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特許7399353加工プログラム生成装置および加工プログラム生成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】加工プログラム生成装置および加工プログラム生成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20231208BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G05B19/4093 E
B23Q15/00 301C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023521406
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2022041240
【審査請求日】2023-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】松原 晋
(72)【発明者】
【氏名】入口 健二
(72)【発明者】
【氏名】金子 弘樹
【審査官】永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/153380(WO,A1)
【文献】特開平11-165239(JP,A)
【文献】特開2020-52823(JP,A)
【文献】特開平10-230436(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082394(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112711871(CN,A)
【文献】特開2021-39657(JP,A)
【文献】特開2020-161069(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18-19/416,
B23Q 15/00-15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御によって被加工物から切削加工品を削り出すための切削加工処理を含む加工プログラムを生成する加工プログラム生成装置であって、
前記切削加工品の製品形状および前記切削加工品の加工前の素材形状に基づいて前記切削加工品を加工する領域を示す加工形状を生成し、前記切削加工品の加工方法および前記加工形状に基づいて前記切削加工品を加工する工具が通過する領域を示す干渉チェック形状を生成し、前記素材形状を工作機械に固定するための取付け具である治具の治具形状および前記干渉チェック形状に基づいて前記工具と前記治具との干渉チェックを行うことで、干渉チェック判定を行い、前記工具と前記治具とが干渉する場合に、前記工具と前記治具とが干渉しないように前記加工プログラムを変更する加工プログラム変更部と、
外部装置から入力される配置済みの前記製品形状、前記素材形状、および前記治具形状を含むアセンブリデータを受け付ける形状入力部と、
を備え、
前記形状入力部は、前記アセンブリデータに含まれる形状とは異なる別製品形状、別素材形状、または別治具形状を受け付けて、前記アセンブリデータに含まれる前記製品形状、前記素材形状、または前記治具形状と差し替える、
ことを特徴とする加工プログラム生成装置。
【請求項2】
前記工具と前記治具とが干渉する場合に、干渉する前記治具形状の領域を加工するための治具加工プログラムを生成する加工プログラム追加部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の加工プログラム生成装置。
【請求項3】
前記治具形状と前記素材形状との複数の取付けパターンを記憶しておき、作業者が選択した取付けパターン、または前記治具形状に応じた取付けパターンで、前記素材形状が前記治具形状に取り付けられるように、前記製品形状、前記素材形状、および前記治具形状を配置する形状配置部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加工プログラム生成装置。
【請求項4】
前記製品形状を記憶する製品形状記憶部と、
前記素材形状を記憶する素材形状記憶部と、
前記治具形状を記憶する治具形状記憶部と、
をさらに備え、
前記製品形状、前記素材形状、および前記治具形状の過去に作成された配置例である複数の形状配置事例の中から、前記製品形状記憶部が記憶した前記製品形状、前記素材形状記憶部が記憶した前記素材形状、および前記治具形状記憶部が記憶した前記治具形状に対応する形状配置事例を選択して作業者に教示する形状配置教示部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加工プログラム生成装置。
【請求項5】
前記製品形状、前記素材形状、および前記治具形状のそれぞれの配置位置と、前記製品形状と、前記素材形状と、前記治具形状とから、前記配置位置に対応するとともに調整対象である第1のパラメータと、前記第1のパラメータの調整に使用されるとともに調整対象外である第2のパラメータとを抽出する配置データ解析部と、
前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータを含むデータセットを用いた学習によって、前記第2のパラメータから前記第1のパラメータを推論するための学習モデルを生成する機械学習部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加工プログラム生成装置。
【請求項6】
数値制御によって被加工物から切削加工品を削り出すための切削加工処理を含む加工プログラムを生成する加工プログラム生成方法であって、
加工プログラム生成装置が、前記切削加工品の製品形状および前記切削加工品の加工前の素材形状に基づいて前記切削加工品を加工する領域を示す加工形状を生成する加工形状生成ステップと、
前記加工プログラム生成装置が、前記切削加工品の加工方法および前記加工形状に基づいて前記切削加工品を加工する工具が通過する領域を示す干渉チェック形状を生成する干渉チェック形状生成ステップと、
前記加工プログラム生成装置が、前記素材形状を工作機械に固定するための取付け具である治具の治具形状および前記干渉チェック形状に基づいて前記工具と前記治具との干渉チェックを行うことで、干渉チェック判定を行う干渉チェック判定ステップと、
前記加工プログラム生成装置が、外部装置から入力される配置済みの前記製品形状、前記素材形状、および前記治具形状を含むアセンブリデータを受け付ける形状受け付けステップと、
前記加工プログラム生成装置が、前記工具と前記治具とが干渉する場合に、前記工具と前記治具とが干渉しないように前記加工プログラムを変更する加工プログラム変更ステップと、
を含み、
前記形状受け付けステップでは、前記加工プログラム生成装置が、前記アセンブリデータに含まれる形状とは異なる別製品形状、別素材形状、または別治具形状を受け付けて、前記アセンブリデータに含まれる前記製品形状、前記素材形状、または前記治具形状と差し替える、
ことを特徴とする加工プログラム生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工プログラムを生成する加工プログラム生成装置および加工プログラム生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数値制御装置によって制御される工作機械では、複雑な形状を精密に加工するために制御対象軸数が増大し構造が複雑になっている。このため、工作機械に対する数値制御対象の処理数が増加し、加工プログラムが複雑化している。この加工プログラムは、工具といった工作機械の要素と、治具といった工作機械の要素とが干渉しないように生成される必要がある。
【0003】
特許文献1に記載の加工装置は、加工対象物を所望の形状に加工するための加工シミュレーションを行うことにより、加工装置の要素間の干渉を検出し、干渉が検出された場合、工具の交換や、工具または工具ホルダの長さの変更等の回避案を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-52823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、加工装置の構造や加工装置の加工機能の制約により、完全に干渉が回避しきれない場合があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、加工装置の構造や加工機能の制約に制限されることなく、干渉を回避することができる加工プログラム生成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の加工プログラム生成装置は、数値制御によって被加工物から切削加工品を削り出すための切削加工処理を含む加工プログラムを生成する加工プログラム生成装置であって、切削加工品の製品形状および切削加工品の加工前の素材形状に基づいて切削加工品を加工する領域を示す加工形状を生成し、切削加工品の加工方法および加工形状に基づいて切削加工品を加工する工具が通過する領域を示す干渉チェック形状を生成し、素材形状を工作機械に固定するための取付け具である治具の治具形状および干渉チェック形状に基づいて工具と治具との干渉チェックを行うことで、干渉チェック判定を行い、工具と治具とが干渉する場合に、工具と治具とが干渉しないように加工プログラムを変更する加工プログラム変更部を備える。また、本開示の加工プログラム生成装置は、外部装置から入力される配置済みの製品形状、素材形状、および治具形状を含むアセンブリデータを受け付ける形状入力部を備える。形状入力部は、アセンブリデータに含まれる形状とは異なる別製品形状、別素材形状、または別治具形状を受け付けて、アセンブリデータに含まれる製品形状、素材形状、または治具形状と差し替える
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる加工プログラム生成装置は、加工装置の構造や加工機能の制約に制限されることなく、干渉を回避することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる数値制御装置の構成を示すブロック図
図2】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置が行う加工プログラム生成処理の手順を示すフローチャート
図3】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の製品形状記憶部が記憶する製品形状データに対応する製品形状の一例を示す斜視図
図4】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の素材形状記憶部が記憶する素材形状データに対応する素材形状の一例を示す斜視図
図5】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の治具形状記憶部が記憶する治具形状データに対応する治具形状の一例を示す斜視図
図6】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が形状配置した、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データの一例を示す斜視図
図7】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム生成部が生成した、面加工形状データおよび穴加工形状データの一例を示す模式図
図8】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム生成部が生成した加工プログラムの加工工程一覧の一例を示す図
図9】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が行う形状配置処理の詳細手順を示すフローチャート
図10】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム生成部が行う治具形状干渉チェック処理の詳細手順を示すフローチャート
図11】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム生成部が生成する干渉チェック形状群の一例を示す斜視図
図12】実施の形態1にかかる機械学習装置が行う学習モデル生成処理の手順を示すフローチャート
図13】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム変更部が行う加工プログラム変更処理の手順を示すフローチャート
図14】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム変更部が行う工具進入方向の変更処理の一例を説明するための斜視図
図15】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム変更部が行う加工方法の変更処理の一例を説明するための斜視図
図16】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム変更部が行う加工形状の変更処理の一例を説明するための斜視図
図17】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム追加部が行う加工プログラム追加処理の手順を示すフローチャート
図18】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム追加部が取得した治具干渉部位形状を説明するための斜視図
図19】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の加工プログラム追加部が追加した治具加工プログラムの加工工程の一例を示す図
図20図19の加工工程で加工される加工形状の一例を示す斜視図
図21】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状入力部が形状入力する処理の詳細手順を示すフローチャート
図22】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状入力部が行う形状入力処理の一例を説明するための斜視図
図23】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が行う各形状の位置を調整する処理の詳細手順を示すフローチャート
図24】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が行う治具形状の位置を調整する処理の詳細手順を示すフローチャート
図25】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が行う形状調整処理の第一例を説明するための斜視図
図26】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置部が行う形状調整処理の第二例を説明するための斜視図
図27】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置が行う形状入力処理および形状調整処理の第一例を説明するための斜視図
図28】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置が行う形状入力処理および形状調整処理の第二例を説明するための斜視図
図29】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置教示部が行う推論を用いた形状配置教示処理の詳細手順を示すフローチャート
図30】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置教示部が行う形状配置教示処理の第一例を説明するための斜視図
図31】実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置の形状配置教示部が行う形状配置教示処理の第二例を説明するための斜視図
図32】加工プログラム生成装置および機械学習装置における実施の形態2の構成であるハードウェア構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態にかかる加工プログラム生成装置および加工プログラム生成方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる数値制御装置100の構成を示すブロック図である。数値制御装置100は、工作機械を数値制御するための加工プログラム(後述する加工プログラム2)を自動作成するとともに、加工プログラム2を用いて不図示の工作機械を制御する装置である。
【0012】
数値制御装置100は、加工プログラム生成装置10と、機械学習装置20と、対話操作処理部30と、指示入力部40と、表示部50と、制御部60とを有する。数値制御装置100は、工作機械に搭載され、または、工作機械に接続されて、加工プログラム2に従って工作機械の動作を数値制御する。ここでは加工プログラム2は、加工対象物を素材の状態から切削加工して切削加工品の製品形状を削り出すために用いられる。工作機械は、例えばマシニングセンタや旋盤や複合旋盤である。以下では、工作機械がマシニングセンタである場合について説明する。
【0013】
なお、図1に示す例では、加工プログラム生成装置10と、機械学習装置20とが、数値制御装置100に搭載されることとしたが、実施の形態1はかかる例に限定されない。例えば、加工プログラム生成装置10および機械学習装置20の少なくとも一方は、数値制御装置100と異なる装置であってもよい。すなわち、加工プログラム生成装置10および機械学習装置20は、数値制御装置100の外部に独立して設けられてもよい。また、加工プログラム生成装置10は、機械学習装置20と異なる装置であってもよい。
【0014】
加工プログラム生成装置10は、数値制御によって被加工物から切削加工品を削り出すための複数の切削加工処理を含む加工プログラム2を生成する装置である。加工プログラム生成装置10は、数値制御装置100の外部から加工プログラム生成装置10に入力される加工形状データに基づいて、加工プログラム2を生成する。加工形状データは、素材形状データと、製品形状データと、治具形状データとを含む。実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、工作機械の要素が治具に干渉するか否かを判定した加工プログラム2を生成する。工作機械の要素は、例えば、工具(加工工具)である。以下の説明では、工作機械の要素が工具である場合について説明するが、工作機械の要素は、工具に限らない。
【0015】
素材形状データは、加工前の加工対象物の形状である素材形状を定義するデータである。製品形状データは、加工後の加工対象物の形状である製品形状を定義するデータである。治具形状データは、工作機械上で加工対象物を固定する取付け具である治具の治具形状を定義するデータである。治具は、例えば、加工対象物を固定する用途では、クランプやバイス(万力)である。素材形状データ、製品形状データ、および治具形状データは、例えばCAD(Computer-Aided Design、キャド)データ1である。
【0016】
加工プログラム生成装置10は、素材形状データ、製品形状データ、および治具形状データを受け付けると、機械学習装置20の推論結果である配置データを使用して、素材形状、製品形状、および治具形状を配置する。配置データは、素材形状データ、製品形状データ、治具形状データの配置位置に関するデータである。
【0017】
加工プログラム生成装置10は、配置データ、すなわち素材形状データ、製品形状データ、および治具形状データの配置位置に基づいて、加工ユニットの情報(以下、加工ユニット情報という)を含んだ加工プログラム2を生成する。
【0018】
加工ユニットは、同一の主軸でかつ同一の工具を用いて連続的な加工が行われる加工単位である。加工ユニット情報は、加工方法の情報を含む加工データと、加工に使用する工具の情報および切削条件の情報を含む工具データと、単一形状からなる加工形状を定義する形状情報を含む形状シーケンスデータとを含んでいる。また、加工ユニット情報は、加工工程のデータである加工工程データを含んでいる。加工工程については後述する。
【0019】
工具の情報には、工具の種類、工具の形状などが含まれている。なお、工具の情報には工具ホルダの情報が含まれていてもよい。工具ホルダの情報には、工具ホルダの種類、工具ホルダの形状などが含まれている。切削条件は、工作機械が加工を行う際の切削速度、回転数、送り量などである。
【0020】
機械学習装置20は、素材形状データと、製品形状データと、治具形状データとを受け付けると、過去に作成された配置例である複数の形状配置事例3で用いられた、素材形状データ、製品形状データ、および治具形状データの配置データに基づいて、使用する学習モデル(機械学習モデル)を生成する。すなわち、機械学習装置20に入力される形状配置事例3は、過去に作成された配置データである。形状配置事例3は、数値制御装置100内で記憶しておいてもよいし、数値制御装置100の外部装置で記憶しておいてもよい。機械学習装置20は、生成した学習モデルを使用して配置データを推論し、推論した結果を加工プログラム生成装置10に送る。
【0021】
対話操作処理部30は、数値制御装置100と作業者との間のインタフェースであるとともに、加工プログラム生成装置10または機械学習装置20と作業者との間のインタフェースでもある。対話操作処理部30は、作業者が指示入力部40を介して入力した指示情報を加工プログラム生成装置10または機械学習装置20に送信する。また、対話操作処理部30は、作業者が指示入力部40を介して入力した指示情報を表示部50に表示する。
【0022】
指示入力部40は、マウス、キーボードなどの入力機器から構成される。指示入力部40は、作業者からの指示情報を受け付けて、対話操作処理部30に指示情報を送信する。
【0023】
表示部50は、液晶モニタなどの表示機器であり、CADデータ1、加工プログラム2、形状配置事例3、作業者が指示入力部40を介して入力した指示情報などを表示する。また、表示部50は、数値制御装置100、加工プログラム生成装置10および機械学習装置20で行われる処理に関する各種の情報を表示することができる。
【0024】
制御部60は、加工プログラム生成装置10が生成した加工プログラム2を用いて工作機械を制御する。
【0025】
加工プログラム生成装置10は、形状入力部11と、製品形状記憶部12と、素材形状記憶部13と、治具形状記憶部14と、形状配置部15と、形状配置教示部16と、加工プログラム生成部17と、加工プログラム変更部18とを有する。加工プログラム変更部18は、加工プログラム追加部19を具備している。
【0026】
アセンブリデータ、製品形状データ、素材形状データ、治具形状データは、数値制御装置100の外部装置から加工プログラム生成装置10へ入力される。アセンブリデータ、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データは、CADデータ1によって構成されている。アセンブリデータは、製品形状データと素材形状データと治具形状データの何れかから構成されている。
【0027】
形状入力部11は、外部装置から入力されるCADデータ1を受け付ける。製品形状データ、素材形状データ、および治具形状は、CADデータ1に限定されず、加工プログラム生成装置10が解釈可能なデータであればよい。
【0028】
製品形状記憶部12は、形状入力部11に入力された製品形状データを記憶する。製品形状データは、切削加工品の仕上がり形状である製品形状のデータと、素材の材質を示す素材情報とを含む。
【0029】
素材形状記憶部13は、形状入力部11に入力された素材形状データを記憶する。素材形状は、加工前の加工対象物の形状である素材形状のデータである。素材形状としては、例えば、製品形状を内包するような円柱形状または直方体形状がある。また、素材形状は、製品形状を必ずしも内包しなくてもよく、製品形状の任意の面を肉厚化した形状、製品形状の穴を削除した形状としてもよい。素材形状データは、素材の材質を示す素材情報を含んでいてもよい。
【0030】
治具形状記憶部14は、形状入力部11に入力された治具形状データを記憶する。治具形状データは、加工前の加工対象物である素材を固定する治具の治具形状のデータである。治具形状は、例えば、円柱形状、直方体形状、または複数の円柱形状を組み合わせた形状、複数の直方体形状を組み合わせた形状、円柱形状と直方体形状とを組み合わせた形状などである。なお、治具形状は、円柱形状または直方体形状でなくてもよく、多角形形状、球形状、円環形状、自由形状などでもよい。
【0031】
形状配置部15は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状と、素材形状記憶部13が記憶した素材形状と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状とを配置する。形状配置部15は、加工後の加工対象物である製品形状を、加工前の加工対象物である素材形状に内包されるように配置し、治具形状を、素材形状を固定する位置に配置する。
【0032】
形状配置部15は、素材形状および製品形状を、必ずしも素材形状が製品形状を内包する位置に配置しなくてもよい。形状配置部15は、治具形状を、素材形状を上から押さえる位置、または素材形状を横から挟む位置に配置してもよく、また素材形状と必ずしも接する位置に配置しなくてもよい。また、製品形状、素材形状、および治具形状の少なくとも1つは、対話操作処理部30を介して、作業者が指示した位置に配置されてもよい。また、形状配置部15は、機械学習装置20で推論された配置データに基づいて製品形状、素材形状、および治具形状を配置してもよい。
【0033】
また、形状配置部15は、治具形状と素材形状との複数の取付けパターンを記憶しておく。取付けパターンは、治具形状と素材形状との配置位置の情報を含んでいる。形状配置部15は、複数の取付けパターンの中から作業者が選択した取付けパターン、または治具形状の形状に応じた取付けパターンで、製品形状と素材形状と治具形状とを配置する。
【0034】
形状配置教示部16は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状と、素材形状記憶部13が記憶した素材形状と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状との何れかから、機械学習装置20で推論された配置データに基づいて、形状配置事例3を選択する。形状配置教示部16は、選択した形状配置事例3を表示部50に表示させることで、表示部50に配置データを表示させる。
【0035】
加工プログラム生成部17は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状と、素材形状記憶部13が記憶した素材形状と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状と、形状配置部15が配置した各形状から、加工プログラム2を生成する。加工プログラム2は、工作機械を数値制御するためのコンピュータプログラムであり、加工方法、工具、切削条件、工具軌道、素材形状、素材の材質等についての情報を含む。
【0036】
加工プログラム変更部18は、加工プログラム生成部17が作成した加工プログラム2対して、作業者の指示に応じて、加工プログラム2を変更する。加工プログラム追加部19は、加工プログラム生成部17が作成した加工プログラム2に対して、作業者の指示に応じて、新たな加工プログラム(後述する治具加工プログラム2A)を追加する。加工プログラム変更部18は、対話操作処理部30を介して作業者の指示を受け付ける。
【0037】
機械学習装置20は、配置データ解析部21と、機械学習部22と、学習モデル記憶部23と、推論部24とを有する。配置データ解析部21は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状と、素材形状記憶部13が記憶した素材形状と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状と、形状配置部15が配置した製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データとから、第1のパラメータおよび第2のパラメータを抽出する。すなわち、配置データ解析部21は、製品形状、素材形状、治具形状、および各形状の配置位置から第1のパラメータおよび第2のパラメータを抽出する。
【0038】
第1のパラメータおよび第2のパラメータは、加工プログラム生成装置10で使用されているパラメータである。第1のパラメータは、加工プログラム生成装置10における調整対象であるパラメータである。第2のパラメータは、加工プログラム2における調整対象外のパラメータであって第1のパラメータの調整に使用されるパラメータである。パラメータの調整とは、パラメータの値を決定することを指す。
【0039】
第1のパラメータの値は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データと、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データと、治具形状記憶部14が記憶した治具形状データとが配置される際に生成される。
【0040】
第1のパラメータは、例えば、形状配置事例3を表すパラメータであり、治具の形状、治具形状の寸法、治具形状の向き、加工テーブル上の治具形状の位置、治具形状に対する素材形状の位置、素材形状に対する製品形状の位置など配置に必要なデータである。
【0041】
また、第1のパラメータは、形状配置された後の、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データのファイル名でもよい。また、第1のパラメータは、形状配置された後の、製品形状、素材形状、および治具形状の画像データや動画データのファイル名でもよい。
【0042】
第2のパラメータは、調整されることのない固定長データである。第2のパラメータは、例えば、素材形状、素材材質、素材形状の寸法、製品形状、製品形状の寸法、治具形状、治具材質、治具形状の寸法などに基づいて生成されるデータである。第2のパラメータは、例えば、素材形状から生成される素材の寸法(高さ、横幅、縦幅など)である。また、第2のパラメータは、製品形状または素材形状の3次元形状の画像データ、3次元形状のボクセルデータ、3次元の格子空間上の内外判定データなどであってもよい。
【0043】
第1のパラメータには、第1のパラメータごとに、第2のパラメータが対応付けられている。第1のパラメータは、第1のパラメータに対応する第2のパラメータに基づいて調整される。配置データ解析部21は、第1のパラメータごとに、抽出する第2のパラメータを決定し、決定した第2のパラメータを抽出する。配置データ解析部21は、抽出した第1のパラメータおよび第2のパラメータを、機械学習部22に入力する。
【0044】
機械学習部22は、抽出された第1のパラメータおよび第2のパラメータを含むデータセットを用いた学習によって、学習モデルを生成する。機械学習部22は、作業者によって設定される第2のパラメータから第1のパラメータの値を推論するための学習モデルを生成する。実施の形態1において、機械学習部22は、学習モデルを生成するための教師あり学習を行う。機械学習部22は、生成した学習モデルを学習モデル記憶部23に入力する。
【0045】
機械学習部22が用いる学習アルゴリズムは、どのようなアルゴリズムであってもよい。機械学習部22が用いる学習アルゴリズムの一例としては、ニューラルネットワークなどが挙げられる。ニューラルネットワークは、多層構造のディープラーニングであってもよい。また、機械学習部22が用いる学習アルゴリズムは、遺伝的プログラミング、帰納論理プログラミング、SVM(Support Vector Machine、サポートベクターマシーン)などであってもよい。機械学習は、ニューラルネットワークの重みまたはバイアスといったパラメータを最適化する処理である。
【0046】
学習モデル記憶部23は、機械学習部22の学習結果である学習モデルを記憶する。学習モデルは、入力される第2のパラメータに対する、最適な第1のパラメータの関係を示している。すなわち、学習モデルは、第2のパラメータから、第2のパラメータに対して最適な第1のパラメータを導出するためのモデルである。
【0047】
推論部24へは、入力データとして、第2のパラメータを含む入力データが入力される。推論部24は、学習モデルを使用して、第2のパラメータから第1のパラメータの値を推論する。推論部24は、学習モデルに第2のパラメータを入力し、学習モデルから推論結果である第1のパラメータの値を出力させる。推論部24は、推論結果を加工プログラム生成部17へ送る。すなわち、推論部24は、加工プログラム生成部17から送られてくる第2のパラメータに対して、推論結果である第1のパラメータを、加工プログラム生成部17に返す。推論部24は、推論結果として、第1のパラメータの値を加工プログラム生成部17に出力する。
【0048】
次に、数値制御装置100の動作について説明する。数値制御装置100の動作は、加工プログラム生成装置10が行う加工プログラム生成処理と、機械学習装置20が行う学習モデル生成処理と、機械学習装置20が行う推論処理とを含む。
【0049】
図2は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10が行う加工プログラム生成処理の手順を示すフローチャートである。加工プログラム生成装置10は、機械学習装置20の学習結果である学習モデルを用いて推論した推論結果を使用して、製品形状と素材形状と治具形状とを配置した加工プログラム2を生成する。
【0050】
ステップS1において、形状入力部11は、図示しない記憶領域から、製品形状のCADデータ1を読み込み、製品形状のCADデータ1を製品形状データとして製品形状記憶部12に記憶させる。
【0051】
ステップS2において、素材形状記憶部13は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データに基づいて素材形状を生成し、素材形状データとして記憶する。なお、形状入力部11が、図示しない記憶領域から、素材形状のCADデータ1を読み込んだ場合、素材形状記憶部13は、形状入力部11が読み込んだ素材形状のCADデータ1を素材形状データとして記憶する。
【0052】
ステップS3において、治具形状記憶部14は、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データと、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データとに基づいて治具形状を生成し、治具形状データとして記憶する。なお、形状入力部11が、図示しない記憶領域から、治具形状のCADデータ1を読み込んだ場合、治具形状記憶部14は、形状入力部11が読み込んだ治具形状のCADデータ1を治具形状データとして記憶する。
【0053】
図3は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の製品形状記憶部12が記憶する製品形状データに対応する製品形状の一例を示す斜視図である。図4は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の素材形状記憶部13が記憶する素材形状データに対応する素材形状の一例を示す斜視図である。図5は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の治具形状記憶部14が記憶する治具形状データに対応する治具形状の一例を示す斜視図である。図3では、製品形状の例である製品形状SA1を示し、図4では、素材形状の例である素材形状SB2を示し、図5では、治具形状の例である治具形状SC3を示している。
【0054】
ステップS4において、形状配置部15は、製品形状、素材形状、および治具形状の各形状を配置する。すなわち、ステップS4において、形状配置部15は、製品形状、素材形状、および治具形状の配置データを生成する。換言すると、形状配置部15は、製品形状の配置位置、素材形状の配置位置、および治具形状の配置位置を示す配置データを生成する。
【0055】
具体的には、形状配置部15は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データと、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データと、治具形状記憶部14が記憶した治具形状データとに基づいて、第2のパラメータを抽出する。形状配置部15は、製品形状および素材形状の配置データと、治具形状および素材形状の配置データと、治具形状および加工テーブルの配置データとを第1のパラメータに設定する。形状配置部15は、抽出した第2のパラメータおよび設定した第1のパラメータを、機械学習装置20の推論部24に送り、推論部24に第1のパラメータを推論させる。すなわち、形状配置部15は、抽出した第2のパラメータに対応する第1のパラメータを推論部24に推論させる。形状配置部15は、第1のパラメータを推論部24に推論させることによって、配置データを生成する。
【0056】
次に、形状配置部15は、生成した配置データに基づいて、製品形状データと素材形状データと治具形状データとを配置する。なお、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データの少なくとも1つは、作業者が対話操作処理部30と指示入力部40と表示部50とを用いて任意の位置に配置されてもよい。
【0057】
図6は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が形状配置した、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データの一例を示す斜視図である。図6では、製品形状データで示される形状例である製品形状SA1と、素材形状データで示される形状例である素材形状SB2と、治具形状データで示される形状例である治具形状SC3とを示している。なお、図6では加工テーブルの図示は省略している。
【0058】
素材は、治具に取り付けられる。また、製品は、素材が切削されて形成される。したがって、図6では、素材形状SB2は、治具形状SC3に取り付けられ、製品形状SA1は、素材形状SB2の内側に配置されている場合を示している。
【0059】
ステップS5において、加工プログラム生成部17は、加工される領域(形状)を示す加工形状を展開する。具体的には、加工プログラム生成部17は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データと、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データとから加工形状データを生成する。さらに、加工プログラム生成部17は、加工形状データから、面加工データ、線加工データ、および穴加工データを生成する。加工形状は、製品形状データと素材形状データとの差分の形状に対応している。加工形状データは、素材に対して加工される形状(領域)のデータである。面加工データは、面加工される領域を示すデータであり、線加工データは、線加工される領域を示すデータであり、穴加工データは、穴加工される領域を示すデータである。
【0060】
図7は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム生成部17が生成した、面加工形状データおよび穴加工形状データの一例を示す模式図である。図7では、面加工形状データで示される形状例である面加工形状SH11~SH16と、穴加工形状データで示される形状例である穴加工形状SH17~SH20とを模式的に斜視図で示している。
【0061】
ステップS6において、加工プログラム生成部17は、ステップS5で展開した加工形状に対して、加工ユニットを割り当てる。すなわち、加工プログラム生成部17は、ステップS5で生成した加工形状に対して、加工方法、工具、および切削条件を決定する。加工プログラム生成部17は、加工方法、工具、および切削条件の情報を加工形状に割り当てることで加工ユニット情報を生成する。
【0062】
ステップS7において、加工プログラム生成部17は、ステップS6で生成した加工ユニット情報と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状データとに基づいて、工具と治具との干渉をチェックし、干渉チェック結果を加工ユニット情報に付加して記憶する。なお、加工プログラム生成部17は、加工方法および加工形状に基づいて、工具と治具との干渉をチェックしてもよい。工具と治具との干渉は、工具と治具との意図しない接触である。工具と治具との干渉には、工具ホルダと治具との干渉が含まれていてもよい。
【0063】
ステップS8において、加工プログラム生成部17は、ステップS7で干渉チェック結果を付加した加工ユニット情報に基づいて、加工プログラム2を生成する。すなわち、加工プログラム生成部17は、加工方法、工具、切削条件、加工形状、および干渉チェック結果に基づいて、加工プログラム2を生成する。なお、加工プログラム生成部17は、加工方法、加工形状、および干渉チェック結果に基づいて、加工プログラム2を生成してもよい。
【0064】
図8は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム生成部17が生成した加工プログラム2の加工工程一覧の一例を示す図である。ここでは、加工プログラム2の加工工程に、工程P1が含まれており、工程P1にUno1.~Uno7.が含まれている場合を示している。
【0065】
「Uno1.フェイスミル…SH11」は、面加工形状SH11をフェイスミルユニットとして加工することを示している。
【0066】
「Uno2.ポケットミル…SH12」は、面加工形状SH12をポケットミルユニットとして加工することを示している。「Uno3.ポケットミル…SH13」は、面加工形状SH13をポケットミルユニットとして加工することを示している。「Uno4.ポケットミル…SH14」は、面加工形状SH14をポケットミルユニットとして加工することを示している。「Uno5.ポケットミル…SH15」は、面加工形状SH15をポケットミルユニットとして加工することを示している。「Uno6.ポケットミル…SH16」は、面加工形状SH16をポケットミルユニットとして加工することを示している。
【0067】
「Uno7.ドリル…SH17,SH18,SH19,SH20」は、穴加工形状SH17,SH18,SH19,SH20をドリルユニットとして加工することを示している。
【0068】
フェイスミルユニットは、フェイスミル工具を使ってワーク(加工対象物)の表面を平らに加工する加工ユニットである。フェイスミルユニットでは、加工形状の範囲をはみ出すように加工される。ポケットミルユニットは、エンドミル工具を使ってポケット形状を加工する加工ユニットである。ポケットミルユニットでは、加工形状をはみ出さないように加工される。ドリルは、ドリル工具を使って穴加工する加工ユニットである。
【0069】
Uno1.は、ユニット番号1の加工ユニットであることを示している。また、Uno1.の左側の警告マークAL1は、工具が治具形状と干渉することを表している。図6に示すように、Uno1.の面加工形状SH11は、治具形状SC3と接しており、フェイスミル工具で面加工形状SH11の範囲をはみ出して加工した場合、フェイスミル工具と治具形状SC3との間で干渉が発生する。
【0070】
Uno2.~Uno7.までの左側の警告マークAL2は、Uno2.~Uno7.の面加工形状SH12~SH16および穴加工形状SH17~SH20が、工具の進入方向である工具進入方向から見て、Uno1.の面加工形状SH11の下にあることを表している。すなわち、警告マークAL2は、干渉を発生させる面加工形状(面加工形状SH11)よりも、工具進入方向から見て下に配置された加工ユニットであることを表している。警告マークAL2の加工ユニットは、警告マークAL1の加工ユニットが形成されるまで加工を行うことができない加工ユニットである。
【0071】
図9は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が行う形状配置処理の詳細手順を示すフローチャートである。図9の処理は、図2のステップS4の処理に対応する。機械学習装置20が、第1のパラメータを推論する処理では、加工プログラム生成装置10が抽出した第2のパラメータを入力として、形状配置事例3に基づいて生成された学習モデルを用いて、第1のパラメータを推論する。すなわち、機械学習装置20は、学習モデルに第2のパラメータを入力することによって第1のパラメータを推論する。
【0072】
ステップS11において、形状配置部15は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データと、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データと、治具形状記憶部14が記憶した治具形状データとに基づいて、第2のパラメータを生成する。ここで、形状配置部15が、推論する第1のパラメータとして、「製品形状と素材形状との配置データ」、「素材形状と治具形状との配置データ」、および「治具形状と加工テーブルとの配置データ」を指定したとする。形状配置部15は、第1のパラメータを推論するための第2のパラメータとして、製品形状の材質、製品形状の寸法値、素材形状の種類、素材形状の寸法値、治具形状の種類、治具形状の寸法値、加工テーブルの種類、加工テーブルの寸法値などを取得する。製品形状、素材形状、治具形状、および加工テーブルの各寸法値は、縦長さ、横長さ、深さなどである。
【0073】
ステップS12において、機械学習装置20の推論部24が第1のパラメータを推論する。具体的には、形状配置部15が、生成した第2のパラメータを機械学習装置20の推論部24に入力し、推論部24が第2のパラメータに基づいて、第1のパラメータを推論する。これにより、推論部24は、推論した結果である第1のパラメータの複数の値を取得する。推論部24は、第1のパラメータの複数の値を形状配置部15に送る。
【0074】
ここで、形状配置部15は、例えば、第1のパラメータである製品形状と素材形状との配置データで示される製品形状と素材形状との配置位置として、縦方向中央揃え、横方向中央揃え、および深さ方向下揃えなどを得ることにより、製品形状と素材形状とを配置する。
【0075】
次に、形状配置部15は、例えば、第1のパラメータである素材形状と治具形状との配置データで示される治具種類として、バイス、治具個数(例えば1個)、素材と治具との位置(例えば、横方向中央揃え)、素材形状の下に置いてかさ上げするスペーサーの高さ、スペーサーの幅、およびスペーサーの長さを得ることにより、素材形状と治具形状とを配置する。
【0076】
次に、形状配置部15は、例えば、第1のパラメータである治具形状と加工テーブルとの配置データで示される、治具形状の向き、治具形状の加工テーブル上での位置を得る。治具種類には、バイスだけでなく、ネジの締付等により上から押し付ける垂直クランプ、クサビ等を利用して側面から押し付ける水平クランプ、傾斜面とワーク面との間に可動体をくい込ませていくことにより発生する力を利用するクサビクランプなどがある。作業者は、治具種類に応じて、加工テーブル上に素材形状と治具形状とを配置するのに必要なデータを第1のパラメータとすればよい。
【0077】
ステップS13において、形状配置部15は、取得した第1のパラメータに従って、製品形状と素材形状と治具形状とを配置する。具体的には、形状配置部15は、取得した第1のパラメータに従い、治具形状を加工テーブル上に配置する。次に、形状配置部15は、配置した治具形状に対して素材形状を配置する。次に、形状配置部15は、配置した素材形状に対して製品形状を配置する。このように、形状配置部15は、製品形状と素材形状と治具形状とを、自動配置する。この自動配置の時点では、工具と治具形状との干渉が回避されているとは限らない。
【0078】
なお、形状入力部11が製品形状と素材形状と治具形状とが配置されたアセンブリデータを読み込んだ場合や、作業者が製品形状と素材形状と治具形状とを配置する場合は、形状配置部15は、製品形状と素材形状と治具形状とを自動配置する必要は無い。
【0079】
図10は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム生成部17が行う治具形状干渉チェック処理の詳細手順を示すフローチャートである。図10の処理は、図2のステップS7の処理に対応する。治具形状干渉チェック処理では、面加工形状、線加工形状、および穴加工形状に基づいて、治具形状と工具との干渉チェックが行われ、干渉チェックの判定結果が加工ユニット情報に付加される。
【0080】
ステップS21において、加工プログラム生成部17は、面加工形状、線加工形状、および穴加工形状の各加工形状に対して干渉チェック用の断面形状を生成する。加工プログラム生成部17は、工具進入方向に垂直な平面に対して、面加工形状と線加工形状とを、工具進入方向で投影して輪郭をとることで断面形状を生成する。
【0081】
ステップS22において、加工プログラム生成部17は、干渉チェック用の断面形状を変形させる。すなわち、加工プログラム生成部17は、面加工形状および線加工形状の各加工方法に応じて、はみ出して加工する場合は、はみ出す部位の断面形状の部位をオフセットして変形させる。加工プログラム生成部17は、はみ出して加工しない場合は、変形処理などを実行しない。
【0082】
ステップS23において、加工プログラム生成部17は、面加工形状、線加工形状、および穴加工形状の各加工形状の干渉チェック用の断面形状を、工具進入方向の逆方向に十分な長さで掃引することにより、干渉チェック形状を生成する。干渉チェック形状は、治具形状との間で干渉の有無を判定するための形状である。干渉チェック形状は、工具が通過する領域に対応している。掃引における十分な長さとは、加工時における治具形状と工具との干渉を判定できる長さであればよい。
【0083】
実施の形態1の加工プログラム生成部17は、加工方法(フェイスミルユニット、ポケットミルユニットなど)および加工形状(面加工形状、線加工形状、穴加工形状など)に基づいて、干渉チェック形状を生成する。
【0084】
ステップS24において、加工プログラム生成部17は、面加工形状、線加工形状、および穴加工形状の各加工形状の干渉チェック形状と、治具形状とに基づいて、干渉チェック形状と、治具形状との干渉をチェックする。すなわち、加工プログラム生成部17は、各加工形状の干渉チェック形状と、治具形状とに基づいて、工具と治具形状との干渉をチェックする。具体的には、加工プログラム生成部17は、各干渉チェック形状と治具形状とが重なる部位や接する部位が有れば、干渉有りと判定し、各干渉チェック形状と治具形状とが重なる部位がなく、接する部位が無ければ、干渉無しであると判定する。このように、干渉チェック形状と治具形状とで重なる領域がある場合に、工具と治具形状との間に干渉が発生すると判定される。加工プログラム生成部17は、干渉チェックの判定結果を加工ユニット情報に付加して加工プログラム変更部18に送る。
【0085】
図11は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム生成部17が生成する干渉チェック形状群81の一例を示す斜視図である。加工プログラム生成部17が生成する干渉チェック形状群81には、干渉チェック形状SH21~SH30などが含まれている。
【0086】
干渉チェック形状SH21~SH26は、それぞれ面加工形状SH11~SH16の干渉チェック形状である。また、干渉チェック形状SH27~SH30は、それぞれ穴加工形状SH17~SH20の干渉チェック形状である。
【0087】
面加工形状SH11の干渉チェック形状SH21は、面加工形状SH11の断面形状に対して、全周にわたりはみ出して加工されるので、全周にわたりオフセットされた断面形状が掃引された形状である。
【0088】
面加工形状SH12の干渉チェック形状SH22は、面加工形状SH12の断面形状に対して、はみ出さないで加工されるので、オフセットされないで断面形状が掃引された形状である。
【0089】
面加工形状SH13の干渉チェック形状SH23、面加工形状SH14の干渉チェック形状SH24、面加工形状SH15の干渉チェック形状SH25、および面加工形状SH16の干渉チェック形状SH26は、面加工形状SH13~SH16の断面形状に対して、一部、はみ出して加工されるので、はみ出す部位のみオフセットされた断面形状が掃引された形状である。
【0090】
穴加工形状SH17の干渉チェック形状SH27、穴加工形状SH18の干渉チェック形状SH28、穴加工形状SH19の干渉チェック形状SH29、および穴加工形状SH20の干渉チェック形状SH30は、穴加工形状SH17~SH20に対して、断面形状がそのまま掃引された形状である。
【0091】
図12は、実施の形態1にかかる機械学習装置20が行う学習モデル生成処理の手順を示すフローチャートである。学習モデル生成処理では、形状配置事例3の製品形状、素材形状、および治具形状に基づいて、配置データを生成するための学習モデルが生成される。
【0092】
ステップS31において、機械学習装置20は、加工プログラム生成装置10の製品形状記憶部12に記憶されている製品形状データ、素材形状記憶部13に記憶されている素材形状データ、および治具形状記憶部14に記憶されている治具形状データを読み込む。
【0093】
ステップS32において、配置データ解析部21は、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データから、第1のパラメータを抽出する。配置データ解析部21は、配置後の、製品形状データ、素材形状データ、および治具形状データの何れかに使用されている第1のパラメータを複数抽出する。
【0094】
ステップS33において、配置データ解析部21は、抽出した複数の第1のパラメータに対し、第1のパラメータごとに第2のパラメータを抽出する。すなわち、配置データ解析部21は、第1のパラメータごとに、抽出する第2のパラメータを決定し、決定した第2のパラメータを抽出する。配置データ解析部21は、抽出した第1のパラメータおよび第2のパラメータを機械学習部22に入力する。
【0095】
ステップS34において、機械学習部22は、入力された第1のパラメータおよび第2のパラメータを用いて、機械学習処理を行う。具体的には、機械学習部22は、第1のパラメータおよび第2のパラメータに基づいてデータセットを生成し、生成したデータセットに従って機械学習を行う。データセットは、調整対象の第1のパラメータと、当該第1のパラメータの値を決定するために使用される調整対象外のパラメータである第2のパラメータとを対応づけたデータの組である。機械学習部22は、予め定められた基準を用いて、最適化されたモデルを学習モデルとして生成する。機械学習部22は、学習結果である学習モデルを生成する。
【0096】
ステップS35において、学習モデル記憶部23は、生成された学習モデルを記憶する。以上により、機械学習装置20は、図12に示す手順による学習モデル生成処理を終了する。
【0097】
続いて、干渉が発生すると判定された加工工程の加工形状に対して、加工プログラム生成装置10が行う加工プログラム変更処理の詳細について説明する。図13は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18が行う加工プログラム変更処理の手順を示すフローチャートである。
【0098】
作業者が、表示部50に表示される治具形状と干渉する加工工程の加工形状に対する変更方法を、指示入力部40を介して入力すると、対話操作処理部30を介して、変更方法が加工プログラム生成装置10に送られる。加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18は、作業者の指示である変更方法に基づいて、加工プログラムで規定された、工具進入方向、加工方法、および加工形状の少なくとも1つを変更する、もしくは、治具形状の位置または形状を変更することで、加工プログラムを変更する。
【0099】
ステップS41において、加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18は、作業者の指示である変更方法の種類を判定する。作業者による変更方法の指示が「工具進入方向を変更する」である場合、加工プログラム変更部18は、次の処理としてステップS42を実行する。また、作業者による変更方法の指示が「加工方法を変更する」である場合、加工プログラム変更部18は、次の処理としてステップS43を実行する。また、作業者による変更方法の指示が「加工形状を変更する」である場合、加工プログラム変更部18は、次の処理としてステップS44を実行する。また、作業者による変更方法の指示が「治具形状を変更する」である場合、加工プログラム変更部18は、次の処理としてステップS45を実行する。
【0100】
ステップS42において、加工プログラム変更部18は、治具形状と干渉する加工工程の加工形状に対して、工具進入方向を変更する。加工プログラム変更部18は、工具進入方向を変更することにより、治具形状との干渉を回避することができる。
【0101】
図14は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18が行う工具進入方向の変更処理の一例を説明するための斜視図である。図14では、製品形状SA31と、垂直クランプの治具形状SC32と、垂直クランプの治具形状SC33と、ポケットミルによる面加工形状SH34とを図示している。また、図14では、ポケットミルによる面加工形状SH34に対する工具進入方向ベクトルT1(0,0,-1)と、ポケットミルによる面加工形状SH34に対する工具進入方向ベクトルT2(0,-1,0)とを図示している。
【0102】
工作機械が、面加工形状SH34に対して工具進入方向ベクトルT1(0,0,-1)でポケットミル加工する場合、工具が治具形状SC32と干渉するので、加工プログラム変更部18は、工具進入方向ベクトルT1を工具進入方向ベクトルT2(0,-1,0)に変更する。これにより、工具進入方向ベクトルT2(0,-1,0)でポケットミルによる面加工形状SH34が加工されることとなる。
【0103】
ステップS43において、加工プログラム変更部18は、治具形状と干渉する加工工程の加工形状に対して、加工方法を変更する。加工プログラム変更部18は、加工方法を変更することにより、治具形状との干渉を回避することができる。
【0104】
図15は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18が行う加工方法の変更処理の一例を説明するための斜視図である。図15では、製品形状SA41と、バイスの治具形状SC42と、フェイスミルによる面加工形状SH43とを図示している。また、図15では、フェイスミルによる面加工形状SH43に対する工具進入方向ベクトルT3(0,0,-1)を図示している。
【0105】
工作機械が、面加工形状SH43に対して工具進入方向ベクトルT3(0,0,-1)でフェイスミル加工する場合、工具が面加工形状SH43をはみだして加工するので、工具が治具形状SC42と干渉する。この場合、加工プログラム変更部18は、フェイスミル加工を、はみだし加工をしないポケットミル加工に変更する。これにより、ポケットミル加工で面加工形状SH43が加工されることとなる。
【0106】
ステップS44において、加工プログラム変更部18は、治具形状と干渉する加工工程の加工形状に対して、加工形状を変更する。加工プログラム変更部18は、加工形状を変更することにより、治具形状との干渉を回避することができる。
【0107】
図16は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム変更部18が行う加工形状の変更処理の一例を説明するための斜視図である。図16では、製品形状SA41と、バイスの治具形状SC42と、フェイスミルによる面加工形状SH44とを図示している。また、図16では、フェイスミルによる面加工形状SH44に対する工具進入方向ベクトルT3(0,0,-1)を図示している。
【0108】
工作機械が面加工形状SH43に対して、工具進入方向ベクトルT3(0,0,-1)でフェイスミル加工する場合、工具が面加工形状SH43をはみだして加工するので、工具が治具形状SC42と干渉する。この場合、加工プログラム変更部18は、フェイスミルによってはみだし加工をしても治具形状SC42と干渉しないように、フェイスミルによる面加工形状SH43を、図16に示すフェイスミルによる面加工形状SH44に変形させる。すなわち、加工プログラム変更部18は、フェイスミルによる面加工形状SH43を、治具形状SC42に接する部位を内側にオフセットすることにより、フェイスミルによる面加工形状SH44に変更する。これにより、フェイスミル加工で面加工形状SH44が加工されることとなる。
【0109】
ステップS45において、加工プログラム変更部18は、治具形状に対して、形状もしくは位置を変更する。加工プログラム変更部18は、治具形状を変更することにより、治具形状との干渉を回避することができる。
【0110】
続いて、干渉が発生すると判定された治具形状に対する、加工プログラム生成装置10が行う加工プログラム追加処理の詳細について説明する。図17は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム追加部19が行う加工プログラム追加処理の手順を示すフローチャートである。
【0111】
ステップS51において、加工プログラム追加部19は、工具と治具とが干渉する領域である治具干渉部位形状を算出する。具体的には、加工プログラム追加部19は、加工プログラム生成部17から、加工形状、加工方法、および治具形状を取得する。加工プログラム追加部19は、加工形状、加工方法、および治具形状に基づいて、治具干渉部位形状を算出する。治具干渉部位形状は、工具と治具とが重なる領域である。
【0112】
図18は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム追加部19が取得した治具干渉部位形状SH52,SH53を説明するための斜視図である。ここでは、加工プログラム追加部19が、図15に示した面加工形状SH43に対して治具干渉部位形状SH52,SH53を算出する場合について説明する。
【0113】
加工プログラム追加部19は、図18に示した、製品形状SA41、バイスの治具形状SC42、およびフェイスミルによる面加工形状SH43に基づいて、フェイスミルによる面加工形状SH43に対する干渉チェック形状SH51を生成する。干渉チェック形状SH51は、工具と治具との干渉をチェックするための形状である。干渉チェック形状SH51は、工具が加工時に移動する領域に対応している。ここで、干渉チェック形状SH51は、面加工形状SH43の加工上面ではなく、加工底面から生成する。
【0114】
加工プログラム追加部19は、干渉チェック形状SH51と治具形状SC42との共通部を抽出することで、治具干渉部位形状SH52,SH53を算出できる。治具干渉部位形状SH52,SH53は、バイスの治具形状SC42のうち、工具に干渉する領域である。
【0115】
ステップS52において、加工プログラム追加部19は、治具干渉部位形状SH52,SH53を加工するための加工プログラムである治具加工プログラム2Aを生成し、加工プログラム2に追加する。治具干渉部位形状SH52,SH53が存在する場合、治具は、工具によって加工可能な部材を用いて構成しておく。これにより、工作機械は、素材とともに治具干渉部位形状SH52,SH53を加工できるので、製品形状SA41が複雑な形状であっても容易に製品形状SA41を形成することができる。
【0116】
図19は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の加工プログラム追加部19が追加した治具加工プログラム2Aの加工工程の一例を示す図である。図20は、図19の加工工程で加工される加工形状の一例を示す斜視図である。
【0117】
図19では、加工プログラム追加部19が、治具加工プログラム2Aの加工工程である工程P2にUno1.~Uno2.を追加した場合を示している。この追加により、工程P2には、Uno1.~Uno3.が含まれている。
【0118】
「Uno1.線左…SH521」は、線加工形状SH521を線加工することを示している。「Uno2.線左…SH531」は、線加工形状SH531を線加工することを示している。線左は、指定された線の進行方向の左側を加工する処理である。線加工形状SH521は、治具干渉部位形状SH52に対応し、線加工形状SH531は、治具干渉部位形状SH53に対応している。
【0119】
フェイスミルによる面加工形状SH43は、Uno1.~Uno2.が追加される前は、Uno1.であり、Uno1.~Uno2.が追加された後は、Uno3.である。すなわち、Uno1.~Uno2.が実行された後、「Uno3.フェイスミル…SH43」が実行される。
【0120】
このように、加工プログラム追加部19は、フェイスミルによる面加工形状SH43の前に治具干渉部位形状SH52,SH53を線加工する線左を追加する。すなわち、加工プログラム追加部19は、治具干渉部位形状SH52,SH53を線加工するための線加工形状SH521,SH531を指定する。これにより、治具干渉部位形状SH52,SH53が加工された後に、面加工形状SH43が加工される。
【0121】
続いて、加工プログラム生成装置10が行う形状入力処理の詳細について説明する。図21は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状入力部11が形状入力する処理の詳細手順を示すフローチャートである。以下では、加工プログラム生成装置10が、配置済みの製品形状と素材形状と治具形状とを含んだアセンブリデータを読み込み、アセンブリデータの一部または全部を、製品形状、素材形状、もしくは治具形状のCADデータ1に差し替える処理の例を説明する。
【0122】
ステップS61において、形状入力部11は、配置済みの製品形状と素材形状と治具形状とを含んだアセンブリデータを読み込む。
【0123】
ステップS62において、形状入力部11は、読み込んだアセンブリデータの形状を、製品形状データ、素材形状データ、または治具形状データに分類する。アセンブリデータに形状属性として、形状が予め分類してあれば、形状入力部11は、読み込んだアセンブリデータの単品形状の形状属性を参照することにより、アセンブリデータの形状を分類できる。
【0124】
また、作業者が、表示部50と指示入力部40とを介してアセンブリデータの形状を分類してもよい。また、形状入力部11は、各単品形状の位置の相関関係から、アセンブリデータを分類してもよい。
【0125】
次に、形状入力部11は、分類した製品形状データを製品形状記憶部12に記憶させ、分類した素材形状データを素材形状記憶部13に記憶させ、分類した治具形状データを治具形状記憶部14に記憶させる。
【0126】
ステップS63において、形状入力部11は、製品形状、素材形状、または治具形状のCADデータ1を読み込む。形状入力部11は、例えば、作業者によって指定されたCADデータ1を読み込む。ここで形状入力部11が読み込む製品形状、素材形状、または治具形状は、アセンブリデータの製品形状、素材形状、または治具形状と異なる別の形状(別製品形状、別素材形状、または別治具形状)である。
【0127】
形状入力部11は、読み込んだCADデータ1の形状を、製品形状データ、素材形状データ、または治具形状データに分類する。CADデータ1に形状属性として、形状が予め分類してあれば、形状入力部11は、読み込んだCADデータ1の単品形状の形状属性を参照することにより、CADデータ1を分類できる。
【0128】
また、作業者が、対話操作処理部30と指示入力部40と表示部50とを介して、CADデータ1を分類してもよい。
【0129】
次に、ステップS64において、形状入力部11は、製品形状データ、素材形状データ、または治具形状データをCADデータ1に差し替える。すなわち、形状入力部11は、CADデータ1が製品形状データであれば、製品形状記憶部12に記憶させることで製品形状データを差し替える。また、形状入力部11は、CADデータ1が素材形状データであれば、素材形状記憶部13に記憶させることで素材形状データを差し替える。また、形状入力部11は、CADデータ1が治具形状データであれば、治具形状記憶部14に記憶させることで治具形状データを差し替える。
【0130】
ステップS65において、形状配置部15は、製品形状、素材形状、および治具形状の各形状の位置を調整して記憶する。すなわち、形状配置部15は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状の位置と、素材形状記憶部13が記憶した素材形状の位置と、治具形状記憶部14が記憶した治具形状の位置とを調整して、それぞれ記憶する。形状配置部15は、例えば、製品形状が素材形状に内包され、治具形状が、素材形状および製品形状を固定するように、製品形状の位置と、素材形状の位置と、治具形状の位置とを調整する。
【0131】
図22は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状入力部11が行う形状入力処理の一例を説明するための斜視図である。形状入力部11は、製品形状、素材形状、および治具形状が配置されたアセンブリデータを読み込む。ここでのアセンブリデータは、製品形状、素材形状、および治具形状を含んだ全体形状B1を示すデータである。全体形状B1には、例えば、製品形状SA61、素材形状SB62、および治具形状SC63が含まれている。
【0132】
形状入力部11は、CADデータ1に製品形状データが含まれている場合、製品形状SA61をCADデータ1で示される製品形状SA64に差し替える。これにより、全体形状B1は、製品形状SA64、素材形状SB62、および治具形状SC63を含んだ全体形状B2になる。
【0133】
また、形状入力部11は、CADデータ1に素材形状データが含まれている場合、素材形状SB62をCADデータ1で示される素材形状SB65に差し替える。これにより、全体形状B2は、製品形状SA64、素材形状SB65、および治具形状SC63を含んだ全体形状B3になる。
【0134】
また、形状入力部11は、CADデータ1に治具形状データが含まれている場合、治具形状SC63をCADデータ1で示される治具形状SC66~SC69に差し替える。これにより、全体形状B3は、製品形状SA64、素材形状SB65、および治具形状SC66~SC69を含んだ全体形状B4になる。これにより、形状入力部11は、素材、製品、治具の各形状配置済みのアセンブリデータに対し、特定位置の形状を作業者によって指定されたCADデータ1に差し替えることが可能となる。
【0135】
図23は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が行う各形状の位置を調整する処理の詳細手順を示すフローチャートである。図23の処理は、図21のステップS65の処理に対応する。
【0136】
ステップS71において、形状配置部15は、CADデータ1の治具形状を加工テーブルに配置して位置を調整する。形状配置部15は、ステップS4と同様に、配置データを推論して、治具形状を加工テーブルに配置する。なお、作業者が、対話操作処理部30と指示入力部40と表示部50とを介して、治具形状を配置してもよい。また、治具形状が差し替えられていない場合は、治具形状は元の位置のままでもよい。
【0137】
ステップS72において、形状配置部15は、CADデータ1の素材形状を配置して位置を調整する。形状配置部15は、ステップS4と同様に、配置データを推論して、素材形状を配置する。なお、作業者が、対話操作処理部30と指示入力部40と表示部50とを介して、素材形状を配置してもよい。また、素材形状が差し替えられていない場合は、素材形状は元の位置のままでもよい。
【0138】
ステップS73において、形状配置部15は、CADデータ1の製品形状を配置して位置を調整する。形状配置部15は、ステップS4と同様に、配置データを推論して、製品形状を配置する。なお、作業者が、対話操作処理部30と指示入力部40と表示部50とを介して、製品形状を配置してもよい。また、製品形状が差し替えられていない場合は、製品形状は元の位置のままでもよい。
【0139】
ステップS74において、形状配置部15は、CADデータ1の治具形状の位置を調整する。すなわち、形状配置部15は、ステップS72,S73の処理によって位置が調整された素材形状および製品形状に対して、治具形状の位置を調整する。なお、形状配置部15は、治具形状の形状を調整してもよい。形状配置部15は、例えば、治具形状の可動部の位置または形状を調整する。
【0140】
図24は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が行う治具形状の位置を調整する処理の詳細手順を示すフローチャートである。図24の処理は、図23のステップS74の処理に対応する。
【0141】
ステップS81において、形状配置部15は、素材形状の寸法を取得する。ステップS82において、形状配置部15は、素材形状の寸法に合わせて、治具形状の可動部の位置を調整する。治具形状は、治具形状の種類に応じて、可動部および可動寸法が予め設定される。
【0142】
例えば、バイスは、素材を2つの口金で挟み込むので、バイスに対しては、一方の口金を固定して、他方の口金を水平方向に可動するように設定される。この場合、形状配置部15は、バイスに対しては、素材形状の寸法に合わせて、他方の口金を移動させればよい。
【0143】
また、複数の水平クランプが配置され、各水平クランプが、水平方向に可動するように設定される。この場合、形状配置部15は、素材形状の寸法に合わせて、各水平クランプを水平方向に移動させればよい。
【0144】
また、複数の垂直クランプが配置され、各垂直クランプが、垂直方向に可動するように設定される。この場合、形状配置部15は、素材形状の寸法に合わせて、各垂直クランプを垂直方向に移動させればよい。
【0145】
図25は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が行う形状調整処理の第一例を説明するための斜視図である。図25では、バイス形状SH71の斜視図を示している。形状配置部15は、例えば、図25の左側に示すバイス形状SH71に対し、T4の方向に移動可能な可動部M1を移動させる。図25の右側に示すバイス形状SH71は、可動部M1をT4aの方向に可動させた後のバイス形状SH71の一例である。
【0146】
図26は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置部15が行う形状調整処理の第二例を説明するための斜視図である。図26では、クランプ形状SH72の斜視図を示している。形状配置部15は、例えば、図26の左側に示すクランプ形状SH72に対し、T5の方向に移動可能な可動部M2を移動させる。図26の右側に示すクランプ形状SH72は、可動部M2をT5aの方向に可動させた後のクランプ形状SH72の一例である。
【0147】
図27は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10が行う形状入力処理および形状調整処理の第一例を説明するための斜視図である。加工プログラム生成装置10では、形状入力部11が形状入力処理を実行し、形状配置部15が形状調整処理を実行する。
【0148】
形状入力部11は、素材形状および治具形状が配置されたアセンブリデータを読み込む。形状入力部11が読み込むアセンブリデータは、素材形状、製品形状、および治具形状の少なくとも1つが過去に配置済みのデータである。ここでのアセンブリデータは、素材形状および治具形状を含んだ全体形状E1を示すデータである。全体形状E1には、例えば、素材形状SB81および治具形状SC82が含まれている。
【0149】
形状入力部11へは、作業者によって所望のCADデータ1が入力される。作業者によって入力されるCADデータ1は、作業者が、アセンブリデータ内の形状に対して置き換えを行いたい形状のデータである。
【0150】
形状入力部11は、入力されたCADデータ1に素材形状データが含まれている場合、素材形状SB81をCADデータ1で示される素材形状SB83に差し替える。これにより、全体形状E1は、素材形状SB83および治具形状SC82を含んだ全体形状E2になる。
【0151】
形状配置部15は、全体形状E2に対し、治具形状SC82を調整する。形状配置部15は、治具形状SC82の形状を調整してもよいし、治具形状SC82の可動部の位置を調整してもよい。図27では、形状配置部15が治具形状SC82を治具形状SC82Xに調整した場合を示している。形状配置部15は、治具形状SC82Xが素材形状SB83を固定するように治具形状SC82を調整する。これにより、全体形状E2は、素材形状SB83および治具形状SC82Xを含んだ全体形状E3になる。
【0152】
図28は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10が行う形状入力処理および形状調整処理の第二例を説明するための斜視図である。形状入力部11は、素材形状および治具形状が配置されたアセンブリデータを読み込む。ここでのアセンブリデータは、素材形状および治具形状を含んだ全体形状F1を示すデータである。全体形状F1には、例えば、素材形状SB84および治具形状SC85~SC88が含まれている。
【0153】
形状入力部11は、入力されたCADデータ1に素材形状データが含まれている場合、素材形状SB84をCADデータ1で示される素材形状SB89に差し替える。これにより、全体形状F1は、素材形状SB89および治具形状SC85~SC88を含んだ全体形状F2になる。
【0154】
形状配置部15は、全体形状F2に対し、治具形状SC85~SC88を調整する。図28では、形状配置部15が、治具形状SC85~SC88の可動部M3~M6の位置を調整した場合を示している。形状配置部15は、治具形状SC85~SC88が素材形状SB89を固定するように治具形状SC85~SC88を調整する。これにより、全体形状F2は、素材形状SB89および調整された治具形状SC85~SC88を含んだ全体形状F3になる。
【0155】
図29は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置教示部16が行う推論を用いた形状配置教示処理の詳細手順を示すフローチャートである。推論処理では、機械学習装置20が、加工プログラム生成装置10が抽出した第2のパラメータを入力とし、加工プログラム2または形状配置事例3に基づいて生成された学習モデルを用いて、第1のパラメータの推論を行う。
【0156】
機械学習装置20が実行する推論処理では、第1のパラメータは、前述したように、例えば、形状配置された後の、製品形状と素材形状と治具形状との画像データや動画データのファイル名である。
【0157】
また、前述したように、第2のパラメータは、例えば、素材形状などに基づいて生成されるデータである。また、第2のパラメータは、製品形状または素材形状の3次元形状の画像データなどであってもよい。
【0158】
また、前述したように、第1のパラメータは、第1のパラメータごとに、第2のパラメータが対応付けられている。第1のパラメータは、第1のパラメータに対応する第2のパラメータに基づいて調整される。
【0159】
ステップS91において、形状配置教示部16は、製品形状記憶部12が記憶した製品形状、または素材形状記憶部13が記憶した素材形状から、第2のパラメータを生成し、機械学習装置20の推論部24に入力する。
【0160】
ステップS92において、推論部24は、推論する第1のパラメータに合わせて、機械学習装置20が記憶した学習モデルを選択し、選択した学習モデルを用いて、ステップS91で入力された第2のパラメータから、第1のパラメータを推論する。推論部24は、推論した第1のパラメータを形状配置教示部16に入力する。
【0161】
ステップS93において、形状配置教示部16は、入力された第1のパラメータに対応する配置事例データ(形状配置事例3)を、表示部50を介して表示し、作業者に教示する。なお、形状配置教示部16は、教示する形状配置事例3は1つとは限らず、複数の形状配置事例3を教示してもよい。
【0162】
図30は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置教示部16が行う形状配置教示処理の第一例を説明するための斜視図である。図30の左側には、製品形状記憶部12が記憶した製品形状データに対応する製品形状SA91の一例を図示している。
【0163】
形状配置教示部16は、製品形状SA91から第2のパラメータを生成する。推論部24は、形状配置教示部16が生成した第2のパラメータから、第1のパラメータを推論する。形状配置教示部16は、推論部24が推論した第1のパラメータに対応する形状配置事例3を、過去に作成された複数の形状配置事例3の中から選択して表示部50に表示させる。
【0164】
図30の右側には、製品形状SA91に対応する形状配置事例3の一例である形状配置事例X1を図示している。形状配置事例X1は、機械学習装置20によって推論された結果(第1のパラメータ)に対応している。形状配置教示部16が、第1のパラメータに応じて抽出した形状配置事例X1は、製品形状SA91に類似した形状配置事例である。ここでは、形状配置事例X1として、製品形状SA92と、直方体からなる素材形状SB93と、治具形状SC94~SC97とが配置されている場合を示している。
【0165】
図31は、実施の形態1にかかる加工プログラム生成装置10の形状配置教示部16が行う形状配置教示処理の第二例を説明するための斜視図である。図31の上側には、素材形状記憶部13が記憶した素材形状データに対応する素材形状SB98の一例を図示している。
【0166】
形状配置教示部16は、素材形状SB98から第2のパラメータを生成する。推論部24は、形状配置教示部16が生成した第2のパラメータから、第1のパラメータを推論する。形状配置教示部16は、推論部24が推論した第1のパラメータに対応する形状配置事例3を、過去に作成された複数の形状配置事例3の中から抽出して表示部50に表示させる。
【0167】
図31の下側には、素材形状SB98に対応する形状配置事例3の一例である形状配置事例Y1~Y3を図示している。形状配置事例Y1~Y3は、機械学習装置20によって推論された結果(第1のパラメータ)に対応している。形状配置教示部16が、第1のパラメータに応じて抽出した形状配置事例Y1~Y3は、素材形状SB98に類似した形状配置事例である。
【0168】
ここでは、形状配置事例Y1として、素材形状SB99と治具形状SC100とが配置されている場合を示している。また、形状配置事例Y2として、素材形状SB101と治具形状SC102とが配置されている場合を示している。また、形状配置事例Y3として、素材形状SB103と治具形状SC104~SC107とが配置されている場合を示している。形状配置教示部16は、形状配置事例Y1~Y3の少なくとも1つを表示部50に表示させることで、形状配置事例3を作業者に提示する。
【0169】
以上説明したように、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、工具と治具とが干渉する場合に、工具と治具とが干渉しないように加工プログラムを変更するので、加工装置の構造や加工機能の制約に制限されることなく、干渉を回避することができる。
【0170】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、治具形状に干渉しない加工プログラム2を生成する際に、干渉する部位の工具進入方向と加工方法と切削条件と加工形状とのうちの少なくとも1つを変更するか、または治具形状の位置と形状とのうちの少なくとも1つを変更して加工プログラム2を生成する。これにより、加工プログラム生成装置10は、干渉しない加工プログラム2を効率良く容易に生成することができる。
【0171】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、治具形状を加工する加工プログラム2を生成する際に、工具と干渉する治具形状の部位(治具干渉部位形状SH52,SH53)を算出している。そして、加工プログラム生成装置10は、治具干渉部位形状SH52,SH53に基づいて、治具形状の工具との干渉部位を加工するための治具加工プログラム2Aを生成して、加工プログラム2に追加する。これにより、加工プログラム生成装置10は、簡便に治具形状を加工する加工プログラム2を生成することができ、効率良く加工プログラム2を生成することができる。
【0172】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、製品形状、素材形状、治具形状など配置済みの複数の形状のアセンブリデータを読み込み、かつ、製品形状、素材形状、および治具形状の少なくとも1つの形状を差し替えることができるので、数値制御装置100上での配置作業を削減できる。
【0173】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、製品形状、素材形状、治具形状などを配置して、治具形状の可動部の位置を調整するので、数値制御装置100上での配置作業を削減できる。
【0174】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、製品形状または素材形状から、形状配置事例3を抽出して作業者に教示するので、作業者が配置の非熟練者であっても、作業者は、効率良く製品形状と素材形状と治具形状とを配置することができる。
【0175】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、工具が治具に干渉するか否かの判定に加工シミュレーションを行う必要がないので、容易かつ短時間で加工プログラム2を生成できる。
【0176】
また、実施の形態1の加工プログラム生成装置10は、干渉部位の除去を提案するだけでなく、実際に除去しているので、容易かつ短時間で干渉部位を除去できる。
【0177】
なお、実施の形態1では、数値制御される工作機械がマシニングセンタである場合の加工プログラム2を例に説明したが、数値制御される工作機械はマシニングセンタに限定されず、他の工作機械であってもよい。
【0178】
このように、実施の形態1の加工プログラム生成部17は、製品形状および素材形状に基づいて切削加工品を加工する領域を示す加工形状を生成し、切削加工品の加工方法および加工形状に基づいて工具が通過する領域を示す干渉チェック形状を生成している。そして、加工プログラム生成部17は、干渉チェック形状および治具形状に基づいて工具と治具との干渉チェックを行うことで、干渉チェック判定を行った加工プログラム2を生成している。これにより、加工プログラム生成装置10は、工作機械の要素である工具が治具に干渉するか否かを判定した加工プログラムを容易に生成することができる。
【0179】
実施の形態2.
つぎに、図32を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、加工プログラム生成装置10および機械学習装置20のハードウェア構成について説明する。図32は、加工プログラム生成装置10および機械学習装置20における実施の形態2の構成であるハードウェア構成を示すブロック図である。
【0180】
図32に示す各機能部は、プロセッサ71と、プロセッサ71がワークエリアに用いるメモリ72と、数値制御装置100の各機能を記述したコンピュータプログラムを記憶する記憶装置73と、作業者との間の入力インタフェースである入力装置74と、作業者に情報を表示する出力装置である表示装置75と、被制御機器または他の数値制御装置などとの通信機能を有する通信装置76とを備える。プロセッサ71、メモリ72、記憶装置73、入力装置74、表示装置75、および通信装置76は、データバス77により互いに接続されている。
【0181】
プロセッサ71は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)などである。メモリ72は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などである。
【0182】
数値制御装置100の形状入力部11、形状配置部15、形状配置教示部16、加工プログラム生成部17、加工プログラム変更部18、および加工プログラム追加部19は、メモリ72に記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサ71が読み出して実行することにより実現することができる。
【0183】
同様に、機械学習装置20の配置データ解析部21、機械学習部22、および推論部24は、メモリ72に記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサ71が読み出して実行することにより実現することができる。
【0184】
製品形状記憶部12、素材形状記憶部13、および治具形状記憶部14の機能は、記憶装置73により実現される。同様に、学習モデル記憶部23の機能は、記憶装置73により実現される。
【0185】
また、複数のプロセッサ71および複数のメモリ72が連携して数値制御装置100の各機能を実現してもよい。また、形状入力部11、形状配置部15、形状配置教示部16、加工プログラム生成部17、加工プログラム変更部18、加工プログラム追加部19、配置データ解析部21、機械学習部22、および推論部24の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ71およびメモリ72を用いて実現するようにしてもよい。
【0186】
形状入力部11、形状配置部15、形状配置教示部16、加工プログラム生成部17、加工プログラム変更部18、および加工プログラム追加部19の機能を実現するためのプロセッサ71およびメモリ72は、機械学習部22および推論部24を実現するためのプロセッサ71およびメモリ72と同一であってもよいし、機械学習部22および推論部24を実現するためのプロセッサ71およびメモリ72とは異なるプロセッサ71およびメモリ72が用いられてもよい。また、複数のプロセッサ71および複数のメモリ72が連携して機械学習装置20の各機能を実現してもよい。
【0187】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0188】
1 CADデータ、2 加工プログラム、2A 治具加工プログラム、3,X1,Y1~Y3 形状配置事例、10 加工プログラム生成装置、11 形状入力部、12 製品形状記憶部、13 素材形状記憶部、14 治具形状記憶部、15 形状配置部、16 形状配置教示部、17 加工プログラム生成部、18 加工プログラム変更部、19 加工プログラム追加部、20 機械学習装置、21 配置データ解析部、22 機械学習部、23 学習モデル記憶部、24 推論部、30 対話操作処理部、40 指示入力部、50 表示部、60 制御部、71 プロセッサ、72 メモリ、73 記憶装置、74 入力装置、75 表示装置、76 通信装置、77 データバス、81 干渉チェック形状群、100 数値制御装置、AL1,AL2 警告マーク、B1~B4,E1~E3,F1~F3 全体形状、M1~M6 可動部、SA1,SA31,SA41,SA61,SA64,SA91,SA92 製品形状、SB2,SB62,SB65,SB81,SB83,SB84,SB89,SB93,SB98,SB99,SB101,SB103 素材形状、SC3,SC32,SC33,SC42,SC63,SC66~SC69,SC82,SC82X,SC85~SC88,SC94~SC97,SC100,SC102,SC104~SC107 治具形状、SH11~SH16,SH34,SH43,SH44 面加工形状、SH17~SH20 穴加工形状、SH21~SH30,SH51 干渉チェック形状、SH52,SH53 治具干渉部位形状、SH71 バイス形状、SH72 クランプ形状、SH521,SH531 線加工形状、T1~T3 工具進入方向ベクトル。
【要約】
数値制御によって被加工物から切削加工品を削り出すための加工プログラムを生成する加工プログラム生成装置(10)であって、切削加工品の製品形状および素材形状に基づいて切削加工品を加工する領域を示す加工形状を生成し、加工方法および加工形状に基づいて切削加工品を加工する工具が通過する領域を示す干渉チェック形状を生成し、素材形状を工作機械に固定するための取付け具である治具の治具形状および干渉チェック形状に基づいて工具と治具との干渉チェックを行うことで、干渉チェック判定を行い、工具と治具とが干渉する場合に、工具と治具とが干渉しないように加工プログラムを変更する加工プログラム変更部(18)を備える。
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