0mmである。
【0019】
一実施形態に係る静電容量検出装置100は、操作面100Aが被水した場合、検出電極121の周囲の検出面側に側方電極を突出させることで、検出電極121の静電容量の変化を比較的小さくすることができる。一方、一実施形態に係る静電容量検出装置100は、操作面100Aに操作者の指が近接した場合には、操作者の指は検出電極121に対向して位置する為、検出電極121の静電容量の変化は、複数のスルーホール130の影響を殆ど受けず、操作者の指との容量結合のみに起因して生じるため、比較的大きくすることができる。従って、被水した場合と操作者の指が接近した場合の識別を行うことができる。
【0020】
以下、比較例を用いて詳細に説明する。図4図6は、比較例に係る静電容量検出装置20による容量結合を模式的に示す図である。図7図9は、一実施形態に係る静電容量検出装置100による容量結合を模式的に示す図である。図10は、静電容量値の変化を示すグラフである。
【0021】
図4図6に示すように、比較例に係る静電容量検出装置20は、検出電極21および浮遊容量結合導体22を有する。比較例に係る静電容量検出装置20は、検出電極21が検出面20Aに配置されている点と、スルーホール130、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、および第1外周電極123が設けられていない点とが、一実施形態に係る静電容量検出装置100と異なる。
【0022】
比較例に係る静電容量検出装置20において、図4に示すように、指の接近が無く被水がない初期状態では、検出電極21は、断面で見た場合に180度の範囲で周囲の外部グラウンド10と容量結合する。図5に示すように、水Wが検出面20Aに付着した場合、検出電極21と外部グラウンド10との間に誘電物である水Wが介在するため、静電容量値は大きく変わる。図6に示すように、指が接近した場合にも、人はグラウンドと見なせるので、静電容量値は大きく変わる。したがって、比較例に係る静電容量検出装置20は、図10において三角のプロットで示すように、水Wが検出面20Aに付着した場合と、指が接近した場合とで、静電容量値の変化量が略同じであるため、両者を判別することが難しい。
【0023】
一方、一実施形態に係る静電容量検出装置100は、検出電極121が、操作面100Aから離間し、且つ、浮遊容量結合導体122に接近して配置されており、また、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、第1外周電極123および、スルーホール130が形成されているため、検出電極121の周囲に、操作面100A側に突出した側方電極が配置される。一実施形態に係る静電容量検出装置100において、図7に示すように、指の接近が無く被水がない初期状態では、検出電極121は、180度より狭い角度範囲(例えば100度の範囲)で周囲の外部グラウンド10と容量結合する。したがって、検出電極121で検出される静電容量値は、比較例に比べて小さな値となる。図8に示すように、水Wが操作面100Aに付着した場合、検出電極121と外部グラウンド10との間に誘電物である水Wが介在するため、静電容量値は変化する。但し、この静電容量値の変化は、180度より狭い角度範囲での外部グラウンド10と容量結合における静電容量値の変化であるため、検出電極121で検出される静電容量値の変化量は、比較例に比べて小さくなる。図9に示すように、指が接近した場合、側面電極の有無には殆ど関係なく、検出電極121と指とが容量結合するため、検出電極121で検出される静電容量値は、比較例と同様に大きな値となる。したがって、一実施形態に係る静電容量検出装置100は、図10において円形のプロットで示すように、水Wが検出面20Aに付着した場合と、指が接近した場合とで、静電容量値の変化量が異なるため、両者を判別することが可能である。
【0024】
なお、一実施形態に係る静電容量検出装置100において、浮遊容量結合導体122に駆動電圧を加えることで、容量結合された検出電極の電位を変化させるようにした場合、検出電極121と浮遊容量結合導体122、スルーホール130、第2外周電極124-2、第2外周電極124-1、第1外周電極123とのとの静電容量値を大きくすることができ、検出電極121と水Wや指との容量結合に対して並列接続の関係となり、水Wや指が接近した場合の静電容量値の変化を少なくすることもできる。
【0025】
特に、一実施形態に係る静電容量検出装置100は、検出電極121の周囲に対する、浮遊容量結合導体122の機能拡張を、複数のスルーホール130を形成することによって、比較的容易に実現することができる。したがって、一実施形態に係る静電容量検出装置100によれば、操作面100Aの被水による誤検出を抑制することが可能な小型の静電容量検出装置100を提供することができる。
【0026】
なお、一実施形態に係る静電容量検出装置100の製造方法は、少なくとも、第1基板111の表面に検出電極121を形成する検出電極形成工程と、第1基板111の裏面に浮遊容量結合導体122を形成する浮遊容量結合導体形成工程と、第1基板111の表面に第1外周電極123を形成する第1外周電極形成工程と、複数のスルーホール130を検出電極121を取り囲むように並べて形成する側方電極形成工程とを含む。
【0027】
(第1変形例)
次に、図11および図12を参照して、一実施形態に係る静電容量検出装置100の第1変形例について説明する。図11は、第1変形例に係る静電容量検出装置100-2の平面図である。図12は、第1変形例に係る静電容量検出装置100-2のB-B断面図である。
【0028】
図11および図12に示すように、第1変形例に係る静電容量検出装置100-2は、操作面100A(すなわち、第1導電層L1)に複数(図11および図12に示す例では、4本)の操作面電極132が設けられている点で、一実施形態に係る静電容量検出装置100と異なる。
【0029】
複数の操作面電極132は、Y軸方向に直線状に延在する帯状の電極である。図11に示すように、複数の操作面電極132の各々は、両端部の各々が、第2外周電極124-2に物理的且つ電気的に接続されている。このため、複数の操作面電極132の各々は、第2外周電極124-2および複数のスルーホール130を介して、浮遊容量結合導体122に電気的に接続されている。これにより、複数の操作面電極132の各々は、浮遊容量結合導体122の拡張部として機能し、浮遊容量結合導体122とともに検出電極121と同電位になる。
【0030】
第1変形例に係る静電容量検出装置100-2においては、前述の一実施例に比べて、静電容量検出装置100-2の周囲のグランドと容量結合する検出電極の範囲をより狭い範囲とできるので、被水時の容量変化をより小さくすることができる。したがって、第1変形例に係る静電容量検出装置100-2によれば、操作面100Aの被水による誤検出をさらに抑制することができる。
【0031】
なお、操作面電極132の本数は、3本以下であってもよく、5本以上であってもよい。また、静電容量検出装置100-2は、X軸方向に延在する複数の操作面電極132を備えてもよい。また、静電容量検出装置100-2は、X軸方向に延在する複数の操作面電極132と、Y軸方向に延在する複数の操作面電極132との双方(すなわち、互いに交差する複数の操作面電極132)を備えてもよい。
【0032】
(第2変形例)
次に、図13および図14を参照して、一実施形態に係る静電容量検出装置100の第2変形例について説明する。図13は、第2変形例に係る静電容量検出装置100-3の平面図である。図14は、第2変形例に係る静電容量検出装置100-3のC-C断面図である。
【0033】
図13および図14に示すように、第2変形例に係る静電容量検出装置100-3は、平面視において検出電極121と重なる領域に、複数の第2スルーホール134が設けられている点で、一実施形態に係る静電容量検出装置100と異なる。
【0034】
複数の第2スルーホール134の各々は、静電容量検出装置100の表面(すなわち、操作面100Aおよび第1導電層L1)から、静電容量検出装置100の底面(すなわち、第4導電層L4)まで、静電容量検出装置100を貫通して設けられている。図2に示すように、複数の第2スルーホール134の各々は、浮遊容量結合導体122に対し、物理的且つ電気的に接続されている。これにより、複数の第2スルーホール134の各々は、浮遊容量結合導体122の拡張部として機能し、浮遊容量結合導体122とともに検出電極121と同電位になる。なお、複数の第2スルーホール134の各々は、検出電極121を貫通しているが、検出電極121とは電気的に接続されていない。
【0035】
第2変形例に係る静電容量検出装置100-3においては、前述の一実施例に比べて、静電容量検出装置100-3の周囲のグランドと容量結合する検出電極の範囲をより狭い範囲とできるので、被水時の容量変化をより小さくすることができる。したがって、第2変形例に係る静電容量検出装置100-3によれば、操作面100Aの被水による誤検出をさらに抑制することができる。
【0036】
(第3変形例)
次に、図15および図16を参照して、一実施形態に係る静電容量検出装置100の第3変形例について説明する。図15は、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4の平面図である。図16は、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4のD-D断面図である。
【0037】
図15および図16に示すように、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4は、操作面100A(すなわち、第1導電層L1)に、第1変形例で説明した複数(図15および図16に示す例では、3本)の操作面電極132が設けられており、さらに、複数の操作面電極132の各々に、第2変形例で説明した複数の第2スルーホール134が接続されている点で、一実施形態に係る静電容量検出装置100と異なる。
【0038】
第3変形例に係る静電容量検出装置100-4においては、複数の操作面電極132の各々と、複数の第2スルーホール134の各々とが、浮遊容量結合導体122に対し、電気的に接続されている。これにより、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4においては、複数の操作面電極132の各々と、複数の第2スルーホール134の各々とが、浮遊容量結合導体122の拡張部として機能し、浮遊容量結合導体122とともに検出電極121と同電位になる。
【0039】
第3変形例に係る静電容量検出装置100-4においては、前述の一実施例に比べて、静電容量検出装置100-4の周囲のグランドと容量結合する検出電極の範囲をより狭い範囲とできるので、被水時の容量変化をより小さくすることができる。したがって、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4によれば、操作面100Aの被水による誤検出をさらに抑制することができる。
【0040】
なお、第3変形例に係る静電容量検出装置100-4において、第2導電層L2にも、第1導電層L1と同様に、第2スルーホール134に接続された操作面電極132が設けられてもよい。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0042】
例えば、一実施形態では、側面電極の一例としてスルーホール130を用いているが、これに限らず、例えば、側面電極は、基板を貫通する板状または棒状を有するものであってもよく、基板の側面に形成された半円筒形の凹部の内壁面に形成されたもの(すなわち、スルーホールが半分に分割されたもの)であってもよい。また、例えば、側面電極は、静電検出電極を取り囲むように配置された壁状を有するものであってもよい。
【0043】
また、例えば、一実施形態では、静電容量検出装置100が4つの導電層L1~L4を有しているが、これに限らず、例えば、静電容量検出装置は、3つ以下の導電層を有してもよく、5つ以上の導電層を有してもよい。
【0044】
また、例えば、一実施形態では、静電容量検出装置100が2枚の第2基板112-1,112-2を有しているが、これに限らず、例えば、静電容量検出装置は、1枚の第2基板を有してもよく、3枚以上の第2基板を有してもよい。
【0045】
また、例えば、一実施形態では、浮遊容量結合導体122が、第1基板111の裏面に設けられているが、これに限らず、例えば、静電容量検出装置は、第1基板111の裏側に第3の基板を有し、当該第3の基板の表面または裏面に浮遊容量結合導体122が設けられてもよい。
【0046】
本国際出願は、2020年7月16日に出願した日本国特許出願第2020-122236号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0047】
100,100-2,100-3,100-4 静電容量検出装置
100A 操作面
111 第1基板
112-1,112-2 第2基板
121 検出電極
122 浮遊容量結合導体
123 第1外周電極
124-1,124-2 第2外周電極
130 スルーホール
132 操作面電極
134 第2スルーホール
140 制御回路
L1 第1導電層
L2 第2導電層
L3 第3導電層
L4 第4導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16