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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】外気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0038 20190101AFI20231208BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20231208BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20231208BHJP
   F24F 1/0067 20190101ALI20231208BHJP
【FI】
F24F1/0038
F24F1/0063
F24F1/0007 361C
F24F1/0067
F24F1/0038 441
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022556865
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039418
(87)【国際公開番号】W WO2022085083
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 皓亮
(72)【発明者】
【氏名】池田 宗史
(72)【発明者】
【氏名】松浦 洋航
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-175171(JP,A)
【文献】特開2009-002580(JP,A)
【文献】特開2008-256256(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003446(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0038
F24F 1/0063
F24F 13/22
F24F 1/0067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1熱交換器、絞り装置及び第2熱交換器を備え、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器よりも上側に設けられ、暖房運転時に、前記第1熱交換器は蒸発器となり、前記第2熱交換器は凝縮器となる冷媒回路と、
前記第1熱交換器で暖房運転において発生する凝縮水が前記第2熱交換器に滴下する滴下経路に設けられ、前記第1熱交換器から滴下した滴下水を導水し、前記第2熱交換器に滴下する滴下孔の出口を2以上備える滴下部材とを具備し、
前記滴下孔の前記出口は、前記第2熱交換器の伝熱管の延伸方向と前記第2熱交換器の伝熱管の配列方向とのうち、重力方向に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向に沿う前記滴下部材の面に備えられている外気調和機。
【請求項2】
圧縮機、第1熱交換器、絞り装置及び第2熱交換器を備え、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器よりも上側に設けられ、暖房運転時に、前記第1熱交換器は蒸発器となり、前記第2熱交換器は凝縮器となる冷媒回路と、
前記第1熱交換器で暖房運転において発生する凝縮水が前記第2熱交換器に滴下する滴下経路に設けられ、前記第1熱交換器から滴下した滴下水を導水し、前記第2熱交換器に滴下する滴下孔の出口を2以上備える滴下部材とを具備し、
前記滴下部材は、前記第2熱交換器の上側の壁面であって、かつ前記壁面と前記第2熱交換器との最近接部から見て、前記壁面と前記第2熱交換器との傾きが鋭角をなす方向の壁面に備えられている気調和機。
【請求項3】
前記滴下孔の前記第1熱交換器側の入口の数に対し、前記滴下孔の前記第2熱交換器側の出口の数が多い
請求項1又は2に記載の外気調和機。
【請求項4】
前記第2熱交換器側の前記滴下孔を構成する部材の端部は前記滴下部材の重力方向下側の面から突き出している
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項5】
前記第2熱交換器の隣り合うフィン間の間隔は、前記第1熱交換器の隣り合うフィン間の間隔よりも小さい
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項6】
前記第2熱交換器は、コルゲート形状のフィンを具備する
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項7】
前記滴下水の滴下経路に設けられ、前記滴下水の流量の調整を行なう流量調節機構を具備する
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項8】
前記滴下経路に設けられ、前記滴下水の浄水を行なう浄水機構を具備する
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項9】
前記第1熱交換器の排気経路上流に備えられ、前記第1熱交換器の排気経路上流の排気温度を測定する温度測定部と、
前記温度測定部によって測定された排気温度に基づいて、前記第1熱交換器の蒸発温度を排気の露点温度以下に制御する制御装置とを具備する
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項10】
全熱交換器を具備し、
前記第1熱交換器は、室内空間から屋外空間への排気経路において前記全熱交換器よりも下流に位置する
請求項1~のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項11】
全熱交換器を具備し、
前記第2熱交換器は、屋外空間から室内空間への給気経路において前記全熱交換器よりも下流に位置する
請求項1~10のいずれか1項に記載の外気調和機。
【請求項12】
前記冷媒はR32冷媒、R410Aもしくは少なくともオレフィン系冷媒、プロパン及びDME(ジメチルエーテル)を含むR32冷媒よりもガス密度の小さい冷媒である
請求項1~11のいずれか1項に記載の外気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内空間に供給される外気の加湿を行なう外気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ回路の熱交換器を用いて還気から熱回収する外気調和機の構成が知られている。このような外気調和機においては、室内空間へ供給される空気である外気の湿度が変化するため、ユーザーに快適で衛生的な空気を供給することを目的として、外気の温調と調湿を図る構成が知られている。
【0003】
外気調和機の調湿装置は、温調と調湿を両立するために、四方切換弁を操作することで冷媒の循環方向が切り換え可能な冷媒路において、切換機構が空気の流通経路を切り換える。調湿装置は、四方切換弁と切換機構とを操作することにより、蒸発器となっている熱交換器で第1空気を除湿し、凝縮器となっている熱交換器で第2空気を加湿する(例えば、特許文献1参照)。この場合、還気経路の水分を給気経路に流して加湿性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-353887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の外気調和機では、衛生環境改善を目的として換気量を向上すると、切替機構の駆動を高速化する必要があり、外気調和機の破損の原因となる。従って、温調と調湿を両立して換気量を向上するのは困難であった。さらに、調湿のために室内空間を循環して汚れた還気が通る熱交換器を給気が通る熱交換器に切り替えて使用すると、熱交換器に付着した汚染物質を再度室内空間に放出するため室内空間の衛生環境の低下を引き起こしてしまう。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、室内空間の衛生環境の向上を図ることができる外気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る外気調和機は、圧縮機、第1熱交換器、絞り装置及び第2熱交換器を備え、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器よりも上側に設けられ、暖房運転時に、前記第1熱交換器は蒸発器となり、前記第2熱交換器は凝縮器となる冷媒回路と、前記第1熱交換器で暖房運転において発生する凝縮水が前記第2熱交換器に滴下する滴下経路に設けられ、前記第1熱交換器から滴下した滴下水を導水し、前記第2熱交換器に滴下する滴下孔の出口を2以上備える滴下部材とを具備し、前記滴下孔の前記出口は、前記第2熱交換器の伝熱管の延伸方向と前記第2熱交換器の伝熱管の配列方向とのうち、重力方向に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向に沿う前記滴下部材の面に備えられている
また、本開示に係る外気調和機は、圧縮機、第1熱交換器、絞り装置及び第2熱交換器を備え、前記第1熱交換器は、前記第2熱交換器よりも上側に設けられ、暖房運転時に、前記第1熱交換器は蒸発器となり、前記第2熱交換器は凝縮器となる冷媒回路と、前記第1熱交換器で暖房運転において発生する凝縮水が前記第2熱交換器に滴下する滴下経路に設けられ、前記第1熱交換器から滴下した滴下水を導水し、前記第2熱交換器に滴下する滴下孔の出口を2以上備える滴下部材とを具備し、前記滴下部材は、前記第2熱交換器の上側の壁面であって、かつ前記壁面と前記第2熱交換器との最近接部から見て、前記壁面と前記第2熱交換器との傾きが鋭角をなす方向の壁面に備えられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の外気調和機は、暖房運転時に蒸発器となる第1熱交換器の下に、暖房運転時に凝縮器となる凝縮器を備え、第1熱交換器で発生する凝縮水を第2熱交換器に滴下する滴下部材を備えた。この滴下部材には、滴下孔の出口を2以上備えるため、滴下孔の出口から出た滴下水が第2熱交換器を流れない領域を小さくすることができ、また滴下水が流れる第2熱交換器の領域をより均等に設けることができる。従って、本開示の外気調和機は、温度制御性と湿度制御性とがともに改善し、室内空間の衛生環境の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る外気調和機の一例を示す冷媒回路図である。
図2】実施の形態1に係る外気調和機の第1変形例を示す冷媒回路図である。
図3】実施の形態1に係る外気調和機の外気処理ユニットの一例を示す斜視透視図である。
図4】従来の外気調和機の外気処理ユニットのA-A断面図である。
図5】実施の形態1に係る外気調和機の第1熱交換器、第2熱交換器及びドレン受けのA-A断面図である。
図6】実施の形態1に係る外気調和機の第1熱交換器、第2熱交換器及びドレン受けの第1変形例を示すA-A断面図である。
図7】実施の形態1に係る外気調和機の外気処理ユニットの第1変形例のドレン受けを示す斜視透視図である。
図8】実施の形態1に係る外気調和機の第1熱交換器の構成例を示す模式図である。
図9】実施の形態1に係る外気調和機の外気処理ユニットの第2変形例を示す給気経路の斜視透視図である。
図10】実施の形態1に係る外気調和機の外気処理ユニットの第2変形例を示す模式図である。
図11】実施の形態1に係る外気調和機の第2熱交換器の変形例の構成例を示す模式図である。
図12】実施の形態1に係る外気調和機の第2熱交換器の変形例の構成例を示す模式図である。
図13】実施の形態1に係る外気調和機の第2熱交換器の変形例の熱交換器の保水量の測定結果を示すである。
図14】実施の形態1に係る外気調和機の外気処理ユニットの第3変形例を示す斜視透視図である。
図15】実施の形態1に係る外気調和機の第2変形例を示す冷媒回路図である。
図16】実施の形態2に係る外気調和機の外気処理ユニットの模式図である。
図17】実施の形態2に係る外気調和機の外気処理ユニットの第1変形例を示す模式図である。
図18】実施の形態2に係る外気調和機の外気処理ユニットの第1変形例を示す斜視透視図である。
図19】実施の形態2に係る外気調和機の外気処理ユニットの第1変形例を示すA-A断面図である。
図20】実施の形態3に係る外気調和機の外気処理ユニットの模式図である。
図21】実施の形態4に係る外気調和機の外気処理ユニットの模式図である。
図22】実施の形態4に係る外気調和機の全熱交換器内の気流を示す模式図である。
図23】実施の形態4に係る外気調和機の全熱交換器内の気流を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態に係る外気調和機について説明する。なお、図面において、同一の構成要素には同一符号を付して説明し、重複説明は必要な場合にのみ行なう。本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含み得る。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、圧力及び温度の高低については、特に絶対的な値との関係で高低が定まっているものではなく、装置などにおける状態、動作などにおいて相対的に定まるものとする。
【0011】
実施の形態1.
<外気調和機200の構成>
はじめに、実施の形態1に係る外気調和機200について説明する。図1は、実施の形態1に係る外気調和機200の一例を示す冷媒回路図である。
【0012】
図1において、矢印で示すOAは、給気ファン12により屋外空間301から第2熱交換器11へと供給される外気を示す。矢印で示すSAは、給気ファン12により第2熱交換器11から室内空間300へと供給される給気を示す。矢印で示すRAは、排気ファン13により室内空間300から第1熱交換器10へと供給される還気を示す。矢印で示すEAは、排気ファン13により第1熱交換器10から屋外空間301へと供給される排気を示す。また、矢印で示すHRFは暖房運転の冷媒の流れを示す。矢印で示すCRFは冷房運転の冷媒の流れを示す。
【0013】
図1は、外気を降温して室内空間300へ空気ダクト18を介して給気する冷房運転時の冷媒の流れを四方弁15において破線で示している。また、図1においては、外気を昇温して空気ダクト18を介して室内空間300へ給気する暖房運転時の冷媒の流れを四方弁15において実線で示している。
【0014】
図1に示すように、外気調和機200は、設置空間304に設置される。設置空間304は、空調対象空間である室内空間300と壁303を介して隣接している。また、設置空間304は、屋外空間301と壁303を介して隣接している。
【0015】
外気調和機200は、第1熱交換器10、第2熱交換器11、給気ファン12、排気ファン13、圧縮機14、四方弁15及び絞り装置17を備えている。第1熱交換器10、第2熱交換器11、圧縮機14、四方弁15及び絞り装置17は、冷媒配管16により接続され、冷媒が循環する冷媒回路を構成する。
【0016】
外気調和機200は、外気処理ユニット201と、熱源機ユニット202とを有する。
【0017】
外気処理ユニット201は、滴下部材であるドレン受け3、第1熱交換器10、第2熱交換器11、給気ファン12、排気ファン13及び絞り装置17を具備する。
【0018】
第1熱交換器10の少なくとも一部は、第2熱交換器11よりも重力方向上側に設けられる。暖房運転時に、第1熱交換器10は蒸発器となり、第2熱交換器11は凝縮器となる。
【0019】
第1熱交換器10は、詳細は後述するが、本実施の形態1の場合、フィン1と伝熱管2と(図8参照)が、交互に並んで配置されたフィンアンドチューブ型熱交換器として構成されている。
【0020】
第2熱交換器11は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能する。第2熱交換器11も第1熱交換器10と同じくフィン1と伝熱管2とが、交互に並んで配置されたフィンアンドチューブ型熱交換器として構成されている。
【0021】
第1熱交換器10と第2熱交換器11との間には滴下部材であるドレン受け3が設けられる。ドレン受け3は、暖房運転において、第1熱交換器10で発生する凝縮水51を第2熱交換器11に滴下する経路に設けられる。
【0022】
絞り装置17は、第1熱交換器10又は第2熱交換器11を経由した冷媒を膨張させて減圧する。絞り装置17は、例えば冷媒の流量を調整可能な電動膨張弁で構成することができる。なお、絞り装置17としては、電動膨張弁だけでなく、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又はキャピラリーチューブ等を適用することも可能である。
【0023】
給気ファン12は、屋外空間301から室内空間300へ空気を送風する。給気ファン12は、給気経路に設けられる。給気ファン12は、第2熱交換器11に熱交換流体である空気を供給する。排気ファン13は、還気経路上に設けられる。排気ファン13は、室内空間300から屋外空間301へ空気を送風する。排気ファン13は、第1熱交換器10に熱交換流体である空気を供給する。
【0024】
熱源機ユニット202は、圧縮機14及び四方弁15を収容する。
【0025】
圧縮機14は、冷媒を圧縮する。圧縮機14で圧縮された冷媒は、吐出されて四方弁15へ送られる。圧縮機14は、例えば、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、又は往復圧縮機等で構成することができる。
【0026】
四方弁15は、暖房運転と冷房運転とにおいて冷媒の流れを切り替える。四方弁15は、暖房運転時、圧縮機14の吐出口と第2熱交換器11とを接続すると共に、圧縮機14の吸入口と第1熱交換器10とを接続するように冷媒の流れを切り替える。また、四方弁15は、冷房運転時、圧縮機14の吐出口と第1熱交換器10とを接続すると共に、圧縮機14の吸入口と第2熱交換器11とを接続するように冷媒の流れを切り替える。
【0027】
制御装置45は、外気調和機200の全体の制御を行なう。制御装置45は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。制御装置45が専用のハードウェアである場合、制御装置45は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置45が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。制御装置45がCPUの場合、制御装置45が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置45の各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。なお、制御装置45の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0028】
図2は、実施の形態1に係る外気調和機200の第1変形例を示す冷媒回路図である。図2の外気調和機200の第1変形例では、排気ファン13は、室内空間300に配置された送風ユニット203_1に設けられる。送風ユニット203_1は、排気経路に設けられる。排気ファン13の形態は、遠心送風機、軸流送風機、横流送風機のいずれでも良い。排気ファン13の形態は、給気ファン12の形態と異なっていても良い。
【0029】
また、給気ファン12は、室内空間300に配置された送風ユニット203_2に設けられる。送風ユニット203_2は、吸気経路に設けられる。給気ファン12のファンの形態は、遠心送風機、軸流送風機、横流送風機のいずれでも良い。
【0030】
<外気処理ユニット201>
次に、本実施の形態1における外気調和機200の外気処理ユニット201について説明する。図3は、実施の形態1に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の一例を示す斜視透視図である。
【0031】
図3に示すように、外気処理ユニット201は、第1熱交換器10及び第2熱交換器11を備える。第1熱交換器10は、暖房蒸発器となる。第2熱交換器11は、暖房凝縮器となる。第1熱交換器10は、冷媒回路上で絞り装置17を介して第2熱交換器11に接続される。
【0032】
第1熱交換器10の少なくとも一部は、第2熱交換器11よりも重力方向110上側に設けられる。第1熱交換器10は、暖房運転において第1熱交換器10で発生する凝縮水51を第2熱交換器11に直接的又は間接的に滴下する滴下経路80を備えている。滴下経路80は、暖房運転において発生する凝縮水51が第2熱交換器11に滴下する経路である。例えば図3においては、排気経路に備えられる第1熱交換器10において発生する凝縮水51はフィン1の間からドレン受け3に滴下する。その後、ドレン受け3に滴下した凝縮水51は、滴下孔4を流れ、第2熱交換器11に滴下する。滴下孔4に入らない凝縮水51は、排水孔5を介して外気調和機200へ排出される。滴下孔4は、入口4_1及び出口4_2を有する(図5参照)。滴下部材であるドレン受け3は、第1熱交換器10から滴下した凝縮水51を導水し、第2熱交換器11に重力方向110に滴下する滴下孔4の出口4_2を2以上備える。滴下孔4は、第1熱交換器10側の入口4_1の数に対し、第2熱交換器11側の出口4-2の数が多い。
【0033】
滴下部材であるドレン受け3は、滴下孔4が設けられている面を有する。この面は、第2熱交換器11の伝熱管2の延伸方向130と第2熱交換器11の伝熱管2の配列方向131とのうち、重力方向110に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向に沿う面である。
【0034】
第1熱交換器10及び第2熱交換器11は蒸発器として動作するにあたり凝縮水51を形成し、フィン1間を滴下水52が重力あるいは表面張力で滴下する構成であればよい。第1熱交換器10及び第2熱交換器11は、伝熱管2が小径であるマイクロチャネル熱交換器などであっても効果に支障はなく、第1熱交換器10及び第2熱交換器11の形態が異なっていてもよい。
【0035】
図5は、実施の形態1に係る外気調和機200の第1熱交換器10、第2熱交換器11及びドレン受け3のA-A断面図である。図5図1におけるA-A断面を示している。
【0036】
滴下水52を導水する滴下孔4の出口4_2が2以上ある。滴下経路80は、図5に示すように、第1熱交換器10下方のドレン受け3から貫通する経路である。
【0037】
図5において、実施の形態1の外気調和機200は、暖房運転において、蒸発器となる第1熱交換器10を凝縮器となる第2熱交換器11よりも重力方向上側に備える。第1熱交換器10で形成される凝縮水51は、複数の滴下孔4の入口4_1から出口4_2を貫通し、第2熱交換器11に滴下する。図5において、120は滴下水52が流れる領域を示す。第2熱交換器11の表面を滴下水52が流れることにより、実施の形態1の外気調和機200は、第2熱交換器11から室内空間300に吸気する空気が加湿され、室内空気を調湿可能となる。
【0038】
図6は、実施の形態1に係る外気調和機200の第1熱交換器10、第2熱交換器11及びドレン受け3の第1変形例を示すA-A断面図である。図6図1におけるA-A断面を示している。図6に示すように、滴下孔4は経路の途中で曲がっても、分岐してもよい。ドレン受け3の第1熱交換器10側の滴下孔4の入口4_1の数を第2熱交換器11側の滴下孔4の出口4_2の数より小さくする。これにより、第1熱交換器10側入口から第2熱交換器11側出口への流動抵抗が大きくなり、排気系路から給気経路への空気の侵入を低減できる。
【0039】
入口4_1からの水平方向の距離が異なる複数の出口4_2がある場合、入口4_1に近い出口4_2に流れる滴下水52の量に対して、入口4_1から遠い第2熱交換器11側の出口4_2に流れる滴下水52の量が少なくなる。従って、第2熱交換器11における滴下水52の分布が不均一となって加湿性能が低下するおそれがある。そこで、図7に示すような構成を組み合わせてもよい。
【0040】
図7は、実施の形態1に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第1変形例のドレン受け3を示す斜視透視図である。入口4_1から出口4_2までの滴下経路80内で、第2熱交換器11側の滴下孔4を構成する部材の端部は押し出し加工又はプレス成型などにより、滴下経路80の重力方向下側のドレン受け3の面に対し一定の高さ突き出して構成される。これにより、滴下経路80内の滴下水52の分布の不均一を是正し、第1熱交換器10側の入口4_1側から遠い滴下孔4の出口4_2へも滴下水52を供給することができる。その結果、第2熱交換器11における滴下水52の分布の不均一が低減され、加湿性能及び湿度制御性が改善する。
【0041】
図8は、実施の形態1に係る外気調和機200の第1熱交換器10の構成例を示す模式図である。図8に示すように、第1熱交換器10は、一定の間隔で並ぶフィン1とフィン1の並列方向に延伸する伝熱管2から構成される。図8において、130は伝熱管2の延伸方向を示し、131は伝熱管2の配列方向を示す。伝熱管2は、内部に冷媒が流れる複数の冷媒流路が形成され、外部にフィン1間を流れる空気及び凝縮水51が流れる。第2熱交換器11の構成も同様である。
【0042】
伝熱管2の形状は円形でもよいし、扁平形状でもよい。第1熱交換器10が蒸発器として動作するとき、伝熱面であるフィン1表面及び伝熱管2の管外表面に凝縮水51が発生し、重力及び表面張力により下方へ移動する。
【0043】
図9は、実施の形態1に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第2変形例を示す給気経路の斜視透視図である。図10は、実施の形態1に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第2変形例を示す模式図である。
【0044】
図9及び図10に示すように、2以上の滴下孔4は、第2熱交換器11の重力方向110上側の壁面22に設けられている。具体的には、2以上の滴下孔4は、第2熱交換器11の伝熱管2の延伸方向130と第2熱交換器11の伝熱管2の配列方向131とのうち、重力方向110に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向の滴下部材である第2熱交換器11の上面に備えられている。滴下孔4は、第2熱交換器11の重力方向110上側の壁面22に設けられている。滴下孔4は、壁面22と第2熱交換器11との最近接部140から見て、壁面22と第2熱交換器11との傾きが鋭角をなす方向の壁面22に備えられている。
【0045】
図11は、実施の形態1に係る外気調和機200の第2熱交換器11の変形例の構成例を示す模式図である。図11に示すように、外気調和機200の第2熱交換器11のフィン1の間隔は、図8に示す第1熱交換器10のフィン1の間隔よりも小さい。
【0046】
図12は、実施の形態1に係る外気調和機200の第2熱交換器11の変形例の構成例を示す模式図である。図12に示すように、第2熱交換器11のフィン1をコルゲート形状のフィン1で構成してもよい。
【0047】
図13は、実施の形態1に係る外気調和機200の第2熱交換器11の変形例の熱交換器の保水量の測定結果を示すである。図13は、気流の通過面積が同等の熱交換器で比較した保水量である。保水量の定義は、熱交換器に滴下水52を付与した後十分長い時間放置した後に熱交換器が保持する水の重量である。図13に示す測定結果のように、コルゲートフィンを備える熱交換器はプレートフィンを備える熱交換器よりも保水量が2倍以上大きい。
【0048】
図14は、実施の形態1に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第3変形例を示す斜視透視図である。図14に示すように、第1熱交換器10と第2熱交換器11との間に滴下部材である多孔質体6が設けられる。多孔質体6は、凝縮水51を第2熱交換器11へ導水する。
【0049】
多孔質体6は、複数の空隙を有する。多孔質体6は、空隙径を小さくし、又は屈折率を大きく設定される。これにより、凝縮水51が多孔質体6を通過する際に、多孔質体6不純物除去と重力方向110に垂直な面への水の導水とを同時に実現することができる。従って、第3変形例の外気処理ユニット201を有する外気調和機200は、衛生環境改善と快適性を両立することができる。
【0050】
図15は、実施の形態1に係る外気調和機200の第2変形例を示す冷媒回路図である。図15に示すように、第1熱交換器10の排気経路上流に温度測定部44が設けられる。温度測定部44は、第1熱交換器10の排気経路上流の排気温度を測定する。
【0051】
制御装置45は、温度測定部44によって測定された排気温度に基づいて、第1熱交換器10の蒸発温度を排気の露点温度以下にする制御する。具体的には、制御装置45は、暖房運転時において、温度測定部44によって測定された排気温度に基づいて、圧縮機14の回転数及び絞り装置17の開度を制御し、第1熱交換器10の蒸発温度を排気経路の排気の露点温度以下にする。従って、第2変形例の冷媒回路を有する外気調和機200は、湿度制御性が向上できる。
【0052】
例えば、排気経路上流の排気の温度が低下し、第1熱交換器10の蒸発温度が排気の露点温度に対し高くなると、第1熱交換器10において凝縮水量が低下或いは無くなる。制御装置45は、温度測定部44において温度低下を測定すると、圧縮機14の回転数を増加し、絞り装置17の開度を小さく制御する。
【0053】
これにより、第2変形例の冷媒回路を有する外気調和機200は、蒸発温度を下げ凝縮水量を増加することができる。第2変形例の冷媒回路を有する外気調和機200は、特に季節により変化する室内の温湿度に合わせて滴下量を制御できるため、通年の快適性及び衛生環境の向上が可能となる。なお、制御装置45は、温度測定部44の温度計測値を使用しても、温度測定部44と湿度測定部(図示せず)とを併用して、温度計測値と湿度計測値との変数を使用しても良い。
【0054】
また、外気調和機200のヒートポンプ回路を流れる作動流体として、R32冷媒、又は、R410Aもしくは少なくともオレフィン系冷媒、プロパン及びDME(ジメチルエーテル)を含むR32冷媒よりもガス密度の小さい冷媒を用いる。これにより、圧縮機14の入力あたりの給気の加熱・冷却能力が向上する。なお、オレフィン系冷媒としては、HFO1234yf、もしくは、HFO1234ze(E)等が挙げられる。
【0055】
<外気調和機200の動作>
次に、外気調和機200の動作について、冷媒及び空気、滴下水52の流れと共に説明する。まず、外気調和機200が実行する屋外空間301の空気を室内空間300に降温して給気する冷房運転について説明する。なお、冷房運転時の冷媒の流れは、四方弁15において、図1に破線で示している。ここでは、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、外気調和機200の動作について説明する。
【0056】
圧縮機14を駆動させることによって、圧縮機14から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、破線に従って冷媒が流れる。圧縮機14から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、四方弁15を介して凝縮器として機能する第1熱交換器10に流れ込む。第1熱交換器10では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、排気ファン13によって室内空間300から屋外空間301へ排出される空気との間で熱交換が行われて、高温高圧のガス冷媒が凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。
【0057】
第1熱交換器10から送り出された高圧の液冷媒は、絞り装置17によって低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する第2熱交換器11に流れ込む。第2熱交換器11では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、給気ファン12によって屋外空間301から室内空間300へ供給される空気との間で熱交換が行われ、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。この熱交換によって、室外空気を冷却、除湿して室内空間300へ供給する。この時、第2熱交換器11のフィン1上では、凝縮水51が発生する。発生した凝縮水51は、ドレン受け3へ滴下して排水孔5を介して外気調和機200の外へ排水される。第2熱交換器11から送り出された低圧のガス冷媒は、四方弁15を介して圧縮機14に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機14から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
【0058】
次に、外気調和機200が実行する屋外空間301の空気を室内空間300に昇温して給気する暖房運転について説明する。なお、暖房運転時の冷媒の流れは、四方弁15において、図1に実線矢印で示している。
【0059】
圧縮機14を駆動させることによって圧縮機14から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、実線で示した外気暖房流れHRFに従って冷媒が流れる。
【0060】
圧縮機14から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、四方弁15を介して凝縮器として機能する第2熱交換器11に流れ込む。第2熱交換器11では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、給気ファン12によって屋外空間301から室内空間300へ供給される空気との間で熱交換が行われ、高温高圧のガス冷媒が凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。この熱交換によって、室内空間300が暖房されることになる。この時、第1熱交換器10で発生する凝縮水51が滴下経路80により第2熱交換器11に滴下する。滴下した凝縮水51は、高温高圧冷媒により高温になる第2熱交換器11のフィン1間で蒸発して、加湿した空気を室内空間300へ供給可能となる。第2熱交換器11のフィン1間で蒸発せず、ドレン受け3へ滴下した滴下水52は排水孔5などを経由し外気調和機200外へ排出する。
【0061】
給気の湿度制御方法として、例えば暖房運転において加湿量を向上したい場合、制御装置45は、絞り装置17の開度を小さくして第1熱交換器10の蒸発温度を低減することで除湿量を増加し、第2熱交換器11へ滴下する水分量を増加する。
【0062】
第2熱交換器11から送り出された高圧の液冷媒は、絞り装置17によって、低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する第1熱交換器10に流れ込む。第1熱交換器10では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、排気ファン13によって室内空間300から屋外空間301へ排出される空気との間で熱交換が行われ熱回収し、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。この時、第1熱交換器10のフィン1上では、凝縮水51が発生する。凝縮水51は、重力方向110に対し垂直な面から見てドレン受け3に少なくとも2以上設けられた滴下孔4(図2参照)を介して滴下経路80により、重力方向下側に設けられた第2熱交換器11へ滴下して湿度回収される。
【0063】
第1熱交換器10から送り出された低圧のガス冷媒は、四方弁15を介して圧縮機14に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となり、再び圧縮機14から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
【0064】
上記した冷房運転及び暖房運転の際、圧縮機14に冷媒が液状態で流入すると、液圧縮を起こし、圧縮機14の故障の原因となってしまう。そのため、冷房運転時の第2熱交換器11、又は、暖房運転時の第1熱交換器10から流出する冷媒は、ガス冷媒(単相)となっていることが望ましい。
【0065】
<実施の形態1の効果>
図4は、従来の外気調和機の外気処理ユニットのA-A断面図である。図4は、従来の外気空気調和機の図1におけるA-A断面に相当する断面を示しており、本実施の形態の外気空気調和機200の外気処理ユニット201の構成に相当する構成には、同じ符号を付している。図4に示すように、ドレン受け3の滴下孔4の出口4_2の数が1つの場合、第2熱交換器11に滴下水52が滴下する範囲が狭まり、第2熱交換器11上で滴下水52が流れる領域120に対し滴下水52が流れない領域121が大きくなる。この時、滴下水52は、第2熱交換器11のフィン1上で蒸発する前に、第2熱交換器11下方に設けられたドレン受け3に到達する。第2熱交換器11下方のドレン受け3に到達した滴下水52は、排水孔5より外気調和機200外に排出される。従って、従来の外気調和機は、給気SAを十分加湿できない。
【0066】
実施の形態1における外気調和機200は、図5に示すように、滴下孔4の出口4_2を2以上備えるため、滴下水52が流れる領域120に対し滴下水52が流れない領域121が小さくなる。従って、第2熱交換器11のフィン1上で蒸発する前に、第2熱交換器11下方のドレン受け3に到達する滴下水52が低減する。その結果、伝熱管2内に流れる冷媒に対して、滴下水52の流れる領域120をより均等に設けることが可能となる。その結果、温度制御性と湿度制御性がともに改善して、室内空間300の快適性と衛生環境向上を両立できる。
【0067】
2以上の滴下孔4の出口4_2は、第2熱交換器11の伝熱管2の延伸方向130と第2熱交換器11の伝熱管2の配列方向131とのうち、重力方向110に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向の滴下部材であるドレン受け3の面に備えられている。2以上の滴下孔4は、第2熱交換器11の伝熱管2の延伸方向130と第2熱交換器11の伝熱管2の配列方向131とのうち、重力方向110に対し垂直な面に対し、傾斜が小さい方向の滴下部材である第2熱交換器11の上面に備えられている。この場合、滴下水52が第2熱交換器11のフィン1上を伝って流れにくい領域に滴下水52を導水して滴下水52が流れない領域121が小さくなり、特に効果的である。
【0068】
また、図9及び図10の例に示すように、2以上の滴下孔4の出口4_2は、第2熱交換器11の重力方向上側の壁面22に設けられる。また、2以上の滴下孔4の出口4_2は、壁面22と第2熱交換器11との最近接部140から見て、前記壁面22と第2熱交換器11との傾きが鋭角をなす方向に備えられている。この場合、滴下孔4を壁面22と第2熱交換器11との傾きが鈍角をなす方向に備える場合と比較して、第2熱交換器11のフィン間を通過する滴下水52が多くなり、滴下水52がドレン受け3に到達するまでに蒸発する水分量が多くなり湿度制御性が改善する。
【0069】
第2熱交換器11を伝熱管2の延伸方向130に見て2等分し、第2熱交換器11が凝縮器として動作する際の冷媒配管16の入口側の領域に、反対側の領域に対して滴下孔4の孔径を大きくするあるいは孔数を多くしても良い。これにより、熱交換量が比較的大きい伝熱面に滴下水52が多く散布されフィン1上の蒸発が促進し、凝縮器の過熱部が小さくなり、熱交換器性能改善により温度制御性が改善する。
【0070】
なお、実施の形態1においては、第2熱交換器11に対して第1熱交換器10を鉛直上の位置に1台配置しているが、位置と台数はこれに限るものではない。実施の形態1の外気調和機200は、所定の場合に限り、第3熱交換器31を設けてもよい。所定の場合とは、第2熱交換器11に対して第1熱交換器10の少なくとも一部が重力方向上側に配置され、第1熱交換器10で発生する凝縮水51が第2熱交換器11に滴下する経路が設けられている場合である。また、第1熱交換器10、第2熱交換器11及び第3熱交換器31の水平方向の位置関係は自由である。
【0071】
給気ファン12及び排気ファン13は、図1に示すように同一回転軸で構成しても、別々の回転軸でもよく、第2熱交換器11及び第1熱交換器10に対して設置位置が気流の上流でも下流でも効果に支障はない。外気調和機200を構成する外気処理ユニット201と熱源機ユニット202は別筐体で図示しているが、同一筐体で構成しても良い。さらに、給気経路と還気経路は別筐体で構成してもよく、図2のように給気又は還気経路上で送風ユニット203_1及び送風ユニット203_2を設けてもよい。また、給気経路にフィルタなど異物除去機能を設けることで、屋外空間301から土埃及びウイルスの侵入を防ぐ構成にしてもよい。外気処理ユニット201及び熱源機ユニットの設置空間304は天井裏でも良く、室内空間300、屋外空間301でもよく、冷媒配管16で接続している限り、外気処理ユニット201と熱源機ユニット202とは別空間に設置してもよい。
【0072】
図11に示す第2熱交換器11の変形例では、フィン1の間隔は、図8に示す第1熱交換器10のフィン1の間隔よりも小さい。これにより、滴下水52がドレン受け3に滴下する前に蒸発する量を向上し、滴下量あたりの加湿量を向上できる。
【0073】
図12に示すように、第2熱交換器11のフィン1をコルゲート形状のフィン1で構成してもよい。コルゲート形状のフィン1は、第2熱交換器11が気流の通過面積あたりに保持する水分量が増加するため、滴下水52がドレン受け3に滴下する前に蒸発する量を向上し、滴下量当たりの加湿量を向上できる。
【0074】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る外気処理ユニット201及びそれを搭載した外気調和機200について説明する。図16は、実施の形態2に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の模式図である。
【0075】
実施の形態2は、実施の形態1の外気調和機200を一部変更したものであり、外気処理ユニット201及び外気調和機200の全体構成は実施の形態1と同様であるため、図示及び説明を省略し、同様あるいは相当部分には同じ符号を付している。
【0076】
実施の形態2に係る外気処理ユニット201は図16に示すように、暖房運転において第1熱交換器10で発生する凝縮水51の滴下孔4から第2熱交換器11までの滴下経路80において、滴下水52の流量の調整を行なう流量調節機構41を設ける。制御装置45は、加湿量を増加したい場合は流量調節機構41を開くことで重力を駆動力に滴下量を増加し、第2熱交換器11からの滴下水52の蒸発量を向上する。制御装置45は、加湿量を減少する場合、流量調節機構41を閉じて滴下量を減らし、第2熱交換器11からの滴下水52の蒸発量を低減する。第2熱交換器11へ滴下しない凝縮水51は排水孔5などを経由し機外へ排出される。
【0077】
流量調節機構41は、絞り装置であってもよいし、ダンパー又はスライド式の開閉弁などでもよい。図17は、実施の形態2に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第1変形例を示す模式図である。図17は、流量調節機構41としてダンパーを使用した場合を示している。
【0078】
図18は、実施の形態2に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第1変形例を示す斜視透視図である。図19は、実施の形態2に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の第1変形例を示すA-A断面図である。図19は、図1に示したA-A線における断面に相当する断面を示している。
【0079】
図18及び図19の変形例に示すように、複数の滴下孔4は、流量調節機構41により一部を開いた滴下孔4a及び閉じた滴下孔4bを有する。制御装置45は、流量調節機構41を制御して、第2熱交換器11上に滴下水52が流れる領域120と流れない領域121とを形成し、フィン1の濡れ面積を制御して加湿量を制御する。
【0080】
図17ではドレン受け3上の滴下孔4を例に図示しているが、滴下経路80上で第2熱交換器11へ流れる滴下水52の位置を制御できれば流量調節機構41を設ける位置は自由である。
【0081】
<実施の形態2の効果>
以上、実施の形態2の外気調和機200の外気処理ユニット201は、流量調節機構41により第2熱交換器11への滴下量を制御する。これにより、実施の形態2の外気調和機200は、室内空間300の調湿を改善する。
【0082】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る外気処理ユニット201及びそれを搭載した外気調和機200について説明する。図20は、実施の形態3に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の模式図である。
【0083】
実施の形態3は、実施の形態1の外気調和機200を一部変更したものであり、外気処理ユニット201及び外気調和機200の全体構成は実施の形態1と同様であるため、図示及び説明を省略し、同様あるいは相当部分には同じ符号を付している。
【0084】
実施の形態3の外気処理ユニット201は図20に示すように、暖房運転において第1熱交換器10で発生する凝縮水51の滴下孔4から第2熱交換器11までの滴下経路80において、滴下水52の浄水を行なう浄水機構42を設ける。
【0085】
浄水機構42は、滴下水52内の埃等の異物、細菌・ウイルス等を除去あるいは不活性化する機構である。浄水機構42としては、フィルタ、活性炭、イオン交換膜、CDI(電気脱イオン装置)を用いた異物除去手段、放電、UV、ストリーマ照射手段及び銀、白金、光触媒(酸化チタン+光)などの触媒を用いた殺菌、ウイルス不活化手段があげられる。
【0086】
浄水機構42は、室内空間300で汚染された還気から第1熱交換器10で凝縮する凝縮水51について、第2熱交換器11へ滴下する重力を駆動力に浄水する。浄水機構42が除去した異物は、例えば第2熱交換器11へ滴下しない凝縮水51により排水孔5などを経由し外気調和機200外へ排出される。
【0087】
<実施の形態3の効果>
以上、実施の形態3の外気調和機200の外気処理ユニット201は、浄水機構42により滴下水52の浄水を行なうことにより、室内空間300の衛生環境を改善することができる。
【0088】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る外気処理ユニット201及びそれを搭載した外気調和機200について説明する。
図21は、実施の形態4に係る外気調和機200の外気処理ユニット201の模式図である。図22及び図23は、実施の形態4に係る外気調和機200の全熱交換器43内の気流を示す模式図である。本実施の形態4は、実施の形態1の外気調和機200を一部変更したものであり、外気処理ユニット201及び外気調和機200の全体構成は実施の形態1と同様であるため、図示及び説明を省略し、同様あるいは相当部分には同じ符号を付している。
【0089】
実施の形態4に係る外気調和機200は、図22に示すように全熱交換器43を備え、第1熱交換器10は室内空間300から屋外空間301への排気経路において全熱交換器43の下流に位置する。全熱交換器43は、排気側経151及び給気側経路152を有する。全熱交換器43は、換気によって失われる空調エネルギーの全熱を交換回収する。
【0090】
また、図23に示すように、第2熱交換器11は、屋外空間301から室内空間300への給気経路において全熱交換器43の下流に位置する。
【0091】
<実施の形態4の効果>
実施の形態4の外気調和機200では、第1熱交換器10に流れる気流の温度ムラが低減し、第1熱交換器10の伝熱面あたりの凝縮水生成量が向上し、同一入力当たりの温湿度制御性が向上する。
【0092】
また、本実施の形態4の外気調和機200では、排気経路上で全熱交換器43の上流に第1熱交換器10が位置する配置に対して、全熱交換器43を流れる給気と排気との間の温湿度差が大きくなり、同一入力当たりの温湿度制御性が向上する。
【0093】
特に、第2熱交換器11を給気経路上に全熱交換器43の下流に備えることで、第1熱交換器10からの凝縮水51の滴下量あたりの第2熱交換器11と還気RAとの温度差が小さくなり、第2熱交換器11の伝熱面積が凝縮水51により濡れる領域が増える。
【0094】
また、図22に示すように、全熱交換器43の排気経路151下流の第1熱交換器10は、フィン間に凝縮水51を多く含む。全熱交換器43内において、排気経路151の空気中の水分53は、第1熱交換器10において水を保湿する排気経路下流よりも、乾燥空気が流れる水分53が少ない給気経路152側に多く移動し、湿度交換が促進する。以上により、一入力当たりの温湿度制御性が向上し、快適性と衛生環境が改善する。
【0095】
なお、第1熱交換器10から全熱交換器43へ凝縮水51が滴下しないように垂直上方向から全熱交換器43側への傾斜を小さくするなどして構成することで、全熱交換器43における温度交換を阻害することなく動作できる。
【0096】
実施の形態は、例として提示したものであり、請求の範囲を限定することは意図していない。実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施の形態及びその変形は、実施の形態の範囲及び要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 フィン、2 伝熱管、3 ドレン受け、4 滴下孔、4_1 入口、4_2 出口、4a 開いた滴下孔、4b 閉じた滴下孔、5 排水孔、6 多孔質体、10 第1熱交換器、11 第2熱交換器、12 給気ファン、13 排気ファン、14 圧縮機、15 四方弁、16 冷媒配管、17 絞り装置、18 空気ダクト、19 ダンパー、20 冷媒流路、21 流路、22 第2熱交換器の重力方向上側の壁面、31 第3熱交換器、41 流量調節機構、42 浄水機構、43 全熱交換器、44 温度測定部、45 制御装置、51 凝縮水、52 滴下水、53 空気中の水分、80 滴下経路、110 重力方向、120 滴下水が流れる領域、121 滴下水が流れない領域、130 伝熱管2の延伸方向、131 伝熱管2の配列方向、140 壁面22と第2熱交換器11の最近接部、151 全熱交換器内の排気側経路、152 全熱交換器内の給気側経路、200 外気調和機、201 外気処理ユニット、202 熱源機ユニット、203_1、203_2 送風ユニット、300 室内空間、301 屋外空間、303 壁、304 設置空間、EA 排気、OA 外気、RA 還気、SA 給気、HRF 外気暖房の冷媒の流れ方向、CRF 外気冷房の冷媒の流れ方向。
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