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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/12 20060101AFI20231208BHJP
   B66B 23/02 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B66B23/12 Z
B66B23/02 Z
B66B23/12 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023077056
(22)【出願日】2023-05-09
【審査請求日】2023-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 公則
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-163562(JP,A)
【文献】特開平11-139740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/12
B66B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラスと、
前記トラスに支持されており、無端状のステップ移動経路を移動する複数の自走式ステップと
を備え、
各前記自走式ステップは、ステップ本体と、前記ステップ本体に設けられている連結部と、前記ステップ本体に設けられている駆動部とを有しており、
前記自走式ステップは、前記自走式ステップが有する前記駆動部の駆動力によって前記ステップ移動経路を移動し、
前記ステップ移動経路の往路部では、互いに隣り合う2つの前記自走式ステップのうち、一方の自走式ステップにおける前記連結部が他方の自走式ステップにおける前記ステップ本体に機械的に連結可能になっており、
前記ステップ移動経路の帰路部では、前記連結部が前記ステップ本体から外れることにより、各前記自走式ステップ同士の連結が外れた状態で各前記自走式ステップが互いに分離して移動可能になる乗客コンベア。
【請求項2】
前記往路部は、前記一方の自走式ステップと前記他方の自走式ステップとの間に段差が生じる傾斜部を有しており、
前記傾斜部では、前記一方の自走式ステップが下段側の自走式ステップとなるとともに、前記他方の自走式ステップが上段側の自走式ステップとなり、
前記ステップ本体は、フレームと、前記フレームに設けられている踏板とを有しており、
前記フレームは、ガイド部を有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記連結部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に機械的に連結可能になっており、
前記連結部が前記ガイド部に連結している状態では、前記下段側の自走式ステップと前記上段側の自走式ステップとの間に前記段差が生じる方向へ前記連結部が前記ガイド部をスライド可能になっている請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記ステップ本体は、前記踏板に設けられている板状のライザを有しており、
前記ライザには、前記ライザを貫通するスリットが前記ガイド部に対応して設けられており、
前記連結部が前記ガイド部に連結している状態では、前記下段側の自走式ステップにおける前記連結部が前記上段側の自走式ステップにおける前記スリットに通されている請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記連結部は、前記ステップ本体に固定されている固定部と、前記固定部に取り付けられている着脱部とを有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記着脱部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に着脱可能になっており、
前記スリットは、前記着脱部が通過可能な挿入部と、前記挿入部から前記ガイド部に沿って延びているスリット本体部とを有しており、
前記スリット本体部の幅は、前記着脱部の幅よりも小さくなっており、かつ、前記固定部の幅よりも大きくなっている請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記連結部は、前記ステップ本体に固定されている固定部と、前記固定部に取り付けられている着脱部とを有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記着脱部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に着脱可能になっており、
前記固定部に対する前記着脱部の角度は、変化可能になっている請求項2又は請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記着脱部は、互いに対向している一対の対向部と、前記一対の対向部を繋いでいる繋ぎ部とを有しており、
前記一対の対向部のそれぞれは、弾性変形可能になっており、
前記ガイド部が前記一対の対向部の間隔を押し広げながら前記一対の対向部の間に入ることにより、前記着脱部が前記ガイド部に機械的に連結される請求項4に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の自走式ステップを有する乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のステップのそれぞれに電動機を設けることにより各ステップを自走させるようにした乗客コンベアが開示されている。特許文献1に開示された従来の乗客コンベアでは、複数のステップを互いに連結するステップチェーンを不要にすることができ、メンテナンス費用を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-348081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された従来の乗客コンベアでは、各ステップが自走するため、各ステップの移動経路のうち、乗客を搬送する往路部において各ステップが互いに離れて移動するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、ステップ移動経路の往路部を移動する複数の自走式ステップが互いに離れてしまうことをより確実に抑制することができる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗客コンベアは、トラスと、トラスに支持されており、無端状のステップ移動経路を移動する複数の自走式ステップとを備え、各自走式ステップは、ステップ本体と、ステップ本体に設けられている連結部と、ステップ本体に設けられている駆動部とを有しており、自走式ステップは、自走式ステップが有する駆動部の駆動力によってステップ移動経路を移動し、ステップ移動経路の往路部では、互いに隣り合う2つの自走式ステップのうち、一方の自走式ステップにおける連結部が他方の自走式ステップにおけるステップ本体に機械的に連結可能になっており、ステップ移動経路の帰路部では、連結部がステップ本体から外れることにより、各自走式ステップが互いに分離して移動可能になるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ステップ移動経路の往路部を移動する複数の自走式ステップが互いに離れてしまうことをより確実に抑制することができる乗客コンベアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る乗客コンベアとしてのエスカレータを示す側面図である。
図2図1のエスカレータの下部を示す側面図である。
図3図2の往路部の下部水平部を移動する自走式ステップを示す拡大図である。
図4図3の矢印Aに沿って見たときのライザを示す正面図である。
図5図3の自走式ステップにおいてライザから見たときのフレームを示す正面図である。
図6図3のVI部を示す拡大図である。
図7図3のVII部を示す拡大図である。
図8図7の連結部を示す側面図である。
図9図8の連結部を示す上面図である。
図10図2の往路部の傾斜部を移動する自走式ステップを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る乗客コンベアとしてのエスカレータを示す側面図である。図2は、図1のエスカレータの下部を示す側面図である。下階と上階との間には、トラス1が設置されている。トラス1の長手方向一端部は、下階の構造物に掛けられている。トラス1の長手方向他端部は、上階の構造物に掛けられている。従って、トラス1の長手方向一端部はトラス1の下端部となっており、トラス1の長手方向他端部はトラス1の上端部となっている。トラス1の幅方向は、トラス1の長手方向に直交する水平な方向と一致している。
【0011】
トラス1の下端部には、下部機械室2が設けられている。また、トラス1の下端部には、下部ランディングプレート3が取り付けられている。下部ランディングプレート3は、下部機械室2の上部に配置されている。
【0012】
トラス1の上端部には、上部機械室4が設けられている。また、トラス1の上端部には、上部ランディングプレート5が取り付けられている。上部ランディングプレート5は、上部機械室4の上部に配置されている。
【0013】
トラス1には、複数の自走式ステップ6が支持されている。各自走式ステップ6の幅方向は、トラス1の幅方向と一致している。各自走式ステップ6は、トラス1に設定された無端状のステップ移動経路を移動する。
【0014】
ステップ移動経路は、往路部と、帰路部と、下部反転部と、上部反転部とを有している。往路部及び帰路部のそれぞれは、下部機械室2から上部機械室4に達する経路である。帰路部は、往路部よりも下方に設定されている。下部反転部は、下部機械室2において往路部と帰路部とを繋ぐ経路である。上部反転部は、上部機械室4において往路部と帰路部とを繋ぐ経路である。
【0015】
各自走式ステップ6は、往路部を移動するときに乗客を搬送可能な状態となる。乗客は、往路部を移動する自走式ステップ6に乗ることにより搬送される。各自走式ステップ6の移動方向は、下部反転部及び上部反転部のそれぞれにおいて反転する。これにより、帰路部を移動する自走式ステップ6の姿勢は、往路部を移動する自走式ステップ6の姿勢に対して、上下が逆の姿勢となる。
【0016】
往路部は、傾斜部と、下部水平部と、上部水平部とを有している。下部水平部は、下部反転部から水平に延びる経路である。上部水平部は、上部反転部から水平に延びる経路である。傾斜部は、下部水平部から上部水平部に達する経路である。傾斜部は、水平面に対して傾斜している。
【0017】
下部水平部及び上部水平部のそれぞれでは、複数の自走式ステップ6が連続して水平に並ぶ。傾斜部では、互いに隣り合う2つの自走式ステップ6の間に上下方向の段差が生じる。以下、往路部において互いに隣り合う2つの自走式ステップ6のうち、下部機械室2側に位置する一方の自走式ステップ6を下段側の自走式ステップと呼び、上部機械室4側に位置する他方の自走式ステップ6を上段側の自走式ステップと呼ぶ。
【0018】
図3は、図2の往路部の下部水平部を移動する自走式ステップ6を示す拡大図である。各自走式ステップ6は、ステップ本体11と、一対の連結部12と、一対の駆動部13と、一対の駆動ローラ14と、不図示の一対の追従ローラと、不図示のステップ制御部とを有している。一対の連結部12、一対の駆動部13、一対の駆動ローラ14、一対の追従ローラ及びステップ制御部は、ステップ本体11に設けられている。
【0019】
ステップ本体11は、フレーム111と、踏板112と、ライザ113とを有している。
【0020】
踏板112は、フレーム111と一体となっている。踏板112には、乗客を乗せるための乗車ステップ面112aが形成されている。往路部を移動するときの各自走式ステップ6の姿勢は、乗車ステップ面112aを上方に向け、かつ乗車ステップ面112aを水平にした状態で維持される。従って、下部水平部及び上部水平部のそれぞれでは、複数の自走式ステップ6における乗車ステップ面112aが連続して水平に並ぶ。傾斜部では、下段側の自走式ステップ6における乗車ステップ面112aの位置が上段側の自走式ステップ6における乗車ステップ面112aの位置よりも低い位置となる。
【0021】
フレーム111は、乗車ステップ面112aからみて踏板112の裏側に位置している。フレーム111は、フレーム本体部111aと、一対のガイド部111bとを有している。フレーム本体部111aの第1端部111cは、踏板112に直接繋がっている。フレーム本体部111aの第2端部111dは、踏板112から離れている。往路部に存在するときの各自走式ステップ6では、フレーム本体部111aの第2端部111dがフレーム本体部111aの第1端部111cよりも下段側に位置している。
【0022】
フレーム本体部111aの第2端部111dは、一対のガイド部111bを介して踏板112と繋がっている。一対のガイド部111bは、後述する図5に示すように、自走式ステップ6の幅方向へ互いに離れて配置されている。各ガイド部111bは、踏板112から湾曲しながらフレーム本体部111aの第2端部111dに達している。
【0023】
ライザ113は、踏板112に固定されている。また、ライザ113は、各ガイド部111bよりも下段側に位置している。ライザ113は、踏板112からフレーム本体部111aの第2端部111dに向かって湾曲して延びる板状部材である。ライザ113は、固定端部113a及び自由端部113bを有している。ライザ113の固定端部113aは、踏板112に固定されている。ライザ113の自由端部113bは、固定端部113aよりもフレーム本体部111aの第2端部111dに近い位置に位置している。
【0024】
ここで、図4は、図3の矢印Aに沿って見たときのライザ113を示す正面図である。図5は、図3の自走式ステップ6においてライザ113から見たときのフレーム111を示す正面図である。ライザ113には、一対のスリット114が設けられている。一対のスリット114は、自走式ステップ6の幅方向において互いに離れて設けられている。
【0025】
一対のスリット114は、一対のガイド部111bに対応してライザ113に設けられている。これにより、一対のスリット114のそれぞれの位置は、図4に示すように、自走式ステップ6の幅方向において、一対のガイド部111bのそれぞれの位置と同位置となっている。
【0026】
各スリット114は、ライザ113の固定端部113aからライザ113の自由端部113bに達している。また、各スリット114は、ライザ113の厚さ方向においてライザ113を貫通している。各スリット114は、挿入部114aと、スリット本体部114bとを有している。
【0027】
挿入部114aは、ライザ113の固定端部113aにおいて開放された開口部である。スリット本体部114bは、挿入部114aからライザ113の自由端部113bへガイド部111bに沿って延びている。スリット本体部114bは、ライザ113の自由端部113bにおいて開放されている。スリット本体部114bの幅は、挿入部114aの幅よりも小さくなっている。挿入部114aには、板状の蓋115が配置されている。
【0028】
図6は、図3のVI部を示す拡大図である。蓋115は、軸116を介してライザ113に取り付けられている。本実施の形態では、自走式ステップ6の幅方向に沿って軸116が配置されている。蓋115は、軸116を中心として回転することにより、挿入部114aを開閉する。
【0029】
トラス1には、図1及び図2に示すように、一対の駆動ガイドレール7と、不図示の一対の追従ガイドレールとが固定されている。一対の駆動ガイドレール7は、トラス1の幅方向において互いに離れて配置されている。一対の追従ガイドレールは、トラス1の幅方向において互いに離れて配置されている。
【0030】
一対の駆動ローラ14は、図3に示すように、フレーム本体部111aの第2端部111dに設けられている。一対の駆動ローラ14は、自走式ステップ6の幅方向において互いに離れて配置されている。一対の駆動ローラ14は、一対の駆動ガイドレール7に個別に載せられている。
【0031】
一対の追従ローラは、フレーム本体部111aの第1端部111cに設けられている。一対の追従ローラは、自走式ステップ6の幅方向において互いに離れて配置されている。一対の追従ローラは、一対の追従ガイドレールに個別に載せられている。
【0032】
各自走式ステップ6は、一対の駆動ガイドレール7及び一対の追従ガイドレールを介してトラス1に支持されている。自走式ステップ6がステップ移動経路を移動するときには、一対の駆動ローラ14が一対の駆動ガイドレール7に個別に案内され、一対の追従ローラが一対の追従ガイドレールに個別に案内される。各自走式ステップ6の姿勢は、一対の追従ローラが一対の追従ガイドレールに個別に案内されることにより安定する。
【0033】
一対の駆動部13のそれぞれは、モータである。一対の駆動部13のうち、一方の駆動部13は一方の駆動ローラ14の内側に配置されており、他方の駆動部13は他方の駆動ローラ14の内側に配置されている。各駆動部13は、対応する駆動ローラ14を回転させる駆動力を発生する。一対の駆動ローラ14が駆動部13の駆動力によって回転すると、回転した一対の駆動ローラ14を有する自走式ステップ6がステップ移動経路を移動する。即ち、自走式ステップ6は、自走式ステップ6が有する一対の駆動部13のそれぞれの駆動力によってステップ移動経路を移動する。
【0034】
各駆動ガイドレール7は、図1及び図2に示すように、往路側駆動レール部71と、帰路側駆動レール部72と、下部反転駆動レール部73と、上部反転駆動レール部74とを有している。往路側駆動レール部71及び帰路側駆動レール部72のそれぞれは、下部機械室2から上部機械室4に達するレール部である。帰路側駆動レール部72は、往路側駆動レール部71よりも下方に配置されている。下部反転駆動レール部73は、下部機械室2において往路側駆動レール部71と帰路側駆動レール部72とを繋ぐレール部である。上部反転駆動レール部74は、上部機械室4において往路側駆動レール部71と帰路側駆動レール部72とを繋ぐレール部である。
【0035】
往路側駆動レール部71は、往路部を移動する自走式ステップ6の駆動ローラ14を案内する。帰路側駆動レール部72は、帰路部を移動する自走式ステップ6の駆動ローラ14を案内する。往路側駆動レール部71と駆動ローラ14との間の摩擦係数は、帰路側駆動レール部72と駆動ローラ14との間の摩擦係数よりも大きくなっている。
【0036】
下部反転駆動レール部73は、下部反転部を移動する自走式ステップ6の駆動ローラ14を案内する。上部反転駆動レール部74は、上部反転部を移動する自走式ステップ6の駆動ローラ14を案内する。
【0037】
往路部では、下段側の自走式ステップ6における一対の連結部12が上段側の自走式ステップ6におけるステップ本体11に機械的に連結可能になっている。具体的には、下段側の自走式ステップ6における一対の連結部12は、上段側の自走式ステップ6における一対のガイド部111bに個別に機械的に連結可能になっている。これにより、往路部では、互いに隣り合う自走式ステップ6同士が連結された状態で複数の自走式ステップ6が下部機械室2から上部機械室4に達するまで連続している。なお、図1では、往路部に存在する複数の自走式ステップ6のうち、一部の自走式ステップ6の表示を省略している。一対の連結部12が一対のガイド部111bに連結されている状態では、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各スリット114に個別に通されている。
【0038】
帰路部、下部反転部及び上部反転部では、一対の連結部12がステップ本体11から外れることにより、各自走式ステップ6が互いに分離して移動可能になる。これにより、帰路部に存在する自走式ステップ6の数は、往路部に存在する自走式ステップ6の数よりも少なくなっている。
【0039】
一対の連結部12は、図3に示すように、踏板112に固定されている。往路部に存在するときの自走式ステップ6の姿勢は、一対の連結部12が一対のガイド部111bよりも上段側に位置する姿勢となっている。
【0040】
各自走式ステップ6では、一対の連結部12が自走式ステップ6の幅方向において互いに離れて配置されている。下段側の自走式ステップ6における一対の連結部12は、上段側の自走式ステップ6における一対のガイド部111bに対応して設けられている。これにより、下段側の自走式ステップ6における一対の連結部12のそれぞれの位置は、トラス1の幅方向において、上段側の自走式ステップ6における一対のガイド部111bのそれぞれの位置と同位置となっている。
【0041】
図7は、図3のVII部を示す拡大図である。図8は、図7の連結部12を示す側面図である。図9は、図8の連結部12を示す上面図である。各自走式ステップ6では、一対の連結部12がスペーサ15を介して踏板112に固定されている。各連結部12は、ボルト及びナットを含む締結具16によって踏板112に固定されている。
【0042】
一対の連結部12のそれぞれは、固定部121と、着脱部122とを有している。
【0043】
固定部121は、棒状部材である。固定部121の長手方向に直交する平面における固定部121の断面形状は、矩形状である。固定部121は、踏板112の裏面に沿って固定されている。また、固定部121は、自走式ステップ6の幅方向に直交して配置されている。
【0044】
スペーサ15は、踏板112の裏面と固定部121との間に介在している。固定部121及びスペーサ15には、締結具16を通すための貫通穴17がそれぞれ設けられている。締結具16は、スペーサ15及び固定部121のそれぞれの貫通穴17に通された状態で、固定部121及びスペーサ15を踏板112に締結している。
【0045】
着脱部122は、可動部123を介して固定部121に取り付けられている。これにより、固定部121に対する着脱部122の角度は、可動部123を中心として変化可能になっている。本実施の形態では、自走式ステップ6の幅方向に沿った軸が可動部123として用いられている。また、本実施の形態では、固定部121と一直線上に並ぶ位置に着脱部122を復帰させる不図示の復帰ばねが可動部123に設けられている。
【0046】
着脱部122は、図9に示すように、一対の対向部122aと、繋ぎ部122bと、一対の突起122cとを有している。
【0047】
一対の対向部122aは、空間を介して互いに対向している。繋ぎ部122bは、一対の対向部122aのそれぞれの一端部同士を繋いでいる。一対の対向部122aのそれぞれの他端部の間の空間は、開放されている。一対の突起122cは、一対の対向部122aに個別に設けられている。突起122cは、対向部122aの他端部に設けられている。一対の突起122cは、一対の対向部122aの間の空間において互いに対向している。着脱部122の形状は、一対の対向部122a、繋ぎ部122b及び一対の突起122cによってU字状となっている。
【0048】
一対の対向部122a、繋ぎ部122b及び一対の突起122cのうち、少なくとも一対の対向部122aのそれぞれは、弾性変形可能となっている。本実施の形態では、着脱部122全体が金属製のばね用の弾性材料によって形成されている。
【0049】
一対の対向部122aの間における空間の幅は、ガイド部111bの幅よりも大きくなっている。一対の突起122cの間における空間の幅は、ガイド部111bの幅よりも小さくなっている。
【0050】
着脱部122は、ガイド部111bに対して機械的に着脱可能になっている。着脱部122は、着脱部122の外側から一対の対向部122aの間にガイド部111bが入ることによりガイド部111bに機械的に連結する。ガイド部111bは、着脱部122の外側から一対の突起122cに接触しながら一対の対向部122aの間隔を押し広げることにより一対の対向部122aの間に入る。
【0051】
着脱部122は、一対の対向部122aの間から着脱部122の外側にガイド部111bが出ることによりガイド部111bから外れる。ガイド部111bは、一対の対向部122aの間から一対の突起122cに接触しながら一対の対向部122aを押し広げることにより着脱部122の外側に出る。
【0052】
着脱部122がガイド部111bに連結している状態では、ガイド部111bが一対の対向部122aの間から出ることが一対の突起122cによって抑制される。また、着脱部122がガイド部111bに連結している状態では、ガイド部111bが一対の対向部122aの間に入った状態を維持しながら、着脱部122がガイド部111bに沿ってスライド可能になっている。これにより、連結部12がガイド部111bに連結している状態では、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じる方向へ連結部12がガイド部111bに沿ってスライド可能になっている。
【0053】
着脱部122の幅は、固定部121及び可動部123のそれぞれの幅よりも大きくなっている。
【0054】
スリット114における挿入部114aの幅は、着脱部122の幅よりも大きくなっている。これにより、着脱部122、固定部121及び可動部123のそれぞれは、挿入部114aを通過可能になっている。連結部12が挿入部114aを通過するときには、蓋115が連結部12に押されて回転することにより挿入部114aが開く。下段側の自走式ステップ6における連結部12は、上段側の自走式ステップ6における挿入部114aを通過することにより、上段側の自走式ステップ6におけるガイド部111bに機械的に連結可能になる。
【0055】
スリット114におけるスリット本体部114bの幅は、着脱部122の幅よりも小さくなっており、かつ、固定部121及び可動部123のそれぞれの幅よりも大きくなっている。これにより、固定部121及び可動部123のそれぞれは、スリット本体部114bを通過可能になっている。従って、連結部12がガイド部111bに連結している状態では、固定部121がスリット本体部114bを移動することにより、連結部12がガイド部111bに沿ってスライド可能になる。
【0056】
一方、スリット本体部114bに対する着脱部122の通過は阻止される。これにより、連結部12は、挿入部114a以外の箇所において自走式ステップ6の外側からスリット114を通過することができない。従って、下段側の自走式ステップ6における連結部12は、上段側の自走式ステップ6における挿入部114a以外の箇所からガイド部111bに連結することができない。
【0057】
本実施の形態では、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6とが水平に並ぶときに、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各挿入部114aを通過可能となる。これにより、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6とが下部水平部及び上部水平部のいずれかにおいて水平に並ぶときに、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに連結可能になる。
【0058】
図10は、図2の往路部の傾斜部を移動する自走式ステップ6を示す拡大図である。往路部の傾斜部では、下段側の自走式ステップ6における踏板112の位置が上段側の自走式ステップ6における踏板112の位置よりも低くなることにより段差が生じる。下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じている状態では、上段側の自走式ステップ6におけるライザ113が上段側の踏板112と下段側の踏板112との間の空間を塞ぐ。
【0059】
下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに連結している状態では、ガイド部111bの上部から下部に向かって各連結部12が各ガイド部111bをスライドすることにより段差が生じる。また、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに連結している状態では、ガイド部111bの下部から上部に向かって各連結部12が各ガイド部111bをスライドすることにより段差がなくなる。
【0060】
連結部12がガイド部111bをスライドするときには、固定部121に対するガイド部111bの傾斜角度が変化する。このとき、固定部121に対するガイド部111bの傾斜角度の変化に応じて着脱部122がガイド部111bに案内されることにより、固定部121に対する着脱部122の角度が調整される。
【0061】
ステップ制御部は、フレーム111の内側に設けられている。各自走式ステップ6では、ステップ制御部が一対の駆動部13を制御する。
【0062】
各自走式ステップ6では、不図示の下部反転用センサ及び上部反転用センサがステップ本体11に設けられている。下部機械室2には不図示の下部被検出部が設けられており、上部機械室4には不図示の上部被検出部が設けられている。下部被検出部は、下部反転部を移動するときの自走式ステップ6の下部反転用センサによって検出される。上部被検出部は、上部反転部を移動するときの自走式ステップ6の上部反転用センサによって検出される。
【0063】
各自走式ステップ6では、ステップ制御部が下部反転用センサ及び上部反転用センサからの情報に基づいて一対の駆動部13を制御する。ステップ制御部は、下部反転用センサ及び上部反転用センサからの情報に基づいて、自走式ステップ6が下部反転部を移動しているか否かと、自走式ステップ6が上部反転部を移動しているか否かとを判定する。また、ステップ制御部は、自走式ステップ6が下部反転部及び上部反転部のいずれかを移動していると判定したとき、一対の駆動ローラ14の回転方向を逆転させる制御を一対の駆動部13に対して行う。これにより、往路部及び帰路部の一方から他方への各自走式ステップ6の移動が円滑に行われる。
【0064】
上部機械室4には、図1に示すように、運転制御装置8が設けられている。運転制御装置8は、各自走式ステップ6のステップ制御部と無線通信を行うことにより、エスカレータ全体の運転の制御を行う。例えば、運転制御装置8は、エスカレータの起動及び停止の制御、エスカレータにおける上昇運転及び下降運転の切り替えの制御などを行う。
【0065】
各自走式ステップ6では、不図示のワイヤレス充電器がステップ本体11に設けられている。トラス1には、不図示の非接触式給電装置が設けられている。ワイヤレス充電器は、自走式ステップ6がステップ移動経路を一周して元の位置に戻るまでの間に非接触式給電装置の位置を通過する。各自走式ステップ6では、ワイヤレス充電器が非接触式給電装置の位置を通過することにより、非接触式給電装置からワイヤレス充電器への給電が非接触で行われる。各自走式ステップ6では、ワイヤレス充電器に供給された電力によって、一対の駆動部13が駆動力を発生する。
【0066】
トラス1には、一対の欄干9が設けられている。一対の欄干9は、トラス1の幅方向において互いに対向している。一対の欄干9のそれぞれには、無端状の移動手摺10が支持されている。
【0067】
トラス1の内部には、不図示の手摺駆動装置が設けられている。手摺駆動装置は、各移動手摺10を移動させる駆動力を発生する。手摺駆動装置は、運転制御装置8によって制御される。各移動手摺10は、運転制御装置8の制御により、往路部を移動する各自走式ステップ6と同期して欄干9の外周部を移動する。
【0068】
次に、動作について説明する。各自走式ステップ6は、運転制御装置8の制御により、一対の駆動ガイドレール7及び一対の追従ガイドレールのそれぞれに案内されながらステップ移動経路を個別に移動する。
【0069】
ステップ移動経路の往路部では、複数の自走式ステップ6が連結した状態で各自走式ステップ6が連続して移動する。ステップ移動経路の上部反転部、帰路部及び下部反転部では、各自走式ステップ6同士の連結が外れた状態で各自走式ステップ6が互いに分離して移動する。
【0070】
エスカレータの運転が上昇運転である場合、各自走式ステップ6は、往路部、上部反転部、帰路部、下部反転部の順に進んで往路部に戻る循環移動を繰り返す。
【0071】
往路部の下部水平部では、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に衝突することにより、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに機械的に連結する。
【0072】
この後、上段側の自走式ステップ6及び下段側の自走式ステップ6が下部水平部から傾斜部に順次移動すると、各連結部12が各ガイド部111bをスライドしながら、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に対して下方へスライドする。これにより、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じる。
【0073】
この後、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、各自走式ステップ6が傾斜部を上部水平部に向かって移動する。
【0074】
この後、上段側の自走式ステップ6及び下段側の自走式ステップ6が傾斜部から上部水平部に順次移動すると、各連結部12が各ガイド部111bをスライドしながら、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に対して上方へスライドする。これにより、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に生じた段差がなくなる。
【0075】
この後、上段側の自走式ステップ6及び下段側の自走式ステップ6が上部水平部から上部反転部に順次移動すると、各自走式ステップ6の姿勢が反転する。これにより、各連結部12が各ガイド部111bから外れる。各連結部12が各ガイド部111bから外れると、各自走式ステップ6が互いに分離して移動可能になる。
【0076】
この後、各自走式ステップ6は、上部反転部から、帰路部及び下部反転部の順に個別に移動する。この後、各自走式ステップ6は、下部反転部から往路部の下部水平部に戻る。この後、往路部の下部水平部では、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに再度連結する。
【0077】
エスカレータの運転が下降運転である場合、各自走式ステップ6は、往路部、下部反転部、帰路部、上部反転部の順に進んで往路部に戻る循環移動を繰り返す。
【0078】
往路部の上部水平部では、上段側の自走式ステップ6が下段側の自走式ステップ6に衝突することにより、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに機械的に連結する。
【0079】
この後、下段側の自走式ステップ6及び上段側の自走式ステップ6が上部水平部から傾斜部に順次移動すると、各連結部12が各ガイド部111bをスライドしながら、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に対して下方へスライドする。これにより、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じる。
【0080】
この後、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、各自走式ステップ6が傾斜部を下部水平部に向かって移動する。
【0081】
この後、下段側の自走式ステップ6及び上段側の自走式ステップ6が傾斜部から下部水平部に順次移動すると、各連結部12が各ガイド部111bをスライドしながら、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に対して上方へスライドする。これにより、各連結部12が各ガイド部111bに連結した状態を維持しながら、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に生じた段差がなくなる。
【0082】
この後、下段側の自走式ステップ6及び上段側の自走式ステップ6が下部水平部から下部反転部に順次移動すると、各自走式ステップ6の姿勢が反転する。これにより、各連結部12が各ガイド部111bから外れる。各連結部12が各ガイド部111bから外れると、各自走式ステップ6が互いに分離して移動可能になる。
【0083】
この後、各自走式ステップ6は、下部反転部から、帰路部及び上部反転部の順に個別に移動する。この後、各自走式ステップ6は、上部反転部から往路部の上部水平部に戻る。この後、往路部の上部水平部では、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに再度連結する。
【0084】
このようなエスカレータでは、往路部において、下段側の自走式ステップ6における各連結部12が上段側の自走式ステップ6におけるステップ本体11に機械的に連結可能になっている。このため、往路部を移動する複数の自走式ステップ6が互いに離れてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0085】
また、帰路部では、各連結部12がステップ本体11から外れることにより、各自走式ステップ6が互いに分離して移動可能になる。このため、帰路部において複数の自走式ステップ6を連結する場合と比べて、帰路部に存在する自走式ステップ6の数を少なくすることができる。
【0086】
また、各自走式ステップ6は、自走式ステップ6が有する各駆動部13の駆動力によってステップ移動経路を個別に移動する。即ち、各自走式ステップ6は、ステップ移動経路を個別に自走する。このため、複数の自走式ステップ6を互いに連結するステップチェーンを不要にすることができる。これにより、エスカレータのメンテナンス費用を低減することができる。
【0087】
また、下段側の自走式ステップ6における各連結部12は、上段側の自走式ステップ6における各ガイド部111bに機械的に連結可能になっている。さらに、各連結部12が各ガイド部111bに連結している状態では、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じる方向へ各連結部12が各ガイド部111bをスライド可能になっている。このため、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6に機械的に連結した状態を維持しながら、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間で段差を生じさせたり段差をなくしたりすることができる。
【0088】
また、ライザ113には、一対のスリット114が設けられている。さらに、各連結部12が各ガイド部111bに連結している状態では、下段側の自走式ステップ6における連結部12が上段側の自走式ステップ6における各スリット114に通されている。このため、各連結部12は、ライザ113に阻害されずに各ガイド部111bに機械的に連結することができる。また、各連結部12は、スリット114を移動しながら、各ガイド部111bをスライドすることができる。これにより、各連結部12は、ライザ113に阻害されずに各ガイド部111bをスライドすることができる。
【0089】
また、スリット114は、連結部12の着脱部122が通過可能な挿入部114aと、挿入部114aからガイド部111bに沿って延びているスリット本体部114bとを有している。さらに、スリット本体部114bの幅は、着脱部122の幅よりも小さくなっており、かつ、連結部12の固定部121の幅よりも大きくなっている。このため、下段側の自走式ステップ6と上段側の自走式ステップ6との間に段差が生じる場合に、固定部121がスリット本体部114bに通された状態で着脱部122をガイド部111bに連結させることができる。これにより、着脱部122がガイド部111bから意図せず外れてしまった場合でも、着脱部122がスリット本体部114bの位置でライザ113に掛かるようにすることができ、下段側の自走式ステップ6が上段側の自走式ステップ6から外れないようにすることができる。
【0090】
また、固定部121に対する着脱部122の角度は、変化可能になっている。このため、ガイド部111bに対する連結部12のスライドによって固定部121に対するガイド部111bの角度が変化した場合でも、固定部121に対する着脱部122の角度を調整することができる。これにより、ガイド部111bに対して連結部12をより円滑にスライドさせることができる。
【0091】
また、着脱部122は、弾性変形可能な一対の対向部122aを有している。このため、ガイド部111bが一対の対向部122aの間隔を押し広げながら一対の対向部122aの間に入るようにすることができる。これにより、連結部12の構成を簡単にすることができるとともに、ガイド部111bに連結部12をより確実に連結させることができる。
【0092】
なお、上記の実施の形態では、1つの自走式ステップ6に含まれる連結部12の数が2つとなっている。しかし、1つの自走式ステップ6に含まれる連結部12の数を1つとしてもよいし、3つ以上としてもよい。この場合、各自走式ステップ6では、ガイド部111b及びスリット114のそれぞれの数が連結部12の数と同じとなる。また、各自走式ステップ6では、ガイド部111b及びスリット114のそれぞれの位置が自走式ステップ6の幅方向において連結部12の位置と同位置となる。
【0093】
また、上記の実施の形態では、弾性変形可能な一対の対向部122aの間にガイド部111bが入ることにより、着脱部122がガイド部111bに機械的に連結するようになっている。しかし、着脱部122の構成は、これに限定されない。例えば、着脱部122を電磁石とし、ガイド部111bに着脱部122を電磁力によって着脱可能としてもよい。
【0094】
また、各自走式ステップ6において、ステップ制御部が自走式ステップ6の位置に応じて着脱部122の動作を制御するようにしてもよい。この場合、各自走式ステップ6は、自走式ステップ6が下部水平部に存在するか否かを検出する下部水平用センサと、自走式ステップ6が上部水平部に存在するか否かを検出する上部水平用センサとを有する。また、ステップ制御部は、エスカレータの運転情報と、下部水平用センサ及び上部水平用センサのそれぞれからの情報とに基づいて、着脱部122の動作を制御する。着脱部122は、ガイド部111bを把持する把持動作と、ガイド部111bの把持を解除する解除動作とを行う。これにより、エスカレータの運転が上昇運転である場合、自走式ステップ6が下部水平部を移動するときに着脱部122が把持動作を行い、自走式ステップ6が上部水平部を移動するときに着脱部122が解除動作を行う。また、エスカレータの運転が下降運転である場合、自走式ステップ6が上部水平部を移動するときに着脱部122が把持動作を行い、自走式ステップ6が下部水平部を移動するときに着脱部122が解除動作を行う。
【0095】
また、上記の実施の形態では、乗客コンベアがエスカレータとされている。しかし、乗客コンベアは、動く歩道であってもよい。この場合、往路部において互いに隣り合う2つの自走式ステップ6の間で段差が生じないため、連結部12がガイド部111bをスライド可能になっていなくてもよい。従って、連結部12は、ステップ本体11におけるガイド部111b以外の部分に機械的に連結可能になっていてもよい。また、この場合、各自走式ステップ6にはライザ113及びスリット114がなくてもよい。
【0096】
以上、上記の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0097】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
トラスと、
前記トラスに支持されており、無端状のステップ移動経路を移動する複数の自走式ステップと
を備え、
各前記自走式ステップは、ステップ本体と、前記ステップ本体に設けられている駆動部と、前記ステップ本体に設けられている連結部とを有しており、
前記自走式ステップは、前記自走式ステップが有する前記駆動部の駆動力によって前記ステップ移動経路を移動し、
前記ステップ移動経路の往路部では、互いに隣り合う2つの前記自走式ステップのうち、一方の自走式ステップにおける前記連結部が他方の自走式ステップにおける前記ステップ本体に機械的に連結可能になっており、
前記ステップ移動経路の帰路部では、前記連結部が前記ステップ本体から外れることにより、各前記自走式ステップが互いに分離して移動可能になる乗客コンベア。
(付記2)
前記往路部は、前記一方の自走式ステップと前記他方の自走式ステップとの間に段差が生じる傾斜部を有しており、
前記傾斜部では、前記一方の自走式ステップが下段側の自走式ステップとなるとともに、前記他方の自走式ステップが上段側の自走式ステップとなり、
前記ステップ本体は、フレームと、前記フレームに設けられている踏板とを有しており、
前記フレームは、ガイド部を有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記連結部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に機械的に連結可能になっており、
前記連結部が前記ガイド部に連結している状態では、前記下段側の自走式ステップと前記上段側の自走式ステップとの間に前記段差が生じる方向へ前記連結部が前記ガイド部をスライド可能になっている付記1に記載の乗客コンベア。
(付記3)
前記ステップ本体は、前記踏板に設けられている板状のライザを有しており、
前記ライザには、前記ライザを貫通するスリットが前記ガイド部に対応して設けられており、
前記連結部が前記ガイド部に連結している状態では、前記下段側の自走式ステップにおける前記連結部が前記上段側の自走式ステップにおける前記スリットに通されている付記2に記載の乗客コンベア。
(付記4)
前記連結部は、前記ステップ本体に固定されている固定部と、前記固定部に取り付けられている着脱部とを有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記着脱部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に着脱可能になっており、
前記スリットは、前記着脱部が通過可能な挿入部と、前記挿入部から前記ガイド部に沿って延びているスリット本体部とを有しており、
前記スリット本体部の幅は、前記着脱部の幅よりも小さくなっており、かつ、前記固定部の幅よりも大きくなっている付記3に記載の乗客コンベア。
(付記5)
前記連結部は、前記ステップ本体に固定されている固定部と、前記固定部に取り付けられている着脱部とを有しており、
前記下段側の自走式ステップにおける前記着脱部は、前記上段側の自走式ステップにおける前記ガイド部に着脱可能になっており、
前記固定部に対する前記着脱部の角度は、変化可能になっている付記2又は付記3に記載の乗客コンベア。
(付記6)
前記着脱部は、互いに対向している一対の対向部と、前記一対の対向部を繋いでいる繋ぎ部とを有しており、
前記一対の対向部のそれぞれは、弾性変形可能になっており、
前記ガイド部が前記一対の対向部の間隔を押し広げながら前記一対の対向部の間に入ることにより、前記着脱部が前記ガイド部に機械的に連結される付記4又は付記5に記載の乗客コンベア。
【符号の説明】
【0098】
1 トラス、6 自走式ステップ、11 ステップ本体、12 連結部、13 駆動部、111 フレーム、111b ガイド部、112 踏板、113 ライザ、114 スリット、114a 挿入部、114b スリット本体部、121 固定部、122 着脱部、122a 対向部、122b 繋ぎ部。
【要約】
【課題】ステップ移動経路の往路部を移動する複数の自走式ステップが互いに離れてしまうことをより確実に抑制することができる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗客コンベアにおいて、各自走式ステップ6は、ステップ本体11と、連結部12と、駆動部13とを有している。自走式ステップ6は、自走式ステップ6が有する駆動部13の駆動力によってステップ移動経路を移動する。ステップ移動経路の往路部では、互いに隣り合う2つの自走式ステップ6のうち、一方の自走式ステップ6における連結部12が他方の自走式ステップ6におけるステップ本体11に機械的に連結可能になっている。ステップ移動経路の帰路部では、連結部12がステップ本体11から外れることにより、各自走式ステップ6が互いに分離して移動可能になる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10