(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、及びプログラム格納媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9532 20190101AFI20231211BHJP
G06F 16/9538 20190101ALI20231211BHJP
【FI】
G06F16/9532
G06F16/9538
(21)【出願番号】P 2022119068
(22)【出願日】2022-07-26
(62)【分割の表示】P 2018533459の分割
【原出願日】2017-08-07
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2016155707
(32)【優先日】2016-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501188786
【氏名又は名称】株式会社ジャム
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 純生
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-162196(JP,A)
【文献】特開2006-127525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0080426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価に基づいて提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価に基づいて提供情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
クエリに基づいて提供情報を抽出する抽出手段と、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記抽出手段が抽出した提供情報を前記評価手段による評価に基づいて出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価を含む提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の前記情報提供装置であって、前記出力手段は、前記提供情報を出力するまでに使用した情報を適宜に出力することを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力するための情報提供方法であって、
前記記憶手段には、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成が記憶されており、
前記コンピュータシステムが、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価に基づいて提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項7】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力するための情報提供方法であって、
前記記憶手段には、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成が記憶されており、
前記コンピュータシステムが、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価に基づいて提供情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力するための情報提供方法であって、
前記記憶手段には、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成が記憶されており、
前記コンピュータシステムが、
クエリに基づいて提供情報を抽出する抽出ステップと、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記抽出ステップにより抽出した提供情報を、前記評価ステップによる評価に基づいて前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力するための情報提供方法であって、
前記記憶手段には、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成が記憶されており、
前記コンピュータシステムが、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価を含む提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項10】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力させる処理を実行させるプログラムであって、
当該コンピュータシステムに、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を前記記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価に基づいて提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項11】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力させる処理を実行させるプログラムであって、
当該コンピュータシステムに、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を前記記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価に基づいて提供情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップによって抽出された提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項12】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムにより、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力させる処理を実行させるプログラムであって、
当該コンピュータシステムに、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を前記記憶手段に記憶する記憶ステップと、
クエリに基づいて提供情報を抽出する抽出ステップと、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記抽出ステップにより抽出した提供情報を、前記評価ステップによる評価に基づいて前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項13】
入力手段と記憶手段と出力手段とを備えたコンピュータシステムに、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力させる処理を実行させるためのプログラムであって、
当該コンピュータシステムに、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を前記記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記クエリの構成
を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価ステップと、
前記評価ステップによる評価を含む提供情報を前記出力手段により出力する出力ステップと、
を実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項14】
請求項10~13のいずれかに記載の前記情報提供プログラムが記録されたプログラム格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムによって構成され、入力されたクエリを処理し、その処理結果として提供情報を出力する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットに代表される情報通信網と、スマートフォンに代表される携帯型情報処理端末などの進歩に伴って、老若男女を問わず、また情報通信技術(IT)に関する知識や経験の有無や多寡に関わらず、様々な利用者が膨大な量の情報にアクセスできるようになった。そしてインターネット上では、WWWサーバーと協調して膨大な量の情報から利用者が得ようとする情報を抽出するとともに、その情報をブラウザを実装した利用者の情報処理端末(以下、利用者端末)に向けて出力するための情報提供サービスが実施されている。情報提供サービスとしては周知の検索サイトや電子商店(または電子商店街。以下、電子商店と称する)がある。検索サイトでは多種多様な情報を総合的に検索することができ、電子商店では膨大な商品から利用者の要求を反映した商品についての情報を一覧出力するとともに、最終的にはその一覧から選択された商品の購入手続を行うためのWebページへと案内する。そして情報提供サービスを利用者に提供するためのコンピュータシステム(以下、情報提供装置)における重要な構成(ハードウエアおよびソフトウエア)としてデータベースと検索エンジンがある。
【0003】
周知のごとく、データベースは、大規模な記憶装置を備え、その記憶装置に格納されている膨大な量の情報を容易に検索したり蓄積したりできるように管理する。そして情報提供装置においては、膨大な量の情報について、その内容や所在など、利用者が最終的に入手したい情報、あるいはその情報の所在など最終的な情報にアクセスするための手がかりとなる情報(以下、提供情報)を蓄積して管理している。
【0004】
検索エンジンは、利用者端末から受け付けた検索クエリをデータベースに照会し、そのクエリに関する提供情報の一覧をWebページにしてこれを検索結果として返送する。そして情報提供サービスでは、利用者が検索結果として提示された提供情報の一覧中に入手したい提供情報を見いだしたならば、その提供情報へのハイパーリンク(以下、リンク)をブラウザによって指定させ、その提供情報を利用者端末のブラウザによって閲覧させる。
【0005】
ところで、現在の検索エンジンは、ハードウエア自体の性能向上に加え、検索アルゴリズムの改良やデータベースにおけるデータ格納構造を工夫することにより、曖昧な検索キーワードや類義語(「デジタルカメラ」「デジカメ」など)からでも同じ提供情報が検索されるようになっていることはもちろん、入力された自然文の文脈を解釈して単語単位の検索キーワードを抽出したり、複数の検索キーワードがWebページの本文中でどの程度近接しているのかなどを解析したり、キーワードの出現頻度に応じて検索結果一覧における提示順序を決定したりしている。
【0006】
また上述した情報提供サービスに関連して、本発明者は、同じ検索キーワードに基づいて情報検索したとしても、検索目的が多種多様な利用者のそれぞれによって異なるという問題、すなわち、検索エンジンが検索対象とする情報は、身近な生活情報から学術論文のような専門的な情報まで様々であり、異なる利用者が同じ検索キーワードを検索エンジンに与えたとしても、それは、各利用者が同じ情報を希望しているということではない、という問題に鑑み、ごくありふれた検索キーワードによって検索される多種多様な情報の中から利用者が目的とする情報を精度良く提示できる情報検索支援装置を発明し、特許を得た(特許文献1参照)。また本発明に関連する技術が、以下の特許文献2、3に記載されており、これらの特許文献に記載の技術では、クエリに基づいて提示された提供情報がクエリとどのような関わりがあるのかを、提供情報を提示する順番によって示したり、提示された提供情報にその提供情報の特徴を付帯させて提示された提供情報がどのような特徴を有しているのかを利用者に認識させたりすることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3501799号公報
【文献】特許第5561842号公報
【文献】特許第5835754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、様々な利用者が膨大な量の情報にアクセスできる環境が存在することと、全ての利用者が等しく利用者端末を駆使して膨大な情報から目的とする情報を入手できるということとは同義ではない。確かに上記特許文献に記載された技術では、目的とする情報にたどり着くまでの経路を提示したり、クエリに応じた提供情報の特徴を作成して提供したり、提供情報の特徴に基づき提供情報を評価して提示する順とするなど有用な情報を提供することができる。しかし上述したように、情報技術(IT)の利用者が極めて多岐に亘る状況にある現在では、その情報にたどり着く過程で提示される各種情報の意味を理解したり、情報にたどり着くまでの手順を追ったりすることができない、あるいは自身のクエリと提示された提供情報の提示順番や特徴との関連性自体を理解できない利用者も存在する。
【0009】
例えばデジタルカメラをインターネット上の電子商店で購入しようとする場合を例に挙げると、利用者は漠然と「きれいな写真を撮りたい」という欲求があるものの、そのきれいな写真を撮影するための様々な技術についての用語や知識(「手ぶれ補正方式」「撮像素子の種類」「画素数」「データ圧縮方式」など)については全く無知である場合もある。そのような利用者がクエリとして、「デジタルカメラできれいな画像」などと自然文で入力したり、「高画質 and デジタルカメラ」などとキーワードで入力したりして情報検索を行ない、その次にクエリとして受け付け可能な情報として「手ぶれ補正」とその方式の選択画面などが提示されても、手ぶれ補正機能に属する各種方式の違いはもちろん、「手ぶれ補正」自体がなぜ「きれいな画像」と関わっているのかも理解できない場合がある。すなわち全ての利用者が提示される提供情報の内容を理解するための知識を有しているとは限らない。したがって従来のどのような情報検索技術であっても、上述したような提供情報に関する理解(商品知識など)が乏しい利用者に対しては、その利用者にとって有用な提供情報を提示することができない。言い換えれば、提供情報に関する理解が乏しい利用者にとっては、提示された提供情報の有用性を判断することができない。
【0010】
そこで本発明は、利用者が漠然とした欲求に基づくクエリに基づいて情報検索を行っても、利用者の潜在的な欲求を反映させた提供情報を出力できる情報提供装置を提供することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価に基づいて提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置としている。
【0012】
本発明のその他の態様は、コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価に基づいて提供情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置である。
【0013】
さらに、コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
クエリに基づいて提供情報を抽出する抽出手段と、
前記クエリの構成を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記抽出手段が抽出した提供情報を前記評価手段による評価に基づいて出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置とすることもできる。
【0014】
コンピュータシステムによって構成されて、利用者により入力されたクエリに基づいて提供情報を出力する情報提供装置であって、
提供情報、及び前記提供情報に照会される構成間の対応関係と当該構成間の対応関係に応じた評価情報とを含むクエリの構成を記憶する記憶手段と、
前記クエリの構成を前記構成間の対応関係に基づいて提供情報に照会し、当該構成間の対応関係に応じた評価情報に基づいて提供情報を評価する評価手段と、
前記評価手段による評価を含む提供情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする情報提供装置とすることもできる。
上記いずれかに記載の前記情報提供装置であって、前記出力手段は、前記提供情報を出力するまでに使用した情報を適宜に出力する情報提供装置としてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の情報提供装置によれば、利用者が漠然とした欲求に基づくクエリに基づいて情報検索を行っても、利用者の欲求を反映させた提供情報を出力することができる。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例に係る情報提供装置を含むネットワーク構成を示す図である。
【
図2】上記情報提供装置が利用者端末に向けて出力する商品購入ページの概略を示す図である。
【
図3A】上記情報提供装置が備える提供情報データベースの概略構造を示す図である。
【
図3B】上記情報提供装置が備える提供情報データベースの概略構造を示す図である。
【
図4A】上記情報提供装置が備えるクエリデータベースの概略構造を示す図である。
【
図4B】上記情報提供装置が備えるクエリデータベースの概略構造を示す図である。
【
図4C】上記情報提供装置が備えるクエリデータベースの概略構造を示す図である。
【
図5】上記クエリデータベースが管理するクエリとクエリ属性との関係の具体例を示す図である。
【
図6A】上記提供情報データベースが管理する提供情報と提供情報属性との関係の具体例を示す図である。
【
図6B】上記提供情報データベースが管理する提供情報と提供情報属性との関係の具体例を示す図である。
【
図7】上記情報提供装置が利用者端末に向けて出力する商品検索ページの概略を示す図である。
【
図8】上記情報提供装置における情報検索処理の流れを示す図である。
【
図9】上記情報提供装置が利用者端末に向けて出力する検索結果ページの概略を示す図である。
【
図10A】上記情報提供装置における情報検索処理における提供情報の抽出アルゴリズムの例を示す図である。
【
図10B】上記情報提供装置における情報検索処理における提供情報の抽出アルゴリズムの例を示す図である。
【
図10C】上記情報提供装置における情報検索処理における提供情報の抽出アルゴリズムの例を示す図である。
【
図11】上記情報提供装置における情報検索処理において、抽出する提供情報の優先順位を決定するためのアルゴリズムの例を示す図である。
【
図12】上記情報提供装置における情報検索処理において、抽出する提供情報の優先順位を決定するためのアルゴリズムのその他の例を示す図である。
【
図13】上記提供情報データベースと上記クエリデータベースのその他の構造を示す図である。
【
図14】上記クエリデータベースの階層構造の一例を示す図である。
【
図15】上記クエリデータベースの階層構造のその他の例を示す図である。
【
図16】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図17】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図18】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図19】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図20】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図21】本発明の実施例に係る情報提供装置の動作概念を示す図である。
【
図22A】上記クエリデータベースの構築手順の例を示す図である。
【
図22B】上記クエリデータベースの構築手順の例を示す図である。
【
図22C】上記クエリデータベースの構築手順の例を示す図である。
【
図22D】上記クエリデータベースの構築手順の例を示す図である。
【
図23】上記検索結果ページのその他の例を示す図である。
【
図24】本発明の実施例に係る情報提供装置の動作概念を示す図である。
【
図25】本発明の実施例に係る情報提供装置の動作概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
===本発明の技術思想===
情報提供サービスは、利用者が自身の利用者端末によって入力するクエリに基づいて提供される。クエリは利用者が意図して指示したり選択したりする入力情報であり、従来の情報提供装置が提供する情報提供サービスでは、利用者がクエリとそのクエリに基づいて提示される提供情報との関係を理解していることを前提としている。すなわち、利用者が自身のクエリに基づいて提供情報がいくつか提示された際、それぞれの提供情報の有用性を自身で判定できるということを暗黙の了解としている。しかしながら情報提供サービスの利用者が多岐に亘る現在においては、その利用者が、自身の要求を正確に表現したクエリを指示したり選択したりすること自体が困難であったり、提示された提供情報が自身にとって有用であるか否かを判断することができないということも想定する必要がある。
【0031】
しかしその一方で、専門的な知識を有する人や経験者あるいは提供情報を作成した人(以下、専門家)は、(クエリとなる)利用者のニーズや提供情報の特徴など、所望する提供情報を得るためにはどのようなクエリを提示すればよいか、あるいは指示したり選択したりすればよいのか理解(経験)し、利用者のニーズ(クエリ)と提供情報の属性による効果に基づき、利用者のニーズ(クエリ)を満たすのはどのような属性なのかを理解している。したがってこれらの人の知識を、クエリと提供情報との関係について理解できない利用者による情報検索の手順に介在させることができれば、利用者は提供情報についての知識や理解がなくても、情報検索の結果として提示された提供情報には、利用者の潜在的な要求を満たす内容が含まれている可能性が高くなる。
【0032】
そこで本発明者は、利用者端末から受け付けた利用者のクエリに基づいてデータベース検索を行うのではなく、利用者から受け付けたクエリに込められたその利用者の目的や欲求を、上述した専門家の知識を媒体として提供情報に結びつけることを考えた。概略的には、クエリの潜在的な目的や要求を「属性」という知識を集約した情報として用意しておき、その属性(以下、クエリ属性とも言う)をクエリに代わってデータベースに照会するようにすれば、利用者が提供情報の内容を理解できなくても、利用者の要求が反映された提供情報が出力されその提供情報を利用者に提示できるのではないかと考えた。そして本発明は、クエリと上記クエリ属性との対応関係、クエリ属性に基づく提供情報の検索(抽出)方法や評価方法、およびクエリや属性(クエリ属性、提供情報の属性)あるいは提供情報の出力や提示、提示順の方法について鋭意研究を重ねた結果なされたものである。
【0033】
以下では、本発明の実施例に係る情報提供装置として、その情報提供装置の基本的な構成や情報処理手順などについて説明し、その上でより高度な情報提供サービスを実施するためのデータベース構造、情報処理手順、および提供情報の提示方法などについて説明する。
【0034】
===実施例===
本発明の実施例に係る情報提供装置は、インターネットに接続されて、検索エンジン、WWWサーバー、データベースなどの機能を有するコンピュータシステムにより構成されており、このシステム構成については従来の検索サイトや電子商店で運用されている情報提供装置と同様である。なおここではWWWサーバー機能によって電子商店をインターネットに公開している情報提供装置を実施例として挙げる。そして以下に、情報提供装置におけるデータベースのデータ管理構造や動作、および利用者端末から受け付けたクエリに基づいて各商品に関する提供情報を一覧にしたWebページ(以下、検索結果ページ)を返送する情報検索処理の流れなどを例示する。
【0035】
===ネットワーク構成===
図1に本実施例の情報提供装置を含むネットワーク構成の概略を示した。利用者端末10と情報提供装置1とがインターネットIに接続されている。本実施例の情報提供装置1は、データベースとして、電子商店が扱う様々な商品に関する情報(提供情報)の記憶、評価、抽出、更新、新規作成などの情報管理を行うデータベース(提供情報データベース)2に加え、提供情報データベース2から評価あるいは抽出すべき提供情報をクエリに基づいて特定する際の情報処理に供される種々の情報を管理するデータベース(クエリデータベース)3を付帯している。そして実施例における情報提供装置1では、このクエリデータベース3によるデータの管理方法や、そのデータを用いて提供情報を検索する際の情報処理の手順に特徴を有している。
【0036】
===データベース===
<提供情報データベース>
【0037】
情報提供装置が自身のWWWサーバー機能により公開する電子商店では、利用者端末とのHTTP通信を通じ、最終的には、当該商店が販売している各商品に関する各種情報と商品購入の受け付け機能とを含んだ商品販売ページを利用者端末に送付する。
図2に商品販売ページ20の画面概略を示した。商品に関する内容(メーカー、型番、価格、搭載機能など)21、商品の画像22、利用者端末により購入商品の数量を記入する欄23や購入指示を受け付けるボタン24などが含まれている。そして情報提供装置に付帯する提供情報データベースは、商品販売ページ20の起源となるHTML文書や画像データを記憶している。また商品販売ページ20に掲載される商品のそれぞれについての内容などを提供情報として管理している。さらに提供情報データベースでは商品販売ページに掲載される商品に関する内容だけではなく、クエリに基づく情報検索処理の過程で参照される様々な情報(以下、商品属性)も提供情報に対応付けして管理している。なお商品属性は提供情報自体に含まれて、提供情報の一部を構成する情報であってもよいし、提供情報と商品属性とが個別のデータとして記憶されて、提供情報データベースがその提供情報と商品属性との対応関係を管理することとしてもよい。
【0038】
図3Aと
図3Bに、提供情報と商品属性との対応関係を示した。
図3Aと
図3Bでは、識別番号や型式などで特定される商品についての内容を提供情報31として、その提供情報31に商品属性32が対応付けされている。提供情報31と商品属性32との対応関係については、
図3Aに示した例のように、個々の商品の提供情報31に対して一つ以上の商品属性32が対応付けされていてもよいし、
図3Bに示した例のように、特定の商品属性32に対して一つ以上の商品の提供情報31が対応付けされていてもよい。いずれにしてもデータベースは特定の商品についての提供情報と商品属性との対応関係を管理している。もちろん、商品属性が提供情報の一部であってもよい。なお、当然のことながら、商品属性が提供情報の一部である場合、提供情報データベースでは、各提供情報のどの部分がその提供情報の商品属性であるのかが特定できるように、提供情報と商品属性との対応関係が管理されている。
【0039】
<クエリデータベース>
上記提供情報データベースは、利用者端末からクエリが入力されたことを起点として最終的に利用者端末に出力される提供情報と、その提供情報を抽出する際に検索エンジン(情報提供装置)によって参照される商品属性を管理している。一方、クエリデータベースは、利用者端末により入力される様々なクエリと、属性情報(以下、クエリ属性)との対応関係を管理している。そしてクエリ属性は、謂わば、利用者端末から受け付けたクエリに含まれる利用者の要求を反映した情報であり、一つのクエリに対して一つ以上複数のクエリ属性を構成している。本実施例の情報提供装置では、クエリに代わってクエリ属性を提供情報データベースに照会することとしている。すなわち、クエリ属性は、検索キーワードに対する類義語の辞書データなどとは決定的に異なる情報である。そして情報提供装置は、利用者端末から検索クエリとして受け付け可能な多数のキーワード、あるいはそのキーワードを類義演繹したキーワードを受け付けると、そのキーワードに対するクエリ属性を特定し、そのクエリ属性を用いて提供情報データベース内の提供情報を評価したり抽出したりする。
【0040】
本実施例の情報提供装置では、利用者端末から入力されたクエリに応動して最終的に提供情報を利用者端末に向けて出力する。以下では、主に、情報提供装置が利用者端末から入力されたクエリに応動して最終的に出力する提供情報を抽出する事例を挙げて、情報提供装置における情報処理の内容について説明する。なお、上述したように、本実施例の情報提供装置において、クエリを受け付けることは、提供情報を抽出あるいは評価するための起点ではあるものの、その受け付けたクエリ自体が提供情報データベースに照会されることはない。クエリは、利用者が入力した文字に対応する文字コードや、利用者がフロントエンドを介して指定したり指示したりした際にネットワーク上に送出されるフォームデータではあるものの、提供情報を抽出するために直接的に利用されるデータではない。クエリの本質は、利用者の質問、問い合わせ、要求などを反映(あるいは、表現)した情報である。
【0041】
図4Aと
図4Bにクエリとクエリ属性との対応関係を示した。
図4Aに示したように、利用者端末から送付されてくるクエリ41のそれぞれに、一つ以上のクエリ属性42が対応付けされていてもよいし、
図4Bに示したように、特定のクエリ属性42に対して一つ以上のクエリ41が対応付けされていてもよい。もちろん
図4Cにも示したように、同じクエリ属性(
図4Cではクエリ属性B)42が異なる複数のクエリ41に対応付けされていてもよい。なおクエリデータベースでは、クエリの一部がクエリ属性として管理されていてもよいし、クエリとクエリ属性が個別のデータとして管理されていてもよい。いずれにしてもクエリに基づいてクエリ属性が特定できるようにクエリとクエリ属性との対応関係が管理されていればよい。もちろん、クエリ、属性、提供情報の対応関係に基づいて提供情報データベースとクエリデータベースを一体のデータベースとして管理してもよい。そして、この場合も、クエリに対応する属性をクエリ属性とし、提供情報に対応する属性を商品属性とすることができる。
【0042】
===情報検索処理===
以下に利用者が自身の利用者端末を用いて電子商店でデジタルカメラを購入する事例を挙げて、情報提供装置における提供情報の検索処理について説明する。
図5は当該事例におけるクエリデータベースにおけるデータ管理構造の一例を示す図である。また
図6Aと
図6Bは提供情報データベースにおけるデータ管理構造の一例を示している。
【0043】
図5に示したように、例示したクエリデータベースでは、デジタルカメラについて、キーワード入力されることが想定される「きれいな画像」というクエリ41aに対して「手ぶれ補正」「RAW撮影」「CMOS撮像素子」などのクエリ属性42が対応付けされている。またこの例では、キーワードによらず、Webページに配置された「機能」「性能」などの文字列の記載位置には、それらの文字列をクエリ41bとして情報提供装置に送信するためのフォームが埋め込まれている。なおクエリ41aとして受け付ける「きれいな画像」などの自然文のキーワードについては、あらかじめそのキーワードのテキストとクエリ属性42とを対応付けしておいてもよいし、周知の形態素解析を用いることで、自然文で入力されたクエリからクエリ属性を特定するためのキーワードに変換するようにしてもよい。例えば「きれい」などという曖昧な語句を「高画質」というクエリとして受け付け、その「高画質」というクエリに所定のクエリ属性(例えば、「手ぶれ補正」「撮像素子」「画素数」など)を対応付けしておく。もちろん上記「機能」や「性能」と同様にクエリ41bとしてWebページに「きれいな画像」として配置してもよい。
【0044】
なお提供情報データベースでは、所定の商品についての提供情報に対して様々な商品属性が対応付けされている。
図6Aと
図6Bに、商品の提供情報と商品属性との対応関係を示した。
図6Aに示したように、ある商品Aに対して「手ぶれ補正」「動画:1080/60P」「¥55,000」などの様々な商品属性が対応付けされている。そして、提供情報データベースでは、商品Aに対応付けされている「手ぶれ補正」「動画:1080/60P」「¥55,000」などの属性について、商品Aには「手ぶれ補正」「動画撮影」という機能があり、さらに「動画撮影」については、解像度とフレームレートに関して「1080/60P」という性能を備えているということが属性として付帯し、価格は55,000円であることを認識できるように管理している。
【0045】
もちろん、
図6Bに示したように、各商品属性毎にその有無や内容が対応付けされていてもよい。例えば、全ての商品に対して「手ぶれ補正」や「連写」などの機能に関わる属性の種別を対応付けさせておき、図示した商品Aにその機能があれば、「有り」の旨の符号や情報などが属性として付記しておけばよい。「動画」などでは、その機能についての有無に加え、その性能「1080/60P」を属性として付帯させておけばよい。価格が¥55,000であれば、価格という属性の種別に対して「55,000円」という属性を付帯させておけばよい。
【0046】
次に、利用者が自身の利用者端末を情報提供装置がインターネット上に公開する電子商店にアクセスさせてから目的の商品についての提供情報を利用者端末に表示させるまでの手順を挙げ、その手順を通して情報提供装置における情報検索処理の流れを説明する。なお電子商店では、デジタルカメラに限らず、様々なカテゴリの商品を扱っているが、ここでは利用者端末と情報提供装置とのHTTP通信、すなわちWebページを介したデータ通信により、電子商店においてデジタルカメラのカテゴリに属する商品を検索するためのWebページ(商品検索ページ)が利用者端末によりすでに表示されているものとし、利用者端末と情報提供装置とがこの商品検索ページを起点としてさらなるHTTP通信を行いながら最終的に先に
図2に示した商品販売ページを表示するものとする。
【0047】
図7にデジタルカメラに関する商品検索ページ50の概略を示した。この
図7に示すように、商品検索ページ50にはクエリを自然文やキーワードで入力するためのテキストボックス51や、あらかじめ用意されているクエリを利用者に指示させるとともに、利用者端末による指示機会ごとに指示されたクエリを情報提供装置に送信するための機能が設定された文字列52やテキストによるクエリを送信するためのボタン53などを含んだクエリ入力欄54と、電子商店にて取り扱われているデジタルカメラの画像や商品の説明文などを含んだ提供情報56の一覧57が含まれている。またこの例では、クエリ入力欄54において文字列52を指示することで選択可能なクエリについては、それぞれの文字列に対応付けされているクエリ属性55も付記されている。それによって、利用者に対し、指定可能なクエリがどのような専門家の知識に紐付いているのかを可能な限り理解させようとする機能も担っている。確かに当初はクエリ属性自体を理解できない可能性もあるが、情報検索の機会が増えることに自ずと理解が進む可能性がある。もちろん情報検索ページ50の体裁としては、指定可能なクエリに対してクエリ属性を付記しないものも考えられる。
【0048】
また
図7に示した例では、クエリ属性55の文字列にもリンクを示す下線が引かれており、クエリ属性55が示す文字列を別のクエリとして選択できるようになっている。例えば、「手ぶれ補正」は「機能」というクエリについての一つのクエリ属性であるが、クエリデータベースにはクエリとしての「手ぶれ補正」が存在し、そのクエリとしての「手ぶれ補正」にもクエリ属性が対応付けされていてもよい。すなわち、テキストボックス51に「手ぶれ補正」という文字列が入力されたならば、その「手ぶれ補正」というクエリにクエリ属性が対応付けされていることになる。例えば、「手ぶれ補正」のクエリには手ぶれ補正の方式として「電子式」や「光学式」などがクエリ属性としては対応付けされているような場合が考えられる。さらに
図7を含め、以下に示す各Webページの画面には、クエリ属性の文字列にチェックボックス100が添えられているが、このチェックボックス100の機能や利用方法については後述する。
【0049】
商品検索ページ50における提供情報一覧57では、個々の提供情報56の掲載欄58があらかじめ設定されている順番で提示されており、その提示順序としては、例えば、販売実績、該当するデジタルカメラについての商品購入ページへのアクセス回数順、メーカー順、名前順、価格順などが考えられ、提示順序の規則については適宜に設定できる。そして本実施例の情報提供装置では、利用者端末を用いてこの商品検索ページ50にて入力したクエリに基づいて、そのクエリに潜在する利用者の要求に応じた商品についての提供情報56を評価あるいは抽出して一覧57にして表示するまでの情報処理に特徴を有している。なお、クエリの入力手段や入力方法はキーワードで入力するテキストボックス51やクエリを情報提供装置に送信するための機能が設定された文字列52あるいはチェックボックス100などに限定しない。音声による入力手段や入力方法など情報提供装置がクエリとして受け付け可能であればどのような入力手段や入力方法を用いてもよい。
【0050】
図8に利用者端末10と情報提供装置1との通信手順の概略を示した。ここでは情報処理の流れや各種データの入出力方向を理解し易くするために、情報提供装置1において、フロントエンド、WWWサーバー、検索エンジンなど、利用者端末10とのデータ通信に関わる処理、利用者端末10に向けて出力するWebページの生成処理、付帯するデータベース(2,3)に適宜なデータを照会してその照会結果を取得するための処理を担うハードウエアやソフトウエアからなる構成を制御部101として示している。
【0051】
そして図示した構成において、利用者が、利用者端末10により情報提供装置1から商品検索ページを取り寄せ(s1)、クエリを商品検索ページのテキストボックスに入力したとする(s2)。ここでは「きれいな画像」という自然文をクエリとして入力したものとする。そして、そのクエリを情報提供装置1に送信する(s3)。情報提供装置1の制御部101は、利用者端末10から「きれいな画像」というクエリを受け付けると、そのクエリをクエリデータベース3に照会し(s4)、クエリデータベース3は、照会されたクエリに対応するクエリ属性を特定してそのクエリ属性を制御部101に向けて出力する(s5)。ここでは先に
図5に示したように「きれいな画像」というクエリには「手ぶれ補正」「RAW撮影」「CMOS撮像素子」などの属性が対応付けされていることから、これらのクエリ属性を出力する。そして制御部101このクエリ属性を提供情報データベース2に照会する(s6)。
【0052】
上述したように、提供情報データベース2における個々の提供情報には商品属性が対応付けされており、例えば、先に
図6Aや
図6Bに示した例において、ある商品Aについての提供情報の商品属性として「手ぶれ補正」「連写機能」「RAW撮影」の属性が対応付けされているとすると、提供情報データベース2は、制御部101から受け取ったクエリ属性に一致する商品属性が対応付けされている提供情報を抽出して、その抽出した提供情報を制御部101に返送し(s7)、制御部101は提供情報データベース2から受け取った提供情報を一覧にした検索結果ページを作成し(s8)、その検索結果ページを利用者端末10に向けて送信する(s9)。利用者端末10は受信した検索結果ページを表示する(s10)。そして、利用者が表示された提供情報の一覧中に購入希望、あるいは購入対象の候補になりそうな商品についての提供情報を見いだしたならば、利用者端末10により、その提供情報を指定する旨を指示すればよい(s11)。制御部101は、この指示に従って該当する提供情報の商品販売ページを提供情報データベース2に転送してもらい(s13,s14)、その商品販売ページを利用者端末に送付する(s15)。それによって利用者端末10には先に
図2に示した商品販売ページ20が表示される(s16)。
【0053】
図9にクエリに基づいて抽出された提供情報が一覧表示された検索結果ページ60aの一例を示した。この例では、
図7に示した商品検索ページ50とほぼ同様の体裁であり、クエリを追加入力するためのクエリ入力欄54と提供情報56の一覧57が含まれている。しかし、提供情報56の一覧57の中には情報提供装置1がクエリを受け付けたことを起点として抽出された提供情報56のみが表示されている点が異なっている。そして、利用者が検索結果ページ60aにおける各提供情報56を閲覧し、希望する商品に関する提供情報56があれば、その提供情報56の掲載欄58を指示することで、その掲載欄58に設定されているハイパーリンクに従って利用者端末10には、
図2に示したような商品の購入手続を行う商品販売ページ20が表示される。そして利用者は、その商品販売ページ20に掲載されている商品の提供情報についての詳細を検討し、その商品が気に入れば、以後の商品購入手続に移行すればよい。
【0054】
このように本実施例の情報提供装置では、クエリである「きれいな画像」あるいは「高画質」を内容として含む提供情報が利用者に提示されるのではなく、クエリに対応付けされているクエリ属性によって提供情報が評価され、その評価結果として抽出すべき提供情報が特定される。そして、ここに示した例では、提供方法を評価するためにクエリに対応付けされているクエリ属性と商品属性との比較に基づいて抽出すべき提供情報が特定される。このように、本実施例の情報提供装置では、クエリに含まれる漠然とした利用者の要求が提示される提供情報に反映され、利用者が提供情報の内容についての知識に対する理解が不足していても、利用者は自身に潜在する要求を満たす提供情報を得ることができる。
【0055】
<提供情報の抽出アルゴリズム>
上記実施例では、クエリに対応するクエリ属性と一致する商品属性を含む提供情報を抽出して提示していた。そして、その抽出基準、すなわちクエリ属性に基づいて抽出すべき提供情報を特定する規則(提供情報抽出アルゴリズム)は適宜に設定可能である。
図10A、
図10B、および
図10Cに提供情報抽出アルゴリズムを例示した。提供情報抽出アルゴリズムの一つの例としては、
図10Aに示したように、受け付けたクエリ41に対応するクエリ属性42の一部42aに一致する商品属性32aに対応付けされている提供情報31を特定することが考えられる。そしてこの場合、少なくとも一つのクエリ属性42に一致する商品属性32に対応付けされている提供情報31を抽出対象として特定してもよいし、複数のクエリ属性42のうち、所定数以上(例えば半数以上)のクエリ属性42に一致する商品属性32が対応付けされている提供情報31を特定してもよい。また
図10Bに示したように、クエリ属性42の全てに一致する商品属性32bが対応付けされている提供情報31のみを抽出することも考えられる。もちろん
図10Cに示したように、クエリ属性42に一致する商品属性32が全くない提供情報31を抽出対象から除外するというアルゴリズムを採用することもできる。すなわち抽出しない提供情報31を特定することとしてもよい。
【0056】
なお
図10Aに示したように、クエリ属性42の一部が商品属性32に一致することを提供情報の抽出基準とした場合では多数の提供情報が抽出されてしまう可能性もある。あるいは、
図9に示すクエリ52の「機能」、「性能」、「価格」、「デザイン」などの複数のクエリ属性55を備えた抽象的なクエリ52を選択した場合、商品を絞り込むことなくほとんどあるいは全ての提供情報56が抽出されることも考えられる。そこで、情報提供装置が、クエリの入力を起点とした情報処理として、提供情報を評価する処理を行うことで、より多くのクエリ属性に一致する商品属性に対応付けされている提供情報を確実に抽出したり、一覧の上位に提示したりすることが考えられる。すなわち、出力すべき提供情報を抽出せず、評価した結果に基づいて全ての提供情報についての優先順位を設定することが考えられる。それによって、クエリを入力した利用者の潜在的な要求、あるいはその利用者に有益な提供情報が上位に提示することが可能となる。もちろん、評価結果に基づいて所定数の提供情報を抽出することも考えられる。
【0057】
図11に提供情報(31a,31b)の優先順位を設定するための情報処理の概略を示した。
図11に示した例では、商品Aと商品Bの提供情報(31a,31b)がともにクエリ属性42に一致する商品属性32aに対応付けされている。しかし商品Aと商品Bの提供情報(31a,31b)とでは、その一致した数が異なっており、商品Aの提供情報31aに対応付けされている商品属性32と商品Bの提供情報31bに対応付けされている商品属性32を比較すると、商品Aの提供情報31aの方がクエリ属性42aに一致する商品属性32aの数が多い。したがって
図11に示した例では、商品Aの提供情報31aが商品Bの提供情報31bよりも優先順位が高く、クエリ41に基づいて商品Aと商品Bの提供情報(31a,31b)が共に抽出された場合には、
図9に示した検索結果ページにおいて、提供情報の一覧において商品Aの提供情報を商品Bの提供情報よりも上位に提示する。もちろん一覧に掲載する提供情報に上限を設けるような場合では、商品Aの提供情報31aのみが抽出されて商品Bの提供情報31bが検索結果ページの一覧に掲載されない場合もある。
【0058】
また複数の提供情報の商品属性が同じクエリ属性に対して等しく対応付けされている場合もあり、このような場合では同じ提示順位の提供情報が複数存在することになる。もちろん多数の提供情報の商品属性が同じクエリ属性に対して等しく対応付けされていれば、その多数の提供情報が抽出対象になってしまう。そこで提供情報を抽出したり、提示したりする際の優先度を評価するための情報(以下、評価情報)をクエリ属性に対応付けしておいてもよい。なお評価情報としては、数値であってもよいし、優劣を示す順番であってもよい。なおこの評価情報は、提供情報を一覧にする際の提示順番などを制御するための情報にも利用できる。
図12にクエリ属性42の評価情報43に基づいて提供情報31を抽出する方法の概略を示した。「きれいな画像」というクエリ41に複数のクエリ属性42が対応付けされており、商品Aと商品Bの提供情報(31a,31b)では一致するクエリ属性42と商品属性32aの組み合わせが同じ数になっている。しかし個々のクエリ属性42には評価情報43として「+」「±0」「-」のいずれかが付加されており、商品Aと商品Bの提供情報(31a,31b)では、商品属性32と一致したクエリ属性42の評価情報43を加減すると商品Aの提供情報31aが上位の優先順位となる。
【0059】
また
図12における商品Aについての提供情報31aや商品属性32に付記したように、個々のクエリ属性42に上述した評価情報43を対応付けしておくとともに、提供情報31を構成する商品属性32のそれぞれにも評価情報33を対応付けておいてもよい。そして、互いに一致したクエリ属性42と商品属性32のそれぞれに対応する評価情報(43,33)に基づいて、互いに一致するクエリ属性42と商品属性32の対応関係ごとに商品属性32の評価値34を作成し、その上でクエリ41に応じた提供情報31の評価値35を作成してもよい。
【0060】
例えば、商品Aの提供情報31aを構成する商品属性32と「きれいな画像」というクエリ41を構成するクエリ属性42とが一致する商品属性32aの「手ぶれ補正」、「RAW撮影」、「CMOS撮像素子」のそれぞれに評価情報33として「100」が対応付けされている場合、「きれいな画像」というクエリ41のクエリ属性42である「手ぶれ補正」の評価情報43が「±0」なので商品属性32aにおける「手ぶれ補正」には「100」の評価情報33が対応付けされているものの、クエリ属性42における「手ぶれ補正」との対応関係については「0」の評価値34を作成する。「RAW撮影」のクエリ属性42における評価情報43については「+」なので、「RAW撮影」については「100」の評価値34を作成する。同様にクエリ属性42である「CMOS撮像素子」の評価情報43が「+」なので、対応する商品属性32aである「CMOS撮像素子」についても「100」の評価値34を作成する。そしてこれらのクエリ属性42と商品属性32aとの対応関係ごとに作成された商品属性32aの評価値34を加減すると、「きれいな画像」というクエリ41に応じた商品Aの提供情報A31aの評価値35が「200」となる。なお、評価情報43は「+」、「±0」、「-」とは限らない。クエリとして例えば「きれいな画像」を得るためのクエリ属性に対する重み付けや、評価の際に用いる属性あるいは属性の内容(例えば、値)を参照した数式や比率/割合など適宜設定すればよい。
【0061】
===データベースの構造について===
上述した実施例は、情報提供装置におけるデータベース構成やそのデータベースにおけるデータ管理構造、および情報処理手順についての基本概念を説明するためのものであった。したがって情報提供装置におけるデータベース構成、データ管理構造、および情報検索処理は上記基本概念に則したものであれば適宜に変更することができる。例えばクエリデータベースや提供情報データベースについては、クエリや提供情報に対して属性情報が階層的に対応付けされていてもよい。
【0062】
図13に階層構造を有するクエリデータベースおよび提供情報データベースのデータ管理状態の一例を示した。例えば、クエリデータベースにおいて「きれいな画像」というクエリ41には「撮像素子」「手ぶれ補正」「メーカー」などというクエリ属性142が構成要素として対応付けされており、各構成要素にもそれぞれ個別に構成要素が対応付けされている。例えば「手ぶれ補正」というクエリに近い側のクエリ属性(以下、上層クエリ属性142)には「光学式」「電子式」などの構成要素が下層のクエリ属性(以下、下層クエリ属性242)として対応付けされている。
【0063】
一方、提供情報データベースにおいても、クエリデータベースと同様に提供情報31に対して商品属性(132,232)が階層構造によって管理してもよい。例えば、商品Aに関する提供情報31については「撮像素子」「手ぶれ補正」「メーカー」という商品属性(以下、上層商品属性)132が対応付けされ、さらに個々の上層商品属性132に対してさらに下層の商品属性(以下、下層商品属性)232が対応付けさえている。例えば、「撮像素子」という上層商品属性132には「CMOS」という下層商品属性232が対応付けされている。そして情報提供装置は、あるクエリを受け付けると、そのクエリデータベースにおいてそのクエリを構成する上層クエリ属性と、その上層クエリ属性に対応する下層クエリ属性を特定し、上層あるいは下層からクエリ属性の構造に応じて提供情報と比較する。すなわちクエリ属性と商品属性を構造に応じて評価する。そして上層と下層の商品属性の組み合わせが、上層と下層のクエリ属性の組み合わせに一致する提供情報31を抽出してもよいし、下層商品属性232が不明で一致しない場合でも上層クエリ属性142と上層商品属性132が一致する提供情報31を抽出することとしてもよい。また提供情報31が階層構造ではなく、「撮像素子」という上層商品属性132が無くとも「CMOS」という商品属性232が下層クエリ属性242と一致すれば上層クエリ属性142を「撮像素子」として提供情報を抽出することとしてもよい。また、各属性(上層、下層)に評価情報を付加してもよい。また、上層あるいは下層のどの層に評価情報を付加してもよいし、全ての層に評価情報を付加して加算あるいは層ごとに重み付けしてその重み付けにより評価してもよい。クエリ属性を階層構造とすることで掘り下げた(ドリルダウンした)提供情報の評価が可能となる。
【0064】
ところで、
図13に示した例では、クエリ属性が2層構造となっていた。もちろん階層構造の層数は限定されない。
図14にクエリ属性が4層構造となっているクエリデータベースの例を示した。ここでは評価情報を付帯するクエリ属性も含まれている。この図において、クエリを構成するすべてのクエリ属性について、クエリに最も近い側の構成要素を第1層として、以下、下層に向かって第2層、第3層・・・とすると、「メーカー」というクエリ属性は、第1層にもあるし、上層から下層に向かって、「手ぶれ補正」「光学式」と辿るクエリ属性の構造のさらに下層の第3層にもある。第1層における「メーカー」のクエリ属性142については、例えば、デジタルカメラのメーカーにおいて光学機器メーカーや旧フィルムメーカーなど、例えば「A社」や「D社」が含まれている。一方、第4層のクエリ属性には、デジタルカメラに光学式手ぶれ補正の技術を採用しているメーカー、あるいは光学式手ぶれ補正の技術に定評があるメーカーが構成要素として含まれており、例えば、旧フィルムメーカーよりもセンサ技術を有する電子機器メーカーが含まれる場合が考えられ、例えば「A社」や「B社」が含まれている。
【0065】
そしてあるクエリ「きれいな画像」についてのクエリ属性を上層から下層に辿ると、例えば、「手ぶれ補正」「光学式」「メーカー」「A社」という一つの組み合わせが形成される。この組み合わせは、謂わばクエリを構成する第1層の「手ぶれ補正」というクエリ属性の一つの構造であり、例えば、この構造と提供情報を比較することで、A社の光学式の手ぶれ補正を採用したデジタルカメラを検索結果として提示することが可能となる。また、クエリ属性の第1層における「メーカー」142には「D社」242が対応付けされており、第3層における「メーカー」342には「D社」は対応付けされていない。この場合、クエリ「きれいな画像」について、「メーカー」が「D社」の提供情報は抽出あるいは評価の対象とするが、「光学式」の「手ぶれ補正」について「メーカー」が「D社」の提供情報は抽出あるいは評価の対象としないこととなる。逆に、クエリ属性の第1層における「メーカー」142には「B社」242は対応付けされていないが、第3層における「メーカー」342には「B社」が対応付けされている。この場合、クエリ「きれいな画像」について、「メーカー」が「B社」の提供情報は抽出あるいは評価の対象としないが、「光学式」の「手ぶれ補正」について「メーカー」が「B社」の提供情報は抽出あるいは評価の対象となる。このように、クエリ属性(以下、上層クエリ属性)142のそれぞれにもクエリ属性(以下、下層クエリ属性)242を対応付けしておき、クエリ41に対してクエリ属性(142,242)を階層的に対応付けして管理することとしてもよい。このようにクエリデータベースでは、多元的なクエリ属性を一元的に管理している。
【0066】
なおクエリ属性の第1層における「メーカー」と第3層における「メーカー」は、提供情報における属性「メーカー」と比較して評価(以下、比較/評価)をしてもよいし、提供情報の属性が「手ぶれ補正」に関する「メーカー」として管理されていればその属性と比較/評価してもよい。さらにクエリ属性に基づき比較/評価する提供情報の情報源(URLなど所在情報)はクエリ属性毎に指定できるようにしてもよい。例えば、先の
図13に記載の「商品A」31の「手ぶれ補正」132について「光学式」232までは商品Aのメーカーが提供する情報源より取得可能であって、
図14に示す「手ぶれ補正」142の「光学式」242の「メーカー」342に関する情報(442)が取得不可能な場合、別の情報源(例えば光学式手ぶれ補正を提供しているメーカーや有識者のサイトなど)を指定してもよい。具体的にはクエリ属性の第3層における「メーカー」342に情報源に関する情報を対応付けておけばよい。そしてクエリ属性に基づき提供情報を比較/評価して抽出する際に、クエリ属性に指定した情報源に提供情報31に関する情報(例えば商品A)により照会すればよい。
【0067】
なお また商品Aの提供情報の抽出基準は先に
図10にも示したように別途設定されるものである。すなわち商品Aにおける上層と下層の商品属性の組み合わせの一つが、上層と下層のクエリ属性の組み合わせに一致した場合にこの商品Aの提供情報を抽出することとしてもよいし、上層と下層の商品属性の組み合わせにおいて所定の組み合わせ数以上が上層と下層のクエリ属性の組み合わせに一致した場合にこの商品Aの提供情報を抽出することとしてもよい。あるいは上層と下層の商品属性の組み合わせの全てが上層と下層のクエリ属性の組み合わせとして存在する場合にその提供情報を抽出することとしてもよい。すなわち上層から下層に辿るクエリ属性の構造において、どの層を提供情報の抽出基準として採用するのかは適宜に設定できる。
【0068】
また上述したようにクエリ属性を階層構造で管理する場合おいても、クエリ属性の構成要素ごとに評価情報を対応付けすることも考えられる。例えば、
図13に示した例において、「きれいな画像」というクエリについては、手ぶれ補正のクエリ属性142の下層にある「光学式」のクエリ属性242が「電子式」の手ぶれ補正よりも優れているとすれば、この「光学式」のクエリ属性242には「電子式」よりも高い評価情報を付加しておく。
【0069】
図14に示した3層以上の多層構造を有するクエリデータベースでは、第2層の「手ぶれ補正」の方式のクエリ属性242に対しては評価情報を付加せず、各方式のクエリ属性242の下層にある「メーカー」というクエリ属性342を構成する各メーカーに対応する個々のクエリ属性442ごとに評価情報を対応付けしておき、例えば、光学式手ぶれ補正の技術に定評があるメーカー(例えばA社)であれば、「手ぶれ補正」「光学式」「メーカー」というクエリ属性の構造においては、「メーカー」のクエリ属性342を構成する「A社」のクエリ属性442に付帯させる評価情報を他のメーカーのクエリ属性442の評価情報よりも高くしておく。それによって「きれいな画像」というクエリ41に対して光学式手ぶれ補正を採用しているメーカーのデジタルカメラの提供情報が複数検索された際には、A社に関する提供情報の評価が高くなり、例えば、他社よりもA社の商品の提供情報を検索結果一覧の上位に提示することができる。すなわち検索結果の一覧に含まれる光学式手ぶれ補正を採用しているデジタルカメラの提供情報について言えば、A社の商品が上位に提示されて、一覧における提供情報の提示順は、「きれいな画像」というクエリを反映させたものとなる。
【0070】
ここで、階層構造を備えたクエリデータベースにおいて、クエリ属性に評価情報を付加することの効果をさらによく説明できる例を
図15に示した。
図15に示したように、上層から「撮像素子」142「サイズ」242の順に辿るクエリ属性の構造において、第3層のクエリ属性342には、撮像素子の各サイズを規定したクエリ属性342が構成要素として対応付けされている。そして第3層の「フルサイズ」のクエリ属性342には「価格」が第4層のクエリ属性442として対応付けされている。そして、第5層には具体的な各価格帯に対応するクエリ属性542があり、各価格帯には評価情報43が付帯している。したがって、「きれいな画像」というクエリに対する、クエリ属性が「撮像素子」「サイズ」「フルサイズ」「価格」という構造で抽出される提供情報は、フルサイズの撮像素子を有して価格が設定されているデジタルカメラをその価格で評価している。そしてこのフルサイズの撮像素子を有するデジタルカメラは、¥70,000~¥100,000の価格帯であれば高評価(+)であり、コストパフォーマンスが高く、所謂「お買い得」である。¥100,001~¥200,000のデジタルカメラでは、±0の評価であり、所謂「値段相応」となる。一方、¥200,000以上であれば、高級機あるいは割高であり、「きれいな画像」をクエリとして検索した利用者には相応しくない。すなわち、この¥200,000以上の価格帯のデジタルカメラを要求する利用者はデジタルカメラについての知識が豊富にあるはずで、他のクエリに基づいて商品を検索しているはずである。またフルサイズの撮像素子を備えたデジタルカメラが¥70,000以下であれば、商品に何らかの問題(返品修理品、無名メーカーなど)がある、所謂「ワケあり」であることを疑った方がよい。このように、デジタルカメラの「撮像素子」のクエリ属性とは根源が異なる評価となる「価格」のクエリ属性を対応付けしておき、具体的な価格帯に評価情報を付帯させることで、例えば、提供情報としてフルサイズの撮像素子を備えたデジタルカメラに関するものが複数抽出された際に、その提示順を価格によって評価あるいは抽出することができる。
【0071】
商品に関する提供情報は、利用者側から見ると、例えば、機能、性能、サービスあるいは効果などの得られるものと、費用、時間などの費やすものによる多元的な複数の属性、すなわち、それぞれの属性に基づく情報により構成されている。費やすもの(例えば、価格)は得られるもの(例えば、機能、性能)を集約した構造になるとともに、得られるものと費やすものはトレードオフの関係になるなど、複雑な構成、構造、関係となる。例えば、多機能や高性能を追求すると高価格なる。
【0072】
一方でクエリは利用者の要求を反映するものであり、情報提供装置にクエリとして入力される要求(以下、要求(クエリ)とも言う)についても、「最も高解像度(画素数)な商品が欲しい」あるいは「一番安価(価格)な商品が欲しい」など、一部の一元的な要求を除いて「多機能で高性能な商品を安価で欲しい」など、商品に関する提供情報と同様に得られるもの(例えば、機能や性能)と費やすもの(例えば、価格)など多元的な複数の属性により構成され、費やすものは得られるものを集約した構造になるとともに、得られるものと費やすものはトレードオフの関係になる。そして、本実施例の情報提供装置によれば、このように多元的で複雑な構成、構造、関係を有した利用者の要求(クエリ)を、例えば、
図15に示したような、クエリを構成するクエリ属性に基づき、一元的に提供情報を評価あるいは抽出することが可能となり、利用者の抽象的なクエリに応じて、属性(クエリ属性あるいは商品属性)に基づく客観的な提供情報の評価あるいは抽出が可能となる。
【0073】
====クエリ属性および商品属性の提示===
上述した実施例では、本発明の本質を理解し易くするためのものであった。しかしこの実施例では、利用者は自身の目的や欲求を満たす提供情報を得るという最も大きな目的自体は達成されるものの、
図7に示した商品検索ページ50において自身が入力したクエリと
図9に示した検索結果ページ60aにて提示された提供情報56との関係が理解し難い。そこで、クエリの入力に応動して最終的に提示する提供情報を抽出するまでに使用した情報を適宜に出力することで提供情報との関係を理解させるようにしてもよい。例えば、
【0074】
検索結果ページに提供情報の抽出起源となったクエリ属性や商品属性を含ませれば、利用者にクエリとそれに基づいて抽出された提供情報との関係を理解させることができる。
【0075】
図16、
図17、
図18に検索結果ページの変更例を示した。
図16に示した検索結果ページ60bでは、
図9に示した検索結果ページ60aと同様のクエリ入力欄54や提供情報56の一覧57に加え、キーワードなどによって入力されたクエリ61と提供情報56の抽出起源となったクエリ属性62との関係を示す欄63が含まれており、利用者はこの欄63に示された内容を確認することで、自身のクエリ61がどのようなクエリ属性62に基づいて情報検索されたのかを理解することができる。クエリが複数ある場合など、クエリごとにクエリとクエリ属性の関係を示してもよいし、複数のクエリに関するクエリ属性を集約して示してもよい。また、クエリ61とクエリ属性62の関係は、クエリを構成するクエリ属性としてもよいし、クエリを構成するクエリ属性のうち実際に提供情報56を評価あるいは抽出する際に影響したクエリ属性としてもよい。その影響度によってクエリ属性に優劣をつけて提示してもよい。そして、関係するクエリ属性を全て提示してもよいし所定数提示してもよい。あるいは所定の条件を満たすクエリ属性だけを提示してもよい。
図17に示した例では、検索結果ページ60cにおける個々の提供情報56の掲載欄58に、商品の説明文に代えて、その提供情報56に対応付けされている商品属性64を含ませている。商品属性64は、提供情報に対応する商品属性でもよいし、提供情報を評価したクエリ属性でもよいし、クエリを構成するクエリ属性に基づき評価された商品属性でもよい。具体的には、提供情報に対応する商品属性として
図10Aに示す商品属性32でもよいし、提供情報を評価したクエリ属性として
図10Aに示す42aでもよいし、クエリを構成するクエリ属性に基づき評価された商品属性として
図10Aに示す32aでもよい。それによって利用者は、自身のクエリによってどのような商品属性64に基づき提供情報56が抽出あるいは評価されたのかを理解することができる。そして
図18に示した検索結果ページ60dでは、
図16に示したクエリ61と提供情報56の抽出起源となったクエリ属性62との関係を示す欄63が含まれているとともに、各提供情報56の掲載欄58には、それぞれの提供情報56の抽出起源となった商品属性64が記載されている。それによって利用者は、自身のクエリ61に対応するクエリ属性62の内、どのクエリ属性62がどの提供情報56のどの商品属性64に一致(影響)したのかを認知することができる。
【0076】
このように検索結果ページにクエリ属性や商品属性を表示することで、クエリと提供情報との関係を利用者に提示して理解させることができる。また
図9に示した検索結果ページ60aのように、提供情報56が唐突に提示される違和感も解消できる。さらにクエリと提供情報との関係性を提示して理解させることは、利用者に情報検索の過程を提示して理解させることにも繋がる。例えば、「きれいな画像」という利用者の要求と、実際の商品の具体的な内容(機能、性能など)との関係が理解できる。具体的には、例えば、「きれいな画像」61という利用者の要求(クエリ)は「手ぶれ補正」62という属性により得られ、提供情報である商品56は「手ぶれ補正」64という属性を備えている、あるいは「手ぶれ補正」64という属性が優れているから、「きれいな画像」61という利用者の要求(クエリ)は提供情報である商品56により得られる、とした情報検索の過程を提示することでクエリと提供情報の関係が理解できる。そして情報検索の機会が増えれば、クエリと提供情報との関係についての理解がさらに深まり、商品検索の機会を通じて利用者が商品知識など提供情報に関する知識を徐々に蓄積させていくことができる。利用者において提供情報に関する知識が蓄積されれば、より的確なクエリを選択することができ、利用者が自身の要求に合致する商品を見いださせる可能性をより高くすることができる。
【0077】
なお当然のことながら、検索結果ページの体裁(レイアウト)や検索結果ページにおいて提示する属性(クエリ属性、商品属性)に関わる情報は、
図9、
図16、
図17、
図18に示した例に限定されるものではない。すなわちユーザーインターフェイスについては適宜な構成を採用することができる。いずれにしても検索結果ページには、クエリの追加入力を受け付けるクエリ入力欄と提供情報の一覧を含み、クエリ入力欄や提供情報一覧における個々の提供情報掲載欄にクエリ属性や商品属性を含めたり、クエリ属性や商品属性を個別の欄を設けてその欄に掲載したりすればよい。
図19に検索結果ページにおけるクエリ属性および商品属性のその他の提示例を示した。この図では複数のクエリ61が入力されたときの検索結果ページ60eを示しており、クエリ61を追加入力するためのクエリ入力欄54やクエリ61に基づく検索結果である提供情報一覧57に加え、
図14にも示した利用者が入力したクエリ61とその入力済みのクエリ61に対応するクエリ属性62とを含む欄63が含まれている。
【0078】
さらに検索結果ページ60eに関連するクエリ65の掲載欄66と関連する属性67の掲載欄68が並んで配置されている。関連クエリ65は、利用者が選択したクエリ61に関連するクエリ65、例えば、利用者が選択したクエリ61とともによく選択されるクエリ65を提示してもよいし、クエリ61に対応付けされたより詳細なクエリ、例えば、下層に対応付けされたクエリを提示してもよい。あるいは、検索結果である提供情報一覧57に提示された提供情報56に関連するクエリ65を提示してもよい。また、クエリ61に関連する属性62あるいは提供情報一覧57に提示された提供情報56に関連する属性64あるいは関連属性67に関連するクエリ65を提示してもよい。そして、関連属性67は、検索結果である提供情報一覧57に提示された提供情報56に関連する属性64を纏めた関連属性67を提示してもよい。また、利用者が選択したクエリ61に関連する属性62を纏めた関連属性67を提示してもよい。関連クエリ65に関連する属性67を提示してもよい。それによって利用者が選択したクエリ61と検索結果との関係を提供情報一覧57に提示された提供情報56に限らず、関連クエリ65と関連属性67により提示することで表現し、利用者は選択したクエリ61と検索結果との関係を提供情報一覧57に提示された提供情報56と関連クエリ65と関連属性67により得られる。
【0079】
図20に示した検索結果ページ60fでは、検索結果として提示される提供情報56がどのようなクエリによって抽出されるのかを示すために、提供情報掲載欄58のそれぞれについて、同じ欄内に提供情報56とその提供情報56を抽出したり評価したりする際の起源になり得るクエリ69あるいは提供情報56に関連するクエリ69が含まれている。すなわち、提供情報56に関連するクエリ69を提示してもよい。また、提供情報56に関連する商品属性(提供情報の属性)に基づくクエリ69を提示してもよい。また、後述するように、提供情報56をクエリとして入力して、クエリ69を提供情報として提示してもよい。そしてクエリ69に提示するクエリは該当するクエリを全て提示してもよいし、所定数提示してもよい。さらに提供情報56を抽出したり評価したりする際の評価に基づく順にクエリを提示してもよいし、所定の条件に基づきクエリを提示してもよい。もちろんクエリ69に提示するクエリの評価基準を別途定め、提示順や提示条件を評価してもよい。属性を理解することが難しい利用者にはクエリを提示するほうが理解しやすいことも考えられる。具体的には、例えば、「機能」61という利用者の要求(クエリ)に基づき、検索結果として提示された提供情報56は、「機能」というクエリ69について、「機能」というクエリ61を構成する属性62(手ぶれ補正、3D撮影・・・)に基づく所定の条件を満たしている、あるいは「機能」というクエリ69が他のクエリと比較して優れているから、「機能」という利用者の要求(クエリ)61は提供情報56により得られる、または、例えば、提供情報56は利用者の要求したクエリ61の他に「性能」や「デザイン」というクエリ69が他のクエリと比較して優れているなど、情報検索の過程を利用者の要求であるクエリに集約して提示することができる。
【0080】
以上説明したように検索結果ページでは、クエリ、クエリ属性、商品属性、および提供情報はどのように提示されてもよい。しかしその提示を実際に行うためには、クエリと提供情報およびこれらを結びつける属性(クエリ属性、商品属性)が多元的に関連しあうデータベース構造があって初めて可能となる。
図21は、本発明の実施例に係る情報提供装置の構成や動作を説明するための図であり、
図21は、情報提供装置におけるデータベース構造、その構造に基づく情報検索の手順、および情報検索の結果の提示動作の基本概念を示している。そして
図21に示したように、利用者入力されたクエリ101に関連する属性102としてはクエリ属性もあるし、そのクエリ属性と比較された(あるいはそのクエリ属性によって評価された)商品属性もある。そしてその比較/評価の結果として抽出された提供情報103があり、クエリ101と提供情報103が関連付けされる。すなわち互いに関連しあうデータベース構造を前提としなければ、検索結果ページに様々な情報を掲載することができない。そして利用者は、情報検索機会ごとにこれらの情報が提示されることで、自身のクエリと提供情報との関連性を、理解することが可能となる。
【0081】
===クエリ属性の作成について===
クエリを起点としたクエリ属性の構成や構造はあらかじめ構築されて用意されたものである。上記実施例では、例えば「きれいな画像」というクエリに対して所定のクエリ属性が当初から対応付けされていた。しかしある利用者の「きれいな画像」というクエリと他の利用者の「きれいな画像」というクエリとでは、そのクエリに込められた要求が異なる場合がある。そこで、例えば商品知識に精通した複数の人がそれぞれの主観でクエリとクエリ属性との関係を設定することで、所定のクエリとクエリ属性との対応関係を複数準備し、その複数の対応関係から所定のクエリとクエリ属性との最終的な関係、すなわち実際に利用者端末から送付されてきたクエリと提供情報データベースに照会されるクエリ属性との対応関係を決定してもよい。すなわち複数のクエリデータベースから一つのクエリデータベースを構築してもよい。
【0082】
図22A、
図22B、
図22C、
図22Dに、複数のクエリデータベースから最終的に運用される一つのクエリデータベースを構築するための方法を例示した。例えば
図22Aに示したように、「きれいな画像」というクエリ141とクエリ属性(142a,142b)との対応関係が2種類あった場合、最終的なクエリ141とクエリ属性142との対応関係は、
図22Cに示したように2種類の対応関係における全てのクエリ属性142dを採用してもよい。この場合は一つのクエリに対してより多くのクエリ属性が対応付けされ、有用な提供情報が一覧から漏れることを防止することが期待できる。
図22Bに示したように互いに一致するクエリ属性142cのみを採用する場合では、所定のクエリに対して最も妥当なクエリ属性が対応付けされ、膨大な提供情報が抽出されることを防止することが期待できる。また
図22Dに示したように、互いに一致しない関係にあるクエリ属性142eを最終的なクエリ属性として採用してもよい。この
図22Dに示したクエリ属性データの構築方法では、一般的に考えられるクエリとクエリ属性との関係が無視され、それぞれのクエリに対して希少なクエリ属性が対応づけされて提供情報の抽出数が極めて少なくなり利用者の選択肢が減るという欠点がある一方で、希少なクエリ属性は極めて特徴的なクエリ属性でもあることから、クエリに込められた利用者の要求に一致する提供情報をほぼピンポイントで提示できる可能性もある。なお最終的なクエリ属性に評価情報を付加する場合には、最終的なクエリ属性に対して別途評価情報を付加してもよいし、複数のクエリデータベースのそれぞれにおいてクエリ属性に評価情報をあらかじめ対応付けしておき、最終的なクエリ属性に対しては各クエリデータベースにおいて一致するクエリ属性についてはそれらの評価情報の平均値を採用し、一致しないクエリ属性については当初の評価情報を採用するなど、評価情報は適宜に設定することができる。
【0083】
===クエリに基づく提供情報の「評価」と「絞り込み」との併用===
上述した本発明の実施例に係る情報提示装置では、クエリと提供情報とを属性という媒体を介して結びつけることで、クエリと提供情報との関係を理解できない利用者に対しても、クエリに潜在的に含まれる利用者の目的や要求が含まれる提供情報を評価したり、特定したりして、その評価したり、特定したりした提供情報を提示することができる。あるいは、クエリに潜在的に含まれる利用者の目的や要求が含まれる提供情報を評価し、その評価結果に基づいて提供情報を特定してその提供情報を提示することができる。また、多元的なクエリに基づき提供情報を一元的に評価することでクエリに基づき提供情報を、絞り込みの有無に拘わらず、評価の順に提示することができる。その一方で、利用者の要求は、漠然とした抽象的な要求から始まり、部分的に要求が具体的になることで具体的な要求と抽象的な要求が混在して、特定の提供情報に辿りつき、要求が決定する、といったプロセスも考えられる。
【0084】
ところで、情報提供装置にクエリとして入力される要求を、先に「要求(クエリ)」と表記していた。また、ここでは、その要求(クエリ)を満たす商品についての情報が提供情報である。そこで、以下では、情報提供装置により出力される提供情報を「提供情報(商品)」と表記すると、利用者の要求が漠然とした抽象的な場合は、その抽象的な要求(クエリ)に該当しない提供情報(商品)は比較/評価の対象となるが、要求が部分的にでも具体的になると、その具体的な要求(クエリ)に該当しない提供情報(商品)はノイズとなり比較/評価の対象とならないなど、提供情報(商品)を絞り込むクエリと絞り込まないクエリが考えられる。
【0085】
また、クエリに基づき提供情報(商品)を絞り込む場合、絞り込まれた提供情報(商品)のクエリに関する評価の差異がなく評価の対象とならないことも考えられる。具体的には、提供情報(商品)の「手ぶれ補正」機能に関する評価が「有」と「無」による評価で、クエリが「手ぶれ補正」機能「有」で提供情報(商品)を絞り込むと、絞り込まれた提供情報(商品)は全て「手ぶれ補正」機能が「有」となり、クエリについて提供情報(商品)ごとの差異がなく評価の対象とならないなど、利用者の要求が明確で具体的な場合、そのクエリは利用者の必須条件であって評価対象でないことも考えられる。また、利用者の要求(クエリ)が抽象的な場合、全ての提供情報(商品)が検索あるいは抽出の対象となり絞り込めないクエリが考えられる。
【0086】
具体的には、「機能」など抽象的なクエリで提供情報(商品)を検索あるいは抽出すると、全ての提供情報(商品)は「機能」を備えているなどして、絞り込むことができない場合がある。そして、利用者の要求(クエリ)は、抽象的な要求と具体的な要求が混在した複雑なものになることが考えられる。そこで、提供情報(商品)の「絞り込み」と「評価」を分けて、提供情報(商品)を絞り込むクエリあるいは絞り込まないクエリと、提供情報(商品)を評価するクエリあるいは評価しないクエリを設定することで、抽象的なクエリと具体的なクエリが混在したクエリに対応させることが考えられる。すなわち、以下の表1に示した「α」~「δ」の4つのバリエーションの設定が考えられる。
【表1】
【0087】
「α」については、クエリに基づく処理を何ら行わないこととなり、「δ」については、クエリに基づき提供情報を絞り込むとともにクエリに基づき提供情報を評価するもので、従来の検索エンジンなどと同様の技術による処理が行われる。そして本実施例では、要求(クエリ)が抽象的な場合を「β」とし、要求(クエリ)が具体的な場合を「γ」として、抽象的な要求(クエリ)と、具体的な要求(クエリ)が混在したユーザーインターフェイスを提供することで「δ」を実現している。
【0088】
具体的には、抽象的な要求(クエリ)では、クエリに基づき提供情報(商品)を絞り込むことなく、当該クエリを提供情報(商品)の評価対象とする「β」を「評価クエリ」とし、具体的な要求(クエリ)では、クエリに基づき提供情報(商品)を絞り込み、当該クエリを提供情報(商品)の評価対象としない「γ」とする。そして、「評価クエリ」と「絞り込みクエリ」との組み合わせを設定できるユーザーインターフェイスとすることで、クエリとして「評価クエリ」と「絞り込みクエリ」とをそれぞれ受け付けて、「絞り込みクエリ」に基づき提供情報(商品)を絞り込み、「評価クエリ」に基づき提供情報(商品)を評価することで、クエリに基づき提供情報を絞り込むとともにクエリに基づき提供情報を評価する「δ」を実現している。もちろん具体的な要求(クエリ)では、クエリに基づき提供情報(商品)を絞り込み、当該クエリを提供情報(商品)の評価対象とする「δ」として、一つのクエリを「絞り込みクエリ」と「評価クエリ」として受け付けてもよい。
【0089】
このように、情報提供装置は、利用者の漠然とした要求に対応するクエリ、すなわち提供情報を評価するための「評価クエリ」と、絞り込みクエリのように、利用者の明確な意図を反映したクエリ、すなわち抽出すべき提供情報を特定するための「抽出クエリ」の双方を受け付け可能としてもよい。なお、抽出クエリは、絞り込みクエリに限らず、例えば、評価クエリに基づいて評価された提供情報のうち、出力すべき提供情報の数を指定する情報であってもよい。
【0090】
次に、情報提供装置が評価クエリと抽出クエリとに基づいて提供情報を出力する際のユーザーインターフェイスについて、抽出クエリとして上記の絞り込みクエリ用いた場合の具体例を以下に示す。
図7、
図9、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20などに示したように、情報検索ページ50や検索結果ページ(60a~60f)に、下線が付記されたクエリ52や、クエリとしても選択可能なクエリ属性55の文字列が「評価クエリ」として配置されているとともに、クエリ属性55の文字列にチェックボックス100が「絞り込みクエリ」として付帯している。例えば、下線が付記されたクエリ52の文字列「機能」を指示すると「評価クエリ」として提供情報を絞り込むことなくクエリ52の「機能」を構成するクエリ属性55の「手ぶれ補正」、「3D撮影」、「動画」、「防水」に基づき提供情報を評価してその評価順に提供情報を提示する。そして、例えばクエリ52の文字列「性能」のクエリ属性55の「防水」の文字列に付帯するチェックボックス100を指示すると、「絞り込みクエリ」として商品属性や提供情報の内容として「防水」に該当する提供情報(商品)が絞り込まれて、その提供情報が提供情報一覧に提示される。なお、チェックボックスは、絞り込む際にチェックボックスにチェックするようにしてもよいし、予め全てのチェックボックスがチェックされており除外するものを指示してチェックを外すようにしてもよい。
【0091】
そして「絞り込みクエリ」で指示した「防水」について提供情報を評価しないこととしてもよいし、「絞り込みクエリ」については提供情報を評価してもよい。例えば「防水」を「絞り込みクエリ」として商品属性として「防水」を備えた商品の提供情報を抽出した場合、従来の技術では「防水」について提供情報ごとの差異がなく評価の対象とならなかったが、本実施例ではクエリを構成するクエリ属性により「生活防水」や「100m防水」など、より詳細にドリルダウンした提供情報ごとの評価や、「防水」と「価格」による多元的な要素(属性)を一元化して提供情報ごとに評価することが可能となる。そして各提供情報を評価した内容を提供情報の「提示順」や「クエリ属性」あるいは「クエリ」により提示することが可能となる。なお、
図23に示した検索結果ページ60gのように、利用者が文字入力したり、選択したりした評価クエリ(61、62)の履歴、所謂「パンくずリスト」が示された欄63に加え、利用者が選択したり数値などによって指定したりした絞り込みクエリ(161、162)が示された欄163を設けてもよい。それによって、利用者は自身の曖昧な要求と、自身の明確な意思のそれぞれを、自身が入力した評価クエリと抽出クエリによって確認することができる。
【0092】
このように本実施例の情報提供装置によれば、提供情報の「絞り込み(チェックボックス)」と「評価(下線)」を分けたインターフェイスを用いてクエリに基づく提供情報の評価と絞り込みを設定可能とすることで、利用者は、情報検索の過程で自身の目的や要求が抽象的でも、具体的でも、あるいは抽象的な要求と具体的な要求が混在しても、自身にとって有用な情報に速やかに辿り着けるようになる。言い換えれば、本実施例に係る情報提供装置では、最初に漠然としたクエリに基づいて利用者の潜在的な目的や要求が含まれる提供情報を評価して提示しているため、情報検索の機会ごとに提示される個々の提供情報や評価の内容を利用者が評価、あるいは比較と評価をすることなく、その利用者は、絞り込むべき提供情報にはどのような情報が含まれているのかを理解できるようになり、結果として提供情報の絞り込み対象すなわち利用者自身の要求を明確にさせることができる。なお、提供情報の「絞り込み」と「評価」に関するインターフェイスは「チェックボックス」や「下線(リンク)」に限らず、例えばマウスによる「シングルクリック」と「ダブルクリック」や「左ボタン」と「右ボタン」あるいはスマートフォンなどのタッチパネルにおける異なる操作(例えば、ジェスチャーの種類、同時にタッチする指の本数)など、互いに異なる入力が識別できればよい。
【0093】
===その他の実施例===
上記実施例では、クエリに基づいて提供情報を出力するまでの情報処理手順の一例として、利用者端末から受け付けたクエリに応じて提供情報の一覧を利用者端末に向けて出力する例を示した。しかし本発明の技術思想の本質は、クエリと提供情報との対応関係を決定するためのデータベースの構造や情報処理手順にあり、例えば、利用者端末からのクエリを受け付ける以前に、クエリと提供情報との対応関係(インデックスデータベース)をあらかじめ用意しておいてもよい。すなわちクエリデータベースにおけるクエリ属性と提供情報データベースにおける商品属性とを比較し、その比較結果に基づいてクエリと提供情報との対応関係を記述したデータをあらかじめ用意しておく。そして当該データを、クエリと属性との対応関係や提供情報の新規作成、削除、あるいは変更などに伴って随時変更するようにしてもよい。またクエリ属性や商品属性を介してクエリと提供情報との対応関係を構築したならば、クエリ属性や商品属性に提供情報の所在情報(URLなど)を対応付けしておけばよい。あるいはクエリにクエリ属性の一つとして所在を対応付けしておけばよい。もちろん、クエリと提供情報との対応関係に限らず、クエリと提供情報とクエリ属性や提供情報の属性との対応関係、クエリと提供情報と関連クエリとの対応関係、クエリと提供情報とクエリ属性や提供情報の属性と関連クエリとの対応関係をインデックスデータベースとしてあらかじめ用意しておいてもよい。
【0094】
またクエリと提供情報の対応関係を構築しておくことは、クエリが利用者入力によらずに情報提供装置に入力されることを意味する。すなわち本発明の実施例にかかる情報提供装置には、クエリがインターネットなどの通信ネットワークを介して利用者端末からクエリデータベースに利用者入力が想定されるクエリされるクエリが格納されていることから、その事前にデータベースに格納されているクエリのそれぞれに対して事前にクエリ属性や商品属性に基づいてクエリと提供情報との対応関係を作成しておくこともできる。
【0095】
なお、当然のことながら本発明は上述した電子商店における商品検索の用途に限らず、一般的な情報検索にも適用可能である。また利用者入力は利用者が意識して入力する情報に限らない。例えば、会員制のWebサイトであれば、利用者の個人情報(性別、年齢、職業)や商品IDなどをクエリとして、広告、商品やサービス(保険、転職、飲食店など)の斡旋など、様々な提供情報を提示することができる。また位置情報を出力する携帯端末であれば、現在地をクエリとすることもできる。もちろん、情報提供装置を構成するハードウエアはスタンドアロン、すなわち必ずしもネットワークに接続されている必要もない。
【0096】
上述したように本実施例に係る情報提供装置では、
図7などに示したように、利用者が選択可能なクエリ(例えば「機能」など)52を構成するクエリ属性(例えば「手ぶれ補正」など)55を示す文字列に下線が引かれて、クエリ属性55の文字列をクエリとして入力できるようになっている。このような機能を実現させるためには、例えば、
図5に示したクエリデータベースの構造において、「きれいな画像」「機能」「性能」などと同列に「防水」というクエリを用意しておくことも考えられるが、例えば
図14に示した階層構造を有するクエリデータベースであれば、クエリ属性が異なる層に点在することから、「手ぶれ補正」という文字列がクエリとして指定されたならば、「手ぶれ補正」という第1層のクエリ属性142をクエリとして、その下層にあるクエリ属性(242、342,442)を提供情報データベースに照会するようにしてもよい。すなわちクエリ属性がクエリに指定された時点で、その下層のクエリ属性の構造をそのまま提供情報データベースに照会する情報として採用してもよい。
【0097】
===クエリと属性と提供情報について===
上記実施例では、クエリ、属性、提供情報について、商品情報を提供情報として出力することを目的とし、商品に関するクエリと、商品に関する属性(クエリ属性、商品属性)とした例を記載したが、利用者が望む情報は商品情報だけとは限らない。ここで商品を例として、商品に関する情報を「商品情報」とし、商品に関する要求を「商品クエリ」とし、商品に関する属性を「商品属性」とすると、利用者が望む情報としては「商品情報」、「商品クエリ」、「商品属性」の全てが提供情報の対象となり、出力される提供情報に応じて「商品情報」、「商品クエリ」、「商品属性」のいずれかが属性あるいはクエリとなる。さらに例を挙げれば、利用者の望む情報として「商品クエリ」を提供情報として出力する場合、「商品情報」をクエリとして、「商品属性」を属性としてもよい。「商品属性」をクエリとして、「商品情報」を属性としてもよい。
【0098】
「商品クエリ」を提供情報とし、「商品情報」をクエリとし、「商品属性」を属性とする場合、「商品クエリ」と「商品属性」の対応関係が提供情報データベースとなり、「商品情報」と「商品属性」の対応関係がクエリデータベースとなる。そして、例えば、一つあるいは複数の「商品情報」をクエリとし、「商品情報」に対応する「商品属性」をクエリ属性として、「商品属性」を「商品クエリ」に対応する「商品属性」と比較することで、「商品クエリ」を評価あるいは抽出し、「商品クエリ」を提供情報として出力するなど、クエリ、属性、提供情報は、商品に関する要求、商品属性、商品情報に特定されない。
【0099】
ここで、商品クエリを、利用者の要求や利益など、利用者が情報提供装置による情報処理の結果として得られる効果としてとらえると、
図24に示したように、利用者が期待する効果、例えば、「きれいな画像」などというキーワードをクエリ101bとして入力すると、情報提供装置は、その効果に関連する属性102bの評価に基づいて商品情報103bを出力する。なお、この
図24に示した情報提供装置における情報処理の概念は、
図21に示した概念と同様である。
【0100】
また、例えば、利用者が最初に入力したクエリに基づいてある商品情報が提示された際、その商品情報を次のクエリとして入力する場合もあり得る。このような場合には、
図25に示したように、情報処理の起点として商品情報101cを入力すると、その商品情報に付帯、あるいは対応付けされている属性102c(例えば、「手ぶれ補正」など)によってもたらされる効果(例えば、「きれいな画像」)が提供情報103cとして出力される。
図20に示した検索結果ページ60fにおける、検索結果として提示される提供情報56の提供情報掲載欄58に提示するクエリ69についても、提供情報56(
図25では商品情報101c)をクエリとしたクエリ69(
図25では提供情報103c)としてもよい。 すなわちクエリ、属性、提供情報は、それらの情報の具体的な内容を特定するものではない。入力情報をクエリとし、出力情報を提供情報としている。そして入力情報あるいは出力情報に対応付けされ、入力情報あるいは出力情報と比較されることで入力情報と出力情報を仲介する情報が属性である。提供情報データベースやクエリデータベースについても情報の具体的な内容を特定するものではなく、クエリや提供情報について参照するデータベースは適宜設定すればよい。なお、提供情報データベースやクエリデータベースあるいはインデックスデータベースは、クエリと属性(クエリ属性)および提供情報と属性あるいはクエリと提供情報の対応関係が特定できればそれぞれ複数のデータベースでも一つのデータベースでもどのような構成でもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 情報提供装置、2 提供情報データベース、3 クエリデータベース、
10 利用者端末、20 商品販売ページ、31,31a,31b 提供情報、
32,32a,32b 商品属性、41,41a,41b クエリ、
42,142a~142e,242,342,442,542 クエリ属性、
50 商品検索ページ、60a~60f 検索結果ページ