(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】入れ物
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20231211BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20231211BHJP
A45C 15/00 20060101ALI20231211BHJP
G09F 21/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A45F3/04 300
A45C11/00 U
A45C15/00 Z
G09F21/02
(21)【出願番号】P 2023114644
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522015906
【氏名又は名称】GREEN FOX GROUP合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】ブル アレキサンダー モトヨシ タニヤマ
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-193481(JP,A)
【文献】特開2003-339514(JP,A)
【文献】中国実用新案第212912159(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0262884(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0111174(US,A1)
【文献】中国実用新案第208224669(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108806543(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/00 - 3/10
G09F 21/02,21/04
A45C 3/00 -11/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより運搬される収容空間を囲む、前壁と、当該前壁と対向する後壁と、前記前壁と後壁の間の側壁とを有する入れ物であって、
前記後壁に設けられ前記入れ物の外部に向けて画像を表示する表示部と、
前記収容空間内に前記表示部に対向するとともに当該表示部から離間して設けられる内壁と、
前記側壁に設けられ、前記前壁の方に向けて開口する吸気口と、
前記吸気口と、前記内壁と前記表示部の間隙とを接続する吸気経路と、
を更に有
し、
前記入れ物を前記ユーザが背負うための肩ひもを前記前壁に有する、
入れ物。
【請求項2】
請求項1において、
前記間隙から前記収容空間に連通する通風経路を更に有する、
入れ物。
【請求項3】
請求項1において、
前記表示部と前記内壁とは保持部により離間して保持される、
入れ物。
【請求項4】
請求項1において、
前記内壁は断熱材を有する、
入れ物。
【請求項5】
請求項1において、制御部と測位部とを更に含み、
前記制御部は、前記測位部によって取得された位置情報に応じた広告コンテンツをメディアプラットフォームから取得して前記表示部に表示させる、
入れ物。
【請求項6】
請求項1において、
前記表示部はパネルとオプティカルボンディング層と表示モジュールとを含み、
前記パネルと前記表示モジュールとは、前記オプティカルボンディング層によって貼り
合わされる、
入れ物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入れ物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の背負用ストラップが固定された背当板と、この背当板と組み合わされて収容空間を画成するシェル部と、背当板の上端とシェル部の上端との間の開口部を塞ぐための蓋と、シェル部の背面に固定された表示装置とを具備するバックパックが知られている(例えば特許文献1)。表示装置は、バックパックの現在位置、及び、目的地までの道程を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックパックにおいてコンテンツを表示するときにディスプレイが発する熱を除去し、ディスプレイの動作を適正に保つ必要がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、コンテンツを表示するディスプレイが発する熱を効率的に除去可能な入れ物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る入れ物は、ユーザにより運搬される収容空間を囲む、前壁と、当該前壁と対向する後壁と、前記前壁と後壁の間の側壁とを有する入れ物であって、前記後壁に設けられ前記入れ物の外部に向けて画像を表示する表示部と、前記収容空間内に前記表示部に対向するとともに当該表示部から離間して設けられる内壁と、前記側壁に設けられ、前記前壁の方に向けて開口する吸気口と、前記吸気口と、前記内壁と前記表示部の間隙とを接続する吸気経路と、
を更に有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態による入れ物によれば、コンテンツを表示するディスプレイが発する熱を効率的に除去可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6A】入れ物がユーザに背負われる場合の使用例を示す図である。
【
図6B】入れ物が自転車に設置される場合の使用例を示す図である。
【
図11A】変形例における入れ物のフレーム構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態の情報処理システムSの概略図である。情報処理システムSは、ネットワークNWを介して互いに通信可能な入れ物1と情報処理装置2とユーザ端末3とを含む。ネットワークNWは、例えば移動体通信網とインターネットとを含む。
【0010】
図1では説明の簡便のため、情報処理装置2は1つ図示される。しかし、情報処理装置2の数はこれに限られない。例えば、本実施形態の情報処理装置2が実行する処理は、分散配置された複数の情報処理装置2によって実行されてよい。
【0011】
本実施形態の入れ物1は、内部の物品を配達するために、配達員によって利用される。入れ物1は、リュックサックのように配達員によって背負われる。
【0012】
入れ物1はバッテリ等の電源を有し、供給された電源により駆動する。
【0013】
図2の外観斜視図を参照して、入れ物1の外部構造が詳細に説明される。
【0014】
本実施形態の入れ物1は、取っ手11と肩ひも12と蓋13と給水管14とコネクタ15と画像コード16と側部ひも17とゴム18と発光部19と表示部20とを含む。取っ手11と肩ひも12と給水管14とコネクタ15と画像コード16と側部ひも17とゴム18と発光部19とは任意である。
【0015】
取っ手11は、配達員が入れ物1を持ち上げるときにつかむ部分である。
【0016】
肩ひも12は、入れ物1が配達員によって背負われるときに、配達員の肩に掛けられる。
【0017】
蓋13は、入れ物1の内部に連通する開口部を塞ぐための板である。
【0018】
給水管14は管である。給水管14の一端は飲料物に接続され、他端は入れ物1の外部に露出する。配達員は他端をくわえて、飲料物を飲む。
【0019】
コネクタ15は電源コネクタ及びUSBコネクタの少なくとも一方である。コネクタ15は、リチウムイオン電池その他の内蔵バッテリと接続される充電器と接続され、電化製品を充電するために利用されてよい。
【0020】
画像コード16は、入れ物1の表面に印刷される、例えばバーコード、QRコード(登録商標)等である。画像コード16は任意の情報を含む。
【0021】
側部ひも17は、任意の物品を側面で収容するために利用される。
【0022】
ゴム18は、入れ物1が、地面又は床等に置かれたときに滑ることを防ぐための滑り止めである。
【0023】
発光部19は、光を発する部分である。発光部19は例えば夕方又は夜間に発光する。
【0024】
表示部20は例えば、ディスプレイである。ディスプレイは、例えば、LCD、OLED、又は有機ELディスプレイである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「OLED」はorganic light emitting diodeの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。ディスプレイは、フレキシブルディスプレイを含む。表示部20は、入れ物1に備えられる代わりに、外部の出力機器として入れ物1に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。
【0025】
入れ物1の表面(例えば表示部20の上の部分)には、任意のロゴ又は広告が印刷されてよい。
【0026】
入れ物1の素材は、持続可能又はリサイクル可能な素材が好適である。素材は、次の少なくとも1つを含んでよいが、これに限られない。
・ナイロン
・コーデュラナイロン
・ポリエステル
・コットンスウェット
・レザー
・フェイクレザー
・合成樹脂
・プラスチック
・エラストマー
【0027】
図3を参照して入れ物1の構成が模式的に説明される。
【0028】
入れ物1は、制御部21と通信部22と記憶部23と表示部20と撮像部24と収容部25と測位部26とを含む。入れ物1の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。撮像部24と測位部26とは任意である。
【0029】
制御部21は例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む1つ以上の汎用プロセッサを含む。制御部21は、特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを含んでよい。制御部21は、プロセッサを含む代わりに、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。制御部21は通信部22を介して、任意の情報を送信及び受信する。
【0030】
通信部22は、ネットワークNWに接続するための、1つ以上の有線又は無線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールを含む。通信部22は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)を含む1つ以上の移動体通信規格に対応するモジュールを含んでよい。通信部22は、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、RFIDを含む1つ以上の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュール等、あるいはビーコン等の通信モジュールを含んでよい。通信部22は、ネットワークNWを介して任意の情報を送信及び受信する。
【0031】
記憶部23は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれるが、これらに限られない。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部23は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部23は、制御部21によって分析又は処理された結果の情報を記憶してよい。記憶部23は、入れ物1の動作又は制御に関する各種情報等を記憶してよい。記憶部23は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してよい。記憶部23は入れ物1の外部に設けられて、入れ物1からアクセスされてよい。
【0032】
撮像部24はカメラを含む。撮像部24は、入れ物1の周囲を撮像する。撮像部24は、入れ物1から任意の方向に向けて配置されてよい。撮像部24は画像解析のために、撮像した画像を記憶部23に記録し又は制御部21に送信してよい。画像は静止画又は動画を含む。画像解析には人工知能(AI: Artificial Intelligence)が用いられてよい。
【0033】
例えば、撮像部24によって撮像された画像は制御部21に送信される。制御部21は、撮像画像に対して画像解析を実行して、入れ物1を視認する人物を検出してよい。制御部21は、入れ物1を視認する人物の人数から、入れ物1のユーザの報酬を計算してよい。代替例として制御部21は、撮像画像を情報処理装置2に送信して、人物を検出させてよい。別の代替例として、制御部21は、人物の人数を示す検出結果を情報処理装置2に送信して、報酬等を計算させてよい。
【0034】
収容部25は、入れ物1の内部の空間である。収容部25は、1以上の任意の物品を収容可能である。
【0035】
測位部26は、少なくとも1つのGNSS受信機を含む。「GNSS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。「GPS」は、Global Positioning Systemの略語である。「QZSS」は、Quasi-Zenith Satellite Systemの略語である。QZSSの衛星は、準天頂衛星と呼ばれる。「GLONASS」は、Global Navigation Satellite Systemの略語である。測位部26は位置情報を取得する。「位置情報」とは、入れ物1の位置を特定可能な情報であり、例えば座標を含む。位置情報は、入れ物1及び配達員の動きを追跡するために利用される。位置情報は、配達員の報酬を計算するために利用されてよい。位置情報は、表示部20に表示されるコンテンツを決定するために使用されてよい。
【0036】
情報処理装置2は、データセンタなどの施設に設置される。情報処理装置2は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。情報処理装置2はメディアプラットフォームとして、メディアコンテンツを入れ物1に送信する。メディアコンテンツは例えば広告コンテンツを含む。広告コンテンツは静止画又は動画である。メディアコンテンツは表示部20に表示される。
【0037】
ユーザ端末3は、配達員によって操作される端末である。ユーザ端末3は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル機器、若しくはタブレットなどのモバイル機器である。
【0038】
【0039】
収容部25には、1以上の物品ARが収容される。物品ARは、例えば、配達される商品である。
【0040】
収容部25の周囲には、断熱材INが設けられてよい。断熱材INは、接着等の任意の手法によって収容部25に取り付けられる。
【0041】
【0042】
表示部20は、オプティカルボンディング層201とパネル202と表示モジュール203とバックライト204とを含んでよい。パネル202はタッチパネル又はクリアパネル等であってよい。バックライト204は例えばLEDバックライトであってよい。表示モジュールは、LCDモジュール又はLEDモジュール等であってよい。
【0043】
パネル202と表示モジュール203とは、樹脂素材(光学弾性樹脂)を含むオプティカルボンディング層201で貼り合わされる。
【0044】
オプティカルボンディング層201は、パネル202と表示モジュール203とを貼り合せることでそれぞれの層間の光の屈折率の差を最小限に抑えるので、表示モジュール203の視認性を向上し、画面の映り込みを低減することができる。また、本開示の表示部20は、パネル202と表示モジュール203との間に空気層が介在しないため、光の散乱がなく、オプティカルボンディング層を用いない従来製品と比較して、高い表示輝度が得られる。したがって、周囲が明るい環境においても従来と同じ電力で、鮮明で高輝度の画像を表示することができ、後述の広告表示効果を高めることができる。さらに、従来と同程度の輝度で表示する場合には、電力を低減することができる。これは、バッテリ等の限られた電源で表示モジュール203を駆動する場合には、電源を長持ちさせることができ、入れ物1に適用したとき広告コンテンツを長時間表示できる優れた効果がある。
【0045】
オプティカルボンディング層201は、パネル202と表示モジュール203との間の樹脂素材であるので、パネル202の表示面の物理的な強度を向上することができる。
【0046】
オプティカルボンディング層201は、表示モジュール203とパネル202との間の隙間を埋めるので、埃又は水分などの異物の侵入による表示モジュール203へのダメージを低減することができる。
【0047】
オプティカルボンディング層201は、表示モジュール203とパネル202との隙間(空気層)に水蒸気が入り込むことを低減するので、水蒸気の結露が表示視認性を損なうことを低減することができる。
【0048】
図6Aに示されるように、入れ物1は、ユーザである配達員DPによって背負われる。配達員DPは自転車等の車両を運転して、物品を配達する。
【0049】
配達員DPは、ユーザ端末3を操作して、アプリを起動する。ユーザ端末3は入れ物1と、例えば、4G、5G等の移動体通信、又はBluetooth等の近距離無線通信といった、無線通信手段によって接続される。配達員DPは、アプリを介して入れ物1に指示を送信し、入れ物1を制御することができる。例えば配達員DPは、表示部20を起動することができる。入れ物1は、情報処理装置2から通信部22を介してコンテンツを取得して、表示部20に表示する。
【0050】
制御部21は、測位部26によって取得された位置情報に応じた広告コンテンツをメディアプラットフォームから取得する。代替例として制御部21は、位置情報に応じて、表示されるコンテンツを決定してよい。
【0051】
制御部21は、入れ物1の光センサを用いて、入れ物1の周囲の明るさを検出する。制御部21は、検出された明るさに応じて、表示部20の輝度を自動的に調整してよい。例えば制御部21は、暗い場所又は暗い時間帯では、輝度を上昇させる。
【0052】
代替例として、
図6Bに示されるように、入れ物1は、自転車BYに設置されてよい。
図6Aで説明された内容と重複する内容の説明は省略される。別の代替例として、入れ物1は、電動バイク又は原動機付自転車などの車両に設置されてよい。
【0053】
以上述べたように本実施形態によれば、制御部21は、メディアプラットフォームから広告コンテンツを取得することと、広告コンテンツを表示部20に表示することと、を含む動作を実行する。この構成により制御部21は、表示される広告コンテンツを柔軟に変更することができる。
【0054】
また本実施形態によれば、入れ物1は、ユーザによって背負われ、自転車に設置され、電動バイクに設置され、又は、原動機付自転車に設置される。この構成により入れ物1は、様々な場面で利用されることができる。
【0055】
また本実施形態によれば収容部25には断熱材が取り付けられる。この構成により、断熱材により物品の温度が外気温により変化することを低減することができる。
【0056】
また本実施形態によれば、入れ物1は撮像部24を更に含み、制御部21の動作は、撮像部24から撮像画像を取得することと、撮像画像に画像解析を実行して、入れ物1を視認する人物を検出することと、を含む。この構成により入れ物1は、検出結果を、例えばユーザの報酬の計算等に利用することができる。
【0057】
また本実施形態によれば、入れ物1のユーザによって操作されるユーザ端末3と接続され、ユーザ端末3からの指示により制御される。この構成により、入れ物1のユーザは、容易に入れ物1を制御することができる。
【0058】
また本実施形態によれば、動作は、測位部26によって取得された位置情報に応じた広告コンテンツをメディアプラットフォームから取得することを含む。この構成により入れ物1は、表示される広告コンテンツを、一層柔軟に調整することができる。
【0059】
また本実施形態によれば、動作は、入れ物1の周囲の明るさを光センサにより検出すると、明るさに応じて表示部20の輝度を自動的に調整することを含む。この構成により入れ物1は、表示部20の視認性を一層向上させることができる。
【0060】
また本実施形態によれば、表示部20はパネル202とオプティカルボンディング層201と表示モジュール203とを含み、パネル202と表示モジュール203とは、オプティカルボンディング層201によって貼り合わされる。この構成により入れ物1は、表示モジュール203の視認性を向上し、且つ、パネル202の物理的な強度を向上することができる。
【0061】
[実施例]
図7A~
図11Bに、入れ物1の実施例が示される。以下では、ユーザが入れ物1を背負うときのユーザを基準として上下、前後、左右の各方向に言及する。
図7A、7B及び7Cは、実施例における入れ物1を、それぞれ上方、前方及び右方から観察した平面図である。
図8A及び8Bは、実施例における入れ物1の、それぞれ左前上方及び右後上方からの斜視図である。
図9A及び9Bは、
図8Aにおける入れ物1をB-B´で切断したときの、それぞれ後方側の部位の斜視図、及び後方側の部位の前方から観察した平面図である。
図9Cは、
図9Bの一部の拡大図を示す。
図9Dは、
図9Bにおける入れ物1をE-E´で切断したときの断面を、右方向から観察した平面図の一部である。
図10A及び10Bは、
図8Aにおける入れ物1を、それぞれ、表示部20に重複するC-C´で切断したときの下方側の部位における断面図、及び表示部20に重複しない下方のD-D´で切断したときの下方側の部位における断面図である。
図10Cは、
図10Aの一部の拡大図である。
図11Aは、変形例における入れ物1のフレーム構造の後方からの斜視図である。
図11Bは、変形例における入れ物1の
図9Dに対応する平面図である。
【0062】
本実施例において、入れ物1は、ユーザにより運搬される収容空間(収容部25)を囲む、ユーザ側の前壁71と、前壁71と対向する後壁72と、前壁71と後壁72の間の側壁73(以下、左右を区別する場合にはそれぞれ73L、73Rという)とを有する。また、入れ物1は、後壁72に設けられ入れ物1の外部(ユーザから見て後方)に向けて画像を表示する表示部20を有する。さらに、入れ物1は、収容部25内に表示部20に対向するとともに表示部20から離間して設けられる内壁90を有する。さらに、入れ物1は、側壁73(以下、左右を区別する場合にはそれぞれ73L、73Rという)に設けられ、前壁71の方に向けて開口する吸気口76(以下、左右を区別する場合にはそれぞれ76L、76Rという)を有する。そして、入れ物1は、吸気口76と、内壁90と表示部20の間隙GPとを接続する吸気経路92(以下、左右を区別する場合にはそれぞれ92L、92Rという)とを有する。
【0063】
入れ物1は、ユーザが背負い又は自転車若しくはオートバイ等の荷台に設置するなどしてユーザの背後に配置されてユーザにより運搬されるときに、吸気口76から外気を吸気する。ユーザが入れ物1とともに前方へ移動することにより、入れ物1は、より大量の外気を吸気口76から吸気する。これにより、
図9A~9Cに示すように、気流AFが吸気口76から吸気経路92を経て内壁90と表示部20の間隙GPへ誘導され、表示部20のバックライト、制御回路等による放熱を除去する冷却風として作用し、表示部20が発する熱を効率的に除去することが可能となる。よって、収容部25内の表示部20周辺の空気を冷却することが可能となる。これにより、例えば、入れ物1で、生鮮食料品、冷凍・冷蔵品等を運搬するときであっても、これら物品への表示部20の発熱による影響を抑制することが可能となる。
【0064】
図7A~7C、8A、8Bに示すように、入れ物1は、例えば、略直方体形状を呈し、上下方向、左右方向、及び前後方向の各辺は例えば30cm~70cmの任意の寸法を有する。表示部20は、略矩形形状を呈し、一辺が例えば15cm~50cmの任意の寸法を有する。上壁74は、開閉可能な蓋13に対応する。前壁71には、肩ひも12が取り付けられており、ユーザが肩ひも12により入れ物1を背負うことが可能に構成される。
【0065】
側壁73L、73Rには、それぞれ、バルジ75L、75Rが設けられる。バルジ75L、75Rは、それぞれ側壁73L、73Rの一部を占める寸法、形状を有するとともに側壁73L、73Rの表面から数mm~数十mm突出し、前方へ向いた開口によりそれぞれ吸気口76L、76Rを構成する。バルジ75L、75Rは、例えば、略矩形状、楕円状等で、上下方向に長手形状を呈する。バルジ75L、75Rは、それぞれ連通口78L、78Rによりそれぞれ吸気経路92L、92Rに連通する。吸気口76L、76Rから吸気される外気は、それぞれバルジ75L、75Rの内壁に沿ってそれぞれ連通口78L、78Rを通過する。連通口78L、78Rを通過する外気は、それぞれ吸気経路92L、92Rへ誘導される。吸気口76L、76Rは、上下方向に例えば15cm~40cmの任意の距離に亘って延在する。吸気口76L、76Rは、上下方向において表示部20と少なくとも一部において重複するように配置される。また、バルジ75L、75Rは、側壁73L、73Rのそれぞれ後方寄りに、すなわち、吸気口76L、76Rから表示部20までの外気の移動距離がより短くなるように配置される。さらに、吸気口76L、76Rは、鉛直方向に対し例えば前方へ数度~十数度傾斜する。なお、ここに示す吸気口76L、76Rの形状、傾斜方向・角度等の態様は一例であって、他の態様であってもよい。
【0066】
図9A~9Dに示すように、内壁90は、後壁71の全域の少なくとも一部に対応し、好ましくは表示部20の全域を覆う寸法、形状を有する。内壁90は、金属、プラスチック、樹脂等により形成することが可能である。内壁90は、ポリウレタンフォーム、発砲ポリスチレン等の断熱材を有してもよい。内壁90は、内壁90と表示部20の間に例えば数mm~十数mmの間隙GPを構成するように取り付けられる。例えば、内壁90は、左右の端部において固定具91L、91Rによりそれぞれ側壁73L、73Rに固定される。固定具91L、91Rは、略直交する2つの面を含む部材であって、例えば長手方向と交差する断面が略L字を呈する金属製のL字金具等である。内壁90の左右の端部に固定具91L、91Rの一の面がそれぞれ固定され、固定具91L、91Rの他の面がそれぞれ側壁73L、73Rの、連通口78L、78Rより前方寄りに固定される。内壁90と固定具91L、91R、固定具91L、91Rと側壁73L、73Rは、それぞれ、ビス、接着等の任意の手段により互いに固定される。このようにして、内壁90と固定具91L、91Rが、後壁71及び側壁73L、73Rから間隙を設けて固定されることで、内壁90と表示部20の間隙GPを連通口78L、78Rと連通させる吸気経路92L、92Rが構成される。なお、内壁90は、
図9Dに示すように、保持部93により後壁71に対し固定されてもよい。そうすることで、保持部93の寸法に対応する間隙GPを形成することが可能である。
【0067】
図10A、10Bに示すように、内壁90と表示部20の間の間隙GPは、下方に通風経路104を有する。通風経路104は、収容部25に連通してもよいし、入れ物1の外部に連通してもよい。通風経路104は、間隙GPに誘導される気流AFを間隙GPから排出する。通風経路104が下方に設けられることで、
図9Bに示すように、吸気経路92L、92Rから間隙GPへ誘導される気流AFが、下方へ流れるように誘導される。表示部20周辺の熱を除去して収容部25に排出された気流AFは、収容部25を循環して蓋13と収容部25の間隙から入れ物1の外部へ排出されたり、あるいは、間隙GPから直接的に入れ物1の外部へ排出されたりする。なお、
図10Aに示すように、収容部25の前壁71側に更なる内壁101を設け、前壁71と内壁101の間隙に制御回路102を格納することが可能である。制御回路102は、制御部21、通信部22、記憶部23等を含む。制御回路102と表示部20との通信線は、例えば制御回路102から側壁73L又は73Rに沿って収容部25を迂回して敷設され、固定具91L、91Rの上端又は下端における後壁72との間隙を介して、あるいは固定具91L、91Rに設けられる切欠き95(
図9C)を介して表示部20に接続される。
【0068】
図10Cは、
図10Aにおける固定具91Rの周囲の拡大図であって、固定具91L、91Rの変形例を示す。固定具91Rが、例えば断面が略W字形状を有するように4つの面で構成されることで、吸気経路92Rが3箇所で屈曲するように構成される。固定具91Rの屈曲箇所、及びこれに加えて側壁73R及び後壁72との交差箇所は、フィレット形状よりも複数の略平面で構成されたエッジをなすことが好ましい。エッジを有する吸気経路92Rの方が、そうでない場合よりも、気流AFの移動速度が大きいことがCFD(Computational Fluid Dynamics)モデルに基づく実験等により知られている。更に、吸気経路92Rが複数のエッジを有することで、気流AFの移動速度が更に大きくなることがCFDモデルに基づく実験等により知られている。なお、吸気経路92Rにおいて、1以上の任意の数の屈曲箇所を設けることが可能である。かかる一以上の屈曲箇所を含む吸気経路92Rの連通口78Rから間隙GPまでの経路長は、例えば十数cm~30cmである。気流AFの移動速度を増大させることで、表示部20周囲の熱の除去効率向上が可能となる。なお、ここにおける説明は、固定具91L、吸気経路92L、側壁73Lにおいても適用される。
【0069】
図11Aに示す変形例における入れ物1のフレームは、後壁71に開口部112とビーム111とを有する。かかる構成が適用されたときの
図9Dに対応する断面図が
図11Bに示される。
図11Bに示すように、ビーム111が表示部20と内壁90との間に位置することで表示部20と内壁90との距離を一定に保ちつつ、開口部112により間隙GPを構成することが可能となる。また、ビーム111により強度が担保される。なお、表示部20はビーム111にシリコンゴムシール等により固定される。また、表示部20のディスプレイが入れ物1の後方に露出するように後壁71に設けられる開口と表示部20との間隙もシリコンゴムシールにより封止される。かかる構成により、間隙GPとこれに連通する吸気経路92L、92Rを移動する冷却風に対し、外気が作用することを抑制し、冷却風の所定の気圧、速度、方向を維持することが可能となる。また、間隙GP、吸気経路92L、92Rに外部の埃、水分等の侵入を抑制することが可能となる。
【0070】
入れ物1のフレーム及び他の部品は、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形等任意の成形方法、又は3Dプリンティングにより製造することが可能であるが、これらの方法に限られない。
【0071】
図12A~12Cは、さらなる変形例における吸気口76の例である。ここには、例として吸気口76Lが示されるが、ここにおける説明は吸気口76Rに適用される。
図12A及び12Bの吸気口76Lは、それぞれグリル120又はメッシュ121を有する。
図12Cの吸気口76Lは、所定の風力又は手動により開放される弁122を有する。このようにすることで、例えば、屋外において入れ物1で物資、食料等を運搬するときに、空気中を浮遊するごみ、埃、雨水等の侵入を抑制することが可能となる。
【0072】
入れ物1は、低温に保つ必要がある物品を含む各種物品の運搬に好適に用いられるが、例えば、スポーツ、音楽等の屋外イベントにおいて各種物品を格納、運搬する際に用いることも可能である。その際、ユーザが入れ物1を移動させることで、外気を取り込んで表示部20による発熱の除去を促進することが可能となる。入れ物1が、屋外の例えば日中の照度下で用いられる際、表示部20の画像の視認性を担保するには、屋内の場合と比べ、ディスプレイの2~3倍の照度、輝度が必要となる。そのためには、表示部20がより多くの電力を消費して、多くの熱量を発熱する。さらに、屋外の気象条件に応じ、日照が強い場合には、気温上昇に伴い入れ物1の内部の温度が上昇するおそれがある。その点、入れ物1によれば、一般的なバッグパック、リュックサック等とは異なり、外気を取り込んで冷却風として用いることで、表示部20による発熱の除去を促進することが可能となる。
【0073】
本開示が諸図面及び実施例に基づき説明されるが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0074】
例えば、上記の実施形態において、入れ物1の機能又は処理の全部又は一部を実行するプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。またプログラムの流通は、プログラムを任意のサーバのストレージに格納しておき、任意のサーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0075】
コンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【符号の説明】
【0076】
S 情報処理システム
NW ネットワーク
1 入れ物
2 情報処理装置
3 ユーザ端末
【要約】
【課題】入れ物のディスプレイが発する熱を効率的に冷却する。
【解決手段】入れ物は、ユーザにより運搬される収容空間を囲む、前壁と、当該前壁と対向する後壁と、前記前壁と後壁の間の側壁とを有する入れ物であって、前記後壁に設けられ前記入れ物の外部に向けて画像を表示する表示部と、前記収容空間内に前記表示部に対向するとともに当該表示部から離間して設けられる内壁と、前記側壁に設けられ、前記前壁の方に向けて開口する吸気口と、前記吸気口と、前記内壁と前記表示部の間隙とを接続する吸気経路と、
を更に有する。
【選択図】
図9A