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特許7399486家畜の誘導頭数規制装置、及び逆侵入規制装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】家畜の誘導頭数規制装置、及び逆侵入規制装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
A01K29/00 A
A01K29/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020541142
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2019033297
(87)【国際公開番号】W WO2020050087
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2018166700
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】川末 紀功仁
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-167379(JP,A)
【文献】特開平08-080136(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02190945(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第105191821(CN,A)
【文献】特開平04-281727(JP,A)
【文献】国際公開第1996/004551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
A01K 15/04
G01G 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部から誘導路内に進入する家畜の頭数を一頭ずつに規制する家畜の誘導頭数規制装置であって、
前記入口部を開放して家畜の進入を可能とする開放位置と前記入口部の少なくとも一部を閉止して家畜の進入を阻止し得る閉止位置との間で進退可能な開閉ユニットと、該開閉ユニットを作動させる駆動機構と、前記誘導路内における家畜の位置を検知する検知手段と、前記駆動機構の制御手段と、を備え、
前記制御手段は、家畜の進入を許容する初期状態においては前記駆動機構により前記開閉ユニットを開放位置に保持すると共に、前記入口部から進入した前記家畜が所定の位置に達したことが前記検知手段により検知された時に前記駆動機構により前記開放位置にあった前記開閉ユニットを前記閉止位置へ向かう閉止方向に移動させ、
前記開閉ユニットは、所定の上下方向への軌道に沿って進退自在に構成され、且つ前記誘導路の幅方向に沿って延びる可動基部と、該可動基部により一部を家畜の進入方向と並行な方向へ所定の角度範囲内で回動自在に支持されると共に、他部を前記入口部に向けて延出させ、且つ前記誘導路の幅方向に沿って配置された複数の開閉片と、を備え、前記各開閉片のうちの一部は、前記可動基部が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、前記家畜と接触しつつ該家畜の前進を許容する一方で、他の前記開閉片は前記家畜と前記誘導路との間の隙間内に位置して他の家畜が前記隙間から進入することを阻止することを特徴とする家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項2】
前記各開閉片は、前記可動基部により家畜の進入方向と並行な方向へ回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項3】
前記各開閉片は、前記開放位置では、前記入口と並行な姿勢か、該並行な姿勢よりも所定角度入口部の外方へ傾斜した傾斜姿勢を保持しており、前記閉止位置に移動する過程においても当該各姿勢を維持し続け、且つ家畜に接触して押圧されることにより開放方向へ回動することを特徴とする請求項又はに記載の家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項4】
入口部から誘導路内に進入する家畜の頭数を一頭ずつに規制する家畜の誘導頭数規制装置であって、
前記入口部を開放して家畜の進入を可能とする開放位置と前記入口部の少なくとも一部を閉止して家畜の進入を阻止し得る閉止位置との間で進退可能な開閉ユニットと、該開閉ユニットを作動させる駆動機構と、前記誘導路内における家畜の位置を検知する検知手段と、前記駆動機構の制御手段と、を備え、
前記制御手段は、家畜の進入を許容する初期状態においては前記駆動機構により前記開閉ユニットを開放位置に保持すると共に、前記入口部から進入した前記家畜が所定の位置に達したことが前記検知手段により検知された時に前記駆動機構により前記開放位置にあった前記開閉ユニットを前記閉止位置へ向かう閉止方向に移動させ、
前記開閉ユニットは、所定の軌道に沿って進退自在な可動基部と、該可動基部により一部を家畜の進入方向と並行な方向へ所定の角度範囲内で回動自在に支持され、且つ他部を入口部に向けて延出した複数の開閉片と、を備え、前記各開閉片のうちの一部は、前記可動基部が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、前記家畜と接触しつつ該家畜の前進を許容する一方で、他の前記開閉片は前記家畜と前記誘導路との間の隙間内に位置して他の家畜が前記隙間から進入することを阻止し、
前記各開閉片は、前記入口部と並行な姿勢、又は該並行な姿勢よりも所定角度入口部の外方へ傾斜した傾斜姿勢を越えて前記入口部の内側方向へ回動できないことを特徴とする家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項5】
前記開閉片は、複数の開閉小片を関節部を介して回動自在に連結した構成を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項6】
入口部から誘導路内に進入する家畜の頭数を一頭ずつに規制する家畜の誘導頭数規制装置であって、
前記入口部を開放して家畜の進入を可能とする開放位置と前記入口部の少なくとも一部を閉止して家畜の進入を阻止し得る閉止位置との間で進退可能な開閉ユニットと、該開閉ユニットを作動させる駆動機構と、前記誘導路内における家畜の位置を検知する検知手段と、前記駆動機構の制御手段と、を備え、
前記制御手段は、家畜の進入を許容する初期状態においては前記駆動機構により前記開閉ユニットを開放位置に保持すると共に、前記入口部から進入した前記家畜が所定の位置に達したことが前記検知手段により検知された時に前記駆動機構により前記開放位置にあった前記開閉ユニットを前記閉止位置へ向かう閉止方向に移動させ、
前記開閉ユニットは、進退自在な可動基部と、該可動基部により個別に、且つ直線的に出没、進退自在に支持された複数の開閉片と、備え、前記各開閉片のうちの一部は、前記可動基部が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、前記家畜の前進を許容する一方で、他の前記開閉片は前記家畜と前記誘導路との間の隙間内に位置して他の家畜が前記隙間から進入することを阻止することを特徴とする家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項7】
前記誘導路は、前記入口部内に進入した家畜が前進、及び後退可能な一つの歩行路、及び、該歩行路の左右両側縁に沿って配置されて前記歩行路上の前記家畜の方向転換を阻止する左右の側方規制部材により形成され、
前記歩行路は、前記入口部よりも内側の内部歩行路と、前記入口部の外側に位置する外部歩行路と、を有し、
前記内部歩行路と前記外部歩行路の路面には、家畜が横たわることを阻止する障害突起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の家畜の誘導頭数規制装置。
【請求項8】
家畜が退出する出口部を有した誘導路において、前記出口部から家畜が前記誘導路内に逆侵入することを規制する逆侵入規制装置であって、
前記出口部からの家畜の退出を常時可能とする一方で、家畜が外部から該出口部内に逆侵入することを阻止するために回動自在に支持された複数の開閉片と、
前記各開閉片間に突出することにより前記誘導路内の家畜を前記出口部から退出不能に閉鎖する閉鎖位置と、前記各開閉片間から退避することにより家畜を前記出口部から退出可能とする退避位置との間を進退する進退片と、
を備えていることを特徴とする家畜の逆侵入規制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導路内に進入する家畜の頭数を一頭ずつに規制する誘導頭数規制装置、及び家畜が誘導路の出口内に逆侵入することを規制する逆侵入規制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飼育場内で飼育されている豚、牛、馬、羊等の家畜に対して行われる体重測定、体長測定、健康観察(検査)、注射等々の作業は、狭い誘導路内に一頭ずつ進入させて動きをある程度封じた状態で実施される。
【0003】
図19は家畜の一例としての豚の飼育場、つまり豚舎における自動選別システムを示す平面略図である。豚舎200には、多数の豚Pが休息でき、且つ水場が設けられている休息エリア201と、休息エリアとは隔壁205によって区分けされることにより休息エリアとの間の自由な行き来を制限される餌場210と、隔壁205に設けられて餌場210から休息エリア201への一方向移動のみを許容する一方向ゲート206と、休息エリア201から餌場210への唯一の通路であり、且つ一頭ずつの進入、通過を可能とする路幅を有した誘導路220と、誘導路内に設けられるロードセルから成る体重測定器230と、体重測定器により規定体重に達していると判定された豚を収容する出荷エリア240と、規定体重に達していないと判定された豚を誘導路出口から餌場210へ戻す一方で、規定体重に達している豚を出荷エリア240へ仕分ける選別器250と、を備える。
誘導路220の幅寸法は、規定体重に達した豚一頭が余裕をもって進入して通過できるように広目に設定されている。このため、二頭の豚、特に規定体重に満たない二頭の豚が同時に、或いは重なりながら相前後して誘導路内に進入することは可能である。
選別器250は、コンピュータにより制御されたモータにより駆動される回転式のゲート251と、仕分け壁255とから成っている。体重測定中はゲートの凹状部252が誘導路220の出口と対面して餌場210、及び出荷エリア240への通路を同時に塞ぐ一方で、体重測定直後に測定結果に基づいてゲート251の回転角度位置を制御することにより凹状部252の向きを餌場方向、或いは出荷エリア方向へ切替えて何れか一方へ誘導する。
【0004】
図20(a)及び(b)は、従来の誘導路の入口部に設けられる自動扉の説明図である。
図20(a)に示すように、誘導路220の入口220aには昇降移動して入口を開閉する自動扉225が設けられており、自動扉225が開放した状態にある時に頭部から入口に進入した一頭の豚の胴部適所、例えば臀部が入口内部に達したことがセンサにより検知された時点で自動扉を下降させて入口220aを閉じることにより後続の豚の進入を阻止する。
【0005】
ところで、自動扉225は、四角い枠体内に複数本のパイプを配置した形状であるため、図20(a)に示すように先行して入口220a内に進入した豚の背中に自動扉225の下部225aが下降して接触しただけでは入口220aは完全に封鎖されない。つまり、先行する豚と入口の側部との間に隙間Gが形成され、この隙間から後続の豚が進入することが可能となる。
従って、図20(b)に示すように、二頭の豚が連なって入口に進入しようとしたり、二頭が横並びでほぼ同時に頭部から進入しようとする場合には、二頭が誘導路内に入り込んだり、誘導路内で進退不能な状態となったりして一頭ずつに対する体重測定等の作業を正確に実施できなくなる。
【0006】
特許文献1、2には、牛を誘導路内に一頭ずつ誘導する歩行動物の分離装置が開示されている。
特許文献1、2には誘導路内に設けられた観音扉(hinged double doors)方式の一対のゲートを二頭の歩行動物が同時に、或いは相前後重なって通過することを防止するための分離装置が開示されているが、ゲート開閉機構の構成が複雑であり、高コスト化を招く。また、ゲートの手前の誘導路において既に歩行動物が一頭ずつに仕分けられていることを前提としている分離装置であるため、多数の歩行動物が混在している広いスペースに面した誘導路入口にこのゲートを設けた場合に、二頭以上の歩行動物が同時に入口に頭部を突っ込んで進入することを阻止することができない。
【0007】
また、家畜の中でも豚は誘導路の入口や出口の柵や壁部に背中を向けて寝る習性があるため、横たわった豚の身体が入口や出口を塞ぐことにより餌場へ移動しようとする他の豚が誘導路への進入を妨げられたり、誘導路から出口を経て餌場等へ移動することが妨害されることが多々ある。
また、一頭の豚が誘導路内に入っている時には入口の扉と出口の扉が閉止状態にあるが、この時点で停電やコンピュータのフリーズが発生すると両扉が開かなくなる。飼育員の不在等により停電等に気づかない場合には豚が長時間誘導路内に閉じ込められて死亡する事故が発生する。
このような不具合は、観音開き式のゲートにおいても同様に発生する問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平06-225658公報
【文献】特開平09-107840公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、多数の家畜中から一頭ずつ誘導路に導く際に、誘導路の入口部に二頭が同時に、或いは相前後して重なって進入することをシンプルな構成により阻止することができる家畜の誘導頭数規制装置を提供することを目的としている。
また、誘導路の入口部に電動式の開閉ユニット(扉)が設けられている場合に停電等によって開閉ユニットが閉止状態になっても誘導路内にいる家畜が後退することにより開閉ユニットを押圧して誘導路から脱出することを可能とする。
本発明の他の目的は家畜が誘導路への入口部に寝転ぶことにより入口部を塞ぐことを防止することと、入口部への一つの進入ルートが塞がれていても他の家畜が当該入口部への他のルートを利用して誘導路内へ進入することを可能とすることである。
更に本発明は家畜が誘導路の出口から逆侵入することを規制する逆侵入規制装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、入口部から誘導路内に進入する家畜の頭数を一頭ずつに規制する家畜の誘導頭数規制装置であって、前記入口部を開放して家畜の進入を可能とする開放位置と前記入口部の少なくとも一部を閉止して家畜の進入を阻止し得る閉止位置との間で進退可能な開閉ユニットと、該開閉ユニットを作動させる駆動機構と、前記誘導路内における家畜の位置を検知する検知手段と、前記駆動機構の制御手段と、を備え、前記制御手段は、家畜の進入を許容する初期状態においては前記駆動機構により前記開閉ユニットを開放位置に保持すると共に、前記入口部から進入した前記家畜が所定の位置に達したことが前記検知手段により検知された時に前記駆動機構により前記開放位置にあった前記開閉ユニットを前記閉止位置へ向かう閉止方向に移動させ、前記開閉ユニットは、所定の上下方向への軌道に沿って進退自在に構成され、且つ前記誘導路の幅方向に沿って延びる可動基部と、該可動基部により一部を家畜の進入方向と並行な方向へ所定の角度範囲内で回動自在に支持されると共に、他部を前記入口部に向けて延出させ、且つ前記誘導路の幅方向に沿って配置された複数の開閉片と、を備え、前記各開閉片のうちの一部は、前記可動基部が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、前記家畜と接触しつつ該家畜の前進を許容する一方で、他の前記開閉片は前記家畜と前記誘導路との間の隙間内に位置して他の家畜が前記隙間から進入することを阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、家畜を一頭ずつ誘導路に導く際に、誘導路の入口部に二頭が同時に、或いは相前後して重なって進入することをシンプルな構成により阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】家畜の誘導頭数規制装置を備えた自動選別装置の構成を示す説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る家畜の誘導頭数規制装置の構成、及び規制手順を示す斜視図である。
図3】同規制装置の構成、及び規制手順を示す斜視図である。
図4】同規制装置の構成、及び規制手順を示す斜視図である。
図5】同規制装置の構成、及び規制手順を示す斜視図である。
図6】同規制装置の構成、及び規制手順を示す側面図である。
図7】同規制装置の構成、及び規制手順を示す側面図である。
図8】同規制装置の構成、及び規制手順を示す側面図である。
図9】(a)及び(b)は開閉ユニットにより後続の家畜の進入を阻止している状態を示す斜視図、及び平面図である。
図10】(a)乃至(f)は開閉ユニットの具体的な構成を示す一部分解斜視図、及び要部断面図である。
図11】開閉ユニットの変形例の構成を示す正面図である。
図12】本誘導頭数規制装置の制御ブロック図である。
図13】本頭数規制装置による規制手順を示すフローチャートである。
図14】(a)乃至(d)は、本発明の第2の実施形態に係る家畜の誘導頭数規制装置の構成、及び動作を説明する図であり、(e)は関節部の構成例の説明図である。
図15】(a)乃至(d)は、本発明の第3の実施形態に係る家畜の誘導頭数規制装置の構成、及び規制動作を説明する図である。
図16】入口部における家畜の状態説明図である。
図17】(a)(b)及び(c)は誘導路の出口部に配置される逆侵入規制装置の一例の構成を示す出口側の斜視図である。
図18】逆侵入規制装置による逆侵入規制を伴った選別動作を示すフローチャートである。
図19】従来の豚舎における自動選別システムを示す平面略図である。
図20】(a)及び(b)は従来の誘導路の入口部に設けられる自動扉の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
<本発明の概要>
図1は家畜の一例としての豚の誘導頭数規制装置を備えた自動選別装置の構成を示す説明図であり、図2乃至図5は本発明の一実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置の構成、及び規制手順を示す斜視図であり、図6乃至図8は同誘導頭数規制装置の構成、及び規制手順を示す側面図である。図9(a)及び(b)は開閉ユニットにより後続の豚の進入を阻止している状態を示す斜視図、及び平面図である。図10(a)乃至(f)は開閉ユニットの具体的な構成を示す一部分解斜視図、及び要部断面図であり、図11は開閉ユニットの変形例の構成を示す正面図である。図12は本誘導頭数規制装置の制御ブロック図であり、図13は本頭数規制装置による規制手順を示すフローチャートである。
なお、本例では、誘導頭数規制装置を図19に示した豚舎に適用する場合を一つの例として説明する。従って、図19中の各構成要素を同じ符号で引用しつつ説明する。
【0014】
豚の誘導頭数規制装置(以下、誘導頭数規制装置、と称する)1の基本構成(概略構成)は次の通りである。
図1に示したように、誘導頭数規制装置(進入頭数規制装置)1は誘導路の入口部12内、或いは入口部の近傍に配置され、誘導路10内に進入する豚の頭数(誘導頭数)を一頭ずつに制限、規制する手段である。
誘導路10は、豚Pを一頭ずつ入口部12から受け入れて任意の方向へ誘導する手段であり、その長手方向両端部には入口部12と出口部14とを有し、入口部に頭部から進入した規定体重(例えば、115kg)を有した一頭の豚Pが余裕をもって前進、後退可能な程度の幅Wを有した一つの歩行路16と、歩行路の左右両側縁に沿って立設されて歩行路上の豚の方向転換や、歩行路からの逸脱を阻止するための柵、壁などから成る左右の側方規制部材18と、を有する。
符号205aは、図19の隔壁205を構成する柵である。
歩行路16は、入口部12から誘導路10内に延びる内部歩行路16aと、入口部から外部に延出した外部歩行路16bと、から構成されており、外部歩行路の2つの角隅部等の適所に夫々支柱20を立設することにより、入口部への進入経路を正面経路R1、左側経路R2、及び右側経路R3の3つの経路に区画している。従って、ある豚が入口部に進入しようとしている時に、一つ、或いは2つの経路が他の豚により塞がれていたとしても残りの経路から進入することが可能となる。
【0015】
また、内部歩行路16aと外部歩行路16bの路面には、豚が寝たり、座り続けることを防止するためのΛ状レールから成る障害突起部25が全長に亘って形成されている。障害突起部の形状、個数、配置箇所は図示のものに限定されず、豚が居心地良く居続けることができない構成とすればよい。
更に、二本の支柱20の上部から入口部12に向けて夫々手摺22が水平に設けられている。この手摺22は、管理者が掃除等をする際に障害突起部につまずいて転ぶことを防止する手段である。
誘導頭数規制装置1は、入口部12を開放して豚の進入を可能とする開放位置(図3図6)と、入口部の少なくとも一部を閉止して豚の進入を阻止し得る閉止位置(図2図8)との間で進退可能な開閉ユニット50と、開閉ユニットを作動させる駆動機構80と、入口部12から進入した豚Pの誘導路(歩行空間)10内における進入位置(進入距離)を検知する検知手段90(図1)と、駆動機構80の制御手段100と、を備えている。
必要に応じて、誘導路の出口部14にも検知手段を配置して豚が誘導路から退出したことを検知するようにしてもよい。
【0016】
制御手段100は、入口部12からの豚の進入を待機している初期状態においては駆動機構80により開閉ユニット50を開放位置に保持すると共に、入口部12から誘導路内に進入した豚が歩行路上を所定の前進位置に達したことが検知手段90によって検知された時に駆動機構80を作動させて開閉ユニット50を閉止位置(閉止方向)に移動させる。
開閉ユニット50は、開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、家畜の前進を許容する一方で、家畜と誘導路との間の隙間から他の家畜が進入することを阻止する手段である。即ち、開閉ユニット50は、上下、左右、斜め等々の所定の軌道、本例では上下の軌道に沿って進退自在な横長の可動基部54と、可動基部の長手方向に沿った各部位により一部を支持されてすだれ状に垂れ下がった複数の開閉片60と、を備えている。各開閉片のうちの一部は、可動基部54が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び閉止位置に移動した後で、豚の身体(頭部、首部、胴部、臀部等)と接触して豚の身体と相対的に動作しつつ、豚の前進を許容する一方で、残りの開閉片は豚と側方規制部材18(本例では左側の側方規制部材)との間の隙間G内に位置して(突出して)後続の豚が隙間Gから進入することを阻止するように構成、配置されている。
【0017】
全ての開閉片60は、可動基部54に対して同一の開閉構造で組み付けられているが、通過する豚のサイズや、豚の幅方向位置の違いに応じて豚と接したり、隙間G内に突出するように役割分担する。
先行する豚の臀部が開閉片を完全に抜け出ることにより、それまで豚と接触していた開閉片が接触しなくなると、開閉ユニットは自重により図5図8に示した最終閉止位置まで落下して全ての開閉片により入口部が完全に閉塞される。このため、後続の豚は入口部内に入ることが完全に不可能となる。
先行する豚が体重測定等の所定の処置を受け終わって前進した後、或いは出口部から完全に退出したタイミングで、開閉ユニットを再び開放位置に移動させて次の豚の進入を可能とする。
なお、本例では開閉ユニット50は上下方向へ進退する構成としたが、これは一例に過ぎず、左右方向、斜め方向へ進退する構成としてもよい。
検知手段90としては、発光素子と受光素子とから成るフォトインタラプタ、リミットスイッチ等々を用いることができるが、本例では誘導路の上方に配置した豚の体重推定用のカメラ92から得られる画像情報を利用した検知手段を用いる例を示す(詳細は後述)。
【0018】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置1について具体的に説明する。
図2は誘導頭数規制装置1を構成する開閉ユニット50が最下降位置にあって入口部12を閉止した状態(進入禁止状態)を示しており、図3は開閉ユニットが最上昇位置にあって入口部を開放した状態(進入許容状態)を示している。
【0019】
誘導路10の入口部12には、一対の柱状の昇降ガイド部材(ガイド軸)30により開閉ユニット50が上下方向へ移動可能に支持されており、開閉ユニットは駆動機構80を構成するエアーシリンダ82によって昇降駆動される。
昇降ガイド部材30が開閉ユニット50を昇降自在に支持する構成は種々選択可能であるが、一例として図10(a)の開閉ユニットの一部分解斜視図に示すように可動基部54の基部本体55の両端部に昇降ガイド部材30の外周に嵌合して軸方向にスライド移動する筒状のスライダー57を設けた構成を挙げることができる。
基部本体55には所定の軸方向ピッチで小径の軸受部55aと大径部55bが交互に設けられており、各軸受部55aには各開閉片60の基端部に設けたスリーブ61の中心穴が回動自在に軸支されている。スリーブ61は軸受部55aの軸方向両側に位置する大径部55bにより軸方向移動を規制されると共に、図10(b)の断面図にも示すように各スリーブ61の軸方向一端(或いは両端)外面から軸方向に突出した被係止突起62を大径部55bに設けたストッパ63に係止可能に構成されている。即ち、開閉片が軸受部55aを中心として閉止方向へ回動する角度は被係止突起62がストッパ63に当接することにより規制される。
【0020】
可動基部54は、例えば、その中心部を軸方向に貫通する長尺棒状の軸受部55aの外周に大径部55bとスリーブ61を順次交互に挿通してから、各大径部だけを軸受部の所定箇所に固定することにより組み立てることができる。
可動基部54は入口部12の上方に配置されたエアーシリンダ82により昇降駆動される。エアーシリンダ82は、シリンダチューブ83と、シリンダチューブにより出没自在に支持されたピストンロッド84とから構成され、ピストンロッドに連結された可動基部が昇降駆動される。
なお、駆動機構はどのような構成であってもよく、例えば、モータ、プーリ、ベルトから成る駆動伝達機構により構成してもよい。
【0021】
以上のように本実施形態に係る開閉ユニット50は、所定の開閉方向、本例では昇降ガイド部材30に沿った上下方向へ進退(昇降)自在な可動基部54と、可動基部(基部本体55)により一部(基端部)を豚の移動方向(誘導路の長手方向)と並行な方向へ所定の角度範囲内で回動自在に支持され、且つ他部を入口部12に向けて延出した複数の開閉片60と、を備える。各開閉片のうちの一部の開閉片は、可動基部54が開放位置から閉止位置に移動する過程、及び移動した後で、先行する豚P1の身体(頭部、首部、胴部、臀部)と接触して摺動しつつ豚の前進を許容する一方で、豚と充分に接触しない残りの開閉片は豚と側方規制部材18との間の隙間G内に位置(突出)して後続の豚P2が隙間から進入することを阻止する。なお、「並行」とは厳密な意味の「平行」を必ずしも意味せず、本例では豚の移動方向に沿った方向という意味である。
【0022】
図10(a)に示したように各開閉片60は夫々の基端部に設けたスリーブ61を基部本体55に設けた軸受部55aにより回動自在に軸支されており、各開閉片は個別に回動する。また、図10(b)の可動基部の要部断面図に示すように、開閉片が同図中に実線で図示した初期位置にある時に基部本体に設けたストッパ63に対して開閉片のスリーブ61に設けた被係止突起62が当接することにより開閉片の初期姿勢(閉止方向への回動の限界位置)が決められる。
従って、被係止突起62とストッパ63との掛止作用により、各開閉片は外力が加わらない状態では、図3図6図10(b)に示すように垂直方向に対して所定角度θだけ入口部の外方へ傾斜して突出した傾斜姿勢(初期姿勢)を保持しており、閉止ユニットが開放位置から閉止位置に下降する過程においても当該傾斜姿勢を維持し続け、且つ豚に接触して押圧されることにより開放方向へスムーズに回動する。開閉ユニットが最閉止位置にまで下降し終わることにより豚からの開放方向への押圧力が解消されて各開閉片は自重により初期姿勢に復帰する。
本例では、開閉片60は、基部本体55の長手方向(誘導路の幅方向)に沿って所定のピッチ(或いは、任意の配置)で一端を回動(揺動)可能に支持された複数の棒状、或いは細幅帯状の板材などの細長い長尺部材から構成された所謂すだれ状の構成を有している。開閉片の本数は、図示した4本に限定されない。開閉片は、豚が衝突する際の衝撃にも抗し得るように金属材料、或いは強度の高い樹脂材料により構成する。
【0023】
開閉ユニット50が図3に示した入口部12を開放した開放位置(最上昇位置)にある時に豚が入口部内に進入して頭部から所定の位置、具体的には全長の1/2、或いは2/3までの部位が入口部(開閉ユニットの昇降経路)に達した時点で、検知手段90がこれを検知する。制御手段100はこの検知信号に基づいて駆動機構80を作動させて開閉ユニットを図2に示した閉止位置に下降させる。具体的には制御手段は、エアーシリンダ82による引上げ保持力を解消して自重により開閉ユニット50を下降させる。
開閉ユニットの下降動作により、各開閉片のうち、豚の幅寸法内に位置する開閉片の先端部だけが通過中の豚の胴部に接触する。豚の幅寸法外に位置する開閉片60Aは豚と側方規制部材との間の隙間Gに入り込んでこの隙間を塞ぐ。
各開閉片60の回動方向は、誘導路10の長手方向と並行な方向、即ち、誘導路の幅方向と直交(交差)する方向に沿っている。可動基部54を中心として回動する各開閉片の回動可能な範囲は極限されており、可動基部から垂下した垂直な方向よりも所要角度θだけ入口部12の外側方向へ突出(傾斜)した姿勢(初期姿勢)を越えて、誘導路の内奥部側(入口部の内側方向)へは回動できないように構成されている。このため、豚が初期姿勢にある開閉片の外側面を押し込んでもそれ以上内側に入り込むことはできない。
【0024】
一方、初期姿勢にある開閉片は、入口部の外側方向(開放方向)に対しては、充分に広い角度範囲で回動できるように構成されている。このように構成することにより、開閉片の先端部が豚の身体に接した後で、豚が誘導路内奥部へ向けて移動する過程において、豚に対して肉体的、心理的に大きな負担を与えることなく開閉片が豚の身体に沿って開放方向へ回動して退避することが可能となり、豚の前進を妨げることがなくなる。
【0025】
本例では、各開閉片の先端部を湾曲状態で折り返した形状とすることにより、先端が接触した豚の身体を傷つけることがないように配慮している。
各開閉片の先端部を湾曲させる以外にも、回転自在なローラや球体等の回転体、或いは摩擦抵抗の少ないクッション部材等を先端部に配置するようにしてもよい。
開閉片の先端に回転体を設ける場合には、初期姿勢にある開閉片の角度を垂直姿勢よりも開放方向寄りに傾斜させる必要は必ずしもない。つまり、各開閉片の初期姿勢を垂直な姿勢に設定したとしても、回転体の回転によって豚はスムーズに前進することができる一方、豚と接しない側方の開閉片60Aは隙間G内において垂直な姿勢を維持することができるので、後続の豚の進入を阻止することができる。
【0026】
入口部12を含めた誘導路10の幅寸法は、出荷可能な程度に生育した豚の胴部の最大幅よりも広く設定されているため、先行する一頭が入口部に頭部を進入させている時には誘導路の側方規制部材(側壁)18と豚の胴部との間に後続の他の豚が鼻先から突入することができる程度の隙間Gが形成される。本発明では、開閉ユニットが下降した時に、全ての各開閉片60の先端部が豚の身体と接触して押し上げられるようには構成されていない。つまり、左右何れか一方の開閉片、或いは左右両端部にある開閉片60Aは豚とは接触せずに、或いは接触しても押し上げられることなく、隙間G内に入り込んでこの隙間を埋めるように作動する。このため、豚と側方規制部材との間の隙間G内に入り込んだ開閉片60Aは、後続の豚が隙間から進入する際の障害となる。開閉片は、初期姿勢を越えて誘導路の内部側に回動できないからである。
上記実施形態では開閉片全体を直線状とし、可動基部から延出する開閉片の全長を開放方向へ傾斜させているが、図10(c)(d)に夫々示すように、先端部から所定長の部位(例えば、先端から全長の1/3、或いは1/2の部位)のみを開放方向へ屈曲、或いは湾曲させ、その部位よりも上側の部位は可動基部から垂直な方向へ延びるように構成しても良い。
【0027】
また、上記実施形態では、各開閉片の基本形状を直線状としているが、これに限定する必要はなく、図10(e)に示すように全体として湾曲した弓形状や、(f)に示すように多段状に屈曲した形状としてもよい。この場合の湾曲方向、屈曲方向は、各開閉片の先端部が開放方向へ反る、或いは屈曲するように設定する。
なお、図示した実施形態では各開閉片の長さを統一しているが、図11に示すように豚の背中の湾曲した形状に合わせて中央寄りの三本の開閉片60の長さを短くし、両外側の二本の開閉片の長さを長くすることにより、各開閉片の先端部間を結ぶラインが逆凹状となるように構成してもよい。このように構成すれば、豚と接する開閉片が短いために先行する豚との接触抵抗が少なくなって豚が通過し易くなる一方で、左右両側の長尺の開閉片が両サイドの隙間内に深く入り込んで隙間からの進入を確実に塞ぐことが可能となる。
【0028】
図11の開閉ユニットのように中央の三本の開閉片を短尺にすると、開閉ユニットが最下降位置に達した際に中央の短尺な三本の開閉片と歩行路16面との間に若干の隙間が形成されることも懸念されるが、短尺な開閉片を豚が押し込んでも内側には回動しないため進入は不可能となる。
また、上記実施形態では、各開閉片は平面方向から見て誘導路の幅方向に沿って直線的に配列されているが、幅方向中央部の開閉片を誘導路の内部側に位置させると共に、両端部の開閉片を入口部の外側に配置するようにしてもよい。或いは、その逆に幅方向中央部の開閉片を誘導路の外部側に位置させると共に、両端部の開閉片を入口部の内側に配置するようにしてもよい。
これらの変形構成例は、以下の全ての実施形態の開閉ユニットに対して応用が可能な範囲内で適用することができる。
【0029】
次に、図2乃至図5に示すように、左側の側方規制部材18に沿って豚が誘導路から逸脱することを阻止する閉塞部材としての側板36が配置されている。
側方規制部材18を金属製のパイプ等から成る柵として構成した場合には、図2のように開閉ユニットが閉止位置にあったとしても、側方規制部材18内の縦パイプ18a間に形成される開口部G1を利用して後続の豚が入り込む虞がなしとしない。そこで、本例では、一方、又は双方の側方規制部材に沿って開口部G1を閉塞する側板としての閉塞部材36を配置している。また、閉塞部材の前端36aを入口部よりも前方へ突出させることにより、隙間G内に突出した開閉片による進入防止機能と併せて、後続の豚が隙間から進入することを効果的に阻止することができる。
閉塞部材36は、側方規制部材の左右両側部に設けても良い。
【0030】
次に、図1乃至図10図12の制御ブロック図、及び図13のフローチャートに基づいて入口部に進入する豚の頭数を規制する手順、動作について説明する。
誘導頭数規制装置1を用いた進入頭数規制作業を開始する場合には、図2の閉止位置にあった開閉ユニット50を図3図6に示した開放位置に移動させるために制御手段100は駆動機構80を作動させて開閉ユニットを開放位置に移動させてその状態を保持する(ステップS1)。図2に示したように駆動機構80が開閉ユニット50を最下降位置に落下(下降)させて入口部12を閉止している時には豚は誘導路10内に進入することができない。一方、図3図6のように開閉ユニットが最上昇位置に移動して入口部を全開状態にしている時には、空腹を感じている休息エリア201内の豚は、入口部から誘導路を経て餌場に向かおうとする。
【0031】
入口部12が開放することにより豚が誘導路10へ進入可能な状態となるため、入口部側の検知手段90が豚の進入を監視し(ステップS2)、入口部から進入してきた豚が検知手段により検知された時に(ステップS2、YES)、駆動機構により開閉ユニットの保持を解除して閉止方向へ移動(自然落下)させる(ステップS3)。
開閉ユニット50は、落下する過程で各開閉片60の先端部が先頭の豚の胴部に接した時点で落下を中断するか、減速する(図4図7)。開閉ユニットの重量が適度に設定されているため、この時点以降、豚は開閉片を押上げながら前進を継続する。
即ち、開閉ユニット50が閉止位置に達する手前で何れかの開閉片の先端部が先行する豚の身体の適所に接触した後で、開閉片60は進行する豚Pにより開放方向へ押上げられるため豚はスムーズに前進する。豚と接触しないか、接触しても豚によって押し上げられずに豚の側方に形成される隙間G内に落ち込んだ端部の開閉片60Aは後続の豚が隙間から進入することを断念させることができる。即ち、先頭の豚が入口部を通過する際に左端の開閉片60Aが隙間を塞ぎ続けるため、後続の豚は隙間を利用して鼻先から入口部に進入することが不可能となり、先頭の豚だけを優先して誘導路内に導くことが可能となる(図5図8図9)。
【0032】
先行する豚が完全に開閉ユニットを通過して何れの開閉片とも非接触状態となった段階で開閉ユニットは自重により図5、及び図8に示した完全な閉止位置に下降する。
誘導路内で先行する豚P1に対して体重測定等の目的とする処置が施された後の所定のタイミングで制御手段は開閉ユニットを再び開放して図3図6の待機状態とする。即ち、本例では、先行する一頭の豚P1のみが誘導路に進入して体重測定を受けて出口部から退出したことが出口側の検知手段95により検知されると(ステップS4、YES)、制御手段はステップS5へ移行し、開閉ユニット50を開放位置に移動させて後続の豚の進入を許容する状態に移行させ、選別作業が終了するまでステップS2からステップS5に至る作業を繰り返す(ステップS6)。
ステップS6において一連の選別作業が終了した場合には、開閉ユニットを最閉止位置に下降させてフローを終了する(ステップS7)。
【0033】
なお、本例では、誘導路10の出口に設けるゲートとして、図1図19に示したように体重測定の結果に応じて餌場210と出荷エリア240に振り分けるために回転式のゲート251と仕分け壁255とから成るものを用いているが、これは一例に過ぎず、出口部から外部に出ることは許容するが、外部から逆戻りすることを禁止する従来のすだれ式、或いは昇降式のゲートとしてもよい。
なお、開閉ユニットが最閉止位置にある時においても各開閉片は開放方向への回動は自由であるため、停電などにより出口のゲートが閉じることにより誘導路内に閉じ込められて前進不能な状態に陥った豚は後退することにより開閉片を押し広げて入口部から外部へ引き返すことができる。
【0034】
各開閉片が豚の進行方向に沿ってすだれ状に開閉動作する構造を有しない図20に示した従来の単純な昇降ゲートであると、二頭の豚が入口部に相前後して連続して入来する場合に、ゲートを下げるタイミングの設定が難しく、どのようにタイミングを調整しても、隙間Gが形成されることにより、この隙間からの後続の豚の侵入を阻止できなかった。
これに対して本発明のすだれ方式の開閉ユニットであると、先行する豚の体長の1/3の部分、或いは1/2の部分が入口部に入ったタイミングで開閉ユニットを下ろせば、隙間Gが開閉片により迅速に塞がれるので後続の豚の進入を確実に阻止することが可能となる。
【0035】
<第2の実施形態>
図14(a)乃至(d)は、本発明の第2の実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置の構成、及び動作を説明する図である。
図14(a)は誘導頭数規制装置を構成する開閉ユニットが上昇した開放位置にあって入口部を開放した状態を示し、(b)(c)は開閉ユニットが下降途中において開閉片が豚の背中に接触しつつ滑りながら豚の通過を許容している状態を示し、(d)は豚が入口部を通過完了した状態を示している。
なお、第1の実施形態の図2乃至図8等と同一部分には同一符号を付して重複した構成、動作の説明は省略する。
【0036】
本実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置1は、開閉片60が、複数の開閉小片110を関節部120を介して回動自在に連結した構成を備え、可動基部54と最上部の開閉小片110との間も関節部120を介して回動自在に連結した構成を備えている点が特徴的である。
即ち、各開閉片60を多関節の構成とした点において第1実施形態と相違している。なお、全ての開閉片を多関節とせずに、一部の開閉片のみを多関節としてもよい。
【0037】
図14では、駆動機構を図示省略しているが、実際には開閉ユニットを昇降するためのエアーシリンダ等の駆動機構を備えている。また、誘導路、検知手段、選別器等も図示を省略している。
本例の多関節の開閉片60は、短尺な円筒状の開閉小片110の端部間を関節部120により回動自在に連結した構成を備えている。図14(a)に示した上昇位置において外力が加わらない状態では、各開閉小片110は何れも図2図5に示した初期姿勢(閉止方向への回動の限界位置)を越えて閉止方向へ回動することはできない。
即ち、最上部に位置する開閉小片110aは可動基部54により図示の初期姿勢を越えて閉止方向へ回動することを阻止されており、最上部の開閉小片110aの直下の開閉小片110bは最上部の開閉小片110aの下部に設けた関節部120aにより同様に初期姿勢を越えて閉止方向へ回動することが禁止されている。順次、下側の開閉小片は直上の開閉小片の下部に設けた関節部により同様に回動方向が規制されている。
ただ、各関節部120はその直下に連結された開閉小片が開放方向へ回動することは許容するため、この実施形態に係る開閉片は、第1の実施形態の開閉片に比して各関節部において多段状に開放方向へ回動できるので、図14(b)(c)のように移動し続ける豚の背中に接した時に発生する抵抗を大幅に低減することができる。
【0038】
図14(d)のように豚が通過して開閉ユニットが完全に閉止位置に下降した状態では、各開閉片60が入口部12を塞いでおり、後続の豚が無理に開閉片を押しのけようとしても開閉片は閉止方向へは回動しないため進入することはできない。
図14(e)は関節部の構成例であり、可動基部54と最上部の開閉小片110aとの間の関節部、及び開閉小片間の関節部に適用することができる。
この構成例では、2つの開閉小片の端部間を関節部としての回動軸121により回動自在に連結すると共に、一方の開閉小片に設けたストッパ122を他方の開閉小片の端部に当接させることにより閉止方向への回動を規制している。
本例においても、各開閉片の全長を一定とすることにより各開閉片の下端部の位置を一定(水平)としてもよいし、図11の構成例に示したように中央部が最短で、両側部に向けて順次長くなるようにしてもよい。
【0039】
上記実施形態では、可動基部54と最上部の開閉小片110aとの間を関節部により回動自在に連結しているが、可動基部と最上部の開閉小片を予め所定の角度で固定し、最上部の関節小片とそれ以下の開閉小片のみを順次関節部により回動自在に連結するようにしてもよい。
本実施形態における規制手順、規制方法は、第1実施形態のものと同様であるため、重複した説明は省略する。
また、本例においても、開閉ユニットが閉止位置にある時において各開閉片は開放方向への回動は自由であるため、停電などにより出口のゲートが閉じることにより誘導路内に閉じ込められて前進不能な状態に陥った豚は後退することにより開閉片を押し広げて入口部から外部へ引き返すことができる。
【0040】
<第3の実施形態>
図15(a)乃至(d)は、本発明の第3の実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置の構成、及び規制動作を説明する図である。
図15(a)は誘導頭数規制装置1を構成する開閉ユニット50が上昇した開放位置にあって入口部を開放した状態を示し、(b)(c)は開閉ユニットが下降途中において開閉片が豚の背中に接触しつつ先行する豚の通過を許容している状態を示し、(d)は先行する豚が入口部を通過完了した状態を示している。
なお、第1の実施形態の図2乃至図8等と同一部分には同一符号を付して重複した構成、動作の説明は省略する。
【0041】
図15では、駆動機構80を図示省略しているが、実際には開閉ユニットを昇降するためのエアーシリンダ等の駆動機構を備えている。また、誘導路、検知手段、選別器等も図示を省略している。
本実施形態に係る豚の誘導頭数規制装置1は、各開閉片60を可動基部54によって個別に上下方向(軸方向)へ直線的に出没自在に支持した構成が特徴的である。
即ち、本例においても、一対の柱状の昇降ガイド部材30により開閉ユニット50が上下方向へ移動自在に支持されている。開閉ユニットを構成する開閉片60は直線状に延びる四角柱状の棒体(或いは、板状体)であり、昇降ガイド部材30間に差し渡して固定された固定ガイド部材130に所定の横方向ピッチで設けた各貫通穴132内に昇降自在に支持されている。各開閉片60は押し上げる方向の外力が加わらない場合には各貫通穴132内に自重で下降した状態となる。また、固定ガイド部材130の上方には固定ガイド部材と並行な姿勢の可動基部54が配置されており、可動基部は昇降ガイド部材30によって両端部を所定の軌跡で昇降自在に支持されている。また、可動基部54には、固定ガイド部材130の貫通穴132と上下位置関係で対応する位置に貫通穴135が形成されており、各貫通穴には夫々対応する位置関係にある開閉片60が一本ずつ相対移動自在に挿通されている。各開閉片の上端部には貫通穴135からの抜け落ち防止用のストッパ140が形成され、各開閉片の先端部には豚との摺接、滑りをスムーズにするローラ等142が回転自在に配置されている。
つまり、各開閉片60は、昇降ガイド部材30間に固定された固定ガイド部材130に設けた各貫通穴132と、固定ガイド部材の上方を並行な姿勢で昇降する可動基部54に設けた各貫通穴135により、相対的に昇降自在に挿通支持されている。そして、開放位置にあった開閉ユニット50が入口部12を閉止する方向へ移動して豚の身体上に下降した時に、豚と接触して下降を阻害された開閉片はそのまま豚の身体と摺接しながら上下動し、豚から外れた位置にある開閉片は豚の側方に形成される隙間G内に突出して後続の豚の進入を阻止する。
【0042】
本実施形態における規制手順、規制方法は第1実施形態のものとほぼ同様であるため、重複した説明は省略する。
なお、図示しないが個々の開閉片を、短尺で径が順次異なる複数の筒状体から構成し、これらの小片を多段状の入れ子式に伸縮自在とした構成としてもよい。
【0043】
<体重推定システム、及び検知手段>
図19に示した自動選別システムでは、入口部の内部側の誘導路(歩行路上)に配置された体重測定器上に乗った豚の体重を計測し、適正体重に達しているか否かを判定して、選別器250により回転式のゲート251を操作して餌場210、或いは出荷エリア240へと振り分けている。
しかし、体重測定器が大型化したり、測定中に家畜が動くことにより誤差が生じるという問題がある。また、誘導路に進入した二匹の豚が体重測定器に同時に乗った場合には、正確な測定が不可能となって二頭共に規定体重を満たしていると判定されて出荷エリアへ振り分けられることになる。
この問題を解決するために本出願人は、特願2017-171256号において、豚の体重を撮影画像から推定するシステムを提案した。これによれば、誘導路内を歩行する豚が測定位置に入った瞬間にカメラ(図1中のカメラ92)により画像を撮影し、その画像から豚の体重を算出するためのデータを取得することができる。本システムでは、マルチスリット光とランダムドットを組み合わせることで一枚の画像から豚の三次元形状を取得し、動いている生体に対して外乱光による影響を受けない画像計測を実現できる。この方法では、一枚の画像から三次元形状を復元できるので、静止させることが難しい生体計測に有用である。
また、カメラ92から得られる画像は、駆動機構80を作動させて開閉ユニット50を作動させるタイミングを検知する手段としても利用できる。つまり、カメラ92は検知手段90を構成している。
しかし、カメラを用いた豚の体重の推定システムにあっても、後続の豚の頭部や前脚の一部が先行する豚の画像中に加わった場合には正確な体重推定が不可能となる。
【0044】
本発明に係る誘導頭数規制装置を本推定システムに適用することにより、常に一頭ずつを撮像範囲内に位置させた状態での測定が可能となる。また、体重測定に要する撮影時間は通常1秒程度であるため、作業効率を高めることができる。
なお、豚が誘導路内を前進する過程において複数枚の画像を撮影する必要が生じることもあるので、カメラの撮影エリアに相当する誘導路の長さに若干の余裕を設けるのが好ましい。
なお、変形例として、歩行路の適所に豚が踏むことにより体重が加わった時に作動するスイッチ(図示せず)を設け、このスイッチの作動(進入検知)を契機として開閉ユニットを作動させるように構成してもよい。
【0045】
<寝転がっている豚対策>
豚は放置しておくと、休息エリア201、餌場210、誘導路220、出荷エリア240等、場所を選ばず長時間寝転がってしまうが、特に誘導路内、入口部12や出口部14に密着した位置で寝てしまうと出入口や通路が塞がれ、他の豚の出入りに対する障害となる。空腹な豚が餌場に行くことを制限することとなるため、摂食回数に影響し、豚の成育に悪影響を与えることとなる。
そこで従来から誘導路内で寝ることを防止する対策としては、図2等に示したように、内部歩行路16aの路面に、豚が寝ることを防止するためのΛ状レールから成る障害突起部25を全長に亘って形成することが行われていた。しかし、従来、外部歩行路16bには障害突起部25が設けられていなかったため、外部歩行路16b上で寝る豚に対する対策はなされていなかった。本発明では、外部歩行路16b上にも障害突起部25を配置したので、入口部での障害物となる豚を排除することが可能となった。
【0046】
ところで、第1の実施形態で説明したように、誘導頭数規制装置1では、外部歩行路16bの2つの角隅部に夫々支柱20を垂直に立設することにより、入口部への進入経路を正面経路R1、左側経路R2、及び右側経路R3の3つの経路に区画している。従って、図16の入口部における豚の状態図に示すように、ある豚P3が経路R3から入口部に進入しようとしている時に、一つ、或いは2つの経路R1、R2が他の豚P4、P5により塞がれていたとしても残りの経路R3から進入することが可能となる。
万が一、全ての経路が豚により塞がれたとしても、各経路と入口部との間には空間(外部歩行路16b上の空間)が形成されているため、入口部が直接豚により塞がれている訳ではない。従って、経路を塞いで横たわっている豚を乗り越えることにより入口部への進入は可能である。
【0047】
<誘導路出口部の逆侵入規制装置>
図17(a)(b)及び(c)は誘導路の出口部に配置される逆侵入規制装置の一例の構成を示す出口側の斜視図である。
本実施形態に係る逆侵入規制装置150(150A、150B)は、誘導路10内から出口部14に接近してきた豚を餌場210と出荷エリア240の何れか一方に振り分けて誘導路から退出させる選別器152に装備される。
選別器152は、入口部12から誘導路へ進入して出口部14に接近してきた豚が餌場側へ退出することを可能とする餌場側開閉機構154Aと、出荷エリア側へ退出することを可能とする出荷エリア側開閉機構154Bと、出口部における豚の位置を検知する検知手段95(図12)と、これらを制御する制御手段100と、を備えている。
【0048】
各開閉機構154A、154Bは、出口部14と夫々連通する開口部155A、155Bを備え、各開口部の何れか一方を選択的に開放することにより豚を開放した側の開口部から退出させる。即ち、誘導路内に設けた体重推定システム(或いは、体重測定器)により規定体重に達していないと判定された豚については開閉機構154Aを作動させて開口部155Aを開放して餌場へ退出させ、規定体重に達していると判定された豚は開閉機構154Bを作動させて開口部155Bを開放して出荷エリアへ退出させる。
なお、何れの開閉機構154A、154Bも同様の構成を備えているため、ここでは主として餌場側開閉機構154Aの構成、動作について説明する。
開閉機構154Aは、開口部155Aに設けられて誘導路内の豚が出口部14から退出することを常時妨げない一方で、外部(餌場)から出口部内に豚が逆侵入することを阻止するために所定の角度範囲内で回動自在に支持された複数の開閉片160と、各開閉片間の空間に突出することにより内部の豚を開口部155Aから退出不能に閉鎖する閉鎖位置と各開閉片間から退避することにより豚を開口部155Bから退出可能とする退避位置との間を進退する進退片170と、を備えている。
誘導路10を構成する歩行路16、及び2つの側方規制部材18の出口側には出口部14となる開口が形成されている。出口部の外側には開口部155Aが形成され、この開口部の上部には横方向に差し渡された固定基部156が設けられ、固定基部156は複数の開閉片160の上端部を外側方向(開放方向)へのみ回動可能に支持している。本例では、二本の開閉片160は固定基部156の長手方向に沿って所定のピッチで配置されており、図17(a)(b)に示した閉塞姿勢から(c)に示した外側方向へは回動できるが内側方向へは回動できないように構成されている。開閉片を初期姿勢から外側へは回動自在、且つ内側には回動不能に支持する構造は、図10(b)に示した構造と同様である。
【0049】
一方、各開閉片間に相当する固定基部156部位には上下に貫通する貫通穴が形成されており、各貫通穴には進退片170が一本ずつ上下動自在に挿通されている。各進退片170の上部は可動基部175に固定されて一体化されている。可動基部175は、開口部155Aの両側部から夫々上方に突出して配設されたガイド部材180によって昇降自在に支持されている。可動基部175、及び進退片170は、櫛形柵を構成している。
可動基部175、及び進退片170は図示しないエアーシリンダ等の駆動機構によって昇降駆動される。また、出口部の内部適所には図示しない検知手段95を配置して出口部に向かってきた豚の有無を検知するようにしている。
制御手段100は、体重測定を受けて規定体重に達していないと判定された豚が出口部の手前に達した時に開閉機構154Aを作動させることにより、可動基部175、及び進退片170を上昇させて開閉片160のみが開口部155A内に垂れ下がった状態とする。このため、誘導路内の豚は開閉片160を押しのけて餌場へ移動することができる。
【0050】
また、体重測定を受けて規定体重に達していると判定された豚が出口部の手前に達した時に出荷エリア側の開閉機構154Bを作動させることにより出荷エリア側に設けた可動基部175、及び進退片170を上昇させて開閉片160のみが開口部155B内に垂れ下がった状態とする。このため、豚は出荷エリア側の開閉片160を押しのけて出荷エリアへ移動することができる。
このように本選別器152では、開口部155A、155B内に上から垂れるすだれ状の開閉片160と、開閉片間を上下動する櫛形柵(可動基部175、及び進退片170)との組合せにより、何れかの開口部155A、155Bからの豚の退出を選択的に許容する一方で、外からの開口部への流入を常時防止する。
図1に示した従来の回転式の選別器は高重量で大型化、高コスト化するために改善が求められていたが、すだれ状の開閉片160と、開閉片間を上下動する櫛形柵(可動基部175、及び進退片170)とを組み合わせた二重構造の本装置構成によれば、開閉片と櫛形柵を可動基部の長手方向に沿って交互に、且つほぼ一列となるように配置したので、選別器をコンパクト化(薄型化)、軽量化、低コスト化することが可能となる。なお、開閉片と櫛形柵を豚の移動方向に沿った前後位置関係となるように配置してもよい。
【0051】
次に、図18のフローチャートにより、選別器152を構成する逆侵入規制装置150(150A、150B)による外部から出口部内への逆侵入の規制を伴った選別動作について説明する。
入口部12から進入した選別の対象となる豚が出口部に達したことが検知されるまで各開閉機構154A、154Bを構成する櫛形柵は夫々閉止位置にセットし続ける。つまり、各可動基部175、及び進退片170から成る櫛形柵は最下降した状態にある(ステップS20)。
ステップS21において出口部側検知手段95が豚が出口部手前に達したことを検知すると、制御手段は体重推定システムによる判定結果に基づいて何れか一方の開閉機構154A、154Bを構成する櫛形柵を開放して豚を餌場か出荷エリアの何れかに退出可能な状態とする。即ち、ステップS22において豚が規定体重に達している場合には出荷エリア側の開閉機構154Bを作動させて出荷エリアへの退出を可能とする。また、同ステップにおいて規定体重に達していない場合には餌場側の開閉機構154Aを作動させて餌場側への退出を可能とする。
なお、必要に応じて豚が各開口部155A、155Bから退出を完了したことを検知するように構成してもよい。
なお、各開口部155A、155Bの外側の床等で豚が寝込むことにより他の豚の退出の障害となることを防止するために、寝込まれることを防ぎたい場所にΛ状レール等から成る障害突起部25を設置する。
【0052】
<本発明の構成、作用、効果のまとめ>
本発明に係る家畜の誘導頭数規制装置1は、すだれ状の開閉ユニット(可動基部54、開閉片60)50と、駆動機構80と、家畜の位置(進入距離)を検知する検知手段90と、駆動機構の制御手段100と、を備える。
誘導頭数規制装置は、その目的を問わず、誘導路内に導かれる家畜を一頭に仕分ける全ての場合に適用することができる。
家畜の飼育所内の家畜の密度が高い場合には、餌場、水場等に向かうために一度に二匹以上の家畜が誘導路の狭い入口部に向かおうとするが、本規制装置によれば進入頭数を常に一頭ずつに制限することができる。
構成がシンプル、軽量であるため開閉動作速度を速くすることができ、動作速度を速くしても頭数規制の性能に影響することがなく、処理速度を高めることができる。
誘導路内にいる家畜が入口部に後退してきた場合、開放方向への回動が自在な開閉片は家畜の入口部からの退出を妨げることがない。
先行する家畜が入口部に進入した後の所定のタイミングで開閉ユニットを閉止方向へ移動させる過程においても、先行する家畜は開閉片の開放方向への回動によって通過を妨げられることなくスムーズに前進できる一方で、後続の家畜は他の開閉片による規制作用により家畜と誘導路の側壁との間の隙間Gから進入することを阻止される。
開閉ユニットが進退することにより入口部を開閉する方向としては、上下方向に限らず、左右方向、斜め方向等々、種々設定することができる。
家畜の種類としては豚に限らず、牛、馬、羊、鶏等々あらゆる歩行動物に適用することができる。
【0053】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、各開閉片60は、可動基部54により家畜の進入方向と並行な方向へ回動自在に支持されている。
各開閉片の役割は、通過する家畜と接触して開放方向へ回動することにより進入を阻害しない役割と、家畜と誘導路との隙間に入り込んで後続の家畜が進入する隙間を埋める役割とに二分される。隙間内に突出した開閉片は、開閉片の外側に位置する後続の豚が入口部内に進入することを許容する方向には回動しないため、隙間からの進入は不可能となる。
【0054】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、各開閉片60は、新たな外力が加わらない開放位置では、入口面と並行な姿勢(家畜の移動方向と直交する姿勢)か、該並行な姿勢よりも所定角度入口部の外方(開放方向)へ傾斜した傾斜姿勢を保持しており、閉止位置に移動する過程においても当該各姿勢を維持し続け、且つ家畜に接触して押圧されることにより開放方向へ回動する。
開閉ユニットが家畜に向けて下降する時の開閉片の初期姿勢は、家畜の通過を妨げない角度、姿勢であればよく、入口の開口面と並行な姿勢(垂直姿勢等)であってもよいし、開放方向へ傾斜した姿勢であってもよい。開閉片の先端に回転体を設ける等により家畜との接触抵抗を減少させることができれば、傾斜姿勢とする必然性はない。
【0055】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、各開閉片は、誘導路の入口と並行な姿勢、又は傾斜姿勢を越えて入口部の内側方向へ回動できない。
開閉ユニットが閉止位置にある時に、各開閉片は家畜を入口部内に進入させることを阻止する進入規制姿勢と、家畜を入り口部内に進入させる進入許容姿勢との間を進退(開閉)自在に構成されている。この進入規制姿勢では、家畜の進入が阻止される。
【0056】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、開閉片は、複数の開閉小片110を関節部を介して回動自在に連結した構成を備えている。
可動基部54と端部に位置する開閉小片との間は関節部を介して回動自在に連結してもよいし、一体化してもよい。
【0057】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、開閉ユニット50は、進退自在な可動基部54と、該可動基部により個別に、且つ直線的に出没、進退自在に支持された複数の開閉片60と、備える。
開閉ユニットは、可動基部により回動することにより入口部を開閉するタイプの他に、回動せずに入口部に沿って並行に進退、出没するタイプであってもよい。回動しながら進退、出没するタイプとしてもよい。
【0058】
本発明に係る誘導頭数規制装置1では、内部歩行路16aと外部歩行路16bの路面には、家畜が横たわることを阻止する障害突起部25が設けられている。
外部歩行路16b上にも家畜が寝転がることを妨げる障害突起部25を配置したので、入口部での障害物となる家畜を排除することが可能となった。
【0059】
本発明に係る家畜の逆侵入規制装置150は、出口部14からの家畜の退出を常時可能とする一方で、出口部内に逆侵入することを阻止するために回動自在に支持された複数の開閉片160と、各開閉片間に突出することにより誘導路内の家畜を出口部から退出不能に閉鎖する閉鎖位置と、各開閉片間から退避することにより家畜を出口部から退出可能とする退避位置との間を進退する進退片170と、を備えている。
自重で垂れて回動するすだれ状の開閉片160と、開閉片間を上下動する櫛形柵(可動基部175、及び進退片170)との組合せにより、開口部155A、155Bからの豚の退出を選択的に許容する一方で、外部からの開口部への逆侵入を常時防止する。
この二重構造の本装置構成によれば、選別器をコンパクト化(薄型化)、軽量化、低コスト化することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1…誘導頭数規制装置、10…誘導路、12…入口部、14…出口部、16…歩行路、16a…内部歩行路、16b…外部歩行路、18…側方規制部材、18a…縦パイプ、20…支柱、22…手摺、25…障害突起部、30…昇降ガイド部材、36閉塞部材、36a…前端、50…開閉ユニット、54…可動基部、55…基部本体、55a…軸受部、55b…大径部、57…スライダー、60…開閉片、61…スリーブ、62…被係止突起、63…ストッパ、80…駆動機構、82…エアーシリンダ、83…シリンダチューブ、84…ピストンロッド、90…検知手段、92…カメラ、95…検知手段、100…制御手段、110、110a、110b…開閉小片、120…関節部、120a…関節部、121…回動軸、122…ストッパ、130…固定ガイド部材、132…貫通穴、135…貫通穴、140…ストッパ、142…ローラ等、150…逆侵入規制装置、152…選別器、154A、154B…開閉機構、155A、155B…開口部、156…固定基部、160…開閉片、170…進退片、175…可動基部、180…ガイド部材、200…豚舎、201…休息エリア、206…一方向ゲート、210…餌場、220…誘導路、220a…入口、225…自動扉、225a…下部棒、230…体重測定器、240…出荷エリア、250…選別器、251…ゲート、252…凹状部、255…壁。
図1
図2
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