(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】運動用設備
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20231211BHJP
A63B 22/06 20060101ALI20231211BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B22/06 H
A63B24/00
(21)【出願番号】P 2022066835
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2019085104の分割
【原出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】520071560
【氏名又は名称】株式会社バーチャルウインドウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 塁
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/100800(WO,A1)
【文献】特開2017-64120(JP,A)
【文献】特開2015-184986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331277(US,A1)
【文献】特開2011-215968(JP,A)
【文献】特開2017-55354(JP,A)
【文献】特開2011-191899(JP,A)
【文献】特開2017-138912(JP,A)
【文献】SONY CORPORATION,Immersive Space Entertainment Music Visualizer & Cyber gym,Sony Design,日本,SONY CORPORATION,2017年05月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
A63B 71/06
A63B 22/00-24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに移動を模擬する運動を行わせるための運動装置と、
前記運動装置により運動を行う前記ユーザの状態を特定する測定装置と、
前記ユーザの状態に基づいて、前記移動を模擬する運動における前記ユーザの模擬的な移動に応じて変化する、仮想空間の映像を画面に表示する映像装置と、
を有し、
前記運動装置は、前記ユーザが身体の特定部位を反復動作させる運動を行うための設備であり、
前記測定装置は、
前記特定部位が反復動作する
ことにより出入する領域から1つ以上の画素の画素値を取得するセンサ装置と、
前
記領域の画素の画素値の
総和の変化に基づいて
、骨格データを取得することなく、前記特定部位の反復動作を特定する算出部と、
を有する、
運動用設備。
【請求項2】
ユーザに移動を模擬する運動を行わせるための運動装置と、
前記運動装置により運動を行う前記ユーザの状態を特定する測定装置と、
前記ユーザの状態に基づいて、前記移動を模擬する運動における前記ユーザの模擬的な移動に応じて変化する、仮想空間の映像を画面に表示する映像装置と、
を有し、
前記運動装置は、前記ユーザが身体の特定部位を反復動作させる運動を行うための設備であり、
前記測定装置は、
前記特定部位が反復動作する
ことにより出入りする領域から1つ以上の画素の深度値を取得するセンサ装置と、
前
記領域の画素の深度値の
総和の変化に基づいて
、骨格データを取得することなく、前記特定部位の反復運動を特定する算出部と、
を有する、
運動用設備。
【請求項3】
前記算出部は、前記ユーザが前記運動を行っているときに前記
総和の実質的な極大値と極小値を取得し、前記極大値と前記極小値とを前記ユーザの状態を特定するのに用いる、
請求項
1または
2に記載の運動用設備。
【請求項4】
前記映像装置は、前記ユーザの視点位置の変化に伴い、前記ユーザから見える仮想空間の映像を画面に表示する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の運動用設備。
【請求項5】
前記測定装置は、前記ユーザが前記運動装置により運動を行うとき、取得したデータを用いて、所定の基準座標系における前記ユーザの視点位置を更に算出し、
前記映像装置は、前記視点位置から、固定設置された画面を介して前記基準座標系の仮想空間上の物体を見たときの見え方を疑似する前記物体の表示映像を、前記視点位置に応じて生成し、前記表示映像を前記画面に表示する、
請求項
4に記載の運動用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像と運動の体験を同時に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には運動器具と映像装置とを組合せた運動用設備が開示されている。
【0003】
また近年では、より臨場感を増した運動用設備が提案されている。非特許文献1には、大型ディスプレイにより映像を提供し、運動中の映像体験を向上する運動用設備が提案されている。また、非特許文献2-4には、ヘッドマウントディスプレイにより映像を提供し、運動中の映像体験を向上する運動用設備が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-296185号公報
【文献】特開2011-97988号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】”THE TRIP(登録商標)”、LesMILLS(登録商標)、[online]、[2019年3月19日検索]、インターネット<URL : https://www.lesmills.com/workouts/fitness-classes/the-trip/>
【文献】”ICAROS PRO(ICAROSは登録商標)”、ICAROS GmbH、[online]、[2019年3月19日検索]、インターネット<URL : https://www.icaros.com/en/products/icaros-pro/>
【文献】”HOLOFIT(登録商標)”、FUN AND BODY、[online]、[2019年3月19日検索]、インターネット<URL : http://www.funandbody.com/wp-content/uploads/2017/07/05a3b4350d60984d4ba358da5d52b3ee.pdf>
【文献】VirZOOM、”VirZOOM”、[online]、[2019年3月19日検索]、インターネット<URL : https://www.virzoom.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に示された運動用設備では、ユーザは大型ディスプレイに表示される映像を見ながら運動を行う。大型ディスプレイにより臨場感や没入感が増す効果はある程度は期待できる。しかし、運動器具での運動でユーザの身体が動いても大型ディスプレイに表示される映像はその動きに追従しない。そのため、ユーザが実際に映像の世界に入ったような高い臨場感および没入感が得られるとは言えなかった。
【0007】
非特許文献2-4に示された運動用設備は、ヘッドマウントディスプレイに表示される映像を見ながら運動を行う。ヘッドマウントディスプレイにはユーザの視点から見える仮想現実の映像が表示されるので、高い臨場感や没入感が期待できる。
【0008】
しかし、ヘッドマウントディスプレイは額に密着しているので、ユーザが運動で汗をかいたときに不快に感じる可能性があるという問題があった。また、汗でヘッドマウントディスプレイの画面が曇り映像が見えなくなる可能性があるという問題もあった。また、ヘッドマウントディスプレイと顔の間に髪の毛が挟まってユーザに不快感を与える可能性があるという問題もあった。また、ヘッドマウントディスプレイの重さが運動の妨げになる可能性があるという問題もあった。また、運動することでヘッドマウントディスプレイがずれてしまう可能性があるという問題もあった。
【0009】
また、ヘッドマウントディスプレイを着用している状態では、ユーザは足元や周囲の状況が全く分からないことに不安感を持つことがあった。また、ユーザは足元や周囲が見えない状況で身体のバランスに気を配らなければならないことがあった。
【0010】
本開示のひとつの目的は、ユーザに高い臨場感や没入感を与えつつ、ユーザの不安感や不快感を低減することが可能な運動用設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のひとつの態様に従う運動用設備は、ユーザに所定の運動を行わせるための運動装置と、前記ユーザが前記運動装置により運動を行うとき、所定の基準座標系における前記ユーザの視点位置を測定する測定装置と、前記視点位置から、固定された画面を介して前記基準座標系の仮想空間上の物体を見たときの見え方を疑似する前記物体の表示映像を、前記視点位置に応じて生成し、前記表示映像を前記画面に表示する映像装置と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
ユーザに高い臨場感や没入感を与えつつ、ユーザの不安感や不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態による運動用設備の概略構成図である。
【
図2】視点位置に追従する表示映像について説明するための概念図である。
【
図3】視点位置の算出について説明するための概念図である。
【
図5】運動用設備による運動ゲームの処理を示すフローチャートである。
【
図6】映像装置が表示するゲーム映像の一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態による運動用設備について説明するための平面図である。
【
図8】第3実施形態においてユーザの状態を特定する方法について説明するための概念図である。
【
図9】ユーザの特定部位が出入する領域の画素の深度値の総和の一例を示すグラフである。
【
図10】第4実施形態による運動用設備の概略平面図である。
【
図11】第5実施形態による運動用設備の概略構成図である。
【
図12】第6実施形態による運動用設備の概略構成図である。
【
図13】高さ方向の追従性の制御例を示すグラフである。
【
図14】第7実施形態における表示映像の生成について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による運動用設備の概略構成図である。運動用設備10は運動装置11と測定装置12と映像装置13とを有している。測定装置12は、情報処理装置14とセンサ16とで実現されている。映像装置13は、情報処理装置14と投射装置15とスクリーン17とで実現されている。スクリーン17は3面のスクリーン17A、17B、17Cを有している。情報処理装置14はプロセッサでソフトウェアプログラムを実行するコンピュータであり、測定装置12と映像装置13とに共用されている。
【0016】
運動装置11は、ユーザ19に所定の運動を行われるための運動装置である。本実施形態では、運動装置11は、ユーザ19に自転車こぎ運動をさせるためのフィットネスバイクである。
【0017】
測定装置12は、ユーザ19が運動装置11で運動を行うとき、所定の基準座標系におけるユーザ19の視点位置19Aを測位する。視点位置19Aは、目の位置に相当する位置である。処理に用いる具体的な視点位置19Aは特に限定されないが、例えば、両目の中間点、頭部の中心点、両目の中心から所定寸法だけ頭部の内側の位置などを視点位置19Aとして用いることができる。
【0018】
図1には基準座標系の一例として、ユーザ19の右方向に向かうX軸と上方向に向かうY軸と後ろ方向に向かうZ軸とを有する直行座標系が示されている。投射装置15、センサ16、スクリーン17は位置および姿勢がこの基準座標系に固定されている。姿勢は、X軸周り方向のYawとY軸周り方向のPitchとZ軸周り方向のRollとで表される。
【0019】
映像装置13は、視点位置19Aから、固定された画面を介して、基準座標系の仮想空間上の物体を見たときの見え方を疑似する物体の表示映像を、視点位置19Aに応じて生成し、その表示映像をその画面に表示する。本実施形態では、基準座標系に固定された画面はスクリーン17の画面である。スクリーン17は3面のスクリーン17A、17B、および17Cを有しているので、映像装置13は、スクリーン17A、17B、17Cのそれぞれの画面に、視点位置19Aからそれぞれの画面を介して見える仮想空間上の物体の表示映像を、それぞれの画面に表示する。例えば、映像装置13は、仮想空間上の三次元オブジェクトを表す三次元映像を元映像として予め内部の記憶装置に格納しておき、ユーザ19にとって仮想空間上の三次元オブジェクトがそこに存在するかのように錯覚させるべく確からしく自然な画像に見えるような処理により、三次元映像から表示映像を生成する。その際、映像装置13は、例えば、スクリーン17Aの画面に表示する画像を生成するとき、三次元データに定義された仮想空間における三次元オブジェクトをスクリーン17Aの画面、すなわち二次元の面に投影させるような射影変換を行う。スクリーン17B、17Cについても映像装置13は同じ処理で表示映像を生成する。
【0020】
以上、本実施形態によれば、ユーザ19の視点位置19Aに応じた映像がスクリーン17に表示されるので、ユーザ19に運動と映像を融合した高い臨場感や没入感を与えることができる。また、本実施形態では、ヘッドマウントディスプレイではなく固定された画面に映像を表示する方式を採用しているので、ヘッドマウントディスプレイを付けて運動するときのような不安感や不快感をユーザ19に与えることはない。
【0021】
なお、ここでは映像装置13が三次元映像を元映像として表示映像を生成する例を示したが、元映像は二次元映像であってもよい。二次元映像を基にスクリーン17の画面に表示す表示映像を生成する処理の例については後述する。
【0022】
また、ここでは運動装置11の一例としてフィットネスバイクを例示したが、他の運動装置であってもよい。他の例として、ユーザ19にランニングおよび/またはウォーキングの運動を行わせるためのトレドミル、ユーザ19に船漕ぎ運動を行わせるためのローイングマシン、乗馬運動を行わせるための乗馬運動マシン、ユーザ19に腕と足を連動した運動を行わせるためのクロストレーナー、ユーザ19に階段運動を行わせるためのステアクライマなどがある。
【0023】
また、ここでは、ヘッドマウントディスプレイのようにユーザの頭部と共に動く画面ではない、固定された画面の一例として、スクリーン17の画面を示した。そして、投射装置15からスクリーン17の画面に映像を投射する例を示したが、映像装置13は他の構成も可能である。他の例として、投射装置15とスクリーン17に代えて液晶ディスプレイあるいは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置を用いてもよい。
【0024】
以下、本実施形態の運動用設備10を更に詳しく説明する。
【0025】
測定装置12は、視点位置19Aを継続的に測定し、映像装置13は、表示映像を視点位置19Aに追従するように生成し、スクリーン17の画面に表示する。これによれば、ユーザ19が運動することで頭部が動いたときにそれに伴って動く視点位置19Aに追従して映像が変化するので、ユーザ19に運動と映像を融合した高い臨場感や没入感を与えることができる。視点位置19Aへの追従は、描画内容がその時点の視点位置19Aから見た見え方の画像を生成し、描画することである。
【0026】
図2は、視点位置に追従する表示映像について説明するための概念図である。これは運動用設備10を上から見た概念図である。物体21~28は、スクリーン17A~17Cに表示映像として表示される基準座標系に配置された仮想的な物体である。ユーザ19が自転車こぎ運動を行うことにより、視点位置19Aが、
図2において実線と破線とで示されているように左右に動くものとする。視点位置19Aが
図2に示すように移動すると、スクリーン17A、17B、17Cの画面に表示すべき画像は変化する。例えば、視点位置19Aが左側(実線)にあるときには物体22の全体がスクリーン17Aに表示されるが、視点位置19Aが右側(破線)にあるときには物体22はスクリーン17Aとスクリーン17Bに跨ぐように表示される。
【0027】
本実施形態の測定装置12は、ユーザ19の頭部を含む領域を撮像する撮像部と、撮像部にて撮像されたユーザ19の頭部の位置に基づいて視点位置19Aを定める算出部とを有する構成である。撮像部は
図1に示したセンサ16により実現される。算出部は
図1に示した情報処理装置14により実現される。
【0028】
本実施形態では、センサ16(撮像部)は、各画素におけるセンサ16から物体(ここではユーザ19の人体)までの深度を測定するデプスセンサである。情報処理装置14により実現される算出部は、センサ16で測定された各画素の深度に基づいて、人体の形状を推定し、その人体における頭部の位置に基づいて視点位置19Aを算出する。これによれば、各画素の深度から人体形状を推定し、その人体形状における頭部の位置を用いるので、運動によりユーザ19の体の位置や向きが様々に変化しても視点位置を高い精度で特定できる。
【0029】
図3は、視点位置の算出について説明するための概念図である。基準座標系におけるセンサ16の位置(x
s,y
s,z
s)と姿勢(Yaw
s,Pitch
s,Roll
s)が予め設定されている。センサ16で取得される各画素の深度と、センサ16の位置および姿勢とから視点位置19Aの座標(x
h,y
h,z
h)とを算出することができる。なお、
図3に示すように、スクリーン17Bの基準座標系における位置(x
m,y
m,z
m)、姿勢(Yaw
m,Pitch
m,Roll
m)、および形状(Heght
m,Width
m)も予め設定されている。スクリーン17A、17Cも同様に位置、姿勢、および形状が予め設定されている。
【0030】
センサ16が撮像する画像は、深度画像であってもよいし、深度画像と可視画像であってもよい。例えば、撮像部は、深度画像を撮像するセンサと、可視画像を撮像するカメラとを含み、算出部は、深度画像と可視画像の両方を用いて視点位置19Aを算出することにしてもよい。
【0031】
また、
図1および
図3の例では、センサ16は、ユーザ19の背後に設置された例を示したが、ユーザ19の前方にスクリーン17に重ならない位置に配置することも可能である。
【0032】
また、算出部は、センサ16で取得される各画素の深度に基づいて人体の形状を推定し、その人体における頭部の位置に基づいて視点位置19Aを算出するものとしたが、他の構成も可能である。センサ16は、一例として、ユーザ19の頭部よりも高い位置にあり、算出部は、センサ16で取得される各画素の深度から頭部の領域を抽出し、その領域の画像における位置に基づいて頭部の位置を算出し、頭部の位置に基づいて視点位置19Aを算出するものであってもよい。これによれば、頭上の撮像装置(カメラ)でユーザ19の頭部を捉えて視点位置を定めるので、逆立ち等により頭上のカメラからユーザの頭部が撮影できなくなるような運動でなければ、ユーザが運動しても視点位置を決めることができる。
【0033】
センサ16の設置位置と視点位置19Aを算出する処理とは任意に組み合わせることが可能である。
【0034】
また、ここでは、映像装置13は、ユーザ19の正面を含む所定範囲に拡がるスクリーン17と、スクリーン17に表示映像を投射する投射装置15(プロジェクタ)と、を有する。これによれば、スクリーンとプロジェクタとで映像を表示するので、フィットネスジム等に小さい設置面積で設備を構築することができる。
なお、ここでいうユーザ19の正面とは、ユーザ19が運動装置11を使用しているときに顔が向く方向として予め固定された方向を意味するものであり、ユーザ19が動いても変化する者ではない(以下、同様)。また、本構成は一例であり、他の構成も可能である。他の例として、映像装置13は、ユーザ19の正面を含む所定範囲に拡がる液晶もしくは有機ELなどのディスプレイ装置、を有するものであってもよい。
【0035】
図4は、運動用設備の設置例を示す平面図である。
図4を参照すると、2つの運動用設備10が横並びに設置されている。運動用設備10は、ユーザ19の正面にある前方壁31と、その壁と90度の角度をなして接する側方壁32とを有し、前方壁31と側方壁32とで三方が囲われている。
【0036】
映像装置13は、ユーザ19の正面を含む所定範囲に広がるスクリーン17A~17Cと、ユーザ19の頭部よりも高い位置にありスクリーン17A~17Cに表示映像を投射する投射装置15(プロジェクタ)とを有しており、前方壁31と側方壁32とが連続的にスクリーン17A、17B、17Cを構成している。これによれば、ユーザ19の正面の前方壁31と側方の側方壁32とで連続的にスクリーン17A~17Cを構成するので、設備の横幅を抑えつつユーザ19に横方向に広がりのある映像を提供し、高い臨場感および没入感を与えることができる。
【0037】
なお、ここでは、投射装置15をユーザ19の頭部よりも高い位置に設置する例を示した。具体的には、スクリーンまでの距離が短くても大きな画面に映像を表示できる1台の超短焦点プロジェクタをユーザ19の頭部より高い位置に配置し、前方壁31および側方壁32のスクリーン17A~17Cに映像を投射する例である。しかし、他の構成も可能である。例えば、リアプロジェクション方式プロジェクタを用いてスクリーンの背後から表示映像を投射する構成を採用しても良い。また、プロジェクタからミラーを介してスクリーンに表示映像を投射することにより、プロジェクタとスクリーンとの相対位置の自由度を向上する構成を採用してもよい。
【0038】
また、ここでは、スクリーン17をユーザ19の正面と両側方の三面に構成する例を示したが、他の構成も可能である。天井、床、およびユーザの背面のいずれか1つあるいは2つあるいは全てにもスクリーン17を構成し、4面、5面、あるいは6面にスクリーン17を構成することにしてもよい。
【0039】
また、ここでは、1台のプロジェクタを用いる例を示したが、複数のプロジェクタを用いてもよい。その場合にスクリーンの平面の数と同数のプロジェクタを用いても良い。本実施形態のように3面のスクリーン17A~17Cを配置した場合に、それぞれのスクリーンに対応させて3台プロジェクタを配置してもよい。あるいは、スクリーンの数とプロジェクタの台数が一致していなくてもよい。例えば、3面のスクリーン17A~17Cに2台のプロジェクタで表示映像を投射する構成も可能である。また、3面のスクリーン17A~17Cに4台のプロジェクタで表示映像を投射する構成も可能である。
【0040】
また、
図4に示した設置例では、2つの運動用設備10が横方向に並べて配置され、2つの運動用設備10がそれらの間の側方壁32を共用し、その側方壁32の両面が一方の運動用設備10のスクリーン17Aと他方の運動用設備10のスクリーン17Cを構成している。これによれば、ユーザ19に横方向に広がりのある映像を提供できる複数の運動用設備10を限られた設置面積で効率的に構築することができる。
【0041】
また、本実施形態の運動装置11であるフィットネスバイクは自転車こぎという、運動により移動することを疑似する運動を行うための装置であり、ユーザ19の状態および/または運動装置11の状態に基づく通知情報を映像装置13に送信する。この通知情報は移動距離に関する情報である。移動距離に関する情報は、その情報に基づいて移動距離および移動速度を算出することを可能にする情報である。情報の例として、ペダルを1回転させる毎に発生するパルス信号、1分間に何回転するかというようなペダルの回転速度を表すコード信号などがある。ペダルの1回転により所定距離だけ移動するものと定めることによりパルス信号から移動距離を算出することができる。そして移動距離とその移動に要する時間とに基づいて移動速度を算出することができる。また、ペダルの1回転により所定距離だけ移動するものと定めることによりペダルの回転速度から移動速度を算出することができる。そして移動速度とその移動時間とに基づいて移動距離を算出することができる。
【0042】
映像装置13は、運動装置11から受信した通知情報に基づいて表示映像を制御する。具体例として、映像装置13は、通知情報から移動速度を算出し、その移動速度でユーザ19が仮想空間内を移動しているような表示映像を表示する。例えば通知情報から得られる移動速度が速くなれば仮想空間上で移動する速度も速くなる。これによれば、ユーザおよび/または運動装置の状態を映像に反映させることができるので、臨場感や没入感を高めることができる。
【0043】
ユーザ19が仮想空間内を移動しているような表示映像とは、仮想空間の景色を移動させる映像であっても良いし、移動を想起させる映像効果を施した映像であってもよい。あるいは、景色を移動させ、かつ、移動を想起させる映像効果を施した映像であってもよい。また、ユーザ19が仮想空間を移動しているような表示映像は、通知情報から算出した移動速度あるいは移動距離に基づくものでなくてもよい。通知情報に基づいて移動があれば、予め定めた速度で仮想空間内を移動するような表示映像を表示することにしてもよい。
【0044】
また、映像装置13は、通知情報に基づく表示映像の制御として、ユーザ19が運動を止めた移動しなくなったら仮想空間上での移動を停止する。そのとき、次の操作を促すメニュー情報を表示映像に重畳して表示することにしてもよい。また、映像装置13は、ユーザ19が所定の運動を行ったことで所定の通知情報が受信されたら、表示映像の場面を切り替えることにしてもよい。
【0045】
本実施形態による運動用設備10は、一例として、ユーザ19にゲームを提供するものである。
【0046】
以下、本実施形態による運動用設備10がゲームを提供する構成および動作について説明する。
【0047】
本実施形態のゲームは、スクリーン17上の映像にて自転車で走行するインストラクタと同様の運動を運動装置11にて行うゲームである。具体的には、本ゲームは、ユーザ19の運動による移動距離および移動速度を利用したゲームである。ユーザ19は、映像内のインストラクタが自転車をこぐ速度の所定範囲内の速度で所定目標距離だけ走行するように、運動装置11で自転車漕ぎ運動を行うゲームである。本ゲームによれば、ユーザ19は疑似場面でのインストラクタについていくように自転車を漕ぐ運動を行うことで自然と効果的な運動を行うことができる。
【0048】
図5は、運動用設備による運動ゲームの処理を示すフローチャートである。
【0049】
映像装置13は、ゲーム開始時にゲーム映像の表示を開始する(ステップS101)。映像装置13は、ユーザ19から見える疑似場面において行動するオブジェクトの映像をゲーム映像としてスクリーン17に継続的に表示する。具体的には、映像装置13は、疑似場面において擬人化されたオブジェクトが自転車を漕いで走行する映像を表示する。ゲーム映像は実写映像であってもよいし、CG(computer graphics)映像であってもよい。
【0050】
さらに、映像装置13は、指標値の計測を開始する(ステップS102)。計測される指標値には、ユーザ19の状態が、オブジェクトの疑似場面上での行動と所定条件を満たしている時間に応じた指標値が含まれる。具体的には、映像装置13は、プレイ時間とシンクロ距離を計測する。プレイ時間はゲーム開始からの経過時間である。
【0051】
シンクロ距離は、ユーザ19の状態が、オブジェクトの疑似場面上での行動と所定条件を満たしている時間に応じた指標値の一例であり、ユーザ19が運動装置11のペダルを漕ぐ速度と、疑似場面においてオブジェクトが自転車を漕ぐ速度との差が所定値以下である時間にユーザ19が自転車で走行した距離に相当する距離の累積値である。
【0052】
例えば、オブジェクトの自転車のペダルの回転速度を、オブジェクトが自転車を漕ぐ速度とし、それを目標回転速度とする。目標回転速度はゲームの中で予め設定されている。目標回転速度は、固定値であってもよいし、変動する値であってもよい。運動装置11のペダルの回転速度を、ユーザ19が運動装置11のペダルを漕ぐ速度とし、これを実測回転速度とする。運動装置11から映像装置13へ送信される通知情報に示されているか、あるいは通知情報から算出可能である。
【0053】
映像装置13は、実測回転速度と目標回転速度の差が所定値以下であるとき、ユーザ19がオブジェクトに同期していると判断し、ユーザ19がオブジェクトに同期してる時間をシンクロ時間として計測する。
【0054】
シンクロ時間をTsyn[sec]とし、目標回転速度をR[rpm(revolutions per minute)]とし、ペダルが1回転する間に自転車が前進する距離をl[m]とすると、シンクロ距離Lsyn[m]は式(1)により算出することができる。
Lsyn=l×Tsyn×(R/60) …(1)
なお、式(1)は目標回転速度を用いてシンクロ距離を算出するものであるが、これに限定されない。目標回転速度ではなくその代わりに実測回転速度を用いてシンクロ距離を算出することにしてもよい。
【0055】
図6は、映像装置が表示するゲーム映像の一例を示す図である。
図6には映像装置13のスクリーン17A、17B、17Cが示されている。スクリーン17A、17Cは、実際には、上述したようにユーザ19の正面のスクリーン17Bと90度の角度をなして、ユーザ19を囲むように配置されるものであるが、
図6では映像の内容が見やすくなるようにスクリーン17Bと同一平面に開いた状態で示している。
【0056】
図6を参照すると、スクリーン17A~17Cには、疑似場面において自転車で走行するインストラクタを模擬する擬人化されたオブジェクト41が表示されている。ユーザ19が運動装置11のペダルを漕ぐとそれに伴って、疑似場面の背景映像が移動する。ユーザ19はオブジェクト41とともに疑似場面の中で自転車を漕いで走行する。
【0057】
また、オブジェクト41の近傍には目標回転速度を示す目標回転速度提示部42が表示されている。ここでは目標回転速度は60[rpm]である。また、スクリーン17Bの右下の領域には実測回転速度を示す実測回転速度提示部43が表示されている。ユーザ19は運動装置11のペダルを58[rpm]で回転させている。また、スクリーン17Bの右上の領域にはゲーム状態表示部44が表示されている。ゲーム状態表示部44には、シンクロ距離と、インストラクタの速度の所定範囲内の速度で走行すべき距離(目標距離)とが表示されている。ここではシンクロ距離が589[m]であり、目標距離が3000[m]である。
【0058】
図5に戻り、映像装置13は、シンクロ距離Lsynが所定の目標距離(閾値Lth)に達しているか否か判定する(ステップS103)。シンクロ距離Lsynが目標距離Lthに達していれば、映像装置13はゲームクリアと決定し、その旨を表示する(ステップS104)。
【0059】
シンクロ距離が目標距離に達していなければ、映像装置13は、プレイ時間Tplyが制限時間(閾値Tmax)に達しているか否か判定する(ステップS105)。プレイ時間Tplyが制限時間Tmaxに達していたら映像装置13はゲームオーバーと決定し、その旨を表示する(ステップS106)。
【0060】
以上のように、本実施形態による運動用設備10では、映像装置13は、ユーザ19から見える疑似場面で行動するオブジェクト41を継続的に表示し、ユーザ19の状態がオブジェクト41の疑似場面での行動と所定条件を満たしている時間に応じた指標値を計測し、その指標値が所定値に達すると、疑似場面で運動の終了を表示する。ユーザ19はオブジェクト41の行動と所定条件を満たすように運動を行うことで、疑似場面の中でインストラクターに着いて運動を行っているような臨場感や没入感を伴う運動を行わせることができる。また、疑似場面でオブジェクト41に好適な行動を行わせることで、ユーザに効果的な運動を行わせることができる。疑似場面においてオブジェクト41も自転車に乗って走行するので、ユーザは同じ速度で走行するように運動を調整することで容易に効果的な運動を行うことができる。
【0061】
なお、映像装置13は、例えばゲーム中に、ユーザ19の視点位置19Aが所定範囲外に出たことに応じて画面の表示を変化させる。例えば、ユーザが運動をやめときや運動装置11を停止させたときに、それと連動して、映像を停止したり、メニューその他テキストを含む所定の画像を表示したりする。ユーザ19が運動装置11から降りたようなときに画面の表示を変化させることができるので、運動用設備10としての利便性を高めることができる。
【0062】
また、本実施形態ではオブジェクトが、ユーザ19が行う運動と同様の運動を行う例を示したが、他の行動をしてもよい。例えば、オブジェクトはオートバイでユーザ19を先導するインストラクターを模擬したものであってもよい。また、オブジェクトは、ユーザ19の前方を走行する自動車に乗車しており、ユーザ19に声をかけるイストラクタを模擬したものであってもよい。また、オブジェクトは擬人化したものでなくてもよい。例えば、ユーザ19が目標とするマーカーのオブジェクトを表示してもよい。また、複数のオブジェクトを表示してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、オブジェクト41がユーザ19と実質的に同じ行動を疑似場面で行う。これにより、疑似場面でのオブジェクト41の行動を真似ることで、ユーザ19は容易に運動を行うことができる。
【0064】
上述したように、本実施形態のゲームの基本部分において、運動装置11は、ユーザ19に自転車による走行を模擬する運動を行わせるためのフィットネスバイクである。映像装置13は、疑似場面で自転車により走行するオブジェクト41を表示し、ユーザ19がペダルを漕ぐ速度が、オブジェクト41が自転車のペダルを漕ぐ速度と所定条件を満たしている時間を計測し、計測された時間が所定時間に達すると、疑似場面でオブジェクトが自転車による走行の終了を表示するというものである。本ゲームに以下のような構成および動作を加えてもよい。
【0065】
映像装置13は、ユーザ19がペダルを漕ぐ速度と、オブジェクト41がペダルを漕ぐ速度との差分に応じて、オブジェクト41がユーザ19に速度の調整を促す映像を表示するようにしてもよい。
【0066】
また、測定装置12は、ユーザ19が身体の所定部位(例えば首あるいは胴体)または運動装置11を傾けたこと、または運動装置11のハンドルを傾けたことを指示行動として特定し、映像装置13は、指示行動が特定されたら、疑似場面でのユーザ19の自転車に所定の動きをさせたときにユーザ19から見える疑似場面の映像を表示してもよい。その際、例えば、測定装置12は、センサ16で取得した深度の画像に基づいて人体の形状を推定し、その人体の形状に基づいて、所定の部位が傾いたことを特定すればよい。測定装置12は、センサ16で取得した深度の画像に基づいて運動装置11の形状を推定し、その形状に基づいて、運動装置11あるは運動装置11のハンドルが傾いたことを特定すればよい。
【0067】
フィットネスバイクは実際には移動しないため、疑似場面での自転車の動きをフィットネスバイクの動きにより表現するのは困難である。しかし、本構成によれば、首を傾ける等の直感的な動作により、疑似場面で自転車に動きを与えことができる。
【0068】
具体的には、測定装置12は、ユーザ19が身体の所定部位(例えば首あるいは胴体)または運動装置11を傾けたこと、または運動装置11のハンドルを傾けたことを、その傾けた方向を指示する方向指示行動として特定し、映像装置13は、方向指示行動が特定されたら、映像装置13は、疑似場面において、方向指示行動で指示された方向へユーザ19の自転車を移動させてよい。例えば、コース上でのユーザ19の自転車の横方向の位置を変化させることができ、障害物を避けて追い越すといった行動が可能となる。
【0069】
また、測定装置12は、ユーザ19が運動装置11のペダルに立ち上がるのを特定し、映像装置13は、ユーザ19がペダルに立ち上がると、疑似場面でのユーザ19が所定の行動をしたときのユーザ19から見える疑似場面の映像を表示することにしてもよい。フィットネスバイクなどの運動装置11上でのユーザ19の行動は制限される。しかし、本構成によれば、ペダルに立ち上がるという動作により、疑似場面でユーザ19に行動をさせることができる。例えば、疑似場面において、手を伸ばしてコース上にある物体を掴み取るというような行動を疑似することができる。
【0070】
また、複数の運動用設備10を連携させたゲームも可能である。各運動用設備10のユーザ19同士が対戦したり、協力して目的を達成したりすることが可能である。
【0071】
その場合、ある運動用設備10の映像装置13は他運動用設備10へ自身のユーザ(自ユーザ)19の状態に基づく自ユーザ情報を送信し、他運動用設備10からその他運動用設備10のユーザ(他ユーザ)19の状態に基づく他ユーザ情報を受信し、他ユーザ情報に基づいて、自ユーザ19から見える疑似場面で行動するオブジェクトを表示することにしてもよい。このとき、自ユーザ情報および他ユーザ情報の送受信は、有線あるいは無線通信あるいはそれらの併用などどのような通信手段で実現してもよい。そして、複数の運動用設備10は隣接していてもよいし、遠隔地にあってもよい。
【0072】
なお、本実施形態では、スクリーン17Aとスクリーン17Bが90度の角度をなし、スクリーン17Cとスクリーン17Bが90度の角度をなす構成を例示したが、他の構成も可能である。画面は、互いに所定の角度をなす複数の平面上の部分画面を含んでおり、映像装置13は、複数の平面の各々について、その平面上の部分画面を介して物体を見たときの見え方を疑似する表示映像を、視点位置19Aの動きに追従して生成し、その表示映像を平面上の部分画面に表示する。所定の角度をなす複数の平面の画面を用いることでユーザに広角度にわたる映像を提供するので、運動中のユーザに高い臨場感および没入感を与えることができる。上記複数の平面というのは、本実施形態に例示した3つに限定されない。2つあるいは4つ以上の平面の画面を用いてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、映像装置13は、視点位置19Aに追従して表示映像を生成するものであるが、その追従性を水平方向と垂直方向とで異ならせてもよい。測定装置12は、水平面上の二次元位置および高さ方向の位置を含む三次元座標として視点位置19Aを測定する。映像装置13は、視点位置19Aの水平面上と高さ方向とで異なる、視点位置19Aに対する追従処理により表示映像を生成すればよい。筋力による水平方向の頭部の動きと、筋力だけでなく重力の影響を受ける上下方向の頭部の動きとは異なる特性を示す場合がある。それらに異なる追従処理を施すことにより、ユーザ19に更に好適な映像の提供が可能となる。
【0074】
また、本実施形態では、映像装置13は、仮想空間上の三次元オブジェクトを表す三次元映像を元映像として予め内部の記憶装置に格納しておき、ユーザ19にとって仮想空間上の三次元オブジェクトがそこに存在するかのように錯覚させるべく確からしく自然な画像に見えるような処理により、三次元映像から表示映像を生成するものとしたが、変形例として、その表示映像を左右の眼の視差を与えた2つの映像からなる三次元映像としてもよい。映像装置13は、表示映像を画面に表示する表示装置と、ユーザが着用する三次元眼鏡装置とを有し、表示装置は、視点位置19Aに応じて、視差を有する左右の眼用の2つの表示映像を生成し、画面に表示する。三次元眼鏡装置は、2つの表示映像をユーザ19の左右の眼にそれぞれ見せる。ユーザ19の視点位置19Aに応じた映像を左右の眼に視差を持たせることで、ユーザ19に映像の立体感を与え、より高い臨場感や没入感を与えることができる。
【0075】
なお、本変形例による表示装置および三次元眼鏡の三次元映像の方式は特に限定されない。例えば、アナグリフ式であってもよいし、偏光式であってもよいし、液晶シャッター式であってもよい。なお、一般に三次元眼鏡はヘッドマウントディスプレイのように不安感や不快感を与えることはない。
【0076】
(第2実施形態)
第1実施形態では、
図1や
図4に示したように、映像装置13は1台の投射装置15が3面のスクリーン17A、17B、17Cに表示映像を投射する構成を例示した。これに対して、第2実施形態では、3台の投射装置を用いる例を示す。第2実施形態の運動用設備の構成および動作は、基本的に第1実施形態のものと同様であるが、3台の投射装置を有する構成とその構成に関連する動作が第1実施形態のものと異なる。以下、主に第2実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
【0077】
図7は、第2実施形態による運動用設備について説明するための平面図である。
図7に示すように、本実施形態の運動用設備10は、3台の投射装置51A、52B、53Cを備えている。投射装置51Aはスクリーン17Aに表示映像を投射する。投射装置51Bはスクリーン17Bに表示映像を投射する。投射装置51Cはスクリーン17Cに表示映像を投射する。投射装置51A、51B、51Cからスクリーン17A、17B、17Cにそれぞれの映像を投射する構成なので、広い面積に明るい映像を表示することができる。
【0078】
(第3実施形態)
第1実施形態では、映像装置13は、運動装置11からの、移動距離に関する通知情報に基づいて、移動距離および移動速度を算出する例を示した。これに対して、第3実施形態は、ユーザの視点位置を特定する測定装置がユーザの運動の状態を特定して映像装置13に通知し、映像装置13は測定装置12から通知されたユーザの運動の状態に基づいて移動距離および移動速度を算出する。
【0079】
第3実施形態の運動用設備の構成および動作は、基本的に第1実施形態のものと同様であるが、ユーザの視点位置を特定する測定装置がユーザの運動の状態を特定して映像装置13に通知し、映像装置13は測定装置12から通知されたユーザの運動の状態に基づいて移動距離および移動速度を算出するという構成および動作が第1実施形態のものと異なる。以下、主に第3実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
【0080】
測定装置12は、視点位置を特定するために運動装置11により運動を行うユーザ19を撮像している。本実施形態では、測定装置12が撮像した画像データをユーザ19の状態を特定するのにも利用する。このように測定装置12はユーザ19を撮像した画像データをユーザ19の状態の取得とユーザ19の視点位置の取得に兼用するので、効率的な構成により臨場感や没入感を得られる運動を実現することができる。ここでいうユーザ19の状態には、ユーザ19が動的な状態と静的な状態とが含まれる。動的な状態としてユーザ19が自転車漕ぎ運動を行っていることおよびそのときのペダルの回転速度を特定することができる。また、静的な状態として、ユーザ19がサドルから臀部を離していること、ユーザ19が運動を停止していること、ユーザ19が運動装置11に乗っていること、ユーザ19が手を挙げていること、などを特定することができる。
【0081】
ここではユーザ19が自転車漕ぎ運動を行っていることと、そしてそのときのペダルの回転速度とを特定する例を示すことにする。
【0082】
映像装置13は、ユーザ19の状態に基づいて、移動を模擬する運動におけるユーザ19の模擬的な移動に応じて変化する、ユーザ19から見える仮想空間の映像をスクリーン17の画面に表示する。撮像されたユーザ19の状態から認定される疑似的な世界でのユーザ19の移動に応じて変化する映像を画面に表示するので、第1実施形態と同様に、ユーザ19に映像の中の世界で運動しているような臨場感や没入感を与えることができる。
【0083】
具体的には、測定装置12のセンサ16は、各画素における物体(ここではユーザ19および周辺の物体)までの深度を測定し、情報処理装置14は、センサ16で測定される各画素の深度に基づいてユーザの状態を特定する。深度画像に利用してユーザ19の状態を特定するので、画面に表示される映像やユーザ19の着用物の色の影響を抑え安定的にユーザ19の状態を定めることができる。
【0084】
本実施形態の運動用設備10は、ユーザ19が身体の特定部位を反復動作させる運動を行うための設備である。具体的には、ユーザ19はフィットネスバイクにより両足を交互に上下させる動作を行う。情報処理装置14により実現される算出部は、所定領域の画素の深度値に基づいて、ユーザ19の状態を特定する。特定部位の反復動作による所定領域の深度値の変化で運動を認定するので、ユーザの着用物の色や形状の影響を抑えて安定的に反復動作を認定できる。
【0085】
より具体的には、算出部は、反復動作により特定部位が出入する領域の画素の深度値の総和に基づく指標値によりユーザ19の状態を特定する。特定部位はここでは足である。反復動作により所定部位が出入りする領域の画素値の総和は特定部位が映っているときと映っていないときとで変化するので、その総和に基づいてユーザの状態を特定することができる。
【0086】
図8は、第3実施形態においてユーザの状態を特定する方法について説明するための概念図である。
図8に示すように、ユーザ19が運動装置11で運動すると、ペダル付近の領域60は、ユーザ19の足が出たり入ったりし、画素の深度値が変化する。このようにユーザ19の運動により画素の深度値が変化する領域を運動装置11に応じて予め設定しておく。
【0087】
算出部は、ユーザ19の反復動作により特定部位(
図8では足)が出入する領域の画素の深度値の総和に基づく指標値によりユーザの状態を特定する。深度値の総和に基づく指標値は例えば深度値の総和や深度値の平均値などである。反復動作により所定部位が出入りする領域の画素値の総和は特定部位が映っているときと映っていないときとで変化するので、その総和に基づいてユーザの状態を特定することができる。
【0088】
図9は、ユーザの特定部位が出入する領域の画素の深度値の総和の一例を示すグラフである。
図9には、ユーザ19が自転車漕ぎ運動を行っているときの領域60の各画素の深度値の総和の時間変化を示すグラフである。総和値に極大点と極小点が周期的に表れているので、ユーザ19が一定速度で自転車漕ぎを行っていることが分かる。また、その周期からペダルの回転速度を算出することができる。例えば、極大点から極小点を経て極大点に戻る時間はペダルの回転周期を表している。
【0089】
なお、本実施形態では、深度値の総和に基づく指標値によってユーザ19の状態を特定する例を示したが、他の手法も可能である。例えば、領域60のカラー画像やモノクロ画像などの通常の可視画像のRGB等の画素値の総和に基づく指標値によってユーザ19の状態を特定することしてもよい。領域60にユーザ19の足が出入りすれば、画素値の総和は変化するので、画素値の総和に基づく指標値からユーザ19の状態を特定できる。また、ユーザ19の足あるいは運動装置11のペダルにマーカーを装着すれば、通常の可視画像の画素値からユーザ19の状態を特定する精度が向上する。マーカーとして反射板、赤外線LED(Light Emitting Diode)、二次元バーコード等が利用できる。また、深度画像における各画素の深度値と可視画像における各画素の画素値の両方を用いてユーザ19の状態を特定することにしてもよい。
【0090】
本実施形態では、映像装置13は、上述のように特定したユーザの状態を表示映像の制御に利用する。例えば、ペダルの回転速度を、上述したゲームにおける実測回転速度として、シンクロ時間Tsynの算出と、スクリーン17に表示する実測回転速度提示部43(
図6参照)に表示する値とに用する。
【0091】
また、本実施形態の測定装置12は、ユーザ19の状態を特定する処理の前にパラメータのキャリブレーションを行ってもよい。例えば、ゲームの開始前にユーザ19に自転車漕ぎ運動を行うように促し、その間に好適なパラメータを取得することにしてもよい。
【0092】
測定装置12の算出部は、ユーザ19が運動を行っているときに、指標値の実質的な極大値と極小値を取得する。その後、算出部は、その取得した極大値と極小値とをユーザ19の状態を特定するのに用いる。実質的な極大値と極小値とは、例えば、指標値が極大点あるいは極小点に達したと判定できる閾値であってもよい。極大値から所定値を減算した値を指標値が極大点に達したことを判定するための閾値としてもよい。極小値に所定値を加算した値を指標値が極小点に達したことを判定するための閾値としてもよい。これによれば、指標値の実質的な極大値と極小値を取得しユーザの状態の特定に用いるので、ユーザ毎の特定部位の大きさの違いや着用物の違いがあってもユーザの状態の良好な特定が可能である。
【0093】
(第4実施形態)
第1実施形態では、3つの平面のスクリーン17A、17B、17Cを用いる例を示したが、他の構成も可能である。第4実施形態では曲面のスクリーンを用いる構成を例示する。
【0094】
図10は、第4実施形態による運動用設備の概略平面図である。第4実施形態の運動用設備10は、
図1に示した第1実施形態の運動用設備における3つのスクリーン17A、17B、17Cの代わりに、1つの曲面のスクリーン71が用いられてる点で第1実施形態のものと異なる。それ以外の点では第4実施形態は第1実施形態と同様である。
【0095】
本実施形態の映像装置13の処理も基本的には第1実施形態のものと同様である。映像装置13は、視点位置19Aから、固定されたスクリーン71の画面を介して、基準座標系の仮想空間上の物体を見たときの見え方を疑似する物体の表示映像を、視点位置19Aに応じて生成し、その表示映像を基準座標系に固定されたスクリーン71の画面に表示する。
【0096】
スクリーン71は曲面の画面を有している。より具体的には、スクリーン71は、ユーザ19の少なくとも頭部を囲む円筒形の内面の周方向の少なくとも一部にわたる曲画面を含む形状である。
【0097】
映像装置13は、スクリーン71の画面に、視点位置19Aからそれぞれの画面を介して見える仮想空間上の物体の表示映像を、それぞれの画面に表示する。例えば、映像装置13は、仮想空間上の三次元オブジェクトを表す三次元映像を元映像として予め内部の記憶装置に格納しておき、ユーザ19にとって仮想空間上の三次元オブジェクトがそこに存在するかのように錯覚させるべく確からしく自然な画像に見えるような処理により、三次元映像から表示映像を生成する。その際、映像装置13は、スクリーン71の画面に表示する画像を生成するとき、三次元データに定義された仮想空間における三次元オブジェクトをスクリーン71の画面、すなわち二次元の面に投影させるような射影変換を行う。
【0098】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、映像装置13は、ユーザ19の正面を含みユーザ19の周囲の少なくとも一部を囲む画面を有し、その画面を介して物体を見たときの見え方を疑似する表示映像を、視点位置19Aの動きに追従して生成し、その表示映像を画面に表示する。ユーザ19の周囲の少なくとも一部を囲む画面を用いることでユーザ19に広角度にわたる映像を提供するとともに、視点位置19Aに追従して表示映像を制御することで、画面の形状によらずユーザ19にとって自然な映像を表示できるので、運動中のユーザ19に高い臨場感および没入感を与えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、スクリーン71の画面は、ユーザ19の少なくとも頭部を囲む円筒形の内面の周方向の少なくとも一部にわたる曲画面を含み、映像装置13は、その曲画面の各部分を介して物体を見たときの見え方を疑似する表示映像を、視点位置19Aの動きに追従して生成し、その表示映像をその曲画面の各部分に表示する。円筒内面の周方向の少なくとも一部にわたる曲画面を用いることでユーザ19に広角度にわたる映像を提供するので、運動中のユーザ19に高い臨場感および没入感を与えることができる。
【0100】
(第5実施形態)
第5実施形態では第4実施形態のものと異なる曲面のスクリーンを用いる構成を例示する。
【0101】
図11は、第5実施形態による運動用設備の概略構成図である。第5実施形態の運動用設備10は、
図1に示した第1実施形態の運動用設備における3つのスクリーン17A、17B、17Cの代わりに、1つの曲面のスクリーン72が用いられてる点で第1実施形態のものと異なる。それ以外の点では第5実施形態は第1実施形態と同様である。
【0102】
本実施形態の映像装置13の処理も基本的には第1実施形態のものと同様である。映像装置13は、視点位置19Aから、固定された画面を介して、基準座標系の仮想空間上の物体を見たときの見え方を疑似する物体の表示映像を、視点位置19Aに応じて生成し、その表示映像を基準座標系に固定されたスクリーン72の画面に表示する。
【0103】
スクリーン72はの画面は、ユーザ19の少なくとも頭部を囲む球形の内面の一部にわたる曲画面を含む形状である。
【0104】
映像装置13は、スクリーン72の画面に、視点位置19Aからそれぞれの画面を介して見える仮想空間上の物体の表示映像を、それぞれの画面に表示する。例えば、映像装置13は、仮想空間上の三次元オブジェクトを表す三次元映像を元映像として予め内部の記憶装置に格納しておき、ユーザ19にとって仮想空間上の三次元オブジェクトがそこに存在するかのように錯覚させるべく確からしく自然な画像に見えるような処理により、三次元映像から表示映像を生成する。その際、映像装置13は、スクリーン72の画面に表示する画像を生成するとき、三次元データに定義された仮想空間における三次元オブジェクトをスクリーン72の画面、すなわち二次元の面に投影させるような射影変換を行う。
【0105】
本実施形態では、スクリーン72の画面は、ユーザ19の少なくとも頭部を囲む球形の内面の一部にわたる曲画面を含み、映像装置13は、その曲画面の各部分を介して物体を見たときの見え方を疑似する表示映像を、視点位置19Aの動きに追従して生成し、その表示映像をその曲画面の各部分に表示する。球内面の周方向の一部にわたる曲画面を用いることでユーザ19に広角度にわたる映像を提供するので、運動中のユーザ19に高い臨場感および没入感を与えることができる。
【0106】
(第6実施形態)
第1実施形態では、運動装置11が自転車漕ぎ運動を行うためのフィットネスバイクである例を示したが、他の構成も可能である。第6実施形態では運動装置11が、ランニングまたはウォーキングを行うためのトレッドミルである例を示す。
【0107】
図12は、第6実施形態による運動用設備の概略構成図である。第6実施形態による運動用設備10は、第1実施形態によるものと比べ、運動装置11の代わりに運動装置81を有する点で異なる。それ以外の点で第6実施形態は基本的に第1実施形態のものと同様である。
【0108】
運動装置81は、踏台上でランニングまたはウォーキングを行う装置である。特に、走る動作においては、ユーザ19の視点位置19Aは重力の影響を受けて上下方向の動きの速度が第1実施形態のフィットネスバイクのそれよりも速くなる。
【0109】
そのため、本実施形態では、必須ではない構成として、測定装置12が、水平面上の二次元位置および高さ方向の位置を含む三次元座標として視点位置19Aを測定し、映像装置13が、視点位置19Aの水平面上と高さ方向とで異なる、視点位置19Aに対する追従処理により、表示映像を生成するという構成を採用している。筋力による水平方向の頭部の動きと更に重力の影響を受ける上下方向の頭部の動きとは異なる特性を示す場合がある。それらに異なる追従処理を施すことにより、ユーザに更に好適な映像の提供が可能となる。
【0110】
以下に、より詳しく説明する。
【0111】
本実施形態の映像装置13は、運動開始直後から一定時間については、視点位置19Aの高さ方向の動きに対する追従性を、水平面上の動きに対する追従性と等しくする。そして、その間に映像装置13は、視点位置19Aの高さの代表値を算出する。一定時間が経過したら、映像装置13は、追従性を徐々にゼロまで低下させていく。追従性をゼロにしたときには視点位置19Aの高さを上記代表値に固定する。視点位置19Aの代表値としては、例えば、所定回あるいは所定期間の視点位置19Aの高さの平均値あるいは中央値などを用いればよい。
【0112】
本実施形態では、一例として、視点位置19Aの高さ方向の移動距離に対して1以下の係数を乗算することにより、追従性を低下させるものとする。
【0113】
図13は、高さ方向の追従性の制御例を示すグラフである。
図13のグラフには、高さ方向の移動距離に対する係数の時間変化が示されている。運動開始後一定時間(t=0~t1)には係数は1である。t=t1~t2の間は係数が一定の傾きで減少する。t=t2に係数がゼロになり、それ以降は係数をゼロである。ここでは時間を基準に制御を行っているが、時間の代わりに走行距離を基準として制御を行ってもよい。
【0114】
以上のように、映像装置13は、視点位置19Aの高さ方向の動きに対する追従性を、水平面上の動きに対する追従性よりも低くしているため、上下方向の動きに水平方向の動きよりも早い動きが含まれる場合に表示映像が上下に過敏に変化するのを抑制することができる。
【0115】
また、映像装置13は、ユーザ19が走り始めてから所定時間あるいは所定距離に到達するまでは、視点位置19Aの高さ方向の動きと水平面上の動きとに対して等しく追従し、前記所定時間あるいは前記所定距離に到達したら前記高さ方向の追従性を低下させている。これにより、ユーザ19が運動装置11での運動に慣れてきた頃に追従性を低下させることができるので、臨場感や没入感を維持しつつ自然に追従性を低下させることができる。
【0116】
また、映像装置13は、測定装置12で測定される視点位置19Aに基づいて視点位置19Aの高さ方向の代表値を決定し、視点位置19Aの高さ方向の位置を代表値に固定して表示映像を生成する。これにより、視点位置19Aの高さが適切な位置に固定されるので、水平方向の追従性により自然な映像の表示を行うことができる。
【0117】
(第7実施形態)
第1実施形態では、映像装置13は、仮想空間上の三次元オブジェクトを表す三次元映像を元映像とし、その三次元映像から表示映像を生成して表示する例を示した。これに対して、第7実施形態では二次元の平面映像を元映像とする例を示す。平面映像は時系列の複数の平面画像のフレームで構成されている。
【0118】
第7実施形態の運動用設備10の基本的な構成は、
図1に示した第1実施形態のものと同様である。
【0119】
平面映像は通常の映画の映像のように1つの平面に表示するための映像である。そのままの平面映像をスクリーン17A、17B、17Cに亘るように表示すると、ユーザ19にとって不自然な映像となり、臨場感や没入感は低くなってしまう。本実施形態の運動用設備10は、平面映像に所定の処理を施すことにより臨場感および没入感を高めるものである。
【0120】
図14は、第7実施形態における表示映像の生成について説明するための概念図である。これは運動用設備10を上から見た概念図である。
【0121】
本実施形態では、映像装置13は、平面映像に含まれる平面画面を、仮想空間上の画像変換用仮想物体101の表面にテクスチャとして貼り付け、測定装置12により特定された視点位置19Aから、スクリーン17A、17B、17Cを介して画像変換用仮想物体101を見たときの見え方を疑似する各表示画面を生成し、その各表示画面を各スクリーン17A、17B、17Cに表示する。スクリーン17A、17B、17Cは、上述のとおり、ユーザ19の正面を含みユーザ19の周囲の少なくとも一部を囲むように配置されている。画像変換用仮想物体101は、一例として、側方部がユーザ19のいる側に湾曲した曲面を持った物体であり、映像装置13は、平面画像をその曲面にテクスチャとして貼り付ける処理を行う。このようにすることで、ユーザ19を囲むような映像をユーザ19の視点位置19Aに応じて表示することができ、ユーザ19に高い臨場感および没入感を与えることができる。
【0122】
なお、映像装置13は、測定装置12により一旦得られた視点位置19Aに固定し、その視点位置19Aから見たときの見え方を疑似する表示画面を生成してもよいが、好適には、測定装置12は、視点位置19Aを継続的に測定し、映像装置13は、表示映像を視点位置19Aに追従して生成し、スクリーン17A、17B、17Cの画面に表示する。
【0123】
ここでいう平面映像は、例えばカメラで撮影した実写映像でもよいし、三次元映像をプリレンダリングして二次元映像化したものであってもよい。また、カメラ、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータなどの外部デバイスからリアルタイムに取り込んだ画像(ミラーリングしている画像)であってもよい。
【0124】
また、そのどちらにおいても360度映像(すなわち360度カメラで撮影した実写と360度映像としてプリレンダリングした平面映像)でもよいし、通常の平面画面に表示するためのスクリーン映像であってもよい。
【0125】
なお、本実施形態では、互いに90度の角度をなして連なるスクリーン17A、17B、17Cに表示映像を表示する例を示したが、他の構成も可能である。
【0126】
映像装置13は、ユーザ19の正面を含みユーザ19の周囲の少なくとも一部を囲む画面を有し、その画面を介して物体を見たときの見え方を疑似する表示映像を、視点位置19Aに応じて生成し、その表示映像を画面に表示すればよい。例えば、
図10に示した第4実施形態のスクリーン71に映像を表示してもよいし、
図11に示した第5実施形態のスクリーン72に映像を表示してもよい。
【0127】
(第8実施形態)
第1実施形態では、映像装置13は、元映像を予め映像データを格納しておき、その元映像から表示映像を生成して表示する例を示した。これに対して、第8実施形態では、映像装置13は、映像信号の外部入力インタフェースを有し、外部入力インタフェースから入力する元映像からリアルタイムで表示映像を生成して表示するものである。
【0128】
第8実施形態の運動用設備10は、映像装置13に上記外部入力インタフェースを有する点で第1実施形態と異なるが、その他の基本的な構成は第1実施形態のものと同様である。外部インタフェースから入力される元映像は、第1実施形態と同様の三次元映像であってもよいし、第7実施形態と同様の平面映像であってもよい。
【0129】
以上説明した各実施形態は、本開示内容を説明のための例示的構成であり、本開示の範囲をそれらの実施形態のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、これらを組み合わせたり、他の様々な態様で実施したりすることができる。また、各実施形態の説明において射影変換の具体的な演算式など詳細を明記していない部分があるが、当業者であれば各実施形態を実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0130】
10…運動用設備、11…運動装置、12…測定装置、13…映像装置、14…情報処理装置、15…投射装置、16…センサ、17、17A、17B、17C…スクリーン、19…ユーザ、19A…視点位置、21~28…物体、31…前方壁、32…側方壁、41…オブジェクト、42…目標回転速度提示部、43…実測回転速度提示部、44…ゲーム状態表示部、51A…投射装置、51B…投射装置、51C…投射装置、60…領域、71…スクリーン、72…スクリーン、81…運動装置、101…画像変換用仮想物体