(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
G01F1/684 A
(21)【出願番号】P 2023510186
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2021032484
(87)【国際公開番号】W WO2022208931
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2021054696
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファティン ファハナー ビンティ ハリダン
(72)【発明者】
【氏名】伊集院 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】余語 孝之
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-041815(JP,A)
【文献】特開2013-195231(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流量を測定する流量測定装置であって、
前記流量測定装置は、チップパッケージを有しており、
前記チップパッケージは、
ダイヤフラムを有した流量測定素子と、
前記流量測定素子が実装されたリードフレームと、
前記流量測定素子と前記リードフレームとの間に配置され、前記流量測定素子と前記リードフレームとに接合された金属製の中間部材と、
前記ダイヤフラムが露出した状態で前記流量測定素子と前記リードフレームの一部とを封止する樹脂封止体と、を備え、
前記ダイヤフラムの表面と直交する方向から視た前記チップパッケージの平面視において、前記中間部材の周縁は、前記樹脂封止体で封止されており、
前記中間部材には、前記平面視において、前記流量測定素子が搭載された領域から外れた位置において
、前記周縁よりも内側で開口した開口部が形成されており、
前記開口部には、前記樹脂封止体の樹脂が充填されて
おり、
前記チップパッケージには、前記流量測定素子に電気的に接続された集積回路を備え、
前記集積回路は、前記中間部材を介して前記リードフレームに実装されており、
前記中間部材のうち、前記流量測定素子が搭載された領域を第1領域とし、前記集積回路が搭載された領域を第2領域としたときに、前記第1領域と前記第2領域との間に、前記開口部が形成されており、
前記開口部は、前記第1領域を両側から挟み込むように延在した部分を有している、流量測定装置。
【請求項2】
前記中間部材は、前記流量測定素子を構成する材料の線膨張係数と、前記リードフレームを構成する材料の線膨張係数との中間の線膨張係数を有した材料からなる、請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記平面視において、前記リードフレームの周縁よりも内側に、前記中間部材が配置されている、請求項1に記載の流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関の吸入空気の流量を測定する流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1には、リードフレームと、リードフレームに搭載された半導体チップと、半導体チップの流量検出部を露出するように半導体チップを覆う樹脂と、を備えた流量測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の流量測定装置において、たとえば、半導体チップに相当する流量測定素子とリードフレームとの間に、たとえば、その用途に応じて、金属製の中間部材を配置した場合、中間部材も樹脂に相当する樹脂封止体に覆われることになる。樹脂封止体の樹脂は、中間部材の金属とは線膨張係数が異なるため、流量測定装置に作用する温度変化によっては、これらが剥離するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、流量測定素子とリードフレームとの間に配置された中間部材と、樹脂封止体との剥離を抑えることができる流量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の流量測定装置は、空気の流量を測定する流量測定装置であって、前記流量測定装置は、チップパッケージを有しており、前記チップパッケージは、ダイヤフラムを有した流量測定素子と、前記流量測定素子が実装されたリードフレームと、前記流量測定素子と前記リードフレームとの間に配置され、前記流量測定素子と前記リードフレームとに接合された金属製の中間部材と、前記ダイヤフラムが露出した状態で前記流量測定素子と前記リードフレームの一部とを封止する樹脂封止体と、を備え、前記ダイヤフラムの表面と直交する方向から視た前記チップパッケージの平面視において、前記中間部材の周縁は、前記樹脂封止体で封止されており、前記中間部材には、前記平面視において、前記流量測定素子が搭載された領域から外れた位置において、前記周縁から内側に凹んだ凹み部、または、前記周縁よりも内側で開口した開口部が形成されており、前記凹み部または前記開口部には、前記樹脂封止体の樹脂が充填されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流量測定素子とリードフレームとの間に配置された中間部材と、樹脂封止体との剥離を抑えることができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】内燃機関制御システムに本発明に係る物理量検出装置を使用した一実施例を示すシステム図。
【
図10】
図2に示す物理量検出装置のカバーを取り外した状態を示す図。
【
図11】
図10に示す物理量検出装置から回路基板を取り外した状態を示す図。
【
図12】
図4に示す物理量検出装置の開口窓を樹脂部材で封止する前の状態を示す図。
【
図16】チップパッケージを流量測定素子側(検出面側)から視た平面図。
【
図18】チップパッケージを流量測定素子の裏側(非検出面側)から視た平面図。
【
図21】
図17に示すチップパッケージの変形例1に係る模式的平面図。
【
図22】
図17に示すチップパッケージの変形例2に係る模式的平面図。
【
図23】
図17に示すチップパッケージの変形例3に係る模式的平面図。
【
図24】
図17に示すチップパッケージの変形例4に係る模式的平面図。
【
図25】
図17に示すチップパッケージの変形例5に係る模式的平面図。
【
図27】
図19に示すチップパッケージの変形例6に係る模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する、発明を実施するための形態(以下、実施例)は、実際の製品として要望されている種々の課題を解決しており、特に車両の吸入空気の物理量を検出する検出装置として使用するために望ましい色々な課題を解決し、種々の効果を奏している。下記実施例が解決している色々な課題の内の一つが、上述した発明が解決しようとする課題の欄に記載した内容であり、また下記実施例が奏する種々の効果のうちの1つが、発明の効果の欄に記載された効果である。下記実施例が解決している色々な課題について、さらに下記実施例により奏される種々の効果について、下記実施例の説明の中で述べる。従って、下記実施例の中で述べる、実施例が解決している課題や効果は、発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄の内容以外の内容についても記載されている。
【0010】
以下の実施例で、同一の参照符号は、図番が異なっていても同一の構成を示しており、同じ作用効果を成す。既に説明済みの構成については、図に参照符号のみを付し、説明を省略する場合がある。
【0011】
図1は、電子燃料噴射方式の内燃機関制御システム1に、本実施形態に係る物理量検出装置を使用した一実施例を示す、システム図である。エンジンシリンダ11とエンジンピストン12を備える内燃機関10の動作に基づき、吸入空気が被計測気体2としてエアクリーナ21から吸入され、主通路22である例えば吸気ボディと、スロットルボディ23と、吸気マニホールド24を介してエンジンシリンダ11の燃焼室に導かれる。燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体2の物理量は、物理量検出装置20で検出され、その検出された物理量に基づいて燃料噴射弁14より燃料が供給され、被計測気体2と共に混合気の状態で燃焼室に導かれる。なお、本実施例では、燃料噴射弁14は内燃機関の吸気ポートに設けられ、吸気ポートに噴射された燃料が被計測気体2と共に混合気を成形し、吸気弁15を介して燃焼室に導かれ、燃焼して機械エネルギを発生する。
【0012】
燃焼室に導かれた燃料および空気は、燃料と空気の混合状態を成しており、点火プラグ13の火花着火により、爆発的に燃焼し、機械エネルギを発生する。燃焼後の気体は排気弁16から排気管に導かれ、排気ガス3として排気管から車外に排出される。前記燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体2の流量は、アクセルペダルの操作に基づいてその開度が変化するスロットルバルブ25により制御される。前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量に基づいて燃料供給量が制御され、運転者はスロットルバルブ25の開度を制御して前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量を制御することにより、内燃機関が発生する機械エネルギを制御することができる。
【0013】
エアクリーナ21から取り込まれ主通路22を流れる吸入空気である被計測気体2の流量、温度、湿度、圧力などの物理量が物理量検出装置20により検出され、物理量検出装置20から吸入空気の物理量を表す電気信号が制御装置4に入力される。また、スロットルバルブ25の開度を計測するスロットル角度センサ26の出力が制御装置4に入力され、さらに内燃機関のエンジンピストン12や吸気弁15や排気弁16の位置や状態、さらに内燃機関の回転速度を計測するために、回転角度センサ17の出力が、制御装置4に入力される。排気ガス3の状態から燃料量と空気量との混合比の状態を計測するために、酸素センサ28の出力が制御装置4に入力される。
【0014】
制御装置4は、物理量検出装置20の出力である吸入空気の物理量と、回転角度センサ17の出力に基づき計測された内燃機関の回転速度とに基づいて、燃料噴射量や点火時期を演算する。これら演算結果に基づいて、燃料噴射弁14から供給される燃料量、また点火プラグ13により点火される点火時期が制御される。燃料供給量や点火時期は、実際にはさらに物理量検出装置20で検出される温度やスロットル角度の変化状態、エンジン回転速度の変化状態、酸素センサ28で計測された空燃比の状態に基づいて、きめ細かく制御されている。制御装置4は、さらに内燃機関のアイドル運転状態において、スロットルバルブ25をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ27により制御し、アイドル運転状態での内燃機関の回転速度を制御する。
【0015】
内燃機関の主要な制御量である燃料供給量や点火時期はいずれも物理量検出装置20の出力を主パラメータとして演算される。従って、物理量検出装置20の検出精度の向上や、経時変化の抑制、信頼性の向上が、車両の制御精度の向上や信頼性の確保に関して重要である。
【0016】
特に近年、車両の省燃費に関する要望が非常に高く、また排気ガス浄化に関する要望が非常に高い。これらの要望に応えるには、物理量検出装置20により検出される吸入空気の物理量の検出精度の向上が極めて重要である。また、物理量検出装置20が高い信頼性を維持していることも大切である。
【0017】
物理量検出装置20が搭載される車両は、温度や湿度の変化が大きい環境で使用される。物理量検出装置20は、その使用環境における温度や湿度の変化への対応や、塵埃や汚染物質などへの対応も、考慮されていることが望ましい。
【0018】
また、物理量検出装置20は、内燃機関からの発熱の影響を受ける吸気管に装着される。このため、内燃機関の発熱が吸気管を介して物理量検出装置20に伝わる。物理量検出装置20は、被計測気体と熱伝達を行うことにより被計測気体の流量を検出するので、外部からの熱の影響をできるだけ抑制することが重要である。
【0019】
車に搭載される物理量検出装置20は、以下で説明するように、単に発明が解決しようとする課題の欄に記載された課題を解決し、発明の効果の欄に記載された効果を奏するのみでなく、以下で説明するように、上述した色々な課題を十分に考慮し、製品として求められている色々な課題を解決し、色々な効果を奏している。物理量検出装置20が解決する具体的な課題や奏する具体的な効果は、以下の実施例の記載の中で説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図2から
図7は、物理量検出装置の外観を示す図である。以下の説明では、主通路22の中心軸22Aに沿って被計測気体2が流れるものとする。本実施形態の物理量検出装置20は、被計測気体2の物理量の一つである流量を計測する流量計測装置としての機能も含むものである。
【0021】
物理量検出装置20は、主通路22の通路壁に設けられた取り付け孔から主通路22の内部に挿入して主通路22に固定された状態で使用される。物理量検出装置20は、被計測気体が流れる主通路22に配置される筐体を備えている。物理量検出装置20の筐体は、ハウジング100と、ハウジング100に取り付けられるカバー200を有している。ハウジング100は、例えば合成樹脂製材料を射出成形することによって構成されている。
【0022】
カバー200は、例えば金属材料や合成樹脂製材料からなる板状部材によって構成されており、本実施形態では、アルミニウム合金あるいは合成樹脂製材料の射出成形品によって構成されている。カバー200は、
図2に示すように、ハウジング100の正面を全面的に覆う大きさを有している。
【0023】
ハウジング100は、物理量検出装置20を主通路22である吸気ボディに固定するためのフランジ111と、フランジ111から突出して外部機器との電気的な接続を行うために吸気ボディから外部に露出するコネクタ112と、フランジ111から主通路22の中心に向かって突出するように延びる計測部113を有している。
【0024】
計測部113は、主通路22に設けられた取り付け孔から内部に挿入され、物理量検出装置20のフランジ111が主通路22に当接され、ねじで主通路22に固定される。
【0025】
計測部113は、フランジ111から真っ直ぐ延びる薄くて長い形状を成し、幅広な正面121と背面122、及び幅狭な一対の側面123、124を有している。計測部113は、物理量検出装置20を主通路22に取り付けた状態で、主通路22の内壁から主通路22の通路中心に向かって突出する。そして、正面121と背面122が主通路22の中心軸22Aに沿って平行に配置され、計測部113の幅狭な側面123、124のうち計測部113の長手方向一方側の側面123が主通路22の上流側(エアクリーナ側)に対向配置され、計測部113の短手方向他方側の側面124が主通路22の下流側(エンジン側)に対向配置される。
【0026】
本実施形態では、物理量検出装置20を主通路22に取り付けた状態で、計測部113の基端部が上側に配置され、計測部113の先端部が下側に配置される。そして計測部113の先端部に下面125を有する。ただし、物理量検出装置20が使用される姿勢状態は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の姿勢状態とすることができ、例えば計測部113の基端部と先端部とが同じ高さとなるように水平に取り付けられる姿勢状態であってもよい。
【0027】
以下の説明では、フランジ111から計測部113が延びる方向である計測部113の長手方向の軸をZ軸、計測部113の副通路入口131から第1出口132に向かって延びる方向である計測部113の短手方向の軸をX軸、計測部113の正面121から背面122に向かう方向である計測部113の厚さ方向の軸をY軸と称する場合がある。
【0028】
計測部113は、X軸方向一方側の側面123に副通路入口131が設けられ、X軸方向他方側の側面124に第1出口132及び第2出口133が設けられている。副通路入口131と第1出口132及び第2出口133は、フランジ111から主通路22の中心方向に向かってZ軸方向に延びる計測部113の先端部に設けられている。したがって、主通路22を流れる被計測気体2のうち、主通路22の内壁面から離れた中央部に近い部分の被計測気体2を副通路134に取り込むことができる。このため、物理量検出装置20は、主通路22の内壁面から離れた部分の被計測気体2の流量を測定することができ、熱などの影響による計測精度の低下を抑制できる。
【0029】
計測部113は、計測部113が主通路22の外壁から中央に向かうZ軸に沿って長く伸びる形状を成しているが、側面123、124のY軸方向の幅は、狭い形状を成している。これにより、物理量検出装置20は、被計測気体2に対しては流体抵抗を小さい値に抑えることができる。
【0030】
計測部113は、主通路22に設けられた取り付け孔から内部に挿入され、フランジ111が主通路22に当接され、ねじで主通路22に固定される。フランジ111は、所定の板厚からなる平面視略矩形状を有しており、
図6及び
図7に示すように、対角線上の角部には固定穴部141が対をなして設けられている。固定穴部141は、フランジ111を貫通する貫通孔142を有している。フランジ111は、固定穴部141の貫通孔142に、不図示の固定ネジが挿通されて主通路22のネジ穴に螺入されることにより主通路22に固定される。
【0031】
コネクタ112は、
図5に示すように、その内部に3本の外部端子147と補正用端子148が設けられている。外部端子147は、物理量検出装置20の計測結果である流量や温度などの物理量を出力するための端子および物理量検出装置20が動作するための直流電力を供給するための電源端子である。補正用端子148は、生産された物理量検出装置20の計測を行い、それぞれの物理量検出装置20に関する補正値を求めて、物理量検出装置20内部のメモリに補正値を記憶するのに使用する端子であり、その後の物理量検出装置20の計測動作では上述のメモリに記憶された補正値を表す補正データが使用され、この補正用端子148は使用されない。
【0032】
図8は、
図4のVIII-VIII線断面図、
図9は、
図2のIX-IX線断面図、
図10は、
図2に示す物理量検出装置のカバーを取り外した状態を示す図、
図11は、
図10に示す物理量検出装置から回路基板を取り外した状態を示す図、
図12は、
図4に示す物理量検出装置の開口窓を封止する前の状態を示す図である。
【0033】
ハウジング100の計測部113には、流量検出素子である流量測定素子411と、吸気温度センサ321と、湿度センサ322が設けられている。流量測定素子411は、主通路を流れる被計測気体2の流量を検出する。流量測定素子411は、ダイヤフラム構造を有しており、副通路134の通路途中に配置されている。吸気温度センサ321は、側面123の副通路入口131近傍に一端が開口し、他端が計測部113の正面121と背面の両方に開口する温度検出通路136の通路途中に配置されている。吸気温度センサ321は、主通路を流れる被計測気体2の温度を検出する。湿度センサ322は、計測部113の湿度計測室137に配置されている。湿度センサ322は、計測部113の背面に開口する窓部138から湿度計測室137に取り入れられた被計測気体の湿度を計測する。
【0034】
計測部113には、副通路134を形成するための副通路溝150と、回路基板300を収容するための回路室135が設けられている。回路室135と副通路溝150は、計測部113の正面121に凹設されており、計測部113の正面121にカバー200を取り付けることによって覆われて蓋がされる構造となっている。
【0035】
回路室135は、主通路22において被計測気体2の流れ方向上流側の位置となるX軸方向一方側(側面123側)の領域に設けられている。回路室135には、計測部113をY軸方向に貫通する開口窓135aが設けられている。開口窓135aは、計測部113の背面に開口しており、回路基板300を計測部113に装着した際に、回路基板300の背面を部分的に露出させることができるようになっている。開口窓135aは、回路基板300の背面のうち、少なくともボンディングパッド332を露出させ、計測部113の接続端子331との間を線材333で接続する作業ができるようになっている。開口窓135aは、ボンディングパッド332と接続端子331との間が線材333で接続された後に、エポキシ樹脂などの硬化剤が充填されて完全に閉塞される。
【0036】
副通路溝150は、回路室135よりも計測部113のZ軸方向先端側(下面125側)の領域と、回路室135よりも主通路22における被計測気体2の流れ方向下流側の位置となるX軸方向他方側(側面124側)の領域に亘って設けられている。
【0037】
副通路溝150は、計測部113の正面121を覆うカバー200との協働によって副通路134を形成する。副通路溝150は、第1副通路溝151と、第1副通路溝151の途中で分岐する第2副通路溝152とを有している。第1副通路溝151は、計測部113の一方側の側面123に開口する副通路入口131と、計測部113の他方側の側面124に開口する第1出口132との間に亘って、計測部113のX軸方向に沿って延在するように形成されている。第1副通路溝151は、主通路22内を流れる被計測気体2を副通路入口131から取り込み、その取り込んだ被計測気体2を第1出口132から主通路22に戻す第1副通路1331をカバー200との協働により形成する。第1副通路1331は、副通路入口131から主通路22内における被計測気体2の流れ方向に沿って延在し、第1出口132までつながる流路を有する。
【0038】
第2副通路溝152は、第1副通路溝151の途中位置で分岐して計測部113の基端部側(フランジ側)に向かって屈曲され、計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、計測部113の基端部で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって折れ曲がり、計測部113の先端部に向かってUターンし、再び計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、第1出口132の手前で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって屈曲され、計測部113の側面124に開口する第2出口133に連続するように設けられている。第2出口133は、主通路22における被計測気体2の流れ方向下流側に向かって対向配置される。第2出口133は、第1出口132と比較して若干大きい開口面積を有しており、第1出口132よりも計測部113の長手方向基端部側に隣接した位置に形成されている。
【0039】
第2副通路溝152は、第1副通路1331から分岐されて流れ込んだ被計測気体2を通過させて第2出口133から主通路22に戻す第2副通路1332をカバー200との協働により形成する。第2副通路1332は、計測部113のZ軸方向に沿って往復する流路を有する。つまり、第2副通路1332は、第1副通路1331の途中で分岐して、計測部113の基端部側(第1副通路1331から離れる方向)に向かって延在する往通路部1333と、計測部113の基端部側(往通路部1333の端部)で折り返されてUターンし、計測部113の先端部側(第1副通路1331に接近する方向)に向かって延在する復通路部1334を有している。復通路部1334は、副通路入口131よりも主通路22内における被計測気体2の流れ方向下流側の位置において被計測気体2の流れ方向下流側に向かって開口する第2出口133につながる流路を有する。
【0040】
第2副通路1332は、往通路部1333の途中位置に流量測定素子(流量測定センサチップ)411が配置されている。第2副通路1332は、計測部113の長手方向に沿って延在して往復するように通路が形成されているので、通路長さをより長く確保することができ、主通路内に脈動が生じた場合に、流量測定素子411への影響を小さくすることができる。流量測定素子411は、チップパッケージ400に設けられており、チップパッケージ400は、回路基板300に実装されている。
【0041】
図13は、基板アセンブリの表側を示す図、
図14は、基板アセンブリの裏側を示す図である。
回路基板300は、表側の実装面に、チップパッケージ400、圧力センサ320、吸気温度センサ321、湿度センサ322等の回路部品が実装されており、裏面側の実装面には、チップ抵抗やチップコンデンサなどの回路部品334とボンディングパッド332が設けられている。回路基板300は、平面視で略長方形状を有しており、
図10に示すように、回路基板300の長手方向が計測部113の基端部から先端部に向かって延在し、回路基板300の短手方向が計測部113の側面123から側面124に向かって延在するように計測部113内に配置される。
【0042】
回路基板300は、回路室135内に配置される基板本体301を有しており、温度検出通路136に配置される第1突出部302と、湿度計測室137に配置される第2突出部303と、第2副通路1332の往通路部1333に配置される第3突出部304とがそれぞれ基板本体301から面一に延びるように設けられている。第1突出部302の先端部には、吸気温度センサ321が実装され、第2突出部303には湿度センサ322が実装されている。第3突出部304は、第2副通路1332の往通路部1333においてチップパッケージ400と対向して配置される。回路基板300の第3突出部304は、チップパッケージ400の凹溝404の開放部分を閉塞して第1通路部D1を形成する。また、回路基板300の第3突出部304は、第2副通路溝152の底壁面152aとの間に第2通路部D2を形成する。樹脂封止体401とカバー200との間には、副通路134内を被計測気体が流通可能な閉断面を有する第3通路部D3が形成されている。第3通路部D3は、樹脂封止体401とカバー200との間に第3の空隙を有している。
【0043】
図15は、本実施形態におけるチップパッケージの斜視図、
図16は、チップパッケージを流量測定素子側(検出面側)から視た平面図、
図17は、
図16に示す各部材の配置状態を示す模式的平面図である。
図18は、チップパッケージを流量測定素子の裏側(非検出面側)から視た平面図、
図19は、
図16のXXI-XXI線断面図、
図20は、
図19の要部断面図である。
【0044】
チップパッケージ(センサアセンブリ)400は、流量測定素子(センサチップ)411とLSI(集積回路(半導体チップ))412とリードフレーム413を樹脂でモールド成形したパッケージの構造を有している。流量測定素子411とLSI412は、リードフレーム413に実装されている。流量測定素子411は、流量を検出する部分に相当するダイヤフラム411aを有している。LSI412は、流量測定素子411にワイヤ等を介して電気的に接続されている。チップパッケージ400は、流量測定素子411のダイヤフラム411aが露出するように流量測定素子411を樹脂で封止した樹脂封止体401を備えている。本実施形態では、樹脂封止体401は、樹脂成形体であり、リードフレーム413の一部(接続端子414を除く本体部分)と、LSI412とを樹脂で封止している。チップパッケージ400は、樹脂封止体401の基端部401Aが回路室135内に配置され、樹脂封止体401の先端部401Bが第2副通路溝152に突出して配置される。チップパッケージ400は、固定部によって、回路基板300に電気的に接続され、かつ、機械的に固定される。
【0045】
樹脂封止体401の基端部401Aには、複数本の接続端子414が設けられている。複数の接続端子414は、樹脂封止体401の基端部401Aの幅方向両端部から樹脂封止体401の幅方向(
図15のZ軸)に沿って互いに離反する方向に向かって突出して設けられており、各接続端子414の先端は、基端部401Aの厚さ方向に折曲されて基端部401Aの正面403よりも厚さ方向(
図15のY軸)に突出した位置に配置されている。
【0046】
樹脂封止体401の先端部401Bは、第2副通路1332の往通路部1333内において回路基板300の第3突出部304に対向して配置される。樹脂封止体401の先端部401Bには、凹溝404が形成されている。凹溝404は、樹脂封止体401の先端部401Bの正面403において、樹脂封止体401の先端部401Bの幅方向(
図15のZ軸)に亘って延在するように形成されており、延在する方向の中間位置に流量測定素子411が露出して配置されている。
【0047】
凹溝404は、流量測定素子411から互いに離反する方向に延びる底面405a、405bと、互いに対向する一対の壁面406とを有する。底面405aは、樹脂封止体401の幅方向一方側の端部から流量測定素子411に接近する方向に移行するにしたがって溝深さが漸次浅くなるように傾斜して形成されている。一方、底面405bは、樹脂封止体401の幅方向他方側の端部と流量測定素子411と間において一定の溝深さを有するように平坦に形成されている。一対の壁面406は、樹脂封止体401の幅方向両端部から流量測定素子411に接近する方向に移行するにしたがって漸次互いに接近する絞り形状となっている。
【0048】
チップパッケージ400は、流量測定素子411を封止する樹脂で絞り形状を形成することで、絞りと計測部との位置関係を精度よく構成でき、計測精度が向上するため好ましい。また、計測面と垂直な方向で絞る場合と比べて、計測面と並行な方向で絞ることにより、汚損物を含んだ空気が計測面にガイドされる量が低減されるため、耐汚損性にも優れる。なお、LSI412と流量測定素子411を一体化した構成や、LSI412を回路基板300に固定する構成としてもよい。また、チップパッケージ400は、金属端子を樹脂で封止した樹脂成形体に流量測定素子411を実装した構造であってもよい。チップパッケージ400は、流量測定素子411と流量測定素子411を支持する部材を少なくとも備えている樹脂封止体である。
【0049】
チップパッケージ400は、第2副通路1332の往通路部1333に沿って凹溝404が延在するように配置される。チップパッケージ400は、流量測定素子411が回路基板300の一部である第3突出部304と対向するように配置される。チップパッケージ400は、樹脂封止体401の通路壁314と回路基板300の第3突出部304との間に第1通路部D1が形成されている。第1通路部D1には、第2副通路1332を流れる被計測気体が通過し、流量測定素子411によって被計測気体の流量が検出される。
【0050】
チップパッケージ400は、接続端子414を回路基板300にはんだ付けすることによって回路基板300に固定される。つまり、はんだ付けされた部分が、チップパッケージ400を回路基板300に電気的に接続し、かつ、機械的に固定する固定部を構成する。ただし、チップパッケージ400を回路基板300に固定する固定方法としては、はんだ付けに限定されるものではない。例えば、複数の接続端子をプレスフィット端子によって構成し、これらのプレスフィット端子を回路基板300に穿設されたスルーホールに挿入することによって接続するプレスフィットや、銀ペーストなどの導電性接着剤を塗布して複数の接続端子414を回路基板300の接続パッドに接着して固定する方法を採用してもよい。
【0051】
本実施形態では、
図19および
図20に示すように、チップパッケージ400は、流量測定素子411とリードフレーム413との間に配置された金属製の中間部材408を備えている。本実施形態では、中間部材408は、矩形状の金属板材である。中間部材408は、流量測定素子411とリードフレーム413とに、接着フィルム441、443を介して接合されている。接着フィルム441、443としては、ダイボンディングフィルム等を挙げることができる。
【0052】
中間部材408は、たとえば、流量測定素子411とリードフレーム413との間の線膨張係数の違いにより発生する熱応力を緩衝する部材である。しかしながら、中間部材408は、リードフレーム413との間で、流量測定素子411において、ダイヤフラム411aの裏側に形成された空間と、外気とを連通する流路溝を形成する部材であってもよく、その用途に応じた形状および材料が選定される。
【0053】
本実施形態では、中間部材408が、熱応力を緩衝する部材である場合には、中間部材408は、流量測定素子411を構成する材料の線膨張係数と、リードフレーム413を構成する材料の線膨張係数との中間の線膨張係数(中間の値となる線膨張係数)を有した材料からなる。
【0054】
これにより、使用環境下において、流量測定素子411に対してリードフレーム413が伸びようとしても、中間部材408は、これらの伸び代の中間の伸びとなるため、流量測定素子411またはリードフレーム413の接合部分(接着部分)の剥離を抑えることができる。例えば、流量測定素子411を構成する材料がシリコンであり、フレームが銅合金である場合には、中間部材408には、42アロイが用いられる。42アロイは、鉄にニッケルを配合した合金であり、合金全体に対してニッケルが42質量%含有されている。
【0055】
なお、リードフレーム413には、樹脂封止体401の樹脂との密着性を向上されるために、粗化処理または金などのめっき処理が施されていてもよい。本実施形態では、
図17に示すチップパッケージ400の平面視において、リードフレーム413の周縁413aよりも内側に、中間部材408が配置されている。これにより、中間部材408と樹脂封止体401との接触面積を減らし、リードフレーム413と樹脂封止体401との接触面積を確保することができる。これにより、リードフレーム413と樹脂封止体401との密着性を確保することができる。
【0056】
図16および
図17に示すように、本実施形態では、ダイヤフラム411aの表面と直交する方向から視たチップパッケージ400の平面視において、中間部材408の周縁408aは、樹脂封止体401の樹脂で封止されている。これにより、中間部材408は、樹脂封止体401の内部に封入されるため、中間部材408の周縁408aから、中間部材408の表面に沿って、水等が進入することを防止することができる。さらに、中間部材408は、リードフレーム413よりも、曲げ剛性が高いことが好ましく、たとえば、中間部材408の厚さは、リードフレーム413の厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、中間部材408は、熱変化によるリードフレーム413の変形を抑える支持部材として、作用させることができる。
【0057】
図16および
図17に示すチップパッケージ400の平面視において、中間部材408には、流量測定素子411が搭載された領域(第1領域)R1から外れた位置において、周縁408aよりも内側で開口した開口部431が形成されている。開口部431には、樹脂封止体401の樹脂が充填されている。より具体的には、開口部431が形成された部分は、リードフレーム413の表面が露出しているので、実施形態では、樹脂封止体401の樹脂のうち、開口部431に充填された樹脂が、リードフレーム413の露出した表面に密着している。
【0058】
このように、開口部431に、樹脂封止体401の樹脂が充填することにより、充填された樹脂のアンカ効果により、樹脂封止体401内における中間部材408の変形を抑えることができる。このような結果、中間部材408と、樹脂封止体401と剥離を抑え、これらの間に隙間が形成されることを抑えることができる。さらに、樹脂封止体401の樹脂のうち、開口部431に充填された樹脂が、リードフレーム413の露出した表面に密着しているため、樹脂封止体401とリードフレーム413の密着性を高めることができる。
【0059】
本実施形態ではLSI412も、中間部材408を介してリードフレーム413に実装されている。具体的には、LSI412は、中間部材408に、接着フィルム442を介して接合されている。接着フィルム442としては、ダイボンディングフィルム等を挙げることができる。本実施形態では、LSI412が、中間部材408を介してリードフレーム413に実装されているので、上述した中間部材408のアンカ効果により、中間部材408と樹脂封止体401の剥離ばかりでなく、LSI412と樹脂封止体401との剥離を低減することができる。特に、LSI412の要部もシリコン系の非金属系の材料であるため、中間部材408に上述した材料を選定することにより、使用環境下において、LSI412に対してリードフレーム413が伸びようとしても、中間部材408は、これらの伸び代の中間の伸びとなるため、LSI412またはリードフレーム413の接合部分(接着部分)の剥離を抑えることができる。
【0060】
特に、本実施形態では、
図17に示すように、中間部材408のうち、流量測定素子411が搭載された領域を第1領域R1とし、LSI412が搭載された領域を第2領域R2としたときに、第1領域R1と第2領域R2との間に、開口部431が形成されている。このように、第1領域R1および第2領域R2との間に、開口部431を設け、この開口部431に、樹脂封止体401の樹脂を充填することにより、樹脂封止体401に対する中間部材408の拘束性を高めることができる。
【0061】
ここで、
図17に示すように、流量測定素子411のダイヤフラム411aの裏面には、空間Sが形成されており、本実施形態に係るチップパッケージ400には、この空間Sと外気とを連通する連通通路451が形成されている。
【0062】
具体的には、
図20に示すように、本実施形態では、ダイヤフラム411aの裏面には、中間部材408とリードフレーム413を貫通する貫通孔439が形成されており、リードフレーム413には、流量測定素子411側からLSI412側に向かって、連通通路451の一部を構成する通路溝が形成さている。この通路溝を覆うように、リードフレーム413に、絶縁性のフィルム444が貼着されることにより、連通通路451が形成される。
【0063】
本実施形態では、チップパッケージ400のダイヤフラム411aが露出した面を、正面403とし、その反対面を裏面402としたときに、チップパッケージ400の正面403と裏面402の両面において、樹脂封止体401には、凹部421、422が形成されている。本実施形態では、凹部421、422は、チップパッケージ400の厚さ方向に重なるように形成されている。なお、樹脂封止体401には、チップパッケージ400の裏面402において、流量測定素子411と厚さ方向に重なる位置に、凹部424が形成されている。
【0064】
ここで、貫通孔439を連通通路451の一端としたとき、連通通路451の他端には、外気と通気する貫通孔423が形成されている。本実施形態では、貫通孔423は、樹脂封止体401の凹部422に形成されており、貫通孔423は、フィルム444を貫通している。これにより、連通通路451を、チップパッケージ400の裏面402側の外気に連通することができる。
【0065】
このようにして、流量測定時に、流量測定素子411が加熱され、空間Sの空気が膨張しても、膨張した空気は、連通通路451を介して回路室135を介して、外気に放出することができる。この結果、空間Sの空気の膨張によるダイヤフラム411aの変形を抑えることができる。
【0066】
〔変形例1〕
図21は、
図17に示すチップパッケージの変形例1に係る模式的平面図である。
図17に示す実施形態では、中間部材408に1つの開口部431を形成したが、変形例1では、中間部材408の第1領域R1と第2領域R2との間に、複数の開口部431が形成されている。本実施形態では、開口部431が、3つ形成されている。
【0067】
各開口部431には、樹脂封止体401の樹脂が充填されている。変形例1では、開口部431を複数設けることにより、開口部431同士の間の部分が、補強用のリブとして作用するので、中間部材408の剛性を高めることができるため、チップパッケージ400の信頼性を高めることができる。
【0068】
〔変形例2〕
図22は、
図17に示すチップパッケージの変形例2に係る模式的平面図である。
図17に示す実施形態では、中間部材408を、流量測定素子411からLSI412まで延在させたが、
図22に示すように、中間部材408を凹部421までさらに延在させ、凹部421の底部が露出するように、開口部432をさらに設けてもよい。
【0069】
開口部432の一部(周縁部分)には、樹脂封止体401の樹脂が入り込んでいる。具体的には、本実施形態では、開口部432は矩形状であり、開口部の内部に、凹部421の底部が形成されている。樹脂封止体401の樹脂は、凹部421の底部の周縁と、開口部432の周縁との間の空間に入り込んでいる。本実施形態によれば、第2領域R2を挟んで、2つの開口部431、432の樹脂封止体401の樹脂が入り込んでいるので、樹脂封止体401の樹脂で中間部材408をより確実に拘束することができる。
【0070】
〔変形例3〕
図23は、
図17に示すチップパッケージの変形例3に係る模式的平面図である。
図17に示す実施形態では、中間部材408の第1領域R1と第2領域R2との間に、矩形状の開口部431が形成されていたが、
図23に示すように、中間部材408の第1領域R1と第2領域R2との間に形成した開口部431を、第1領域R1を両側から挟むように、延在させてもよい。
【0071】
本実施形態では、開口部431の延在させた部分にも、樹脂封止体401の樹脂が充填されている。これにより、樹脂封止体401の樹脂は、第1領域R1を両側から挟む位置においても、中間部材408をより確実に拘束することができるため、中間部材408のうち、流量測定素子411が搭載された第1領域を、より確実に拘束することができる。
【0072】
〔変形例4〕
図24は、
図17に示すチップパッケージの変形例4に係る模式的平面図である。
図17に示す実施形態では、中間部材408の第1領域R1と第2領域R2との間に、矩形状の開口部431が形成されていたが、
図24に示すように、中間部材408の第1領域R1と第2領域R2との間に、中間部材408の周縁408aから内側に凹んだ凹み部434を形成してもよい。本実施形態では、中間部材408には、対向する位置に、一対の凹み部434、434が形成されている。これにより、中間部材408は、第1領域R1と第2領域R2の間でくびれた形状になっている。
【0073】
本実施形態では、一対の凹み部434、434に、樹脂封止体401の樹脂が充填されているこの場合であっても、樹脂封止体401の樹脂により、中間部材408を拘束することができるため、樹脂封止体401と中間部材408との界面からの剥離を抑えることがきる。なお、本実施形態では、凹み部434は、第1領域R1と第2領域R2とに形成したが、樹脂封止体401の樹脂により、中間部材408を拘束することができるのであれば、その位置は限定されるものではない。なお、凹み部434に比べて、開口部341の方が、平面視において、すべての方向から中間部材408を拘束することができる。
【0074】
〔変形例5〕
図25は、
図17に示すチップパッケージの変形例5に係る模式的平面図である。
図26は、
図25のXXIV-XXIV線断面図である。
図17に示す実施形態では、中間部材408に、流量測定素子411およびLSI412が搭載されていたが、中間部材408は、流量測定素子411のみを搭載してもよい。中間部材408は、矩形状であり、流量測定素子411が搭載された第1領域R1を両側から挟むように、2つの開口部436、436が形成されている。
【0075】
本実施形態では、2つの開口部436、436にも、樹脂封止体401の樹脂が充填されている。これにより、樹脂封止体401の樹脂は、第1領域R1を両側から挟む位置において、流量測定素子411が搭載された第1領域R1を拘束することができる。
【0076】
〔変形例6〕
図27は、
図19に示すチップパッケージの変形例6に係る模式的断面図である。
図19に示す実施形態では、樹脂封止体401の凹部422に、連通通路451に連通する貫通孔を設けたが、
図27に示すように、樹脂封止体401の凹部421に、貫通孔423を形成してもよい。これにより、連通通路451を、チップパッケージ400の正面403側の外気に連通することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
20・・・物理量検出装置(流量測定装置)、400・・・チップパッケージ、401・・・樹脂封止体、418・・・中間部材、411・・・流量測定素子、411a:ダイヤフラム、412:集積回路、413・・・リードフレーム、431、432、434:凹部、R1・・・第1領域、R2・・・第2領域