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特許7399329画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20231208BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20231208BHJP
   H04N 1/393 20060101ALI20231208BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20231208BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/387 110
H04N1/393
B65H7/02
B65H29/58 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023003263
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2018212201の分割
【原出願日】2018-11-12
(65)【公開番号】P2023052364
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】一花 広志
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-124092(JP,A)
【文献】特開2010-272962(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134936(WO,A1)
【文献】特開2011-254251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/387
H04N 1/393
B65H 7/02
B65H 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
厚みを有する原稿を移動可能に、原稿の厚みに応じて移動可能に設けられたローラを含み、原稿を前記撮像部に対して移動させる搬送部と、
前記搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら前記撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、前記搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら前記撮像部によって第2入力画像を生成させる制御部と、
前記第1入力画像又は前記第2入力画像の内の一方の画像において原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に前記撮像部により撮像されると推定される領域を予め設定しておき、前記一方の画像において前記予め設定された領域を他方の画像において対応する領域を用いて補正した補正画像を生成する補正画像生成部と、
前記補正画像を出力する出力部と、を有し、
前記補正画像生成部は、原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が前記第1入力画像と前記第2入力画像において異なることを利用して、前記補正画像を生成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ローラは、前記撮像部の両端に正転及び逆転可能に設けられ、
前記制御部は、前記搬送部によって原稿を第1の方向に移動させ、原稿の後端が前記撮像部を通過した後、前記搬送部によって原稿を前記第1の方向と異なる第2の方向に移動させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成装置と、情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
撮像部と、
厚みを有する原稿を移動可能に、原稿の厚みに応じて移動可能に設けられたローラを含み、原稿を前記撮像部に対して移動させる搬送部と、
前記搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら前記撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、前記搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら前記撮像部によって第2入力画像を生成させる制御部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記第1入力画像又は前記第2入力画像の内の一方の画像において原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に前記撮像部により撮像されると推定される領域を予め設定しておき、前記一方の画像において前記予め設定された領域を他方の画像において対応する領域を用いて補正した補正画像を生成する補正画像生成部と、
前記補正画像を出力する出力部と、を有し、
前記補正画像生成部は、原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が前記第1入力画像と前記第2入力画像において異なることを利用して、前記補正画像を生成する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
撮像部と、厚みを有する原稿を移動可能に、原稿の厚みに応じて移動可能に設けられたローラを含み、原稿を前記撮像部に対して移動させる搬送部と、出力部とを有する画像形成システムにおける画像形成方法であって、
前記搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら前記撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、前記搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら前記撮像部によって第2入力画像を生成させ、
前記第1入力画像又は前記第2入力画像の内の一方の画像において原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に前記撮像部により撮像されると推定される領域を予め設定しておき、前記一方の画像において前記予め設定された領域を他方の画像において対応する領域を用いて補正した補正画像を生成し、
前記補正画像を前記出力部から出力することを含み、
前記補正画像の生成において、原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が前記第1入力画像と前記第2入力画像において異なることを利用して、前記補正画像を生成する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
撮像部と、厚みを有する原稿を移動可能に、原稿の厚みに応じて移動可能に設けられたローラを含み、原稿を前記撮像部に対して移動させる搬送部と、出力部とを有する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら前記撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、前記搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら前記撮像部によって第2入力画像を生成させ、
前記第1入力画像又は前記第2入力画像の内の一方の画像において原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に前記撮像部により撮像されると推定される領域を予め設定しておき、前記一方の画像において前記予め設定された領域を他方の画像において対応する領域を用いて補正した補正画像を生成し、
前記補正画像を前記出力部から出力することを前記画像形成装置に実行させ、
前記補正画像の生成において、原稿が前記搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が前記第1入力画像と前記第2入力画像において異なることを利用して、前記補正画像を生成する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラムに関し、特に、搬送された原稿の画像を生成する画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナ等の画像形成装置は、搬送ローラ等の搬送部により原稿を搬送させながら原稿の画像を撮像する。しかしながら、このような画像形成装置では、原稿が搬送ローラと接触又は離間する際に、画像に歪みが発生する場合がある。
【0003】
記録媒体の搬送方向に互いに離れて設置され、記録媒体の画像を読み取る複数の読取センサと、予め設定された設定速度で記録媒体を搬送方向へ搬送し複数の読取センサを通過させる搬送部とを備えた画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は、記録媒体が実際に複数の読取センサを通過するときの搬送速度を検出し、検出した搬送速度と設定速度との差異に基づいて、読取画像を伸縮し補正する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-135964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原稿を搬送させながら原稿の画像を撮像する画像形成装置では、撮像した画像を良好に補正することが望まれている。
【0006】
画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラムの目的は、搬送された原稿の画像を良好に補正することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一側面に係る画像形成装置は、撮像部と、原稿を撮像部に対して移動させる搬送部と、搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら撮像部によって第2入力画像を生成させる制御部と、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成する補正画像生成部と、補正画像を出力する出力部と、を有し、補正画像生成部は、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、補正画像を生成する。
【0008】
本実施形態の一側面に係る画像形成システムは、画像形成装置と、情報処理装置とを有する画像形成システムであって、画像形成装置は、撮像部と、原稿を撮像部に対して移動させる搬送部と、搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら撮像部によって第2入力画像を生成させる制御部と、を有し、情報処理装置は、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成する補正画像生成部と、補正画像を出力する出力部と、を有し、補正画像生成部は、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、補正画像を生成する。
【0009】
また、本実施形態の一側面に係る画像形成方法は、撮像部と、原稿を撮像部に対して移動させる搬送部と、出力部とを有する画像形成システムにおける画像形成方法であって、搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら撮像部によって第2入力画像を生成させ、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成し、補正画像を出力部から出力することを含み、補正画像の生成において、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、補正画像を生成する。
【0010】
また、本実施形態の一側面に係る制御プログラムは、撮像部と、原稿を撮像部に対して移動させる搬送部と、出力部とを有する画像形成装置の制御プログラムであって、搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら撮像部によって第1入力画像を生成させ、且つ、搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら撮像部によって第2入力画像を生成させ、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成し、補正画像を出力部から出力することを画像形成装置に実行させ、補正画像の生成において、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、補正画像を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態によれば、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法及び制御プログラムは、搬送された原稿の画像を良好に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に従った画像形成システムの一例の構成図である。
図2】画像形成装置内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】各ローラの関係を説明するための図である。
図4】画像形成装置及び情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】第1記憶装置及び第1CPUの概略構成を示す図である。
図6】画像形成装置の全体処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】補正画像生成処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】移動速度と歪みの関係について説明するための模式図である。
図9A】実施形態の技術的意義について説明するための模式図である。
図9B】実施形態の技術的意義について説明するための模式図である。
図10】実施形態の技術的意義について説明するための模式図である。
図11】他の第1処理回路の概略構成を示すブロック図である。
図12】他の第2記憶装置及び第2CPUの概略構成を示す図である。
図13】他の補正画像生成処理の動作の例を示すフローチャートである。
図14】他の第2処理回路の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一側面に係る画像形成システムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、実施形態に従った画像形成システム1の一例の構成図である。
【0015】
画像形成システム1は、画像形成装置100及び情報処理装置200を備える。画像形成装置100は、原稿を搬送させながら原稿の画像を撮像するイメージスキャナ等である。画像形成装置100は、複写機、ファクシミリ、MFP(Multifunction Peripheral)等でもよい。情報処理装置200は、パーソナルコンピュータ、多機能携帯端末、携帯電話等である。画像形成装置100及び情報処理装置200は、相互に接続されている。
【0016】
画像形成装置100は、下側筐体101、上側筐体102、挿入口103、第1表示装置104及び第1操作装置105等を備える。
【0017】
上側筐体102は、画像形成装置100の上面を覆う位置に配置され、下側筐体101に係合している。上側筐体102と下側筐体101の間には、原稿の挿入口103が設けられている。図1において矢印A1は原稿の挿入方向を示し、矢印A2は原稿の排出方向を示す。原稿の挿入方向A1は、第1の方向の一例であり、原稿の排出方向A2は、第2の方向の一例である。
【0018】
第1表示装置104は、LED(Light Emitting Diode)及びLEDを制御するためのインタフェース回路を有し、装置の状態に応じてLEDを点灯又は消灯させる。
【0019】
第1操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を出力する。
【0020】
図2は、画像形成装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
画像形成装置100内部の搬送経路は、第1発光器111a、第1受光器111b、第1搬送ローラ112a、112b、第2搬送ローラ113a、113b、速度センサ114、第1撮像装置115a、第2撮像装置115b、第2発光器116a、第2受光器116b、第3搬送ローラ117a、117b及び第4搬送ローラ118a、118b等を有している。
【0022】
以下では、第1搬送ローラ112a及び112bを総じて第1搬送ローラ112と称する場合がある。また、第2搬送ローラ113a及び113bを総じて第2搬送ローラ113と称する場合がある。また、第3搬送ローラ117a及び117bを総じて第3搬送ローラ117と称する場合がある。また、第4搬送ローラ118a及び118bを総じて第4搬送ローラ118と称する場合がある。また、第1撮像装置115a及び第2撮像装置115bを総じて撮像装置115と称する場合がある。
【0023】
上側筐体102の下面は原稿の搬送路の上側ガイド106aを形成し、下側筐体101の上面は原稿の搬送路の下側ガイド106bを形成する。上側ガイド106aと下側ガイド106bにより、原稿の挿入口103と退避口107とが形成される。挿入口103は、読取対象の原稿を画像形成装置100に挿入するための開口部であり、退避口107は、読取対象の原稿を画像形成装置100の外部に一時的に退避させるための開口部である。以下では、上流とは原稿の挿入方向A1の上流のことをいい、下流とは原稿の挿入方向A1の下流のことをいう。
【0024】
第1発光器111a及び第1受光器111bは、第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113の上流側に配置される。第1発光器111a及び第1受光器111bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。第1発光器111aは、第1受光器111bに向けて光を放射する。搬送路に原稿が存在しないときは、第1受光器111bは第1発光器111aから放射された光を検知する。一方、搬送路に原稿が存在するときは、第1発光器111aから放射された光は搬送路に存在する原稿に遮られ、第1受光器111bは第1発光器111aから放射された光を検知しない。第1受光器111bは、受光した光の強度に応じて、第1発光器111aと第1受光器111bの間に原稿が存在するか否かを検出し、原稿が存在するか否かを示す第1原稿検出信号を生成して出力する。以下では、第1発光器111a及び第1受光器111bを総じて第1原稿センサ111と称する場合がある。
【0025】
第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113は、第1発光器111a及び第1受光器111bの下流側且つ撮像装置115の上流側に設けられ、原稿を撮像装置115に対して移動させる。第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113は、正転及び逆転可能に設けられている。
【0026】
速度センサ114は、第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113の下流側且つ撮像装置115の上流側に設けられ、搬送された原稿が撮像装置115を通過する移動速度を検出する。移動速度の検出精度を向上させるために、速度センサ114は、撮像装置115の近傍に設けられることが好ましい。速度センサ114は、原稿の搬送路に対して同じ側に設けられた発光器及び受光器を有する。発光器は、LED等であり、搬送路に向けて光を放射する。受光器は、一定期間毎に受光した光に応じた画像を撮像し、最新の画像と直前の画像とから共通部分を検出する。受光器は、検出した共通部分の画像内の位置の変化に基づいて、搬送された原稿の移動速度を算出し、算出した移動速度を示す速度信号を生成して出力する。一定期間は、例えば、後述する駆動装置の100動作パルス分に相当する期間である。
【0027】
受光器は、例えば400dpi(Dots Per inch)の分解能を有し、1秒間に最大304.8mmの移動を検出可能に設けられる。速度センサ114として、公知の光学センサを用いることができる。
【0028】
なお、速度センサ114は、光学式のエンコーダを用いて搬送路における原稿の移動速度を検出してもよい。エンコーダは、多数のスリット(光の透過穴)が形成され且つ搬送される原稿に従って回転するように設けられた円板と、その円板を挟んで対向するように設けられた発光器及び受光器とを有する。受光器は、一定期間毎に、発光器と受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態の、その期間における変化回数に基づいて、搬送された原稿の移動速度を算出し、算出した移動速度を示す速度信号を生成して出力する。一定期間は、例えば、後述する駆動装置の100動作パルス分に相当する期間である。
【0029】
第1撮像装置115aは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を有する。また、第1撮像装置115aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置115aは、搬送された原稿の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0030】
同様に、第2撮像装置115bは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISを有する。また、第2撮像装置115bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置115bは、搬送された原稿の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0031】
なお、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が使用されてもよい。また、CISの代わりに縮小光学系タイプの撮像センサが使用されてもよい。
【0032】
第2発光器116a及び第2受光器116bは、撮像装置115の下流側であり且つ第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118の上流側に配置される。第2発光器116a及び第2受光器116bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。第2発光器116aは、第2受光器116bに向けて光を放射する。第2受光器116bは、受光した光の強度に応じて、第2発光器116aと第2受光器116bの間に原稿が存在するか否かを検出し、原稿が存在するか否かを示す第2検出信号を生成して出力する。以下では、第2発光器116a及び第2受光器116bを総じて第2原稿センサ116と称する場合がある。
【0033】
第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118は、撮像装置115、第2発光器116a及び第2受光器116bの下流側に設けられ、原稿を撮像装置115に対して移動させる。第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118は、正転及び逆転可能に設けられている。このように、第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113と、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118とは、原稿搬送方向に対して撮像装置115の両端に設けられている。以下では、第1搬送ローラ112、第2搬送ローラ113、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118を総じて搬送部と称する場合がある。
【0034】
図3は、各ローラの関係を説明するための図である。
【0035】
図3に示すように、画像形成装置100は、駆動装置121をさらに有する。駆動装置121は、モータを含み、搬送部を回転させて原稿の搬送動作を行う。なお、駆動装置121は、複数のモータを含み、第1搬送ローラ112、第2搬送ローラ113、第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118のそれぞれを、別個のモータにより回転させてもよい。
【0036】
駆動装置121の回転軸と、第3搬送ローラ117の回転軸である第3シャフト117cの一端との間には、第1ギア群122が設けられている。第3シャフト117cの他端と、第1搬送ローラ112、第2搬送ローラ113及び第4搬送ローラ118の各回転軸である第1シャフト112c、第2シャフト113c及び第4シャフト118cとの間には、第2ギア群123が設けられている。
【0037】
第1搬送ローラ112が第3搬送ローラ117と同一方向に回転するように、第3シャフト117cと第1シャフト112cの間には三つのギアが設けられている。一方、第2搬送ローラ113が第1搬送ローラ112と反対方向に回転するように、第1シャフト112cと第2シャフト113cの間には二つのギアが設けられている。また、第4搬送ローラ118が第3搬送ローラ117と反対方向に回転するように、第3シャフト117cと第4シャフト118cの間には二つのギアが設けられている。
【0038】
即ち、駆動装置121の回転軸が矢印A3の方向に回転した場合、第1搬送ローラ112及び第3搬送ローラ117は矢印A4の方向に回転し、第2搬送ローラ113及び第4搬送ローラ118は矢印A5の方向に回転する。一方、駆動装置121の回転軸が矢印A3と反対の方向に回転した場合、第1搬送ローラ112及び第3搬送ローラ117は矢印A4と反対の方向に回転し、第2搬送ローラ113及び第4搬送ローラ118は矢印A5と反対の方向に回転する。
【0039】
第2シャフト113cには、一端が上側筐体102の上端に取り付けられ且つ下方に向けて第2シャフト113cを押圧するばね113dが設けられている。また、第2シャフト113cには、係合部材113eが設けられている。第1搬送ローラ112と第2搬送ローラ113の間に厚い原稿が搬送された場合に、係合部材113eが、上側筐体102に設けられた不図示の案内部材に沿って移動することにより、第2搬送ローラ113は、搬送される原稿によって上方向に移動する。
【0040】
同様に、第4シャフト118cには、一端が上側筐体102の上端に取り付けられ且つ下方に向けて第4シャフト118cを押圧するばね118dが設けられている。また、第4シャフト118cには、係合部材118eが設けられている。第3搬送ローラ117と第4搬送ローラ118の間に厚い原稿が搬送された場合に、係合部材118eが、上側筐体102に設けられた不図示の案内部材に沿って移動することにより、第4搬送ローラ118は、搬送される原稿によって上方向に移動する。
【0041】
図2に示すように、挿入口103から画像形成装置100に挿入された原稿は、上側ガイド106aと下側ガイド106bによりガイドされながら、挿入方向A1に向かって移動し、第1搬送ローラ112と第2搬送ローラ113の間に送り込まれる。原稿は、第1搬送ローラ112が矢印A4の方向に回転し、第2搬送ローラ113が矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置115aと第2撮像装置115bの間に送り込まれる。撮像装置115により読み取られた原稿は、第3搬送ローラ117が矢印A4の方向に回転し、第4搬送ローラ118が矢印A5の方向に回転することによって退避口107から画像形成装置100の外部に退避する。
【0042】
その後、原稿の後端が撮像装置115の撮像位置を通過したときに、第3搬送ローラ117が矢印A4と反対の方向に回転し、第4搬送ローラ118が矢印A5と反対の方向に回転する。これによって、原稿は、排出方向A2に向かって移動(スイッチバック)し、第1撮像装置115aと第2撮像装置115bの間に戻っていく。撮像装置115により再度読み取られた原稿は、第1搬送ローラ112が矢印A4と反対の方向に回転し、第2搬送ローラ113が矢印A5と反対の方向に回転することによって、挿入口103から画像形成装置100の外部に排出される。
【0043】
図4は、画像形成装置100及び情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0044】
画像形成装置100は、前述した構成に加えて、第1インタフェース装置131、第1記憶装置140、第1CPU(Central Processing Unit)150及び第1処理回路160等をさらに有する。
【0045】
第1インタフェース装置131は、出力部の一例であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有する。第1インタフェース装置131は、情報処理装置200と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。また、第1インタフェース装置131の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0046】
第1記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置140には、画像形成装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等である。また、第1記憶装置140には、データとして、各種の画像が格納される。また、第1記憶装置140には、駆動装置121に原稿を搬送させる速度であり且つ撮像装置115に原稿を読み取らせる速度である基準速度が予め設定される。
【0047】
第1CPU150は、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、第1CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、第1CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0048】
第1CPU150は、第1表示装置104、第1操作装置105、第1原稿センサ111、速度センサ114、撮像装置115、第2原稿センサ116、駆動装置121、第1インタフェース装置131、第1記憶装置140及び第1処理回路160等と接続される。第1CPU150は、これらの各部を制御する。第1CPU150は、駆動装置121の駆動制御、撮像装置115の原稿読取制御等を行う。
【0049】
第1処理回路160は、撮像装置115から取得した画像に補正処理等の所定の画像処理を施す。なお、第1処理回路160として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0050】
情報処理装置200は、第2表示装置201、第2操作装置202、第2インタフェース装置203、第2記憶装置210、第2CPU220及び第2処理回路230等を有する。
【0051】
第2表示装置201は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第2CPU220からの指示に従って、画像データをディスプレイに表示する。
【0052】
第2操作装置202は、入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路をさらに有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を第2CPU220に出力する。
【0053】
第2インタフェース装置203は、第1インタフェース装置131と同様のインタフェース回路又は無線通信インタフェース回路を有し、画像形成装置100と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。
【0054】
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置210には、情報処理装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。また、第2記憶装置210には、データとして、各種の画像が格納される。
【0055】
第2CPU220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、第2CPU220に代えて、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0056】
第2CPU220は、第2表示装置201、第2操作装置202、第2インタフェース装置203、第2記憶装置210及び第2処理回路230等と接続され、これらの各部を制御する。第2CPU220は、各装置の制御を行い、画像形成装置100から取得した画像に対する画像処理を実行する。
【0057】
第2処理回路230は、画像形成装置100から取得した画像に補正処理等の所定の画像処理を施す。なお、第2処理回路230として、LSI、DSP、ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0058】
図5は、画像形成装置100の第1記憶装置140及び第1CPU150の概略構成を示す図である。
【0059】
図5に示すように、第1記憶装置140には、制御プログラム141、検出プログラム142、補正画像生成プログラム143及び出力制御プログラム144等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1CPU150は、第1記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1CPU120は、制御部151、検出部152、補正画像生成部153及び出力制御部154として機能する。
【0060】
図6は、画像形成装置100の全体処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、画像形成装置100の全体処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第1CPU150により画像形成装置100の各要素と協働して実行される。
【0061】
最初に、制御部151は、挿入口103から原稿が挿入されたことを検出し、且つ、第1操作装置105から原稿の読み取りを指示する操作信号を受信するまで待機する(ステップS101)。制御部151は、第1原稿センサ111から受信する第1原稿検出信号に基づいて、第1原稿センサ111が配置された位置に原稿が存在するか否かを判定する。制御部151は、その位置に原稿が存在すると判定した場合、挿入口103から原稿が挿入されていると判定する。また、制御部151は、利用者により第1操作装置105を用いて原稿の読み取りを指示する操作が実行された場合に、第1操作装置105から操作信号を受信する。
【0062】
次に、制御部151は、駆動装置121を駆動して第1搬送ローラ112及び第3搬送ローラ117を図2の矢印A4の方向に回転させ、第2搬送ローラ113及び第4搬送ローラ118を図2の矢印A5の方向に回転させる。これにより、制御部151は、搬送部によって原稿を挿入方向A1に移動させる(ステップS102)。即ち、原稿は、撮像装置115の撮像位置において、原稿の上端(挿入方向A1の下流端)から原稿の下端(挿入方向A1の上流端)に向けて搬送部によって移動する。なお、制御部151は、第1記憶装置140に記憶された基準速度で原稿が移動するように駆動装置121を駆動する。
【0063】
次に、制御部151は、撮像装置115の撮像位置において、搬送部によって原稿を上端から下端に向けて移動させながら、撮像装置115によって原稿を撮像させて第1入力画像を生成させる。制御部151は、生成された第1入力画像を撮像装置115から取得する(ステップS103)。即ち、第1入力画像は、撮像装置115の主走査方向に延伸する原稿の各ラインを、副走査方向の上端から下端に向けて順に撮影した画像である。なお、制御部151は、第1記憶装置140に記憶された基準速度に従って原稿が撮影されるように撮像装置115を制御する。
【0064】
次に、制御部151は、速度センサ114から速度信号を受信し、速度信号に示される移動速度を取得する(ステップS104)。制御部151は、入力画像を副走査方向において分割した複数の分割領域毎に、各分割領域の画像が撮像された時に生成された速度信号に示される移動速度を第1記憶装置140に記憶する。各分割領域の副走査方向の長さは、例えば速度信号が生成される周期に相当する画像の長さに設定される。
【0065】
次に、制御部151は、第2原稿センサ116から受信する第2原稿検出信号に基づいて、原稿の後端が撮像装置115の位置を通過したか否かを判定する(ステップS105)。制御部151は、第2原稿検出信号が、原稿が存在することを示す状態から原稿が存在しないことを示す状態に変化した場合、原稿の後端が第2原稿センサ116の位置を通過しており、撮像装置115の位置を通過したと判定する。原稿の後端が撮像装置115を通過していない場合、制御部151は、処理をステップS103へ戻し、原稿の後端が撮像装置115を通過するまで、撮像装置115に原稿を撮像させるとともに、対応する移動速度を取得する。
【0066】
一方、原稿の後端が撮像装置115を通過した場合、制御部151は、原稿を、挿入方向A1と反対の排出方向A2に搬送させる。制御部151は、駆動装置121を駆動して、第1搬送ローラ112及び第3搬送ローラ117を図2の矢印A4と反対の方向に回転させ、第2搬送ローラ113及び第4搬送ローラ118を図2の矢印A5と反対の方向に回転させる。これにより、制御部151は、原稿の後端が撮像装置115を通過した後、搬送部によって原稿を挿入方向A1と異なる排出方向A2に移動させる(ステップS106)。即ち、原稿は、撮像装置115の撮像位置において、原稿の下端(挿入方向A1の上流端)から原稿の上端(挿入方向A1の下流端)に向けて搬送部によって移動する。なお、制御部151は、第1記憶装置140に記憶された基準速度で原稿が移動するように駆動装置121を駆動する。
【0067】
次に、制御部151は、撮像装置115の撮像位置において、搬送部によって原稿を下端から上端に向けて移動させながら、撮像装置115によって原稿を撮像させて第2入力画像を生成させる。制御部151は、生成された第2入力画像を撮像装置115から取得する(ステップS107)。即ち、第2入力画像は、撮像装置115の主走査方向に延伸する原稿の各ラインを、副走査方向の下端から上端に向けて順に撮影した画像である。なお、制御部151は、第1記憶装置140に記憶された基準速度に従って原稿が撮影されるように撮像装置115を制御する。
【0068】
次に、制御部151は、速度センサ114から速度信号を受信し、速度信号に示される移動速度を取得する(ステップS108)。制御部151は、ステップS104の処理と同様に、複数の分割領域毎に、各分割領域の画像が撮像された時に生成された速度信号に示される移動速度を第1記憶装置140に記憶する。
【0069】
次に、検出部152及び補正画像生成部153は、補正画像生成処理を実行する(ステップS109)。補正画像生成処理において、検出部152は、第1入力画像及び第2入力画像における歪みを検出し、補正画像生成部153は、検出された歪みに応じて、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成する。補正画像生成処理の詳細については後述する。
【0070】
次に、出力制御部154は、入力画像又は補正画像を第1インタフェース装置131を介して情報処理装置200に送信することにより出力し(ステップS110)、一連のステップを終了する。出力制御部154は、補正画像生成部153が補正画像を生成した場合、補正画像を情報処理装置200へ出力し、補正画像生成部153が補正画像を生成していない場合、入力画像を情報処理装置200へ出力する。情報処理装置200は、第2インタフェース装置203を介して補正画像又は入力画像を取得し、取得した画像を第2表示装置201に表示する。
【0071】
図7は、補正画像生成処理の動作の例を示すフローチャートである。図7に示す補正画像生成処理は、図6に示すフローチャートのステップS109において実行される。
【0072】
最初に、検出部152は、制御部151が速度センサ114から取得した各移動速度に基づいて、第1入力画像及び第2入力画像における歪みを検出する(ステップS201)。
【0073】
図8は、移動速度と歪みの関係について説明するための模式図である。
【0074】
図8に示す画像800は、一定の基準速度(V1pps(Pulse Per Second))で移動する原稿を撮像した入力画像を示す。搬送される原稿には右上端から左下端に向けて延伸する直線が印刷されている。撮像装置115は、撮像位置において一定間隔毎に原稿を撮像して入力画像800を生成する。そのため、入力画像800では、全領域において歪みが発生しておらず、入力画像800に写っている直線L1は、まっすぐ延伸している。
【0075】
一方、画像810は、撮像中の所定期間において移動速度が低減(V1ppsからV2ppsに低減)した原稿を撮像した入力画像を示す。入力画像810では、移動速度が低減した期間に対応する領域R2において歪みが発生しており、入力画像810に写っている直線L2は、領域R2において上下方向(垂直方向)に間延びしている。
【0076】
また、画像820は、撮像中の所定期間において移動速度が増大(V1ppsからV3ppsに増大)した原稿を撮像した入力画像を示す。入力画像820では、移動速度が増大した期間に対応する領域R3において歪みが発生しており、入力画像820に写っている直線L3は、領域R3において上下方向(垂直方向)に縮んでいる。
【0077】
このように、原稿の移動速度が基準速度に対して変化した場合、変化した移動速度で原稿が移動している時に撮像された入力画像内の領域に歪みが発生する。
【0078】
検出部152は、第1入力画像及び第2入力画像の各分割領域に対応する移動速度と基準速度とを第1記憶装置140から読み出し、分割領域毎に、各分割領域に対応する移動速度と基準速度との差分を算出する。検出部152は、移動速度と基準速度の差分の絶対値が閾値以上である場合、その移動速度に対応する分割領域、即ちその移動速度で移動する原稿が撮像された分割領域を歪み領域として検出する。閾値は、例えば基準速度の3%に相当する値に設定される。検出部152は、検出した歪み領域内の画像を歪みとして検出する。
【0079】
次に、補正画像生成部153は、第1入力画像及び第2入力画像の両方において、検出部152により歪みが検出されたか否かを判定する(ステップS202)。
【0080】
第1入力画像及び第2入力画像の少なくとも一方において歪みが検出されていない場合、補正画像生成部153は、歪みが検出されていない入力画像を、出力対象の入力画像に決定し、一連のステップを終了する。この場合、出力対象の入力画像として決定された、歪みが検出されていない入力画像が、図6のステップS110において情報処理装置200に送信される。
【0081】
一方、第1入力画像及び第2入力画像の両方において歪みが検出された場合、補正画像生成部153は、第1入力画像又は第2入力画像の内、歪みの数が少ない方の画像を補正対象画像として特定する(ステップS203)。歪みの数は、例えば歪み領域として検出された分割領域の数である。一方、補正画像生成部153は、第1入力画像又は第2入力画像の内、歪みの数が多い方の画像を補正素材画像として特定する。
【0082】
なお、補正画像生成部153は、第1入力画像又は第2入力画像の内、歪みの度合いが小さい方の画像を補正対象画像として特定し、歪みの度合いが大きい方の画像を補正素材画像として特定してもよい。歪みの度合いは、各分割領域で発生している歪みの大きさであり、例えば各分割領域に対応する各移動速度と基準速度との差分の絶対値の平均値により算出される。
【0083】
ステップS204~S207の処理は、補正対象画像内の歪み領域毎に実行される。
【0084】
まず、補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域に対応する、補正素材画像内の分割領域を素材領域として特定する(ステップS204)。補正画像生成部153は、各分割領域に対応する移動速度と基準速度とから、補正対象画像及び補正素材画像において、各分割領域に含まれる原稿領域の原稿内の位置を算出する。補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域に含まれる原稿領域と同一の原稿領域が含まれる補正素材画像内の分割領域を素材領域として特定する。即ち、一つの歪み領域に対応する素材領域として、一又は複数の分割領域が特定される。
【0085】
次に、補正画像生成部153は、特定した素材領域に歪みが存在するか否かを判定する(ステップS205)。補正画像生成部153は、特定した素材領域に、補正素材画像において検出された歪み領域が含まれる場合、歪みが存在すると判定し、特定した素材領域に、補正素材画像において検出された歪み領域が含まれない場合、歪みが存在しないと判定する。
【0086】
特定した素材領域に歪みが存在しない場合、補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域を、補正素材画像内の対応する領域に置換する(ステップS206)。補正画像生成部153は、各分割領域に対応する移動速度と基準速度とから、補正対象画像及び補正素材画像において、主走査方向に延伸する各ラインに含まれる原稿領域の原稿内の位置を算出する。補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域の先頭ラインと最終ラインとにそれぞれ含まれる原稿領域と同一の原稿領域が含まれる補正素材画像内の二つのラインを特定する。補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域を、補正素材画像内の、特定した二つのラインで挟まれた領域に置換する。
【0087】
なお、補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域から所定距離(例えば3画素)内に存在する領域も、補正素材画像内の対応する領域に置換してもよい。これにより、補正画像生成部153は、歪み領域の影響を受けている可能性がある周辺領域も良好に補正することが可能となる。
【0088】
例えば、図8に示す入力画像810が補正対象画像であり、入力画像800が補正素材画像である場合、入力画像810において移動速度が低減した期間に対応する領域R2が、入力画像800において対応する領域R1に置換される。同様に、図8に示す入力画像820が補正対象画像であり、入力画像800が補正素材画像である場合、入力画像820において移動速度が増大した期間に対応する領域R3が、入力画像800において対応する領域R1に置換される。
【0089】
一方、特定した素材領域に歪みが存在する場合、補正画像生成部153は、補正対象画像内の歪み領域に対して間引き処理又は引き伸ばし処理を実行する(ステップS207)。
【0090】
補正画像生成部153は、歪み領域に対応する移動速度が基準速度より小さい(遅い)場合、歪み領域に対して間引き処理を実行する。その場合、補正画像生成部153は、基準速度に対する、基準速度から移動速度を減算した速度の比率を間引き率として算出し、歪み領域から間引き率分のラインを除去する(間引く)。
【0091】
一方、補正画像生成部153は、歪み領域に対応する移動速度が基準速度より大きい(速い)場合、歪み領域に対して引き伸ばし処理を実行する。その場合、補正画像生成部153は、基準速度に対する、移動速度から基準速度を減算した速度の比率を引き伸ばし率として算出し、歪み領域に対して引き伸ばし率分のラインを挿入する(引き伸ばす)。例えば、補正画像生成部153は、線形補間等の公知の補間処理を用いて、歪み領域を引き伸ばす。なお、補正画像生成部153は、ニアレストネイバー法、バイリニア法等の他の補間処理を用いて、歪み領域を引き伸ばしてもよい。
【0092】
例えば、図8に示した入力画像810が補正対象画像であり、補正素材画像内の素材領域に歪みが存在する場合、入力画像810において移動速度が低減した期間に対応する領域R2に対して間引き処理が実行される。一方、図8に示した入力画像820が補正対象画像であり、補正素材画像内の素材領域に歪みが存在する場合、入力画像820において移動速度が増大した期間に対応する領域R3に対して引き伸ばし処理が実行される。
【0093】
補正対象画像内の全ての歪み領域に対してステップS204~S206の処理が実行された場合、補正画像生成部153は、ステップS204~S206の処理により補正された補正対象画像を補正画像として使用し、一連のステップを終了する。このように、補正画像生成部153は、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像である補正対象画像を他方の画像である補正素材画像を用いて補正した補正画像を生成する。補正画像生成部153は、原稿をそれぞれ異なった方向に向けて移動させながら撮像した2回分の入力画像を用いて、良好な補正画像を生成することができる。
【0094】
特に、補正画像生成部153は、第1入力画像又は第2入力画像の内、歪みの数が少ない方の補正対象画像を歪みの数が多い方の補正素材画像を用いて補正する。補正画像生成部153は、歪みの数が少ない入力画像を基礎として補正画像を生成することにより、より良好な補正画像を生成することができる。
【0095】
なお、補正画像生成部153は、ステップS203の処理を省略し、第1入力画像又は第2入力画像の内、予め設定された画像を補正対象画像として使用し、他方の画像を補正素材画像として使用してもよい。これにより、補正画像生成部153は、補正画像生成処理の処理時間を低減させることができる。
【0096】
また、補正画像生成部153は、第1入力画像及び第2入力画像において相互に対応する領域の一方に歪みが存在し且つ他方に歪みが存在しない場合、一方の入力画像の歪みが存在する歪み領域を、他方の入力画像において対応する領域に置換する。これにより、補正画像生成部153は、一方の入力画像に発生した歪みを、他方の入力画像を用いて完全に除去することができる。
【0097】
一方、補正画像生成部153は、第1入力画像及び第2入力画像において相互に対応する領域の両方に歪みが存在する場合、補正対象画像の歪み領域に対して間引き処理又は引き伸ばし処理を実行する。これにより、補正画像生成部153は、両方の入力画像に歪みが発生している場合でも、歪み領域を適切に補正することができる。
【0098】
また、補正画像生成部153は、補正対象画像内で歪みが発生している歪み領域を、補正素材画像内で歪みが発生していない素材領域を用いて補正する。即ち、補正画像生成部153は、補正対象画像内の領域の内、補正素材画像において対応する領域より歪みが大きい領域を、その対応する領域を用いて補正する。これにより、補正画像生成部153は、一方の入力画像に発生した歪みを、他方の入力画像を用いて良好に除去することができる。
【0099】
なお、ステップS205において、補正画像生成部153は、素材領域に歪みが存在するか否かを判定するのではなく、素材領域に存在する歪みが、対応する歪み領域に存在する歪みより大きいか否かを判定してもよい。例えば、補正画像生成部153は、素材領域に対応する移動速度と基準速度との差分の絶対値が、歪み領域に対応する移動速度と基準速度との差分の絶対値より大きい場合、素材領域に存在する歪みが、対応する歪み領域に存在する歪みより大きいと判定する。一方、補正画像生成部153は、素材領域に対応する移動速度と基準速度との差分の絶対値が、歪み領域に対応する移動速度と基準速度との差分の絶対値以下である場合、素材領域に存在する歪みが、対応する歪み領域に存在する歪みより大きくないと判定する。
【0100】
その場合、ステップS206において、補正画像生成部153は、歪み領域を置換した領域に対して、さらに間引き処理又は引き伸ばし処理を実行してもよい。これにより、補正画像生成部153は、歪み領域をより良好に補正することができる。
【0101】
また、補正画像生成部153は、ステップS205の処理を省略し、素材領域に歪みが存在するか否かに関わらず、歪み領域を置換してもよい。また、補正画像生成部153は、その置換した領域に対してさらに間引き処理又は引き伸ばし処理を実行してもよい。これにより、補正画像生成部153は、補正画像生成処理の処理時間を低減させることができる。
【0102】
また、補正画像生成部153は、ステップS201及びS202の処理を省略し、各入力画像に歪みが存在するか否かを判定せずに、一方の入力画像において予め設定された領域を他方の画像において対応する領域に置換してもよい。置換される領域は、例えば第1入力画像において原稿が搬送部と接触する際に撮像装置115により撮像されると推定される領域に予め設定される。なお、置換される領域は、第1入力画像において原稿が搬送部と離間する際に撮像装置115により撮像されると推定される領域に予め設定されてもよい。これにより、補正画像生成部153は、補正画像生成処理の処理時間を低減させることができる。
【0103】
図9A図9B及び図10は、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正することの技術的意義について説明するための模式図である。
【0104】
図9Aは、挿入口103から挿入された原稿Dが挿入方向A1に移動し、原稿Dの先端が第3搬送ローラ117及び第4搬送ローラ118に到達した状態を示す。一方、図9Bは、原稿Dが挿入方向A1にさらに移動し、原稿Dの後端が第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113を通過した状態を示す。原稿Dは、PPC(Plain Paper Copier)用紙、パスポート、厚紙又はカード等である。
【0105】
図9Aに示すように、原稿Dの先端が第3搬送ローラ117又は第4搬送ローラ118に接触したときに、衝突による衝撃により、原稿Dの移動速度が変化する可能性がある。その場合、そのときに撮像される原稿面上の位置P1又はP2は、本来、撮像されるべき位置からずれている可能性がある。
【0106】
一方、図9Bに示すように、原稿Dの後端が第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113から離間したときに、離間による反動により、原稿Dの移動速度が変化する可能性がある。その場合、そのときに撮像される原稿面上の位置P3又はP4も、本来、撮像されるべき位置からずれている可能性がある。
【0107】
但し、様々な種類の原稿を用いて歪みの発生を確認する実験を行った結果、原稿の後端が搬送部から離間する際に歪みが発生する頻度は、原稿の先端が搬送部に接触する際に歪みが発生する頻度より低かった。また、原稿の後端が搬送部から離間する際に歪みが発生する場合でも、原稿の後端が搬送部から離間する際に発生する歪みの大きさは、原稿の先端が搬送部に接触する際に発生する歪みの大きさより小さい傾向にあった。
【0108】
上記したように、画像形成装置100は、原稿を挿入方向A1に移動させながら第1入力画像を生成し、原稿を排出方向A2に移動させながら第2入力画像を生成する。第1入力画像において、位置P1又はP2が撮像された領域には歪みが発生する(又は発生する歪みが大きい)可能性が高く、位置P3又はP4が撮像された領域には歪みが発生しない(又は発生する歪みが小さい)可能性が高い。一方、第2入力画像において、位置P1又はP2が撮像された領域には歪みが発生しない(又は発生する歪みが小さい)可能性が高く、位置P3又はP4が撮像された領域には歪みが発生する(又は発生する歪みが大きい)可能性が高い。
【0109】
図10に示す画像1000は、原稿Dを挿入方向A1に移動させながら原稿Dの表面を撮像した第1入力画像であり、画像1010は、原稿Dを排出方向A2に移動させながら原稿Dの表面を撮像した第2入力画像である。
【0110】
第1入力画像1000では、原稿Dが第3搬送ローラ117又は第4搬送ローラ118と接触する際に撮像された原稿面上の位置P1の周辺が含まれる領域1001において、文字が間延びし、歪みが発生している。また、第1入力画像1000では、原稿Dが第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113から離間する際に撮像された原稿面上の位置P3の周辺が含まれる領域1002において、歪みが発生していない。一方、第2入力画像1010では、原稿Dが第1搬送ローラ112及び第2搬送ローラ113から離間する際に撮像された原稿面上の位置P1の周辺が含まれる領域1011において、歪みが発生していない。また、第2入力画像1010では、原稿Dが第3搬送ローラ117又は第4搬送ローラ118と接触する際に撮像された原稿面上の位置P3の周辺が含まれる領域1012において、文字が間延びし、歪みが発生している。
【0111】
補正画像生成部153は、第1入力画像において原稿が搬送部と接触する際に位置P1が撮像された領域1001を第2入力画像において位置P1が撮像された領域1011に置換することにより、補正画像を生成する。または、補正画像生成部153は、第2入力画像において原稿が搬送部と接触する際に位置P3が撮像された領域1012を第1入力画像において位置P3が撮像された領域1002に置換することにより、補正画像を生成する。
【0112】
図10に示す画像1020は、第1入力画像1000及び第2入力画像1010から生成された補正画像である。補正画像1020では、原稿が搬送部と接触又は離間する際に位置P1が撮像された領域1021と、原稿が搬送部と接触又は離間する際に位置P3が撮像された領域1022の両方において歪みが発生していない。
【0113】
なお、補正画像生成部153は、第2入力画像において原稿が搬送部から離間する際に位置P1が撮像された領域1011を第1入力画像において位置P1が撮像された領域1001に置換することにより、補正画像を生成してもよい。また、補正画像生成部153は、第1入力画像において原稿が搬送部から離間する際に位置P3が撮像された領域1002を第2入力画像において位置P3が撮像された領域1012に置換することにより、補正画像を生成してもよい。
【0114】
また、補正画像生成部153は、原稿Dの裏面を撮像した第1入力画像及び第2入力画像についても、同様にして、補正画像を生成する。
【0115】
このように、補正画像生成部153は、原稿を異なった方向に向けて移動させながら二回撮像を行い、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、補正画像を生成する。また、補正画像生成部153は、一方の入力画像において原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像された領域を、他方の入力画像において対応する領域に置換することにより、補正画像を生成する。
【0116】
以上詳述したように、画像形成装置100は、原稿を異なった方向に向けて移動させながら撮像した二つの入力画像の内の一方の入力画像を他方の入力画像を用いて補正する。これにより、画像形成装置100は、搬送された原稿の画像を良好に補正することが可能となった。
【0117】
また、画像形成装置100は、原稿が搬送部と接触又は離間する際に発生する歪みを画像処理により補正する。これにより、画像形成装置100は、原稿が搬送部と接触又は離間する際の衝撃を軽減させるような特別なハードウェアを設けることなく、良好な画像を生成することが可能となり、装置コストの増大を抑制することが可能となった。また、画像形成装置100は、特別なハードウェアを設けることなく、画像処理により歪みを補正するため、装置毎の搬送部の個体差(ばらつき)の影響を受けることなく、良好な画像を生成することが可能となった。また、画像形成装置100では、原稿が搬送部と接触又は離間する際の衝撃を軽減させるための検証作業が不要であるため、装置開発に係るコストの増大を抑制することが可能となった。また、画像形成装置100は、搬送部において原稿をスムーズに通過させるためのキャリアシートを使用することなく、良好な画像を生成することが可能となり、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0118】
特に、開いた状態のパスポートでは、綴じ部を挟んだ二つのページにおける厚さが異なる。このように、位置によって厚さが異なる原稿が搬送される場合、原稿を異なった方向に向けて移動させながら撮像した二つの入力画像において、歪みが発生する箇所が異なる可能性が高い。画像形成装置100は、原稿面内の位置によって厚さが異なる原稿が搬送された場合に、一方の入力画像を他方の入力画像を用いて補正することにより、原稿の厚さによって発生した歪みを良好に補正することができる。
【0119】
上記したように、画像形成装置100は、原稿をスイッチバックさせながら同じ原稿面を二回撮像し、原稿が搬送部に噛むことにより歪みが発生する箇所が行きと帰りで異なることを利用して、歪みを補正する。しかしながら、同じ原稿面を二回撮像する方法は、原稿をスイッチバックさせることに限定されない。例えば画像形成装置100は、利用者により一方の端部側から挿入口103に挿入された原稿を撮像して第1入力画像を生成し、その原稿を排出した後に、利用者により他方の端部側から挿入口103に挿入されたその原稿を撮像して第2入力画像を生成してもよい。この場合も、画像形成装置100は、搬送された原稿の画像を良好に補正することが可能となる。
【0120】
図11は、他の実施形態に従った第1処理回路160の概略構成を示すブロック図である。
【0121】
第1処理回路160は、第1CPU150の代わりに、全体処理及び補正画像生成処理等を実行する。第1処理回路160は、制御回路161、検出回路162、補正画像生成回路163及び出力制御回路164等を有する。
【0122】
制御回路161は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路161は、第1原稿センサ111から第1原稿検出信号を受信し、第2原稿センサ116から第2原稿検出信号を受信し、各信号に従って駆動装置121に駆動信号を送信し、搬送部によって原稿を移動させる。また、制御回路161は、撮像装置115に制御信号を送信して第1入力画像及び第2入力画像を生成させ、生成された画像を受信して第1記憶装置140に記憶する。さらに、制御回路161は、速度センサ114から速度信号を受信し、速度信号に示される移動速度を第1記憶装置140に記憶する。
【0123】
検出回路162は、検出部の一例であり、検出部152と同様の機能を有する。検出回路162は、第1記憶装置140から第1入力画像、第2入力画像及び移動速度を読み出し、移動速度に基づいて第1入力画像及び第2入力画像における歪みを検出し、検出結果を第1記憶装置140に記憶する。
【0124】
補正画像生成回路163は、補正画像生成部の一例であり、補正画像生成部153と同様の機能を有する。補正画像生成回路163は、第1記憶装置140から第1入力画像、第2入力画像及び歪みの検出結果を読み出し、歪みの検出結果に基づいて第1入力画像及び第2入力画像から補正画像を生成し、第1記憶装置140に記憶する。
【0125】
出力制御回路164は、出力制御部の一例であり、出力制御部154と同様の機能を有する。出力制御回路164は、第1記憶装置140から補正画像を読み出し、第1インタフェース装置131を介して情報処理装置200に送信する。
【0126】
本実施形態に従った画像形成装置100も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
【0127】
図12は、さらに他の実施形態に従った情報処理装置200の第2記憶装置210及び第2CPU220の概略構成を示す図である。
【0128】
本実施形態では、画像形成装置100の代わりに、情報処理装置200が補正画像生成処理を実行する。
【0129】
図12に示すように、第2記憶装置210には、受信プログラム211、検出プログラム212、補正画像生成プログラム213及び出力制御プログラム214等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2CPU220は、第2記憶装置210に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第2CPU220は、受信部221、検出部222、補正画像生成部223及び出力制御部224として機能する。なお、本実施形態では、画像形成装置100は、検出プログラム142、補正画像生成プログラム143、検出部152及び補正画像生成部153を有さない。
【0130】
図13は、情報処理装置200の補正画像生成処理の動作の例を示すフローチャートである。以下、図13に示したフローチャートを参照しつつ、情報処理装置200の補正画像生成処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づき主に第2CPU220により情報処理装置200の各要素と協働して実行される。
【0131】
本実施形態では、図6に示す画像形成装置100の全体処理において、ステップS109の補正画像生成処理は省略される。また、ステップS110において、出力制御部154は、第1入力画像及び第2入力画像と、各分割領域に対応する移動速度とを第1インタフェース装置131を介して情報処理装置200に送信する。
【0132】
まず、受信部221は、第2インタフェース装置203を介して画像形成装置100から、第1入力画像及び第2入力画像と、各分割領域に対応する移動速度とを受信する(ステップS301)。
【0133】
ステップS302~S308の処理は、図7のステップS201~S207の処理と同様である。但し、ステップS302の処理は、検出部222により実行され、ステップS303~S308の処理は、補正画像生成部223により実行される。即ち、検出部222は、第1入力画像及び第2入力画像における歪みを検出する。また、補正画像生成部223は、原稿が搬送部と接触又は離間する際に撮像される原稿面上の位置が第1入力画像と第2入力画像において異なることを利用して、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方の画像を他方の画像を用いて補正した補正画像を生成する。
【0134】
ステップS309において、出力制御部224は、入力画像又は補正画像を第2表示装置201に表示することにより出力し(ステップS309)、一連のステップを終了する。なお、出力制御部224は、第2インタフェース装置203を介して不図示のサーバ等に送信することにより出力してもよい。
【0135】
本実施形態に従った画像形成システム1も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
【0136】
図14は、さらに他の実施形態に従った第2処理回路230の概略構成を示すブロック図である。
【0137】
第2処理回路230は、第2CPU220の代わりに、補正画像生成処理等を実行する。第2処理回路230は、受信回路231、検出回路232、補正画像生成回路233及び出力制御回路234等を有する。
【0138】
受信回路231は、受信部の一例であり、受信部221と同様の機能を有する。受信回路231は、第2インタフェース装置203を介して画像形成装置100から、第1入力画像及び第2入力画像と、各分割領域に対応する移動速度とを受信し、第2記憶装置210に記憶する。
【0139】
検出回路232は、検出部の一例であり、検出部222と同様の機能を有する。検出回路232は、検出回路162と同様に動作する。補正画像生成回路233は、補正画像生成部の一例であり、補正画像生成部223と同様の機能を有する。補正画像生成回路233は、補正画像生成回路163と同様に動作する。
【0140】
出力制御回路234は、出力制御部の一例であり、出力制御部224と同様の機能を有する。出力制御回路234は、第2記憶装置210から補正画像を読み出し、第2表示装置201に表示する。
【0141】
本実施形態に従った画像形成システム1も、上記した各効果と同様の効果を奏することができる。
【0142】
なお、画像形成装置及び情報処理装置の各部を画像形成装置と情報処理装置の何れに配置するかは適宜変更可能である。また、クラウドコンピューティングの形態で画像処理のサービスを提供できるように、ネットワーク上に複数の情報処理装置を分散して配置し、各情報処理装置が協働して、各処理を分担してもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 画像形成システム
100 画像形成装置
112 第1搬送ローラ
113 第2搬送ローラ
114 速度センサ
115 撮像装置
117 第3搬送ローラ
118 第4搬送ローラ
131 第1インタフェース装置
151 制御部
152 検出部
153 補正画像生成部
200 情報処理装置
201 第2表示装置
223 補正画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14