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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】流体ポート
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231211BHJP
   A61J 1/10 20060101ALI20231211BHJP
   C12M 3/06 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
C12M1/00 C
A61J1/10 335B
C12M3/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020534550
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018085066
(87)【国際公開番号】W WO2019121424
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】62/609,014
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598041463
【氏名又は名称】グローバル・ライフ・サイエンシズ・ソリューションズ・ユーエスエー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・エム・フレーザー
(72)【発明者】
【氏名】ヤッサー・アリ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ウェチャラタナ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ブルッゲマン
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-507912(JP,A)
【文献】国際公開第2017/055059(WO,A1)
【文献】特表2007-514910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0118753(US,A1)
【文献】特表2008-536525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140182(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0036192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12M 3/06
A61J 1/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ポート(1; 1')であって、
- 第1の流体接続部(3; 3')と、
- 前記第1の流体接続部(3; 3')と流体連通している第2の流体接続部(5; 5')と、
- 前記第1の流体接続部(3; 3')を前記第2の流体接続部(5; 5')と接続する中間流路(7; 7')であって、前記中間流路(7; 7')の少なくとも一部分が、直角の曲げ(9; 9')を含む、中間流路(7; 7')と、
- 前記中間流路(7; 7')の少なくとも前記曲げ(9; 9')を、他の物体との接触から保護する保護キャップ(11; 11')と、
- 前記流体ポートにより流体の供給を受ける物体のフィルムに当接して封止するために構成されている接続面(13; 13')であって、前記接続面は、前記物体の前記フィルムに当接して封止されると、前記フィルムと共に、前記第1の流体接続部(3; 3')を取り囲む流体密封シールをもたらす、接続面(13; 13')と
を含み、
前記接続面(13)は前記保護キャップ(11)に接続されており、前記保護キャップ(11)は、前記流体ポート(1; 1')に滑らかな表面を提供するドームの一部として形成されており、前記保護キャップ(11)の最上位置(17)が前記中間流路(7)の前記曲げ(9)の上方に設けられており、前記保護キャップ(11)の外周面(19)が前記接続面(13)に接続されている、流体ポート(1; 1')。
【請求項2】
前記流体ポート(1; 1')の前記接続面(13; 13')は、前記第1の流体接続部(3; 3')を取り囲むシールが、前記接続面(13; 13')と、前記流体ポートが接続されるべき前記物体の前記フィルムとの間に設けられると、前記第1の流体接続部(3; 3')が、前記取り囲むシールの内部に設けられている前記フィルムの開口部を介してのみアクセスされるように、前記流体ポートのその他の部分の1つまたは複数に接続されている、請求項1に記載の流体ポート。
【請求項3】
前記保護キャップ(11; 11')は、前記中間流路(7; 7')の少なくとも前記曲げ(9; 9')を、前記第1の流体接続部(3; 3')が設けられている側の反対の前記流体ポートの側から前記流体ポート(1; 1')に接近している物体との接触から保護するために構成されている、請求項1または2に記載の流体ポート。
【請求項4】
管が前記流体ポート(1; 1')の前記第2の流体接続部(5; 5')に接続され得るように、返し部(15; 15')が、前記第2の流体接続部(5; 5')に向かって前記中間流路(7; 7')に設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の流体ポート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体ポート(1; 1')を含む灌流フィルタ(31)であって、前記流体ポートの前記接続面(13; 13')は前記灌流フィルタ(31)の外側フィルム(37)に当接して封止されており、開口部が、前記第1の流体接続部と一致するように、前記灌流フィルタの外側フィルムの、前記第1の流体接続部(3)を取り囲む前記流体密封シールの内部に設けられている、灌流フィルタ(31)。
【請求項6】
前記灌流フィルタの前記外側フィルム(37)はEVA、Bioclear 10(登録商標)、Bioclear 11(登録商標)、またはFortem(登録商標)である、請求項5に記載の灌流フィルタ。
【請求項7】
廃棄物収集用の管が前記流体ポート(1; 1')の前記第2の流体接続部(5; 5')に接続されている、請求項5または6に記載の灌流フィルタ(31)を含むフレキシブルバッグ(51)。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体ポート(1; 1')を含むフレキシブルバッグ(71; 91)であって、前記流体ポートの前記接続面(13; 13')は前記フレキシブルバッグの壁に当接して封止されており、前記流体ポート(1; 1')の前記第1の流体接続部(3; 3')へのアクセスを可能にするために、開口部が、前記取り囲むシールの内部に、前記壁を貫通して設けられている、フレキシブルバッグ(71; 91)。
【請求項9】
前記流体ポート(1; 1')の前記接続面(13; 13')は前記フレキシブルバッグの内壁に当接して封止されており、前記保護キャップ(11; 11')は前記フレキシブルバッグの内側に設けられている、請求項8に記載のフレキシブルバッグ。
【請求項10】
前記流体ポート(1; 1')の前記接続面(13; 13')は前記フレキシブルバッグの外壁に当接して封止されており、前記保護キャップ(11; 11')は前記フレキシブルバッグの外側に設けられている、請求項8に記載のフレキシブルバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体ポート、灌流フィルタ、およびフレキシブルバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
流動方向が変えられる必要がある場合、エルボコネクタがポートに設けられることが可能である。しかし、例えばフレキシブルバッグ内では、そのようなエルボコネクタは、例えば組立て、輸送および保管中に、フレキシブルバッグの壁がエルボコネクタに押し付けられる可能性がある場合に問題を引き起こす可能性がある。壁は、コネクタにより、凹むかまたはさらには破裂する可能性がある。
【0003】
通常、バイオリアクタバッグ内で使用される灌流フィルタは、エルボコネクタにより接続され、前述されているように、輸送および保管中に問題が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良型の流体ポートを提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、改良型の灌流フィルタを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、改良型のフレキシブルバッグを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、バッグの輸送または保管時に、フレキシブルバッグの壁への損傷のリスクを低減することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、周辺の物体への損傷を引き起こさずに流体流を偏向させることができる流体ポートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、独立請求項に記載の流体ポート、灌流フィルタ、およびフレキシブルバッグにおいて達成される。
【0010】
本発明の一態様によれば、流体ポートが、
- 第1の流体接続部と、
- 該第1の流体接続部と流体連通している第2の流体接続部と、
- 第1の流体接続部を該第2の流体接続部と接続する中間流路であって、前記中間流路の少なくとも一部分が、実質的に直角の曲げを含む、中間流路と、
- 中間流路の少なくとも該曲げを、他の物体との接触から保護する保護キャップと、
- 前記ポートにより供給される物体のフィルムに当接して封止するために構成されている接続面であって、前記接続面は、物体のフィルムに当接して封止されると、該フィルムと共に、第1の流体接続部を取り囲む流体密封シールをもたらす、接続面と
を含んで提供される。
【0011】
これにより、流体ポートが、固有の流体偏向を有して提供される。すなわち、流体ポート内への流体流が該流体ポートから外へ出る流体流に対して略垂直の方向に供給される。さらに、流体ポートは、流体ポートの少なくとも曲げ部を、周辺の物体に損傷を与えないように保護する保護キャップを含み、例えばフレキシブルバッグが流体ポート上へ押し下げられた場合、該保護キャップはより大きくより滑らかな表面に圧力を分配する。さらに、流体ポートの接続面は、ポートが接続されるべき物体のフィルムに直接当接して封止され得る。これにより、流動の方向を変えるための追加ポートが回避される。これは、組立て作業と、2つの構成要素間の生じ得る漏出点とを除去する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、そのような流体ポートを含む灌流フィルタが提供される。流体ポートの前記接続面は、灌流フィルタの外側フィルムに当接して封止され、開口部が、第1の流体接続部と一致するように、灌流フィルタの外側フィルムの、第1の流体接続部を取り囲む流体密封シールの内部に設けられている。
【0013】
これにより、略90度の固有の流体偏向を有するポートを有する灌流フィルタがもたらされる。前記流体ポートは、さらに、付近に設けられている物体への損傷を引き起こさない。例えば、灌流フィルタがフレキシブルバッグ、例えばバイオリアクタ、の内部に設けられている場合、前記フレキシブルバッグは、フレキシブルバッグの壁が灌流フィルタの流体ポートにより凹むかまたは破裂するリスクを伴わずに、場合によっては多くのバッグが互いに重なり合って輸送され、保管されることが可能である。流動方向を変える追加エルボポートの使用の回避は、それが組立て作業および生じ得る漏出点を除去するため、有利である。
【0014】
本発明の別の態様によれば、そのような灌流フィルタを含むフレキシブルバッグが提供される。これにより、フレキシブルバッグが場合によっては互いに積み重なって輸送されるかまたは保管される場合、それらの壁の凹みまたは破裂のリスクが減少する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、そのような流体ポートを含むフレキシブルバッグが提供され、該流体ポートの接続面はフレキシブルバッグの壁に当接して封止され、流体ポートの第1の流体接続部へのアクセスを可能にするために、開口部が、取り囲むシールの内部に、壁を貫通して設けられている。
【0016】
これにより、追加構成要素を必要とすることなく流体流の偏向が実現され得る。
【0017】
本発明の一実施形態では、第1の流体接続部を取り囲むシールが、接続面と、流体ポートが接続されるべき物体のフィルムとの間に設けられている場合、第1の流体接続部が、取り囲むシールの内部に設けられている、フィルムの開口部を介してのみアクセスされるように、流体ポートの接続面は流体ポートのその他の部分の1つまたは複数に接続されている。
【0018】
本発明の一実施形態では、保護キャップは、中間流路の少なくとも曲げを、第1の流体接続部が設けられている側の反対の流体ポートの側から流体ポートに接近している物体との接触から保護するために構成されている。
【0019】
本発明の一実施形態では、管が流体ポートの第2の流体接続部に接続され得るように、返し部が、該第2の流体接続部に向かって中間流路に設けられている。
【0020】
本発明の一実施形態では、接続面は保護キャップに接続されており、前記保護キャップはドームの一部として形成されており、前記保護キャップの最上位置が中間流路の曲げの上方に設けられており、保護キャップの外周面が接続面に接続されている。
【0021】
本発明の一実施形態では、保護キャップと接続面の両方が、同じ向きでしかし異なる平面に設けられている平面円板として形成されており、前記中間流路は保護キャップと接続面との間に設けられており、該中間流路は保護キャップと接続面とに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】本発明の一実施形態による流体ポートの概略斜視上面図である。
図1b図1aに示されているものと同じ流体ポートの概略斜視底面図である。
図1c図1aおよび図1bに示されているものと同じ流体ポート1の、図1dおよび図1eとは異なる面からの断面図である。
図1d図1aおよび図1bに示されているものと同じ流体ポート1の、図1cおよび図1eとは異なる面からの断面図である。
図1e図1aおよび図1bに示されているものと同じ流体ポート1の、図1cおよび図1dとは異なる面からの断面図である。
図2】本発明の別の実施形態による流体ポートの概略斜視図である。
図3】灌流フィルタの異なる層の概略図であり、該灌流フィルタの最上層は本発明の一実施形態による流体ポートを含む、図である。
図4】本発明の一実施形態による流体ポートを含む灌流フィルタを含むフレキシブルバッグの概略図である。
図5】バッグの内部に浸漬管を含むフレキシブルバッグの概略図であり、前記浸漬管は、本発明の一実施形態による流体ポートによりフレキシブルバッグの外側に接続されている、図である。
図6】バッグの壁に当接して封止される、本発明の一実施形態によるいくつかの流体ポートを含むフレキシブルバッグの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1aは、本発明の一実施形態による流体ポート1の斜視上面図を概略的に示す。図1bは、図1aに示されているものと同じ流体ポート1の斜視底面図を概略的に示す。図1c図1dおよび図1eは、図1aおよび図1bに示されている同じ流体ポート1の異なる面からの断面図である。流体ポート1は、第1の流体接続部3と、該第1の流体接続部3と流体連通している第2の流体接続部5と、第1の流体接続部3と該第2の流体接続部5とを接続している中間流路7とを含む。流体ポート1を通る流体流の方向は変化する可能性があり、第1の流体接続部3は、流体ポート1がどのように使用されるかに応じて、流体入り口と流体出口の両方になり得る。前記中間流路7は実質的に直角の曲げ9を含む。これにより、流体ポート1の第1の流体接続部3内に供給される流体流が、第2の流体接続部5を通って前記流体ポート1から外へ供給される流体流に対して略垂直な方向を有する。流体ポート1は、中間流路7の少なくとも曲げ9を、他の物体との接触から保護する保護キャップ11をさらに含む。従来使用されるエルボコネクタの曲げは、付近の物体、例えばフレキシブルバッグの壁、への損傷を引き起こす可能性がある。本発明による保護キャップ11は、このリスクを低減するために設けられている。保護キャップ11は、中間流路7の少なくとも曲げ9を、第1の流体接続部3が設けられている側と反対の流体ポートの側から流体ポート1に接近している物体との接触から保護するために構成されている。保護キャップ11は、付近の物体からの圧力を、より大きくより滑らかな表面に分散する。
【0024】
さらに、流体ポート1は、前記ポートにより供給される物体のフィルムに当接して封止するために構成されている接続面13を含む。前記接続面13は、物体のフィルムに当接して封止されると、該フィルムと共に、第1の流体接続部3を取り囲む流体密封シールをもたらす。図1a図1eに示されている実施形態では、接続面13は外側円形形態を有し、それは第1の流体接続部3用の中心開口部14を含む。
【0025】
第1の流体接続部3を取り囲むシールが、接続面13と、流体ポート1が接続されるべき物体のフィルムとの間に設けられている場合、第1の流体接続部3が、取り囲むシールの内部に設けられているフィルムの開口部を介してのみアクセスされるように、流体ポート1の接続面13は流体ポート1のその他の部分の1つまたは複数に接続されている。本発明の本実施形態では、接続面13は保護キャップ11に接続されており、該保護キャップ11はドームの一部として形成されている。前記保護キャップ11の最上位置17が、中間流路7の曲げ9の上方に設けられており、保護キャップ11の外周面19が接続面13に接続されている。ドームのこの部分は流体ポート1に滑らかな表面をもたらし、それにより、付近の物体が損傷を与えられるリスクを低減する。ドームは、円形外周面を有する完全なドームではなく、代わりに、最上位置17の直後に切断縁部18を有する。これにより、中間流路7は、この切断縁部18を通って、第2の流体接続部5に向かって突出している。管が流体ポート1の第2の流体接続部5に接続され得るように、返し部15が第2の流体接続部5に向かって中間流路7に設けられている。該返し部15は、保護キャップ11から、第1の流体接続部3に進入する流体流の方向に対して略垂直な方向に突出している。
【0026】
図2は、本発明の別の実施形態による流体ポート1'の斜視図を概略的に示す。該流体ポート1'は、本実施形態においても、第1の流体接続部3'と、該第1の流体接続部3'と流体連通している第2の流体接続部5'と、第1の流体接続部3'を該第2の流体接続部5'と接続している中間流路7'とを含む。前記中間流路7'は実質的に直角の曲げ9'を含む。これにより、流体ポート1'の第1の流体接続部3'内に供給される流体流が、第2の流体接続部5'を通って前記流体ポート1'から外へ供給される流体流に対して略垂直な方向を有する。流体ポート1'は、中間流路7'の少なくとも曲げ9'を、他の物体との接触から保護する保護キャップ11'をさらに含む。該保護キャップ11'は、中間流路7'の少なくとも曲げ9'を、第1の流体接続部3'が設けられている側の反対の流体ポートの側から流体ポート1'に接近している物体との接触から保護するために構成されている。保護キャップは圧力をより大きくより滑らかな表面に分散する。
【0027】
さらに、流体ポート1'は、前記ポート1'が設けられるべき物体のフィルムに当接して封止することができるように構成されている接続面13'を含む。前記接続面13'は、物体のフィルムに当接して封止されると、該フィルムと共に、第1の流体接続部3'を取り囲む流体密封シールをもたらす。図2に示されている実施形態では、接続面13'は円形平面形態を有する。該形態は必ずしも円形である必要はなく、任意の他の形状とすることができる。中心開口部14'が、第1の流体接続部3'と一致して、接続面13'に設けられている。
【0028】
第1の流体接続部3'を取り囲むシールが、接続面13'と、流体ポート1'が接続されるべき物体のフィルムとの間に設けられている場合、第1の流体接続部3'が、取り囲むシールの内部に設けられている、フィルムの開口部を介してのみアクセスされるように、流体ポート1'の接続面13'は流体ポート1'の入り口3'に接続されている。本発明の本実施形態では、保護キャップ11'と接続面13'の両方が、同じ向きでしかし異なる平面に設けられている平面円板として形成され、前記中間流路7'は、保護キャップ11'と接続面13'との間に設けられており、中間流路7'は保護キャップ11'と接続面13'とに接続されている。
【0029】
図3は、その異なる層が分離されている状態で、灌流フィルタ31を概略的に示す。この灌流フィルタ31は、本発明の一実施形態による流体ポート1を設けられている。灌流フィルタ31は、3つの層、すなわち、フィルタ膜33である最下層と、メッシュ35である中間層と、EVAフィルム37であり得る最上層とを含む。また、該最上層37はBioclear 10、Bioclear 11またはFortemとすることができる。3層は共に封止される。流体ポート1は最上層37に設けられる。そのような灌流フィルタ31は、バイオリアクタであるフレキシブルバッグ内で使用され得る。灌流フィルタ31はバイオリアクタ内の細胞培養からの廃棄物を濾過して除去するために使用される。これは図4に示されている。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態による流体ポート1を含む灌流フィルタ31を含むフレキシブルバッグ51を概略的に示す。該灌流フィルタ31はフレキシブルバッグ51内の細胞培養内で浮遊している。本発明による流体ポート1は、フレキシブルバッグ51の壁のポート55への管類53によりかつさらには廃棄物バッグ57への管類により、その第2の流体接続部5により接続されている。細胞培養からの廃棄物が、灌流フィルタ31を通して、かつさらには流体ポート1を通して、破棄物バッグ57へ濾過されて除去され得るように、流体ポート1の接続面13は灌流フィルタ31の最上層37に当接して封止されており、最上層37の開口部が流体ポート1の第1の流体接続部3と一致している。先行技術では、そのような灌流フィルタが、従来のエルボコネクタが取り付けられている従来のポートを含む。フレキシブルバッグの内部に設けられている従来のエルボコネクタを用いると、前述のように壁がエルボコネクタと接触した時にフレキシブルバッグの壁が損傷するリスクがある。本発明による流体ポート1は、それが、例えばフレキシブルバッグの壁を損傷から保護する保護キャップ11をもたらすこと、および、それが、そのポートがエルボコネクタのように流動を略90度逸らす、灌流フィルタの統合流体ポートであること、すなわち流動を逸らすための追加ポートが回避されることの両方の理由で有利である。
【0031】
図5は、バッグの内部に浸漬管73を含むフレキシブルバッグ71を概略的に示し、前記浸漬管は、本発明の一実施形態による流体ポート1によりフレキシブルバッグの外側に接続されている。浸漬管73が、フレキシブルバッグ71から細胞培養75を採取するために使用され得る。浸漬管73は、本例では、流体ポート1の第2の流体接続部5に接続されている。該流体ポート1は、本例では、フレキシブルバッグ71の内壁77に当接して封止されている。開口部が、流体ポート1の第1の流体接続部3と一致して、該壁77を貫通して設けられている。これにより、保護キャップ11は、フレキシブルバッグ71の反対側の壁を損傷から保護する。第1の流体接続部3と比較して第2の流体接続部5の垂直方向は、浸漬管73の接続および細胞培養の採取に関して有利である可能性がある。採取管が、フレキシブルバッグ71の外面上で流体ポート1の第1の流体接続部3に接続されている。
【0032】
図6は、本発明の一実施形態によるいくつかの流体ポート1を含むフレキシブルバッグ91を概略的に示す。該流体ポート1はフレキシブルバッグ91の外壁に当接して封止される。これらの流体ポート1は、フレキシブルバッグ内へのかつそこから外への流体交換を実現するために使用される。本例では、流体ポート1の接続面13はフレキシブルバッグの外壁に当接して封止され、これにより、保護キャップ11はフレキシブルバッグの外側に設けられる。該保護キャップ11は、可能性のある他の物体を、それらがフレキシブルバッグ91の流体ポート1に接触する時に損傷から保護する。例えば、多くのフレキシブルバッグ91が輸送または保管中に互いに重ねられた場合、保護キャップ11は他のフレキシブルバッグのフレキシブル壁に与えられる損傷のリスクを低減する。さらに、流体ポート1の内部で実現される流動の逸れは、接続およびスペースの節約に有利である可能性がある。管が、普通の流体コネクタのように表面に対して垂直である代わりに、フレキシブルバッグ91の表面に沿って接続され得る。
【0033】
記載され、図示されている流体ポートは任意の材料から形成され得るが、低密度もしくは高密度のポリエチレン、またはポリプロピレンなどの柔らかいプラスチックから形成されることが好ましい。可撓性を増大させる可塑剤が成形構造物内に含まれることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1、1' 流体ポート
3 第1の流体接続部
3' 第1の流体接続部、(流体ポート1'の)入り口
5、5' 第2の流体接続部
7、7' 中間流路
9、9' 直角曲げ
11、11' 保護キャップ
13、13' 接続面
14、14' 中心開口部
15 返し部
17 (保護キャップ11の)最上位置
18 切断縁部
19 (保護キャップ11の)外周面
31 灌流フィルタ
33 フィルタ膜
35 メッシュ
37 EVAフィルム、最上層、外側フィルム
51、71、91 フレキシブルバッグ
53 管類
55 ポート
57 廃棄物バッグ
73 浸漬管
75 細胞培養
77 (フレキシブルバッグ71の)内壁
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
図4
図5
図6