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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】マイクロ流体制御血液型検出チップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20231211BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20231211BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N33/53 K
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022537195
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 CN2021120949
(87)【国際公開番号】W WO2023039938
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】202111075012.7
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522238251
【氏名又は名称】南京▲嵐▼▲ゆい▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 行尚
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 杰弗瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲亜▼宝
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206292243(CN,U)
【文献】中国実用新案第211645203(CN,U)
【文献】特表2020-514725(JP,A)
【文献】米国特許第5256376(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107907696(CN,A)
【文献】特開2011-174952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~37/00
G01N 33/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ本体を含み、チップ本体は、第1のサンプル注入キャビティ、定量混練キャビティ、オモテ検査の反応キャビティが設けられるオモテ検査の血液型判定領域と、
第2のサンプル注入キャビティ、定量分離キャビティ、ウラ検査の反応キャビティが設けられるウラ検査の血液型判定領域と、
それぞれ前記オモテ検査の反応キャビティ、前記ウラ検査の反応キャビティに連通している通気孔とを含み、
前記第1のサンプル注入キャビティ及び第2のサンプル注入キャビティには、検出されるサンプルを注入可能であり、それぞれ、マイクロ流路によって前記定量混練キャビティ及び前記定量分離キャビティに接続され、反応サンプルは、前記第1のサンプル注入キャビティ及び前記第2のサンプル注入キャビティから、それぞれ前記定量混練キャビティ及び前記定量分離キャビティに進入し、
前記第1のサンプル注入キャビティ内に希釈液が予め設置され、希釈液は前記第1のサンプル注入キャビティから前記定量混練キャビティに進入し、
前記第1のサンプル注入キャビティ内の反応サンプルと希釈液は前記定量混練キャビティ内で混練された後に、血球サンプルはマイクロ流路を介して前記オモテ検査の反応キャビティに進入してその中の反応試薬と反応して検出することを待ち、
前記定量分離キャビティで分離された血漿サンプルは、マイクロ流路を通って前記ウラ検査の反応キャビティに進入してその中の反応試薬と反応して検出することを待つ、ことを特徴とするマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項2】
前記オモテ検査の反応キャビティは、いくつかの血液型抗体試薬反応キャビティ、1つのオモテ検査の品質制御反応キャビティ及び1つの溢流溝を含み、
前記ウラ検査の反応キャビティは、いくつかの血液型赤血球試薬反応キャビティ、1つのウラ検査の品質制御反応キャビティ及び1つの溢流溝を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項3】
前記いくつかの血液型抗体試薬反応キャビティ及び前記いくつかの血液型赤血球試薬反応キャビティは、それぞれ等距離に分布される、ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項4】
前記第2のサンプル注入キャビティ内に希釈液が予め設置され、希釈液は前記第2のサンプル注入キャビティから前記定量分離キャビティに進入する、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項5】
前記ウラ検査の血液型判定領域はサンプル溢流キャビティをさらに含み、前記サンプル溢流キャビティは前記定量分離キャビティに接続され、前記定量分離キャビティから溢出した反応サンプルは前記サンプル溢流キャビティに進入する、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項6】
前記定量分離キャビティは分離キャビティIと分離キャビティIIとを含み、前記サンプル溢流キャビティ及び前記分離キャビティIは、それぞれ、異なるマイクロ流路によって前記分離キャビティIIに接続され、前記分離キャビティIから溢出した反応サンプルは、順に前記分離キャビティII及び前記サンプル溢流キャビティに進入する、ことを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項7】
前記サンプル溢流キャビティは前記オモテ検査の反応キャビティに連通している通気孔に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項8】
前記第1のサンプル注入キャビティと前記定量混練キャビティの間のマイクロ流路、前記定量混練キャビティと前記オモテ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路、及び前記定量分離キャビティと前記ウラ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路内に固体相変化材料が予め充填される、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項9】
前記相変化材料は単一成分のアルカン系固体相変化材料である、ことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項10】
前記チップは相変化材料注入口をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項11】
前記相変化材料注入口は通気孔である、ことを特徴とする請求項10に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項12】
前記チップは血球ヘマトクリット検出管溝をさらに含み、前記血球ヘマトクリット検出管溝は前記定量分離キャビティに接続され、前記定量分離キャビティの前記オモテ検査の血液型判定領域に近い側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項13】
前記オモテ検査の反応キャビティ及び前記ウラ検査の反応キャビティの容積はいずれも20~40μLである、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項14】
前記第1のサンプル注入キャビティの容積は100~200μLである、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【請求項15】
前記第2のサンプル注入キャビティの容積は250~350μLである、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体制御血液型検出チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ流体制御チップの分野に関し、特にマイクロ流体制御血液型検出チップに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体制御チップは新興科技産業であり、マイクロ流体制御・検出チップの技術は、生物学的、化学的、医学的分析過程におけるサンプル製造、反応、分離、検出などの基本操作ユニットをミクロンスケールのチップに集積し、分析過程全体を自動的に完了する。生物学、化学、医学などの分野で大きな可能性がある。
【0003】
血液型は血液を分類する方法であり、ABO式血液型とRh式血液型システムは人間の輸血と最も密接に関連する。ABO式血液型システム:赤血球の表面の特異抗原(凝集原)A及びBの有無によって区分される血液型システムである。ABO式血液型システムは、発見及び決定された最初のヒトの血液型システムである。凝集原A、Bの分布によって、血液をA、B、AB、Oの4種類に分ける。A型の血液型は、赤血球に凝集原Aのみがあり、血漿に抗B凝集素があり、B型の血液型は、赤血球に凝集原Bのみがあり、血漿に抗A凝集素があり、AB型の血液型は、赤血球にA、Bの2種類の凝集原の両方があり、血漿に抗A、抗B凝集素がなく、O型の血液型は、赤血球にA、Bの2種類の凝集原がどちらもなく、血漿に抗A、抗B凝集素の両方がある。凝集原Aを有する赤血球は、抗A凝集素により凝集可能であり、抗B凝集素は、凝集原Bを含む赤血球を凝集させることができる。いわゆるオモテ検査(forward typing)とは、標準的な抗A、抗Bタイピング血漿で赤血球に対応するA抗原又は(及び)B抗原があるか否かを測定することを指し、いわゆるウラ検査(reverse typing)とは、標準的なA型、B型の細胞で血漿に抗A及び(又は)抗B凝集素があるか否かを測定することを指し、オモテ検査とウラ検査の組み合わせ判定を検証として検出結果の正確性を向上せることができる。Rh式血液型システム:Rh因子の有無に応じて、Rh陰性及びRh陽性の2種類の血液型に分けられる。臨床的には、ヒト赤血球に抗原D、C、c、E、eというRhシステムの5種類の抗原を含み、そのうちD抗原の抗原性が最も強く、赤血球のD抗原の有無に応じて、即ち、赤血球にD抗原がないのはRhD陰性の血液であり、赤血球にD抗原があるのは、RhD陽性の血液である。
【0004】
ABO式血液型システムの輸血の非相溶性は、必然的に溶血性輸血反応症状(びまん性血管内血液凝固、腎不全、さらに死亡)の発生につながるため、ABO式血液型を正確に判定することは非常に重要である。また、中国人のRh陰性率はわずか0.34%であるため、Rh血液型の不適合による免疫現象はまれであるが、Rh陰性の人にRh陽性の血液を輸血した後に、血漿に抗Rh抗体が現れる可能性があり、Rh陽性の血液を再輸血すると、凝集が起こり、溶血性反応を引き起こす。また、通常の人の血漿にはRh抗体がないが、Rh陰性の女性がRh陽性の胎児をはらみ、胎児の赤血球が一旦母体に入ると、母体を刺激してRh抗体を産生させることもでき、母体に初めて輸血した場合でも、溶血反応を引き起こす可能性がある。そのため、中国の衛生部は、輸血部門が輸血申請書と受血者や供血者の血液サンプルを1つずつ確認し、受血者と供血者のABO式血液型(オモテ検査、ウラ検査)を再検査し、患者のRh式血液型を定期的に検査し、正しい場合に血液型交差適合試験を行うことができることを明確に規定した。
【0005】
血球ヘマトクリットは一般に、赤血球ヘマトクリット(PCV)を指し、赤血球容積比(Hct)とも呼ばれ、一定量の抗凝固全血を遠心沈殿した後、沈下した赤血球が全血に占める容積比を測定して得られるものを指し、赤血球の数量と体積を間接的に反映する簡単な方法である。PCV測定の臨床的意義は、基本的に赤血球の計数又はヘモグロビン測定と同じであり、貧血の診断及び分類の指標としてよく使われ、真性赤血球増加症、臨床輸血及び注入療法の有効性観察の指標の1つとしても利用可能であり、同時に赤血球平均体積及び赤血球平均ヘモグロビン濃度を計算するための基本データでもある。
【0006】
現在、一般的に使用されている血液型判定方法には、板紙法、ガラス板法、試験管法、マイクロカラム凝集法がある。ただし、板紙法、ガラス板法、試験管法のいくつかの方法にはすべて以下の欠陥がある。1)オモテ検査・ウラ検査の血液型システムの判定は別々に行う必要があり、2)いずれもサンプルの前処理を行う必要があり、時間と労力がかかり、3)自動的に検出できず、実験人員の習熟度に対する要求が高く、4)必要な血液サンプル量が大きく、また、マイクロカラム凝集法は自動化を実現することができるが、この方法は、検出される標本、試薬の品質及び機器に対する要求が非常に高く、コストが高く、同時に、血球ヘマトクリットの検出も血液の適合と供給の重要な根拠であり、現在、血液型判定チップにまだ適用されていない。
【発明の概要】
【0007】
従来の技術の不足を解決するために、本発明は、従来の血液型検出技術の欠陥を克服するための、操作が簡単であり、サンプルの使用量が小さく、自動的に検出し、オモテ検査、ウラ検査の血液型判定を同時に行い、コストが低く、検出結果がより正確であり、且つ血液型判定を行いながら血球ヘマトクリットを直接に検出し、血液の適合と供給のために根拠を提供することができるマイクロ流体制御血液型検出チップを提供する。
【0008】
上記の技術目的を実現するために、本発明は次の技術案を採用する。
マイクロ流体制御血液型検出チップは、チップ本体を含み、チップ本体は、第1のサンプル注入キャビティ、定量混練キャビティ、オモテ検査の反応キャビティが設けられるオモテ検査の血液型判定領域と、
第2のサンプル注入キャビティ、定量分離キャビティ、ウラ検査の反応キャビティが設けられるウラ検査の血液型判定領域と、
それぞれオモテ検査の反応キャビティ、ウラ検査の反応キャビティに連通している通気孔とを含み、
第1のサンプル注入キャビティ及び第2のサンプル注入キャビティには、検出されるサンプルを注入可能であり、それぞれ、マイクロ流路によって定量混練キャビティ及び定量分離キャビティに対応して接続され、反応サンプルは第1のサンプル注入キャビティ及び第2のサンプル注入キャビティから、定量混練キャビティ及び定量分離キャビティに進入可能であり、
第1のサンプル注入キャビティ内に希釈液が予め設置され、希釈液は第1のサンプル注入キャビティから定量混練キャビティに進入し、
第1のサンプル注入キャビティ内の反応サンプルと希釈液が定量混練キャビティ内で混練された後に、血球サンプルはマイクロ流路を介してオモテ検査の反応キャビティに進入してその中の反応試薬と反応して検出することを待ち、
定量分離キャビティで分離された血漿サンプルは、マイクロ流路を通ってウラ検査の反応キャビティに進入してその中の反応試薬と反応して検出することを待つ。
【0009】
好ましくは、オモテ検査の反応キャビティは、いくつかの血液型抗体試薬反応キャビティ、1つのオモテ検査の品質制御反応キャビティ及び1つの溢流溝を含み、ウラ検査の反応キャビティは、いくつかの血液型赤血球試薬反応キャビティ、1つのウラ検査の品質制御反応キャビティ及び1つの溢流溝を含む。
【0010】
より好ましくは、いくつかの血液型抗体試薬反応キャビティ及びいくつかの血液型赤血球試薬反応キャビティは、それぞれ等距離に分布される。
【0011】
好ましくは、第2のサンプル注入キャビティ内に希釈液が予め設置され、希釈液は第2のサンプル注入キャビティから定量分離キャビティに進入する。
【0012】
好ましくは、ウラ検査の血液型判定領域はサンプル溢流キャビティをさらに含み、サンプル溢流キャビティは定量分離キャビティに接続され、定量分離キャビティから溢出した反応サンプルはサンプル溢流キャビティに進入する。
【0013】
好ましくは、定量分離キャビティは分離キャビティIと分離キャビティIIとを含み、サンプル溢流キャビティ及び分離キャビティIは、それぞれ、異なるマイクロ流路によって分離キャビティIIに接続され、分離キャビティIから溢出した反応サンプルは、順に分離キャビティII及びサンプル溢流キャビティに進入する。
【0014】
好ましくは、サンプル溢流キャビティはオモテ検査の反応キャビティに連通している通気孔に接続される。
【0015】
好ましくは、サンプル注入キャビティと定量混練キャビティの間のマイクロ流路、定量混練キャビティとオモテ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路、及び定量分離キャビティとウラ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路内に固体相変化材料が予め充填される。
【0016】
より好ましくは、相変化材料は単一成分のアルカン系固体相変化材料である。
【0017】
好ましくは、チップは相変化材料注入口をさらに含む。
【0018】
より好ましくは、相変化材料注入口は通気孔である。
【0019】
好ましくは、チップは血球ヘマトクリット検出管溝をさらに含み、血球ヘマトクリット検出管溝は定量分離キャビティに接続され、定量分離キャビティのオモテ検査の血液型判定領域に近い側に位置する。
【0020】
好ましくは、オモテ検査の反応キャビティ及びウラ検査の反応キャビティの容積はいずれも20~40μLである。
【0021】
好ましくは、第1のサンプル注入キャビティの容積は100~200μLである。
【0022】
好ましくは、第2のサンプル注入キャビティの容積は250~350μLである。
【0023】
上記の技術案によれば、本発明は次の利点を有する。
本発明では、マイクロ流体制御チップの技術を採用し、チップ上に全血サンプルを加えるだけで全自動血液型判定を実現可能であり、且つ該チップはオモテ検査、ウラ検査の血液型判定領域を同時に備えることで、1つのチップでオモテ検査、ウラ検査の血液型検出を同時に完了可能であり、オモテ検査、ウラ検査の結果は相互に検証可能であり、これにより血液型判定結果をより正確にし、ウラ検査で再検査することでオモテ検査の不足を補うことができ、オモテ検査、ウラ検査結果に不一致が出現するときに、血液型の誤判定を見つけて直しやすい。
【0024】
本発明では、採血量が少なく、第1のサンプル注入キャビティの容積は100~200μLであり、サンプル注入量は5~20μLであり、即ち、1滴の血を採用してオモテ検査の血液型検出を完了可能であり、採血困難者、特に新生児の適用性の問題をよく解決することができる。
【0025】
本発明では、血球ヘマトクリット検出管溝が内蔵され、血液型判定を行う同時に血球ヘマトクリットを直接検出し、血液の適合と供給のために根拠を提供すことができる。
【0026】
本発明では、第1のサンプル注入キャビティと定量混練キャビティの間のマイクロ流路内に相変化材料が予め充填され、相変化材料を用いて液体希釈液を第1のサンプル注入キャビティ内に直接閉鎖し、血液型判定時にセットの検出機器によって温度を適切な温度範囲に達するように調整することにより、マイクロ流路内に予め充填された相変化材料は、機器がチャンバ内の温度変化を検出したことにより相変化を発生させ、具体的な過程は、固形から液状に変化するものであり、液体サンプルと試薬の流れを実現し、チップの構造が簡単でコストが低い。
【0027】
本発明では、定量混練キャビティとオモテ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路、及び定量分離キャビティとウラ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路内に相変化材料が予め充填され、相変化材料を用いて液状反応試薬を反応キャビティ内に直接閉鎖し、固体試薬を用いて閉鎖することによる高コスト、結果の繰り返し性がよくないなどの問題を克服し、最も重要な点は、ウラ検査の反応キャビティ内の血球試薬の完全性を十分に保持することができ、血液型赤血球試薬が固形化するときの血球が壊れやすいという問題を解決し、チップ構造を簡素化し、コストを削減し、検出結果の正確性をさらに向上させることである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの全体構造の分解模式図である。
図2】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップにおけるチップ本体の正面構造模式図である。
図3】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップにおけるチップ本体の背面構造模式図である。
図4】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップにおけるチップ本体の斜視構造模式図である。
図5】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの全体構造の背面構造模式図である。
図6】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの他の実施形態のチップ全体構造の分解模式図である。
図7】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの他の実施形態のチップ本体の正面構造模式図である。
図8】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの他の実施形態のチップ本体の斜視構造模式図である。
図9】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの他の実施形態のチップ本体の背面構造模式図である。
図10】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップの他の実施形態のチップの背面構造模式図である。
図11】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップに2組のオモテ検査の血液型判定領域が設置されたチップの全体構造の分解模式図である。
図12】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップに2組のオモテ検査の血液型判定領域が設置されたチップ本体の正面構造模式図である。
図13】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップに2組のオモテ検査の血液型判定領域が設置されたチップ本体の斜視構造模式図である。
図14】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップに2組のオモテ検査の血液型判定領域が設置されたチップ本体の背面構造模式図である。
図15】本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップに2組のオモテ検査の血液型判定領域が設置されたチップの背面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術案を詳細に説明する。ここで説明される具体的実施形態は、本発明を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。本願の範囲は、これらの実施形態によって限定されず、特許請求の範囲に従う。より明確な説明を提供し、当業者が本願の出願内容を理解できるようにするために、図面中の各部分は、必ずしもそれらの相対的寸法に従って描かれず、ある寸法と他の関連する寸法との割合は、図面を簡潔にするために、強調表示されて誇張されており、且つ関連しない又は重要でない詳細は完全には描かれていない。
【0030】
本発明はマイクロ流体制御血液型検出チップを提供し、該チップは型の射出成形で作製され、検出デバイスと配合して使用可能である。検出チップは扇形の構造であってもよく、或いは必要に応じて設計してもよい。
【0031】
図1~5に示すように、本発明に係るマイクロ流体制御血液型検出チップはチップ上層1と下層チップとしてのチップ本体2とを含む。
【0032】
チップ上層1は、図1に示すように、透明なフィルムであってもよく、その上に上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221と上層の第2のサンプル注入キャビティ貫通孔222とが設けられ、上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221及び上層の第2のサンプル注入キャビティ貫通孔222は全血サンプルを添加するために用いられ、それぞれチップ上層1の中心に近い左右両側の位置に位置する。
【0033】
チップ本体2は、図1~5に示すように、チップ本体2は、第1のサンプル注入キャビティ41、定量混練キャビティ8、オモテ検査の反応キャビティ及び第1の通気孔191が設けられるオモテ検査の血液型判定領域と、第2のサンプル注入キャビティ42、定量分離キャビティ、サンプル溢流キャビティ11、ウラ検査の反応キャビティ及び第2の通気孔192が設けられるウラ検査の血液型判定領域とを含む。
【0034】
第1のサンプル注入キャビティ41及び第2のサンプル注入キャビティ42は、それぞれ、チップ本体2の中心に近い左右両側の位置に位置し、第1のサンプル注入キャビティ41及び第2のサンプル注入キャビティ42の頭頂部には、いずれもサンプル注入口が設けられ、具体的には、第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221は第1のサンプル注入キャビティ41の真上に位置し、第2のサンプル注入キャビティ貫通孔222は第2のサンプル注入キャビティ42の真上に位置し、サンプル注入キャビティ貫通孔を通してサンプル注入キャビティに検出される反応サンプルを注入可能であり、
第1のサンプル注入キャビティ41の容積は固定し、100~200μLに設定可能であり、サンプル注入量は5~20μLであり、その内に希釈液が予め設置され、マイクロ流路によって定量混練キャビティ8に接続され、定量混練キャビティ8は第1のサンプル注入キャビティ41よりもチップ本体2の中心位置から離れるため、チップ本体2が遠心駆動されて回転すると、第1のサンプル注入キャビティ41内で混合されたサンプル及び希釈液は遠心作用で定量混練キャビティ8に向かって流れる。具体的には、第1のサンプル注入キャビティ41の底面端口を通し、その後に第1の裏面流路271を通って、次に第1のマイクロ流路211を通って定量混練キャビティ8に向かって流れ、第1の裏面流路271の入口は第1のサンプル注入キャビティ41の定量混練キャビティ8に近い側の底部に位置し、第1のマイクロ流路211の出口は定量混練キャビティ8のチップ本体2の中心位置に近い側に位置し、第1の裏面流路271と第1のマイクロ流路211は上下に垂直な流路により接続され、第1の裏面流路271にサンプルの流出を防止するシールフィルム20が設置され。サンプルを第1のサンプル注入キャビティ41に加え、最初に希釈液と混練し、次にサンプルと希釈液の混合液は定量混練キャビティ8に進入する流れ過程にさらに混練され、定量混練キャビティ8内で往復運動を行って混練する必要がなく、これにより混練液が混練過程に反応キャビティへのマイクロ流路に進入するというリスクを回避し、サンプルと希釈液の混合液は定量混練キャビティ8内で十分に混練されて検出のために血球懸濁が形成される。
【0035】
第2のサンプル注入キャビティ42の容積は固定し、250~350μLに設定可能であり、サンプル注入量は100~200μLであり、マイクロ流路によって定量分離キャビティに接続され、好ましくは、定量分離キャビティは分離キャビティI 9と分離キャビティII 12とを含み、分離キャビティII 12及び分離キャビティI 9は、順に第2のサンプル注入キャビティ42よりもチップ本体2の中心位置から離れ、そのうち、分離キャビティI 9の両端は、マイクロ流路によって、それぞれ第2のサンプル注入キャビティ42及び分離キャビティII 12に接続され、分離キャビティI 9と分離キャビティII 12の間に連通しているマイクロ流路が狭く、その作用は、血漿が分層して反応キャビティに進入するときに、反応キャビティに進入するのが血漿であることを確保し、血球が反応キャビティに進入して検出結果を干渉することがない。分離キャビティII 12は他側のマイクロ流路によってサンプル溢流キャビティ11に接続され、サンプル溢流キャビティ11は定量分離キャビティのオモテ検査の血液型判定領域に近い側に位置するため、チップ本体2が遠心駆動されて回転すると、第2のサンプル注入キャビティ42内のサンプルは遠心作用で第2のサンプル注入キャビティ42の底面端口を通し、第2の裏面流路272を介して分離キャビティI 9に向かって流れ、第2の裏面流路272の入口は第2のサンプル注入キャビティ42の定量分離キャビティに近い側の底部に位置し、第2の裏面流路272の出口は分離キャビティI 9のチップ本体2の中心位置から離れる側に位置し、第2の裏面流路272にサンプルの流出を防止するシールフィルム20が設置され、分離キャビティI 9から溢出したサンプルは、順に分離キャビティII 12及びサンプル溢流キャビティ11に進入し、定量分離キャビティ内で血球と血漿に分層し、下層血球が沈着し、上層血漿が検出のために使用される。
【0036】
反応キャビティはチップ本体2の外縁の内側に位置し、オモテ検査の反応キャビティとウラ検査の反応キャビティとを含み、反応キャビティの容積サイズはいずれも20~40μLであり、そのうち、オモテ検査の反応キャビティは、等距離で均一に分布されるいくつかの血液型抗体試薬反応キャビティ14、1つのオモテ検査の品質制御反応キャビティ16及び流路の後端に位置する1つの溢流溝18を含み、血液型抗体試薬反応キャビティ14及びオモテ検査の品質制御反応キャビティ16内には、それぞれ反応に必要な血液型抗体試薬及び品質制御血液型抗体試薬が設置され、ウラ検査の反応キャビティは、等距離で均一に分布されるいくつかの血液型赤血球試薬反応キャビティ15、1つのウラ検査の品質制御反応キャビティ17及び流路の後端に位置する1つの溢流溝18を含み、血液型赤血球試薬反応キャビティ15及びウラ検査の品質制御反応キャビティ17内には、それぞれ反応に必要な血液型赤血球試薬及び品質制御血液型赤血球試薬が設置される。
【0037】
オモテ検査の血液型判定領域における定量混練キャビティ8は、順に第2のマイクロ流路212、第3のマイクロ流路213を介してオモテ検査の反応キャビティに接続され、ウラ検査の血液型判定領域における定量分離キャビティは、第4のマイクロ流路214、第5のマイクロ流路215を介してウラ検査の反応キャビティに接続され、第4のマイクロ流路214の入口は分離キャビティI 9と分離キャビティII 12の間のマイクロ流路のウラ検査の血液型判定領域に近い側の上面に位置し、第4のマイクロ流路214の流路高さは分離キャビティI 9と分離キャビティII 12の間のマイクロ流路の流路高さの1/5~1/2であり、好ましくは1/5~1/3であり、血液サンプルが定量分離キャビティで分層した後に、血球が反応キャビティに進入して検出構造に影響を及ぼすことなく、反応チャンバに進入するのは血漿であることをさらに保証する。定量混練キャビティ8内の血球懸濁及び定量分離キャビティ内の血漿は、反応キャビティ内の反応試薬と反応して検出することを待つよう、マイクロ流路を介してそれぞれ対応する反応キャビティに進入することができる。余分な血球懸濁及び血漿は、それぞれ対応する溢流溝18に進入し、1つのチップでオモテ検査とウラ検査の2つの異なる分離反応系の血液型検出を完了可能であり、両者の判定結果は相互に検証可能であり、これにより血液型判定結果をより正確にし、オモテ検査とウラ検査の血液型検出結果に不一致が出現するときに、血液型の誤判定を見つけて直しやすい。
【0038】
図1~5に示すように、定量混練キャビティ8、オモテ検査の反応キャビティ及びウラ検査の反応キャビティは、マイクロ流路を介して、それぞれ第1の通気孔191及び第2の通気孔192に連通している。通気孔はチップ下層に位置するチップ本体2を貫通し、通気孔を設けることでチップ内の液体の流れをより順調にする。
【0039】
サンプル溢流キャビティ11はマイクロ流路によって第1の通気孔191に連通しており、第1の通気孔191はオモテ検査の血液型判定領域とウラ検査の血液型判定領域の通気孔を同時に兼ねることができ、チップ構造を簡素化し、チップ内のサンプルの流れをより順調にする。
【0040】
第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路、定量混練キャビティ8とオモテ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路、及び定量分離キャビティとウラ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路内に固体相変化材料を予め充填してもよく、好ましくは、単一成分のアルカン系固体相変化材料である。固体相変化材料の充填により、チップが使用されていないときに、図2に示すように、第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路、定量混練キャビティ8とオモテ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路、及び定量分離キャビティとウラ検査の反応キャビティの間のマイクロ流路は、常に閉鎖状態にあり、チップ本体2内の液体試薬を閉鎖して保護する役割を果たす。反応過程で、機器検出室内の温度を適切な温度範囲に達するように調整することにより、マイクロ流路内に予め充填された相変化材料は、機器検出室内の温度の変化で相変化を発生し、具体的には、固形から液状に変化し、これによりチップにおける液体試薬の流れを実現可能である。反応過程における液状に変化した相変化材料はチャンバに進入し、液状試薬又はサンプルが進入すると、相変化材料は比重が小さいため、マイクロ流路に戻り、下部の液体と分層を形成し、特に、反応キャビティに対してオイルシールとして機能し、反応キャビティ内の反応液体の揮発による気泡の検出結果の正確性への影響を回避する。また、相変化材料のオイルシール作用により、検出後にチップ内の反応廃液が漏れることがなく、生物学的安全性のリスクを効果的に低減し、さらに重要な点として、相変化材料を用いて閉鎖すると、ウラ検査の反応キャビティ内の血球試薬の完全性を十分に保持し、血液型赤血球試薬を凍結乾燥又は乾燥したときに血球が壊れやすい問題を解決することができる。
【0041】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップは、相変化材料注入口をさらに含み、それぞれが、定量混練キャビティ8、オモテ検査の反応キャビティ及びウラ検査の反応キャビティとマイクロ流路を介して接続された第1の相変化材料注入口13、第2の相変化材料注入口及び第3の相変化材料注入口である。好ましくは、相変化材料注入口は通気孔であってもよく、前述の第1の通気孔191、第2の通気孔192は第2の相変化材料注入口及び第3の相変化材料注入口を兼ねてもよく、チップを製造するときに、上層シールフィルムをチップ本体2に密封した後に、チップ本体2の背面から第1の相変化材料注入口13、第2の相変化材料注入口及び第3の相変化材料注入口によって単一成分のアルカン系液体相変化材料を注入し、毛細管力の作用のため、相変化材料は密封必要な流路に進入することにより、第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路、定量混練キャビティ8とオモテ検査の反応キャビティの間の第3のマイクロ流路213、及び定量分離キャビティとウラ検査の反応キャビティの間の第5のマイクロ流路215内に単一成分のアルカン系固体相変化材料が予め充填される。
【0042】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップは血球ヘマトクリット検出管溝10をさらに含んでもよく、血球ヘマトクリット検出管溝10はウラ検査の血液型判定領域における定量分離キャビティとサンプル溢流キャビティ11の間のマイクロ流路に位置し、径方向直管溝であり、管溝の表面のマーキングスケールは10等距離でセグメントに分割され、各セグメントはさらに細分化され、具体的には、標準遠心力に対する溢れ出した血液の作用を利用することで、血球ヘマトクリットを直接に検出し、ヘマトクリットの百分率を人工で判読し、血液の適合と供給に重要な根拠を提供することができる(血球ヘマトクリットの通常値の参照範囲:女:37%~48%、男:40%~50%)。
【0043】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップは干渉防止凹溝5をさらに含んでもよく、干渉防止凹溝5は各反応キャビティの間に位置し、干渉防止溝5は、顕微鏡撮像検出時に隣接する2つの反応キャビティの光の干渉により検査結果の正確性に影響を与えることを防止するためのものである。干渉防止凹溝5の内部に位置決め構造6がさらに設けられ、位置決め構造6は干渉防止凹溝内部の三角形柱体構造であり、セットの検出機器で検出するときに検出位置決めの役割を果たす。
【0044】
好ましくは、図1に示すように、本発明に係るマイクロ流体制御血液型検出チップは、チップ上層1の上面に被さる不透明なフィルム3をさらに含んでもよく、不透明なフィルム3に観察ウィンドウの役割を果たす複数の貫通孔が設けられ、各貫通孔は不透明なフィルム3の中心に対して近くから遠くへ、サンプル注入キャビティウィンドウ23、血球ヘマトクリット検出管溝ウィンドウ24及び反応キャビティウィンドウ25の順番で配置され、そのうち、サンプル注入キャビティウィンドウ23はチップ上層1上の上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221と上層の第2のサンプル注入キャビティ貫通孔222に対応し、血球ヘマトクリット検出管溝ウィンドウ24はチップ本体2上の血球ヘマトクリット検出管溝10に対応し、反応キャビティウィンドウ25はチップ本体2上の各反応キャビティに1対1で対応する。検出時に、スタッフはラベルを別途貼る必要なく、サンプル番号と関連情報を不透明なフィルム3に記録することができ、便利で実用的である。
【0045】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップは、ウラ検査の血液型判定領域の第2のサンプル注入キャビティ42に希釈液が予め設置されてもよく、血液サンプルを加えた後に希釈され、次に後続の検出フローに移行する。
【0046】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップは、チップを製造するときに、相変化材料の添加は以下の方法で行ってもよく、チップ上層1の透明なシールフィルムをチップ本体2に密封する前、シールフィルム20をチップ本体2に密封した後に、ウラ検査の血液型判定領域では、第2の裏面流路272の出口によって単一成分のアルカン系液体相変化材料を注入し、第2の裏面流路272に沿って希釈液を第2のサンプル注入キャビティ42に密封し、チップ反応キャビティでは、血液型抗体試薬反応キャビティ14、血液型赤血球試薬反応キャビティ15、オモテ検査の品質制御反応キャビティ16、ウラ検査の品質制御反応キャビティ17は、チップ上層1の透明なシールフィルムをチップ本体2に密封する前、反応キャビティに反応試薬を加えた後に単一成分のアルカン系液体相変化材料を直接加え、温度の変化により相変化材料が液状から固形に変化し、反応キャビティに進入するマイクロ流路を密封し、オモテ検査の血液型判定領域では、第1のマイクロ流路211の垂直液体注入チャネルによって単一成分のアルカン系液体相変化材料を注入し、第1の裏面流路271に沿って希釈液を第1のサンプル注入キャビティ41に密封する。
【0047】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップを使用するときの具体的な過程は次のとおりである。全血サンプルは上層の第1のサンプル注入口221と上層の第2のサンプル注入キャビティ口222を介してそれぞれ第1のサンプル注入キャビティ41及び第2のサンプル注入キャビティ42に進入し、本発明のチップをセットの検出機器に入れ、検出需要に応じて、機器は設定されたプログラムに従って運転する。オモテ検査の血液型判定領域では、第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路の内部に予め充填された相変化材料は、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、第1のサンプル注入キャビティ41で混合されたサンプル及び液体希釈液を流出させ、マイクロ流路を介して定量混練キャビティ8に流入させ、検出されるサンプルと希釈液の混合液は、流れ過程で、定量混練キャビティ8内で十分に混合して血球懸濁を形成し、第3のマイクロ流路213内に予め充填された相変化材料も、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、定量混練キャビティ8内の血球懸濁は、順に第2のマイクロ流路212及び第3のマイクロ流路213を介してオモテ検査の反応キャビティに進入し、血液型抗体試薬反応キャビティ14内の抗A抗体試薬、抗B抗体試薬、抗D抗体試薬及びオモテ検査の品質制御反応キャビティ16内の抗A、抗B、抗Dを含まない品質制御抗体試薬と混合して十分に反応し、余分な血球懸濁は溢流溝18に流入する。
【0048】
ウラ検査の血液型判定領域では、オモテ検査の血液型判定領域のサンプルは反応キャビティに進入して反応する過程で、遠心力の作用で、第2のサンプル注入キャビティ42内のサンプルはマイクロ流路を介して順に分離キャビティI 9、分離キャビティII 12、血球ヘマトクリット検出管溝10に流入し、余分なサンプルはサンプル溢流キャビティ11に流入する。その後、高速遠心作用で、分離キャビティI 9及び分離キャビティII 12内の血球と血漿が分層し、血球は下層に沈着し、上層は血漿であり、第5のマイクロ流路215内に予め充填された相変化材料は、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、定量分離キャビティ内の上層血漿は、順に第4のマイクロ流路214及び第5のマイクロ流路215を介してウラ検査の反応キャビティに進入し、血液型赤血球試薬反応キャビティ15内のA型赤血球試薬、B型赤血球試薬及びウラ検査の品質制御反応キャビティ17内のA、B血液型赤血球を含まない品質制御赤血球試薬(一般にはO型赤血球試薬)と混合して十分に反応し、余分な血漿は溢流溝18内に流入する。
【0049】
オモテ検査の血液型判定領域及びウラ検査の血液型判定領域での反応が終了した後に、顕微鏡カメラで撮影し、血液型判定結果を自動的に分析して表示し、人工画像と組み合わせて判断結果を再適合してもよく、データを会社のプラットフォームに自動的に送信してプラットフォームの専門家により判断結果を再適合してもよい。
【0050】
【表1】
【0051】
本発明の他の実施形態では、図6~10に示すように、ABO式血液型とRh式血液型システムのオモテ検査の連合検出チップであり、定量混練キャビティ8は他のマイクロ流路によって第3の通気孔193に接続され、通気孔を設けることでチップ内の液体の流れをより順調にする。該チップは、特に新生児の血液型判定に適用され、これは、新生児自体の血液型抗部位が少なく、抗体価も低く、一般に3ヶ月以内に血液型抗体が基本的になくなると考えられ、その血清中の検出可能な抗体は母体からのIgG型血液型抗体であることが多く、新生児のウラ検査の血液型判定における偽陽性の結果につながるため、新生児がウラ検査で血清中の抗体を検出することにはあまり意味がなく、一般にはオモテ検査の血液型判定のみが行われるためである。
【0052】
具体的な過程は次のとおりである。全血サンプルは上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221を通して第1のサンプル注入キャビティ41に進入し、本発明のチップを検出機器に入れ、検出のニーズに応じて、機器は設定されたプログラムに従って運転し、第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路の内部に予め充填された相変化材料は、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力作用で、第1のサンプル注入キャビティ41で混合されたサンプル及び液体希釈液を流出させ、マイクロ流路を介して定量混練キャビティ8に流入させ、サンプル及び希釈液は、流れ過程で、定量混練キャビティ8内で十分に混練して血球懸濁を形成し、第3のマイクロ流路213内に予め充填された相変化材料も、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、定量混練キャビティ8内の血球懸濁は、順に第2のマイクロ流路212及び第3のマイクロ流路213を介してオモテ検査の反応キャビティに進入し、血液型抗体試薬反応キャビティ14内の抗A抗体試薬、抗B抗体試薬、抗D抗体試薬、抗C抗体試薬、抗c抗体試薬、抗E抗体試薬、抗e抗体試薬及びオモテ検査の品質制御反応キャビティ16内の上記の血液型抗体を含まない品質制御血液型抗体試薬と混合して十分に反応し、余分な血球懸濁は溢流溝18に流入し、顕微鏡カメラで撮影し、血液型判定結果を自動的に分析して表示し、人工画像と組み合わせて判断結果を再適合してもよく、データを会社のプラットフォームに自動的に送信してプラットフォームの専門家により判断結果を再適合してもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態では、図11~15に示すように、チップ本体2に2組のABOオモテ検査の血液型判定領域を同時に設置してもよく、即ち、二重ABOオモテ検査の血液型検出チップであり、2つの異なるサンプルを同時に検出することができ、且つ3つのチップ本体2を1つの円形の検出チップに組み立ててもよく、6つの異なるサンプルを同時に検出することができ、検出サンプルの数量を向上させる。
【0054】
具体的な過程は次のとおりである。全血サンプルは上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔221を通して第1のサンプル注入キャビティ41に進入し、本発明のチップを検出機器に入れ、検出需要に応じて、機器は設定されたプログラムに従って運転し、第1のサンプル注入キャビティ41と定量混練キャビティ8の間のマイクロ流路の内部に予め充填された相変化材料は、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、第1のサンプル注入キャビティ41で混合されたサンプル及び液体希釈液を流出させ、マイクロ流路を介して定量混練キャビティ8に流入させ、サンプルと希釈液は、流れ過程で、定量混練キャビティ8内で十分に混練して血球懸濁を形成し、第3のマイクロ流路213内に予め充填された相変化材料も、機器検出室内の温度の変化で固形から液状に変化し、遠心力の作用で、定量混練キャビティ8内の血球懸濁は、順に第2のマイクロ流路212及び第3のマイクロ流路213を介してオモテ検査の反応キャビティに進入し、血液型抗体試薬反応キャビティ14内の抗A抗体試薬、抗B抗体試薬、抗D抗体試薬及びオモテ検査の品質制御反応キャビティ16内の抗A、抗B、抗Dを含まない品質制御血液型抗体試薬と混合して十分に反応し、余分な血球懸濁は溢流溝18に流入し、顕微鏡カメラで撮影し、血液型判定結果を自動的に分析して表示し、人工画像と組み合わせて判断結果を再適合してもよく、データを会社のプラットフォームに自動的に送信してプラットフォームの専門家により判断結果を再適合してもよい。
【0055】
本発明のマイクロ流体制御血液型検出チップのオモテ検査の血液型判定領域における第1のサンプル注入キャビティ41の容積は100~200μLであり、サンプル注入量は5~20μLであり、採血量が少なく、採血困難者、特に新生児における適用性の問題をよく解決することができる。
【0056】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するためのものではなく、いずれの当業者も、本発明の原理及び主旨から逸脱することなく、これらの実施例に様々な変更、修正、置換及び変形を加えることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの同等物によって限定される。
【0057】
符号の説明
1.チップ上層、2.チップ本体、3.不透明なフィルム、41.第1のサンプル注入キャビティ、42.第2のサンプル注入キャビティ、5.干渉防止凹溝、6.位置決め構造、8.定量混練キャビティ、9.分離キャビティI、10.血球ヘマトクリット検出管溝、11.サンプル溢流キャビティ、12.分離キャビティII、13.第1の相変化材料注入口、14.血液型抗体試薬反応キャビティ、15.血液型赤血球試薬反応キャビティ、16.オモテ検査の品質制御反応キャビティ、17.ウラ検査の品質制御反応キャビティ、18.溢流溝、191.第1の通気孔、192.第2の通気孔、193:第3の通気孔、20.シールフィルム、211.第1のマイクロ流路、212.第2のマイクロ流路、213.第3のマイクロ流路、214.第4のマイクロ流路、215.第5のマイクロ流路、221.上層の第1のサンプル注入キャビティ貫通孔、222.上層の第2のサンプル注入キャビティ貫通孔、23.サンプル注入キャビティウィンドウ、24.血球ヘマトクリット検出管溝ウィンドウ、25.反応キャビティウィンドウ、271.第1の裏面流路、272.第2の裏面流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15