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特許7399300電池モジュール、電池パック、装置及び故障処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池パック、装置及び故障処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/505 20210101AFI20231208BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M50/505
H01M50/51
H01M50/503
H01M50/516
H01M50/572
H01M10/42 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022543718
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2020135948
(87)【国際公開番号】W WO2021196730
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】202010261036.0
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲選▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲増▼忠
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-522490(JP,A)
【文献】特開2001-292532(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107305938(CN,A)
【文献】中国実用新案第202395111(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、複数の直列接続用の電池ユニットと、接続片と、導電部材と、を備え、
前記電池モジュールが故障すると、複数の前記電池ユニットは故障電池ユニット、及び前記故障電池ユニットに隣接する少なくとも1つの非故障電池ユニットを含み、
前記接続片は、複数の前記電池ユニットを直列接続することに用いられ、前記電池モジュールが故障すると、前記接続片をガイドして破断させることで隔てて設けられる第1部分及び第2部分を形成するための少なくとも1つの破断ガイド部が設けられ、前記第1部分は少なくとも1つの前記非故障電池ユニットと接続することに用いられ、前記第2部分は前記故障電池ユニットと接続することに用いられ、
前記導電部材は、前記電池モジュールが故障すると、前記第1部分と接続し、電流が前記故障電池ユニットを迂回して前記電池モジュールの動作を回復することに用いられる、電池モジュール。
【請求項2】
少なくとも1つの前記非故障電池ユニットは前記故障電池ユニットに隣接する2つの非故障電池ユニットを含み、前記導電部材は前記2つの非故障電池ユニットの前記第1部分を接続することに用いられる、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記破断ガイド部が複数設けられる場合、複数の前記破断ガイド部は間隔をおいて設けられる、請求項1又は2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記破断ガイド部は折り曲げ部を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記折り曲げ部は前記接続片に対して折り曲げられる、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記破断ガイド部は脆弱部を備える、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記脆弱部は前記接続片に対して凹んでいる、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
記脆弱部は接続部を備え、前記接続部は前記接続片に対して前記電池ユニットの高さ方向に沿って凹んでおり、
前記電池モジュールが故障すると、前記接続部は前記接続片と切断可能である、請求項7に記載の電池モジュール。
【請求項9】
電池パックであって、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電池モジュールと、
前記電池モジュールを収容することに用いられる筐体と、を備える、電池パック。
【請求項10】
装置であって、
電力を供給することに用いられる請求項9に記載の電池パックを備える、装置。
【請求項11】
故障処理方法であって、故障電池ユニットを処理することに用いられ、少なくとも1つの非故障電池ユニットは前記故障電池ユニットに隣接し、接続片は複数の電池ユニットを直列接続することに用いられ、前記接続片に少なくとも1つの破断ガイド部が設けられ、
前記故障処理方法は、
前記非故障電池ユニットに接続される前記接続片を前記破断ガイド部に沿って切断して、隔てて設けられる第1部分及び第2部分を形成するステップであって、前記第1部分は少なくとも1つの前記非故障電池ユニットと接続することに用いられ、前記第2部分は前記故障電池ユニットと接続することに用いられるステップと、
導電部材によって前記第1部分を接続し、電流が前記故障電池ユニットを迂回して電池モジュールの動作を回復するステップと、を含む、故障処理方法。
【請求項12】
少なくとも1つの前記非故障電池ユニットは前記故障電池ユニットに隣接する2つの非故障電池ユニットを含み、
導電部材によって前記第1部分を接続する場合、前記故障処理方法は、
前記導電部材によって2つの前記非故障電池ユニットの前記第1部分を接続するステップを含む、請求項11に記載の故障処理方法。
【請求項13】
前記破断ガイド部は1つ設けられ、前記非故障電池ユニットに接続される前記接続片を前記破断ガイド部に沿って切断して第1部分及び第2部分を形成した後に、前記故障処理方法は、
前記接続片の前記故障電池ユニットに接続される部分を撤去するステップをさらに含む、請求項11又は12に記載の故障処理方法。
【請求項14】
前記破断ガイド部は複数設けられ、且つ複数の前記破断ガイド部は間隔をおいて設けられ、隣接する前記破断ガイド部の間に除去対象部分があり、
前記非故障電池ユニットに接続される前記接続片を前記破断ガイド部に沿って切断して第1部分及び第2部分を形成する場合、前記故障処理方法は、
複数の前記破断ガイド部を切断し、前記除去対象部分を撤去することで、前記第1部分と前記第2部分を互いに間隔をおいて設けるステップをさらに含む、請求項11又は請求項12に記載の故障処理方法。
【請求項15】
導電部材によって前記第1部分を接続する前に、前記故障処理方法は、
前記破断ガイド部と対応する前記故障電池ユニットのトップカバーとの間に断熱部材を配置するステップを含み、
導電部材によって前記第1部分を接続する場合、前記故障処理方法は、
前記導電部材と前記第1部分を溶接して前記導電部材によって少なくとも1つの前記非故障電池ユニットを接続するステップを含む、請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の故障処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年04月03日に提出された、名称が「電池モジュール、電池パック、装置及び故障処理方法」の中国特許出願202010261036.0の優先権を主張し、該出願の全内容が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本願の実施形態は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に電池モジュール、電池パック、装置及び故障処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電池モジュールは互いに積み重ねられた複数の電池ユニットを備え、且つ複数の電池ユニットが電気的に接続されることで、電池モジュールの電力出力を実現し、電力消費機器に給電する。ある電池ユニットに故障が発生すると、電池モジュールの回路全体に故障が発生し、その結果、電池モジュールは正常に動作することが不能になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池モジュール、電池パック、装置及び故障処理方法を提供し、該電池モジュールは部品点数が少なく、構造が簡単であるとともに、エネルギー密度が高い。
【0005】
本願の実施例の第1態様は、電池モジュールを提供し、電池モジュールは、複数の直列接続用の電池ユニットと、接続片と、導電部材と、を備え、
電池モジュールが故障すると、複数の電池ユニットは故障電池ユニット、及び故障電池ユニットに隣接する少なくとも1つの非故障電池ユニットを含み、
前記接続片は、複数の電池ユニットを直列接続することに用いられ、接続片をガイドして破断させることで隔てて設けられる第1部分及び第2部分を形成するための少なくとも1つの破断ガイド部が設けられ、第1部分は少なくとも1つの非故障電池ユニットと接続することに用いられ、第2部分は故障電池ユニットと接続することに用いられ、
前記導電部材は、第1部分と接続し、電流が故障電池ユニットを迂回して電池モジュールの動作を回復することに用いられる。
【0006】
本願の実施例では、接続片に破断ガイド部が設けられることで、該接続片はより破断しやすくなり、それによって非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの切断を実現しやすく、故障処理の効率を向上させることができる。また、導電部材によって少なくとも1つの非故障電池ユニットを接続する場合、電池モジュールの回路を再導通することができる。
【0007】
可能な設計では、少なくとも1つの非故障電池ユニットは故障電池ユニットに隣接する2つの非故障電池ユニットを含み、導電部材は2つの非故障電池ユニットの第1部分を接続することに用いられる。
【0008】
導電部材は第1部分を接続することに用いられ、それにより少なくとも1つの非故障電池ユニットが導電部材によって電気的に接続され、電流が故障電池ユニットを迂回し、さらに電池モジュールの動作を回復する。
【0009】
可能な設計では、破断ガイド部が複数設けられる場合、複数の破断ガイド部は間隔をおいて設けられる。
複数の破断ガイド部について、複数の破断接続部は互いに間隔をおいて設けられ、すなわち、隣接する破断ガイド部間は除去対象部分であり、破断ガイド部がいずれも切断される場合、破断ガイド部間に位置する除去対象部分は撤去可能であり、それによって該破断接続片の第1部分と第2部分との相互接続を確保し、さらに非故障電池ユニットが故障電池ユニットと接続しないことを確保する。
【0010】
可能な設計では、破断ガイド部は折り曲げ部を備える。
【0011】
折り曲げ部が切断されると、除去対象部分は撤去可能であり、それによって破断接続片の第1部分と第2部分を互いに隔て、非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの切断を実現する。
【0012】
可能な設計では、折り曲げ部は接続片に対して折り曲げられる。
【0013】
可能な設計では、破断ガイド部は脆弱部を備える。
【0014】
該脆弱部と接続片のほかの位置との接続は切断可能であり、及び/又は該脆弱部は切断可能である。
【0015】
可能な設計では、脆弱部は接続片に対して凹んでいる。
【0016】
可能な設計では、脆弱部は接続部を備え、且つ接続部は接続片に対して電池ユニットの高さ方向に沿って凹んでおり、
接続部は接続片と切断可能である。
【0017】
該接続部の一部が接続片と切断されることで、該脆弱部と接続片との接続強度が低く、接続片の切断を実現しやすい。
【0018】
本願の実施例の第2態様は、電池パックを提供し、
以上の電池モジュールと、
電池モジュールを収容することに用いられる筐体と、を備える。
【0019】
本願の実施例の第3態様は、装置を提供し、電力を供給することに用いられる以上の電池パックを備える。
【0020】
本願の実施例の第4態様は故障処理方法を提供し、故障電池ユニットを処理することに用いられ、少なくとも1つの非故障電池ユニットは故障電池ユニットに隣接し、接続片は複数の電池ユニットを直列接続することに用いられ、接続片に少なくとも1つの破断ガイド部が設けられ、
故障処理方法は、
非故障電池ユニットに接続される接続片を破断ガイド部に沿って切断して、隔てて設けられる第1部分及び第2部分を形成するステップであって、第1部分は少なくとも1つの非故障電池ユニットと接続することに用いられ、第2部分は故障電池ユニットと接続することに用いられるステップと、
導電部材によって第1部分を接続し、電流が故障電池ユニットを迂回して電池モジュールの動作を回復するステップと、を含む。
【0021】
可能な設計では、少なくとも1つの非故障電池ユニットは故障電池ユニットに隣接する2つの非故障電池ユニットを含み、
導電部材によって第1部分を接続する場合、故障処理方法は、
導電部材によって2つの非故障電池ユニットの第1部分を接続するステップを含む。
可能な設計では、破断ガイド部は1つ設けられ、非故障電池ユニットに接続される接続片を破断ガイド部に沿って切断して第1部分及び第2部分を形成した後に、故障処理方法は、
接続片の故障電池ユニットに接続される部分を撤去するステップをさらに含む。
【0022】
接続片の故障電池ユニットに接続される部分を撤去することで、故障電池ユニットに接続される第2部分を撤去することができ、それによって、該破断接続片は非故障電池ユニットに接続される第1部分のみを備え、非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの電気的接続を切断することを確保し、故障電池ユニットに接続される部分を撤去すると、さらに破断接続片の第1部分と導電部材との接続を実現しやすく、接続過程で導電部材と干渉するリスクを低減させることもできる。また、第2部分を撤去すると、電池モジュールの重量を減らし、エネルギー密度を向上させることもできる。
【0023】
可能な設計では、破断ガイド部は複数設けられ、且つ複数の破断ガイド部は間隔をおいて設けられ、隣接する破断ガイド部の間に除去対象部分があり、
非故障電池ユニットに接続される接続片を破断ガイド部に沿って切断して第1部分及び第2部分を形成する場合、故障処理方法は、
複数の破断ガイド部を切断し、除去対象部分を撤去することで、第1部分と第2部分を互いに間隔をおいて設けるステップをさらに含む。
【0024】
除去対象部分を撤去し、それによって該破断接続片の第1部分と第2部分との相互接続を確保し、さらに非故障電池ユニットが故障電池ユニットと接続しないことを確保する。また、該破断接続片では、除去対象部分を撤去すると、第1部分と第2部分との距離を増大させることもでき、それによって両者間の電気隙間を増加させ、その誤接触を回避し、電池モジュールの安全性を向上させる。
【0025】
可能な設計では、導電部材によって第1部分を接続する前に、故障処理方法は、
破断ガイド部と対応する故障電池ユニットのトップカバーとの間に断熱部材を配置するステップを含み、
導電部材によって第1部分を接続する場合、故障処理方法は、
導電部材と第1部分を溶接して導電部材によって少なくとも1つの非故障電池ユニットを接続するステップを含む。
【0026】
本願の実施例では、接続片に破断ガイド部が設けられることで、該接続片はより破断されやすくなり、それによって非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの切断を実現しやすく、故障処理の効率を向上させることができる。また、導電部材によって少なくとも1つの非故障電池ユニットを接続する場合、電池モジュールの回路を再導通することができ、該回路は故障電池ユニットを迂回することで、該故障電池ユニットは電池モジュールの充放電過程に関与しなくなり、すなわち、該故障電池ユニットは該電池モジュールの回路に影響しない。
【0027】
理解できるように、以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は単に例示的なものであり、本願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は単に本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、図面に基づきほかの図面を想到し得る。
【0029】
図1】本願の実施例に係る装置の特定実施例における構造模式図である。
図2図1中の電池パックの特定実施例における構造模式図である。
図3図2中の電池モジュールの特定実施例における平面図である。
図4図3中の電池モジュールの第1の特定実施例における部分構造模式図である。
図5図4中の接続片の破断ガイド部の切断時の構造模式図である。
図6図5で第2部分を撤去した構造模式図である。
図7図6中の第1部分が導電部材によって接続される構造模式図である。
図8図4中の接続片の構造模式図である。
図9図8中のI部分の部分拡大図である。
図10図5中の破断接続片の構造模式図である。
図11図3中の電池モジュールの第2の特定実施例における部分構造模式図である。
図12図10中の接続片の構造模式図である。
図13図3中の電池モジュールの第3の特定実施例における部分構造模式図である。
図14図13中の接続片の構造模式図である。
図15図13中のII部分の部分拡大図である。
【0030】
図面では、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【0031】
ここでの図面は本明細書の一部として明細書に組み込まれており、本願と一致する実施例を示し、明細書とともに本願の原理を解釈することに用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願の技術的解決手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0033】
説明される実施例は単に本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではないことは明らかであるべきである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0034】
本願の実施例で使用される用語は単に特定実施例を説明することを目的とするが、本願を限定するものではない。本願の実施例及び添付特許請求の範囲で使用される単数形の「一種」、「前記」及び「該」は、文脈からほかの意味が明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図する。
【0035】
理解できるように、本明細書で使用される用語「及び/又は」は単に関連対象の関連関係を説明するものであり、3種類の関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBは、Aのみが存在すること、A及びBの両方が存在すること、及びBのみが存在することという3種類を示してもよい。また、本明細書では、文字「/」は一般的には、前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0036】
ただし、本願の実施例で説明される「上」、「下」、「左」、「右」などの方位語は図示される角度から説明されるものであり、本願の実施例を限定しないと理解すべきである。また、文脈において、さらに理解する必要がある点として、1つの素子がもう1つの素子の「上」又は「下」に接続されると記載される場合、もう1つの素子の「上」又は「下」に直接接続されてもよく、中間素子を介してもう1つの素子の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0037】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、及び「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されるか、又は一体的に接続されてもよく、直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0038】
本願の実施例は、電池ユニットを電源として使用する装置、電池パック及び電池モジュールを提供し、装置は車両、船舶、小型飛行機などの移動機器であってもよく、装置は動力源を備え、該動力源は装置に駆動力を提供することに用いられ、該動力源は、装置に電力を供給する電池モジュールとして構成されてもよい。該装置の駆動力はすべてが電力であってもよく、電力及びほかのエネルギー(例えば、機械的エネルギー)を含んでもよく、該動力源は電池モジュール(又は電池パック)であってもよい。また、該装置はさらに電池キャビネットなどのエネルギー貯蔵機器であってもよく、該電池キャビネットは複数の電池モジュール(又は電池パック)を備えてもよく、それによって該電池キャビネットは電力を出力することができる。従って、電池ユニットを電源として使用できる装置はすべて本願の保護範囲に属する。
【0039】
図1に示すように、車両を例として、本願の実施例における装置Dは新エネルギー自動車であってもよく、該新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はエクステンデッド・レンジ電気自動車などであってもよい。該車両は電池パックMと車両本体とを備えてもよく、該電池パックMは車両本体に設けられ、該車両本体に駆動モータがさらに設けられ、且つ駆動モータは電池パックMに電気的に接続され、電池パックMにより電力が供給され、駆動モータは伝動機構によって車両本体の車輪に接続され、それにより車両を駆動して走行させる。具体的には、該電池パックMは車両本体の底部に水平に設けられてもよい。
【0040】
図2に示すように、電池パックMは筐体M1と本願の実施例における電池モジュールM2とを備え、筐体M1は収容室M13を有し、電池モジュールM2は該収容室M13内に収容され、電池モジュールM2の数は1つ又は複数であってもよく、複数の電池モジュールM2は収容室M13内に並んで配置される。筐体M1のタイプにおいて、特に制限がなく、枠状筐体、円盤状筐体又は箱状筐体などであってもよい。具体的には、図2に示すように、該筐体M1は、電池モジュールM2を収容する下筐体M12と、下筐体M12と蓋合する上筐体M11とを備えてもよい。
【0041】
なお、本明細書で言及される厚さ方向X、長さ方向Y及び高さ方向Zは電池ユニットを基準として定義され、厚さ方向Xとは、電池ユニットの厚さ方向であり、高さ方向Zとは、電池ユニットの電極端子の延伸方向であり、長さ方向Yは、上記厚さ方向X及び高さ方向Zに垂直な方向であり(三者は略垂直である)、すなわち、長さ方向Yは厚さ方向X及び高さ方向Zから形成される平面に垂直である。
【0042】
図3に示すように、該電池モジュールM2は複数の電池ユニットと、電池ユニット1を固定するためのフレーム構造とを備え、複数の電池ユニット1は厚さ方向Xに沿って互いに積み重ねられてもよい。該フレーム構造は端板を備えてもよく、端板は電池ユニット1の厚さ方向Xに沿う両端部に位置し、電池ユニットの厚さ方向Xに沿う移動を制限することに用いられ、また、特定実施例では、該フレーム構造は側板をさらに備えてもよく、2つの側板は電池ユニット1の長さ方向Yに沿う両側に位置し、該側板は端板に接続され、それによりフレーム構造が形成され、別の実施例では、該フレーム構造は側板が設けられなくてもよく、電池ユニット1は積み重ねられた後に、第1結束バンドによって接続されるか又は第1結束バンド及び第2結束バンドによって接続され、該端板と結束バンドは上記フレーム構造を形成する。また、特定実施例では、電池パックは筐体及び複数の電池ユニットを備えてもよく、筐体は収容室を有し、複数の電池ユニットは該収容室内に位置し、且つ筐体と接続可能であり、具体的には、電池ユニットは粘着剤によって筐体の内壁に接着され得る。
【0043】
該電池モジュールの動作過程では、各電池ユニットは充放電し続け、電池ユニットに故障(例えば、容量の減衰異常)が発生する問題があり、その結果、該電池ユニットは正常動作できず、従って、本明細書では、故障が発生して正常動作できない電池ユニットは故障電池ユニットとして定義され、故障が発生しておらず正常動作できる電池ユニットは非故障電池ユニットとして定義される。このとき、該電池モジュール又は電池パックに1つ又は複数の故障電池ユニットが存在し、その結果、回路が故障して正常に給電できず、すなわち、電池モジュール又は電池パックが故障する。該技術的問題を解決するために、本願の実施例は故障電池ユニットを電池モジュールの回路から除去して回路を再形成することによって該技術的問題を解決する。
【0044】
なお、本願の実施例で言及される電池ユニットは以下の2種類の場合を含み、第1種類について、該電池モジュールが複数の電池セルを直列接続したものである場合、本願の実施例における電池ユニットは1つの電池セルであってもよく、これに対応して、故障電池ユニットはそのうちの1つの故障する電池セルであってもよい。第2種類について、該電池モジュールが2つ以上の電池セルを並列接続することで形成される少なくとも1つの並列接続グループを備える場合、本願の実施例における電池ユニットは1つの並列接続グループであってもよく、これに対応して、故障電池ユニットはそのうちの1つの並列接続グループであってもよく、且つ該並列接続グループには少なくとも1つの故障する電池セルが含まれる。
【0045】
また、本願の実施例に係る電池ユニットはソフトパック電池であってもよく、角形電池又は円筒形電池などであってもよい。
【0046】
図3に示すように、電池ユニット1の電極端子11は極性が反対の第1電極端子111及び第2電極端子112を備え、電池モジュールM2又は電池パックでは、複数の電池ユニット1同士は電気的に接続されて電池モジュールM2又は電池パックの回路を形成し、各電池ユニット1同士は具体的には直列接続の接続方式を使用してもよく、電池ユニット1同士は接続片2によって接続されてもよく、例えば、図4に示すように、電池ユニット1が直列接続される場合、左側に位置する電池ユニット1の第1電極端子111と中部に位置する電池ユニット1の第2電極端子112は第1接続片21によって接続され、中部に位置する電池ユニット1の第1電極端子111と右側に位置する電池ユニット1の第2電極端子112は第2接続片22によって接続され、それにより第1接続片21と第2接続片22によって3つの電池ユニット1の直列接続が実現される。
【0047】
また、図4に示すように、電流が左側に位置する電池ユニット1から中部に位置する電池ユニット1へ流れ、最終的に右側に位置する電池ユニット1へ流れ、電池モジュールにおける当該3つの電池ユニットの位置が図4に示されることを仮定する場合、当該3つの電池ユニットは隣接する。左側の電池ユニット1は中部の電池ユニット1の上流に位置し、右側の電池ユニット1は中部の電池ユニット1の下流に位置する。
【0048】
具体的には、図4に示すように、該接続片2に破断ガイド部24が設けられ、図4中の中部に位置する電池ユニットが故障する場合、図5に示すように、該電池モジュールの複数の電池ユニットは故障電池ユニット13及び少なくとも1つの非故障電池ユニット12を含み、該非故障電池ユニット12は故障電池ユニット13に隣接する電池ユニットである。「隣接」は、非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13が物理的に隣接し、すなわち、両者間にほかの電池ユニットがない(両者間に断熱パッド、緩衝パッドなどの構造があってもよい)こと、及び非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13が電気的に隣接することを含み、電気的隣接とは、電流の流れ方向に沿って、同一の接続片に接続される電池ユニットが電気的に隣接することであり、電池ユニットが電気的に隣接する場合、同一の接続片に接続される2つの電池ユニット間にさらにほかの電池ユニットがあってもよく、すなわち、該接続片は少なくとも1つの電池ユニットを跨いでおり、このとき、電気的に隣接する2つの電池ユニットは物理的隣接を満たさない。
【0049】
図5に示す実施例では、接続片の破断ガイド部が切断されることで形成された破断接続片23は第1部分25及び第2部分26を備え、該第1部分25は非故障電池ユニット12と接続することに用いられ、第2部分26は故障電池ユニット13と接続することに用いられ、該第1部分25と第2部分26は隔てて設けられる(両者は接続しない)、それにより該電池モジュールの非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13との電気的接続の切断が実現される。
【0050】
さらに、図6に示す実施例では、接続片の破断ガイド部が切断されることで形成された破断接続片23は第1部分25のみを備え、該第1部分25は非故障電池ユニット12に接続される。本実施例では、故障電池ユニット13と非故障電池ユニット12を接続する接続片が破断ガイド部に沿って切断されると、操作者はさらに故障電池ユニット13に接続される第2部分を撤去することができ、それによって該破断接続片は非故障電池ユニット12に接続される第1部分25のみを備え、非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13との電気的接続の切断を確保し、故障電池ユニット13に接続される部分を撤去すると、さらに破断接続片23の第1部分25と導電部材との接続を実現しやすく、接続過程で導電部材と干渉するリスクを低減させることもできる。また、第2部分を撤去すると、電池モジュールの重量を減らし、エネルギー密度を向上させることもできる。
【0051】
さらに、図7に示すように、該電池モジュールは導電部材3をさらに備え、該導電部材3は第1部分25と接続することに用いられ、それによって少なくとも1つの非故障電池ユニット12を導電部材3によって電気的に接続し、電流が故障電池ユニット13を迂回して、さらに電池モジュールの動作を回復する。
【0052】
従来の設計では、電池パックのある電池ユニットが故障する場合、この故障電池ユニットを交換するか、又は、メンテナンス効率を高めるために、電池モジュール全体に対して交換メンテナンスを行うことを想到し得る。従って、メンテナンス過程では故障する電池パック(故障電池ユニットを含む電池パック)を工場に返送して対応する電池ユニット又は電池モジュールと一致させるか、又は対応する電池ユニットの型番又は電池モジュールの型番を製造工場に送信する必要がある。この過程は待つことに時間がかかり、資源の最適化に不利である。
【0053】
上記処理方式はほとんどの分野における処理方式に一致し、すなわち、故障する部材又は構造を交換することで、全体的構造の動作を回復する。従って、ほとんどの分野のメンテナンス拠点では、故障しやすい部材のサンプルを準備し、且つ簡単な関連検出機器を準備する必要がある。故障し難い部材が故障するか、又は、保存及び保管が困難な部材が故障する場合、部材の交換メンテナンスを実現するには、メンテナンス拠点はメーカーから部材を取得する必要がある。メンテナンス方式が複雑である場合、さらにメーカーの対応する技術者に技術支援を依頼する必要がある。
【0054】
電池の分野では、電池パックの故障する部材のうち電池ユニットは大部分を占めているが、電池ユニットのサンプル準備には多くの困難があり、また電池ユニットは長期保管できる部材ではなく、その理由として、1.現在、電池ユニットは型番が非常に多く、サイズ別、容量別、化学系別、構造別などに分けられる。2.電池ユニットは長期保管されると自己放電を行い、時間が長いほど、電池ユニットの正負極端子間の容量バランスは徐々に壊れて深刻になる。3.長期保管される場合、電解質の分解反応もいくつかの不可逆的な容量損失を蓄積する。また、電池ユニットの保管条件も高く、環境要素に注意しないと、電池ユニットの自己放電は加速する可能性もある。
【0055】
型番の問題がなく、すべての電池ユニットは同じ構造を使用するとしても、電池ユニットを長期保管した後に再使用する場合、電池ユニットの容量及び自己放電レートなどのパラメータを再測定する必要がある。しかし、一般的なメンテナンス拠点はこのようなテスト条件を満たすことができず、操作者も専門的な分析能力を持たない。再テストされない電池ユニットはメンテナンス後の電池パックの正常動作を確保できない。また、電池の型番の問題もあって、各々のメンテナンス拠点は異なる型番の電池ユニットを保存する必要があるだけでなく、関連検出機器及び対応する技術者を配置する必要もある。従って、メンテナンス拠点で上記電池ユニットを交換するメンテナンス方式を実現することは困難である。
【0056】
従って、現在、電池パックのメンテナンス効率を向上させるために、操作者は電池パック内の故障する電池モジュール(故障する電池モジュールとは、故障電池ユニットを含む電池モジュールである)を交換し、該方式はメンテナンスをより速く実現することができる。しかしながら、1つの電池モジュールは複数の電池ユニットを備え、僅かな場合、1つの電池モジュール内のすべての電池ユニットは故障し、正常な場合、1つの電池モジュール内の少数の電池ユニットのみは故障し(例えば、1つの電池ユニットのみは故障する)、その結果、電池モジュールが正常に動作できず、このとき、電池モジュール全体を交換すると、資源浪費を引き起こしてしまう。
【0057】
さらに、新しい電池モジュールを交換すると、電池のバランスにも大きな問題がある。正常に使用される場合、電池パックの容量は減衰するが、新しく交換された電池モジュールと古い電池モジュールの容量は一致しないという問題がある。樽理論に従って、電池パックの容量は容量が最も低い電池モジュールによって決められ、従って新しく交換された電池モジュールは構造上あまり良い役割を果たすことができず、次に、古い電池モジュールは容量の減衰によって毎回満充電満放電を行い、古い電池モジュールの寿命の終点の到来を加速し、また、古い電池モジュールの内部抵抗は新しく交換された電池モジュールよりも大きく、且つ同じ電流は該古い電池モジュールと新しく交換された電池モジュールを流れ、このとき、内部抵抗が大きい古い電池モジュールの発熱量は多く、すなわち、該古い電池モジュール内の電池ユニットの温度が高く、その電池ユニットの劣化速度が加速され、その結果、古い電池モジュールの内部抵抗はさらに増大する。従って、電池ユニットの内部抵抗と温度上昇は一対の負帰還を形成し、内部抵抗が高い電池ユニットの劣化を加速する。
【0058】
一方、電力消費機器の回路について、短絡も開回路も回路の故障を表す。現在、短絡の使用では、主に短絡によってヒューズ溶断を実現するか、又はほかのテスト機器の負荷などを実現する。しかしながら、対応する構造内に導電部材を追加して故障電池ユニットを短絡させることはなく、簡単な理解からわかるように、非常に大きな問題があり、目標を実現することができず、しかし、電池モジュール全体では、そのうちの1つの電池ユニットを短絡させることは、容量の大幅な変化を引き起こすことがなく、それにより電池パックの正常使用が確保される。
【0059】
本願の実施例では、図7に示すように、上記少なくとも1つの非故障電池ユニット12は具体的には2つの非故障電池ユニット12であってもよく、導電部材3によって2つの非故障電池ユニット12を接続し、電池モジュールの回路を再導通し、該回路は故障電池ユニット13を迂回でき、それによって該故障電池ユニット13は電池モジュールの充放電過程に関与しなくなり、すなわち、該故障電池ユニット13は該電池モジュールの回路に影響しない。従って、電池モジュールの動作過程で1つ又は複数の故障電池ユニット13が存在する場合、電池モジュール全体を交換する必要がない。該電池モジュールが車両に適用される場合、自動車ディーラーで該車両を直接メンテナンスすることができ、車両を工場に返送して処理したり新しい電池パックを交換したりする必要がなく、それにより電池モジュールのメンテナンス効率が向上し、メンテナンスプロセスが簡素化され、メンテナンスコストが削減される。また、上記処理を行った後、該電池モジュールでは少数の電池セル(故障電池ユニット13の電池セル)のみは回路の形成に関与せず、該電池モジュールの電池容量の大幅な低減を引き起こすことがなく、電池モジュールと電池パックは正常に動作できる。
【0060】
また、電池ユニットは構造用接着剤によって筐体の収容室の構造に貼り付けられ、ある電池ユニットが故障すると、該故障電池ユニットを収容室内から撤去する操作は実現し難く、従って、本実施例における処理方式は操作が簡単で、効率が高いという利点を持つ。
【0061】
また、本願の実施例では、接続片に破断ガイド部が設けられることで、該接続片はより切断されやすくなり、それによって、非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13との切断を簡単に実現でき、さらに故障処理の効率を向上させる。また、接続片に破断ガイド部が設けられる場合、接続片の切断時の変形を減少させることもでき、切断後の切断面が平坦であり、破断接続片23の第1部分25と導電部材3との接続を実現しやすく、両者間の接続信頼性を向上させる。
【0062】
可能な設計では、該破断ガイド部は具体的には折り曲げ部及び/又は脆弱部を備えてもよく、従って、接続片は折り曲げ部及び脆弱部の両方を備えてもよい。例えば、接続片が2つの破断ガイド部を備える場合、2つの破断ガイド部のうちの一方は折り曲げ部、他方は脆弱部であってもよい。又は、接続片の破断ガイド部は脆弱部のみを備えてもよく、又は折り曲げ部のみを備えてもよい。特定実施例では、図8に示すように、電池モジュールの各接続片2は1つの上記破断ガイド部24を備え、該破断ガイド部24は脆弱部242を備えてもよく、該脆弱部242と接続片2のほかの位置との接続は切断可能であり、及び/又は該脆弱部242は切断可能である。
【0063】
図8に示すように、該接続片2は1つの破断ガイド部24を備えてもよく、すなわち、1つの脆弱部242を備える。該接続片は複数の破断ガイド部を備えてもよい。
【0064】
具体的には、図9に示すように、第1の特定実施例では、該脆弱部242は接続片2に対して電池ユニット1の高さ方向Zに沿って凹む構造であってもよい。勿論、該脆弱部242は、例えばミシン目、部分薄肉化など本分野でよく使用されるほかの構造であってもよい。
【0065】
本実施例では、該脆弱部242と接続片2との接続強度は低く、すなわち、該接続片2の脆弱部242の位置での構造は脆弱であり、該脆弱部242と接続片2との接続及び/又は脆弱部242自体は切断され易く、それにより、図10に示す破断接続片23を簡単に形成することができる。
【0066】
より具体的には、図9に示すように、該脆弱部242は接続部242bを備え、且つ該接続部242bは接続片2に対して電池ユニット1の高さ方向Zに沿って凹んでおり、また、該接続部242bの一部は接続片2と切断され、接続部242bの残りの部分は接続片2と接続され、電池ユニットの高さ方向Zに沿って、該接続部242bと接続片2との間に所定隙間242aがある。
【0067】
本実施例では、該接続部242bの一部が接続片2と切断されることで、該脆弱部242と接続片2との接続強度が低く、接続片2の切断を実現しやすい。
【0068】
従って、該破断ガイド部が切断されて破断接続片23を形成する場合、図10に示すように、該破断接続片23は第1部分25及び第2部分26を備えてもよく、該第1部分25と第2部分26は互いに間隔をおいて設けられ、該第1部分25は非故障電池ユニットと接続することに用いられ、第2部分26は故障電池ユニットと接続することに用いられ、第1部分25と第2部分26が切断されると、非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの接続を切断することができる。
【0069】
本実施例では、故障電池ユニットに接続される第2部分26を撤去する必要がなく、それによってメンテナンスのステップを簡素化することができる。また、第2部分26の撤去過程で余分な金属粒子が発生するため、本実施例では、第2部分26を撤去しないことで、金属粒子が電池モジュール内に入って電池モジュールの内部短絡を引き起こすリスクを低減させることができる。
【0070】
上記破断ガイド部の切断は具体的には、以下の3種類の方式によって実現され得る。第1種類について、ペンチなどの工具によって該脆弱部242をせん断することで、接続片2の切断を実現する。第2種類について、電池ユニットの高さ方向Zに沿って、脆弱部242と対応する故障電池ユニットのトップカバーとの間に断熱部材(例えば、断熱パッド又は雲母シートなど)を配置し、次に、脆弱部242に沿って接続片を溶断し、溶断は高温溶接ガン(例えば、半田付けガン)などの工具によって実現され得る。第3種類について、切断対象の接続片の下に横漏れ防止パッドを配置し、破断ガイド部の位置の周りに接着剤を塗布し、次に該接続片の破断ガイド部に腐食剤を塗布し、該横漏れ防止パッドと接着剤は腐食剤の位置を制御でき、腐食剤によって破断ガイド部を貫通するまで腐食させ、それにより接続片の切断が実現される。
【0071】
上記各実施例では、該接続片は1つの破断ガイド部を備えてもよく、別の特定実施例では、図12に示すように、該接続片2は複数の破断ガイド部24を備えてもよく、複数の破断ガイド部24同士は互いに間隔をおいて設けられ、すなわち、隣接する破断ガイド部24間は除去対象部分27であり、破断ガイド部24がいずれも切断される場合、破断ガイド部24間に位置する除去対象部分27は撤去可能であり、それによって該破断接続片の第1部分25と第2部分26との相互接続を確保し、さらに非故障電池ユニットが故障電池ユニットと接続しないことを確保する。
【0072】
また、該破断接続片では、除去対象部分27を撤去すると、第1部分25と第2部分26との距離を増大させることもでき、それによって両者間の電気隙間を増加させ、その誤接触を回避し、電池モジュールの安全性を向上させる。
【0073】
特定実施例では、図12に示すように、該接続片2の破断ガイド部24は具体的には複数の脆弱部242を備えてもよく、且つ複数の脆弱部242は互いに間隔をおいて設けられ、2つの脆弱部242の間に除去対象部分27がある。
【0074】
該脆弱部242は電池ユニットの長さ方向Yに沿って並んでもよく、すなわち、該破断ガイド部24は電池ユニットの長さ方向Yに沿って延伸してもよく、複数の脆弱部242は電池ユニットの厚さ方向Xに沿って間隔をおいて配置される。脆弱部242が切断されて破断接続片を形成し、このとき、破断接続片は第1部分及び第2部分を備え、第1部分は非故障電池ユニットと接続することに用いられ、第2部分は故障電池ユニットと接続することに用いられ、2つ又は複数の脆弱部242がいずれも切断されると、上記除去対象部分27は撤去可能であり、それによって破断接続片の第1部分と第2部分を相互に隔てて、非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの切断を実現する。
【0075】
より具体的には、図12に示す実施例では、該脆弱部242は具体的には、接続片2に設けられる複数の貫通孔を備えてもよく、複数の貫通孔は電池ユニットの長さ方向Yに沿って間隔をおいて配置されて脆弱部242を形成する。別の特定実施例では、該脆弱部は具体的には接続部を備えてもよく、該接続部は接続片に対して電池ユニットの高さ方向Zに沿って凹んでおり、一部が接続片と接続され、残りの部分が接続片と切断される。勿論、本願の実施例における脆弱部242は、例えば切欠きなど本分野でよく使用されるほかの構造であってもよく、破断ガイド部24の切断を簡単に実現できればよい。
【0076】
別の特定実施例では、図14に示すように、該破断ガイド部24は具体的には折り曲げ部241であってもよく、該折り曲げ部241は電池ユニットの長さ方向Yに沿って延伸してもよく、該接続片2は1つ又は複数の折り曲げ部241を備えてもよい。複数の折り曲げ部241を備える場合、各折り曲げ部241は間隔をおいて配置され、且つ隣接する折り曲げ部241の間に除去対象部分27がある。
【0077】
図14に示す実施例では、2つの折り曲げ部241は電池ユニットの厚さ方向Xに沿って間隔をおいて配置されてもよい。該接続片2の破断ガイド部24が切断される場合、具体的には、2つの折り曲げ部241がいずれも切断されて破断接続片を形成するようにしてもよく、このとき、破断接続片は上記第1部分及び第2部分を備え、第1部分は非故障電池ユニット12と接続することに用いられ、第2部分は故障電池ユニット13と接続することに用いられ、2つの折り曲げ部241がいずれも切断されると、上記除去対象部分27は撤去可能であり、それによって破断接続片の第1部分と第2部分を相互に隔て、非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの切断を実現する。
【0078】
具体的には、図15に示すように、該折り曲げ部241は電池ユニットの高さ方向Zに沿って上へ折り曲げられ、すなわち、トップカバー15から離れる方向に沿って折り曲げられ、それによって該折り曲げ部241とトップカバー15との間に高さ方向Zに沿って操作空間241aを形成し、該操作空間241aは操作工具(例えばペンチ)が伸び込むことに使用でき、それによって、接続片2を該折り曲げ部241に沿ってせん断する。勿論、該折り曲げ部241の切断は上記溶断、化学的腐食などの方式によって実現され得る。
【0079】
また、該折り曲げ部241はさらに部分的に薄肉化されてもよく、それによって、該折り曲げ部241に沿う切断を実現しやすい。
【0080】
また、本願の実施例は故障処理方法をさらに提供し、故障電池ユニット13を処理することに用いられ、少なくとも1つの非故障電池ユニット12は故障電池ユニット13に隣接し、接続片2は複数の電池ユニット1を直列接続することに用いられ、該接続片2に破断ガイド部24が設けられる。これに基づいて、該故障処理方法は具体的には、ステップS1~S3を含む。
【0081】
S1、非故障電池ユニット12に接続される接続片2を破断ガイド部24に沿って切断して、隔てて設けられる第1部分25及び第2部分26を備える破断接続片23を形成し、第1部分25は少なくとも1つの非故障電池ユニット12と接続することに用いられ、第2部分26は故障電池ユニット13と接続することに用いられ、
S3、導電部材3によって第1部分25を接続し、電流が故障電池ユニット13を迂回し、さらに電池モジュールの動作を回復する。
【0082】
本願の実施例では、接続片2に破断ガイド部24が設けられることで、該接続片2はより切断されやすくなり、それによって、非故障電池ユニット12と故障電池ユニット13との切断を実現しやすく、故障処理の効率を向上させることができる。また、導電部材3によって少なくとも1つの非故障電池ユニット12を接続する場合、電池モジュールの回路を再導通することができ、該回路は故障電池ユニット13を迂回でき、それによって、該故障電池ユニット13は電池モジュールの充放電過程に関与しなくなり、すなわち、該故障電池ユニット13は該電池モジュールの回路に影響しない。従って、電池モジュールの動作過程で1つ又は複数の故障電池ユニット13が存在する場合、電池モジュール全体を交換する必要がない。該電池モジュールが車両に適用される場合、自動車ディーラーで該車両を直接メンテナンスすることができ、車両を工場に返送して処理したり新しい電池パックを交換したりする必要がなく、それにより電池モジュールのメンテナンス効率が向上し、メンテナンスプロセスが簡素化され、メンテナンスコストが削減される。
【0083】
具体的には、上記ステップS1は具体的には、
S11、工具によって接続片2を破断ガイド部24に沿ってせん断することであり得る。
【0084】
又は、上記ステップS1は具体的には、
S12、破断ガイド部242と電池ユニット1のトップカバー15との間に断熱部材を配置し、次に接続片2を破断ガイド部242に沿って溶断することであり得る。
【0085】
さらに又は、上記ステップS1はさらに、
S13、接続片2の下方に横漏れ防止パッドを配置し、破断ガイド部24の位置の周りに接着剤を塗布し、次に、該接続片2の破断ガイド部24に腐食剤を塗布し、腐食剤によって破断ガイド部24を貫通するまで腐食させ、それによって接続片2の切断を実現することであり得る。
【0086】
可能な設計では、少なくとも1つの非故障電池ユニット12は故障電池ユニット13に隣接する2つの非故障電池ユニット12を備え、これに基づいて、上記ステップS3は具体的には、ステップS31を含んでもよい。
【0087】
S31、導電部材3によって2つの非故障電池ユニット12の第1部分25を接続する。
【0088】
本実施例では、電池モジュールの電流は2つの非故障電池ユニット12及び導電部材3を流れることができ、それによって電池モジュールの動作を回復する。
【0089】
特定実施例では、該接続片2は1つの破断ガイド部24を備えてもよく、従って、上記ステップS1の後に、該故障処理方法はステップS21をさらに含んでもよい。
【0090】
S21、接続片2の故障電池ユニット13に接続される部分を撤去して該破断接続片23を形成する。
【0091】
本実施例では、故障電池ユニット13に接続される接続片2の部分を撤去する場合、故障電池ユニット13と非故障電池ユニット12との電気的接続の切断を確保することができ、故障電池ユニット13に接続される部分を撤去すると、破断接続片23の第1部分25と導電部材との接続を実現しやすく、接続過程で導電部材と干渉するリスクを低減させることもできる。また、第2部分を撤去すると、電池モジュールの重量を減らし、エネルギー密度を向上させることもできる。
【0092】
別の特定実施例では、該接続片2はさらに間隔をおいて配置される複数の破断ガイド部24を備えてもよく、隣接する破断ガイド部24の間に除去対象部分27があり、これに基づいて、上記ステップS1は具体的にはステップ14を含んでもよい。
【0093】
S14、破断ガイド部24を切断し、除去対象部分27を撤去して該破断接続片23を形成する。該破断接続片23は第1部分25及び第2部分26を備え、該第1部分25は非故障電池ユニット12と接続することに用いられ、第2部分26は故障電池ユニット13と接続することに用いられる。
【0094】
本実施例では、接続片2に複数の破断ガイド部24が設けられることで、複数の破断ガイド部24がいずれも切断されると、複数の破断ガイド部24間に位置する除去対象部分27は除去可能であり、それによって、破断接続片の第1部分と第2部分を互いに間隔をおいて設けることを確保し、さらに非故障電池ユニットと故障電池ユニットとの接続の切断を確保する。また、該破断接続片では、除去対象部分27を撤去すると、第1部分25と第2部分26との距離を増大させることもでき、それによって両者の誤接触を回避し、電池モジュールの安全性を向上させる。
【0095】
具体的には、上記ステップS3の前に、該故障処理方法はステップS23をさらに含んでもよい。
【0096】
S23、所電池ユニット1の高さ方向Zに沿って、破断ガイド部24と対応する故障電池ユニット13のトップカバー15との間に断熱部材4を配置し、該断熱部材4は具体的には、雲母板又は断熱パッドなどの部材であり得る。
【0097】
上記ステップS3は具体的には、
S31、導電部材3と2つの第1部分25とを溶接して、導電部材3によって2つの非故障電池ユニット12を接続することであり得る。
【0098】
本実施例では、導電部材3と第1部分25はさらに、例えばボンディング、係合、導電性接着剤による接続などのほかの接続方式によって接続され得る。
【0099】
選択可能な実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲を逸脱せずに種々の改良を行ったりその部材を同等物で置換したりすることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0100】
D 装置
M 電池パック
M1 筐体
M11 上筐体
M12 下筐体
M13 収容室
M2 電池モジュール
1 電池ユニット
11 電極端子
111 第1電極端子
112 第2電極端子
12 非故障電池ユニット
13 故障電池ユニット
15 トップカバー
2 接続片
21 第1接続片
22 第2接続片
23 破断接続片
24 破断ガイド部
241 折り曲げ部
241a 操作空間
242 脆弱部
242a 所定隙間
242b 接続部
25 第1部分
26 第2部分
27 除去対象部分
3 導電部材
4 断熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15