(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電池パック組立システム及びこれを用いた電池パックの組立方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20231211BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231211BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231211BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20231211BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231211BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20231211BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20231211BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/204 401H
H01M50/244 Z
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/6554
B25J15/08 P
(21)【出願番号】P 2022562564
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2021011605
(87)【国際公開番号】W WO2022050645
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0113155
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ウォン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン・テ・パク
(72)【発明者】
【氏名】チュン・クウォン・カン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110649309(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108767150(CN,A)
【文献】国際公開第2016/167873(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0050777(KR,A)
【文献】特表2021-523027(JP,A)
【文献】中国実用新案第209364638(CN,U)
【文献】国際公開第2020/027299(WO,A1)
【文献】特開2019-160741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/60
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを整列して供給する電池セル供給部と、
前記複数の電池セルを移動させるロボットアームと、
前記複数の電池セルをプラズマ処理するプラズマ処理部と、
前記複数の電池セルを収容する電池パックケースが配置される組立部と、
を含む、電池パック組立システム。
【請求項2】
前記電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクをさらに含む、請求項1に記載の電池パック組立システム。
【請求項3】
前記ヒートシンクの第1面には接着剤が塗布されている、請求項2に記載の電池パック組立システム。
【請求項4】
前記ヒートシンクの前記第1面はプラズマ処理された状態で前記接着剤が塗布されている、請求項3に記載の電池パック組立システム。
【請求項5】
前記ロボットアームは、前記複数の電池セルが前記プラズマ処理部上で一定の距離で離隔した状態でプラズマ処理を遂行するように制御可能な形態を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池パック組立システム。
【請求項6】
前記一定の距離は1mmである、請求項5に記載の電池パック組立システム。
【請求項7】
前記プラズマ処理部は、前記電池セル供給部と前記組立部との間に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池パック組立システム。
【請求項8】
前記ロボットアームは、前記複数の電池セルを握るか下ろすグリッパーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池パック組立システム。
【請求項9】
前記電池パックケースの内部にはフレーム部材が装着され、
前記複数の電池セルは前記フレーム部材に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池パック組立システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック組立システムを用いた電池パックの組立方法であって、
(a)複数の電池セルを電池セル供給部に整列する段階と、
(b)前記複数の電池セルを握ってプラズマ処理部に移送する段階と、
(c)前記複数の電池セルをプラズマ処理する段階と、
(d)前記(c)段階の複数の電池セルを電池パックケースに配置する段階と、
を含む、電池パックの組立方法。
【請求項11】
前記(c)段階において、前記複数の電池セルとプラズマ処理部との間の間隔が一定である、請求項10に記載の電池パックの組立方法。
【請求項12】
前記電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクを準備し、
前記ヒートシンクの第1面をプラズマ処理する段階、及び前記プラズマ処理された前記第1面上に接着剤を塗布する段階をさらに含む、請求項10又は11に記載の電池パックの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年9月4日付の韓国特許出願第2020-0113155号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池パック組立システム及びこれを用いた電池パックの組立方法に関し、具体的には、電池パックとヒートシンクとの結合力を向上させるために、プラズマ処理を遂行する電池パック組立システム及びこれを用いた電池パックの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、繰り返し充放電が可能であるので、電池セルの使用寿命が長いという利点があり、デバイスに着脱される形態または内蔵された形態として使われており、前記二次電池をエネルギー源として使用するデバイスの種類が増加している。
【0004】
特に、リチウムイオンの移動によって充放電されるリチウム二次電池は、高いエネルギー密度及び放電電圧を有する利点により、モバイル機器や小型電子製品に使用される小型電池セルの分野だけではなく、高出力及び高電圧が必要な電気自動車や電力貯蔵システムなどのエネルギー源として使われる中大型電池パックの分野にも使われている。
【0005】
前記リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒型二次電池及び角型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類される。そのうち、円筒型二次電池は相対的に容量が大きく構造的に安定であるという利点がある。
【0006】
前記円筒型二次電池を単位セルとして含む電池パックを製造するために、電池パックケース内に複数の円筒型電池セルをコンパクトに配置し、ヒートシンクのような放熱部材を付け加えた後、前記電池パックケースを密封する過程を含むことができる。
【0007】
前記ヒートシンクと複数の電池セルとの間の接着力を向上させるために、これらの間に接着剤を塗布する。ここで、前記接着剤の接着力を向上させるために、前記ヒートシンクと電池セルとの接着面にプラズマ処理を遂行することができる。
【0008】
これに関連して、
図1は従来の円筒型電池セルの底面にプラズマ処理を遂行する過程を示す斜視図を示している。
【0009】
図1を参照すると、電池パックケース100は、上部ケース110及び下部ケース120を含み、電池パックケース100内には複数の電池セル200が一定の間隔で配置される。
【0010】
上部ケース110及び下部ケース120の内部には電池セル200を安定的に固定するためのフレーム130が付加されることができる。
【0011】
複数の電池セル200は、上部ケース110と下部ケース120とが結合された状態で、上面201が上向きに配置される。複数の電池セル200の下面202に対してプラズマ処理を遂行するために、x軸を基準に電池パックを180度回転した後、下部ケース120を除去することで、複数の電池セル200の下面202が露出されるようにする。
【0012】
このような状態で、複数の電池セル200の下面202に対するプラズマ処理を遂行した後、また下部ケース120を付け加え、電池パックをx軸を基準に180度回転させて元の状態に復帰させる。
【0013】
このような方法で電池セルの下面にプラズマ処理を遂行する場合には、電池セルを電池パックケースに先に装着した後、電池パックを回転させる過程、及び上部ケースを装着してから脱着する過程が必要であるので、工程が複雑になる問題がある。
【0014】
また、プラズマ処理においては、対象物とプラズマ装置との間の距離によって前記プラズマ処理の効果に大きな差が発生する。よって、前記距離を一定に維持することが必要である。しかし、前記のような過程では、対象物とプラズマ装置との間の距離を一定に維持しにくい問題がある。
【0015】
したがって、複数の電池セルに対するプラズマ処理を簡単に遂行することで、生産性を向上させ、プラズマ処理の効果を一貫して発揮することができるように電池パックを組み立てるシステムに対する必要性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、複数の電池セルが並んで配置されるように整列された状態で前記複数の電池セルの底にプラズマ処理を遂行することで、前記複数の電池セルに対するプラズマ処理の効果を一貫して優秀に発揮することができる電池パック組立システム及びこれを用いた電池パックの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明による電池パック組立システムは、複数の電池セルを整列して供給する電池セル供給部と、前記複数の電池セルを移動させるロボットアームと、前記複数の電池セルをプラズマ処理するプラズマ処理部と、前記複数の電池セルを収容する電池パックケースが配置される組立部とを含むことができる。
【0018】
本発明による電池パック組立システムは、前記電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクをさらに含むことができる。
【0019】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記ヒートシンクの第1面には接着剤が塗布されることができる。
【0020】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記ヒートシンクの前記第1面はプラズマ処理された状態で前記接着剤が塗布されることができる。
【0021】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記ロボットアームは、前記複数の電池セルが前記プラズマ処理部上で一定の距離で離隔した状態でプラズマ処理を遂行するように制御可能な形態を有することができる。
【0022】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記一定の距離は1mmであってもよい。
【0023】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記プラズマ処理部は、前記電池セル供給部と前記組立部との間に配置されることができる。
【0024】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記ロボットアームは、前記複数の電池セルを握るか下ろすグリッパーを含むことができる。
【0025】
本発明による電池パック組立システムにおいて、前記電池パックケースの内部にはフレーム部材が装着され、前記複数の電池セルは前記フレーム部材に配置されることができる。
【0026】
また、本発明は、電池パック組立システムを用いた電池パックの組立方法を提供する。具体的には、前記電池パックの組立方法は、(a)複数の電池セルを電池セル供給部に整列する段階と、(b)前記複数の電池セルを握ってプラズマ処理部に移送する段階と、(c)前記複数の電池セルをプラズマ処理する段階と、(d)前記(c)段階の複数の電池セルを電池パックケースに配置する段階とを含むことができる。
【0027】
本発明による電池パックの組立方法において、前記(c)段階において、前記複数の電池セルとプラズマ処理部との間の間隔が一定であるってもよい。
【0028】
本発明による電池パックの組立方法は、前記電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクを準備し、前記ヒートシンクの第1面をプラズマ処理する段階、及び前記プラズマ処理された前記第1面上に接着剤を塗布する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
以上で説明したように、本発明による電池パック組立システムは、複数の電池セルを整列して供給し、前記複数の電池セルの整列状態が維持されるように移動させるロボットアームを使うので、前記電池セルを整列された状態でプラズマ処理することができる。
【0030】
したがって、プラズマ処理部から前記電池セルの底までの距離を一定に維持することができるので、均一なプラズマ処理の効果を得ることができる。
【0031】
また、プラズマ処理の最大効果を得ることができる条件を確保することで、接着剤の接着力を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来の円筒型電池セルの底面にプラズマ処理を遂行する過程を示す斜視図である。
【
図2】本発明による電池パック組立システムの平面図である。
【
図3】本発明による電池パックの分解斜視図である。
【
図6】プラズマ処理を遂行する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0034】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0036】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0037】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0038】
また、すべての数値範囲は、はっきりと除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値とを含む。
【0039】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0040】
図2は本発明による電池パック組立システムの平面図である。
【0041】
図2を参照すると、本発明による電池パック組立システムは、複数の電池セルを整列して供給する電池セル供給部300、複数の電池セルを移動させるロボットアーム400、複数の電池セルをプラズマ処理するプラズマ処理部500、及び複数の電池セルを収容する電池パックケース610が配置される組立部600を含む。
【0042】
本発明は電池パックケースに複数の電池セルを収納して電池パックを組み立てるのに使われるものであり、前記複数の電池セルの固定のために使われる接着剤の接着性を向上させるために、前記複数の電池セルの下面を改質するプラズマ処理部を含むことを特徴とする。
【0043】
前記電池セルの下面に対するプラズマ処理は、ロボットアーム400が複数の電池セルを把持した状態で遂行することができるので、電池セルに対するプラズマ処理及び電池パックの組立過程を速かに遂行することができるように、プラズマ処理部500は電池セル供給部300から供給された電池セルを組立部600に移送する経路に配置されることができる。
【0044】
すなわち、プラズマ処理部500は、電池セル供給部300と組立部600との間に配置されることができる。
【0045】
組立部600は、電池パックケース610がロボットアーム400に隣接して位置するように、電池パックケース610を移送することができる移送手段を含むことができる。
【0046】
前記移送手段としては、例えば、コンベヤーベルトまたはレールを使うことができる。
【0047】
一具体例で、前記電池セルが装着される前記電池パックケースの下面の内側面には接着剤が塗布されており、前記接着剤を介して前記電池パックケースの下面と前記電池セルとが結合される。
【0048】
前記接着剤の接着力を向上させるために、前記電池パックケースの下面にプラズマ処理を遂行した後、接着剤を塗布し、これとは別に、前記電池セルの下面にプラズマ処理を遂行することができる。すなわち、前記接着剤を介して接するようになる電池パックケースの内側面と電池セルの下面とを親水性に改質することで、接着剤の接着性を向上させることができる。
【0049】
前記電池セルは、例えば円筒型電池セルであってもよい。
【0050】
前記電池パックケースは、高さが互いに類似している上部ケース及び下部ケースからなることができ、または下面及び四つの側面からなるケース本体とケースカバーとからなる形態を有することができる。
【0051】
前記電池セル供給部300は、複数の電池セルが整列された状態で装着され、底が平たい装着部310を含む。よって、前記複数の電池セルは高低差が発生しないように整列されることができる。
【0052】
その後、装着部310は、電池セルが装着された状態でロボットアーム400に隣接して位置するように、矢印方向に移動する。
【0053】
ロボットアーム400は、装着部310で整列された電池セルをそのまま把持してプラズマ処理部500上に移送する。ここで、電池セルの整列された状態が維持される。よって、前記すべての電池セルの底とプラズマ装置との間の間隔を一定にすることができる。
【0054】
プラズマ処理された電池セルが移送される前記電池パックケースの内部にはフレーム部材が含まれ、前記複数の電池セルは前記フレーム部材に配置されることができる。よって、複数の電池セルが安定的に固定されることができる。
【0055】
他の一具体例で、
図3は本発明による電池パックの分解斜視図を示している。
【0056】
図3を参照すると、電池パックは上部ケース111及び下部ケース121からなり、上部ケース111及び下部ケース121のそれぞれの内側には、電池セル211を安定的に装着するためのフレーム部材131、132が配置される。
【0057】
図3の電池パックは、複数の電池セル211で発生した熱エネルギーの早い放熱のために、ヒートシンク140をさらに含む。
【0058】
ヒートシンク140は下部ケース121の下面の内側面と電池セル211との間に配置されることができる。このような構造の電池セルの安定的な装着のために、ヒートシンク140と電池セル211の下面との間に接着剤が塗布されることが好ましいので、ヒートシンク140において電池セル211が配置される第1面141には接着剤が塗布されることができる。
【0059】
ここで、前記ヒートシンクの第1面141に対する前記接着剤の接着力を向上させるために、ヒートシンクの第1面141はプラズマ処理された状態で前記接着剤が塗布されることができる。
【0060】
【0061】
図4を参照すると、ロボットアーム400は地面上でa方向に回転可能な形態を有し、回転可能な形態を有する3個の関節構造401、402、403を含む。
【0062】
また、ロボットアーム400は、複数の電池セル211を握るか下ろすグリッパー410を含む。
【0063】
したがって、関節構造401、402、403が展開するか折られることで、電池セル供給部から提供する複数の電池セル211を握ってプラズマ処理部に移動することができ、プラズマ処理の後、電池セル211を電池パックケースに装着する過程を遂行することができる。
【0064】
また、ロボットアーム400は、複数の電池セル211が前記プラズマ処理部上で一定の距離で離隔した状態でプラズマ処理されるように制御可能な形態を有する。
【0065】
したがって、ロボットアームによって移送されるすべての電池セルは、プラズマ装置から同等な間隔を維持した状態でプラズマ処理されるので、すべての電池セルが同一水準に改質される効果を得ることができる。
【0066】
【0067】
図5を参照すると、グリッパー410は円筒型電池セルの側面を取り囲む2個のグリッパーのうちの一つを示すものであり、円筒型電池セルの側面の約50%を取り囲む形態を有するように構成される。
【0068】
グリッパー410は、円筒型電池セルを安定的に装着することができるように、円筒型電池セルの側面に対応する形態の溝411が形成されている。
【0069】
溝411の外面は、円筒型電池セルの滑りを防止することができるように、滑り防止処理された状態を有することができる。
【0070】
もしくは、グリッパー410は円筒型電池セルの整列状態を維持しながら安定的に固定することができるように、真空吸着する形態を有することができる。
【0071】
【0072】
図6を参照すると、電池セル211はグリッパー410に装着された状態でプラズマ処理部500に移動し、プラズマ装置510の上側で停止する。
【0073】
プラズマ処理の効果はプラズマ装置510と電池セル211の下面との間の距離Hによって影響されるので、すべての電池セルで同じプラズマ効果を得るためには、プラズマ装置と電池セルの下面との間の距離Hを一定に維持しなければならない。
【0074】
本発明による電池パック組立システムを使う場合には、正確で細密な制御が可能なロボットアームを用いて電池セルを移送するので、すべての電池セルに対するプラズマ処理効果を均一に得ることができる。
【0075】
すなわち、ロボットアーム400を用いる場合には、プラズマ装置と電池セルの下面との間の距離Hを一定に維持することができる。例えば、プラズマ装置と電池セルの下面との間の距離Hは1mmとすることがある。
【0076】
前記電池パック組立システムを用いた電池パックの組立方法は、具体的には、(a)複数の電池セルを電池セル供給部に整列する段階、(b)前記複数の電池セルを握ってプラズマ処理部に移送する段階、(c)前記複数の電池セルをプラズマ処理する段階、及び(d)前記(c)段階の複数の電池セルを電池パックケースに配置する段階を含むことができる。
【0077】
ここで、前記複数の電池セルとプラズマ処理部との間の間隔を一定に維持することができる。
【0078】
また、前記電池パックにヒートシンクを含む場合、前記ヒートシンクと電池セルとの間に付加される接着剤の接着力を向上させるために、前記電池セルが上部に配置される前記ヒートシンクの第1面をプラズマ処理する段階、及び前記プラズマ処理された前記第1面上に接着剤を塗布する段階をさらに含むことができる。
【0079】
以下では本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれに限定されるものではない。
【0080】
<実施例>
電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクを準備し、前記ヒートシンクの第1面にプラズマ処理を遂行する。
【0081】
このようにプラズマ処理された第1面に接着剤を塗布することで、前記接着剤とのヒートシンクとの接着力を向上させる。
【0082】
図2に示す電池パック組立システムを用いて複数の電池セルを電池セル供給部に整列して供給し、ロボットアームを用いて前記複数の電池セルをプラズマ処理部に移送する。前記複数の電池セルの底面とプラズマ装置との間の間隔を1mmにセットし、前記複数の電池セルの底面にプラズマ処理を遂行する。
【0083】
このようにプラズマ処理された複数の電池セルを前記ヒートシンクの第1面に塗布された接着剤上に配置する。
【0084】
前記プラズマ処理に使った装置はAPI社の3d+izet製品であった。
【0085】
<比較例>
電池パックケースの内部に配置されるヒートシンクを準備し、前記ヒートシンクの第1面に接着剤を塗布した。
【0086】
図2に示す電池パック組立システムを用いて複数の電池セルを電池セル供給部に整列して供給し、ロボットアームを用いて前記複数の電池セルを移送して、前記ヒートシンクの第1面に塗布された接着剤上に配置する。
【0087】
前記実施例及び比較例で、電池セルケースに装着された電池セルの接着力を確認するために、個別電池セルがヒートシンクから分離されるときの引張力を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0088】
【0089】
前記表1を参照すると、プラズマ処理を遂行した実施例の引張力はプラズマ処理を遂行しなかった比較例の引張力より約87%程度増加することを確認することができる。
【0090】
特に、実施例で、プラズマ装置と複数の電池セルの底面との間の距離を1mmに維持した状態でプラズマ処理を遂行した場合、前記のような著しい接着力向上の効果を得ることができることが分かる。
【0091】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上で説明したように、本発明による電池パック組立システムは、複数の電池セルを整列して供給し、前記複数の電池セルの整列状態が維持されるように移動させるロボットアームを使うので、前記電池セルは整列された状態でプラズマ処理されることができる。
【0093】
したがって、プラズマ処理部から前記電池セルの底までの距離を一定に維持することができるので、均一なプラズマ処理の効果を得ることができる。
【0094】
また、プラズマ処理の最大効果を得ることができる条件を確保することにより、接着剤の接着力を著しく向上させることができる。
【符号の説明】
【0095】
100 電池パックケース
110、111 上部ケース
120、121 下部ケース
130 フレーム
131、132 フレーム部材
140 ヒートシンク
141 第1面
200、211 電池セル
201 上面
202 下面
300 電池セル供給部
310 装着部
400 ロボットアーム
401、402、403 関節構造
410 グリッパー
411 溝
500 プラズマ処理部
510 プラズマ装置
600 組立部
610 電池パックケース
H プラズマ装置と電池セルの下面との間の距離