(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】チラーシステム及びチラーシステムを有する空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20231208BHJP
F24F 11/85 20180101ALI20231208BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F24F11/85
(21)【出願番号】P 2022576325
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002209
(87)【国際公開番号】W WO2022157918
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 翔平
(72)【発明者】
【氏名】門脇 仁隆
(72)【発明者】
【氏名】望月 勇希
(72)【発明者】
【氏名】倉地 亮宜
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-44831(JP,A)
【文献】特開2003-65585(JP,A)
【文献】国際公開第2014/057550(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節した水を出力するチラーと、
前記チラーの負荷と、
前記チラーと前記負荷との間に接続され、前記チラーから前記負荷に供給される水が流れる往き配管と、
前記チラーと前記負荷との間を接続され、前記負荷から前記チラーに戻る水が流れる戻り配管と、
前記チラーを制御する第1制御装置と、
前記第1制御装置に、前記チラーを制御するチラー運転指令を出力する第2制御装置とを具備し、
前記チラーは、
前記戻り配管を流れる前記水の前記チラーへの入口水温を測定する第1センサと、
前記往き配管を流れる前記水の前記チラーへの出口水温を測定する第2センサと、
前記チラーが設置された場所の外気温度を測定する第3センサとを具備し、
前記第1制御装置は、
前記第1センサにより測定された入口水温、前記第2センサにより測定された出口水温及び前記第3センサにより測定された外気温度に基づいて、前記チラーの運転可能な温度範囲を求め、前記求められた温度範囲を前記第2制御装置に出力するチラーシステム。
【請求項2】
前記第2制御装置は、
前記温度範囲に基づいて、前記往き配管及び前記戻り配管を流れる水流量を制御する
請求項1記載のチラーシステム。
【請求項3】
前記戻り配管を流れる前記負荷から前記チラーへの水を送水する送水ポンプを具備し、
前記第2制御装置は、
前記第1制御装置から出力された前記温度範囲に基づいて、前記送水ポンプが吐出する水流量を求め、前記求められた水流量を含む第1運転指令を前記送水ポンプに出力する
請求項1又は2に記載のチラーシステム。
【請求項4】
前記往き配管を流れる水の水温を測定する水温センサを具備し、
前記第1制御装置は、前記チラーの目標出口水温を前記第2制御装置に出力し、
前記第2制御装置は、
前記水温センサにより測定された水温と、前記第1制御装置から出力された温度範囲と、前記第1制御装置から出力された前記チラーの目標出口水温とに基づいて、前記チラー運転指令を出力する
請求項1~3のいずれか1項に記載のチラーシステム。
【請求項5】
前記第1制御装置は、
前記第2制御装置から前記温度範囲の計算の要求を検知した場合、前記温度範囲を求める
請求項1~4のいずれか1項に記載のチラーシステム。
【請求項6】
前記往き配管及び前記戻り配管に設けられた水-水熱交換器を具備し、
前記往き配管は、前記チラーと前記水-水熱交換器とを接続する一次側の往き配管と、前記水-水熱交換器と前記負荷とを接続する二次側の往き配管とを具備し、
前記戻り配管は、前記チラーと前記水-水熱交換器とを接続する一次側の戻り配管と、前記水-水熱交換器と前記負荷とを接続する二次側の戻り配管とを有し、
前記一次側の往き配管と前記一次側の戻り配管とは、前記水-水熱交換器において接続され、前記二次側の往き配管と前記二次側の戻り配管とは、前記水-水熱交換器において接続され、
前記水-水熱交換器は、前記一次側の往き配管及び前記一次側の戻り配管を流れる水の熱と、前記二次側の往き配管及び前記二次側の戻り配管を流れる水の熱との熱交換を行ない、
前記水-水熱交換器への水を送水する二次側の送水ポンプを具備し、
前記第2制御装置は、
前記第1制御装置から出力された前記温度範囲に基づいて、前記二次側の送水ポンプの水流量を求め、前記求められた水流量を含む第2運転指令を前記二次側の送水ポンプに出力する
請求項1~5のいずれか1項に記載のチラーシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のチラーシステムと、
室内機と、
前記室内機に冷媒が循環する配管により接続され、前記冷媒と外気との熱交換を行なう熱交換器を具備する室外機とを具備し、
前記往き配管及び戻り配管を流れる水は、前記負荷と熱交換が行なわれる空気調和装置。
【請求項8】
前記負荷は、前記室内機の一部である
請求項7に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チラーを制御するチラーシステム及びチラーシステムを有する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チラーを有する空気調和装置が知られている。このような空気調和装置では、建物外に設置された熱源機によりチラーの水を冷却又は加熱する。
【0003】
チラーと室内機のファンコイルユニット又はパネルヒーター等の負荷とは、水が流れる往き配管及び戻り配管により接続される。そして、冷却又は加熱された水は、往き配管を流れ、負荷に搬送され、負荷を冷却又は加熱する。負荷を冷却又は加熱した水は、戻り配管を流れ、チラーに戻る。負荷が設けられる現地には、制御盤が設置される。制御盤は、1以上のチラーを制御し、1以上のチラーに目標出口水温を含む運転指令を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、チラーの最高出口水温及び最低出口水温は、外気温度及び出入口水温の運転条件によって変化する。従って、制御盤から指示された目標出口水温を含む運転指令がチラーの運転可能な温度範囲でない場合、チラーは、運転指令に従って運転されない。
【0006】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、チラーが目標出口水温の水を供給することができるチラーシステム及びチラーシステムを有する空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るチラーシステムは、温度調節した水を出力するチラーと、前記チラーの負荷と、前記チラーと前記負荷との間に接続され、前記チラーから前記負荷に供給される水が流れる往き配管と、前記チラーと前記負荷との間を接続され、前記負荷から前記チラーに戻る水が流れる戻り配管と、前記チラーを制御する第1制御装置と、前記第1制御装置に、前記チラーを制御するチラー運転指令を出力する第2制御装置とを具備し、前記チラーは、前記戻り配管を流れる前記水の前記チラーへの入口水温を測定する第1センサと、前記往き配管を流れる前記水の前記チラーへの出口水温を測定する第2センサと、前記チラーが設置された場所の外気温度を測定する第3センサとを具備し、前記第1制御装置は、前記第1センサにより測定された入口水温、前記第2センサにより測定された出口水温及び前記第3センサにより測定された外気温度に基づいて、前記チラーの運転可能な温度範囲を求め、前記求められた温度範囲を前記第2制御装置に出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のチラーシステムは、第2制御装置が、第1制御装置からチラーの運転可能な温度範囲を取得することができる。従って、第2制御装置は、チラーの運転可能な温度範囲に対応した適切な運転指令を出力できる。これにより、チラーは、運転指令に従って、運転可能な温度範囲に設定された目標出口水温の水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和装置のチラーシステムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る空気調和装置のチラーの機能ブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る空気調和装置の第2制御装置の機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る空気調和装置のチラーの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る空気調和装置の第1制御装置の温度範囲の出力を説明するためのフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る空気調和装置の第2制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施の形態1に係る空気調和装置の第1制御装置の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムの構成を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る空気調和装置の第2制御装置の機能ブロック図である。
【
図10】実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムの第2制御装置の第2運転指令の出力の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施の形態3に係る空気調和装置の一例を示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るチラーシステムについて説明する。なお、図面において、同一の構成要素には同一符号を付して説明し、重複説明は必要な場合にのみ行なう。本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含み得る。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置のチラーシステムAの構成を示す図である。
【0012】
なお、チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3を区別する必要がない場合、各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3をチラー1とも呼ぶ。他の構成要素も同様である。
【0013】
<チラーシステムAの構成>
図1に示すように、チラーシステムAは、チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3を有する。チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3は、空気調和装置の室外機102に設けられる。負荷2、第2制御装置5、水温センサ6及び送水ポンプ7は、室内機101に設けられる。
【0014】
チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3は、入力された水を冷却又は加熱して出力し、冷水又は温水を循環させる。なお、水は不凍液であっても良い。実施の形態1においては、3台のチラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3を示しているが、チラー1の数は1以上であれば良い。
【0015】
チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3の熱源は、例えば、空気調和装置の熱交換器が用いられる。具体例としては、熱源としてヒートポンプが用いられ、チラーシステムAの水は、空気調和装置の熱交換器を流れる冷媒と熱交換が行なわれる。
【0016】
チラー1_1には、チラー1_1の入口水温を測定する第1センサIS_1が設けられる。チラー1_2には、チラー1_2の入口水温を測定する第1センサIS_2が設けられる。チラー1_3には、チラー1_3の入口水温を測定する第1センサIS_3が設けられる。
【0017】
チラー1_1には、チラー1_1の入口水温を測定する第2センサOS_1が設けられる。チラー1_2には、チラー1_2の入口水温を測定する第2センサOS_2が設けられる。チラー1_3には、チラー1_3の入口水温を測定する第2センサOS_3が設けられる。
【0018】
チラー1_1の外部には、チラー1_1の外気温度を測定する第3センサS_1が設けられる。チラー1_2の外部には、チラー1_2の外気温度を測定する第3センサS_2が設けられる。チラー1_3の外部には、チラー1_3の外気温度を測定する第3センサS_2が設けられる。
【0019】
チラー1_1は、第1制御装置C_1を有する。第1制御装置C_1は、チラー1_1全体の制御を行なう。第1制御装置C_1は、第1センサIS_1により測定された入口水温、第2センサOS_1により測定された出口水温及び第3センサS_1により測定された外気温度に基づいて、チラー1_1の運転可能な第1温度範囲を求める。第1制御装置C_1は、第1温度範囲を第2制御装置5に送信する。チラー1_2は、第1制御装置C_2を有する。第1制御装置C_2は、チラー1_2全体の制御を行なう。第1制御装置C_2は、第1制御装置C_2は、第1センサIS_2により測定された入口水温、第2センサOS_2により測定された出口水温及び第3センサS_2により測定された外気温度に基づいて、チラー1_1の運転可能な第2温度範囲を求める。第1制御装置C_2は、第2温度範囲を第2制御装置5に送信する。チラー1_3は、第1制御装置C_3を有する。第1制御装置C_3は、チラー1_3全体の制御を行なう。第1制御装置C_3は、第1センサIS_3により測定された入口水温、第2センサOS_3により測定された出口水温及び第3センサS_3により測定された外気温度に基づいて、チラー1_3の運転可能な第3温度範囲を求める。第1制御装置C_3は、第3温度範囲を第2制御装置5に送信する。
【0020】
第1制御装置Cにより求められる温度範囲は、例えば、チラー1の入口水温、出口水温及び外気温度と、温度範囲との関係を規定したテーブルを使用して求められる。
【0021】
なお、チラー1の第1制御装置C_1、第1制御装置C_2及び第1制御装置C_3は、空気調和装置の制御装置であっても良い。また、第1制御装置C_1、第1制御装置C_2及び第1制御装置C_3と、第2制御装置5との間の通信は、有線通信であっても無線通信であっても良い。
【0022】
第1制御装置Cは、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。第1制御装置Cが専用のハードウェアである場合、第1制御装置Cは、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。第1制御装置Cが実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。第1制御装置CがCPUの場合、第1制御装置Cが実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、第1制御装置Cの各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。なお、第1制御装置Cの機能の一部は、専用のハードウェアで実現され、一部はソフトウェア又はファームウェアで実現されても良い。
【0023】
チラー1_1と負荷2との間は、加熱又は冷却された水が内部を流れる往き配管3及び戻り配管4により接続される。
【0024】
往き配管3は、チラー1側において往き配管3_1、往き配管3_2及び往き配管3_3に分岐される。チラー1_1は、往き配管3の往き配管3_1に接続される。チラー1_2は、往き配管3の往き配管3_2に接続される。チラー1_3は、往き配管3の往き配管3_3に接続される。
【0025】
戻り配管4は、戻り配管4_1、戻り配管4_2及び戻り配管4_3に分岐されている。チラー1_1は、戻り配管4の戻り配管4_1に接続される。チラー1_2は、戻り配管4の戻り配管4_2に接続される。チラー1_3は、戻り配管4の戻り配管4_3に接続される。
【0026】
負荷2は、往き配管3及び戻り配管4に接続される。負荷2は、空気調和装置の室内機101のファンコイルユニット等の一部の部品である。負荷2は、空気調和装置の部品に限られるものではない。
【0027】
往き配管3には、水温センサ6が設けられる。水温センサ6は、負荷2の近傍の往き配管3に設けられ、負荷2に入力される往き配管3内を流れる水の水温を測定し、第2制御装置5に出力する。
【0028】
戻り配管4には送水ポンプ7が設けられる。送水ポンプ7は、戻り配管4を流れる水を負荷2からチラー1へ送水する。送水ポンプ7は、第2制御装置5から出力された水流量を含む第1運転指令に基づいて、戻り配管4を流れる水流量を調整する。なお、送水ポンプ7は、往き配管3に設けられていても良い。
【0029】
第2制御装置5は、負荷2の室内機101側の制御基盤に設けられる。第2制御装置5は、第1制御装置C_1から出力された第1温度範囲、第1制御装置C_2から出力された第2温度範囲及び第1制御装置C_3から出力された第3温度範囲に基づいて、送水ポンプ7から吐出される水流量を求める。第2制御装置5は、求められた水流量を含む第1運転指令を送水ポンプ7に出力する。これにより、送水ポンプ7は、第1運転指令により指示された水流量により送水を行なう。すなわち、第2制御装置5は、第1運転指令により、往き配管3及び戻り配管4を流れる水の流量を制御する。
【0030】
第2制御装置5による送水ポンプ7の水流量は、例えば、第1温度範囲、第2温度範囲及び第3温度範囲と、送水ポンプ7の水流量との関係を規定したテーブルを使用して求められる。
【0031】
第2制御装置5は、チラー1_1の目標出口水温、チラー1_2の目標出口水温及びチラー1_3の目標出口水温を受信する。第2制御装置5の目標出口水温の受信は、常時受信しても良いし、定期的に受信しても良い。
【0032】
第2制御装置5は、水温センサ6により測定された往き配管3内を流れる水の水温と、
第1制御装置Cから出力された温度範囲と、第1制御装置Cから出力されたチラー1の目標出口水温とに基づいて、チラー1を制御する運転指令を出力する。
【0033】
具体的には、第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温と、チラー1_1の目標出口水温と、チラー1_1の目標出口水温とに基づいてチラー運転指令を第1制御装置C_1に出力する。第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温とチラー1_2の目標出口水温と、チラー1_2の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令を第1制御装置C_2に出力する。第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温とチラー1_3の目標出口水温と、チラー1_3の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令を第1制御装置C_3に出力する。
【0034】
第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_1に指定された目標出口水温とを比較する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温に到達していない場合、第2制御装置5は、目標出口水温がチラー1_1の温度範囲内か否かを判断する。第2制御装置5は、目標出口水温がチラー1_1の温度範囲内である場合、第2制御装置5は、チラー1_1に運転継続又は目標出口水温を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_1は、チラー運転指令を受信すると、運転を継続するか、又は、チラー1_1の出口水温が目標出口水温となるような運転を行なう。目標出口水温がチラー1_1の温度範囲外である場合、チラー1_1の運転能力の過不足であるので、第2制御装置5は、チラー1_1に、室外機102の熱源及び送水ポンプ7を制御するチラー運転指令を出力する。
【0035】
例えば、チラー1_1の能力が不足している場合、第2制御装置5は、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を低下し、室外機102の圧縮機の周波数を最大にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_1に出力する。チラー1_1の能力が過多の場合、第2制御装置5は、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を増加し、室外機102の圧縮機の周波数を最小にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_1に出力する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温の場合、第2制御装置5は、チラー1_1に運転の停止指令を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_1は、運転の停止指令を含むチラー運転指令を受信すると、運転を停止する。
【0036】
具体的には、第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_2に指定された目標出口水温とを比較する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温に到達していない場合、目標出口水温がチラー1_2の温度範囲内か否かを判断する。目標出口水温がチラー1_2の温度範囲内である場合、第2制御装置5は、チラー1_2に運転継続又は目標出口水温を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_2は、チラー運転指令を受信すると、運転を継続するか、又は、チラー1_2の出口水温が目標出口水温となるような運転を行なう。目標出口水温がチラー1_2の温度範囲外である場合、チラー1_2の運転能力の過不足であるので、第2制御装置5は、チラー1_2に、室外機102の熱源及び送水ポンプ7を制御するチラー運転指令を出力する。
【0037】
例えば、チラー1_2の能力が不足している場合、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を低下し、室外機102の圧縮機の周波数を最大にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_2に出力する。チラー1_2の能力が過多の場合、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を増加し、室外機102の圧縮機の周波数を最小にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_2に出力する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温の場合、第2制御装置5は、チラー1_2に運転の停止指令を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_2は、運転の停止指令を含むチラー運転指令を受信すると、運転を停止する。
【0038】
第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_3に指定された目標出口水温とを比較する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温に到達していない場合、目標出口水温がチラー1_3の温度範囲内か否かを判断する。目標出口水温がチラー1_3の温度範囲内である場合、第2制御装置5は、チラー1_3に運転継続又は目標出口水温を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_3は、チラー運転指令を受信すると、運転を継続するか、又は、チラー1_3の出口水温が目標出口水温となるような運転を行なう。目標出口水温がチラー1_3の温度範囲外である場合、チラー1_3の運転能力の過不足であるので、第2制御装置5は、チラー1_3に、室外機102の熱源及び送水ポンプ7を制御するチラー運転指令を出力する。
【0039】
例えば、チラー1_3の能力が不足している場合、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を低下し、室外機102の圧縮機の周波数を最大にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_3に出力する。チラー1_3の能力が過多の場合、チラーシステムAの送水ポンプ7の周波数を増加し、室外機102の圧縮機の周波数を最小にする制御を行なうチラー運転指令をチラー1_3に出力する。水温センサ6により測定された水温度が目標出口水温の場合、第2制御装置5は、チラー1_3に運転の停止指令を含むチラー運転指令を出力する。チラー1_3は、運転の停止指令を含むチラー運転指令を受信すると、運転を停止する。
【0040】
第2制御装置5は、専用のハードウェア、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。第2制御装置5が専用のハードウェアである場合、第2制御装置5は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。第2制御装置5が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。第2制御装置5がCPUの場合、第2制御装置5が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、第2制御装置5の各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。なお、第2制御装置5の機能の一部は、専用のハードウェアで実現され、一部はソフトウェア又はファームウェアで実現されてもよい。
【0041】
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置のチラー1の機能ブロック図である。
【0042】
図2に示すように、チラー1は、温度範囲計算部11を有する。温度範囲計算部11は、要求検知部12を有する。
【0043】
温度範囲計算部11は、第1センサISにより測定された入口水温、第2センサOSにより測定された出口水温及び第3センサSにより測定された外気温度に基づいて、チラー1の運転可能な温度範囲を求め、求められた温度範囲を第2制御装置5に出力する。
【0044】
具体的には、温度範囲計算部11は、第1センサIS_1により測定された入口水温、第2センサOS_1により測定された出口水温及び第3センサS_1により測定された外気温度に基づいて、チラー1_1の運転可能な温度範囲を求める。そして、求められた運転可能な温度範囲を第2制御装置5に出力する。温度範囲計算部11は、第1センサIS_2により測定された入口水温、第2センサOS_2により測定された出口水温及び第3センサS_2により測定された外気温度に基づいて、チラー1_2の運転可能な温度範囲を求める。そして、求められた運転可能な温度範囲を第2制御装置5に出力する。温度範囲計算部11は、第1センサIS_3により測定された入口水温、第2センサOS_3により測定された出口水温及び第3センサS_3により測定された外気温度に基づいて、チラー1_3の運転可能な温度範囲を求める。そして、求められた運転可能な温度範囲を第2制御装置5に出力する。
【0045】
要求検知部12は、第2制御装置5と有線通信又は無線通信により接続され、第2制御装置5から送信された温度範囲の計算の要求を検知する。
【0046】
温度範囲計算部11は、要求検知部12により要求を検知した場合、チラー1の温度範囲を求める。
【0047】
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置の第2制御装置5の機能ブロック図である。
【0048】
図3に示すように、第2制御装置5は、運転指令部21を有する。運転指令部21は、水流計算部22を有する。
【0049】
水流計算部22は、第1制御装置C_1から出力された第1温度範囲、第1制御装置C_2から出力された第2温度範囲及び第1制御装置C_3から出力された第3温度範囲に基づいて、送水ポンプ7の水流量を求める。水流計算部22は、求められた水流量を含む第1運転指令を送水ポンプ7に出力する。
【0050】
運転指令部21は、第1制御装置Cから受信した温度範囲と、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令をチラー1に出力する。
【0051】
具体的には、運転指令部21は、第1制御装置C_1から受信した温度範囲と、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_1の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令をチラー1に出力する。運転指令部21は、第1制御装置C_2から受信した温度範囲と、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_2の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令をチラー1に出力する。運転指令部21は、第1制御装置C_3から受信した温度範囲と、水温センサ6により測定された水温度と、チラー1_3の目標出口水温とに基づいて、チラー運転指令をチラー1に出力する。
【0052】
<チラーシステムAの動作>
次に、実施の形態1に係る空気調和装置のチラーシステムAの動作について説明する。
【0053】
<チラーシステムAの水の循環動作>
図1において、チラー1_1から出た水は、往き配管3_1を流れる。チラー1_2から出た水は、往き配管3_2を流れる。チラー1_3から出た水は、往き配管3_3流れる。往き配管3_1、往き配管3_2及び往き配管3_3を流れる水は、往き配管3にて合流する。
【0054】
往き配管3を流れる水は、負荷2と熱交換が行なわれ、負荷2を冷却又は温める。
【0055】
負荷2と熱交換が行われた水は、戻り配管4を流れる。そして、戻り配管4を流れる水は、戻り配管4_1、戻り配管4_2及び戻り配管4_3に分岐して流れる。
【0056】
戻り配管4_1を流れる水は、チラー1_1に入力する。戻り配管4_2を流れる水は、チラー1_2に入力する。戻り配管4_3を流れる水は、チラー1_3に入力する。このようにして、チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3と、負荷2との間で水が循環される。
【0057】
<チラー1の動作>
図4は、実施の形態1に係る空気調和装置のチラー1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、チラー1の第1制御装置Cは、チラー1の運転電源がONであるか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、第1制御装置Cが、チラー1の運転電源がONでないと判断された場合(ステップS1のNO)、ステップS1の判断を継続する。ステップS1において、第1制御装置Cは、チラー1の運転電源がONであると判断した場合(ステップS1のYES)、チラー1は、初期周波数運転を開始する(ステップS2)。ここで、初期周波数は、例えば、チラーシステムAが空気調和装置103に含まれる場合、室外機の圧縮機の周波数である。
【0059】
次に、第1制御装置Cは、第2制御装置5からチラー運転指令を受信したか否かの判断を行なう(ステップS3)。ステップS3において、第2制御装置5からチラー運転指令を受信していないと判断した場合(ステップS3のNO)、ステップS2の処理に戻る。ステップS3において、第2制御装置5からチラー運転指令を受信したと判断した場合(ステップS3のYES)、第1制御装置Cは、チラー運転指令に従って、室外機102の圧縮機及び送水ポンプ7の周波数を制御する(ステップS4)。
【0060】
次に、第1制御装置Cは、チラー1の運転可能な温度範囲を求め、求められた運転可能な温度範囲を第2制御装置5に出力し(ステップS5)、ステップS1の処理に戻る。
【0061】
<第1制御装置Cによる運転温度範囲の出力>
次に、
図1のステップS5の温度範囲の求め方について説明する。
図5は、実施の形態1に係る空気調和装置の第1制御装置Cの温度範囲の出力を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図4のステップS5の詳細を説明する図である。
【0062】
図5に示すように、第1制御装置Cは、第2制御装置5から温度範囲の計算の要求を検知したか否かを判断する(ステップS5_1)。ステップS5_1において、温度範囲の計算の要求を検知していない場合(ステップS5_1のNO)、ステップS5_1の判断を継続する。ステップS1において、温度範囲の計算の要求を検知したと判断した場合(ステップS5_1のYES)、ステップS5_2の処理に移る。
【0063】
第1制御装置Cは、チラー1の入口水温、出口水温及び外気温度を受信する(ステップS5_2)。すなわち、第1制御装置C_1は、第1センサIS_1により測定された入口水温、第2センサOS_1により測定された出口水温及び第3センサS_1により測定された外気温度を受信する。第1制御装置C_2は、第1センサIS_2により測定された入口水温、第2センサOS_2により測定された出口水温及び第3センサS_2により測定された外気温度を受信する。第1制御装置C_3は、第1センサIS_3により測定された入口水温、第2センサOS_3により測定された出口水温及び第3センサS_3により測定された外気温度を受信する。
【0064】
次に、第1制御装置Cは、チラー1の入口水温、出口水温及び外気温度に基づいて、チラー1の運転可能な温度範囲を求め(ステップS5_3)、求められた温度範囲を第2制御装置5に出力し(ステップS5_4)、ステップS1の処理に戻る。
【0065】
すなわち、第1制御装置C_1は、チラー1_1の入口水温、出口水温及び外気温度に基づいて、チラー1_1の運転可能な温度範囲を求め、求められた温度範囲を第2制御装置5に出力する。第1制御装置C_2は、チラー1_2の入口水温、出口水温及び外気温度に基づいて、チラー1_2の運転可能な温度範囲を求め、求められた温度範囲を第2制御装置5に出力する。第1制御装置C_3は、チラー1_3の入口水温、出口水温及び外気温度に基づいて、チラー1_3の運転可能な温度範囲を求め、求められた温度範囲を第2制御装置5に出力する。
【0066】
図6は、実施の形態1に係る空気調和装置の第2制御装置5の動作を説明するためのフローチャートである。
【0067】
図6に示すように、第2制御装置5は、運転を開始すると送水ポンプ7をオンにする(ステップS11)。次に、第2制御装置5は、往き配管3及び戻り配管4を流れる水温が低下したか否かの判断を行なう(ステップS12)。
【0068】
この水温が低下したか否かの判断は、例えば、負荷2から水温低下信号を受信した場合、水温が低下したと判断される。水温低下信号は、が負荷2に循環される水の水温が負荷2に循環される水の目標水温よりも低い場合に、負荷2から第2制御装置5に出力される。水温が低下したか否かの判断は、これに限られるものではない。第2制御装置5が水温センサ6により測定された水温に基づいて判断しても良い。
【0069】
第2制御装置5は、水温が低下していないと判断した場合(ステップS12のNO)、ステップS12の判断を継続する。第2制御装置5は、水温が低下したと判断した場合(ステップS12のYES)、第2制御装置5は、各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3から送信された温度範囲を受信する(ステップS13)。
【0070】
次に、第2制御装置5は、各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3から出力された温度範囲に基づいて、送水ポンプ7の水流量を求める(ステップS14)。
【0071】
そして、第2制御装置5は、ステップS14で求められた水流量を含む第1運転指令を送水ポンプ7に出力する(ステップS15)。
【0072】
次に、第2制御装置5は、水温センサ6により測定された水温度及び各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3から出力された温度範囲に基づいて、各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3にチラー運転指令を出力する(ステップS16)。
【0073】
<実施の形態1の変形例>
実施の形態1では、第1制御装置Cは、第2制御装置5から温度範囲の計算の要求が行われた場合に、温度範囲の計算を行ない、第2制御装置5に出力する場合について説明した。実施の形態1の変形例は、第1制御装置Cが、第2制御装置5に常に温度範囲を第2制御装置5に出力する。
【0074】
図7は、実施の形態1に係る空気調和装置の第1制御装置Cの動作の変形例を説明するためのフローチャートである。なお、
図5と同一部分のステップには、同一符号を付し、その説明を省略する。
図7に示すように、
図5と比して、ステップS5_1の処理が削除され、第1制御装置Cは、第2制御装置5から温度範囲の要求がなくとも、温度範囲を第2制御装置5に出力する。
【0075】
<効果>
従って、実施の形態1に係る空気調和装置のチラーシステムAによれば、第2制御装置5は、第1制御装置Cの温度範囲計算部11から出力された温度範囲となるように、往き配管3及び戻り配管4を流れる水流量を制御する。従って、チラー1は、目標出口水温の水を供給することができる。
【0076】
従来のチラーシステムの場合、第2制御装置5が運転可能な温度範囲を受信していないので、第2制御装置5は、チラー運転指示についてチラー1の運転可能な温度範囲を満足しているか判断できない。このような状態で、第2制御装置5がチラー運転指示をチラー1に出力すると、出力されたチラー運転指示は、チラー1の運転可能な温度範囲外となる可能性のあるチラー運転指示がチラー1にある。
【0077】
例えば、暖房運転において、加熱能力を下げるよう指示した場合、チラー1の出口水温低下を回避するため、第2制御装置5はポンプ運転を制御し、チラー1の出入口水温を維持した状態で水流量を減少し、チラー1の能力を低下する。チラー1が運転範囲以下のチラー運転指示を受信した場合、チラー1は運転可能な温度範囲の下限で運転され、それ以上能力を低下できないため、水流量の低下に伴い、出入口水温差は上昇する。ここで、能力=係数×出入口水温差×水流量である。暖房運転の場合、出口水温が上昇すると、非効率な運転となる。冷房の場合、逆に出口水温が低下するため、凍結等のリスクが発生する。
【0078】
従って、第2制御装置5がチラー1の運転可能な温度範囲を把握していない場合、送水ポンプ7の水流量を変化させるための判断材料が無く、効率的なシステム運転を実施することができない。また、チラー1の運転可能な温度範囲上限以上の能力で運転させようとした場合、第2制御装置5の運転指示に対して能力が不足するため、チラー1は、要求された水温を供給することができない。
【0079】
実施の形態1の空気調和装置のチラーシステムAは、チラー1から第2制御装置5にチラー1の運転可能な温度範囲を入力することで、第2制御装置5が、チラー1の運転可能範囲から目標出口水温及び水流量が最適な運転を選択できる。従って、チラー1が供給する水温が安定し、チラー1と送水ポンプ7とのトータルとしての高効率な運転が可能になる。
【0080】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムAについて説明する。
【0081】
図8は、実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムAの構成を示す図である。なお、
図1と同一部分には、同一符号を付し、異なる部分を中心に説明する。
【0082】
図8に示すように、実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムAは、チラー1と負荷2との間に水-水熱交換器31が設けられたものである。
図8において、チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3側の往き配管3及び戻り配管4を一次側とし、負荷2側の往き配管8及び戻り配管9を二次側とする。
【0083】
一次側の往き配管3は、チラー1と水-水熱交換器31とを接続する。一次側の戻り配管4は、チラー1と水-水熱交換器31とを接続する。往き配管3は、水-水熱交換器31において、戻り配管4に接続される。往き配管3及び戻り配管4には、チラー1と水-水熱交換器31とを循環する水が流れる。
【0084】
二次側の往き配管8は、負荷2と水-水熱交換器31とを接続する。二次側の戻り配管9は、負荷2と水-水熱交換器31とを接続する。往き配管8は、水-水熱交換器31において、戻り配管9に接続される。往き配管8及び戻り配管9には、負荷2と水-水熱交換器31とを循環する水が流れる。
【0085】
水-水熱交換器31は、往き配管3及び戻り配管4を流れる水の熱と、往き配管8及び戻り配管9を流れる水の熱との熱交換を行なう。
【0086】
往き配管8には、水温センサ6_1が設けられる。水温センサ6_1は、負荷2の近傍の往き配管8に設けられ、負荷2に入力される往き配管8内を流れる水の水温を測定し、第2制御装置5に出力する。
【0087】
戻り配管9には二次側の送水ポンプ7_1が設けられる。送水ポンプ7_1は、戻り配管9を流れる水を負荷2から水-水熱交換器31へ送水する。送水ポンプ7_1は、第2制御装置5から出力された水流量を含む第2運転指令に基づいて、戻り配管9を流れる水流量を調整する。
【0088】
第2制御装置5は、第1制御装置C_1から出力された第1温度範囲、第1制御装置C_2から出力された第2温度範囲及び第1制御装置C_3から出力された第3温度範囲に基づいて、送水ポンプ7_1の水流量を求める。第2制御装置5は、求められた水流量を含む第2運転指令を送水ポンプ7_1に出力する。これにより、送水ポンプ7_1は、第2運転指令により指示された水流量により送水を行なう。すなわち、第2運転指令は、往き配管8及び戻り配管9を流れる水流の指令である。
【0089】
二次側の送水ポンプ7_1の水流量は、一次側の能力と二次側の能力とが等しくなる水流量である。ここで、一次側の能力は、往き配管3を流れる水の入口温度と戻り配管4を流れる水の出口温度との水温差×一次側水流量×係数である。二次側の能力は、往き配管8を流れる水の入口温度と戻り配管9を流れる水の出口温度との水温差×二次側水流量×係数である。
【0090】
図9は、実施の形態2に係る空気調和装置の第2制御装置5の機能ブロック図である。なお、
図3と同一部分には、同一符号を付し、異なる部分を中心に説明する。
【0091】
図9に示すように、実施の形態2の運転指令部21は、水流計算部22に加えて、二次側水流計算部41を有する。
【0092】
二次側水流計算部41は、第1制御装置C_1から出力された第1温度範囲、第1制御装置C_2から出力された第2温度範囲及び第1制御装置C_3から出力された第3温度範囲に基づいて、二次側の送水ポンプ7_1の水流量を求める。二次側水流計算部41は、求められた水流量を含む第2運転指令を二次側の送水ポンプ7_1に出力する。
【0093】
図10は、実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムAの第2制御装置5の第2運転指令の出力の流れを説明するためのフローチャートである。なお、
図6と同一部分には、同一符号を付し、ここでは異なる部分について述べる。
【0094】
第2制御装置5は、ステップS17の処理後、各チラー1_1、チラー1_2及びチラー1_3のから出力された温度範囲に基づいて、二次側の送水ポンプ7_1の水流量を求める(ステップS18)。
【0095】
次に、第2制御装置5は、ステップS18で求められた水流量を含む第2運転指令を二次側の送水ポンプ7_1に出力し(ステップS19)、ステップS13の処理に戻る。
【0096】
<効果>
実施の形態2に係る空気調和装置のチラーシステムAによれば、水-水熱交換器31により、一次側の往き配管3及び戻り配管4を流れる水と、二次側の往き配管8及び戻り配管9を流れる水との熱交換を行なう。従って、一次側の水質が悪い場合、二次側の負荷2に水質の悪い水が供給されるのを防止することができる。
【0097】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る空気調和装置について説明する。実施の形態3に係る空気調和装置は、実施の形態1のチラーシステムA又は実施の形態2のチラーシステムAを具備する。
【0098】
図11は、実施の形態3に係る空気調和装置103の一例を示す冷媒回路図である。なお、
図11に示す実線の矢印は、冷房運転時の冷媒の流れ方向を示している。また、
図11に示す破線の矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0099】
実施の形態に係る空気調和装置103は、室内機101と、室外機102とを備えている。室内機101と室外機102とは、冷媒配管400により配管接続されている。室内機101は、室内熱交換器110を有している。室外機102は、圧縮機210、四方弁220、室外熱交換器230及び膨張弁240を有している。
【0100】
圧縮機210は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。ここで、特に限定するものではないが、圧縮機210は、例えばインバータ回路等によって運転周波数を任意に変化させることにより、圧縮機210の容量を変化してもよい。なお、圧縮機210の容量とは、単位時間あたりの冷媒を送り出す量を表すものである。四方弁220は、例えば冷房運転時と暖房運転時とによって冷媒の流れを切り換える弁である。
【0101】
室外熱交換器230は、冷媒と室外空気との熱交換を行う。室外熱交換器230は、暖房運転時においては蒸発器として機能し、冷媒を蒸発させて気化させる。また、室外熱交換器230は、冷房運転時においては凝縮器として機能し、冷媒を凝縮して液化させる。
【0102】
膨張弁240は、冷媒を減圧して膨張させる。例えば、電子式膨張弁等で膨張弁240を構成した場合には、膨張弁240は、図示せぬ制御装置等の指示に基づいて開度調整が行われる。室内熱交換器110は、空調対象空間の空気と冷媒との熱交換を行う。室内熱交換器110は、暖房運転時においては凝縮器として機能し、冷媒を凝縮して液化させる。また、室内熱交換器110は、冷房運転時においては蒸発器として機能し、冷媒を蒸発させて気化させる。
【0103】
以上のように空気調和装置103を構成することで、室外機102の四方弁220により冷媒の流れを切り換えることで、暖房運転及び冷房運転を実現することができる。
【0104】
実施の形態は、例として提示したものであり、請求の範囲を限定することは意図していない。実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施の形態及びその変形は、実施の形態の範囲及び要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
A チラーシステム、C、C_1、C_2、C_3 第1制御装置、IS、IS_1、IS_2、IS_3 第1センサ、OS、OS_1、OS_2、OS_3 第2センサ、S、S_1、S_2、S_3 第3センサ、1、1_1、1_2、1_3 チラー、2 負荷、3、3_1、3_2、3_3、8 往き配管、4、4_1、4_2、4_3、9 戻り配管、5 第2制御装置、6、6_1 水温センサ、7、7_1 送水ポンプ、11 温度範囲計算部、12 要求検知部、21 運転指令部、22 水流計算部、31 水-水熱交換器、41 二次側水流計算部、101 室内機、102 室外機、103 空気調和装置、110 室内熱交換器、210 圧縮機、220 四方弁、230 室外熱交換器、240 膨張弁、400 冷媒配管。