(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2018112497
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-06-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
【合議体】
【審判長】藤田 年彦
【審判官】薄井 義明
【審判官】太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-33870(JP,A)
【文献】特開2017-176387(JP,A)
【文献】特開2016-83081(JP,A)
【文献】特開2017-202268(JP,A)
【文献】特開2012-147851(JP,A)
【文献】特開2016-189834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定手段による当否判定結果に応じた変動中演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な状態である特定遊技状態が設定されており、
前記特定遊技状態にて実行される先の変動中演出が終了することで前記通常遊技状態に移行し、当該通常遊技状態にて当該先の変動中演出の次の変動中演出である後の変動中演出が実行される場合において、
前記演出実行手段は、前記先の変動中演出にて遊技者側キャラクタが不利な状況となり、
前記後の変動中演出に対応する当否判定結果にかかわらず当該後の変動中演出の途中まで前記遊技者側キャラクタが表示される分岐前演出が実行され、当該分岐前演出が実行された後、前記後の変動中演出に対応する当否判定結果が当たりである場合には
前記遊技者側キャラクタが表示される演出であって当該遊技者側キャラクタの不利な状況が覆され
たことを示す成功演出が実行される一方、前記後の変動中演出に対応する当否判定結果がはずれである場合には
前記遊技者側キャラクタが表示される演出であって当該遊技者側キャラクタの不利な状況が覆されな
かったことを示す失敗演出が実行されるようにする制御が実行可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特
図1の当否判定情報よりも特
図2の当否判定情報の方が取得しやすい状態(いわゆる時短状態。以下、特定遊技状態と称することもある)における遊技の趣向性を向上させる種々の試みがなされている(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特定遊技状態を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、特定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、前記当否判定手段による当否判定結果に応じた変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な状態である特定遊技状態が設定されており、前記特定遊技状態にあるときにはずれである当否判定結果に対応する先の変動中演出が終了することで前記通常遊技状態に移行する場合において、前記演出実行手段は、当該先の変動中演出の内容が次の当否判定結果に対応する後の変動中演出の内容に引き継がれる特殊制御が実行可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、特定遊技状態を用いて遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】本実施形態にかかる遊技機の遊技性を説明するための図である。
【
図3】表示装置の表示領域に表示される識別図柄を示した図である。
【
図4】先の変動中演出の概要を説明するための図である。
【
図5】後の変動中演出の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
当否抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、当該始動入賞口904として、第一始動入賞口904a(いわゆる特
図1の入賞口)および第二始動入賞口904b(いわゆる特
図2の入賞口;本願発明における特定領域に相当する)が設けられている(
図1参照)。本実施形態における遊技領域902は、大きく分けて左側の遊技領域(以下、第一遊技領域902aと称することもある)と、右側の遊技領域(以下、第二遊技領域902bと称することもある)に区分けされる(
図1参照)。第一始動入賞口904aは、第一遊技領域902aに進入した遊技球が入賞可能な位置に設けられている(
図1参照)。なお、第二遊技領域902bに進入した遊技球が第一始動入賞口904aに入賞することはほぼない。つまり、第一始動入賞口904aは、いわゆる左打ち遊技により狙う入賞口である。第二始動入賞口904bは、常態において閉鎖されている(いわゆる電動チューリップ(電チュー)により閉鎖されている)入賞口であって、第二遊技領域902bに設けられた普通始動口905(いわゆるスルー)を遊技球が通過することを契機として実行される開放抽選に当選した場合に開放される入賞口である。つまり、第二始動入賞口904bは、いわゆる右打ち遊技により狙う入賞口である。
【0015】
これら始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた当たりの数値と同じである場合には当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当否抽選による当たりの態様として、大当たりと小当たりが設定されている。大当たりに当選した場合には、その後大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は大入賞口906が頻繁に開放するものであって、それ自体は公知の遊技機と同じであるから詳細な説明を省略する。大当たり遊技では、頻繁に開放する大入賞口906に遊技球を入賞させることで、遊技者は多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができる。つまり、大当たり遊技により、遊技者は直接的な利益を得ることができる。
【0016】
一方、小当たりに当選した場合には、その後、遊技球が進入可能な特典領域20(
図1に示す「V」の文字が付された領域)が開放される事象が発生する。特典領域20の手前側には、開閉部材21が設けられており、当該開閉部材21が閉状態にあるときには特典領域20内への遊技球の進入が阻止され、当該開閉部材21が開状態(
図1に示す状態)にあるときには特典領域20内への遊技球の進入が可能となる。つまり、常態において開閉部材21は閉状態にあり、上記小当たりに当選した場合には、開閉部材21が開状態となるということである。本実施形態では、一回のみ開閉部材21が開状態とされる。特典領域20に遊技球が進入した場合には、大当たり当選となり、大当たり遊技が実行される。本実施形態では、小当たりに当選したとき、開閉部材21が比較的長い時間開状態とされるため、遊技を継続しておりさえすれば(第二遊技領域902bに向かって継続的に遊技球を発射しておりさえすれば)、ほぼ確実に特典領域20に遊技球が進入する。つまり、小当たりに当選することは、実質的には大当たり当選と同じであるように設定されたものである。ただし、小当たりに当選しても、特典領域20に遊技球が進入するとは限らない設定としてもよい。例えば、開閉部材21が開状態となるのは比較的短い時間であり、開閉部材21が開状態となっているときにタイミングよく遊技球が開閉部材21付近に到達しなければ、特典領域20に遊技球が進入しないような設定とすることが考えられる。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる一種二種混合機である。当該一種二種混合機の基本的な遊技性については公知であるため、以下簡単に説明する。また、以下で示す遊技性はあくまで一例であり、適宜変更可能である。
図2(a)に示すように、本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態および特定遊技状態が設定されている。通常遊技状態は、第一始動入賞口904aを狙って遊技球を発射させる(いわゆる左打ち遊技を行う)状態である。第一始動入賞口904aに遊技球が入賞することを契機として実行される当否抽選(以下、特
図1抽選と称することもある)で大当たりに当選すること(いわゆる初当たり)を目指して遊技する。特
図1抽選は、小当たりに当選したとしても特典領域20が開状態となるのは極めて短い時間(遊技球を特典領域20に進入させるのはほぼ不可能な時間)とされる。また、後述する特
図2抽選よりも小当たりに当選する確率は低い。つまり、通常遊技状態中は、小当たり当選を経由した大当たり当選を望むことはできない遊技状態である。
【0018】
特定遊技状態は、普通始動口905および第二始動入賞口904bを狙って遊技球を発射させる(いわゆる右打ち遊技を行う)状態である。特定遊技状態中は普通始動口905に遊技球が進入することを契機とした第二始動入賞口904bの開放抽選の当選確率が極めて高く設定されており、第二始動入賞口904bは容易に開放する。開放した第二始動入賞口904bに遊技球が入賞することを契機として実行される当否抽選(以下、特
図2抽選と称することもある)は、特
図1抽選とは異なり、小当たり当選確率が高い。本実施形態では、特定遊技状態において特
図2抽選により小当たりに当選する確率は約1/2(50%)に設定されている。したがって、基本的には、小当たり当選により開状態となった特典領域20に遊技球を進入させることで大当たり当選を目指す遊技状態といえる。なお、特
図2抽選においても、特
図1抽選と同じ確率で大当たりに当選することになるため、小当たりを経ずに大当たりに当選する(いわゆる直当たりする)こともある。本実施形態では、大当たり(直当たり)確率は約1/320に設定されている。したがって、特
図2抽選が行われるときには、小当たり経由により大当たりを獲得する蓋然性は、いわゆる直当たりにより大当たりを獲得する蓋然性よりも高いといえる。このような小当たり経由による大当たり当選が望めるため、特定遊技状態は通常遊技状態に比して遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
【0019】
大当たりの種類としては、通常大当たりと特定大当たりが設定されている。通常大当たりに当選した場合には、大当たり遊技終了後、通常遊技状態に移行する。一方、特定大当たりに当選した場合には、大当たり遊技終了後、特定遊技状態に移行する(
図2(a)参照)。特定遊技状態は、小当たりを経由した大当たり獲得に期待できる状態であるため、特定遊技状態に移行することは、連続的に大当たりに当選すること(いわゆる連チャンすること)に期待できるということになる。本実施形態では、特
図2抽選により獲得された大当たりの場合(小当たり経由による大当たり当選、いわゆる直当たりによる大当たり当選のいずれの場合も含む)には、当該大当たりは特定大当たりとなり、いわゆる連チャンが発生することになる。なお、通常大当たりと特定大当たりの割合(いわゆる大当たり振り分け)は適宜設定することができる。通常大当たりを設定せず、特定大当たりのみが設定されたものとしてもよい。つまり、全ての大当たり遊技終了後に特定遊技状態に移行する設定としてもよい。また、特
図2抽選により獲得された大当たりに通常大当たりが含まれる設定としてもよい。
【0020】
本実施形態では、当否抽選の結果は、表示領域911に表示される識別図柄10(
図3参照)の組み合わせによって報知される。具体的には、複数種の識別図柄10を含む識別図柄群10gが複数(本実施形態では三つ)変動表示され、各識別図柄群10gから選択されて停止した識別図柄10が、当否抽選の結果を示す組み合わせを構築する。大当たり、はずれ、小当たりのそれぞれを報知する識別図柄10の組み合わせはどのようなものであってもよい。本実施形態では、大当たりとなる場合には、当該識別図柄10の組み合わせが同じ図柄の三つ揃いとされる。はずれとなる場合には、組み合わせを構成する少なくとも一部の識別図柄10が、当該組み合わせを構成する他の識別図柄10と異なる種類のものとなる組み合わせ(小当たりとなる組み合わせを除く)とされる。小当たりとなる場合には、「1」「3」「5」の識別図柄10が左から順に並ぶ組み合わせとされる。大当たりと小当たりとを含めた「当たり」を示す組み合わせが設定されていてもよい。なお、
図3以外の図面においては、識別図柄10の図示を省略する。
【0021】
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄10の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知(識別図柄10の変動)が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、第一始動入賞口904aに入賞することを契機としたもの(いわゆる特
図1保留)については四つであり、第二始動入賞口904bに入賞することを契機としたもの(いわゆる特
図2保留)は一つである。特
図1保留と特
図2保留の両方が存在する場合には、特
図2保留に基づく当否判定結果の報知が優先して実行される(特
図2保留優先消化である)。なお、記憶手段に記憶されている保留情報が存在することは、保留図柄として表示領域911に表示されるようにするとよい(図示省略)。
【0022】
特定遊技状態に移行した場合、遊技者に対し、第二始動入賞口904bに向かって遊技球を発射させる(いわゆる右打ち遊技を行う)ことを促す指示が出される。上述した通り、特定遊技状態中は、比較的容易に第二始動入賞口904bに遊技球が入賞するため、遊技者は比較的容易に第二始動入賞口904bに入賞することに基づく当否判定情報(特
図2保留)を取得することができる。本実施形態における遊技機1は、特定遊技状態の終了条件の一つとして、「1回の特
図2抽選がはずれとなったこと」が設定されている(特
図1抽選は含まれない)。つまり、いわゆる時短回数は「1回」である(
図2(a)参照)。いわゆる初当たり時に特定遊技状態に移行し、右打ちを行ったとき、第二始動入賞口904bに遊技球が入賞したことを契機として即座に当該入賞を契機とした特
図2抽選の当否判定結果を報知する演出(識別図柄10の変動)が開始される。なお、いわゆる連チャン(特
図2抽選を経た大当たり)が発生して特定遊技状態に移行したときには、前回の特定遊技状態時に取得された特
図2保留が存在する可能性もある。この場合には、特定遊技状態の開始とともに当該特
図2保留に対応する当否判定結果を報知する演出が開始される。当該演出が終了するまでの間に特
図2保留を一つ(記憶手段に記憶可能な特
図2保留の最大数)取得していれば、一回目の特
図2抽選の結果がはずれであり、特定遊技状態の終了条件が成立したとしても、既に取得されていた特
図2保留による特
図2抽選を受けられることになる。つまり、遊技者の視点で言えば、実質的には「2回」の特
図2抽選により、約1/2の小当たりに当選すること(いわゆる直当たりも発生しうるが、発生する蓋然性は極めて低いといえる)を目指して遊技することになる(
図2(b)参照)。一回目の特
図2抽選の結果がはずれである場合には、特定遊技状態は終了して一旦は通常遊技状態に移行するものの、既に取得されていた特
図2保留に基づく二回目の特
図2抽選で小当たりに当選し大当たりを獲得した場合(またはいわゆる直当たりにより大当たりを獲得した場合)には、当該大当たりは特定大当たりとなるため、大当たり遊技終了後には再び特定遊技状態に移行することになる。なお、当然ではあるが、一回目の特
図2抽選で小当たりに当選し大当たりを獲得した場合(またはいわゆる直当たりにより大当たりを獲得した場合)には、通常遊技状態に移行することなく、大当たり遊技終了後再び特定遊技状態に移行することになる。
【0023】
このように構成される遊技機1は、図示されないサブ制御基板に構築された回路(演出制御手段)により種々の演出が実行される。以下、特定遊技状態に移行したときの演出について、詳細に説明する。
【0024】
上記の通り、特定遊技状態は、実質的には「2回」の特
図2抽選で小当たりに当選することを目指す状態である。特定遊技状態に移行してから一回目の特
図2抽選の結果を示す演出(識別図柄10の変動開始から停止までの演出)を先の変動中演出31と、二回目の特
図2抽選の結果を示す演出(識別図柄10の変動開始から停止までの演出)を後の変動演出とする。先の変動中演出31がはずれである特
図2抽選の結果に対応するものである場合、先の変動中演出31が終了することを契機として特定遊技状態は終了し、通常遊技状態に移行することになる。つまり、先の変動中演出31は特定遊技状態中に実行される演出であり、後の変動中演出32は通常遊技状態中に実行される演出である。本実施形態では、当該先の変動中演出31と後の変動中演出32を一連の演出(一続きの演出)であるかのように見せる特殊制御が実行可能である。特殊制御によって実行される演出は、先の変動中演出31と後の変動中演出32が「シームレス」な態様であるともいえる。具体的には以下の通りである。
【0025】
本実施形態における先の変動中演出31(
図4、
図6参照)は、遊技者側のキャラクタ(以下、味方キャラクタと称する)と敵側のキャラクタ(以下、敵キャラクタと称する)が戦う演出(バトル演出)が表示領域911において展開されるものである。味方キャラクタおよび敵キャラクタは、一種のみのキャラクタが設定されたものであってもよいし、複数種のキャラクタが設定されたものであってもよい。複数種のキャラクタが設定された構成とする場合、キャラクタの種類により演出の結末が示唆される(いわゆる信頼度が示唆される)ものとすることも可能である。
【0026】
先の変動中演出31の結末として、遊技者にとって喜ばしい結末である成功結末と、成功結末とならない場合に実行される失敗結末が設定されている。本実施形態では、味方キャラクタが有利な状況となること(敵キャラクタが不利な状況となること)が成功結末として、味方キャラクタが不利な状況となること(敵キャラクタが有利な状況となること)ことが失敗結末として設定されている。「有利な状況」「不利な状況」は、演出を享受する遊技者がそのように認識できるような内容であればよい。本実施形態では、味方キャラクタが敵キャラクタに攻撃し(
図4(b)参照)、その攻撃が成功することが成功結末(
図4(c-1)参照)として、その攻撃が失敗し、逆に味方キャラクタが敵キャラクタの攻撃を受けることが失敗結末(
図4(c-2)参照)として設定されている。
【0027】
特定遊技状態に移行した後、一回目の特
図2抽選の結果が小当たりまたは大当たりとなる場合には、先の変動中演出31の結末が成功結末(
図4(c-1)参照)となる。その後、小当たりの場合には特典領域20に遊技球が進入することを契機として大当たり遊技が開始される。つまり、後の変動中演出32は行われず大当たり遊技が実行されることになり、当該大当たり遊技終了後再び特定遊技状態に移行する。
【0028】
一回目の特
図2抽選の結果がはずれである場合には、先の変動中演出31の結末が失敗結末(
図4(c-2)参照)となる。この場合、二回目の特
図2抽選の結果を報知する後の変動中演出32(
図5、
図6参照)が実行される。当該後の変動中演出32の内容は、先の変動中演出31の内容を引き継いだものとされる。つまり、後の変動中演出32は、先の変動中演出31の結末が失敗結末となったときに実行されるものであるから、失敗結末となる先の変動中演出31の内容を引き継いだものとされる。先の変動中演出31の失敗結末は味方キャラクタが不利な状況となるというものであるから、後の変動中演出32は当該味方キャラクタの不利な状況が覆されるかどうかの演出とされる。つまり、味方キャラクタの不利な状況が覆される態様が後の変動中演出32の成功結末として、味方キャラクタの不利な状況が覆されない態様が後の変動中演出32の失敗結末として設定されている。
【0029】
本実施形態では、先の変動中演出31の失敗結末は味方キャラクタが敵キャラクタの攻撃を受けるというものであることを踏まえ、後の変動中演出32は敵キャラクタの攻撃を受けた味方キャラクタが立ち上がれるかどうかという演出(
図5(a)参照)とされる。味方キャラクタが立ち上がる態様が後の変動中演出32の成功結末(
図5(b-1)参照)として、味方キャラクタが立ち上がることができない態様が後の変動中演出32の失敗結末(
図5(b-2)参照)として設定されている。つまり、後の変動中演出32は、先の変動中演出31が失敗結末となった場合に限り先の変動中演出31から連続的に発生する(
図6参照)ものである(先の変動中演出31が当たり(小当たり、大当たり)となった場合には先の変動中演出31後に大当たり遊技が発生することになる)から、当該後の変動中演出32の内容は、先の変動中演出31が失敗結末であることを前提として成立するものとされる。見方を変えれば、先の変動中演出31は、後の変動中演出32に移行するかどうかの「分岐」であるともいえ、当該「分岐」の一方(失敗結末)が発生する場合には、先の変動中演出31と後の変動中演出32の連続性が感じ取れるものとする。なお、味方キャラクタや敵キャラクタの種類がその都度変化しうる設定とする場合、後の変動中演出32にて登場するキャラクタは、先の変動中演出31にて登場するキャラクタと同じ種類のものとされる。味方キャラクタが立ち上がれるかどうかを示す際に、遊技者に対し、押しボタン等の操作手段の操作が促される態様としてもよい。
【0030】
特定遊技状態に移行した後、(一回目の特
図2抽選の結果がはずれとなり)二回目の特
図2抽選の結果が小当たりまたは大当たりとなる場合には、後の変動中演出32の結末が成功結末(
図5(b-1)参照)となる。その後、小当たりの場合には特典領域20に遊技球が進入することを契機として大当たり遊技が開始される。一方、上記二回目の特
図2抽選の結果がはずれである場合には、後の変動中演出32の結末が失敗結末(
図5(b-2)参照)となる。このように、ある特定遊技状態において、一回目の特
図2抽選の結果がはずれである場合には、先の変動中演出31と後の変動中演出32が連続的に実行されることになるところ、後の変動中演出32は、先の変動中演出31(失敗結末)の内容を引き継いだものとされる。
【0031】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、先の変動中演出31(特定遊技状態が終了する最後の変動中演出32)と、後の変動中演出32(通常遊技状態に移行した後一回目の変動中演出)が一連の演出であるかのように見える面白みのあるものとすることが可能である。
【0032】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、実質的には2回連続して特
図2抽選がはずれとならない限り特定遊技状態が終了しない(連チャンが継続する)という遊技性である。つまり、連チャンが継続するか否かの鍵を握る2回の特
図2抽選の結果を報知する演出をあたかも一つの演出として見せることで、分かりやすい遊技性を実現したものであるともいえる。
【0033】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0034】
○第一具体例
上記実施形態における遊技機1は、特定遊技状態が終了する条件として特定遊技状態に移行してから1回の特
図2抽選がはずれとなったこと、すなわちいわゆる時短回数が1回であることが設定されていることを説明したが、当該時短回数は適宜変更可能である。例えば、時短回数が100回である設定において、特定遊技状態に移行してから100回目(時短の最後)の当否判定結果(はずれ)を報知する演出(先の変動中演出31)と、通常遊技状態に移行してから1回目の当否判定結果を報知する演出(後の変動中演出32)が一連の演出であるかのように見える態様としてもよい。つまり、特定遊技状態から通常遊技状態に移行する時点を跨いで一続きの演出であるかのように見える態様であればよい。
【0035】
また、「一連の演出」が、先の変動中演出31および後の変動中演出32以外の変動中演出を含むものとしてもよい。上記例に則していえば、特定遊技状態に移行してから99回目の当否判定結果(はずれ)を報知する演出(先の変動中演出31の一つ前の変動中演出)や、通常遊技状態に移行してから2回目の当否判定結果を報知する演出(後の変動中演出32の一つ後の変動中演出)が「一連の演出」を構成するものとして含まれていてもよい。つまり、先の変動中演出31よりも前に実行される一または複数の変動中演出や、後の変動中演出32よりも後に実行される一または複数の変動中演出が「一連の演出」を構成するものとして含まれていてもよい。
【0036】
○第二具体例
上記実施形態における特定遊技状態は、基本的には小当たり当選を経由して大当たりの獲得を目指す遊技状態であることを説明したが、特定遊技状態は通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態であればよい。例えば、大当たり当選の確率が相対的に低い低確率状態と、相対的に高い高確率状態(確率変動状態)が設定された遊技機において、低確率状態を通常遊技状態とし、高確率状態を特定遊技状態として上記実施形態にて説明した特殊制御が実行されるようにしてもよい。例えば、高確率状態が、所定回数(X回)連続して当否判定結果がはずれとなるまで継続する構成(いわゆるST機)において、高確率状態に移行してからX回目の当否判定結果(STの最後)の当否判定結果(はずれ)を報知する演出(先の変動中演出31)と、低確率状態に移行してから1回目の当否判定結果を報知する演出(後の変動中演出32)が一連の演出であるかのように見える態様とする。
【0037】
○第三具体例
上記実施形態では、特
図2保留の最大の記憶数が1個であることを説明したが、特
図2保留(特殊制御の対象となる保留)の最大の記憶数は2個以上であってもよい。この場合であっても、1回目の特
図2抽選の結果を報知する演出を先の変動中演出31として、2回目の特
図2抽選の結果を報知する演出、すなわち1個目の特
図2保留に対応する演出を後の変動中演出32として上記実施形態と同様の特殊制御を行うことが可能である。
【0038】
○第四具体例
上記実施形態では、先の変動中演出31と後の変動中演出32が一連の演出であるかのように示す手法は上記実施形態のような態様(バトル演出)に限られない。遊技者が一続きの演出であると捉えるものであればよい。その他の手法としては以下のようなものが例示できる。
【0039】
特殊制御が実行される場合において、先の変動中演出31が、後の変動中演出32の信頼度を示唆するような態様とする。例えば、先の変動中演出31にてパーセンテージが表示される(
図7(a)(b-1)(b-2)参照)。特定遊技状態が開始されてから1回目の特
図2抽選が小当たりまたは大当たりとなる場合には100%が表示される(
図7(b-1)参照)。当該1回目の特
図2抽選がはずれである場合には100%未満の値が表示される(
図7(b-2)参照)。当該表示される値が、特定遊技状態が開始されてから2回目の特
図2抽選が小当たりまたは大当たりとなる蓋然性を示唆するものとする(
図7(c)(d-1)(d-2)参照)。先の変動中演出31を実行するに際し、記憶手段に記憶されている特
図2保留の情報(後の変動中演出32に対応する当否判定結果)をいわば「先読み」(「先読み」自体は公知であるため説明を省略する)する態様であるということができる。なお、上記の値は、2回目の特
図2抽選が小当たりまたは大当たりとなる蓋然性(確率)をそのまま示すものであってもよいし、大まかな高低を示すものであってもよい。このように、先の変動中演出31が、後の変動中演出32の信頼度を示唆するような態様としても、両変動中演出が一連の演出であるかのように見えるものとなる。信頼度の示唆は、数値に限らず、画像の「色」等で示唆する手法も考えられる。
【0040】
○第五具体例
特定遊技状態に移行してから1回目の特
図2抽選の結果が当たり(小当たり、大当たり)となる場合であっても、はずれとなる場合であっても、同じような一連の演出が実行されるものとする。例えば、上記実施形態と同様に、味方キャラクタと敵キャラクタが戦うバトル演出であって、味方キャラクタが勝利する成功結末と、味方キャラクタが敗北する失敗結末が設定されているものとする。
【0041】
特定遊技状態に移行してから1回目の特
図2抽選、2回目の特
図2抽選のいずれかが当たり(小当たり、大当たり)となる場合には、成功結末となるようにする。1回目の特
図2抽選が当たりとなる場合には、先の変動中演出31が実行され、後の変動中演出32は実行されない。したがって、先の変動中演出31(後の変動中演出32は含まない)として成功結末となる上記バトル演出が実行される。2回目の特
図2抽選が当たりとなる場合には、先の変動中演出31と後の変動中演出32が実行される。したがって、先の変動中演出31および後の変動中演出32として成功結末となる上記バトル演出が実行される。1回目の特
図2抽選、2回目の特
図2抽選のいずれもがはずれとなる場合には、先の変動中演出31および後の変動中演出32として失敗結末となる上記バトル演出が実行される。
【0042】
上記実施形態では、先の変動中演出31について成功結末と失敗結末とが設定され、先の変動中演出31が失敗結末となったことを前提とした内容の後の変動中演出32について成功結末と失敗結末とが設定されていること(先の変動中演出31および後の変動中演出32のそれぞれについて成功結末と失敗結末とが設定されていること)、いわば先の変動中演出31が「分岐」であることを説明したが、本例のように、ある一つ演出の結末として成功結末と失敗結末とが設定され、特定遊技状態に移行してから1回目の特
図2抽選、2回目の特
図2抽選のいずれかが当たり(小当たり、大当たり)となる場合には成功結末となり、いずれもはずれとなる場合には失敗結末となるような構成としてもよい。
【0043】
○第六具体例
先の変動中演出31や後の変動中演出32の態様は複数種設定されていてもよい。どのような態様の演出が変動中演出として実行されるかに応じて、当該変動中演出が成功結末となる蓋然性(信頼度)が示唆されるものとする。後の変動中演出32は、先の変動中演出31(失敗結末)の内容を前提としたものとしなければならないため、先の変動中演出31の態様に応じて後の変動中演出32の態様が変化する構成としてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0045】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0046】
・手段1
特定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報に基づき当否判定を行う当否判定手段と、前記当否判定手段による当否判定結果に応じた変動中演出を実行する演出実行手段と、を備え、遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも前記特定領域に遊技球が進入しやすい状態である特定遊技状態が設定されており、前記特定遊技状態にあるときにはずれである当否判定結果に対応する先の変動中演出が終了することで前記通常遊技状態に移行する場合において、前記演出実行手段は、当該先の変動中演出の内容が次の当否判定結果に対応する後の変動中演出の内容に引き継がれる特殊制御が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定遊技状態の最後の変動中演出(先の変動中演出)と、特定遊技状態から通常遊技状態に移行した後の最初の変動中演出(後の変動中演出)が一連の演出であるかのように見せることで、遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0047】
・手段2
前記先の変動中演出の結末として、対応する当否判定結果が当たりであるときに実行される成功結末と、はずれであるときに実行される失敗結末が設定されており、
前記特殊制御時における前記後の変動中演出は、前記先の変動中演出の結末が失敗結末であることを前提として成立する内容であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
先の変動中演出がはずれであるときには当該先の変動中演出後に連続的に後の変動演出が実行されることになるから、後の変動中演出は先の変動中演出が失敗結末であることを前提とした内容とすればよい。
【0048】
・手段3
前記先の変動中演出は、遊技者側のキャラクタと敵側のキャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが有利な状況となること前記成功結末として、遊技側のキャラクタが不利な状況となることが前記失敗結末として設定されているものであり、
前記特殊制御時における後の変動中演出は、遊技者側のキャラクタの不利な状況が覆されるかどうかを示す演出であることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、先の変動中演出と後の変動中演出が一続きの演出であるということを分かりやすく示すことが可能である。
【0049】
・手段4
前記特定遊技状態が開始された後、一つの当否判定結果がはずれであることの報知が完了することを契機として、前記通常遊技状態に移行することを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このように、いわゆる時短回数が「1回」である設定において、特殊制御を行うことが有効である。
【0050】
・手段5
前記特定領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否判定情報であって、未だ前記変動中演出が開始されていない当否判定結果に対応するものを保留情報として一つを上限に記憶する記憶手段を備え、
前記特定遊技状態から前記通常遊技状態に移行するときに、前記記憶手段に前記保留情報が記憶されているときには、前記後の変動中演出は、当該保留情報に基づく当否判定結果に対応するものとなることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
このように、特定領域に遊技球が入賞することによって得られる保留情報の最大の記憶数が1個である設定において、特殊制御を行うことが有効である。
【符号の説明】
【0051】
1 遊技機
10 識別図柄
20 特典領域
21 開閉部材
31 先の変動中演出
32 後の変動中演出
904 始動入賞口
904a 第一始動入賞口
904b 第二始動入賞口(特定領域)
91 表示装置
911 表示領域