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特許7399461加工状態検査装置及びプレス加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】加工状態検査装置及びプレス加工システム
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/00 20060101AFI20231211BHJP
   B21D 28/34 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B30B15/00 B
B21D28/34 Z
B21D28/34 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019221197
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021090974
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】303003225
【氏名又は名称】UHT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新谷 俊之
(72)【発明者】
【氏名】北原 広之
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-263750(JP,A)
【文献】特表2017-527820(JP,A)
【文献】特開平03-259705(JP,A)
【文献】特開平11-300498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/00
B21D 28/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをパンチとダイとでプレスするプレス加工装置によって加工された前記ワークの加工状態を、前記ワークが加工された位置に前記ワークがある状態で前記ワークに反射した反射光を受光することによって検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記ワークの加工状態を検査する検査部と、
を備え、
前記検出部は、前記ワークよりも前記パンチ側の位置に前記反射光の受光方向が前記パンチの移動方向と交差するように配置され
前記検出部は、前記プレス加工装置に対して隣り合うように並んで配置され、
前記検出部と前記ワークとの間には、前記パンチ側から前記ワークにエアを噴射可能なエアブロー部が配置され、
前記エアブロー部には、前記検出部による前記ワークの加工状態の検出を妨げないようにするための貫通孔が形成されていることを特徴とする加工状態検査装置。
【請求項2】
前記エアブロー部は、前記ダイの上側に張り出す使用位置と、前記ダイの上側から退避する非使用位置との間で回動可能に構成され、
前記エアブロー部には、前記エアブロー部が前記使用位置にあるときに、前記検出部による前記ワークの加工状態の検出を妨げないようにするための前記貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加工状態検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の加工状態検査装置と、前記プレス加工装置と、前記加工状態検査装置及び前記プレス加工装置を水平方向に並んだ状態で支持する支持台とを備えたプレス加工システムであって、
前記支持台には、前記加工状態検査装置及び前記プレス加工装置を着脱自在に固定するための複数のクランパが、前記加工状態検査装置及び前記プレス加工装置の並ぶ方向に並んで設けられていることを特徴とするプレス加工システム。
【請求項4】
複数の前記クランパは、等間隔となるように並んで配置されていることを特徴とする請求項3に記載のプレス加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンチとダイとを有したプレス加工装置によって加工されたワークの加工状態を検査する加工状態検査装置及びプレス加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを移動させる移動機構と、ワークに穿孔(プレス加工)を行う穿孔ユニット(プレス加工装置)と、穿孔ユニットに並んで配置されたカメラなどの検出部(加工状態検査装置)とを備えた穿孔装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、検出部は、穿孔されたワークを例えば撮像することによって穿孔ユニットの穿孔位置を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-200711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような穿孔装置において、穿孔ユニットで穿孔されたワークの穿孔状態(加工状態)を検出部によって検出する場合、穿孔ユニットによるワークの穿孔後に、当該ワークを、穿孔ユニットによって穿孔した位置から検出部によって穿孔状態を検出する位置まで移動機構によって移動させる必要がある。
【0005】
このため、穿孔ユニットによって複数のワークの穿孔を連続して行う場合、直前に穿孔ユニットによって穿孔したワークを検出部によって穿孔状態を検出する位置まで移動機構によって移動させて当該ワークの穿孔状態の検出を検出部が終えるまで、穿孔ユニットによる次のワークの穿孔を行うことができない。この結果、穿孔ユニットによってワークの穿孔を行う際の効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされた。その目的は、プレス加工装置によるワークの加工効率を低下させることなくワークの加工状態を検査することができる加工状態検査装置及びプレス加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する加工状態検査装置は、ワークをパンチとダイとでプレスするプレス加工装置によって加工された前記ワークの加工状態を、前記ワークが加工された位置に前記ワークがある状態で前記ワークに反射した反射光を受光することによって検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記ワークの加工状態を検査する検査部と、を備え、前記検出部は、前記ワークよりも前記パンチ側の位置に前記反射光の受光方向が前記パンチの移動方向と交差するように配置されていることを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、プレス加工装置によってワークがプレス加工された位置からワークを移動させなくてもパンチがワークから退避した状態では、パンチが検出部によるワークに反射した反射光の受光を妨げない。すなわち、パンチがワークから退避した状態では、パンチが検出部によるワークの加工状態の検出を妨げない。このため、プレス加工装置は、検出部による前のワークの加工状態の検出を待つことなく、直ぐに次のワークの加工を行うことができる。したがって、プレス加工装置によるワークの加工効率を低下させることなくワークの加工状態を検査することができる。
【0009】
上記加工状態検査装置において、前記検出部は、前記プレス加工装置に対して隣り合うように並んで配置されることが好ましい。
この構成によれば、検出部がワークに近い位置でワークの加工状態を検出するため、検出部によるワークの加工状態の検出精度を高めることができる。
【0010】
上記加工状態検査装置において、前記検出部は、基材に設けられ、前記基材は、前記プレス加工装置が支持される支持台に対して着脱自在に構成されていることが好ましい。
この構成によれば、支持台に複数のプレス加工装置を支持させる場合に、支持台における検査したいプレス加工装置のワークの加工状態を検出部が検出できる位置に基材を取り付けることで、複数のプレス加工装置によるワークの加工状態の検査を選択的に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プレス加工装置によるワークの加工効率を低下させることなくワークの加工状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プレス加工システムの一実施形態の平面模式図。
図2】支持台にプレス加工装置及び検出装置が支持されたときの状態を示す斜視図。
図3】支持台に対して検出装置を着脱するときの状態を示す斜視図。
図4図2の要部拡大断面図。
図5】プレス加工システムの電気的構成を示すブロック図。
図6図2の要部拡大図。
図7】プレス加工装置によって加工されたワークの加工状態を検出部によって検出するときの状態を示す要部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、プレス加工システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、プレス加工システム11は、平面視で略矩形状の機台12と、機台12上に設けられてワークWを移動させるワーク移動機構13と、ワークWにプレス加工を行うプレス加工装置14と、プレス加工装置14によってプレス加工されたワークWの加工状態を検出する検出装置15とを備えている。
【0014】
プレス加工装置14及び検出装置15は水平方向であるX方向に並んだ状態で機台12上に設けられた中空の支持台16に支持されている。支持台16は、水平方向であってX方向と直交するY方向においてワーク移動機構13と並ぶように機台12上に配置されている。
【0015】
ワーク移動機構13は、Y方向に延びるように機台12に設けられた第1ボールねじ17と、第1ボールねじ17の回転駆動に伴ってY方向に移動するように第1ボールねじ17に設けられたX方向に延びるテーブル18とを備えている。さらに、ワーク移動機構13は、テーブル18上に設けられたX方向に延びる第2ボールねじ19と、第2ボールねじ19の回転駆動に伴ってX方向に移動するように第2ボールねじ19に設けられたキャリッジ20とを備えている。
【0016】
第1ボールねじ17及び第2ボールねじ19は、モータ(図示略)によってそれぞれ正逆両方向に回転駆動されるようになっている。そして、第1ボールねじ17及び第2ボールねじ19がそれぞれ正逆両方向に適宜回転駆動されると、テーブル18が第1ボールねじ17に沿って移動されるとともにキャリッジ20が第2ボールねじ19に沿って移動される。
【0017】
すなわち、第1ボールねじ17及び第2ボールねじ19の回転駆動により、キャリッジ20が水平面に沿って縦方向、横方向、及び斜め方向に自在に移動されるようになっている。キャリッジ20における支持台16側の面には、矩形板状のワークWを挟んで保持したり放したりすることが可能な一対の保持部21が設けられている。一対の保持部21は、X方向において離れて配置されている。
【0018】
図1及び図3に示すように、プレス加工装置14は、Y方向に延びるとともにX方向を厚さ方向とする略矩形板状の本体部22と、本体部22のY方向におけるワーク移動機構13側の端部に設けられたパンチ23及びダイ24と、パンチ23を移動させるパンチ移動機構25とを備えている。本体部22におけるX方向及びY方向の両方と直交する方向であるZ方向の略中央部には、Y方向に延びる第1切欠部26が形成されている。Z方向は、鉛直方向と一致している。
【0019】
第1切欠部26は、本体部22のY方向におけるワーク移動機構13側の端面から本体部22におけるY方向の中央部よりもワーク移動機構13側の端面とは反対側の端面寄りの位置まで真っ直ぐに延びている。したがって、第1切欠部26は、Y方向におけるワーク移動機構13側の端面側及びX方向の両側が開口しており、ワークWが挿入可能になっている。第1切欠部26の下面は、水平な平面になっている。
【0020】
パンチ23は、Z方向に延びており、本体部22のY方向におけるワーク移動機構13側の端面における第1切欠部26の上側に、パンチ移動機構25を介して取り付けられている。パンチ移動機構25は、パンチ23をZ方向に往復移動可能に構成されている。ダイ24は、本体部22のY方向におけるワーク移動機構13側の端部に、上面が第1切欠部26の下面と略面一となるように設けられている。
【0021】
ダイ24は、パンチ23とZ方向で対向する位置に、パンチ23が挿入可能なダイ孔27を有している。そして、パンチ23は、パンチ移動機構25により、先端部(下端部)がダイ孔27から離れる待機位置(図7に実線で示す位置)と、先端部(下端部)がダイ孔27に挿入されるプレス位置(図7に二点鎖線で示す位置)との間で移動されるようになっている。
【0022】
図1図2及び図7に示すように、検出装置15は、Y方向に延びるとともにX方向を厚さ方向とする略矩形板状の基材28と、基材28のY方向におけるワーク移動機構13側の端面に取付板29を介して取り付けられた検出部30とを備えている。基材28は、プレス加工装置14の本体部22と略同様の形状をなしており、厚さが本体部22の半分程度になっている。したがって、基材28にはプレス加工装置14の本体部22の第1切欠部26と対応する第2切欠部31が形成され、X方向における第2切欠部31の幅はX方向における第1切欠部26の幅の半分程度になっている。
【0023】
検出部30は、第2切欠部31よりも上側に配置され、プレス加工装置14のパンチ23及びパンチ移動機構25に対してX方向で隣り合うように並んで配置されている。検出部30は、例えば面光電センサによって構成される。面光電センサは、一般的な光電センサの検出範囲が点であることに対して、面(所定の面積)単位での検出を行うことが可能なセンサである。
【0024】
検出部30は、プレス加工装置14のパンチ23とダイ24とでプレス加工されたワークWの加工状態を、ワークWが加工された位置にワークWがある状態でワークWに投光してワークWで反射した反射光を受光することによって検出する。この場合、検出部30は、ワークWよりもパンチ23側の位置に、ワークWで反射した反射光の受光方向がパンチ23の移動方向であるZ方向と交差するように配置されている。すなわち、検出部30は、ワークWにおけるパンチ23とダイ24とでプレス加工される部分の斜め上方に配置されている。
【0025】
基材28のY方向におけるワーク移動機構13側の端部におけるプレス加工装置14側とは反対側の面には、中央部に開口部32を有した矩形板状の支持部材33が固定されている。支持部材33は、厚さ方向がX方向となるように配置されている。支持部材33の開口部32には、検出部30の一部が挿入されている。
【0026】
図6及び図7に示すように、支持部材33の下面には、ダイ24上のワークWに上方からエアを噴射可能な略矩形板状のエアブロー部34がZ方向に延びる軸線を中心に回動可能に支持されている。この場合、エアブロー部34は、ダイ24の上側に張り出す使用位置(図7に示す位置)と、ダイ24の上側から退避する非使用位置(図6に示す位置)との間で回動可能になっている。
【0027】
エアブロー部34は、検出部30よりも若干低い位置に、厚さ方向がZ方向となるように配置されている。エアブロー部34の下面には、使用位置でダイ24上のワークWに対して上側からエアを噴射するための複数のノズル(図示略)が形成されている。エアブロー部34には、エアブロー部34が使用位置に回動されたときにパンチ23が挿入されることでエアブロー部34とパンチ23との接触を避けるための切欠凹部35が形成されている。
【0028】
エアブロー部34には、エアブロー部34が使用位置に回動されたときに検出部30によるワークWの加工状態の検出を妨げないようにするための貫通孔36が形成されている。この場合、検出部30からワークWに当てる光及びワークWからの反射光は、貫通孔36を通るようになっている。
【0029】
エアブロー部34の上面には、エアブロー部34が使用位置にあるときに支持部材33に形成されたZ方向に延びるインデックスプランジャ37と係合する第1凹部38と、エアブロー部34が非使用位置にあるときに支持部材33に形成されたZ方向に延びるインデックスプランジャ37と係合する第2凹部39とが形成されている。
【0030】
インデックスプランジャ37が第1凹部38または第2凹部39と係合した状態ではエアブロー部34がロックされた状態になるため、エアブロー部34が回動できなくなる。インデックスプランジャ37と、第1凹部38または第2凹部39との係合状態は、インデックスプランジャ37を上方に引っ張り上げることで解除される。
【0031】
図2及び図4に示すように、支持台16の上壁40には、プレス加工装置14及び検出装置15を固定するための複数のクランパ41が設けられている。複数のクランパ41は、X方向及びY方向に等間隔となるように並ぶように配置されている。本実施形態では、20個のクランパ41が、X方向に所定間隔で2個並ぶとともにY方向に等間隔で10個並ぶように配置されている。
【0032】
各クランパ41は、支持台16の上壁40に貫通するように形成された孔42に挿入されている。各クランパ41は、上部にY方向から見てT字状をなす係止部43を有し、下部に雌ねじ部44を有している。各クランパ41は、係止部43が上壁40上に突出しており、雌ねじ部44に上壁40の下面側からボルト45が螺合している。
【0033】
プレス加工装置14の本体部22の下面には、2列分のクランパ41の係止部43をY方向においてスライド挿入可能なY方向から見てT字状をなす2つの第1溝46がY方向に延びるように全体にわたって形成されている。クランパ41の係止部43を本体部22の第1溝46にY方向にスライド挿入した状態では、クランパ41の係止部43と本体部22の第1溝46とがZ方向で係合可能になっている。
【0034】
したがって、クランパ41の係止部43を本体部22の第1溝46にY方向にスライド挿入した状態で当該クランパ41の雌ねじ部44に螺合したボルト45を締めることで、プレス加工装置14が支持台16に支持された状態で固定されるようになっている。
【0035】
一方、係止部43が本体部22の第1溝46にスライド挿入されたクランパ41の雌ねじ部44に螺合したボルト45を緩めた状態では、プレス加工装置14が支持台16に固定されないので、プレス加工装置14を支持台16から取り外すことが可能となる。したがって、プレス加工装置14(本体部22)は、支持台16に対して着脱自在に構成されていると言える。
【0036】
検出装置15の基材28の下面には、1列分のクランパ41の係止部43をY方向においてスライド挿入可能なY方向から見てT字状をなす1つの第2溝47がY方向に延びるように全体にわたって形成されている。クランパ41の係止部43を基材28の第2溝47にY方向にスライド挿入した状態では、クランパ41の係止部43と基材28の第2溝47とがZ方向で係合可能になっている。
【0037】
したがって、クランパ41の係止部43を基材28の第2溝47にY方向にスライド挿入した状態で当該クランパ41の雌ねじ部44に螺合したボルト45を締めることで、検出装置15が支持台16に支持された状態で固定されるようになっている。
【0038】
一方、係止部43が基材28の第2溝47にスライド挿入されたクランパ41の雌ねじ部44に螺合したボルト45を緩めた状態では、検出装置15が支持台16に固定されないので、検出装置15を支持台16から取り外すことが可能となる。したがって、図2及び図3に示すように、検出装置15(基材28)は、支持台16に対して着脱自在に構成されていると言える。
【0039】
次に、プレス加工システム11の電気的構成について説明する。
図5に示すように、プレス加工システム11は、プレス加工システム11を統括的に制御する制御部48を備えている。制御部48は、例えばマイクロコンピュータなどを含んで構成される。制御部48の入力側インターフェースには、各種の操作を行うための操作部49及び検出部30がそれぞれ電気的に接続されている。一方、制御部48の出力側インターフェースには、ワーク移動機構13、パンチ移動機構25、及び表示部50がそれぞれ電気的に接続されている。制御部48は、操作部49の操作に基づいてワーク移動機構13及びパンチ移動機構25の駆動を制御する。
【0040】
制御部48は、検出部30の検出結果に基づいてワークWの加工状態を検査する検査部を構成している。すなわち、制御部48は、例えばパンチ23とダイ24とでワークWの孔あけ加工を行ったときに、検出部30の検出結果に基づいてワークWに孔が形成されたか否かを検査する。この場合、制御部48には、予めワークWに孔が正常にあけられたときの検出部30の検出結果を合格基準結果として記憶されている。
【0041】
そして、制御部48は、合格基準結果と今回の検出部30の検出結果とを比較し、それらの一致度が一定の値以上である場合に合格であると判定し、それらの一致度が一定の値未満である場合に不合格であると判定する。例えば、パンチ23が折れてワークWに孔が形成されなかった場合には、制御部48によって不合格であると判定される。制御部48による合否の判定結果は、表示部50に表示される。表示部50は、図2に示すように、例えば検出装置15の基材28の上面に設けられる。
【0042】
なお、本実施形態では、検出装置15と制御部48とによって加工状態検査装置が構成されている。
次に、プレス加工システム11によってワークWにプレス加工の一種である孔あけ加工を行うときの作用について説明する。
【0043】
図1及び図7に示すように、プレス加工システム11によってワークWに孔あけ加工を行う場合には、パンチ23を待機位置で待機させるとともにエアブロー部34を使用位置に移動させた状態で、ワーク移動機構13のキャリッジ20の一対の保持部21によってワークWの一端部を挟んで保持する。続いて、キャリッジ20を移動させてプレス加工装置14のダイ24上にワークWをさせる。
【0044】
このとき、ワークWの一部は、プレス加工装置14の本体部22の第1切欠部26及び検出装置15の基材28の第2切欠部31に挿入される。続いて、図7に示すように、パンチ23を待機位置(図7に実線で示す位置)からプレス位置(図7に二点鎖線で示す位置)に移動させると、ワークWに孔あけ加工がなされる。続いて、パンチ23をプレス位置から待機位置に移動させる。
【0045】
このとき、エアブロー部34の下面の複数のノズル(図示略)からワークWにおけるダイ24の周囲と対応する部分にエアが瞬間的に噴射される。このため、ワークWがパンチ23に引っ掛かって浮き上がることが抑制される。さらにこのとき、検出部30は、パンチ23がプレス位置から待機位置に移動する間にワークWにおけるダイ24と対応する部分(孔あけ加工がなされた部分)の孔あけ加工状態を検出する。
【0046】
そして、この検出部30の検出結果に基づいて、制御部48は、ワークWに孔があけられたか否か、すなわち合格か不合格かを判定し、判定結果を表示部50に表示させる。制御部48は、上記判定結果が合格である場合、すなわちワークWに孔があけられたと判定した場合、次のワークWの孔あけ加工が行われるようにプレス加工システム11を制御する。一方、制御部48は、上記判定結果が不合格である場合、すなわちワークWに孔があけられていないと判定した場合、プレス加工システム11を停止させる。
【0047】
なお、加工状態検査装置によるワークWの孔あけ加工状態の検査はパンチ23がプレス位置から待機位置に移動する時間内に行われるため、当該検査による時間のロスはない。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0048】
(1)加工状態検査装置は、プレス加工装置によって孔あけ加工されたワークWの孔あけ加工状態をワークWが孔あけ加工された位置にワークWがある状態でワークWに反射した反射光を受光することによって検出する検出部30と、検出部30の検出結果に基づいてワークWの孔あけ加工状態を検査する制御部48とを備える。検出部30は、ワークWよりもパンチ23側の位置に反射光の受光方向がパンチ23の移動方向と交差するように配置されている。この構成によれば、プレス加工装置14によってワークWが孔あけ加工された位置からワークWを移動させなくてもパンチ23がワークWから退避した状態では、パンチ23が検出部30によるワークWに反射した反射光の受光を妨げない。すなわち、パンチ23がワークWから退避した状態では、パンチ23が検出部30によるワークWの孔あけ加工状態の検出を妨げない。このため、プレス加工装置14は、検出部30による前のワークWの孔あけ加工状態の検出を待つことなく、直ぐに次のワークWの孔あけ加工を行うことができる。したがって、プレス加工装置14によるワークWの孔あけ加工効率を低下させることなくワークWの孔あけ加工状態を検査することができる。
【0049】
(2)加工状態検査装置において、検出部30は、プレス加工装置14に対して隣り合うように並んで配置される。この構成によれば、検出部30がワークWに近い位置でワークWの孔あけ加工状態を検出するため、検出部30によるワークWの孔あけ加工状態の検出精度を高めることができる。
【0050】
(3)加工状態検査装置において、検出部30は基材28に設けられ、基材28はプレス加工装置14が支持される支持台16に対して着脱自在に構成されている。この構成によれば、支持台16に複数のプレス加工装置14を支持させる場合に、支持台16における検査したいプレス加工装置14のワークWの加工状態を検出部30が検出できる位置に基材28を取り付けることができるので、複数のプレス加工装置14によるワークWの孔あけ加工状態の検査を選択的に行うことができる。加えて、検出部30と基材28とを1つのユニットとして取り扱うことができるので、これらの持ち運びや支持台16に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0051】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・検出部30は、必ずしも基材28に設ける必要はない。すなわち、検出部30は、プレス加工装置14によってワークWが加工された位置にワークWがある状態でワークWに反射した反射光を受光することができる位置に配置できるのであれば、例えば天井、壁、及び床などから延びるアーム部材などに設けるようにしてもよい。
【0053】
・検出部30は、プレス加工装置14によってワークWが加工された位置にワークWがある状態でワークWに反射した反射光を受光することができるのであれば、必ずしもプレス加工装置14に対して隣り合うように並んで配置される必要はない。
【0054】
・基材28は、プレス加工装置14が支持される支持台16に対して必ずしも着脱自在に構成される必要はない。
・検出部30は、デジタルカメラによって構成してもよい。この場合、デジタルカメラの撮像素子(センサ)は、CCD(charge coupled device)であってもよいし、CMOS(complementary metal-oxide semiconductor)であってもよい。
【0055】
・検査部は、制御部48によって構成せずに、基材28に設けてもよい。
・プレス加工装置14は、孔あけ加工でなく、ワークWに対して凹凸を形成するプレス加工を行うようにしてもよい。このようにしても、上記実施形態のワークWの孔あけ加工状態の検査と同様に、ワークWの凹凸を形成するプレス加工状態の検査を加工状態検査装置によって検査することができる。
【符号の説明】
【0056】
14…プレス加工装置
15…加工状態検査装置を構成する検出装置
16…支持台
23…パンチ
24…ダイ
28…基材
30…検出部
48…加工状態検査装置及び検査部を構成する制御部
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7