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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】昇降機稼働情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20231208BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023500131
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005634
(87)【国際公開番号】W WO2022176003
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 航
(72)【発明者】
【氏名】大塚 憲治
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅幸
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231850(JP,A)
【文献】特開2006-199487(JP,A)
【文献】特開2006-182533(JP,A)
【文献】特開2006-056677(JP,A)
【文献】特開2011-132017(JP,A)
【文献】国際公開第2007/037175(WO,A1)
【文献】特開2013-175049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一サイトに設置された複数の昇降機を制御する1つ又は複数の制御盤から、前記昇降機で定められた期間毎に、前記昇降機の稼働情報を収集する収集部と、
前記収集部が収集した稼働情報を予め定められた間隔の稼働情報に変換するデータ変換部と、
前記データ変換部が変換した稼働情報を基に、前記サイトの平均呼び継続時間とホール乗降人数との少なくとも一方を含む昇降機利用情報を表示用に出力する出力部と、を備える
昇降機稼働情報表示システム。
【請求項2】
前記変換部は、前記サイトのフロア単位で稼働情報を変換し、
前記出力部は、フロア単位に変換された稼働情報を時系列に出力する
請求項1に記載の昇降機稼働情報表示システム。
【請求項3】
前記出力部は、複数のフロアについて稼働情報を表示可能であり、第1のフロアの稼働情報表示期間を変更したとき、第2のフロアの稼働情報表示期間も第1のフロアの表示期間と同じ期間に変更する
請求項2に記載の昇降機稼働情報表示システム。
【請求項4】
前記収集部は、複数のサイトに設置された昇降機の稼働情報を収集可能に構成され、
前記変換部は、サイト単位に稼働情報を変換し、
前記出力部は、サイト単位に変換された稼働情報を時系列に出力する
請求項1に記載の昇降機稼働情報表示システム。
【請求項5】
前記出力部が出力する情報は、複数のサイトについての稼働情報を同時又は切り替えで表示可能であり、第1のサイトの稼働情報表示期間を変更したとき、第2のサイトの稼働情報表示期間も第1のサイトの稼働情報表示期間と同じ期間に変更する
請求項4に記載の昇降機稼働情報表示システム。
【請求項6】
前記出力部が出力する稼働情報は、前記フロア又は前記サイトを使用するテナントに対応付けて出力される
請求項2又は請求項5に記載の昇降機稼働情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降機稼働情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のビルや商業施設には、多数のエレベーターが設置されている。通常、ビルに設置された複数台のエレベーターは、群管理制御盤により一括して管理されている。また、各エレベーターの群管理制御盤の制御による運行状態は、ビル内の防災センタで監視される。さらに、群管理制御盤による各エレベーターの運行状態は、エレベーターのベンダが設置した監視センタでも遠隔監視されている。
【0003】
群管理制御盤は、エレベーター設置台数や設置状況によって、1つのビル内に複数配置される場合がある。例えば、高層ビルの場合、1階から高層階まで昇降する高層階用エレベーターと、低層階だけを昇降する低層階用エレベーターとで、それぞれ別の群管理制御盤で制御することがある。1つのビル内の複数台のエレベーターは、全て同じベンダが製造したものを設置する場合もあるが、群管理制御盤が制御するエレベーター毎に、別のベンダのものを設置することも多々ある。
【0004】
群管理制御盤は、ベンダ毎に仕様が異なり、同じベンダであっても、機種によっては仕様が相違する。1つのビルに仕様の異なる複数の群管理制御盤が設置されている場合、防災センタに設置されたエレベーターの監視装置についても、それぞれの仕様に対応したものが個別に用意される。したがって、監視業務を行う者は、複数の監視装置を使って監視を行う必要が生じている。
【0005】
特許文献1には、機種の異なるエレベーターの稼働・診断データを、変換プログラムを用いて変換した後、データベースに格納することにより、複数の機種のエレベーターの保守用の診断を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-231850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、群管理制御盤で得られるエレベーターの稼働状況のデータは、様々な制御や解析に役立つことがわかっている。例えば、ビル内のエレベーターの稼働状況のデータからは、ビル内の各階の人の流れを把握して、ビル内の空調などの設備を適正に制御することができる。また、ビル内のエレベーターの稼働状況を解析することで、各階に入居している店舗などのテナントが、同じ業種の他の店舗に比べて利用者が多いか少ないか等の繁忙状況を判断することができる。
【0008】
このようにエレベーターの稼働状況のデータは、利用価値が高いデータであるが、従来、高度な利用が行われているとは言えない状況であった。すなわち、群管理制御盤は、背景技術の欄で述べたように、ベンダや機種によって仕様が異なり、ベンダが異なるエレベーターからのデータを収集することは行われていない。
【0009】
ここで、例えば、特許文献1には、機種の異なるエレベーターの稼働・診断データを、変換プログラムを用いて変換して、一括して複数のエレベーターの保守用の診断を行うことが提案されている。保守用の診断に必要な稼働データとしては、例えば巻上機の稼働時間やドアの開閉回数、ブレーキの作動状況などのエレベーターの運行に直接関係した稼働データである。
【0010】
一方、エレベーターの稼働状況からビル内の人の流れやテナントの繁忙状況などを判断するためには、保守に必要な稼働状況とは異なる、より高度な稼働状況のデータを集める必要がある。
しかしながら、従来、機種やベンダが異なる群管理制御盤では、それぞれが収集するデータ形式が全く異なり、多種類の群管理制御盤からのデータを収集して、人の流れなどのビル内の状況の詳細を解析することは行われておらず、実現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、例えば請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、昇降機稼働情報表示システムとして、同一サイトに設置された複数の昇降機を制御する1つ又は複数の制御盤から、昇降機で定められた期間毎に、昇降機の稼働情報を収集する収集部と、収集した稼働情報を予め定められた間隔の稼働情報に変換するデータ変換部と、データ変換部が変換した稼働情報を基に、サイトの平均呼び継続時間とホール乗降人数との少なくとも一方を含む昇降機利用情報を表示用に出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ビルなどのサイトに設置された複数の昇降機の稼働情報を基に、サイトの平均呼び継続時間とホール乗降人数との少なくとも一方を表示することで、サイトが有効に活用されているかなどが分かるようになる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態例によるシステム全体の概要を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例によるデータの流れの概念を示す図である。
図3】本発明の一実施の形態例によるシステムの全体構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施の形態例による中継サーバの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態例による群管理制御盤と中継サーバの処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施の形態例によるプラットフォームサーバとユーザ端末での処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施の形態例によるサイト情報テーブルの例を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態例による変換ルールテーブルの例を示す図である。
図9】本発明の一実施の形態例による運行データのデータベースの例を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態例によるフロア比較画面の例を示す図である。
図11】本発明の一実施の形態例によるサイト比較画面の例を示す図である。
図12】本発明の一実施の形態例による解析結果の表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態例の昇降機稼働情報表示システムを、添付図面を参照して説明する。
【0015】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態例の昇降機稼働情報表示システムの概略構成を示す。
図1に示すシステムは、複数のビル100-1,100-2,・・・に設置された昇降機であるエレベーター111,112,113,・・・の稼働情報を表示するシステムである。それぞれのビル100-1,100-2,・・・には複数台のエレベーターが設置され、ビルに設置された群管理制御盤200-1,200-2,200-3,・・・により群管理される。
図1では、Aビル100-1とBビル100-2を備えた構成として説明するが、実際には、より多数のビルや群管理制御盤から構成される。また、以下の説明では、ビルなどのエレベーターが設置された箇所をサイトと称する場合もある。
【0016】
Aビル100-1には、第1群管理制御盤200-1が設置され、第1群管理制御盤200-1に内蔵されたエレベーター制御部210-1が、Aビル100-1内の3台のエレベーター111,112,113を群管理する。
また、Bビル100-2には、第2群管理制御盤200-2と第3群管理制御盤200-3が設置され、2台の群管理制御盤200-2,200-3で、Bビル100-2内の5台のエレベーター114~118が群管理される。第2群管理制御盤200-2では、エレベーター制御部210-2が、3台のエレベーター114,115,116を群管理する。第3群管理制御盤200-3では、エレベーター制御部210-3が、2台のエレベーター117,118を群管理する。
【0017】
なお、エレベーターの群管理では、通常、複数台のエレベーターの運行を集中して適正に管理して、各階の乗り場の呼びボタンが押されてからの時間である呼び継続時間を均等化するなどの処理が行われるが、本実施の形態例での群管理は、このような高度な群管理を行うものには限定されない。すなわち、本実施の形態例における群管理は、複数台のエレベーターの運行を1つの制御盤で制御するものであれば、どのような管理形態のものであってもよい。但し、それぞれの群管理制御盤200-1~200-3は、少なくとも群管理しているエレベーターの稼働情報である運行データを収集する機能を有する。なお、エレベーターの稼働情報(運行データ)の詳細については後述する。
また、それぞれのエレベーター111~118及び群管理制御盤200-1~200-3は、機種やベンダ(製造メーカ)が異なるものが混在していてもよい。
エレベーター111~118や群管理制御盤200-1~200-3の機種やベンダが異なる場合、それぞれの群管理制御盤200-1~200-3がエレベーター111~118の運行データを収集する際のデータ種類、データ形式、データ収集間隔は一定ではない。また、群管理制御盤200-1~200-3が収集したデータを外部に送信する周期についても、機種やベンダが異なる場合、一定ではない。
【0018】
各ビル100-1,100-2の群管理制御盤200-1~200-3は、ベンダごとに設置された不図示の監視センタと通信を行い、故障の発生やかご内の閉じ込めの発生などを監視センタが監視している。また、群管理制御盤200-1~200-3での制御状態は、各ビル100-1,100-2に設置された防災センタでも監視が可能である。
そして、本実施の形態例のシステムの群管理制御盤200-1~200-3は、ベンダごとの監視センタやビルごとの防災センタとは別に設置した中継サーバ300と、ネットワーク900を介して通信を行う。
【0019】
中継サーバ300は、運行データ収集部321とデータ変換部322とを備える。運行データ収集部321は、群管理制御盤200-1~200-3からエレベーターの運行データを収集する。データ変換部322は、運行データ収集部321が収集した運行データを、統一した形式のデータに変換する。
【0020】
中継サーバ300で統一した形式に変換された運行データは、ネットワーク900を介してプラットフォームサーバ400に送られ、プラットフォームサーバ400の運行データデータベース412に蓄積される。プラットフォームサーバ400では、蓄積した運行データが解析される。なお、図面では、プラットフォームはPF、データベースはDBと記載している。
【0021】
プラットフォームサーバ400の運行データデータベース412に蓄積された運行データや解析結果は、ネットワーク900を介してユーザ端末500に送られ、ユーザ端末500により表示される。ユーザ端末500は、本実施の形態例のシステムを利用する業者の端末である。本実施の形態例のシステムを利用する業者としては、例えばAビル100-1とBビル100-2を管理しているデベロッパや不動産業者が想定される。
なお、図1では、データを伝送するネットワーク900は、1つのネットワークとして記載したが、それぞれのデータ伝送処理ごとに別のネットワークを使用してもよい。
【0022】
図2は、複数の群管理制御盤200-1~200-Nから、中継サーバ300を経由してプラットフォームサーバ400に運行データが集められる流れの概念を示す。ここでは、N台(Nは2以上の任意の整数:以下「N」の意味は同じ)の群管理制御盤200-1~200-Nを用意した例とする。
図2に示すように、各群管理制御盤200-1~200-Nは、それぞれの機種ごとに設定された条件や周期で、随時、中継サーバ300に運行データを送信する。
中継サーバ300では、受信した運行データを統一した形式の運行データに変換し、変換された運行データをプラットフォームサーバ400に送信する。
【0023】
図3は、本実施の形態例の昇降機稼働情報表示システムの、より詳細なシステム構成を示す。図3は、複数のビル100-1~100-N内の構成をまとめて示したものである。
図3では、N個のビル100-1~100-Nのいずれかに設置された複数の群管理制御盤200-1~200-Nから、中継サーバ300がエレベーターの稼働情報を収集する。ここで、中継サーバ300は、変換ルールテーブル325を備え、各群管理制御盤200-1~200-Nから収集した稼働情報を、統一した形式の稼働情報に変換する。
【0024】
中継サーバ300で統一した形式の情報に変換された稼働情報は、中継サーバ300に接続されたエッジ処理端末390を介して、ネットワーク900に送り出され、ネットワーク900に接続されたプラットフォームサーバ400に送られる。
プラットフォームサーバ400は、サイト情報テーブル411と運行データデータベース412とを備える。
サイト情報テーブル411には、サイトである各ビルに設置された群管理制御盤200-1~200-Nについての情報が保存される。運行データデータベース412には、中継サーバ300から取得した運行データと、運行データの解析結果が保存される。
【0025】
プラットフォームサーバ400では、運行データデータベース412に保存された運行データとその解析結果に基づいて、ビルなどのサイトの状況を表示するためのデータが生成され、生成された表示用のデータは、ネットワーク900を介してユーザ端末500に伝送される。
【0026】
ユーザ端末500は、表示部501と入力部502とを備える。入力部502は、ネットワーク900を介して受信した表示用のデータの入力処理を行う。表示部501は、入力部502で入力処理が行われた表示用のデータによる表示処理を行う。
【0027】
[中継サーバの構成]
図4は、中継サーバ300の構成を示す図である。
図4に示すように、中継サーバ300は、情報処理装置として構成され、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)310と、主記憶装置320と、外部記憶装置330と、入出力部340とを備える。
【0028】
CPU310は、主記憶装置320に格納されたプログラムを実行することで、主記憶装置320内の処理部を形成する。
主記憶装置320内に形成される処理部としては、運行データ収集部321、データ変換部322、サイト情報記憶部324が含まれる。サイト情報記憶部324には、変換ルールテーブル325が格納される。
また、外部記憶装置330には、変換済データ格納部331が形成される。
【0029】
入出力部340は、群管理制御盤200-1~200-Nからの運行データなど入力処理と、変換済データ格納部331に格納された変換済データのプラットフォームサーバ400への出力処理を実行する。
【0030】
[群管理制御盤と中継サーバとの間での処理の流れ]
図5は、各群管理制御盤200-1~200-Nでのエレベーターの運行データの収集と、中継サーバ300での運行データの処理の流れを示すフローチャートである。
まず、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nは、各群管理制御盤200-1~200-Nで群管理しているエレベーターの稼働情報である運行データを収集する(ステップS11)。群管理制御盤200-1~200-Nが収集する運行データの具体例については後述するが、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nは、エレベーターの運行についての様々なデータを収集する。
【0031】
各群管理制御盤200-1~200-Nが収集した運行データは、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nの記憶部に蓄積される。なお、各群管理制御盤200-1~200-Nの形式やベンダが異なる場合、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nでデータを収集する周期などのデータ収集条件は一定でない。
【0032】
そして、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nは、蓄積した運行データの送信要求が中継サーバ300からあるか否かを判断する(ステップS12)。このステップS12で、送信要求を受信した場合には(ステップS12のYES)、群管理制御盤200-1~200-Nは、蓄積した運行データを中継サーバ300に送信する(ステップS13)。このとき、群管理制御盤200-1~200-Nは、蓄積した全ての運行データを送信してもよいが、本実施の形態例のシステムが必要とする種類の運行データだけを送信してもよい。
また、ステップS12で送信要求を受信していない場合(ステップS12のNo)、並びにステップS13で運行データを送信した後に、それぞれの群管理制御盤200-1~200-Nは、ステップS11の運行データ収集処理に戻る。
【0033】
次に、中継サーバ300での処理について説明する。
まず、中継サーバ300は、前回運行データを受信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS21)。このステップS21で、前回運行データを受信してから所定時間が経過していないと判断したとき(ステップS21のNO)、中継サーバ300は待機する。
【0034】
また、ステップS21で、前回運行データを受信してから所定時間が経過したと判断したとき(ステップS21のYES)、中継サーバ300はそれぞれの群管理制御盤200-1~200-Nに、運行データの送信要求を行う(ステップS22)。
そして、中継サーバ300は、送信要求後に受信した運行データについて、そのデータで示されるエレベーターが設置されたビル、エレベーター設置位置を示すバンク、エレベーターの機種を特定する(ステップS23)。特定したビル、バンク、機種の情報は、運行データに付加されて運行データ収集部321に記憶される。
【0035】
そして、中継サーバ300のデータ変換部322は、データ収集部321に記憶された運行データを、それぞれの機種ごとの変換ルールに基づいて、統一した形式の運行データに変換する(ステップS24)。この変換時に、データ変換部322は、変換ルールテーブル325に記憶された変換ルールを使用する。変換された運行データは、外部記憶装置330の変換済データ格納部331に格納される(ステップS25)。
【0036】
その後、中継サーバ300は、変換済データ格納部331に格納された運行データの指定されたエリア(特定のビルやフロア)のエレベーターの稼働データを、エッジ処理端末390に送信する(ステップS26)。エッジ処理端末390に送信されたエレベーターの稼働データは、プラットフォームサーバ400に送信される。その後、ステップS26の処理が終了すると、中継サーバ300は、ステップS21の判断処理に戻る。
【0037】
[プラットフォームサーバでの処理の流れ]
図6は、プラットフォームサーバ400での処理の流れを示すフローチャートである。
プラットフォームサーバ400が蓄積した運行データについての処理は、ユーザ端末500からの指示で行われる。すなわち、ユーザ端末500は、運行データを表示するビル、フロア及び日時を、そのユーザ端末500を使用するユーザの操作で受け付ける(ステップS41)。ここでは、図1に示すAビル100-1の各フロアの特定の期間が指定されたとする。
【0038】
ユーザの操作を受け付けたユーザ端末500は、該当するAビル100-1の各フロアの特定の期間の運行データの送信要求を、プラットフォームサーバ400に対して行う(ステップS42)。
この送信要求を受信したプラットフォームサーバ400は、指定された運行データを蓄積したデータから検索する(ステップS31)。そして、プラットフォームサーバ400は、検索されたBビル100-2の運行データをユーザ端末500に送信する(ステップS32)。この運行データには、プラットフォームサーバ400が行った運行データの解析結果を含むようにしてもよい。
ユーザ端末500は、送信された運行データを受信すると、受信したAビル100-1の各フロアの運行データを表示する(ステップS43)。
【0039】
その後、ユーザ端末500は、別のビル、例えばBビル100-2とフロアの指定を、そのユーザ端末500を使用するユーザの操作で受け付ける(ステップS44)。
ユーザの操作を受け付けたユーザ端末500は、該当するBビル100-2の各フロアの特定の期間の運行データの送信要求を、プラットフォームサーバ400に対して行う(ステップS45)。この期間は、例えばステップS42で指定した期間と同じとする。
【0040】
この送信要求を受信したプラットフォームサーバ400は、指定された運行データを蓄積したデータから検索する(ステップS33)。そして、プラットフォームサーバ400は、検索されたBビル100-2の運行データをユーザ端末500に送信する(ステップS34)。ここでの運行データについても、プラットフォームサーバ400が行った運行データの解析結果を含むようにしてもよい。
ユーザ端末500は、送信された運行データを受信すると、受信したBビル100-2の各フロアの運行データを表示する(ステップS46)。
【0041】
その後、ユーザ端末500では、ユーザの操作により表示日時の変更を受け付けたとする(ステップS47)。
このとき、変更された表示日時に基づいて、Aビル100-1とBビル100-2の各フロアの変更された期間の運行データの送信要求を、プラットフォームサーバ400に対して行う(ステップS48)。ここでは、例えば1つのビルの運行データを表示した状態で、その表示中のビルの1つのフロアについての表示日時の変更を受け付けたとき、プラットフォームサーバ400は、同じビルの他のフロアの表示日時についても、同じ表示日時に変更する処理を行う。あるいは、複数のビルの運行データを表示した状態で、その表示中の1つのビル又はフロアについての表示日時の変更を受け付けたとき、プラットフォームサーバ400は、表示中の全てのビルの各フロアの表示日時についても、同じ表示日時に変更する処理を行う。
【0042】
この送信要求を受信したプラットフォームサーバ400は、指定された運行データを蓄積したデータから検索する(ステップS35)。そして、プラットフォームサーバ400は、検索されたAビル100-1とBビル100-2の運行データをユーザ端末500に送信する(ステップS36)。
ユーザ端末500は、送信された運行データを受信すると、受信した日付が変更されたAビル100-1とBビル100-2の各フロアの運行データを表示する(ステップS49)。
【0043】
[プラットフォームサーバが収集するデータとユーザ端末での表示例]
次に、中継サーバ300を経由してプラットフォームサーバ400が収集する運行データと、ユーザ端末500での運行データの表示例について説明する。
【0044】
図7は、中継サーバ300のサイト情報記憶部324が記憶するサイト情報テーブルの例を示す。
サイト情報テーブルには、本実施の形態例の昇降機稼働情報表示システムが扱う各ビル(サイト)に設置されたエレベーターについてのデータが記録される。
すなわち、図7に示すように、サイト情報テーブルは、ビル名、バンク、形式、ベンダ、登録日、及び変換ルールの欄を備える。
ビル名の欄には、「Aビル」、「Bビル」、「Cビル」などのサイト(ビル)の名称が記載される。
【0045】
バンクの欄には、群管理制御盤の区別が記載される。例えば、一つのビルで複数の群管理制御盤を有する場合、「制御盤1」、「制御盤2」などのように複数の群管理制御盤を特定する情報が記載される。
また、図7に示す「Zビル」のように、1つのビルで高階層と低階層とで群管理制御盤が分けられている場合には、バンクの欄に、「低階層1」や「高階層1」などの階層ごとの群管理制御盤を特定する情報が記載される。
【0046】
形式の欄には、それぞれの群管理制御盤により制御されるエレベーターのモデルの形式番号が記載される。
ベンダの欄には、それぞれの群管理制御盤を製造したメーカである、ベンダ名が記載される。
登録日の欄には、それぞれの群管理制御盤により制御されるエレベーターを登録した日付(年月日)が記載される。
変換ルールの欄には、それぞれの群管理制御盤から収集した運行データを変換するルール番号が記載される。
【0047】
図8は、中継サーバ300のサイト情報記憶部324に記憶された変換ルールテーブル325の構成を示す。
変換ルールテーブル325には、中継サーバ300が通信を行う群管理制御盤200-1~200-Nから収集した運行データを変換するのに必要な変換ルールの詳細が記憶される。
【0048】
変換ルールテーブル325は、ルール番号、データ取得感覚、取得開始時刻、項目個数、及び各項目の詳細の欄を有する。
ルール番号の欄には、ルール毎に付与された識別用の番号が記載される。このルール番号は、図7に示したサイト情報テーブルのルール番号に対応する。
【0049】
取得間隔の欄には、そのルールで運行データを取得する間隔が記載される。図8の例では、取得間隔は分で示される。例えば、ルール1として、15分間隔で運行データを取得することが記載される。
取得開始時刻の欄には、毎日の運行データの取得を開始する時刻が記載される。図8の例では、例えばルール1として、午前8時が示される。
項目個数の欄には、運行データとして取得するデータの合計の個数が記載される。図8の例では、例えばルール1として、データ個数が5個、ルール2として、データ個数が4個、のように記載される。
【0050】
取得項目1,2,3,・・・の欄には、それぞれの取得項目の詳細が記載される。この取得項目の欄は、項目個数の欄で示されたデータ個数だけ設けられる。
図8の例では、例えばルール1として、取得項目1が、1階の乗車人数、取得項目2が、1階のホールのかご呼びボタンが押されてからかごが到着するまでの1階呼び継続時間、取得項目3が、2階の乗車人数、のように記載される。ここでの乗車人数は、データ取得間隔として決められた期間の乗車人数の累積値、あるいは、1回の乗りかごの乗車人数の平均など、それぞれのルールに基づいた値としている。呼び継続時間についても、1回の呼び継続時間の平均値や最大値など、それぞれのルールに基づいた値としている。
また、それぞれの取得項目1,2,3,・・・には、取得データ内の該当項目のデータが記載された位置(列)を示すカラム番号が示される。
【0051】
中継サーバ300は、このようにそれぞれのルールで取得した運行データを、統一した形式のデータに変換する処理が行われる。例えば、中継サーバ300のデータ変換部322は、15分間隔などルール毎に異なる間隔の人数データを、60分間隔での各階の乗車人数に変換したり、呼び継続時間を60分ごとの呼び継続時間の平均や最大値に変換する処理を行う。
【0052】
図9は、プラットフォームサーバ400の運行データデータベース412が記憶する運行データの例を示す。
図9の例は、Aビルの1階から9階までの各階での、午前10時から午前11時までの1時間の累計の乗車人数と降車人数を示す。また、図9の例では、Aビルの各階のテナント名が記載され、各フロアとテナント情報とが紐付けられる。テナント名は、該当階に複数のテナントが入居している場合、複数のテナント名を記載してもよい。あるいは、代表となる1つのテナント名を記載してもよい。テナント名の欄には、業種などの詳細を記載してもよい。なお、1階などのテナントが入居していないロビー階は、エントランスと記載される。
また、図9の例は、フロアごとに別のテナントが入居した例として、フロアとテナント名とを紐付けた情報としたが、1つのビルに1つのテナントが入居している場合には、ビル情報にテナント名を付加して、ビル(サイト)とテナントとが紐付けられた情報としてもよい。
【0053】
図9では、1つのビル(Aビル)の情報を示すが、プラットフォームサーバ400が収集する運行データは、中継サーバ300で統一した形式に変換したデータであるため、いずれのビルの運行データについても、同じ形式でのデータになる。すなわち、Aビル以外のビルについても、1時間ごとの各階の乗車人数、降車人数が示される。
また、図9の例では、呼び継続時間を示していないが、呼び継続時間についても、各階で同じ時間内での平均又は最大の呼び継続時間が示される。
また、図9の例の場合、プラットフォームサーバ400での解析で何らかの告知する情報がある場合、解析情報の欄に印が付与される。
【0054】
図10及び図11は、ユーザ端末500でのエレベーターの運行データの表示例を示す。
図10の表示例は、1つのビル内の各階の平均呼び継続時間と、各階の乗降人数について、指定した時間内の変化を、上りと下りで区別して示す。
図10の例では、表示範囲の選択として、低層階、高層階などのビル内の種別を選べるようにしている。
図10では、折れ線グラフで各階の平均呼び継続時間の変化状態を示すと共に、数値の一覧でも各階の平均呼び継続時間を示す。
また、図10では、各階のホール乗降人数の変化を、上りと下りで区別して、折れ線グラフと数値の一覧で示す。
【0055】
なお、表示するデータは、年単位、月単位、週単位、日単位、時間単位、曜日単位などを選択することができる。また、平日のみのデータ、土日祝のみのデータのように、カレンダに合わせた選択もできる。
また、図10に示すように、運行データをグラフで時系列に表示する範囲は、例えばいずれかのフロアについて表示範囲を指定したとき、他のフロアについても連動して同じ表示範囲となる処理が行われる。これにより、ユーザ端末500を操作するユーザは、フロアごとの表示範囲の変更が簡単に行えるようになる。
【0056】
図11の表示例は、複数のビルについての、各階の平均呼び継続時間と、各階の乗降人数について、指定した時間内の変化を、上りと下りで区別して一括して示す。図11の例では、AビルとBビルとCビルの3つのビルを表示するように選択した例である。
図11では、折れ線グラフで各ビルの平均呼び継続時間の変化状態を示すと共に、数値の一覧でも各ビルの平均呼び継続時間を示す。
【0057】
図11の複数のビルを一括して表示する場合にも、表示するデータは、年単位、月単位、週単位、日単位、時間単位、曜日単位などを選択することができる。また、平日のみのデータ、土日祝のみのデータのように、カレンダに合わせた選択もできる。
【0058】
なお、複数のビルを一括して表示する際には、平均呼び継続時間や乗降人数は、ビル全体での平均呼び継続時間や、各階での乗降人数を合算した値とした場合と、ビル内での各階での平均呼び継続時間や、各階での乗降人数に切替えることができる。
また、図11に示すように、運行データをグラフで時系列に表示する範囲は、例えばいずれかのビルについて表示範囲を指定したとき、他のフロアについても連動して同じ表示範囲となる処理が行われる。これにより、ユーザ端末500を操作するユーザは、ビルごとの表示範囲の変更が簡単に行えるようになる。
【0059】
図12は、図9に示した告知する情報がある場合に、その告知情報を選択した際の、プラットフォームサーバ400での解析結果のユーザ端末500での表示例を示す。
図12は、Aビルの3階を選択した場合を示す。
図12の例では、過去1ヶ月の来客数が、フロア面積当たりの同じ業種のテナントの平均の130%であることを示している。
【0060】
このとき、同じ階の数ヶ月間の来客数の増加状況や減少傾向を表示してもよい。また、同じ業種の平均などを表示してもよい。
例えば、Aビルを管理している業者が、この表示を確認したとき、該当するテナントの来客数が同業種の平均よりも多いことがわかる。このような場合、Aビルを管理している業者は、このテナントに対して、より床面積が広い別のビルやフロアへの移転を勧めることが可能になる。
【0061】
図12の例は、来客数が増加した場合の例であるが、逆に来客数が減少した傾向を検出した場合にも、解析結果をユーザ端末500が表示してもよい。来客数が減少した傾向を表示することで、Aビルを管理している業者は、このテナントに対して、床面積が小さい別のビルやフロアへの移転を勧めることが可能になる。
【0062】
このように、本実施の形態例の昇降機稼働情報表示システムによると、各サイトに設置されたエレベーターについての運行データから、各サイトでの人の移動状況を集計することができ、サイト内の各フロアの繁忙状況などを表示できるようになる。したがって、各サイトを管理する業者にとっては、各テナントが適切な運営状態であるか、他のビルやフロアに移る可能性があるか等がわかるようになる。特に、複数のサイトや複数の階を比較して表示できるため、特定のビル内での傾向だけでなく、業種や地域での傾向がわかり、適切な判断ができるようになる。
【0063】
<変形例>
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上述した実施の形態例では、中継サーバ300が各群管理制御盤から収集した運行データを、統一した形式の運行データに変換して、その変換されたデータをプラットフォームサーバ400に送るようにした。これに対して、中継サーバ300を省略して、プラットフォームサーバ400が直接、各群管理制御盤から運行データを収集して、収集した運行データを統一した形式の運行データに変換してもよい。逆に、それぞれのビルが中継サーバ300を備えて、群管理制御盤で得た運行データをビル内で変換してから、プラットフォームサーバ400に送信するようにしてもよい。
【0064】
また、中継サーバ300やプラットフォームサーバ400が収集する運行データについても、上述した実施の形態例では各階の乗降人数と呼び継続時間を示したが、その他のエレベーターの稼働情報としてもよい。例えば、各階のエレベーターホールの人数や、乗りかご内の人数を備えたエレベーターの場合、これらの稼働情報を収集してもよい。また、図10図11では、各ビルや各階の乗降人数と呼び継続時間の双方を示すようにしたが、乗降人数と呼び継続時間のいずれか一方を収集して表示してもよい。
さらに、上述した実施の形態では、昇降機の一例として、エレベーターの稼働情報(運行データ)を収集するようにしたが、エスカレーター等のその他の昇降機の稼働情報を収集してもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態例では、プラットフォームサーバ400が稼働情報の解析を行うようにしたが、プラットフォームサーバ400ではデータの収集と、その収集データのユーザ端末500での表示のための出力を行い、稼働情報の解析については、ユーザ端末500が行ってもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
さらに、上述した実施の形態例において、本発明の主旨を変えない範囲内で、装置又はシステム構成の変更や、一部の処理手順の省略や入れ替えを行ってもよい。
また、装置やシステムをプログラムの実行で構成した場合のプログラム等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
【0067】
さらに、図1図4などのブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0068】
101-1,100-2…ビル(サイト)、111~118…エレベーター、200-1,200-2,200-3…群管理制御盤、210-1,210-2,210-3…エレベーター制御部、300…中継サーバ、310…CPU(中央制御ユニット)、320…主記憶装置、321…運行データ収集部、322…データ変換部、324…サイト情報記憶部、325…変換ルールテーブル、330…外部記憶装置、331…変換済データ格納部、340…入出力部、400…プラットフォームサーバ、411…サイト情報テーブル、412…運行データデータベース、500…モニタ端末、501…表示部、502…入力部
図1
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図10
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図12