(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】売買ストラテジー検証方法、その装置およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20231211BHJP
G06Q 40/04 20120101ALI20231211BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2019232461
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】719008128
【氏名又は名称】フリーストリート合同会社
(72)【発明者】
【氏名】虎松 恒一
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-350455(JP,A)
【文献】特開2008-305231(JP,A)
【文献】特開2010-267103(JP,A)
【文献】特表2013-544389(JP,A)
【文献】特開2010-231636(JP,A)
【文献】特開2018-192774(JP,A)
【文献】特開2015-153117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検証装置が、あらかじめ1つもしくは複数の商品の過去の価格や出来高等の時系列情報(以下、取引情報)を記憶部に保存し、
売買対象とする1つもしくは複数の商品(以下、売買対象商品)と売買対象商品を売買するための独自のルールとを含むストラテジー(以下、売買ストラテジー)、および売買ストラテジーの検証を行う過去の期間(以下、検証期間)を入力情報として受領し、
売買ストラテジーに含まれる全ての商品の取引情報を用いて、売買ストラテジーの検証期間における成績を検証し、
その検証結果を出力する、という売買ストラテジー検証方法において、
検証装置が、既に記憶部に保存した売買ストラテジーと検証期間(以下、2つを合わせて検証情報)に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、新たな検証情報を入力情報として受領する段階と、
受領した検証情報を記憶部に保存する段階と、
検証情報の受領や保存とは非同期に、検証情報を記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行する段階と、
検証処理完了後、検証結果を検証情報と対応付けて記憶部に保存する段階と、
別途任意のタイミングで、既に保存した検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を記憶部から取得し、検証処理の進捗確認だけでなく検証結果の内容比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する段階と、
を有することを特徴とする売買ストラテジー検証方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記検証情報の記憶部への保存と共に、当該検証情報を特定可能かつ実行状態を管理可能な情報(以下、ジョブ情報)を生成し、実行待ち行列(以下、キュー)として記憶部に保存し、
前記検証処理の実行は、検証情報の受領や保存とは非同期に、キューに未実行状態のジョブ情報が残っているかどうかを監視し、未実行状態のジョブ情報が残っていた場合は、当該ジョブ情報を実行中状態に変更すると共に、該当する検証情報を記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いることによって行い、
前記検証結果の記憶部への保存と共に、当該ジョブ情報を削除あるいは当該ジョブ情報を完了状態に変更することを特徴とする売買ストラテジー検証方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、
検証装置が、複数の投資家がそれぞれ保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の端末(以下、投資家端末)との間で通信し、
各投資家端末に搭載されたブラウザ等のウェブクライアントを利用して、当該端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整した画面を表示し、
当該画面を介して入力情報の受領と情報の出力とを行い、
検証情報を入力情報として受領する前に、各投資家を特定する情報(以下、アカウント情報)を生成し、記憶部に保存する段階を有し、
前記検証情報の記憶部への保存は、アカウント情報と対応付けた形で行い、
前記検証情報の抽出は、指定されたアカウント情報に対応付く検証情報に対して行うことを特徴とする売買ストラテジー検証方法。
【請求項4】
検証情報と取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行する検証装置であって、
あらかじめ1つもしくは複数の商品の取引情報を記憶する取引情報記憶部と、
既に記憶した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、新たな検証情報を入力情報として受領する手段と
受領した検証情報を記憶する検証情報記憶部と、
検証情報の受領や保存とは非同期に、検証情報を検証情報記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を取引情報記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行する、1つもしくは複数の検証実行部と、
検証処理完了後、検証結果を検証情報と対応付けて記憶する検証結果記憶部と、
別途任意のタイミングで、既に保存した検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を検証結果記憶部から取得する手段と、
抽出した情報を元にして、検証処理の進捗確認だけでなく検証結果の内容比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する画面制御部と、
を備えることを特徴とする検証装置。
【請求項5】
請求項4記載の検証装置において、
検証情報を特定可能かつ実行状態を管理可能なジョブ情報を生成する手段を有し、
ジョブ情報をキューとして記憶するジョブ情報記憶部を有し、
ジョブ情報の状態を変更する手段を有し、
前記検証実行部が、検証情報の受領や保存とは非同期に、キューに未実行状態のジョブ情報が残っているかどうかを監視し、未実行状態のジョブ情報が残っていた場合は、当該ジョブ情報を実行中状態に変更すると共に、該当する検証情報を検証情報記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を取引情報記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いることによって検証処理を実行する
ことを特徴とする検証装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の検証装置において、
複数の投資家がそれぞれ保有する投資家端末との間で通信し、
前記画面制御部が、投資家端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整できるhtmlデータ等の画面表示データを生成し、ウェブサーバと連携し、各投資家端末に搭載されたブラウザ等のウェブクライアントを利用して当該端末上に画面を表示し、
当該画面を介して入力情報の受領と情報の出力を行い、
各投資家を特定可能なアカウント情報を生成する手段を有し、
アカウント情報を記憶するアカウント情報記憶部を有し、
前記検証情報記憶部が、検証情報をアカウント情報と対応付けて記憶し、
前記検証情報の抽出は、指定されたアカウント情報に対応付く検証情報に対して行う
ことを特徴とする検証装置。
【請求項7】
あらかじめ1つもしくは複数の商品の取引情報を記憶部に保存する処理と、
既に記憶部に保存した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、新たな検証情報を入力情報として受領する処理と、
受領した検証情報を記憶部に保存する処理と、
検証情報の受領や保存とは非同期に、検証情報を記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行する処理と、
検証処理完了後、検証結果を検証情報と対応付けて記憶部に保存する処理と、
別途任意のタイミングで、既に保存した検証情報から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を記憶部から取得する処理と、
抽出した情報を元にして、検証処理の進捗確認だけでなく検証結果の内容比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムにおいて、
前記検証情報を記憶部に保存する処理と共に、当該検証情報を特定可能かつ実行状態を管理可能なジョブ情報を生成し、キューとして記憶部に保存する処理を有し、
前記検証処理を実行する処理は、検証情報の受領や保存とは非同期に、キューに未実行状態のジョブ情報が残っているかどうかを監視し、未実行状態のジョブ情報が残っていた場合は、当該ジョブ情報を実行中状態に変更すると共に、該当する検証情報を記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いることによって行い、
前記検証結果を記憶部に保持する処理と共に、当該ジョブ情報を削除あるいは当該ジョブ情報を完了状態に変更する処理を有するプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8記載のプログラムにおいて、
ウェブサーバと連携し、複数の投資家がそれぞれ保有する投資家端末に搭載されたブラウザ等のウェブクライアントとの間で通信し、
投資家端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整できるhtmlデータ等の画面表示データを生成する処理を有し、
当該画面表示データに基づいてウェブクライアントが表示する画面を介して入力情報の受領と情報の出力を行い、
各投資家を特定可能なアカウント情報を生成し、記憶部に保存する処理を有し、
前記検証情報を記憶部に保存する処理は、アカウント情報と対応付けて行い、
前記検証情報の抽出は、指定されたアカウント情報に対応付く検証情報に対して行うプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、株式、為替、金利等の金融商品(以下、商品)の過去の価格や出来高等の時系列情報(以下、取引情報)を用いた売買ストラテジーの検証を、電気通信システムを利用して実施する方法、その装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の取引情報を分析し、投資家の売買を支援するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、商品の取引情報から様々なテクニカル指標を算出し、算出されたテクニカル指標を商品別に時系列でプロットしてチャート化し、得られたチャートから相場変化の予測指標を演算し、その結果をウェブページにまとめ、コンピューターネットワークを介して投資家に提供する方法が公開されている。
【0003】
商品の取引情報を用いて、投資家がそれぞれ独自に作成した売買ストラテジーを検証するシステムも知られている。売買ストラテジーは、多くの場合様々なテクニカル指標をベースにした仕掛けルールや手仕舞いルールから構成されるが、例えば、特許文献2には、投資家が指定した価格変動パターンを考慮して売買ストラテジーを設定する方法が公開されている。又、投資家が保有する資金量に配慮し、売買ストラテジーに資金管理ルールを組み込むことが可能なシステムも既に知られており、売買ストラテジーは複雑化する傾向にある。従来の売買ストラテジー検証システムにおいては、投資家は売買ストラテジーを検証し、最適化するために、下記に記述する(1)から(3)を必要な数だけ繰り返すという方法で行っていた。
【0004】
(1)売買対象とする1つもしくは複数の商品(以下、売買対象商品)と売買対象商品を売買するための独自のルールとを含むストラテジー(以下、売買ストラテジー)、および売買ストラテジーの検証を行う過去の期間(以下、検証期間)を検証装置に入力する。
(2)検証装置が売買ストラテジーに含まれる全ての商品の取引情報を用いて売買ストラテジーを検証している間、待機する。
(3)検証処理完了後にその結果を確認し、売買回数、勝率、合計損益、ドローダウン等の成績をメモする等の方法で、既に行った検証結果と比較し、売買ストラテジーや検証期間を修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-16282号公報
【文献】特開2013-239141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の方法には、投資家が売買ストラテジーと検証期間(以下、2つを合わせて検証情報)を入力後、検証装置による検証処理が完了するまで、新たな検証情報を入力できず、売買ストラテジーを完成させるまでに膨大な時間と手間を要するという問題点がある。これは、以下のケースにおいて顕著な問題となる。
【0007】
まず、売買対象商品が複数存在するケースである。現在、例えば株式市場に上場している全銘柄を一括検証することができるシステムが知られているが、株価指数や為替等の単一商品の検証に比べると、多くの処理時間を要する。検証結果のおおよその傾向を知るために、指定された売買対象商品の一部のみを検証することによって処理時間を短縮する、といった機能の提供も知られているが、処理時間が短くなる代わりに検証の正確性が落ちるという課題が残されている。
【0008】
次に、売買ストラテジーが複雑なケースである。売買ストラテジーは、多くの場合テクニカル指標をベースにした仕掛けルールや手仕舞いルールを含むが、それぞれが複雑になればなるほど、検証にかかる時間は長くなる。又、現在既に一部のシステムでは売買ストラテジーに資金管理ルールを組み込むことも可能となっているが、当該システムでは各投資家の持つ資金量を考慮し、実際の売買により近い形で検証が行われるため、処理時間は長くなる。
【0009】
最後に、検証期間が長いケースである。信頼性の高い売買ストラテジーを作成するには、長期間での検証が不可欠だが、検証期間が長ければ長い程、処理時間を要する。
【0010】
さらに、上記従来の方法には、こうした処理時間を要する検証を行う場合に検証装置をウェブサーバと連携させることが困難になるといった問題点もある。ウェブアプリケーションはブラウザ等のウェブクライアントからのリクエストをリアルタイムに処理して結果を返すことが求められるためである。その結果、投資家は自らが保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等、様々な通信端末からその時々の環境に応じて任意の端末を選び、広く普及したブラウザ等のウェブクライアントを用いて、端末ごとにレイアウトが調整された画面から売買ストラテジーの検証を行うことができなかった。例えば、一般の勤労者等が通勤中はスマートフォンで、帰宅後はパーソナルコンピュータで、効率的に検証を進めることが困難であった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、投資家が、処理時間を要する検証を繰り返しながら効率よく独自の売買ストラテジーを作成することのできる売買ストラテジー検証方法、その装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、投資家による検証情報の入力と、検証装置による検証処理の実行と、投資家による検証結果の確認とを分離することを特徴とする。具体的には、検証装置が、あらかじめ商品の取引情報を記憶部に保存し、既に記憶部に保存した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、新たな検証情報を入力情報として受領し、受領した検証情報を記憶部に保存し、検証情報の受領や保存とは非同期に、検証情報を記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行し、検証処理完了後に検証結果を検証情報に対応付けて記憶部に保存し、別途任意のタイミングで、既に保存した検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応づけられた検証結果を記憶部から取得し、検証処理の進捗状況の確認だけでなく検証結果の内容の比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力することを特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明の検証装置は、商品の取引情報を記憶する取引情報記憶部と、既に記憶した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく新たな検証情報を入力情報として受領する手段と、受領した検証情報を記憶する検証情報記憶部と、検証情報の受領や保存とは非同期に、検証情報を検証情報記憶部から取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を取引情報記憶部から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行する1つもしくは複数の検証実行部と、検証処理完了後に検証結果を検証情報と対応付けて記憶する検証結果記憶部と、別途任意のタイミングで既に保存した検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を検証結果記憶部から取得する手段と、抽出した情報を元にして検証処理の進捗状況の確認だけでなく検証結果の内容の比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する画面制御部とを備え、投資家が任意のタイミングで検証装置に1つもしくは複数の検証情報を入力し、別の任意のタイミングで検証装置にアクセスし、自らが既に入力した検証情報による検証処理の進捗確認だけでなく、検証結果の内容比較も同時にまとめて行うことを可能とする。
【0014】
上記の検証方法およびその装置においては、複数の投資家がそれぞれの検証情報を共通の検証装置に入力し、検証装置は各投資家を特定する情報(以下、アカウント情報)を生成して記憶部に保存し、各投資家が入力した検証情報をアカウント情報と対応付けて記憶部に保存し、上記と同様の手順で検証処理を実行して検証結果を記憶部に保存し、各投資家はそれぞれ別途任意のタイミングで共通の検証装置にアクセスし、それぞれのアカウント情報と対応付けられた検証情報を抽出し、検証処理の進捗確認や検証結果の内容比較を行ってもよい。
【0015】
さらに、上記の検証方法およびその装置においては、検証装置が、各投資家が保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の通信端末(以下、投資家端末)との間で通信し、各投資家端末に搭載されたブラウザ等のウェブクライアントを利用して当該端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整した画面を表示し、当該画面を介して入力情報の受領と情報の出力を行ってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の検証方法、その装置およびそのプログラムによれば、投資家は既に入力した検証情報に基づく検証処理の完了を待つことなく、任意のタイミングで新たな検証情報を必要な数だけ検証装置に入力し、別の任意のタイミングで自らが入力した検証情報による検証処理の進捗確認と検証結果の内容比較とを同時にまとめて行うため、時間の制約から解放されると共に、検証結果の比較のために別途メモをとるといった手間からも解放され、効率よく独自の売買ストラテジーを作成し、最適化することができるようになる。さらに、検証装置をウェブサーバと連携させることが容易になり、投資家は自らが保有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の通信端末からその時々の環境に応じて任意の端末を選び、広く普及したブラウザ等のウェブクライアントを用いて、各端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整した画面を介して売買ストラテジーの検証を進めることができるようになる。
例えば、一般の勤労者等が就寝前にパーソナルコンピュータで複数の検証情報をまとめて検証装置に入力し、起床後にその結果をまとめて確認した上で、通勤中にスマートフォンで別の検証情報を複数入力し、帰宅後パーソナルコンピュータでその結果をまとめて確認するといった効率的な検証が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1のシステム構成例を示した図。(実施例1)
【
図2】実施例1における検証装置の内部構成例を示した図。(実施例1)
【
図5】検証情報受領処理の概要を示した図。(実施例1)
【
図6】検証実行処理の概要を示した図。(実施例1)
【
図8】検証結果確認処理の概要を示した図。(実施例1)
【
図10】本発明の第2のシステム構成例を示した図。(実施例2)
【
図11】実施例2における検証装置の内部構成例を示した図。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の第1のシステム構成例を示す。検証装置100は、既に記憶した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、1つもしくは複数の新たな検証情報を入力情報として受領し、検証情報の受領や保存とは非同期に検証処理を実行し、別途任意のタイミングで既に保存した検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出した情報を元にして検証処理の進捗確認だけでなく検証結果の内容比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する。
【0019】
図2に示すように、検証装置100は、画面を生成する画面制御部110、当該画面と連携しながら情報のやりとりを制御する機能制御部120、ジョブ情報記憶部130、検証情報記憶部140、検証結果記憶部150、ジョブ情報を監視して実際の検証処理を行う検証実行部160、および取引情報記憶部170からなり、検証実行部160は複数あってもよい。
【0020】
図3に、商品の取引情報の例を示す。検証装置100は、特定の装置と通信する、もしくは指定されたファイルを読み込む等の方法で、あらかじめ1つもしくは複数の商品の取引情報を取得し、取引情報記憶部170に保持する。
【0021】
図4に、画面制御部110が生成した検証情報入力画面の例を示す。検証装置100は、既に記憶した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、新たな検証情報を入力情報として受領する。
【0022】
図5に示すように、当該検証情報を受領した機能制御部120は当該検証情報を検証情報記憶部140に保存すると共に、当該検証情報を特定可能かつ実行状態を管理可能なジョブ情報を生成し、ジョブ情報記憶部130に保存する。
【0023】
図6および
図7に示すように、検証実行部160は検証情報の受領や保存とは非同期に、一定間隔ごとにジョブ情報記憶部130をチェックし、未実行状態のジョブ情報が残っていた場合は、当該ジョブ情報を実行中状態に変更すると共に検証情報記憶部140から該当する検証情報を取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を取引情報記憶部170から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行し、検証処理完了後に検証結果を検証情報と対応付けて検証結果記憶部150に保持すると共に当該ジョブ情報を削除あるいは当該ジョブ情報を完了状態に変更する。
【0024】
図8に示すように、別途任意のタイミングで、機能制御部120は検証情報記憶部140に保持している検証情報の中から指定された条件に合うものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を検証結果記憶部150から取得し、必要に応じてジョブ情報記憶部130に保持しているジョブ情報を取得し、画面制御部110は検証処理の進捗状況の確認だけでなく検証結果の内容の比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する。
【0025】
図9に、画面制御部110が生成した検証結果一覧画面の例を示す。当該画面で、検証処理の進捗状況確認だけでなく、複数の検証結果の内容比較も行えることから、投資家は効率よく売買ストラテジーを作成し、最適化することが可能となる。又、ジョブ情報の状態を利用することで、検証処理の未実行状態と実行中状態とを区別して表示したり、検証実行中にエラーが起きたことを通知したり、といったことが可能となる。すなわち、ジョブ情報が管理する状態は、検証実行部160による未実行状態の判定だけでなく、投資家への通知内容の詳細化にも用いることができる。
【実施例2】
【0026】
図10に本発明の第2のシステム構成例を示す。検証装置100-2、投資家端末200-A(パーソナルコンピュータ)、投資家端末200-B(スマートフォン)、投資家端末200-C(タブレット)、ネットワーク300からなり、各投資家端末は通信機能を有し、それぞれブラウザ等のウェブクライアントが搭載されている。ネットワーク300はインターネットであってもローカルエリアネットワークであってもよい。本構成例では、投資家mが投資家端末100-Aと投資家端末100-Bを保有し、投資家nが投資家端末100-Cを保有しているが、投資家の数が増えても投資家端末の数が増えてもよい。検証装置100-2は各投資家端末との間で通信し、ウェブサーバと連携して当該端末に搭載されたブラウザ等のウェブクライアントを用いて当該端末上に画面を表示し、当該画面を介して入力情報の受領と情報の出力を行う。
【0027】
図11に示すように検証装置100-2は、htmlデータを生成する画面制御部110-2、当該画面と連携しながら情報のやりとりを制御する機能制御部120-2、ジョブ情報記憶部130、検証情報記憶部140-2、検証結果記憶部150、ジョブ情報を監視して実際の検証処理を行う検証実行部160、取引情報記憶部170、アカウント情報記憶部180、およびウェブサーバ190からなり、検証実行部160は複数あってもよい。
【0028】
検証装置100-2は、特定の装置と通信する、もしくは指定されたファイルを読み込む等の方法で、あらかじめ1つもしくは複数の商品の取引情報(
図3参照)を取得し、取引情報記憶部170に保持する。
【0029】
実施例1の検証装置100との違いは、実施例2の検証装置100-2は複数の投資家の情報を制御するため、あらかじめ画面制御部110-2が生成した画面を用いて当該検証装置への会員登録が行われ、各投資家を特定するアカウント情報を生成してアカウント情報記憶部180に保存する。会員登録完了後、当該アカウント情報による当該検証装置へのログインを前提として、以下に記述する検証情報の入力や検証結果の出力を行う。さらに、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の複数の投資家端末と通信するため、画面制御部110-2は投資家端末のディスプレイサイズに合わせてレイアウトを調整できるhtmlデータを生成する。
【0030】
検証装置100-2は、既に記憶した検証情報に基づく検証処理の開始や完了を待つことなく、画面制御装置110-2が生成した検証情報入力画面(
図4参照)を介して、新たな検証情報を入力情報として受領する。
【0031】
当該検証情報を受領した機能制御部120-2は当該検証情報をアカウント情報と対応付けて検証情報記憶部140-2に保存すると共に、当該検証情報を特定可能かつ実行状態を管理可能なジョブ情報を生成し、ジョブ情報記憶部130に保持する。
【0032】
検証実行装置160は検証情報の受領や保存とは非同期に、一定間隔ごとにジョブ情報記憶部130をチェックし、未実行状態のジョブ情報が残っていた場合は、当該ジョブ情報を実行中状態に変更すると共に検証情報記憶部140-2から該当する検証情報を取得し、当該検証情報に含まれる全ての商品の取引情報を取引情報記憶部170から取得し、当該検証情報と当該取引情報とを用いて検証期間における売買ストラテジーの検証処理を実行し、検証処理完了後に検証結果を検証情報と対応付けて検証結果記憶部150に保持すると共に当該ジョブ情報を削除あるいは当該ジョブ情報を完了状態に変更する(
図7参照)。
【0033】
別途任意のタイミングで、機能制御部120-2は検証情報記憶部140-2に保持している検証情報のうち指定されたアカウント情報と条件とに合致するものを抽出し、抽出された各検証情報に対応付けられた検証結果を検証結果記憶部150から取得し、必要に応じてジョブ情報記憶部130に保持しているジョブ情報を取得し、画面制御装置110-2は検証処理の進捗状況の確認だけでなく検証結果の内容の比較も可能な検証結果一覧画面を生成して出力する(
図9参照)。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の検証装置およびプログラムは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の投資家端末に搭載して提供することも、サーバ用コンピュータに搭載してクラウドサービスとして提供することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 検証装置
100-2 検証装置
110 画面制御部
110-2 画面制御部
120 機能制御部
120-2 機能制御部
130 ジョブ情報記憶部
140 検証情報記憶部
140-2 検証情報記憶部
150 検証結果記憶部
160 検証実行部
170 取引情報記憶部
180 アカウント情報記憶部
190 ウェブサーバ
200-A 投資家端末(パーソナルコンピュータ)
200-B 投資家端末(スマートフォン)
200-C 投資家端末(タブレット)
210-A ウェブクライアント(パーソナルコンピュータ)
210-B ウェブクライアント(スマートフォン)
210-C ウェブクライアント(タブレット)
300 ネットワーク