(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】磁石と、異なる方向の繊維を備えた複合材料層の本体を有する軸方向磁束ロータ、ロータの製造方法、およびロータを備える電磁モータまたは発電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/2795 20220101AFI20231211BHJP
【FI】
H02K1/2795
(21)【出願番号】P 2021507000
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(86)【国際出願番号】 IB2019058015
(87)【国際公開番号】W WO2020065488
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514325376
【氏名又は名称】ホワイロット
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】マイユール、ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォー、ロマン
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第3014255(FR,A1)
【文献】仏国特許発明第1475501(FR,A)
【文献】特開2011-78269(JP,A)
【文献】特表2011-509064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/2795
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁モータまたは発電機のロータ(1)であって、本体(2、3)を有し、
前記本体(2、3)は:前記ロータ(1)の回転中心軸(7)に対して同心の内部ハブ(2)と;前記内部ハブ(2)から出発し、前記ロータ(1)の円形の外周を形成するフレット(8)に向かって、前記回転中心軸(7)に関して径方向に伸長する枝部(3)と;2つの隣接する前記枝部(3)の間に画定されるそれぞれの空間内に収容される、複数の磁石(4)を有する少なくとも1つの磁石構造体(10)と;を有し、
前記本体(2、3)は、樹脂で結合された繊維を含む複合材料の複数の層で構成さ
れ、
前記層は重ね合わされ、それぞれの前記層の前記繊維が2つの重ねられた層に対して異なる所定の方向(F1、F2)に配向され、
径方向のカバースキンは、前記ロータの前記本体(2、3)の2つの対向する面のそれぞれに配置され、そして樹脂により結合された繊維を含む複合材料層の複数の重ねられた層で構成さ
れ、
そして
前記磁石構造体(10)の複数の単位磁石(4)のそれぞれの前記単位磁石(4)が多角形の形状であるか、または、それぞれの前記単位磁石(4)が少なくとも部分的に卵形の輪郭を有し、前記卵形の輪郭は、前記単位磁石(4)の本体を形成する第1の部分(4a)と前記単位磁石(4)の長手方向端部を指し示す少なくとも1つの長手方向末端の第2の部分(4b)とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分(4b)に比べてより大きな断面を有し、そして前記単位磁石(4)のより長い長さにわたって伸長し、そして前記長手方向末端の第2の部分(4b)の断面積は、前記長手方向末端に近づくにつれて減少する、ことを特徴とする電磁モータまたは発電機のロータ(1)。
【請求項2】
前記磁石構造体(10)の複数の前記単位磁石(4)が繊維強化絶縁材料によって一緒に結合され、各前記単位磁石(4)が前記ロータ(1)の
軸方向に伸長する細長い形状である、ことを特徴とする請求項
1に記載のロータ(1)。
【請求項3】
それぞれの前記磁石構造体(10)は、それぞれの前記単位磁石(4)用のハウジングを画定するメッシュセルを有する少なくとも1つのメッシュ構造体を含み、それぞれの前記ハウジングは、前記単位磁石(4)を内部に導入した後に、前記ハウジングと前記単位磁石(4)との間に繊維強化樹脂で満たされるべきスペースを残すのにちょうど十分な内部寸法を有し、前記メッシュセルは繊維強化絶縁材料で作られる、ことを特徴とする、請求項
2に記載のロータ(1)。
【請求項4】
電磁モータまたは発電機のロータ(1)であって、本体(2、3)を有し、
前記本体(2、3)は:前記ロータ(1)の回転中心軸(7)に対して同心の内部ハブ(2)と;前記内部ハブ(2)から出発し、前記ロータ(1)の円形の外周を形成するフレット(8)に向かって、前記回転中心軸(7)に関して径方向に伸長する枝部(3)と;2つの隣接する前記枝部(3)の間に画定されるそれぞれの空間内に収容される、複数の磁石(4)を有する少なくとも1つの磁石構造体(10)と;を有し、
前記本体(2、3)は、樹脂で結合された繊維を含む複合材料の複数の層で構成され、
前記層は重ね合わされ、それぞれの前記層の前記繊維が2つの重ねられた層に対して異なる所定の方向(F1、F2)に配向され、
径方向のカバースキンは、前記ロータの前記本体(2、3)の2つの対向する面のそれぞれに配置され、そして樹脂により結合された繊維を含む複合材料層の複数の重ねられた層で構成され、そして
2つの隣接する前記枝部(3)間のそれぞれの前記磁石構造体(10)が少なくとも1つの複合材料の層に埋め込まれ、前記ロータ(1)もまた、前記埋め込まれた磁石構造体(10)を取り囲む、少なくとも1つの複合材料の層の中にコーティングされ、そして前記本体(2、3)は複数の複合材料層で構成される、
ことを特徴とする電磁モータまたは発電機のロータ(1)。
【請求項5】
前記ロータを取り囲み、前記本体(2、3)の前記
内部ハブ(2)および前記枝部を構成する前記複合材料層が、樹脂で鋳造されたガラスまたは炭素繊維でできている、ことを特徴とする請求項
4に記載のロータ(1)。
【請求項6】
前記本体(2、3)の前記複合材料層の繊維が、隣接する重ねられた前記複合材料層の繊維に対して垂直に配向されている、ことを特徴とする請求項
1―5のいずれかに記載のロータ(1)。
【請求項7】
前記本体(2、3)の前記複合材料層の繊維が、隣接する重ねられた前記複合材料層の繊維に対して30°~45°のオフセットで配向されている、ことを特徴とする請求項
1―6のいずれかに記載のロータ(1)。
【請求項8】
前記本体(2、3)の前記複合材料層の数が、前記磁石構造体(10)および前記カバースキンの軸方向の厚さに従って決定され、そして前記カバースキンは、0.3mm-2mmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項
1―7のいずれかに記載のロータ(1)。
【請求項9】
前記各枝部(3)は、前記内部ハブ(2)からの距離が増大するに従って減少する幅を有し、そして前記フレット(8)に対する先細りの先端部(3b)で終わる、ことを特徴とする請求項
1―8のいずれかに記載のロータ(1)。
【請求項10】
2つの隣接する前記枝部(3)の
基部(3a)が、前記内部ハブ(2)の中間部分(9)によって分離され、前記中間部分(9)が前記ロータ(1)の前記回転中心軸の方向に丸みを帯びた凹面の形状であり、前記内部ハブ(2)は前記ロータ(1)の半径の少なくとも4分の1に等しい半径を有する、ことを特徴とする請求項
9に記載のロータ(1)。
【請求項11】
前記各磁石構造体(10)は、前記内部ハブ(2)から離れるに連れて増加する幅を有し、そして前記ロータ(1)を取り囲む前記フレット(8)に対して終了する、ことを特徴とする、請求項
1―10のいずれかに記載のロータ(1)。
【請求項12】
樹脂によって結合された繊維を含む複合材料の複数の層からなる本体(2、3)を含むロータ(1)を製造する方法であって、前記方法は:第1の複合材料層を鋳造するステップであって、前記第1の層の繊維は単一の所定の方向(F1)に配向されるステップと;前記第1の複合材料層の上に積み重ねられた少なくとも1つの第2の複合材料層を鋳造するステップであって、前記第2の層の繊維は前記第1の層の方向(F1)とは異なる所定の方向(F2)に配向されるステップと;そして前記樹脂を硬化させるステップと;を有
し、
前記本体(2、3)が、前記ロータ(1)の回転中心軸(7)に対して同心の内部ハブ(2)と;前記内部ハブ(2)から出発し、前記ロータ(1)の円形の外周を形成するフレット(8)に向かって、前記回転中心軸(7)に関して径方向に伸長する枝部(3)とを備え、
前記内部ハブ(2)の外周から前記フレット(8)の内周まで径方向に延びる前記枝部(3)の長さの上の1つの点における、各前記枝部(3)の幅 が、前記ロータ(1)に加えられうる許容機械的応力、前記ロータ(1)の最大許容回転速度、および前記枝部(3)の材料の機械的強度に基づいて決定され、
前記内部ハブ(2)からの距離の増大に従う各前記枝部(3)の幅の減少は、各前記枝部(3)に対して、前記枝部の長さの各点での幅を、前記枝部(3)内で等応力を取得できるように選択することによって得られる、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
軸方向磁束電磁モータ
であって、請求項1-
11のいずれか
に記載の少なくとも1つのロータ(1)を有し、前記電磁モータ
は、少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つのステータを有し、前記電磁モータ
は、前記少なくとも1つのロータ(1)と前記少なくとも1つのステータとの間に1つまたは複数のエアギャップを備える、ことを特徴とする軸方向磁束電磁モー
タ。
【請求項14】
軸方向磁束電磁発電機であって、請求項1-11のいずれかに記載の少なくとも1つのロータ(1)を有し、前記電磁発電機は、少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つのステータを有し、前記電磁発電機は、前記少なくとも1つのロータ(1)と前記少なくとも1つのステータとの間に1つまたは複数のエアギャップを備える、ことを特徴とする軸方向磁束電磁発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる配向の繊維との複合材料層のハブ本体と枝部を有する軸方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータに関する。本発明はまた、そのようなロータを備えた電磁モータまたは発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本発明によるロータの特定の特性によって得られる、ロータの高速回転で高出力を送達する電磁モータに有利で非限定的な用途を見出す。このようなモータは、例えば、完全な電気自動車またはハイブリッド自動車の電磁モータとして使用することができる。
【0003】
有利であるが、しかしそれに限定されないが、電磁モータまたは発電機は、2つのステータに取り囲まれた少なくとも1つのロータを含むことができ、これらの要素は、単一のシャフト上で、少なくとも1つのエアギャップによって分離されながら、互いに対して重ね合わせることができる。
【0004】
高速の用途では、システムの信頼性を向上させるために、回転部品、つまりロータの機械的強度が非常に優れている必要がある。
【0005】
軸方向磁束電磁機械の場合、ロータは、厚さで接続された2つの円形面を有する、磁石のディスク形状支持体の形状の本体を有し、そのディスクは、フレットによって形成される外側リングと、回転シャフト用のくぼみを画定する内周との間で画定される。
【0006】
磁石はそれぞれ、保持手段によってディスク形状の支持体に保持され、磁石の間に隙間が残されている。
【0007】
軸方向磁束モータは、径方向磁束モータよりも質量トルクが高いモータとしてよく使用される。したがって、低速の用途によく使用される。
【0008】
高速用途の場合、遠心効果による力によってロータに非常に大きな機械的応力が発生するため、軸方向磁束モータのロータの設計はより困難になる。さらに、渦電流損失は、回転部分が導電性材料で作られている場合、磁石と回転部分の両方で支配的になる。
【0009】
高速で回転しなければならないロータにとって、高回転速度モータの主な欠点は、1つまたは複数の磁石がロータから外れる可能性が高く、ロータが少なくとも部分的に故障することである。したがって、そのようなモータのロータは、高い回転速度に耐えることができなければならない。
【0010】
従来型技術は、遠心力に対抗するために、1つまたは複数の磁石のディスク形状支持体を強化するように当技術分野の当業者に促している。これには、ディスク形状支持体に特定の材料が必要であり、ディスク形状支持体がより剛性になるように厚くすることによって、その寸法を増やす必要がある。
【0011】
このようにディスク形状支持体を備えたモータまたは発電機は、重量が重く、製造コストが高くなるため、完全に満足のいくものではなかった。
【0012】
1つの解決策は、渦電流を低減するため、強化繊維および樹脂の構造の細長い単位磁石のメッシュを作成し、そしてロータに電気を通さない複合材料からなる本体を使用し、理想的にはグラスファイバからなるロータとし、遠心効果による力を維持するためにロータの周囲にフレットが配置される。
【0013】
ただし、速度が非常に高速になる用途では、機械的応力が大きくなり、これらの回転速度にアクセスするには、磁石の質量を減らす必要がある。ただし、電気機械が提供しなければならないトルクは、ステータによって生成された磁場と相互作用する磁石の面積に比例する。したがって、磁石の面積が減少すると、トルクが減少し、したがって機械の出力が減少する。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、複数の永久磁石を支持するための、フレットを備える軸方向磁束電磁機械用ロータの設計であって、それは一方ではロータが支持する永久磁石を効果的に維持し、効率的に遠心力を補償しながら永久磁石がロータから外れるのを防ぎ、他方ではロータが非常に高速で回転できるような機械的強度を有する、ロータを設計することである。
【発明の概要】
【0015】
この目的のため、本発明は電磁モータまたは発電機のロータであって、本体を有し、本体は:ロータの回転中心軸に対して同心の内部ハブと;内部ハブから出発し、ロータの円形の外周を形成するフレットに向かって、回転中心軸に関して径方向に伸長する枝部と;2つの隣接する枝部の間に画定されるそれぞれの空間内に収容される、複数の磁石を有する少なくとも1つの磁石構造体と;を有し、本体は、樹脂で結合された繊維を含む複合材料の複数の層で構成される、電磁モータまたは発電機のロータにおいて、
-層は重ね合わされ、それぞれの層の繊維が2つの重ねられた層に対して異なる所定の方向に配向され、
-径方向のカバースキンは、ロータの本体の2つの対向する面のそれぞれに配置され、そして樹脂により結合された繊維を含む複合材料層の複数の重ねられた層で構成される、
ことを特徴とする電磁モータまたは発電機のロータに関する。
【0016】
本発明の複合材料は鉄を含まない。
【0017】
本発明によるロータの構成は、ロータに非常に高速で適用される最大応力が、ロータの回転の中央軸を取り囲むハブのレベルにあるという観察に基づいている。したがって、ロータのこの内部部分を固化する必要がある。
【0018】
出願人は、それぞれが固有の所定の配向方向を有し、各層の配向方向が異なる複合材料層の重ね合わせが、本体およびロータを硬化させることを発見した。これは、製造がより困難な2つの異なる方向に伸びる繊維を含む複合材料の単層を持つことと同等ではない。それは、同じ層の2つの異なる方向の繊維は、樹脂などの結合剤の注入中にずらされうるため、製造がより困難である。
【0019】
線形速度が非常に高くなる、典型的には毎秒160メートルまたは毎秒180メートル以上、の用途の場合、機械的応力はこれらの回転速度に到達するために磁石の質量を減らす必要がある程に増加する。これには、電気機械が提供しなければならないトルクが、ステータによって生成された磁場と相互作用する磁石の面積に比例するという大きな不利益がある。したがって、磁石の面積が減少すると、トルクが減少し、したがって機械の出力が低下する。
【0020】
本発明によれば、本体はハブと枝部が一体である。これにより、組立体の機械的強度が向上し、その結果、ロータの機械的強度が向上する。
【0021】
スキンまたはカバーディスクは、ロータのそれぞれの円形面に配置される。フレットは、ガラスまたはグラスファイバ、炭素、あるいは炭素繊維で作ることができる。複合材料フレットは、ロータの外周で大きな磁石または磁石構造体を円周方向に囲んでいる。フレットは、外部の複合材料コーティング層によって保証されるものに加えて、磁石の径方向の保持に、必要に応じて貢献する。
【0022】
有利には本体の複合材料層の繊維が、隣接する重ねられた複合材料層の繊維に対して垂直に配向されている。有利には本体の複合材料層の繊維が、隣接する重ねられた複合材料層の繊維に対して30°~45°のオフセットで配向されている。
【0023】
有利には本体の複合材料層の数が、磁石構造体およびカバースキンの軸方向の厚さに従って決定され、そしてカバースキンは、0.3mm~2mmの厚さを有する。
【0024】
有利には各枝部は、内部ハブ(2)からの距離が増大するに従って減少する幅を有し、そしてフレット(8)に対する先細りの先端部(3b)で終わる。
【0025】
本願申請者は、軸方向磁束機械の場合、トルクはロータの半径の3乗に比例することを考慮に入れている。したがって、ロータのより内側の部分よりも、ロータの周辺に磁石の表面積を追加する方が理にかなっている。回転軸の近くに磁石がないことは、ロータの周囲に磁石を追加することで簡単に補償することができる。これは、ロータの中心から離れるほど幅が狭くなる枝部の構成によって得られ、幅がゼロに近い先細の先端部で終わる。
【0026】
したがって、高いモータトルクを維持するために、ロータの枝部の断面積をハブとの接続のレベルで増大させ、そして磁石の断面積を増やすために、枝部の断面を徐々に減らすことが望ましい。
【0027】
これは、磁石用のスペースを作るために一定幅の枝部と小さなスポークハブのみを使用する従来技術では考慮されていなかった。したがって、ロータの機械的強度を増やすためにロータ上の磁石の分布を減らすという強い偏見があり、最先端技術は、枝部およびハブの軸方向の増加などの他の解決策に向かって進んでいました。しかしこの解決策は、ロータの強度に大きな有益な効果をもたらすことなく、ロータの重量を増加させた。
【0028】
有利には、2つの隣接する枝部の基部が、内部ハブの中間部分(9)によって分離され、中間部分がロータの回転中心軸の方向に丸みを帯びた凹面の形状であり、内部ハブはロータの半径の少なくとも4分の1に等しい半径を有する。
【0029】
枝部の間の中間部分の内向きの湾曲は、ハブの外周上で保持される枝部の最も厚い部分での機械的応力を減らすことを可能にする。
【0030】
有利には各磁石構造体は、内部ハブから離れるに連れて増加する幅を有し、そしてロータを取り囲むフレットに対して終了する。
【0031】
有利には、磁石構造体の複数の単位磁石のそれぞれの単位磁石が多角形の形状であるか、または、それぞれの単位磁石が少なくとも部分的に卵形の輪郭を有し、そして単位磁石の本体を形成する第1の部分を有し、第1の部分は、単位磁石の関連する長手方端部を指し示す少なくとも1つの長手方向末端の第2の部分に比べて、より大きな断面を有しそして単位磁石のより長い長さにわたって伸長し、長手方向末端の第2の部分の 断面積は長手方向末端に近づくにつれて減少する。
【0032】
有利には各磁石構造体は繊維強化絶縁材料によって一緒に結合される複数の単位磁石によって構成され、各単位磁石がロータの径方向に伸長する細長い形状である。
【0033】
上記は主にカバースキンの使用に適用される。従来技術に従ってロータに使用された大きな磁石は、大量の熱を放散した。この散逸は、スキンまたはディスクを覆う複合材料の形での軸方向保持手段の使用を妨げ、そして熱放散は、このコーティングおよび磁石の加速エージングを伴うコーティングの強度に影響を与える可能性がある。
【0034】
複合材料カバーディスクは、磁石によって生成される熱放散に耐えることが出来ないため、従来技術では多くは使用されていなかった。
【0035】
本発明は、好ましくは、従来技術のコンパクトな磁石の代わりに多数の単位磁石を使用するので、熱放散が少なく、カバースキンまたはディスクを軸方向保持手段として使用することができ、これらのスキンまたはディスクは、磁石とロータ本体との間の軸方向の保持手段を置き換えることができ、それは場合によっては、ロータによって担持される固定手段との追加の固定を実現するために、磁石またはそれらのコーティングの変更を必要とする。
【0036】
本発明によって得られる追加のシナジー効果は、ロータが、2つの分岐間の1つの磁石構造体にグループ化される単位磁石を有することである。それぞれの三次元磁石構造体は、複数の単位磁石で構成される。
【0037】
これにより、多数の単位磁石を備えた磁石構造体が可能になる。このような複数の単位磁石を備えた構造は、ステータの巻線によって生成される空間高調波または電流に対し高いレベルの非敏感性を有することが見出された。したがって、磁石構造体内で発生する損失は非常に低く、出力は特に高速で非常に大きい。このような磁石構造体は、磁極を形成することも、完全な磁石にすることもできる。
【0038】
本発明の手段の1つは、従来技術による磁石全体または磁極であり得る磁石構造を複数の小さな磁石またはマイクロ磁石に分解することである。大きな磁石は、小さな磁石やマイクロ磁石の同等物よりも大きな渦電流損失を受ける。したがって、小さな磁石またはマイクロ磁石を使用すると、電磁アクチュエータの動作に悪影響を与えるこれらの損失が減少する。
【0039】
最適な強度の磁場を得るには、磁石の理想的な体積が、立方体または長さが直径に等しい円柱のそれに近づく必要があることが知られている。それを超えて磁石の長さを長くしても磁場は増加しないことは周知の事実である。しかしながら、本発明のアプローチは、この一般的な知見に反する。
【0040】
単位磁石の長さは、広く使用されている方法と比較して、その平らな長手方向面の直径または対角線と比較してかなり長くなっている。これは本質的に、本発明の主な目的である、構造の機械的強度に関する要求を満たすためである。
【0041】
単位磁石の長さは、広く使用されている方法と比較して、その平らな長手方向面の直径または対角線と比較してかなり長くなっている。これは本質的に、本発明の主な目的である、構造の機械的強度に関する要求を満たすためである。
【0042】
卵形の磁石はファセットを備える場合がある。このようにして得られた単位磁石は、ファセットまたは長手方向ファセットの表面全体にわたって結合されていないが、互いに接続される「クリスタル」である。樹脂と接着剤の層が、多面ファセットのブロックの端部に磁石間の限られた接触面積を備える、メッシュネットワークを構築する。
【0043】
別の方法として、丸みを帯びた第1の部分を持つ完全な卵形の単位磁石の場合、2つの隣接する単位磁石間の接触は小さく、点接触のみが可能であり、2つの単位磁石の間の小さな円弧に実質的に一致する。溝は、好ましくは樹脂の形の接着剤を受容するために、2つの隣接する単位磁石間の接触円弧の寸法に中空に掘られうる。
【0044】
有利には、磁石構造体の複数の単位磁石が繊維強化絶縁材料によって固定され、各単位磁石がロータの径方向に伸長する細長い形状である。
【0045】
有利には、それぞれの磁石構造体は、それぞれの単位磁石のハウジングを画定するメッシュセルを有する少なくとも1つのメッシュ構造体を含み、それぞれのハウジングは、単位磁石を内部に導入した後に、ハウジングと単位磁石との間に繊維強化樹脂で満たされたスペースを残すのにちょうど十分な内部寸法を有し、メッシュセルは繊維強化絶縁材料で作られる。
【0046】
メッシュ構造体は所定の位置に残り、また複合材料層でコーティングされうる。このようなタイプのメッシュ構造体は、磁石構造体の製造中に単位磁石を所定の位置に保ち、磁石構造体の追加の強化要素であるという利点があり、ここでメッシュ構造体は強化繊維を含むこともできる。
【0047】
たとえば、ハニカムメッシュ構造体は、要素、この場合は磁石構造体、の強度を強化することが知られている。単位磁石は、それらの保持を確実にする六角形のハウジングに挿入される。ハウジングの壁は電気絶縁体として機能し、磁石構造内のハウジングの密度を大幅に高めることができる。ハニカムメッシュ構造体は、繊維強化絶縁複合材料で作ることができる。
【0048】
有利には、2つの隣接する枝部の間のそれぞれの磁石構造体が少なくとも1つの複合材料の層に埋め込まれ、ロータもまた、その埋め込まれた磁石構造体を取り囲む、少なくとも1つの複合材料の層の中にコーティングされ、そして本体は複数の複合材料層で構成される。
【0049】
有利には、ロータを取り囲み、ハブおよび本体の枝部を構成する複合材料層が、樹脂で鋳造されたガラスまたは炭素繊維でできている。
【0050】
本発明は上記のタイプのロータ(1)を製造する方法であって、方法は:第1の複合材料層を鋳造するステップであって、第1の層の繊維は単一の所定の方向(F1)に配向されるステップと;第1の複合材料層の上に積み重ねられた少なくとも1つの第2の複合材料層を鋳造するステップであって、第2の層の繊維は第1の層の方向(F1)とは異なる所定の方向(F2)に配向されるステップと;そして樹脂を硬化させるステップと;を有することを特徴とする方法に関する。
【0051】
このプロセスは、複合材料層ごとに複数の異なる繊維配向がある場合よりも簡単に実行でき、繊維配向を維持しやすい。
【0052】
有利なことに、ハブの外周からフレットの内周まで径方向に延びる枝部(3)の長さの上の1つの点における、各枝部の幅 が、ロータに加えられうる許容機械的応力、ロータの最大許容回転速度、および枝部の材料の機械的強度に基づいて決定され、ハブから距離が離れるに従う各枝部の幅の減少は、各枝部に対して、その長さの各点での幅を、枝部内で等応力を取得できるように選択することによって得られる。
【0053】
制限する訳ではないが、ハブに接続された端部に向かって分岐にかかる最大応力は、120メガパスカルと見積もることができる。この等応力を取得することで、分岐の幅を最小限に抑え、大きな磁石または磁石構造の表面積を増やすことができる。したがって、後者の場合、より多くの単位磁石が可能になり、それにより、より大きなトルクを得、そしてハブに向かっての磁石表面積の損失に対する追加の補償を得る。
【0054】
最後に、本発明は軸方向磁束の電磁モータまたは発電機であって、上記のタイプの少なくとも1つのロータを含み、電磁モータまたは発電機は少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つのステータを有し、電磁モータまたは発電機は少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータとの間に1つまたは複数のエアギャップを備える、ことを特徴とする軸方向磁束の電磁モータまたは発電機に関する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面に関して明らかになるであろう:
【
図1】本発明の第1の実施形態による、軸方向磁束電磁機械用ロータの正面図の概略図であり、本体は、2つの異なる層内の繊維の指向性がそれぞれ90°異なる複合材料層から構成される、ハブと枝部を備える。
【
図2】
図1に示したロータの一部の拡大概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による、軸方向磁束電磁機械用ロータの正面図の概略図であり、本体は、2つの異なる層内の繊維の指向性がそれぞれ30°異なる複合材料層から構成される、ハブと枝部を備える。
【
図4】
図3に示すロータの一部の拡大概略図である。
【
図5a-5c】
図5aおよび5bは、卵形の単位磁石のそれぞれの実施形態の概略図であり、
図5cは、卵形単位磁石を含む磁石構造体の概略図であり、4つの卵形単位磁石が磁石構造体から離れて示されている。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図は例として与えられており、本発明を限定するものではない。それらは、本発明の理解を容易にすることを目的とした原理の概略図を構成し、必ずしも実際の適用の規模ではない。特に、さまざまな部品の寸法は現実を表すものではない。
【0057】
以下では、単一の枝部3、枝部3の単一の基部3aと単一の先細りの先端部3bは
図1~4の全ての枝部を代表する。同じことが内部面10aと外部面10bを備える単一の磁石構造体10について言える。2つの枝部間の中間部分9はすべての中間部分を代表し、そして単一の繊維指向性F1またはF2は
図2~4のそれぞれの複合材料層を代表する。
図1~4では、単一の磁石単位磁石4が識別されるが、それは磁石構造体10内の全ての単位磁石を代表する。
【0058】
これらの個別に識別された要素の一つに記載されている内容は、すべての個別に識別されていない同様の要素さに適用される。
【0059】
すべての図、より具体的には
図1~4を参照すると、これらの図はそれぞれ、本発明によるロータ1およびロータ1の一部の拡大図を示し、拡大図は2つの枝部3を有し、枝部に挟まれた磁石構造体10を備え、磁石構造体は複数の多角形形状の単位磁石4からなる。
【0060】
この実施形態は限定的なものではなく、単一の大型磁石が2つの枝部3の間に挿入されうる。ここでこの単一の大型磁石を、
図2および
図4で示されそして参照される、磁石構造体10の単位磁石4と混同しないようにされたい。
【0061】
このようなロータ1は、有利には軸方向磁束の電磁モータまたは発電機で使用される。ロータ1は、有利には実質的に円形であり、ロータ1の回転中心軸7またはロータ1の長手方向正中軸と同心の内部ハブ2を備える本体を有する。枝部3は、ロータ1内で、回転中心軸7に関して径方向に、内部ハブ2から始まって、ロータ1の円形の外周を形成するフレット8に向かって延びる。
【0062】
ハブ2と枝部3は一体であり、ロータ本体2、3を形成する。少なくとも1つの磁石、即ち、1つの大きな磁石または小さなサイズの複数の単位磁石4を含む1つの磁石構造体10が、2つの隣接する枝部3の間に画定されるそれぞれの空間に収容される。
【0063】
本発明によれば、本体2、3は、樹脂によって結合された繊維を含む複合材料のいくつかの重ねられた層からなり、各層の繊維は、2つの重ねられた層に対して異なる所定の方向F1、F2に配向される。
【0064】
ロータ1の円形面を径方向に覆うために図に示されていないスキンまたはカバーディスクは、ロータの本体2、3の2つの対向する面のそれぞれに配置され、複数の積み重ねられた、樹脂により結合された繊維を含む複合材料層から構成される。図に示されていないスキンまたはカバーディスクは、2つの枝部3の間の磁石構造体10または大きな磁石の軸方向の移動を防止するために、ロータ1の各円形面上に配置されうる。
【0065】
これらすべての特性を組み合わせて使用すると、ロータ1の本体2、3の剛性がかなり高まる。
【0066】
複合材料層のいくつかの実施形態が想定しうる。ここで、非限定的な例を以下に示す。
【0067】
図1および
図2に示すように、本体2、3の1つの複合材料層の繊維は、重ね合わされた隣接する複合材料層の繊維に対して垂直に配向でき、
図2に示す方向F1およびF2は垂直である。
【0068】
図3および4に示すように、本体2、3の1つの複合材料層の繊維は、重ね合わされた隣接する複合材料層の繊維から30°~45°のオフセットで配向されている(これらの図では30°)。
【0069】
2つ以上の複合材料層が重なっている可能性がある。本体2、3の複合材料層の数は、磁石または磁石構造体10の軸方向の厚さに従って決定され、そしてカバースキンは、0.3~2mmの間の厚さを有する。
図1および3に最もよく示されているように、各枝部3は、内部ハブ2から離れるに従って幅が減少し、フレット8に当接する先細りの先端部3bで終わりうる。
【0070】
各大きな磁石または磁石構造体10は、内部ハブ2から離れるに従って増加する幅 la を有し、ロータ1を取り囲むフレット8に当接して終了しうる。
【0071】
ハブ2に面する枝部の端部または基部3aに向かって枝部3の幅を増やすことによって、また必要に応じてハブ2の半径を大きくすることによって、磁石に対して失われたスペースは、ロータ1の周縁部末端において補償される。
【0072】
各大型磁石または各磁石構造体10を最大の幅 la でロータ1の外周に向けて配置することにより、ロータ1の周縁部に配置される磁石部分を増やすことができ、したがって総磁化面積を増やすことができる。
【0073】
さらに特に
図1および3を参照すると、各枝部3の先細りの先端3bは、内部ハブ2に接続された枝部3の基部3aに比較して少なくとも2倍から4倍狭くすることができる。
【0074】
2つの隣接する枝部3の基部3aは、内部ハブ2の中間部分9によって分離できる。この中間部分9は、ロータ1の軸の方向に丸みを帯びた凹状形状であり得る。内部ハブ2は、ロータ1の半径の少なくとも4分の1に等しい半径を有することができ、その結果、実際には、本発明のハブ2は従来技術のハブ2より大きい。ロータの半径は、枝部3の半径に、フレット8の厚さを追加したものに等しい。
【0075】
ハブ2と枝部3は、樹脂で鋳造されたガラス繊維で作ることができる。ロータ1の強度、特に曲げ剛性および座屈剛性を高めるために、強化プラスチック繊維を使用することもできる。
【0076】
前述のように、ロータ1を強固にするために、ハブ2および枝部3は一体であり、それらを含む複合材料層に応じた異なる配向F1、F2の繊維を有する、複合材料層を形成している。枝部3は、それらの先細りの端部3bによってフレット8に固定されてもされなくてもよい。
【0077】
特に
図1、3、5a~5cを参照すると、各磁石構造体10は、繊維強化絶縁材料によって固定された複数の単位磁石4から構成され得、各単位磁石4は、細長い形状であり、そしてロータ1の軸方向に延在している。単位磁石4は、図には1つだけ示されているが、磁石構造体10または図に示されていない大きな磁石と混同されるべきではない。
【0078】
したがって、各磁石構造体10は、三次元であり得、複数の単位磁石4から構成されうる。
【0079】
図1~
図4において、複数の単位磁石4の各単位磁石4は多角形である。
【0080】
図5a、5bおよび5cにおいて、各単位磁石4は、少なくとも部分的に卵形の輪郭を有し、単位磁石4の本体を形成する第1の部分4aを含みうる。第1の部分4aは、単位磁石4の関連する長手方向端部を指し示す少なくとも1つの長手方向末端の第2の部分4bと比較して、より大きな断面を有し、より長い単位磁石4の長さにわたって延在しうる。そして、第2の部分4bは、それが長手方向端に近づくにつれて断面が減少する。
【0081】
図5aでは、単位磁石4はほぼ完全な卵形であり、1つの第1の部分4aと端部が丸くそして凸形状の2つの第2の部分4bを有する。
図5cに見られるように、2つの隣接する卵形単位磁石4間の接触は、実質的に点状であるか、または限定された円弧に沿って延在する。
【0082】
この場合、単位磁石4は、少なくとも部分的に卵形の外側輪郭を有し得、単位磁石4の本体を形成する第1の部分4aを備え、第1の部分は少なくとも1つの第2の部分4bよりも、より大きな断面を有し、より長い単位磁石4の長さにわたって延在する。
【0083】
図5bにおいて、単位磁石4は、第1の部分4aの延長として、単位磁石4の少なくとも1つの長手方向端部に少なくとも1つの第2の部分4bを有し得る。単位磁石4の1つの長手方向端部にそれぞれ1つの第2の部分4bを有する、2つの第2の部分4bが存在し得る。
【0084】
1つまたは複数の第2の部分4bは、単位磁石の関連する長手方向端部を指すことができ、その断面積は長手方向端部に近づくにつれて減少する。
【0085】
図5bに示されるように、第2の長手方向端部4bは、凸型形状であることにより丸まっている。第2の長手方向端部4bは、長手方向端部を形成する中央ファセット11によって、それらの関連する長手方向端部で終了しうる。ただし、
図5bでは、卵形の場合、長手方向の端部を形成するこの中央ファセット11は膨らんでおり、それは選択肢にすぎない。
【0086】
この
図5bにおいて、1つまたは複数の第2の長手方向端部4bは、単位磁石4の関連する長手方向端部に接近しながら単位磁石4の長手方向軸に向かって傾斜した横方向ファセットを含み得る。
【0087】
図5cに示すように、磁石構造体10では、単位磁石4は互いに直接隣接しており、部分的に接触している。単位磁石4は、接着剤を堆積させることによって結合されている。複数の単位磁石4は、接着剤以外の保持要素をそれらの間に介在させることなく磁石のメッシュを形成し、単位磁石4は、隣接する磁石間で直接接触している。単位磁石の第1の部分4aおよび第2の部分4bもまた、この
図5cに示されている。
【0088】
図2および
図4では、単位磁石4は、メッシュ構造体をその間に介さずに互いに接着されうる。
図5cについても同様である。接着剤は、複合材料層または、有利には熱硬化性または熱可塑性の接着樹脂、であり得る。
【0089】
2つの隣接する枝部3の間の各磁石構造体10も複合材料の層に埋め込まれうる。ロータ1もその全体が複合材料の層でコーティングされうる。
【0090】
したがって、単位磁石4を取り囲む少なくとも1つの第1の複合材料層、磁石構造体10を個別に取り囲む少なくとも1つの第2の複合材料層、およびロータ1をコーティングするための少なくとも1つの第3の複合材料層の重ね合わせがあり得る。ロータのハブ2および枝部を含む本体2、3もまた、層に応じて異なる配向の繊維を有する、重ね合わされた複合材料の層からなる。
【0091】
図に示されていないが、同様の要素について図ですでに識別された参照として、各磁石構造体10は、それぞれの単位磁石4のハウジングをそれぞれが画定するメッシュセルを備える、少なくとも1つのメッシュ構造を有することができる。各ハウジングは、ハウジングと単位磁石4との間に繊維強化樹脂で満たされる空間を残しながら、その内部に単位磁石4を導入するのにちょうど十分な内部寸法を有し得、ここでメッシュセルは繊維強化絶縁材料で出来ている。
【0092】
フレット8はガラス繊維または炭素繊維で作ることができる。複合材料のフレット8は、ロータ1の外周で磁石構造体10または大きな磁石の周囲を取り囲む。フレット8は、必要に応じて、外側の複合材料コーティング層によって提供される保持に加えて、磁石構造体10または大きな磁石の径方向の保持に寄与する。枝部3の先細りの先端部3bは、フレット8に固定されてもされなくてもよい。
【0093】
本発明は、ハブ2および枝部3を含むロータ1の本体2、3の製造のための以下のステップを含む、ロータ1を製造する方法に関する。
【0094】
第1のステップは、樹脂によって結合された繊維を含む第1の複合材料層の鋳造であり、第1の層の繊維は、同じ所定の方向F1に配向されている。
【0095】
第2のステップは、樹脂によって結合された繊維を含む少なくとも1つの第2の複合材料層の鋳造であり、第2の層の繊維は、第1の層の方向F1とは異なる所定の方向F2に配向される。
【0096】
3番目のステップは樹脂の硬化である。
【0097】
これで、本体2、3は、ロータ1のフレームワークを形成するために使用される準備が整う。
【0098】
有利には、本発明はまた、このタイプのロータ1を製造する方法に関し、そこでは、ロータ1の回転中心軸7からの既知の距離にある、ハブ2の外周からフレットの内周まで径方向に延びるその長さの上の1つの点における、各枝部3の幅 l が、ロータ1に加えられうる許容機械的応力、ロータ1の最大許容回転速度、および枝部の材料の機械的強度、の評価に基づいて決定される。
【0099】
ハブ2からの距離の増加に従う各枝部3の幅の減少は、各枝部3に対して、その長さの各点での幅を、枝部3内で等応力を取得できるように選択することによって得られる。
【0100】
図1および
図3において、枝部3の幅は、半径が大きくなるほど、したがって、ロータ1の中心軸7からからの距離が増加するにつれて減少することが分かる。
【0101】
有利なことに、径方向に伸びる枝部の長さのある1点での各枝部の幅は、次の式で与えられる:
【数1】
Kはフレット8の厚さによって変化する定数であり、枝部の材料の機械的強度を表し、ρ は磁石構造体10の密度であり、σm はロータ1に、そして結果的に枝部に加えられる可能性のある許容可能な機械的応力であり、θ は各磁石構造体10の開き角であり、W はロータの最大許容回転速度である。
【0102】
最後に、本発明は、少なくとも1つの上記のロータ1を含む軸方向磁束電磁モータまたは発電機、少なくとも1つの巻線を担持する少なくとも1つのステータを含む電磁モータまたは発電機、少なくとも1つのロータ1と少なくとも1つのステータとの間の1つまたは複数のエアギャップを含む電磁モータまたは発電機に関する。
【0103】
モータまたは電磁発電器は、好ましくは、2つのステータに関連する少なくとも1つのロータ1を含み得る。