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特許7399372通信システム、通信方法、プログラム及び通信装置
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  • 特許-通信システム、通信方法、プログラム及び通信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-07
(45)【発行日】2023-12-15
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法、プログラム及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0869 20220101AFI20231208BHJP
   H04L 41/0803 20220101ALI20231208BHJP
【FI】
H04L41/0869
H04L41/0803
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023560975
(86)(22)【出願日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 JP2023019300
【審査請求日】2023-10-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】畠澤 光
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-101104(JP,A)
【文献】特開平9-233119(JP,A)
【文献】特開2015-026923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置と複数の第2通信装置とを備え、
前記第1通信装置及び各第2通信装置は、ブロードキャスト通信により通信可能なネットワークに接続され、
前記第1通信装置は、
前記ブロードキャスト通信により前記ネットワーク経由で前記第2通信装置と通信する第1通信手段と、
前記第1通信手段により前記第2通信装置に強調表示信号を送信する第1通信制御手段と、
を備え、
前記第2通信装置は、
表示手段と、
前記ブロードキャスト通信により前記ネットワーク経由で前記第1通信装置及び他の前記第2通信装置と通信する第2通信手段と、
前記第2通信手段が前記強調表示信号を受信した場合、前記第1通信装置と通信可能なことを強調する強調表示画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザによる選択操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が前記選択操作を受け付けた場合、前記第2通信手段により前記ネットワークに遮断要求信号を送信し、前記第2通信手段が、他の前記第2通信装置が送信した前記遮断要求信号を受信した場合、前記第2通信手段による前記ネットワークとの通信を遮断する第2通信制御手段と、
を備える、
通信システム。
【請求項2】
前記第1通信制御手段はさらに、前記第1通信手段が前記遮断要求信号を受信した場合に、前記遮断要求信号を送信した前記第2通信装置との通信が可能なことを確認する確認信号を前記第1通信手段により前記ネットワークに送信する、
請求項に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第2通信制御手段はさらに、前記ネットワークとの通信を遮断してから一定時間が経過した場合に、前記ネットワークとの通信を再開する、
請求項又はに記載の通信システム。
【請求項4】
第1通信装置及び複数の第2通信装置のそれぞれがブロードキャスト通信により通信可能なネットワークに接続された通信システムにおける通信方法であって、
前記第1通信装置が前記ブロードキャスト通信により前記ネットワーク経由で各第2通信装置に強調表示信号を送信し、
前記第2通信装置が、
前記強調表示信号を受信し、
前記強調表示信号の受信に応じて、前記第1通信装置と通信可能なことを強調する強調表示画面を表示手段に表示させ、
ユーザによる選択操作を受け付け、
前記選択操作を受け付けた場合、前記ブロードキャスト通信により前記ネットワークに遮断要求信号を送信し、
他の前記第2通信装置が送信した前記遮断要求信号を受信した場合、前記ネットワークとの通信を遮断する、
通信方法。
【請求項5】
ブロードキャスト通信により通信可能なネットワーク経由で第1通信装置と通信し表示手段を備える第2通信装置に、
前記第1通信装置から強調表示信号を受信する受信処理と、
前記強調表示信号の受信に応じて、前記第1通信装置と通信可能なことを強調する強調表示画面を前記表示手段に表示させる表示処理と、
ユーザによる選択操作を受け付ける受付処理と、
前記受付処理にて前記選択操作を受け付けた場合、前記ネットワークに遮断要求信号を送信する遮断要求処理と、
他の前記第2通信装置が送信した前記遮断要求信号を受信した場合、前記ネットワークとの通信を遮断する通信制御処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項6】
通信装置であって、
表示手段と、
ブロードキャスト通信により通信可能なネットワーク経由で外部装置と通信する通信手段と、
前記通信手段が前記外部装置から強調表示信号を受信した場合、前記外部装置と通信可能なことを強調する強調表示画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザによる選択操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が前記選択操作を受け付けた場合、前記通信手段により前記ネットワークに遮断要求信号を送信し、前記通信手段が、他の前記通信装置が送信した前記遮断要求信号を受信した場合、前記通信手段による前記ネットワークとの通信を遮断する通信制御手段と、
を備える通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、通信方法、プログラム及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)、表示器(HMI:Human Machine Interface)などのFA(Factory Automation)機器を、PC(Personal Computer)、タブレット端末などの接続機器から容易に設定するための技術が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、イーサネット(登録商標)ネットワーク上のブロードキャスト通信により、IPアドレスの登録に関する設定をすることなくPCとPLCとを通信可能にし、PCから容易にPLCを設定することが可能となる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-267720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術において、PLCとPCとは同一のイーサネットネットワークに接続されている必要がある。また、設定時においてはブロードキャスト通信が行われるため、当該PC及びPLC以外の機器が接続されていないことが必要となる。
【0006】
生産現場では多数のFA機器が配置されうる。また、配置された全てのFA機器が同一のネットワークに接続されているとは限らない。そのため、特許文献1の技術によりPLCを設定するには、設定対象となるPLCとPCとが同一のネットワークに接続されていることを確認し、さらに、他のFA機器が当該ネットワークに接続されていないことを確認する必要がある。多数のFA機器が配置されている環境でこの確認をするためには、物理的な配線、ネットワーク設定などを確認する必要があり、作業負担が大きい。
【0007】
本開示の目的は、上記の事情に鑑み、ネットワークへの接続状況を容易に確認可能な通信システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本開示に係る通信システムは、
第1通信装置と複数の第2通信装置とを備え、
前記第1通信装置及び各第2通信装置は、ブロードキャスト通信により通信可能なネットワークに接続され、
前記第1通信装置は、
前記ブロードキャスト通信により前記ネットワーク経由で前記第2通信装置と通信する第1通信手段と、
前記第1通信手段により前記第2通信装置に強調表示信号を送信する第1通信制御手段と、
を備え、
前記第2通信装置は、
表示手段と、
前記ブロードキャスト通信により前記ネットワーク経由で前記第1通信装置及び他の前記第2通信装置と通信する第2通信手段と、
前記第2通信手段が前記強調表示信号を受信した場合、前記第1通信装置と通信可能なことを強調する強調表示画面を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザによる選択操作を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が前記選択操作を受け付けた場合、前記第2通信手段により前記ネットワークに遮断要求信号を送信し、前記第2通信手段が、他の前記第2通信装置が送信した前記遮断要求信号を受信した場合、前記第2通信手段による前記ネットワークとの通信を遮断する第2通信制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ネットワークへの接続状況を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態に係る通信システムの全体構成を示す図
図2】本開示の実施の形態に係る各HMIに表示される画面の一例を示す図
図3】本開示の実施の形態に係る各HMIに表示される画面の一例を示す図
図4】本開示の実施の形態に係るPCの機能的構成を示す図
図5】本開示の実施の形態に係るHMIの機能的構成を示す図
図6】本開示の実施の形態に係るPC及びHMIのハードウェア構成の一例を示す図
図7】本開示の実施の形態に係る通信システムによるHMIの設定の流れの一例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る通信システムを説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0012】
(実施の形態)
図1を参照しながら、実施の形態に係る通信システムを説明する。通信システム1は、PC10と複数のHMI20とを備える。PC10とHMI20とは、ネットワークNTを介して通信可能に接続されている。各HMI20は、タッチスクリーン200を備える。詳細は後述するが、通信システム1により、ユーザは各HMI20がネットワークNTに接続されているかを容易に確認できる。また、ユーザは、各HMI20のうち設定対象となるHMI20を、当該HMI20のタッチスクリーン200をタッチして選択することで、他のHMI20の配線を変更することなく設定対象となるHMI20を容易に設定できる。通信システム1は、本開示に係る通信システムの一例である。
【0013】
ネットワークNTは、ブロードキャスト通信により通信可能なネットワークである。ネットワークNTは、例えばイーサネットにより構築されたネットワークである。PC10及び各HMI20は、ネットワークNTを介したブロードキャスト通信により通信する。そのため、PC10が送信した信号は全てのHMI20に送信され、各HMI20が送信した信号はPC10及び他の全てのHMI20に送信される。ネットワークNTは、本開示に係るネットワークの一例である。
【0014】
PC10は、ユーザがHMI20の設定のために使用するPCである。PCは、例えばエンジニアリングツールのプログラムがインストールされたFA用のPCである。PC10の機能的構成については後述する。PC10は、本開示に係る第1通信装置の一例である。
【0015】
HMI20は、例えば生産現場に設置されるプログラマブル表示器である。上述のとおり、HMI20はタッチスクリーン200を備える。HMI20のタッチスクリーン200は、画面を表示し、ユーザからタッチ操作による入力操作を受け付ける。HMI20の機能的構成については後述する。HMI20は、本開示に係る第2通信装置の一例である。
【0016】
図2及び図3を参照しながら、通信システム1によるネットワーク接続状況の確認及びHMI20の設定について概略的に説明する。まず、ユーザがPC10を操作し、HMI20を設定するための操作を実行すると、各HMI20のタッチスクリーン200に、図2に示す画面が表示される。この画面は、PC10との通信が可能であることを強調表示する強調表示画面である。強調表示画面は、背景色を赤にする、文字を大きく表示するなど、ユーザが注目しやすい態様にて表示されることが好ましい。
【0017】
ユーザは、強調表示画面を確認することにより、強調表示画面が表示されている各HMI20がPC10と通信可能であることを認識できる。つまり、ユーザは、各HMI20がPC10と同一のネットワークに接続されていることを認識できる。また、ネットワークNTに接続されていないHMI20が仮に存在する場合、当該HMI20には強調表示画面が表示されない。そのため、ユーザは、強調表示画面が表示されていないHMI20については、PC10と同一のネットワークに接続されていないことを認識できる。
【0018】
まとめると、通信システム1によれば、ユーザは、各HMI20のタッチスクリーン200に表示される強調表示画面を確認することで、各HMI20のネットワーク接続状況を容易に確認することができる。
【0019】
強調表示画面には、タッチ操作により設定対象となるHMI20を選択できることも表示されている。ユーザが強調表示画面にしたがって、設定対象となるHMI20のタッチスクリーン200をタッチすることにより、各HMI20のタッチスクリーン200に表示される画面は、図3に示すものへと変化する。以下では、タッチされたHMI20、つまり設定対象となったHMI20をHMI20aといい、タッチされなかったHMI20、つまり設定対象とならなかったHMI20をHMI20bという。図3及び後述の図7においても同様である。これらを区別する必要がないときは単にHMI20という。
【0020】
HMI20aのタッチスクリーン200には、HMI20aが設定対象として選択され、現在設定が行われていることを示す画面が表示されている。各HMI20bのタッチスクリーン200には、現在通信が遮断されており、一定時間後に通信が復帰することを示す画面が表示されている。詳細は後述するが、ユーザによるタッチ操作のあと、HMI20bは一定時間通信を遮断し、遮断されている間に、HMI20aはPC10を自身に登録する。この登録には、PC10とHMI20aとの2者のみが、ブロードキャスト通信により通信をする必要があるため、HMI20bの通信の遮断が必要となる。登録後、PC10が設定データをブロードキャスト通信でネットワークNTに送信し、PC10を登録したHMI20aのみが設定データに基づいてHMI20a自身を設定する。
【0021】
上述のとおり、選択対象となっていないHMI20であるHMI20bは、一定時間の間自動的に通信が遮断されるので、設定対象でないHMI20bについて、HMI20b自身の電源をオフにする、HMI20bに接続されている通信ケーブルを抜くなどの物理層に関する作業を要することなく、PC10とHMI20aとの2者のみによるブロードキャスト通信を実現できる。そのため、通信システム1によれば、物理層に関する作業を要することなく、容易にHMI20aを設定できる。
【0022】
図4を参照しながら、PC10の機能的構成を説明する。PC10は、第1通信部101と第1通信制御部102と設定部103とを備える。
【0023】
第1通信部101は、ネットワークNTと接続され、ブロードキャスト通信により各HMI20と通信する。第1通信部101は、例えばイーサネットカードにより実現される。第1通信部101は、本開示に係る第1通信手段の一例である。
【0024】
第1通信制御部102は、第1通信部101を制御する。第1通信制御部102は特に、以下に説明する機能を有する。また、以下では、第1通信制御部102が第1通信部101を制御して通信を行うことを、単に「第1通信制御部102が通信する」と記載する。第1通信制御部102は、本開示に係る第1通信制御手段の一例である。
【0025】
第1通信制御部102は、ユーザが図示しない入力装置を操作してHMI20の設定を開始する操作を行った場合、強調表示画面の表示を指示する強調表示信号を、ブロードキャスト通信によりネットワークNTを経由して各HMI20に送信する。
【0026】
詳細は後述するが、第1通信制御部102は、HMI20aが送信した遮断要求信号を第1通信部101が受信した場合、当該遮断要求信号を送信したHMI20aとの通信が可能なことを確認する確認信号を、ブロードキャスト通信によりネットワークNTを経由してHMI20aに送信する。なお、この確認信号の送信は、全てのHMI20bが通信を遮断している間に行われる必要がある。そのため、第1通信制御部102は、第1通信部101が遮断要求信号を受信してから予め定められた時間が経過したのち、確認信号を送信することが好ましい。「予め定められた時間」は、全てのHMI20bが遮断要求信号を受信してから通信を遮断するまでに十分な時間である。
【0027】
第1通信制御部102は、第1通信部101がHMI20aから確認信号に対する応答を受信した場合、PC10の登録を要求する登録要求信号をブロードキャスト通信によりHMI20aに送信する。この通信も、全てのHMI20bが通信を遮断している間に行われる必要がある。登録要求信号は、少なくともPC10を識別する情報を含む。PC10を識別する情報は、例えばPC10のMAC(Media Access Control)アドレス、IP(Internet Protocol)アドレスなどである。
【0028】
第1通信制御部102は、登録要求信号を送信したのち、HMI20aを設定するための設定データを、ブロードキャスト通信により各HMI20に送信する。なお、この通信は、HMI20bが通信を復帰しているときに行われていてもよい。PC10を登録したHMI20aのみが、設定データに基づいてHMI20a自身を設定することとなるからである。なお、設定データは、後述の設定部103により作成される。
【0029】
第1通信制御部102は、設定データを送信したのち、HMI20aによるPC10の登録を解除するための解除要求信号を、ブロードキャスト通信により各HMI20に送信する。この通信も、HMI20bが通信を復帰しているときに行われていてもよい。各HMI20bはPC10を登録していないため、解除要求信号は無視されるからである。
【0030】
設定部103は、ユーザが図示しない入力装置を操作してHMI20aの設定に関する操作を行ったとき、当該操作に基づいて設定データを作成する。
【0031】
図5を参照しながら、HMI20の機能的構成を説明する。HMI20は、タッチスクリーン200と第2通信部201と第2通信制御部202と表示制御部203と設定部204とを備える。
【0032】
タッチスクリーン200は、画面を表示する機能と、ユーザからのタッチ操作を受け付ける機能とを有する。タッチスクリーン200は、表示制御部203の制御に基づいて画面を表示する。タッチスクリーン200は特に、強調表示画面を表示しているときにユーザがタッチスクリーン200をタッチしてHMI20を選択する選択操作を示す信号を第2通信制御部202及び表示制御部203に出力する。つまり、タッチスクリーン200は、ユーザによる選択操作を受け付け、受け付けた選択操作を示す信号を第2通信制御部202及び表示制御部203に出力する。タッチスクリーン200は、本開示に係る表示手段及び入力手段の一例である。
【0033】
第2通信部201は、ネットワークNTと接続され、ブロードキャスト通信によりPC10及び他のHMI20と通信する。第2通信部201は、例えばイーサネットカードにより実現される。第2通信部201は、本開示に係る第2通信手段の一例である。
【0034】
第2通信制御部202は、第2通信部201を制御する。第2通信制御部202は特に、以下に説明する機能を有する。また、以下では、第2通信制御部202が第2通信部201を制御して通信を行うことを、単に「第2通信制御部202が通信する」と記載する。第2通信制御部202は、本開示に係る第2通信制御手段の一例である。
【0035】
第2通信制御部202は、第2通信部202がPC10から強調表示信号を受信した場合、強調表示画面の表示を指示する信号を表示制御部203に出力する。
【0036】
第2通信制御部202は、タッチスクリーン200から選択操作を示す信号を受信した場合、遮断要求信号をブロードキャスト通信によりPC10及び他のHMI20に送信する。なお、「他のHMI20」は、選択操作の対象とならなかったHMI20であるため、HMI20bとなる。また、遮断要求信号を送信したHMI20は、選択操作の対象となったHMI20であるため、HMI20aとなる。
【0037】
第2通信制御部202は、第2通信部201がPC10から確認信号を受信した場合、確認信号に対する応答を、ブロードキャスト通信によりPC10に送信する。この応答は、全てのHMI20bの通信が遮断されている間に行われる必要がある。
【0038】
第2通信制御部202は、第2通信部201がPC10から登録要求信号を受信した場合、設定部204に登録要求信号を転送する。
【0039】
第2通信制御部202は、第2通信部201がPC10から設定データを受信した場合、設定データを設定部204に転送する。
【0040】
第2通信制御部202は、第2通信部201がPC10から解除要求信号を受信した場合、設定部204に解除要求信号を転送する。
【0041】
第2通信制御部202は、HMI20aが送信した遮断要求信号を第2通信部201が受信した場合、第2通信部201によるネットワークNTとの通信を遮断する。第2通信制御部202は、例えば、第2通信部201からなんら信号を送信せず、かつ第2通信部201が受信する信号を全て無視することにより、ネットワークNTとの通信を遮断する。あるいは、第2通信制御部202は、第2通信部201への電力供給を遮断することによりネットワークNTとの通信を遮断してもよい。第2通信制御部202は、遮断してから一定時間が経過したのち、第2通信部201によるネットワークNTとの通信を復帰する。
「一定時間」は、HMI20aが遮断要求信号を送信してからPC10の登録を行うまでに十分な時間である。第2通信制御部202は、通信を遮断したとき及び通信を復帰したとき、これらを示す信号を表示制御部203に出力する。
【0042】
表示制御部203は、タッチスクリーン200を制御してタッチスクリーン200に画面を表示させる。表示制御部203は特に以下の機能を有する。表示制御部203は、本開示に係る表示制御手段の一例である。
表示制御部203は、第2通信制御部202から強調表示画面の表示を指示する信号を受信した場合、図2に示すような強調表示画面を表示させる。
【0043】
表示制御部203は、タッチスクリーン200から選択操作を示す信号を受信した場合、図3に示すような、HMI20aが選択され設定中であることを示す画面を表示させる。
【0044】
表示制御部203は、第2通信制御部202から通信を遮断したことを示す信号を受信した場合、図3に示すような、HMI20bが通信遮断中であり一定時間後に通信が復帰することを示す画面を表示させる。
【0045】
表示制御部203は、第2通信制御部202から通信が復帰したことを示す信号を受信した場合、通信が復帰したことを示す画面を表示させる。
【0046】
設定部204は、第2通信制御部202を介してPC10から登録要求信号を受信した場合、登録要求信号に含まれる、PC10を識別する情報に基づいて、PC10を一時的に登録する。
【0047】
設定部204は、第2通信制御部202を介してPC10から設定データを受信した場合、設定データに基づいてHMI20自身を設定する。
【0048】
設定部204は、第2通信制御部202を介してPC10から解除要求信号を受信した場合、一時的に登録していたPC10の登録を解除する。
【0049】
次に、PC10及びHMI20のハードウェア構成の一例について、図6を参照しながら説明する。
【0050】
PC10及びHMI20は、バス1000を介して互いに接続された、プロセッサ1001と、メモリ1002と、インタフェース1003と、二次記憶装置1004と、を備える。
【0051】
プロセッサ1001は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ1001が、二次記憶装置1004に記憶された動作プログラムをメモリ1002に読み込んで実行することにより、PC10及びHMI20の各機能が実現される。
【0052】
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ1002は、プロセッサ1001が二次記憶装置1004から読み込んだ動作プログラムを記憶する。また、メモリ1002は、プロセッサ1001が動作プログラムを実行する際のワーキングメモリとして機能する。
【0053】
インタフェース1003は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。
【0054】
二次記憶装置1004は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置1004は、プロセッサ1001が実行する動作プログラムを記憶する。
【0055】
次に、図7を参照しながら、通信システム1によるHMI20の設定の流れの一例を説明する。図7に示す流れは、ユーザがPC10の図示しない入力装置を操作してHMI20の設定を開始する操作を行ったあとに行われる。また、図7及び以下の説明では、強調表示画面以外の画面表示についての説明を省略している。
【0056】
PC10の第1通信制御部102は、ユーザの操作に応じて、強調表示信号をブロードキャスト通信により各HMI20に送信する(ステップT1)。
【0057】
強調表示信号を受信した各HMI20の表示制御部203は、タッチスクリーン200に強調表示画面を表示させる(ステップT2)。
【0058】
ユーザは、設定対象となるHMI20であるHMI20aのタッチスクリーン200に表示された強調表示画面をタッチするタッチ操作を行う(ステップT3)。
【0059】
HMI20aの第2通信制御部202は、ブロードキャスト通信によりPC10及び各HMI20bに遮断要求信号を送信する(ステップT4)。
【0060】
遮断要求信号を受信した各HMI20bの第2通信制御部202は、ネットワークNTとの通信を遮断する(ステップT5)。
【0061】
遮断要求信号を受信したPC10の第1通信制御部102は、ブロードキャスト通信により確認信号をHMI20aに送信する(ステップT6)。この時点では全てのHMI20bの通信が遮断されているため、ブロードキャスト通信であっても確認信号はHMI20aにのみ送信される。HMI20bの通信が遮断されている間の他の通信についても同様である。
【0062】
確認信号を受信したHMI20aの第2通信制御部202は、ブロードキャスト通信によりPC10に応答を送信する(ステップT7)。
【0063】
応答を受信したPC10の第1通信制御部102は、ブロードキャスト通信によりHMI20aに登録要求信号を送信する(ステップT8)。
【0064】
登録要求信号を受信したHMI20aの設定部204は、PC10を一時的に登録する(ステップT9)。
【0065】
HMI20bの第2通信制御部202は、ステップT5にて遮断していた通信を復帰する(ステップT10)。なお、このステップは、ステップT8にてHMI20aが登録要求信号を受信した後であればいずれのタイミングであってもよい。
【0066】
PC10は、ステップT8に続けて、ブロードキャスト通信により各HMI20に設定データを送信する(ステップT11)。このステップがステップT10より後に行われる場合、HMI20aのみでなくHMI20bにも設定データが送信されるが、ステップT9によるPC10の登録を行ったHMI20aのみが設定データに基づく設定を行うため、問題ない。後述のステップT13についても同様である。
【0067】
設定データを受信したHMI20aの設定部204は、設定データに基づいてHMI20a自身を設定する(ステップT12)。
【0068】
PC10は、ステップT11に続けて、ブロードキャスト通信により各HMI20に解除要求信号を送信する(ステップT13)。
【0069】
解除要求信号を受信したHMI20aの設定部204は、ステップT9で一時的に登録したPC10の登録を解除する(ステップT14)。
【0070】
以上、実施の形態に係る通信システム1を説明した。通信システム1によれば、ユーザは、各HMI20のタッチスクリーン200に表示される強調表示画面を確認することで、各HMI20のネットワーク接続状況を容易に確認することができる。また、通信システム1によれば、設定対象として選択されなかったHMI20bは通信を遮断するので、PC10及びHMI20aのみがブロードキャスト通信をすることが必要となるのにも関わらず、ユーザは物理層に関する作業を要することなく、容易にHMI20aを設定できる。
【0071】
(変形例)
実施の形態においては、HMI20を設定対象のFA機器として例示した。しかし、HMI20に限らず、強調表示画面を表示可能なFA機器であっても通信システム1に適用できる。例えば表示部を備えるPLCを通信システム1に適用してもよい。
【0072】
実施の形態においては、PC10がHMI20を設定するものとしたが、PC10に限らず、タブレット端末、スマートフォンなどがHMI20を設定するものであってもよい。
【0073】
実施の形態においては、HMI20が複数あるものとしたが、HMI20は1つであってもよい。この場合も、強調表示画面の有無を確認してHMI20のネットワーク接続状況を確認できる。
【0074】
図6に示すハードウェア構成においては、PC10及びHMI20が二次記憶装置1004を備えている。しかし、これに限らず、二次記憶装置1004をPC10及びHMI20の外部に設け、インタフェース1003を介してPC10及びHMI20と二次記憶装置1004とが接続される形態としてもよい。この形態においては、USBフラッシュドライブ、メモリカードなどのリムーバブルメディアも二次記憶装置1004として使用可能である。
【0075】
また、図6に示すハードウェア構成に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いた専用回路によりPC10及びHMI20を構成してもよい。また、図6に示すハードウェア構成において、PC10及びHMI20の機能の一部を、例えばインタフェース1003に接続された専用回路により実現してもよい。
【0076】
PC10及びHMI20で用いられるプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、USBフラッシュドライブ、メモリカード、HDD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することが可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータをPC10及びHMI20として機能させることが可能である。
【0077】
また、上述のプログラムをインターネット上の他のサーバが有する記憶装置に格納しておき、当該サーバから上述のプログラムがダウンロードされるようにしてもよい。
【0078】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0079】
1 通信システム、10 PC、20、20a、20b HMI、101 第1通信部、102 第1通信制御部、103 設定部、200 タッチスクリーン、201 第2通信部、202 第2通信制御部、203 表示制御部、204 設定部、1000 バス、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 インタフェース、1004 二次記憶装置、NT ネットワーク。
【要約】
通信システム(1)は、PC(10)とHMI(20)とを備える。PC(10)は、HMI(20)と通信する第1通信部と、第1通信部によりHMI(20)に強調表示信号を送信する第1通信制御部とを備える。HMI(20)は、タッチスクリーン(200)と、PC(10)と通信する第2通信部と、第2通信部が強調表示信号を受信した場合、PC(10)と通信可能なことを強調する強調表示画面をタッチスクリーン(200)に表示させる表示制御部とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7