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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231211BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020043783
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021144892
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500433225
【氏名又は名称】学校法人中部大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ペトロフ ガナシェフ
(72)【発明者】
【氏名】中野 晴香
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭二
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-516426(JP,A)
【文献】特開2016-167602(JP,A)
【文献】特開2017-107963(JP,A)
【文献】特開2000-353689(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状を呈するチャンバと、
前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、
前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置部と、
前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、
前記チャンバの、前記載置部と対向する位置に設けられ、誘電体材料を含む窓と、
前記窓を介して前記チャンバの外側に設けられ、少なくとも1つの導体を有する円形のアンテナと、
前記アンテナに電力を印加する電源と、
を備え、
前記アンテナの中心は、前記チャンバの中心軸から離隔した位置に設けられ、
前記チャンバの内径に対する前記アンテナの外径の比により、プラズマ中の高周波誘導電流の分布の、前記チャンバの内壁に近い側が、前記チャンバの内壁に流れる高周波誘導電流により相殺されるようにしたプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記チャンバの内径に対する前記アンテナの外径の比は、0.62以上、0.68以下である請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記窓の外側に、前記アンテナと並べて設けられた検出ヘッドをさらに備えた請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記検出ヘッドに接続された処理プロセスモニタをさらに備えた請求項3記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記処理プロセスモニタは、反射率測定用の分光器である請求項4記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記処理物の処理面には、処理の観察が容易な検出領域が設けられ、前記検出ヘッドは、前記検出領域に略垂直な方向に位置している請求項3~5のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記処理面の上にはレジストが設けられ、前記検出領域は前記レジストから露出している請求項6記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記検出領域は、前記処理物の周縁領域に設けられている請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波電力を印加することで発生させるプラズマに誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)がある。誘導結合型プラズマは、広い領域に高密度なプラズマを発生させることができるため各種のプラズマ処理に広く用いられている。
【0003】
誘導結合型プラズマを発生可能なプラズマ処理装置には、チャンバと、チャンバの内部に設けられ、処理物を載置する載置部と、チャンバの外部の、処理物の処理面に対向する位置に設けられたプラズマ励起用のアンテナと、が設けられている。
また、プラズマ処理装置には、処理物の処理状態やプラズマの状態を検出する検出部が設けられている。例えば、処理物に光を照射し、処理物からの反射光と照射する光との干渉光の変化に基づいて処理の終点(エンドポイント)を検出している。
【0004】
ここで、処理レート(例えば、エッチングレート)の面内分布を小さくすることを考慮すると、平面視において、発生したプラズマの中心が、処理物の処理面の中心からずれないようにすることが好ましい。一般的には、プラズマはアンテナの直下に発生するので、平面視において、アンテナの中心は、チャンバの中心軸(載置部の中心)と重なるようにしている。
【0005】
また、検出部は、チャンバの外部の、処理物の処理面に対向する位置に設けることが好ましい。ところが、チャンバの外部の、処理物の処理面に対向する位置にはアンテナが設けられている。
【0006】
この場合、アンテナを避けて検出部を設けると、処理面の所望の位置における検出ができない場合が生じる。なお、処理面とは反対の側から処理物の状態を検出することも考えられるが、光が透過しない処理物の場合には検出が困難となる。
一方、前述したように、一般的には、プラズマはアンテナの直下に発生するので、検出部を避けてアンテナを設けると、発生したプラズマの中心がアンテナをずらした分だけ、処理面の中心からずれてしまう。そのため、処理レートの面内分布の均一性が悪化するおそれがある。
【0007】
そこで、平面視において、アンテナの中心がチャンバの中心軸(載置部の中心)から離隔していても、発生したプラズマの中心が処理物の処理面の中心からずれるのを抑制することができるプラズマ処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-152445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、平面視において、アンテナの中心がチャンバの中心軸から離隔していても、発生したプラズマの中心が処理物の処理面の中心からずれるのを抑制することができるプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係るプラズマ処理装置は、略円筒状を呈するチャンバと、前記チャンバの内部にガスを供給可能なガス供給部と、前記チャンバの内部に設けられ、処理物が載置可能な載置部と、前記チャンバの内部を減圧可能な減圧部と、前記チャンバの、前記載置部と対向する位置に設けられ、誘電体材料を含む窓と、前記窓を介して前記チャンバの外側に設けられ、少なくとも1つの導体を有する円形のアンテナと、前記アンテナに電力を印加する電源と、を備えている。前記アンテナの中心は、前記チャンバの中心軸から離隔した位置に設けられ、前記チャンバの内径に対する前記アンテナの外径の比により、プラズマ中の高周波誘導電流の分布の、前記チャンバの内壁に近い側が、前記チャンバの内壁に流れる高周波誘導電流により相殺されるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、平面視において、アンテナの中心がチャンバの中心軸から離隔していても、発生したプラズマの中心が処理物の処理面の中心からずれるのを抑制することができるプラズマ処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
図2】(a)は、アンテナを例示するための模式図である。(b)は、他の実施形態に係るアンテナを例示するための模式図である。
図3】複数の導体を有する円形のアンテナの中心が、チャンバの中心軸からずれた場合を例示するための模式図である。
図4】アンテナの中心(円周の中心)のずれ量と、プラズマの移動量(ずれ量)との関係を例示するためのグラフである。
図5】アンテナの中心がチャンバの中心軸から60mmずれている場合のアンテナの外径と、プラズマの移動量(ずれ量)との関係を例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置1を例示するための模式断面図である。 図1に示すように、プラズマ処理装置1には、チャンバ2、窓3、載置部4、電源5、電源6、ゲートバルブ7、ガス供給部8、減圧部9、検出部10、アンテナ11、ファラデーシールド12、カバー13、およびコントローラ14を設けることができる。
【0014】
チャンバ2は、両端が閉塞された略円筒形状を呈している。チャンバ2は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ2は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。また、チャンバ2は、接地することができる。チャンバ2の内部には、プラズマPが発生する領域2aが設けられている。
【0015】
チャンバ2は、側面、天板2c、および底面2eを有することができる。チャンバ2の側面には、処理物100を搬入搬出するための搬入搬出口2bを設けることができる。搬入搬出口2bは、ゲートバルブ7により気密に閉鎖することができる。
【0016】
チャンバ2の天板2cには、厚み方向を貫通する孔2c1を設けることができる。孔2c1の中心は、チャンバ2の中心軸2d上に設けることができる。孔2c1は、電磁場を透過させることができる。
【0017】
窓3は、板状を呈し、チャンバ2の天板2cに設けることができる。窓3は、孔2c1を塞ぐように設けることができる。窓3は、チャンバ2の、載置部4と対向する位置に設けられている。つまり、窓3は、載置部4の載置面と対向している。窓3は、例えば、光と電磁場を透過させることができ、且つ、エッチング処理を行った際にエッチングされにくい材料から形成することが好ましい。窓3は、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0018】
載置部4は、チャンバ2の内部であって、プラズマPが発生する領域2aの下方(例えば、チャンバ2の底面2e)に設けることができる。載置部4は、例えば、電極4a、絶縁部4b、および台座4cを有することができる。
電極4aは、金属などの導電性材料から形成することができる。電極4aは、例えば、台座4cに取り付けることができる。電極4aの上面は、処理物100を載置するための載置面とすることができる。載置部4に載置された処理物100の中心の位置は、チャンバ2の中心軸2d上となるようにされる。
【0019】
なお、処理物100は、例えば、フォトマスク、マスクブランク、ウェーハ、ガラス基板などとすることができる。ただし、処理物100は、例示をしたものに限定されるわけではない。
【0020】
絶縁部4bは、電極4aと台座4cとの間に設けられている。絶縁部4bは、電極4aと台座4cとの間を絶縁する。絶縁部4bは、誘電体材料(例えば、石英など)などから形成することができる。
【0021】
台座4cは、例えば、チャンバ2の底面2eに取り付けることができる。台座4cは、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
また、載置部4には、ピックアップピンや温度制御部などを設けることもできる。
【0022】
電源5は、整合器5aを介して、アンテナ11と電気的に接続することができる。電源5は、プラズマPを発生させるための高周波電源とすることができる。電源5は、チャンバ2の内部の、プラズマPが発生する領域2aにおいて高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させる。電源5は、例えば、100KHz~100MHz程度の周波数を有する高周波電力をアンテナ11に印加することができる。この場合、電源5は、プラズマPの発生に適した比較的高い周波数(例えば、13.56MHz)を有する高周波電力をアンテナ11に印加することができる。
【0023】
整合器5aは、電源5側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるために設けられている。整合器5aは、インピーダンスの整合を取るための整合回路などを有することができる。
【0024】
電源6は、整合器6aを介して、載置部4の電極4aに電気的に接続することができる。電源6は、いわゆるバイアス制御用の高周波電源とすることができる。電源6は、載置部4に載置された処理物100に引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けることができる。電源6は、イオンを引き込むのに適した比較的低い周波数(例えば、13.56MHz以下)を有する高周波電力を電極4aに印加することができる。
【0025】
整合器6aは、電源6側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるために設けられている。整合器6aは、インピーダンスの整合を取るための整合回路などを有することができる。
【0026】
ゲートバルブ7は、O(オー)リングなどのシール部材を備えた扉を有することができる。扉は、開閉機構により開閉することができる。扉が閉まった時には、シール部材が搬入搬出口2bの周囲に押しつけられ、搬入搬出口2bが気密に閉鎖される。
【0027】
ガス供給部8は、チャンバ2の内部のプラズマPが発生する領域2aにガスGを供給することができる。ガス供給部8は、ガス収納部8a、ガス制御部8b、および開閉弁8cを有することができる。ガス収納部8a、ガス制御部8b、および開閉弁8cは、チャンバ2の外部に設けることができる。
【0028】
ガス収納部8aは、ガスGを収納し、収納したガスGをチャンバ2の内部に供給することができる。ガス収納部8aは、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。ガス収納部8aとガス制御部8bは、配管を介して接続することができる。
【0029】
ガス制御部8bは、ガス収納部8aからチャンバ2の内部に供給するガスGの流量や圧力などを制御することができる。ガス制御部8bは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。ガス制御部8bと開閉弁8cは、配管を介して接続することができる。
【0030】
開閉弁8cは、配管を介して、チャンバ2に設けられたノズル2fに接続することができる。なお、ノズル2fを複数設け、プラズマPが発生する領域2aに複数の方向から均等にガスGを供給してもよい。開閉弁8cは、ガスGの供給と停止を制御することができる。開閉弁8cは、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉弁8cの機能をガス制御部8bに持たせることもできる。
【0031】
ガスGは、プラズマPにより励起、活性化された際に、所望のラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。例えば、プラズマ処理がエッチング処理である場合には、ガスGは、処理物100の処理面100aをエッチングすることができるラジカルやイオンが生成されるものとすることができる。この場合、ガスGは、例えば、塩素を含むガス、フッ素を含むガスなどとすることができる。ガスGは、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合ガス、CHF、CHFとCFの混合ガス、SFとヘリウムガスの混合ガスなどとすることができる。なお、処理の種類やガスGの成分は例示をしたものに限定されるわけではない。
【0032】
減圧部9は、チャンバ2の内部が所定の圧力となるように減圧する。減圧部9は、ポンプ9a、および圧力制御部9bを有することができる。ポンプ9a、および圧力制御部9bは、チャンバ2の外部に設けることができる。
ポンプ9aは、チャンバ2の内部にある気体を排気することができる。ポンプ9aは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。なお、バックポンプとして、ルーツ型ドライポンプをターボ分子ポンプに接続することもできる。
【0033】
圧力制御部9bは、配管を介してポンプ9aと接続することができる。圧力制御部9bは、チャンバ2の内圧を検出する真空計などの出力に基づいて、チャンバ2の内圧が所定の圧力となるように制御することができる。なお、真空計は、ダイヤフラム式のキャパシタンスマノメータなどとすることができる。圧力制御部9bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0034】
検出部10は、プラズマ処理の最中に生じる光学的な変化に基づいて、処理物100の処理状態やプラズマの状態を検出することができる。例えば、検出部10は、プラズマ処理の終点を検出することができる。
【0035】
検出部10は、検出ヘッド10a、および制御部10bを有することができる。検出ヘッド10a、および制御部10bは、チャンバ2の外部に設けることができる。
検出ヘッド10aは、窓3を介して、載置部4に載置された処理物100の処理面100a(上面)に対向させることができる。検出ヘッド10aは、窓3の外側に、アンテナ11と並べて設けることができる。
【0036】
制御部10bは、例えば、光ファイバなどを介して検出ヘッド10aに接続することができる。制御部10bは、例えば、光学的な変化を解析する処理プロセスモニタなどとすることができる。処理プロセスモニタは、例えば、反射率測定用の分光器とすることができる。分光器が設けられていれば、所定の波長を有する光を抽出することができるので、検出精度の向上を図ることができる。また、制御部10bには、処理の状態を表示するモニタなどを設けることもできる。制御部10bは、解析結果をコントローラ14に送信することができる。
【0037】
検出部10が、干渉光に基づいて、処理面100aの処理状態を検出するものの場合には、図1に示すように、検出ヘッド10aから処理面100aに光を照射する。処理面100aからの反射光は、検出ヘッド10aに入射する。検出ヘッド10aが、処理面100aに対向していれば、検出ヘッド10aから照射された光が、処理面100aに垂直な方向から処理面100aに入射する。また、処理面100aからの反射光が検出ヘッド10aに直接入射する。そのため、処理物100の処理状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出するのが容易となる。
【0038】
また、検出部10は、プラズマPの発光スペクトルに基づいて、処理物100の処理状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出することもできる。例えば、エッチングされることで処理面100aから放出された原子や分子は、プラズマP中で電子と衝突し、励起される。励起状態から基底状態の戻るときに光が放出される。放出された光には、各原子、各分子に特異の発光スペクトルがある。発光スペクトルの中から所望の材料に関係のあるスペクトルラインに注目すれば、そのスペクトルラインの変動で、処理物100の処理状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出することができる。
【0039】
この様な場合には、プラズマPからの光を検出ヘッド10aに入射させる必要がある。検出ヘッド10aが処理面100aに対向していれば、検出ヘッド10aがプラズマPに対向していることになるので、プラズマPからの光が検出ヘッド10aに直接入射する。そのため、処理物100の処理状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出するのが容易となる。
【0040】
すなわち、検出部10は、処理面100aからの反射光を用いるものであってもよいし、プラズマPからの光を用いるものであってもよい。
ただし、プラズマ中で励起されるガスによって、発光スペクトルがブロードとなり、検出が難しくなる場合がある。また、処理面100aの大部分がレジストで覆われているときには、エッチングされる処理面100aの割合が少なくなる。そのため、処理面100aの材料が発光スペクトルに与える影響が少なくなり、検出がさらに困難となる。
【0041】
プラズマPの発光スペクトルに対して、反射光のスペクトルは、材料によって大きく異なるので、反射率測定用の分光器(内部発光源で光を出して、戻ってきた光を測定する分光器)で測定すれば、比較的簡単にプラズマ処理の終点を検出できる。さらに、処理面100aの大部分がレジストで覆われていても、光を当てる領域にレジストが無ければ、レジストによりプラズマ処理の終点の検出が妨げられることがない。そのため、検出部10は、処理面100aからの反射光を用いるものとすることがより好ましい。
【0042】
アンテナ11は、チャンバ2の外部に設けることができる。アンテナ11は、窓3の外側に設けることができる。
図2(a)は、アンテナ11を例示するための模式図である。
図2(b)は、他の実施形態に係るアンテナ110を例示するための模式図である。
図2(a)、(b)に示すように、アンテナ11、110には、複数の導体11aを設けることができる。複数の導体11aのインダクタンスLは、同じ値とすることができる。なお、インダクタンスLの値には、多少のばらつきがあってもよい。例えば、インダクタンスLの値は、製造時における誤差の範囲内でばらついていてもよい。
【0043】
複数の導体11aは、円周上に配置することができる。複数の導体11aは、等間隔で配置することができる。複数の導体11aは、互いに回転対称となる位置に設けることができる。複数の導体11aは、電源5に並列接続されている。すなわち、複数の導体11aの一方の端部のそれぞれは、電源5の端子5b1に電気的に接続されている。複数の導体11aの他方の端部のそれぞれは、接地することができる。
【0044】
この様な構成を有するアンテナ11、110を設ければ、円周上に配置された複数の導体11aの中心(アンテナ11、110の中心)に対して、互いに回転対称となる位置に電磁場を導入することができる。また、複数の導体11aは、並列接続され、且つ、インダクタンスLは同じ値となっている。そのため、チャンバ2の内部の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。すなわち、プラズマP中の互いに回転対称となる位置に同じ強さの電磁場を導入することができる。
【0045】
その結果、均一な密度のプラズマPを発生させることが容易となり、また、均一な密度のプラズマPの維持が容易となる。また、処理物100の面内における処理の均一性(例えば、エッチングレートの均一性など)を向上させることができる。
【0046】
図2(a)、(b)に示すように、複数の導体11aには電流Iが流れる。複数の導体11aは並列接続されているので、電源5に流れる電流の値が大きくなり過ぎるおそれがある。そのため、電源5には、位相を制御する位相調整部5cを並列接続することができる。位相調整部5cのサセプタンスの絶対値は、導体11aのサセプタンスの絶対値とほぼ同じとすることができる。
【0047】
位相調整部5cにおける位相は、導体11aにおける位相と逆にすることができる。この様にすれば、電源5には、導体11aに流れる電流Iと同様の振幅で逆位相の電流を流すことができる。そのため、合計のサセプタンスが減り、電源5に流れる合計電流が抑制される。その結果、電源5の過熱を抑えることができる。
【0048】
また、図2(b)に示すように、複数の導体11aのそれぞれに直列接続されたコンデンサ11bを設けることができる。コンデンサ11bは、導体11aの接地側の端部に接続することができる。複数のコンデンサ11bの容量Cは、同じ値とすることができる。なお、容量Cの値には、多少のばらつきがあってもよい。例えば、容量Cの値は、製造時における誤差の範囲内でばらついていてもよい。
【0049】
コンデンサ11bを導体11aの接地側の端部に接続すれば、複数の導体11aのリアクタンスとコンデンサ11bのリアクタンスが部分的または完全に相殺させることができる。そのため、アンテナ11のインピーダンスが低下し、アンテナ電位の最大値を低下させることができる。アンテナ電位の最大値を低下させることができれば、異常放電により窓3などが損傷するのを抑制することができる。
【0050】
図1に示すように、アンテナ11の中心(円周の中心11c)は、チャンバ2の中心軸2dから離隔した位置に設けられている。また、チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比は、例えば、0.62以上、0.68以下とすることができる。比の値をこの範囲内とすることで、発生したプラズマPの中心がチャンバ2の中心軸2dからずれるのを抑制することができる。
なお、プラズマPの移動(ずれ)を抑制できる理由などに関する詳細は後述する。
【0051】
ファラデーシールド12は、アンテナ11と窓3の間に設けることができる。ファラデーシールド12が設けられていれば、アンテナ11による高周波電界の方向と同一方向に電流経路が形成されるのを抑制することができる。そのため、チャンバ2の内部に高周波電界を発生させることができるとともに、アンテナ11とプラズマPとの間の容量結合を抑制することができる。その結果、アンテナ11から導入される電磁場のエネルギーをプラズマPの発生に効率よく利用することができる。
【0052】
また、アンテナ11とプラズマPとの間の容量結合を抑制することができるので、プラズマ処理中に窓3などに負のバイアスがかかることを抑制することができる。そのため、窓3にプラズマP中のイオンが衝突することを抑制することができるので、窓3の損傷を抑制することができる。
【0053】
カバー13は、箱状を呈し、チャンバ2の、窓3が設けられた側を覆っている。カバー13の内部には、アンテナ11、ファラデーシールド12、および検出部10の検出ヘッド10aなどを設けることができる。
【0054】
コントローラ14は、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を備えたものとすることができる。コントローラ14は、例えば、コンピュータとすることができる。コントローラ14は、記憶素子に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置1に設けられた各要素の動作を制御することができる。
【0055】
ここで、前述したように、複数の導体11aは、窓3を介して、電磁場をチャンバ2の内部に導入する。そのため、一般的には、チャンバ2の内部に均一な密度のプラズマPを発生させるために、複数の導体11aが、チャンバ2の中心軸2dを中心として円形に配置される。
【0056】
図3は、複数の導体11aを有する円形のアンテナ11の中心11cが、チャンバ2の中心軸2dからずれた場合を例示するための模式図である。
図3に示すように、一般的には、複数の導体11aが設けられた円周の中心11cが、チャンバ2の中心軸2dからずれると、発生したプラズマPの中心がアンテナ11の中心11c側にずれることになる。発生したプラズマPの中心がチャンバ2の中心軸2dからずれると、発生したプラズマPの中心が処理物100の中心からずれることになるので、処理レートの面内分布の均一性が悪化するおそれがある。
【0057】
そのため、一般的には、複数の導体11aが設けられた円周の中心11cと、チャンバ2の中心軸2dとを厳格に合わせる必要があり、製造コストの増加や生産性の低下を招いていた。
【0058】
またさらに、近年においては、処理パターンの微細化が進み、例えば、形成される凹凸や孔などの開口率が極めて小さくなっている。この様な場合には、処理される材料の量が少なくなるため、光の変化量が微小となる。また、前述の処理パターンは、一般的に処理物100の中央領域に形成される。そのため、中央領域の大部分がレジストで覆われる。したがって、中央領域ではレジストから露出する材料が減少する傾向にあり、光の変化量に基づいた検出がさらに困難となってきている。
【0059】
一方、処理物100の周縁領域は、前述の処理パターンが形成されない領域とすることができる。そのため、図1に示すように、処理物100の周縁領域に、レジストで覆われない比較的広い検出領域100bを設けることができる。すなわち、処理面100aの上にはレジストが設けられているが、検出領域100bはレジストから露出している。検出領域100bには、処理物100の処理面100aを露出させることができるので、処理される材料の量を多くすることができる。処理される材料の量が多くなれば、光の変化量が大きくなるので、プラズマの状態や処理物の状態を検出するのが容易となり、検出精度を向上させることができる。
【0060】
ところが、前述したように、一般的には、複数の導体11aが、チャンバ2の中心軸2dを中心とする円周上に配置される。またさらに、アンテナ11には複数のコンデンサ11bが設けられたり、アンテナ11と窓3の間にはファラデーシールド12が設けられたりする場合もある。
【0061】
つまり、従来の通りアンテナを配置すると、検出領域100bが設けられた処理物100の周縁領域と、導体11a、コンデンサ11b、ファラデーシールド12などが平面視において重なってしまうことがある。導体11a、コンデンサ11b、ファラデーシールド12などが処理物100の周縁領域の上方に設けられていると、検出ヘッド10aを検出領域100bの上方に設けることが困難となる。
【0062】
この場合、検出領域100bに対して傾斜した方向に検出ヘッド10aを設けるという方法が考えられる。しかし、この方法では、反射光が検出ヘッド10aに入射し難くなる。そのため、反射光を用いた検出(干渉光の変化に基づいた検出)の精度が低下するおそれがある。
【0063】
そこで、本発明者は、アンテナ11の中心11cをチャンバ2の中心軸2dからずらすことで、プラズマPの中心がどのように移動するのか鋭意調査を行った。
【0064】
まず、本発明者は、外径11dが240mmであるアンテナ11を用いて調査を行った。すると、アンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから移動させたとき(例えば左側)、プラズマPの中心がアンテナ11の移動方向と同じ方向(左側)へシフトすることを見出した。この結果は、図3に示した結果と同じ傾向であった。
なお、アンテナ11の外径11dとは、平面視において、アンテナ11の中心11cを通り対向する位置にある導体11aの外側端を結ぶ線分の長さである(図1参照)。
【0065】
次に、本発明者は、外径11dが270mmであるアンテナ11を用いて調査を行った。すると、アンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから移動させたとき(例えば左側)、プラズマPの中心がアンテナ11と逆の方向(右側)へシフトすることを見出した。この結果は、図3に示した結果とは異なる傾向であった。
【0066】
本発明者は、上記二つの知見から、アンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから移動させても、プラズマPの中心がシフトすることが無いアンテナの外径11dの範囲が有るのではないかと考察し、さらに調査を行った。
【0067】
図4は、アンテナ11の中心(円周の中心11c)のずれ量と、プラズマPの移動量(ずれ量)との関係を例示するためのグラフである。
なお、図4および後述する図5中の縦軸である「プラズマPの移動量」の負の値は、アンテナ中心11cのずれる方向とは逆方向にプラズマが移動することを意味する。また、図4中の、240mm~270mmは、アンテナ11の外径11dである。また、図4および後述する図5は、チャンバ2の内径2gが400mmの場合である。
【0068】
図4から分かるように、本発明者は、アンテナ11の外径11dを260mmとすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)をほぼ0(ゼロ)にすることができることを見出した。
【0069】
プラズマPの移動量(ずれ量)を抑制できる原因は必ずしも明らかではないが以下の様に考えることができる。
アンテナ11に高周波電流を流すと、チャンバ2の内部のプラズマ化されたガスに渦状の高周波電界が誘導される。渦状の誘導電界は、プラズマPの内部に渦状の高周波電流を流す。円形となるよう窓3を介してチャンバ2の外側に配置された複数の導体11aと、渦状の高周波電流とが、高周波誘導器の一次コイルと二次コイルの役割を果たす。
【0070】
ここで、例えば、アンテナ11を左側にずらすと、以下の2つのことが生じると考えられる。
(1)まず、プラズマP中の高周波誘導電流が、チャンバ2の内壁に近づいた左側では増え、チャンバ2の内壁から離れた右側では減る。
(2)一方、アンテナ11がチャンバ2の左側の内壁に近づいたことによって、左側の内壁に流れている誘導電流が増え、右側の内壁に流れている誘導電流が減る。この場合、左側の内壁では、内壁に流れる誘導電流が増えた分で、同じ側のプラズマP中で流れている誘導電流は減る。反対に、右側の内壁では、内壁に流れる誘導電流が減った分、プラズマP中で流れている誘導電流は増える。このため、結果的に左側のプラズマP中の誘導電流が減り、右側のプラズマP中の誘導電流が増える。
【0071】
そして、アンテナ11をずらした時のプラズマP中の誘導電流分布は、(1)と(2)の重ね合わせで決まると考えられる。誘導電流分布は、プラズマ密度分布に大きく影響する。したがって、プラズマPの分布も(1)、(2)の重ね合わせで決まると考えられる。
さらに、(1)と(2)は、逆の作用となるので、重ね合わせの効果は、それらの定量的な関係で決まる。
【0072】
ここで、前述の外径11dが240mmであるアンテナ11および外径11dが270mmであるアンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから移動させたときのプラズマPの移動量(ずれ量)について、(1)と(2)を用いて説明する。
【0073】
まず、外径11dが240mmであるアンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから左側にずらしたとき、アンテナ11の移動によるチャンバ2の左側の内壁周辺におけるプラズマP中の高周波誘導電流の増加量が、内壁に流れる高周波誘導電流の増加による高周波誘導電流の減少量よりも大きくなる。そして、アンテナ11の移動によるチャンバ2の右側の内壁周辺におけるプラズマP中の高周波誘導電流の減少量が、内壁に流れる高周波誘導電流の減少による高周波誘導電流の増加量よりも大きくなる。つまり、(1)による影響が(2)による影響よりも大きくなると考えられる。そのため、アンテナ11を左側へ動かすと、左側のプラズマ密度が増え、右側のプラズマ密度が減っているものと考えられる。そして、この現象の結果、プラズマ分布がアンテナ11と同じ方向(左側)へシフトすると考えられる。
【0074】
一方、外径11dが270mmであるアンテナ11をチャンバ2の中心軸2cから左側にずらしたとき、アンテナ11の移動によるチャンバ2の左側の内壁周辺におけるプラズマP中の高周波誘導電流の増加量が、内壁に流れる高周波誘導電流の増加による高周波誘導電流の減少量よりも小さくなる。そして、アンテナ11の移動によるチャンバ2の右側の内壁周辺におけるプラズマP中の高周波誘導電流の減少量が、内壁に流れる高周波誘導電流の減少による高周波誘導電流の増加量よりも小さくなる。つまり、(2)による影響が(1)による影響よりも大きくなると考えられる。そのため、アンテナ11を左側へ動かすと、左側のプラズマ密度が減り、右側のプラズマ密度が増えているものと考えられる。そして、この現象の結果、プラズマ分布がアンテナ11と逆の方向(右側)へシフトすると考えられる。
【0075】
この様に、(1)と(2)は、逆の作用となるので、重ね合わせの効果は、それらの定量的な関係で決まる。また、重ね合せの効果は、アンテナ11の中心11cとチャンバ2の中心軸2dとのずれ量およびアンテナ11の外径11dだけで決まるものではなく、チャンバ2の内径2gとアンテナ11の外径11dとの関係によっても変化すると考えられる。
【0076】
本発明者は上記の知見から、チャンバ2の内径2gと、アンテナ11の外径11dとの間の関係を所定の範囲内とすれば、複数の導体11aが設けられた円周の中心11cが、チャンバ2の中心軸2dからずれたとしても、発生したプラズマPの中心がチャンバ2の中心軸2dからずれるのを抑制することができることを見出した。
【0077】
ところで、処理の目的や仕様によっては、プラズマPの移動量(ずれ量)が、±10mm以内であれば、処理レート(例えば、エッチングレート)の面内分布を許容することができる。図4から分かるように、アンテナ11の外径11dが260mmである場合を除き、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから離れれば離れるほど、プラズマPの移動量(ずれ量)が大きくなる。
そこで、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれている場合において、アンテナ11の外径11dと、プラズマPの移動量(ずれ量)との関係を調査した。
【0078】
図5は、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれている場合のアンテナ11の外径11dと、プラズマPの移動量(ずれ量)との関係を例示するためのグラフである。
なお、図5は、チャンバ2の内径2gが400mmの場合である。また、下の横軸は、アンテナ11の外径11dの値を示し、上の横軸は、チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比(アンテナ11の外径11d/チャンバ2の内径2g)の値を示している。
【0079】
図5から分かるように、アンテナ11の外径11dを248mm以上、270mm以下とすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)が±10mm以内となり好ましい。
【0080】
また、図5から分かるように、アンテナ11の外径11dを254mm以上、266mm以下とすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)が±5mm以内となり、より好ましい。
【0081】
また、図5から分かるように、アンテナ11の外径11dを260mmとすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)をほぼ0(ゼロ)にすることができ、より好ましい。
【0082】
ここで、前述の通り、プラズマPの移動量(ずれ量)は、アンテナ11の外径11dだけで決まるものではなく、チャンバ2の内径2gとアンテナ11の外径11dとの関係によって決まる。したがって、プラズマPの移動量(ずれ量)を任意の値以下とする場合、チャンバ2の内径2gと、アンテナ11の外径11dとの間の関係を所定の範囲内とする必要がある。
【0083】
すなわち、図5に示すように、チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比(アンテナ11の外径11d/チャンバ2の内径2g)を、0.62以上0.68以下とすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)が、±10mm以内となるようにすることができる。
【0084】
より好ましくは、チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比を0.63以上、0.66mm以下とする。チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比を上記範囲内とすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)が、±5mm以内となる。
【0085】
より好ましくは、チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比を0.65とする。チャンバ2の内径2gに対するアンテナ11の外径11dの比を0.65とすれば、アンテナ11の中心11cがチャンバ2の中心軸2dから60mmずれたとしても、プラズマPの移動量(ずれ量)が、ほぼ0(ゼロ)とすることができる。
【0086】
本実施の形態に係るプラズマ処理装置1とすれば、平面視において、アンテナ11の中心(円周の中心11c)がチャンバ2の中心軸2d(載置部4の中心)から離隔していても、発生したプラズマPの中心が処理物100の処理面100aの中心からずれるのを抑制することができる。そのため、処理レートの面内分布を小さくすることができる。
【0087】
また、複数の導体11aが設けられた円周の中心11cと、チャンバ2の中心軸2dとを厳格に合わせる必要がないので、製造コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0088】
また、アンテナ11の中心(円周の中心11c)を、チャンバ2の中心軸2dからずらすことができれば、検出領域100bの上方に、導体11a、コンデンサ11b、ファラデーシールド12などが設けられていないようにすることができる。そのため、検出ヘッド10aが、検出領域100bに略垂直な方向に位置することができるので、処理物100の処理状態(例えば、プラズマ処理の終点)を検出するのが容易となる。また、検出精度の向上を図ることもできる。
【0089】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1が備える構成要素の形状、材料、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、前述の実施形態ではアンテナ11は、複数の導体11aから形成されているが、少なくとも1つの導体11aで形成されたアンテナとしてもよい。
また、前述の実施形態では、検出領域100bはレジストから露出した部分となっているが、これに限定されない。例えば、レジストに代えてクロムなどの処理パターンに用いられる金属膜をマスクとして用いる場合、マスクから露出している部分を検出領域100bとしてもよい。上記の場合、他の処理パターンより比較的大きいパターン領域や、入射・反射光の干渉が計算しやすく、デバイスとして使えないパターンなど、処理の観察が容易な部分を検出領域100bとするとよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0090】
1 プラズマ処理装置、2 チャンバ、2d 中心軸、2g 内径、3 窓、4 載置部、5 電源、6 電源、10 検出部、10a 検出ヘッド、11 アンテナ、11a 導体、11c 中心、11d 外径、100 処理物、100a 処理面、100b 検出領域、110 アンテナ、P プラズマ
図1
図2
図3
図4
図5