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特許7399363分散型エネルギーリソース管理システム、分散型エネルギーリソース管理制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】分散型エネルギーリソース管理システム、分散型エネルギーリソース管理制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231208BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20231208BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20231208BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/00 170
H02J3/18 135
H02J13/00 301A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023545934
(86)(22)【出願日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2023007468
【審査請求日】2023-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊介
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/230128(WO,A1)
【文献】特開2021-019486(JP,A)
【文献】特開2020-043707(JP,A)
【文献】特開平10-056735(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/00
H02J 3/18
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する潮流計算部と、
前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成する系統縮約部と、
前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する電力制御量計算部と、
を備える分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項2】
前記分散型エネルギーリソースにおいて制御可能な電力の範囲を示す制御可能量を取得する制御可能量取得部、
を備え、
前記電力制御量計算部は、
前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する際に、前記制御可能量の範囲内となるように前記電力制御量を計算する、
請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項3】
前記系統縮約部は、
前記配電系統において前記分散型エネルギーリソースの電力制御量を制御しても電力潮流が変化しない範囲を縮約する、
請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項4】
前記系統縮約部は、
前記配電系統において電圧源と電力制御量の制御が可能な前記分散型エネルギーリソースとの区間を除く範囲を縮約する、
請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項5】
前記系統縮約部は、
前記配電系統において縮約する範囲の区間を、当該区間に流れ込む電力に応じた負荷として扱う、
請求項3または請求項4に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項6】
前記系統縮約部は、
前記配電系統において縮約する範囲の区間への分岐点の電圧上限値を、当該区間の電圧の変化量に基づいて更新する、
請求項3または請求項4に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項7】
前記電力制御量計算部により計算された前記電力制御量を前記分散型エネルギーリソースへ送信する通信部、
を備える請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項8】
前記通信部は、
アグリゲータが有するサーバを介して前記分散型エネルギーリソースへ前記電力制御量を送信する、
請求項7に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項9】
前記通信部は、
アグリゲータが有するサーバを介さずに直接的に前記分散型エネルギーリソースへ前記電力制御量を送信する、
請求項7に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項10】
前記通信部は、
一般送配電事業者が有するサーバを介して前記分散型エネルギーリソースへ前記電力制御量を送信する、
請求項7に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項11】
一般送配電事業者が有するサーバから前記系統情報および前記負荷発電情報を取得する通信部、
を備える請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項12】
前記制御可能量取得部は、
アグリゲータが有するサーバから前記制御可能量を取得する、
請求項2に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項13】
前記制御可能量取得部は、
アグリゲータが有するサーバを介さずに直接的に前記分散型エネルギーリソースから前記制御可能量を取得する、
請求項2に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項14】
前記制御可能量取得部は、
一般送配電事業者が有するサーバから前記制御可能量を取得する、
請求項2に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項15】
前記配電系統内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を示す情報が含まれる負荷発電予測情報を取得する予測情報取得部を備え、
前記潮流計算部は、
前記系統情報と前記負荷発電予測情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する、
請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項16】
前記配電系統内の各地点における負荷および発電量の将来を予測する負荷発電量予測部を備え、
前記潮流計算部は、
前記系統情報と前記負荷発電量予測部による負荷および発電量の予測とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する、
請求項1に記載の分散型エネルギーリソース管理システム。
【請求項17】
配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する潮流計算部と、
前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成する系統縮約部と、
前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する電力制御量計算部と、
を備える分散型エネルギーリソース管理制御装置。
【請求項18】
分散型エネルギーリソース管理システムにおける制御方法であって、
潮流計算部が、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算するステップと、
系統縮約部が、前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成するステップと、
電力制御量計算部が、前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算するステップと、
を含む制御方法。
【請求項19】
コンピュータに、
配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算させるステップと、
前記潮流の計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成させるステップと、
前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分散型エネルギーリソース管理システム、分散型エネルギーリソース管理制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や電気自動車、蓄電池等の分散型エネルギーリソース(DER:Distributed Energy Resource)が普及・拡大してきている。送配電系統の電圧および電流をより低コストで適正に維持するために、系統の増強に代えて分散型エネルギーリソースを管理制御する分散型エネルギーリソース管理制御装置(DERMS:Distributed Energy Resource Management Systems)が注目されている。どの分散型エネルギーリソースにどれだけ制御させるかを最適化する手法として最適潮流計算(OPF:Optimal Power Flow)がある。最適潮流計算(OPF)は、系統の電圧および電流の制約を満たしつつ、例えばコストが最小化されるように、各分散型エネルギーリソースの制御配分を最適化して決定する。
【0003】
最適潮流計算(OPF)を実行する際には、系統のノード・ブランチの数だけ方程式を解く必要があることから、収束性・計算時間の観点から、系統のノード・ブランチ数が少ない方が望ましい。そこで、系統を縮約して最適潮流計算(OPF)を実行することで計算負荷を削減する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7040693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、系統の縮約の際に、配電系統以下を1つの分散型エネルギーリソースとして縮約することを前提としており、縮約した分散型エネルギーリソースの制御範囲を近似的に算出している。そのため、縮約前に対して等価性が維持されず、最適潮流計算(OPF)を精度よく行うことができない場合があった。
【0006】
本開示は、上記した事情に鑑みてなされたもので、分散型エネルギーリソースが接続されている配電系統を、最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる分散型エネルギーリソース管理システム、分散型エネルギーリソース管理制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る分散型エネルギーリソース管理システムは、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する潮流計算部と、前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成する系統縮約部と、前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する電力制御量計算部と、を備える。
【0008】
また、本開示に係る分散型エネルギーリソース管理制御装置は、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する潮流計算部と、前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成する系統縮約部と、前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する電力制御量計算部と、を備える。
【0009】
また、本開示に係る分散型エネルギーリソース管理システムにおける制御方法は、潮流計算部が、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算するステップと、系統縮約部が、前記潮流計算部による計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成するステップと、電力制御量計算部が、前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算するステップと、を含む。
【0010】
また、本開示に係るプログラムは、コンピュータに、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、前記配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、前記配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算させるステップと、前記潮流の計算結果と前記分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、前記配電系統を縮約した縮約配電系統を生成させるステップと、前記縮約配電系統を用いて前記分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、分散型エネルギーリソースが接続されている配電系統を、最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図2】第1の実施形態に係るDERMSの構成の一例を示す概略ブロック図。
図3】第1の実施形態に係るDER制御可能量の説明図。
図4】第1の実施形態に係る配電系統の縮約例を示す模式図。
図5】第1の実施形態に係る縮約後のPQ指定負荷の一例を示す模式図。
図6】第1の実施形態に係る縮約後の各地点の電圧の上下限の一例を示す模式図。
図7】第1の実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャート。
図8】第2の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図9】第3の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図10】第4の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図11】第5の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図12】第5の実施形態に係るDERMSの構成の一例を示す概略ブロック図。
図13】第5の実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャート。
図14】第6の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図。
図15】第6の実施形態に係るDERMSの構成の一例を示す概略ブロック図。
図16】第6の実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャート。
図17】実施形態に係るハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例について説明する。
【0014】
(機器管理システムの構成)
図1は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続された分散型エネルギーリソース(以下、「DER」と称する)を管理制御するシステムである。配電系統5に接続されるDERには、例えば、太陽光発電(PV)、電気自動車(EV)、EV充電器、系統用蓄電池、家庭用EV充電器、家庭用蓄電池などがある。また、配電系統5の途中には、配電線における電圧降下を自動で調整するための変圧器である自動電圧調整器(SVR:Step Voltage Regulator)が設けられている。
【0015】
分散型エネルギーリソース管理システム1は、DERが接続された配電系統5の電圧および電流を適正に維持すべく各DERの電力制御量の配分を計算する過程において、等価性を維持した系統縮約手段を有することにより、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷の削減が可能である。例えば、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電自動化システム10と、アグリゲータシステム20と、分散型エネルギーリソース管理制御装置30(以下、「DERMS30」と称する)とを備えている。
【0016】
配電自動化システム10は、配電系統5の設備維持管理のために一般送配電事業者が有するシステムであり、1または複数のコンピュータ(サーバ)によって構成されている。例えば、配電自動化システム10は、配電系統5の系統情報および負荷発電情報を有している。系統情報とは、系統トポロジー、線路インピーダンスなどの情報であり、DERの設置箇所および接続形態を示す情報などが含まれる。例えば、系統情報は、一般送配電事業者または運用者によって入力される。
【0017】
負荷発電情報は、配電系統5の系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報(例えば、系統内の地点別に所定時間(例えば、30分)ごとの有効電力および無効電力のプロファイル)が含まれる。例えば、配電自動化システム10は、各需要家のスマートメータおよび配電線の途中に設置されているセンサ(電圧センサ、電流センサなど)と通信ネットワークを介して接続されており、スマートメータの計量値、またはセンサの計測値から負荷発電情報を算出する。配電自動化システム10は、系統情報および負荷発電情報をデータベースなどに蓄積する。
【0018】
アグリゲータシステム20は、1または複数のコンピュータ(サーバ)によって構成されている。アグリゲータは、各需要家の電力需要を束ねて効率的にエネルギーマネジメントサービスを提供する事業者である。例えば、アグリゲータシステム20は、配電系統5に接続されている各DERおいて制御可能な電力の範囲を示す制御可能量を把握(記憶)している。また、アグリゲータシステム20は、DERMS30からの司令に応じて、配電系統5に接続されている各DERが制御する電力制御量を調整する。
【0019】
DERMS30は、1または複数のコンピュータ(サーバ)によって構成されており、最適潮流計算(OPF)を行うことにより、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化する。例えば、DERMS30は、通信ネットワークを介して配電自動化システム10から系統情報および負荷発電情報を取得し記憶する。また、DERMS30は、通信ネットワークを介してアグリゲータシステム20から各DERの制御可能量(DER制御可能量)を取得して記憶する。DERMS30は、系統情報および負荷発電情報に基づいて配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算し、潮流の計算結果とDERの設置箇所とに基づいて配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成する。そしてDERMS30は、縮約配電系統を用いて最適潮流計算(OPF)を行い、各DERが制御する電力制御量を計算する。
【0020】
DERMS30は、各DERが制御する電力制御量(有効電力および無効電力の制御量)を示す情報を電力制御量の司令(以下、「電力制御量司令」と称する)として、通信ネットワークを介してアグリゲータシステム20へ送信する。アグリゲータシステム20は、DERMS30から取得した電力制御量司令に基づいて、各DERに対する電力制御量の割当を行い、各DERに対して電力制御量の整定値の指令を送信する。即ち、DERMS30は、アグリゲータシステム20を介して電力制御量を各DERへ送信する。各DERは、アグリゲータシステム20から取得した電力制御量に制御する。
【0021】
(DERMSの構成)
図2は、本実施形態に係るDERMS30の構成の一例を示す概略ブロック図である。DERMS30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備えている。通信部31は、通信ネットワークを介して、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20などと通信を行う。
【0022】
記憶部32は、DERMS30が通信ネットワークを介して取得した情報、DERMS30が生成した情報などを記憶する。例えば、記憶部32は、配電自動化システム10またはアグリゲータシステム20から取得した、系統情報、負荷発電情報(系統トポロジー、線路インピーダンスなど)、DERの設置箇所、DER制御可能量などを記憶する。また、記憶部32は、後述の制御部33による処理結果を記憶する。
【0023】
制御部33は、コンピュータがプログラムを実行することにより実現する機能構成として、負荷発電情報取得部331と、DER制御可能量取得部332(制御可能量取得部の一例)と、潮流計算部333と、系統縮約部334と、電力制御量計算部335とを備える。
【0024】
負荷発電情報取得部331は、通信部31を介して配電自動化システム10から系統情報および負荷発電情報を取得して記憶部32に記憶させる。例えば、系統情報には、配電系統5の接続形態を点および線などでモデル化した系統トポロジー、配電系統5に接続されたDERの設置箇所などを示す情報が含まれる。
【0025】
DER制御可能量取得部332は、通信部31を介してアグリゲータシステム20からDER制御可能量を取得して記憶部32に記憶する。例えば、DER制御可能量取得部332は、各DERの有効電力の制御可能範囲、無効電力の制御可能範囲、皮相電力の制御可能範囲、力率制約の有無に関する情報をアグリゲータシステム20から取得する。DER制御可能量取得部332が各DERからDER制御可能量を取得するタイミングおよび頻度は任意であり、例えば1日に1回、30分ごとなどである。
【0026】
図3は、本実施形態に係るDER制御可能量の説明図である。この図では、有効電力Pと無効電力QとのPQ座標上に、有効電力の制御可能範囲、無効電力の制御可能範囲、皮相電力の制御可能範囲(容量制約)、および力率制約を示している。
【0027】
この図において、円の内側の範囲が皮相電力の制御可能範囲(容量制約)を示す。また、2本の破線の内側の範囲が有効電力の制御可能範囲を示し、2本の一点鎖線の内側の範囲が無効電力の制御可能範囲を示す。また、2本の二点鎖線の内側の範囲(円の中の白抜きの範囲)が力率の制約を示す。
【0028】
なお、DER制御可能量としては、少なくとも皮相電力の制御可能範囲(容量制約)が含まれればよいが、有効電力の制御可能範囲、無効電力の制御可能範囲、および力率制約も含まれた方がより好ましい。
【0029】
図2に戻り、潮流計算部333は、配電系統5の系統情報および負荷発電情報に基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。つまり、潮流計算部333は、配電系統5のどの位置にどれだけの発電・負荷(kW)、無効電力の消費(kVar)があると、各地点の電圧および電流がどうなるかを計算する。
【0030】
系統縮約部334は、潮流計算部333による計算結果とDERの設置箇所とに基づいて、配電系統5(系統トポロジー)を縮約した縮約配電系統(縮約系統トポロジー)を生成する。具体的には、系統縮約部334は、配電系統5においてDERの電力制御量を制御しても(即ち、電力制御量が変化しても)有効電力および無効電力の電力潮流(PQ潮流)が変化しない範囲を潮流計算部333による計算結果に基づいて抽出する。そして、系統縮約部334は、電力潮流が変化しない範囲を縮約する。
【0031】
図4は、本実施形態に係る配電系統の縮約例を示す模式図である。上段に縮約前の配電系統、下段に縮約後の配電系統を示している。縮約前の配電系統は、電圧源A(配電用変電所)に接続される配電系統において分岐点GにDERが接続されている。この配電系統において電圧源AとDERが接続されている分岐点Gとの区間Kは、DERを制御したときに電力潮流が変化する。系統縮約部334は、この電圧源AとDERが接続されている分岐点Gとの区間Kを除く範囲(電力潮流が変化しない範囲)を縮約する。図示する例では、分岐点C、分岐点D、分岐点F、および分岐点Gのそれぞれから分岐する分岐1、分岐2、分岐3、および分岐4の範囲がDERを制御しても電力潮流が変化しない範囲であり、これらの範囲が縮約される。
【0032】
また、系統縮約部334は、縮約する範囲(分岐1、分岐2、分岐3、および分岐4それぞれの区間)を縮約後の配電系統では省略して、当該区間に流れ込む電力に応じたPQ指定負荷PQ1、PQ2、PQ3、およびPQ4として扱う。また、系統縮約部334は、縮約する範囲の区間への分岐点C、分岐点D、分岐点F、および分岐点Gそれぞれの電圧上限値を、縮約前の当該区間の電圧の変化量に基づいて更新する。ここで、系統縮約部334は、縮約後の系統条件(縮約後のPQ指定負荷の値、縮約系統の電圧上下限値など)を潮流計算部333による計算結果に基づいて決定する。具体的には図5および図6を参照して説明する。
【0033】
図5は、本実施形態に係る縮約後のPQ指定負荷の一例を示す模式図である。ここでは、図4に示す分岐1の範囲を縮約して指定負荷PQ1として扱う例を示している。潮流計算部333による計算結果に基づいて分岐した区間へ流れる電力が分かる。例えば、分岐点Cから分岐1の区間へ100kWの有効電力が流れ込んでいる場合、縮約後は、分岐1の区間を省略して分岐点Cに100kWのPQ指定負荷が接続されているとものとして扱う。なお、無効電力についても同様であり、分岐点Cから分岐1の区間へ50kVarの無効電力が流れ込んでいる場合、縮約後は、分岐点Cに50kVarのPQ指定負荷が接続されているとものとして扱う。
【0034】
図6は、本実施形態に係る縮約後の各地点の電圧の上下限の一例を示す模式図である。電圧の上下限は、電気事業法で定められている制約である。潮流計算部333による計算結果に基づいて分岐した区間の電圧の変化量(ΔV)がわかる。例えば、分岐点Cから分岐される分岐1の区間で100Vの電圧上昇がある場合、縮約後は、分岐1の区間を省略して分岐点Cの電圧上限値を100V下げる。電圧上限値を100V下げることにより、この上限値の制約を満たしていれば、DERの制御によって分岐点Cの電圧が変わったとしても、省略した分岐1の区間で制約違反が発生しない。
【0035】
図2に戻り、電力制御量計算部335は、縮約配電系統を用いて最適潮流計算(OPF)を行い、各DERが制御する電力制御量の配分を決定する。例えば、電力制御量計算部335は、縮約配電系統を用いて各DERが制御する電力制御量を計算する際に、各DER制御可能量の範囲内となるように電力制御量を計算する。最適化の手法は、いずれかに限定されるものではなく任意の公知の手法(ヒューリスティック手法、数理最適化手法など)を適用することができる。例えば、電力制御量計算部335は、配電系統5内の電圧および電流が適正範囲内で、且つ合計の制御コストが最小となるようなDERの制御配分を最適潮流計算(OPF)によって決定する。
【0036】
通信部31は、電力制御量計算部335により計算された電力制御量をDERへ送信する。例えば、通信部31は、アグリゲータシステム20を介してDERへ電力制御量を送信する。
【0037】
(最適潮流制御処理の動作)
次に、図7を参照して、DERMS30が配電系統5を縮約して最適潮流計算(OPF)を行う最適潮流制御処理の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
(ステップS101)DERMS30は、アグリゲータシステム20から配電系統5に接続されている各DERのDER制御可能量を取得して記憶する。そして、ステップS103へ進む。
【0039】
(ステップS103)DERMS30は、配電自動化システム10から配電系統5の系統情報および負荷発電情報を取得し、取得した系統情報および負荷発電情報に基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。なお、DERMS30は、配電系統5の系統情報を配電自動化システム10から予め取得しておいてもよい。そして、ステップS105へ進む。
【0040】
(ステップS105)DERMS30は、ステップS103における潮流計算結果およびDERの設置箇所に基づいて、配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成する(図4~6参照)。そして、ステップS107へ進む。
【0041】
(ステップS107)DERMS30は、縮約配電系統を用いて最適潮流計算(OPF)を行い、各DERが制御する電力制御量の配分を決定する。そして、ステップS109へ進む。
【0042】
(ステップS109)DERMS30は、ステップS107で決定した各DERの電力制御量を通知するための電力制御量司令をアグリゲータシステム20へ送信する。即ち、DERMS30は、ステップS107で決定した各DERの電力制御量を、アグリゲータシステム20を介して各DERへ送信する。
【0043】
以上説明してきたように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続されたDER(分散型エネルギーリソース)の設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、配電系統5内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、潮流計算結果とDERの設置箇所とに基づいて、配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成する。そして、分散型エネルギーリソース管理システム1は、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算する。
【0044】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流に基づいて配電系統5を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。よって、分散型エネルギーリソース管理システム1は、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0045】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、DERにおいて制御可能な電力の範囲を示すDER制御可能量(制御可能量の一例)を取得する。そして、分散型エネルギーリソース管理システム1は、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算する際に、DER制御可能量の範囲内となるように電力制御量を計算する。
【0046】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を、DER制御可能量の範囲内で最適化することができる。
【0047】
なお、分散型エネルギーリソース管理システム1は、DER制御可能量を取得せずに(DER制御可能量を用いずに)、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算してもよい。例えば、分散型エネルギーリソース管理システム1が計算した電力制御量がDER制御可能量の範囲内であるか否かをアグリゲータシステム20が確認してもよい。
【0048】
例えば、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5においてDERの電力制御量を制御しても電力潮流が変化しない範囲を縮約する。
【0049】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、DERを制御しても電力潮流が変化しない範囲を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。
【0050】
例えば、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5において電圧源と電力制御量の制御が可能なDERとの区間を除く範囲を縮約する。
【0051】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5において電圧源とDERとの区間を除く範囲を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。
【0052】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5において縮約する範囲の区間を、当該区間に流れ込む電力に応じたPQ指定負荷(負荷の一例)として扱う。
【0053】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、電力潮流が変化しない範囲をPQ指定負荷として縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。
【0054】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5において縮約する範囲の区間への分岐点の電圧上限値を、当該区間の電圧の変化量に基づいて更新する。
【0055】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、縮約配電系統を用いて、電圧上限値の制約違反が発生しないように最適潮流計算(OPF)を行うことができる。
【0056】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、縮約配電系統を用いて計算した電力制御量をDERへ送信する。
【0057】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続されているDERの電力制御量を最適化することができる。
【0058】
例えば、分散型エネルギーリソース管理システム1は、DERMS30からアグリゲータシステム20(アグリゲータが有するサーバの一例)を介してDERへ電力制御量を送信する。
【0059】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化することができる。
【0060】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電自動化システム10(一般送配電事業者が有するサーバの一例)からDERMS30が配電系統5の系統情報および負荷発電情報を取得する。
【0061】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算することができる。
【0062】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、アグリゲータシステム20からDERMS30がDER制御可能量を取得する。
【0063】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1は、配電系統5に接続されている各DERの制御可能な電力の範囲を把握することができ、各DERの電力制御量をDER制御可能量の範囲内で最適化することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るDERMS30(分散型エネルギーリソース管理制御装置)は、配電系統5に接続されたDER(分散型エネルギーリソース)の設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、配電系統5内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。また、分散型エネルギーリソース管理システム1は、潮流計算結果とDERの設置箇所とに基づいて、配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成する。そして、分散型エネルギーリソース管理システム1は、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算する。
【0065】
これにより、DERMS30は、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流に基づいて配電系統5を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。よって、分散型エネルギーリソース管理システム1は、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1におけるDERの制御方法は、潮流計算部333が、配電系統5に接続されたDERの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、配電系統5内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算するステップと、系統縮約部334が、潮流計算部333による計算結果とDERの設置箇所とに基づいて、配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成するステップと、電力制御量計算部335が、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算するステップと、を含む。
【0067】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1におけるDERの制御方法は、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流に基づいて配電系統5を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。よって、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1におけるプログラムは、コンピュータに、配電系統5に接続されたDERの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、配電系統5内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算させるステップと、潮流の計算結果とDERの設置箇所とに基づいて、配電系統5を縮約した縮約配電系統を生成させるステップと、縮約配電系統を用いてDERが制御する電力制御量を計算させるステップと、を実行させる。
【0069】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1におけるプログラムは、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流に基づいて配電系統5を縮約するため、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができる。よって、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0070】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1では、DERMS30は、アグリゲータシステム20を介して電力制御量を各DERへ送信したが、本実施形態では、アグリゲータシステム20を介さずに直接的に各DERへ送信してもよい。
【0071】
図8は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。この図において、図1に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1Aでは、配電系統5に接続されている複数のDERのうちの一部がアグリゲータシステム20で管理されておらず、それらのDERは、DERMS30と直接的に通信を行う。
【0072】
DERMS30のDER制御可能量取得部332は、アグリゲータシステム20で管理されているDERについては、通信部31を介してアグリゲータシステム20からDER制御可能量を取得する。また、電力制御量計算部335は、最適潮流計算(OPF)を用いて計算した電力制御量(有効電力および無効電力の制御量)をDERに通知するための電力制御量司令を、通信部31を介してアグリゲータシステム20へ送信する。アグリゲータシステム20は、DERMS30から取得した電力制御量司令に基づいて、各DERに対する電力制御量の割当を行い、各DERに対して電力制御量の整定値の指令を送信する。
【0073】
一方、DER制御可能量取得部332は、アグリゲータシステム20で管理されていないDERについては、アグリゲータシステム20を介さずに直接的にDERからDER制御可能量を取得する。また、電力制御量計算部335は、各DERに対する電力制御量の割当を行い、各DERに対して直接的に電力制御量の整定値の指令を送信する。即ち、DERMS30は、アグリゲータシステム20を介さずに直接的に各DERへ電力制御量を送信する。
【0074】
このように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1Aにおいて、DERMS30は、アグリゲータシステム20を介さずに直接的にDERへ電力制御量を送信することもできる。
【0075】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Aは、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化することができる。また、分散型エネルギーリソース管理システム1Aは、第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1と同様に、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができ、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0076】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1Aにおいて、DERMS30は、アグリゲータシステム20を介さずに直接的にDERからDER制御可能量を取得する。
【0077】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Aは、配電系統5に接続されている各DERの制御可能な電力の範囲を把握することができ、各DERの電力制御量をDER制御可能量の範囲内で最適化することができる。
【0078】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
配電系統5に接続されているDERに、一般送配電事業者が有するDERが含まれる場合、それらのDERは、配電自動化システム10で管理される。本実施形態では、DERMS30は、配電自動化システム10で管理されるDERに対しては、配電自動化システム10を介し電力制御量を送信する。
【0079】
図9は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。この図において、図1に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1Bでは、配電系統5に接続されている複数のDERのうちの一部が配電自動化システム10で管理されている。
【0080】
DERMS30のDER制御可能量取得部332は、配電自動化システム10で管理されているDERについては、通信部31を介して配電自動化システム10からDER制御可能量を取得する。また、電力制御量計算部335は、最適潮流計算(OPF)を用いて計算した電力制御量(有効電力および無効電力の制御量)を示す情報を電力制御量司令として通信部31を介して配電自動化システム10へ送信する。配電自動化システム10は、DERMS30から取得した電力制御量司令に基づいて、各DERに対する電力制御量の割当を行い、各DERに対して電力制御量の整定値の指令を送信する。
【0081】
なお、DERMS30のDER制御可能量取得部332は、アグリゲータシステム20で管理されているDERについては、通信部31を介してアグリゲータシステム20からDER制御可能量を取得する。また、電力制御量計算部335は、最適潮流計算(OPF)を用いて計算した電力制御量(有効電力および無効電力の制御量)を示す情報を電力制御量司令として通信部31を介してアグリゲータシステム20へ送信する。アグリゲータシステム20は、DERMS30から取得した電力制御量司令に基づいて、各DERに対する電力制御量の割当を行い、各DERに対して電力制御量の整定値の指令を送信する。
【0082】
このように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1Aにおいて、DERMS30は、配電自動化システム10を介してDERへ電力制御量を送信する。
【0083】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Bは、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化することができる。また、分散型エネルギーリソース管理システム1Bは、第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1と同様に、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができ、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0084】
また、分散型エネルギーリソース管理システム1Bにおいて、DERMS30は、配電自動化システム10からDER制御可能量を取得する。
【0085】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Bは、配電系統5に接続されている各DERの制御可能な電力の範囲を把握することができ、各DERの電力制御量をDER制御可能量の範囲内で最適化することができる。
【0086】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
第1~3の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1、1A、1B(図1、8、9参照)では、DERMS30がアグリゲータシステム20と通信を行う構成例を説明したが、DERMS30は、他のシステムを介してアグリゲータシステム20と通信を行ってもよい。
【0087】
図10は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。この図において、図1に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1Cでは、DERMS30が取引システム40を介してアグリゲータシステム20からDER制御可能量を取得すること、およびDERMS30が取引システム40を介してアグリゲータシステム20へ電力制御量司令を送信することが、図1に示す構成と異なる。
【0088】
取引システム40は、1または複数のコンピュータ(サーバ)によって構成されており、一般送配電事業者およびアグリゲータとは異なる事業者が運営するシステムであってもよい。例えば、取引システム40は、アグリゲータシステム20からDER制御可能量を取得して記憶し、DERMS30からの取得要求に応じてDER制御可能量をDERMS30へ送信する。また、取引システム40は、DERMS30から電力制御量司令を取得した場合、取得した電力制御量司令をアグリゲータシステム20へ送信する。
【0089】
このように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1Cは、DERMS30とアグリゲータシステム20とが取引システム40(他のシステムの一例)を介して通信を行う構成としても、第1の実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1と同様に、DERが接続されている配電系統5を最適潮流計算(OPF)の精度が保てるように縮約することができ、最適潮流計算(OPF)の精度を保ちつつ計算負荷を削減することができる。
【0090】
なお、図10に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Cは、図1に示す分散型エネルギーリソース管理システム1の構成に対して取引システム40を追加した構成例であるが、図8に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Aおよび図9に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Bに対して取引システム40を追加した構成としてもよい。
【0091】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。
本実施形態では、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測に基づいて配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する構成例について説明する。
【0092】
図11は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。この図において、図1に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1Dは、図1に示す構成に対して、予測システム50を備えること、およびDERMS30Dが予測システム50から配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を取得して潮流計算を行うことが異なる。
【0093】
予測システム50は、1または複数のコンピュータ(サーバ)によって構成されている。例えば、予測システム50は、配電系統5内の各地点における過去の負荷および発電量のプロファイル、季節、時刻などの情報から将来の負荷需要および発電量の予測(例えば、時刻毎の予測)を行う。予測システム50は、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を示す情報が含まれる負荷発電予測情報をDERMS30Dへ送信する。
【0094】
図12は、本実施形態に係るDERMS30Dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、図2に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示するDERMS30Dは、制御部33Dが負荷発電予測情報取得部336を備える点が、図2に示すDERMS30の構成と異なる。
【0095】
負荷発電予測情報取得部336は、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を示す情報が含まれる負荷発電予測情報を予測システム50から取得する。潮流計算部333は、配電系統5の系統情報と負荷発電予測情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。
【0096】
図13は、本実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャートである。この図におけるステップS201、S205,S207、S209の各処理は、図7に示すステップS101、S105,S107、S109の各処理と同様の処理であり、その説明を省略する。
【0097】
(ステップS203)DERMS30Dは、配電自動化システム10から配電系統5の系統情報および負荷発電情報を取得する。なお、DERMS30Dは、配電系統5の系統情報を配電自動化システム10から予め取得しておいてもよい。また、DERMS30Dは、配電系統5の負荷発電予測情報を予測システム50から取得する。そして、DERMS30Dは、配電系統5の系統情報および負荷発電予測情報に基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。そして、ステップS205へ進む。
【0098】
ステップS205以降の処理は、図7に示す処理と同様であり、DERMS30Dは、ステップS203における潮流計算結果およびDERの設置箇所に基づいて配電系統5を縮約し(ステップS205)、縮約配電系統を用いて最適潮流計算(OPF)を行い(ステップS207)、電力制御量司令をアグリゲータシステム20へ送信する(ステップS209)。
【0099】
このように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1Dにおいて、DERMS30Dは、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を示す情報が含まれる負荷発電予測情報を取得する。そして、DERMS30Dは、配電系統5の系統情報と負荷発電予測情報とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。
【0100】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Dは、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測に基づいて、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化することができる。
【0101】
なお、図11に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Dは、図1に示す分散型エネルギーリソース管理システム1の構成に対して予測システム50を追加した構成例であるが、図8に示す分散型エネルギーリソース管理システム1A、図9に示す分散型エネルギーリソース管理システム1B、および図10に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Cに対して取引システム40を追加した構成としてもよい。
【0102】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
本実施形態では、第5の実施形態と同様に配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測に基づいて潮流計算を行うが、DERMS自身が負荷および発電量の予測を行う点が異なる。
【0103】
図14は、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システムの構成例を示すシステム図である。この図において、図1に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示する分散型エネルギーリソース管理システム1Eは、図1に示す構成のDERMS30に代えて、DERMS30Eが配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測を行う点が異なる。
【0104】
図15は、本実施形態に係るDERMS30Eの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、図2に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。図示するDERMS30Eは、制御部33Eが負荷発電量予測部337を備える点が、図2に示すDERMS30の構成と異なる。
【0105】
負荷発電量予測部337は、負荷発電情報取得部331が取得した負荷発電情報に基づいて、配電系統5内の各地点における過去の負荷および発電量のプロファイルを生成し、季節、時刻などの情報から将来の負荷需要および発電量の予測(例えば、時刻毎の予測)を行う。潮流計算部333は、配電系統5の系統情報と負荷発電量予測部337による負荷および発電量の予測とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。
【0106】
図16は、本実施形態に係る最適潮流制御処理の一例を示すフローチャートである。この図におけるステップS301、S305,S307、S309の各処理は、図7に示すステップS101、S105,S107、S109の各処理と同様の処理であり、その説明を省略する。
【0107】
(ステップS302)DERMS30Eは、配電系統5の系統情報および負荷発電情報を取得し、負荷および発電量の将来を予測する。そして、ステップS303へ進む。なお、DERMS30Eは、配電系統5の系統情報を配電自動化システム10から予め取得しておいてもよい。
【0108】
(ステップS303)DERMS30Eは、配電系統5の系統情報とステップS302における負荷および発電量の予測とに基づいて、配電系統5内の電圧および電流の潮流を計算する。そして、ステップS305へ進む。
【0109】
ステップS305以降の処理は、図7に示す処理と同様であり、DERMS30Eは、ステップS303における潮流計算結果およびDERの設置箇所に基づいて配電系統5を縮約し(ステップS305)、縮約配電系統を用いて最適潮流計算(OPF)を行い(ステップS307)、電力制御量司令をアグリゲータシステム20へ送信する(ステップS309)。
【0110】
このように、本実施形態に係る分散型エネルギーリソース管理システム1Eにおいて、DERMS30Eは、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来を予測する。そして、DERMS30Eは、配電系統5の系統情報と配電系統5内の各地点における負荷および発電量の予測とに基づいて、配電系統5内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する。
【0111】
これにより、分散型エネルギーリソース管理システム1Eは、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来の予測に基づいて、配電系統5に接続されている各DERの電力制御量を最適化することができる。
【0112】
なお、図14に示す分散型エネルギーリソース管理システム1Eは、図1に示す分散型エネルギーリソース管理システム1の構成に対して、配電系統5内の各地点における負荷および発電量の将来を予測するDERMS30Eを、DERMS30に代えて備える構成例であるが、図8に示す分散型エネルギーリソース管理システム1A、図9に示す分散型エネルギーリソース管理システム1B、および図10に示す分散型エネルギーリソース管理システム1CにおいてDERMS30に代えてDERMS30Eを備える構成としてもよい。
【0113】
<ハードウェア構成>
次に、第1~6の実施形態に係る配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50のハードウェア構成について説明する。配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50はコンピュータとしてのハードウェア構成を備えている。
【0114】
図17は、本実施形態に係るハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。例えば、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50は、図示するコンピュータ100が備える各構成の一部又は全部を備えている。
【0115】
コンピュータ100は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、記憶装置104と、通信部105と、入力部106と、出力部107とを備えている。
【0116】
CPU101は、ROM103または記憶装置104に記憶されているプログラムを実行することにより各種の処理を実行するプロセッサである。
【0117】
RAM102は、CPU101が実行するプログラムの読み込み領域として、又は、当該プログラムによる処理に使用するデータを書き込む作業領域として利用される。
【0118】
ROM103は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。例えば、ROM103には、システムプログラム、各種処理を実行するプログラムなどの少なくとも一部が記憶されている。
【0119】
記憶装置104は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、などを含んで構成される。例えば、記憶装置104には、システムプログラム、各種処理を実行するプログラムなどの少なくとも一部が記憶されてもよい。また、記憶装置104には、各種のデータや前述の電子証明書などが記憶される。
【0120】
通信部105は、無線LAN(Local Area Network)または有線LANによりネットワークNTに接続して、他の電子機器とデータ通信を行う。また、通信部105は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信、USB(Universal Serial Bus)などのインターフェースを備えて周辺機器類とデータ通信を行ってもよい。
【0121】
入力部106は、例えば、キーボード、タッチパッド、タッチパネル、マイクロフォンなどの入力デバイスを備えている。出力部107は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示部やスピーカなどの出力デバイスなどを備えている。
【0122】
ここで、図2、12、15に示す通信部31は、例えば図17に示す通信部105に対応する。また、図2、12、15に示す記憶部32は、例えば図17に示す記憶装置104に対応する。また、図2、12、15に示す制御部33は、例えば図17に示すCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能構成である。
【0123】
以上、実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0124】
なお、上記実施形態では、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50それぞれが通信を行う際の通信ネットワークは、インターネット、携帯電話通信網、LAN(Local Area Network)などを含む。
【0125】
また、上記実施形態では、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50は、通信ネットワークを介して各種の情報を送信または受信する例を説明したが、通信ネットワークを介さずに記憶媒体などを用いて各種の情報を授受してもよい。
【0126】
なお、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50それぞれの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0127】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記のプログラムを所定のサーバに記憶させておき、他の装置からの要求に応じて、当該プログラムを通信回線を介して配信(ダウンロード等)させるようにしてもよい。
【0128】
また、配電自動化システム10、アグリゲータシステム20、DERMS30(30D、30E)、取引システム40、および予測システム50それぞれの機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1,1A,1B,1C,1D,1E 分散型エネルギーリソース管理システム
5 配電系統
10 配電自動化システム
20 アグリゲータシステム
30,30D,30E 分散型エネルギーリソース管理制御装置(DERMS)
31 通信部
32 記憶部
33,33A,33B,33C,33D,33E 制御部
331 負荷発電情報取得部
332 DER制御可能量取得部
333 潮流計算部
334 系統縮約部
335 電力制御量計算部
336 負荷発電予測情報取得部
337 負荷発電量予測部
40 取引システム
50 予測システム
【要約】
分散型エネルギーリソース管理システムは、配電系統に接続された分散型エネルギーリソースの設置箇所および接続形態を示す情報が含まれる系統情報と、配電系統内の各地点における負荷および発電量を示す情報が含まれる負荷発電情報とに基づいて、配電系統内の各地点の電圧および電流の潮流を計算する潮流計算部と、潮流計算部による計算結果と分散型エネルギーリソースの設置箇所とに基づいて、配電系統を縮約した縮約配電系統を生成する系統縮約部と、縮約配電系統を用いて分散型エネルギーリソースが制御する電力制御量を計算する電力制御量計算部と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図17