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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ダイコーターおよびその検査装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20231211BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20231211BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20231211BHJP
   G01B 21/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
B05C5/02 ZHV
B05C11/00
G01B21/00 A
G01B21/02 A
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2022541271
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 KR2021008655
(87)【国際公開番号】W WO2022014945
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087146
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085160
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ミュン・ハン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドク・ジュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジン・アン
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204892279(CN,U)
【文献】特開平09-094507(JP,A)
【文献】特開2002-018340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00-21/00
B05D1/00-7/26
G02B21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダイ、第2ダイおよび前記第1ダイと前記第2ダイとの間に形成されたシムを含むダイコーターを検査するダイコーター検査装置であって、
前記第1ダイの一面に、前記ダイコーターの長さ方向に長く固定されて形成されたレールと、
前記レールに沿って移動し、前記ダイコーターのリップまたは前記シムを検査する少なくとも一つのセンサアセンブリーとを含み、
前記センサアセンブリーは、
前記レールに沿って前記ダイコーターの長さ方向に移動する移動部と、
前記移動部と連結され、前記ダイコーターの厚さ方向に移動し、前記リップまたは前記シムを検査するセンサモジュールとを含む、ダイコーター検査装置。
【請求項2】
前記センサモジュールは、
前記リップの位置を感知する位置感知センサと、
前記リップまたは前記シムの高さを測定する距離感知センサとを含む、請求項1に記載のダイコーター検査装置。
【請求項3】
前記位置感知センサおよび前記距離感知センサは、互いに前記ダイコーターの長さ方向と平行に配置されている、請求項2に記載のダイコーター検査装置。
【請求項4】
前記位置感知センサは、光ファイバセンサ、フォトセンサ、近接センサおよびビジョンセンサのうち少なくとも一つを含み、
前記距離感知センサは、レーザ変位センサおよび超音波変位センサのうち少なくとも一つを含む、請求項2または3に記載のダイコーター検査装置。
【請求項5】
前記シムは、
前記第1ダイと前記第2ダイとの間の内部空間を複数に分離する少なくとも一つのガイドと、
前記ガイドの端部を連結し、前記ダイコーターの長さ方向に延在するベースとを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項6】
前記位置感知センサは、前記ガイドが存在しない第1経路に沿って移動し、
前記距離感知センサは、前記ガイドが存在する第2経路に沿って移動する、請求項5に記載のダイコーター検査装置。
【請求項7】
前記センサモジュールは、前記第1ダイから前記第2ダイに向かう方向に移動する、請求項2から6のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項8】
前記センサアセンブリーの動作を制御する制御部と、
前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データが格納されている格納部とをさらに含む、請求項2から7のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記センサモジュールが前記ダイコーターの厚さ方向に移動する度に前記センサモジュールの座標値を認識する第1エンコーダと、
前記位置感知センサが送信する信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信する信号に応じて、前記リップまたは前記シムの位置を判断する判断部と、
前記リップまたは前記シムの位置および前記座標値に基づいて演算し、前記リップの座標値または前記シムの座標値を導き出す演算部とを含む、請求項8に記載のダイコーター検査装置。
【請求項10】
前記位置感知センサは、前記リップの角を感知すると、前記受信部に送信する信号を第1信号から第2信号に変更する、請求項9に記載のダイコーター検査装置。
【請求項11】
前記第1エンコーダは、前記第1信号が前記第2信号に変更されると、前記センサモジュールの座標値を前記角の座標値として認識する、請求項10に記載のダイコーター検査装置。
【請求項12】
前記格納部は、前記第1エンコーダが認識した前記角の座標値を格納する、請求項11に記載のダイコーター検査装置。
【請求項13】
前記判断部は、前記受信部が前記第2信号を受信すると、前記角を境界として前記リップまたは前記シムの位置を判断する、請求項11または12に記載のダイコーター検査装置。
【請求項14】
前記演算部は、前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データを前記格納部からロードし、前記リップまたは前記シムの位置を反映して、前記角の座標値と前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データを演算することで、前記リップまたは前記シムの座標値を導き出す、請求項11から13のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項15】
前記演算部は、前記角の座標値に対して、前記リップまたは前記シムの厚さの半分を演算し、前記リップまたは前記シムの座標値を導き出す、請求項14に記載のダイコーター検査装置。
【請求項16】
前記格納部は、導き出された前記リップまたは前記シムの座標値を格納する、請求項14または15に記載のダイコーター検査装置。
【請求項17】
前記センサモジュールは、導き出された前記リップまたは前記シムの座標値に該当する位置に移動する、請求項14から16のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項18】
前記距離感知センサは、前記リップまたは前記シムの座標値に該当する位置で、前記リップまたは前記シムの高さを測定する、請求項17に記載のダイコーター検査装置。
【請求項19】
前記格納部は、前記リップまたは前記シムの高さの測定データを格納する、請求項18に記載のダイコーター検査装置。
【請求項20】
前記格納部は、前記リップまたは前記シムの高さに関する基準データを格納している、請求項18または19に記載のダイコーター検査装置。
【請求項21】
前記判断部は、前記リップまたは前記シムの高さの測定データと、前記リップまたは前記シムの高さに関する基準データとを比較して不良有無を判断する、請求項20に記載のダイコーター検査装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記移動部が前記レールに沿って前記ダイコーターの長さ方向に移動する度に前記移動部の座標値を認識する第2エンコーダをさらに含む、請求項9から21のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項23】
前記レールは、前記第1ダイの一面に結合して形成されている、請求項1から22のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項24】
前記レールは、前記第1ダイの一面に一体に形成されている、請求項1から22のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項25】
前記レールは、前記第1ダイの一面に埋め込まれて形成されている、請求項1から22のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項26】
前記センサアセンブリーは、複数形成されている、請求項1から25のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項27】
前記センサモジュールの高さは、前記リップとコーティング対象になる基材との間隔より小さい、請求項1から26のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項28】
前記移動部は、前記センサアセンブリーを前記ダイコーターの厚さ方向に移動させるロッドを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項29】
前記移動部は、前記ダイコーターの長さ方向と平行な軸を中心に回転する回転部を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項30】
前記移動部は、前記レールから脱着される、請求項1から29のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項31】
前記センサモジュールは、
前記ダイコーターをスキャンして前記ダイコーターの厚さ方向に前記リップと前記シムの形状を二次元的に検出する2次元ラインセンサと、
前記2次元ラインセンサを介して検出されたリップの角からシムの角までの測定高さ値と設定高さ値を比較して不良有無を検査する検査部とを含む、請求項1から30のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項32】
前記検査部は、前記2次元ラインセンサを介して検出されたリップとシムの形状を用いて2個以上のダイ配列状態を検査する、請求項31に記載のダイコーター検査装置。
【請求項33】
前記検査部は、前記2次元ラインセンサを介して検出されたリップの角が同じ水平線上に位置するかを検査する、請求項31または32に記載のダイコーター検査装置。
【請求項34】
前記検査部は、前記2次元ラインセンサを介して検出されたリップの角と前記シムの角を用いてシムの厚さを測定し、前記シムの厚さにより吐出ギャップを検査する、請求項31から33のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項35】
前記2次元ラインセンサは、設定された時間ごとに前記ダイコーターをスキャンして前記リップの角と前記シムの角の形状を連続して検出し、
前記検査部は、前記2次元ラインセンサを介して連続して測定された前記リップの角に対する位置変化または前記シムの角に対する位置変化によって前記第1ダイと前記第2ダイと前記シムの摩耗度を検査する、請求項31から34のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項36】
前記検査部は、前記2次元ラインセンサを介して検出されたリップと前記シムの形状を拡大して表面粗さを検査する、請求項31から35のいずれか一項に記載のダイコーター検査装置。
【請求項37】
外部にスラリーを供給する第1ダイおよび第2ダイと、
前記第1ダイと前記第2ダイとの間に形成されたシムとを含み、
前記第1ダイの一面には、レールが長さ方向に長く固定されて形成されていて、
前記レールに沿って移動し、リップまたは前記シムを検査する少なくとも一つのセンサアセンブリーをさらに含み、
前記センサアセンブリーは、
前記レールに沿って長さ方向に移動する移動部と、
前記移動部と連結され、厚さ方向に移動し、前記リップを検査するセンサモジュールとを含む、ダイコーター。
【請求項38】
前記センサアセンブリーの動作を制御する制御部をさらに含請求項37に記載のダイコーター。
【請求項39】
前記センサモジュールは、
前記リップの位置を感知する位置感知センサと、
前記リップまたは前記シムの高さを測定する距離感知センサとを含む、請求項37または38に記載のダイコーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月14日付けの韓国特許出願第10-2020-0087146号および2021年6月29日付けの韓国特許出願第10-2021-0085160号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、ダイコーターおよびその検査装置に関し、より詳細には、リップの位置を精密に測定してダイとシムの組立不良有無を判断することができ、別の検査ラインを設ける必要なく生産ラインに装着された状態ですぐ検査することができるダイコーターおよびその検査装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池およびリチウムイオンポリマー電池などがある。このような二次電池は、デジタルカメラ、ポータブルDVDプレイヤー(P‐DVD)、MP3プレイヤー(MP3P)、携帯電話、PDA、携帯型ゲーム装置(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)および電動自転車(E‐bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力を要する大型製品と余剰発電電力や新再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置とバックアップ用電力貯蔵装置にも適用され使用されている。
【0004】
このような二次電池を製造するために、先ず、電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極と負極を製造し、これをセパレータ(Separator)の両側に積層することで、所定の形状の電極組立体(Electrode Assembly)を形成する。また、電池ケースに電極組立体を収納し、電解質を注入した後、シーリングする。
【0005】
正極と負極などの電極は、電極集電体に電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体および負極集電体などの電極集電体に塗布した後、これを乾燥し、プレスして製造されることができる。このようなスラリーを電極集電体に塗布するために、ダイコーター(Die Coater)を使用する。
【0006】
ダイコーターは、一般的に、第1ダイ、シムおよび第2ダイを含み、第1ダイと第2ダイとの間にシムを介在した状態で、第1ダイと第2ダイを組み立てて形成されることができる。この際、第1ダイと第2ダイとの間に第3ダイがさらに含まれることもでき、このような場合には、第1ダイと第3ダイとの間に第1シム、第2ダイと第3ダイとの間に第2シムが介在されることもできる。すなわち、ダイコーターには、様々な個数のダイとシムが含まれることができる。
【0007】
このようなダイコーターは、前記スラリーなどが吐出される吐出口の間隔が非常に狭い。しかし、組立公差などによってこのような間隔が設計された間隔と相違すると、電極集電体などに塗布されるスラリーなどの量も設計値と大きく相違する。そのため、生産された電極の品質が設計された品質と相違し得る。
【0008】
もしくは、ダイコーターが一度組み立てられた後にも、長期使用すると、内部洗浄などのためにダイとシムを互いに分解した後、また再組立することができる。しかし、このような過程で、第1ダイの第1リップ、シムのガイドおよび第2ダイの第2リップの位置が定位置からずれることもある。そのため、同じダイコーターを使用して電極を製造しても、再組立の前と後の電極の品質が相違し得る。
【0009】
したがって、このような組立公差などを減少させるために、従来、ダイコーターのリップにユーザが直接マイクロメータを接触して、第1リップ、シムおよび第2リップの高さと、これらの間の間隔などを測定した。しかし、このようなリップの間の吐出口の間隔が非常に狭いため、ユーザがこれを直接接触して測定することが容易でなく、測定するユーザごとに測定される結果も相違し、誤差がより大きくなる問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、リップの位置を精密に測定してダイとシムの組立不良有無を判断することができ、別の検査ラインを設ける必要なく生産ラインに装着された状態ですぐ検査することができるダイコーターおよびその検査装置を提供することである。
【0011】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明の実施形態によるダイコーター検査装置は、第1ダイ、第2ダイおよび前記第1ダイと前記第2ダイとの間に形成されたシムを含むダイコーターを検査する装置であって、前記第1ダイの一面に、前記ダイコーターの長さ方向に長く固定されて形成されるレールと、前記レールに沿って移動し、前記ダイコーターのリップまたは前記シムを検査する少なくとも一つのセンサアセンブリーとを含み、前記センサアセンブリーは、前記レールに沿って前記ダイコーターの長さ方向に移動する移動部と、前記移動部と連結され、前記ダイコーターの厚さ方向に移動し、前記リップまたは前記シムを検査するセンサモジュールとを含む。
【0013】
また、前記センサモジュールは、前記リップの位置を感知する位置感知センサと、前記リップまたは前記シムの高さを測定する距離感知センサとを含むことができる。
【0014】
また、前記位置感知センサおよび前記距離感知センサは、互いに前記ダイコーターの長さ方向と平行に配置されることができる。
【0015】
また、前記位置感知センサは、光ファイバセンサ、フォトセンサ、近接センサおよびビジョンセンサのうち少なくとも一つを含み、前記距離感知センサは、レーザ変位センサおよび超音波変位センサのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
また、前記シムは、前記第1ダイおよび前記第2ダイの間の内部空間を複数に分離する少なくとも一つのガイドと、前記ガイドの端部を連結し、前記ダイコーターの長さ方向に延在するベースとを含むことができる。
【0017】
また、前記位置感知センサは、前記ガイドが存在しない第1経路に沿って移動し、前記距離感知センサは、前記ガイドが存在する第2経路に沿って移動することができる。
【0018】
また、前記センサモジュールは、前記第1ダイから前記第2ダイに向かう方向に移動することができる。
【0019】
また、前記センサアセンブリーの動作を制御する制御部と、前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データが格納されている格納部とをさらに含むことができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記センサモジュールが前記ダイコーターの厚さ方向に移動する度に前記センサモジュールの座標値を認識する第1エンコーダと、前記位置感知センサが送信する信号を受信する受信部と、前記受信部が受信する信号に応じて、前記リップまたは前記シムの位置を判断する判断部と、前記リップまたは前記シムの位置および前記座標値に基づいて演算し、前記リップの座標値または前記シムの座標値を導き出す演算部とを含むことができる。
【0021】
また、前記位置感知センサは、前記リップの角を感知すると、前記受信部に送信する信号を第1信号から第2信号に変更することができる。
【0022】
また、前記第1エンコーダは、前記第1信号が前記第2信号に変更されると、前記センサモジュールの座標値を前記角の座標値として認識することができる。
【0023】
また、前記格納部は、前記第1エンコーダが認識した前記角の座標値を格納することができる。
【0024】
また、前記判断部は、前記受信部が前記第2信号を受信すると、前記角を境界として前記リップまたは前記シムの位置を判断することができる。
【0025】
また、前記演算部は、前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データを前記格納部からロードし、前記リップまたは前記シムの位置を反映して、前記角の座標値と前記リップまたは前記シムの厚さに関する基準データを演算することで、前記リップまたは前記シムの座標値を導き出すことができる。
【0026】
また、前記演算部は、前記角の座標値に対して、前記リップまたは前記シムの厚さの半分を演算し、前記リップまたは前記シムの座標値を導き出すことができる。
【0027】
また、前記格納部は、導き出された前記リップまたは前記シムの座標値を格納することができる。
【0028】
また、前記センサモジュールは、導き出された前記リップまたは前記シムの座標値に該当する位置に移動することができる。
【0029】
また、前記距離感知センサは、前記リップまたは前記シムの座標値に該当する位置で、前記リップまたは前記シムの高さを測定することができる。
【0030】
また、前記格納部は、前記リップまたは前記シムの高さの測定データを格納することができる。
【0031】
また、前記格納部は、前記リップまたは前記シムの高さに関する基準データが格納されることができる。
【0032】
また、前記判断部は、前記リップまたは前記シムの高さの測定データと、前記リップまたは前記シムの高さに関する基準データとを比較して不良有無を判断することができる。
【0033】
また、前記制御部は、前記移動部が前記レールに沿って前記ダイコーターの長さ方向に移動する度に前記移動部の座標値を認識する第2エンコーダをさらに含むことができる。
【0034】
また、前記レールは、前記第1ダイの一面に結合して形成されることができる。
【0035】
また、前記レールは、前記第1ダイの一面に一体に形成されることができる。
【0036】
また、前記レールは、前記第1ダイの一面に埋め込まれて形成されることができる。
【0037】
また、前記センサアセンブリーは、複数形成されることができる。
【0038】
また、前記センサモジュールの高さは、前記リップとコーティング対象になる基材との間隔より小さいことができる。
【0039】
また、前記移動部は、前記センサアセンブリーを前記ダイコーターの幅方向に移動させるロッドを含むことができる。
【0040】
また、前記移動部は、前記ダイコーターの長さ方向と平行な軸を中心に回転する回転部を含むことができる。
【0041】
また、前記移動部は、前記レールから脱着されることができる。
【0042】
また、前記センサモジュールは、前記ダイコーターをスキャンして前記ダイコーターの幅方向に前記リップと前記シムの形状を二次元的に検出する2D(2次元)ラインセンサと、前記2Dラインセンサを介して検出されたリップの角からシムの角までの測定高さ値と設定高さ値を比較して不良有無を検査する検査部とを含むことができる。
【0043】
また、前記検査部は、前記2Dラインセンサを介して検出されたリップとシムの形状を用いて2個以上のダイ配列状態を検査することができる。
【0044】
また、前記検査部は、前記2Dラインセンサを介して検出されたリップの角が同じ水平線上に位置するかを検査することができる。
【0045】
また、前記検査部は、前記2Dラインセンサを介して検出されたリップの角と前記シムの角を用いてシムの厚さを測定し、前記シムの厚さにより吐出ギャップを検査することができる。
【0046】
また、前記2Dラインセンサは、設定された時間ごとに前記ダイコーターをスキャンして前記リップの角と前記シムの角の形状を連続して検出し、前記検査部は、前記2Dラインセンサを介して連続して測定された前記リップの角に対する位置変化または前記シムの角に対する位置変化によって前記ダイと前記シムの摩耗度を検査することができる。
【0047】
また、前記検査部は、前記2Dラインセンサを介して検出されたリップと前記シムの形状を拡大して表面粗さを検査することができる。
【0048】
上記課題を解決するための本発明の実施形態によるダイコーターは、外部にスラリーを供給する第1ダイおよび第2ダイと、前記第1ダイと前記第2ダイとの間に形成されたシムとを含み、前記第1ダイの一面には、レールが長さ方向に長く固定されて形成される。
【0049】
また、前記レールに沿って移動し、リップまたは前記シムを検査する少なくとも一つのセンサアセンブリーと、前記センサアセンブリーの動作を制御する制御部とをさらに含み、前記センサアセンブリーは、前記レールに沿って長さ方向に移動する移動部と、前記移動部と連結され、厚さ方向に移動し、前記リップを検査するセンサモジュールとを含むことができる。
【0050】
また、前記センサモジュールは、前記リップの位置を感知する位置感知センサと、前記リップまたは前記シムの高さを測定する距離感知センサとを含むことができる。
【0051】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0052】
本発明の実施形態によると、少なくとも以下のような効果がある。
【0053】
ダイコーター検査装置が、ダイコーターの第1ダイの一面に形成されることから、ユーザが直接測定するか別にセッティングする必要がなく、リップの高さと間隔などの測定が容易であり、誤差を減少させてダイとシムの組立不良有無を正確に判断することができる。
【0054】
また、ダイコーターを別の検査ラインに移動させる必要がなく、ダイコーターが生産ラインに装着された状態ですぐダイコーターを検査することができ、検査時間を短縮し、生産効率を増大させることもできる。
【0055】
また、ダイコーター検査装置がリップとシムの位置と高さを自動で感知できることから検査が容易であり、ユーザごとに測定される結果が相違して誤差が大きくなる問題を防止することができる。
【0056】
本発明による効果は、以上で例示されている内容によって制限されず、より様々な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の一実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるダイコーター2の組立図である。
図3】本発明の一実施形態によるダイコーターの検査方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態によるダイコーター2のリップ22を拡大した側面拡大図である。
図5】本発明の一実施形態によるダイコーター検査装置1のブロック図である。
図6】本発明の一実施形態によるダイコーター2のリップ22を拡大した上面拡大図である。
図7】本発明の他の実施形態によるダイコーター2aとダイコーター検査装置1aの斜視図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2bとダイコーター検査装置1の斜視図である。
図9】本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1cの斜視図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1dの斜視図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1eの斜視図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1fの斜視図である。
図13図12のダイコーター2を図示した側面拡大図である。
図14】ダイコーターを二次元的にスキャンしたイメージを図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の利点および特徴、また、それらを達成する方法は、添付の図面とともに詳細に後述している実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に実現されることができ、ただし、本実施形態は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書の全体にわたり同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0059】
他の定義がなければ、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が共通して理解することができる意味で使用されることができる。また、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特別に定義されていない限り、理想的にもしくは過剰に解釈されない。
【0060】
本明細書で使用されている用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数型は、句で特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で使用される「含む」や「含み」等は、言及された構成要素の他に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0061】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0062】
図1は本発明の一実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1の斜視図である。
【0063】
本発明の一実施形態によると、ダイコーター検査装置1がダイコーター2の第1ダイ211の一面に形成されることから、ユーザが直接測定したり別にセッティングしたりする必要がなく、リップ22(図4に図示されている)の高さと間隔などの測定が容易であり、誤差を減少させて、ダイ21とシム23(図2に図示されている)の組立不良有無を正確に判断することができる。また、ダイコーター2を別の検査ラインに移動させる必要がなく、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態ですぐダイコーター2を検査することができ、検査時間を短縮し、生産効率を増大させることもできる。また、ダイコーター検査装置1がリップ22とシム23の位置と高さを自動で感知することができ、検査が容易であり、ユーザごとに測定される結果が相違して誤差が大きくなる問題を防止することができる。
【0064】
このために、本発明の一実施形態によるダイコーター検査装置1は、第1ダイ211(図2に図示されている)と、第2ダイ212(図2に図示されている)と、前記第1ダイ211と前記第2ダイ212との間に形成されたシム23とを含むダイコーター2を検査する装置であって、前記第1ダイ211の一面に、前記ダイコーター2の長さ方向に長く固定されて形成されるレール11と、前記レール11に沿って移動し、前記ダイコーター2のリップ22または前記シム23を検査する少なくとも一つのセンサアセンブリー12とを含み、前記センサアセンブリー12は、前記レール11に沿って前記ダイコーター2の長さ方向に移動する移動部121と、前記移動部121と連結され、前記ダイコーター2の厚さ方向に移動し、前記ダイ21のリップ22または前記シム23を検査するセンサモジュール122とを含む。
【0065】
また、本発明の一実施形態によるダイコーター2は、外部にスラリーを供給する第1ダイ211および第2ダイ212と、前記第1ダイ211と前記第2ダイ212との間に形成されたシム23とを含み、前記第1ダイ211の一面には、長さ方向に長くレール11が固定されて形成される。また、前記レール11に沿って移動し、リップ22または前記シム23を検査する少なくとも一つのセンサアセンブリー12と、前記センサアセンブリー12を動作を制御する制御部13とをさらに含み、前記センサアセンブリー12は、前記レール11に沿って長さ方向に移動する移動部121と、前記移動部121と連結され、厚さ方向に移動し、前記リップ22を検査するセンサモジュール122とを含むことができる。
【0066】
レール11は、前記ダイコーター2の長さ方向に長く形成される。また、センサアセンブリー12の移動部121が前記レール11に沿って移動する。このようなレール11は、第1ダイ211の一面に固定されて形成されることで、ダイコーター2とレール11が簡単に分離されるか、互いに位置が簡単にずれないことができる。これにより、ユーザがダイコーター2のリップ22を直接測定するかセンサを別にセッティングする必要がないため、センサアセンブリー12がダイコーター2の吐出口側に形成されたリップ22またはシム23を容易に検査することができる。また、ユーザごとに測定される結果が相違しないことから、誤差を減少させて、ダイ21とシム23の組立不良有無を正確に判断することができる。本発明の一実施形態によると、レール11が第1ダイ211の一面にボルトまたはリベットなどの別の結合部(図示せず)を介して結合して形成されることができ、これに制限されず、様々な方法で第1ダイ211の一面に結合することができる。
【0067】
センサアセンブリー12は、レール11に沿ってダイコーター2の長さ方向に移動する移動部121と、移動部121と連結され、ダイ21のリップ22またはシム23を検査するセンサモジュール122とを含む。
【0068】
移動部121は、レール11に沿ってダイコーター2の長さ方向に移動し、特に、移動部121がレール11に沿って摺動することができる。このために、レール11と移動部121は、互いにスライド結合することができ、さらには、レール11または移動部121のうち少なくとも一つには、輪またはローラが形成されることもできる。
【0069】
センサモジュール122は、ダイコーター2の厚さ方向に移動し、リップ22またはシム23を検査することができる。上述のように、組立公差などによってリップ22またはシム23の高さや位置が設計値と相違すると、生産された電極の品質が設計された品質と相違し得る。このために、センサモジュール122は、リップ22またはシム23の高さを測定し、このような組立公差の大きさによりダイコーター2の不良有無を判断することができる。センサモジュール122は、移動部121と連結され、移動部121がレール11に沿って移動すると、ダイコーター2の長さ方向にもともに移動する。これにより、ダイ21のリップ22またはシム23の直進度を検査することもできる。また、センサモジュール122がダイコーター2のリップ22またはシム23を検査する時に、前記移動部121がレール11に沿って移動しながら様々な位置でリップ22またはシム23を検査することができる。
【0070】
本発明の一実施形態によると、センサモジュール122は、非接触式センサを含み、リップ22またはシム23の高さを測定する。これにより、ユーザが直接リップ22に接触する必要がなく、誤差が発生する問題を防止することができる。また、センサモジュール122が含まれたセンサアセンブリー12は、レール11に沿って移動し、レール11は、第1ダイ211の一面に固定されて形成されるため、センサモジュール122がダイコーター2と分離されない。したがって、ダイコーター2を別の検査ラインに移して測定した後、また生産ラインに移す過程を行う必要がなく、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態ですぐダイコーター2を検査することができ、検査時間を短縮し、生産効率を増大させることもできる。このようなセンサモジュール122に関する詳細な説明は後述する。
【0071】
図2は本発明の一実施形態によるダイコーター2の組立図である。
【0072】
ダイコーター2は、外部からスラリーの提供を受けて前記スラリーを外部に供給し、電極集電体などの基材に所定の方向に長く連続して塗布する。このために、本発明の一実施形態によるダイコーター2は、図2に図示されているように、外部にスラリーを供給する第1ダイ211および第2ダイ212と、前記第1ダイ211と前記第2ダイ212との間に形成されたシム23とを含み、前記第1ダイ211の一面には、レール11が長さ方向に長く固定されて形成される。これにより、ダイコーター2とレール11が簡単に分離されるか互いに位置が簡単にずれないこともできる。
【0073】
ダイ21は、外部から提供されるスラリーを電極集電体などの基材の少なくとも一面に塗布する。この際、図2に図示されているように、ダイ21は、2個が形成され、ダイコーター2は、第1ダイ211と第2ダイ212との間に一つのシム23を介在した状態で、第1ダイ211と第2ダイ212を組み立てて形成されることができる。ただし、これに制限されず、ダイコーター2は、第1ダイ211と第2ダイ212との間に第3ダイ213(図4に図示されている)をさらに含むこともでき、このような場合には、第1ダイ211と第3ダイ213との間に第1シム233(図4に図示されている)、第2ダイ212と第3ダイ213との間に第2シム234(図4に図示されている)が介在されることもできる。すなわち、ダイコーター2に含まれるダイ21とシム23は、個数が制限されず様々であり得る。
【0074】
第1ダイ211および第2ダイ212は、図2に図示されているように、互いに対称する角錐台の形状を有し、角錐台の底面に対応する第1ダイ211および第2ダイ212の一面が互いに対向して組み立てられる。また、第1ダイ211および第2ダイ212の少なくとも一つには、外部からスラリーの供給を受ける供給孔(図示せず)が形成される。このような供給孔を介して外部から供給されたスラリーは、第1ダイ211と第2ダイ212の内部に形成された内部空間(図示せず)に貯蔵される。
【0075】
仮に、ダイコーター2が第3ダイ213をさらに含む場合、第3ダイ213は、薄い長方形プレート形状を有することができる。また、シム23も2個が形成され、第1ダイ211と第3ダイ213との間に第1シム233、第2ダイ212と第3ダイ213との間に第2シム234が介在される。このような場合には、第1ダイ211と第2ダイ212にいずれも供給孔(図示せず)が形成されることができ、第1ダイ211と第3ダイ213の内部に第1内部空間(図示せず)が形成され、第2ダイ212と第3ダイ213の内部には第2内部空間(図示せず)が形成されることができる。したがって、それぞれの供給孔を介して外部から供給されたスラリーは、第1内部空間および第2内部空間にそれぞれ貯蔵される。
【0076】
ダイコーター用シム(Shim)23は、第1ダイ211と第2ダイ212との間の内部空間を複数に分離する少なくとも一つのガイド231と、ガイド231の端部を連結するベース232とを含む。ベース232は、少なくとも一つのガイド231の端部を連結することで、複数のガイド231を支持する。また、このような少なくとも一つのガイド231の端部から一側方、特に、ダイコーター2の長さ方向に延在する。したがって、前記ベース232は、単純な長方形の形状に形成されることもできるが、これに制限されず、スラリーの塗布量を調節するために様々な形状を有することができる。
【0077】
少なくとも一つのガイド231は、それぞれ所定の幅を有し、互いに平行に形成される。また、ダイ21の内部には、スラリーを貯蔵する内部空間が形成され、ガイド231は、このような内部空間を複数に分離する。前記内部空間に貯蔵されたスラリーは、ガイド231に沿ってダイコーター2の内部で流動し、吐出口を介して外部に吐出される。このような吐出口は、薄く且つ長く形成され、ダイコーター2と基材が一定な速度で互いに相対的に移動することで、スラリーが基材に広く且つ均一に塗布されることができる。
【0078】
スラリーが吐出口を介して吐出されて基材に塗布されると、前記ガイド231によって基材の一部分がスラリーで塗布されない未塗布部が形成されることができる。これにより、基材には、スラリーの塗布部と未塗布部がいずれも所定の幅を有して一方向に長く形成されるストライプ(Stripe)パターンに形成されることができる。このようなストライプパターンに塗布部と未塗布部を形成することで、以降、ユーザが適当な大きさに電極を切断する時に、未塗布部が電極タブとなり、電極タブを製造することが容易である。また、塗布部と未塗布部の幅を調節することで、電極を切断する時に、電極および電極タブの大きさも調節することができる。
【0079】
以下、本発明の一実施形態によるダイコーター2は、ダイ21が3個、シム23が2個であるものと説明する。ただし、これは説明の便宜のためであり、権利範囲を制限するためではない。
【0080】
図3は本発明の一実施形態によるダイコーターの検査方法のフローチャートである。
【0081】
上述のダイコーター検査装置1を用いる本発明の一実施形態によるダイコーターの検査方法は、第1ダイ211と、第2ダイ212と、前記第1ダイ211と前記第2ダイ212との間に形成されたシム23とを含むダイコーター2を検査する方法であって、位置感知センサ1221を含むセンサモジュール122が移動するステップと、前記位置感知センサ1221が前記ダイコーター2のリップ22の角を感知するステップと、前記角の座標値を認識するステップと、前記角の座標値と前記リップ22または前記シム23の厚さl1~l5(図6に図示されている)に関する基準データを演算し、前記リップ22またはシム23の座標値を導き出すステップと、前記センサモジュール122が前記リップ22または前記シム23の座標値に該当する位置に移動するステップと、前記センサモジュール122に含まれた距離感知センサ1222が前記リップ22または前記シム23の高さを測定するステップと、前記リップ22または前記シム23の高さの測定データを格納部14に格納するステップと、前記リップ22または前記シム23の高さの測定データに基づいて前記ダイコーター2の不良有無を判断するステップとを含む。
【0082】
以下、図3のフローチャートに図示されている各ステップについて、図4図6を参照して具体的に説明する。
【0083】
図4は本発明の一実施形態によるダイコーター2のリップ22を拡大した側面拡大図である。
【0084】
上述のように、センサモジュール122は、ダイコーター2の厚さ方向に移動し、リップ22またはシム23を検査することができる。本発明の一実施形態によると、このようなセンサモジュール122は、前記リップ22の位置を感知する位置感知センサ1221と、前記リップ22または前記シム23の高さを測定する距離感知センサ1222とを含む。
【0085】
位置感知センサ1221は、センサモジュール122がダイコーター2の厚さ方向に移動する時に、リップ22の位置を感知し、特に、リップ22の角を感知することで、リップ22の位置を感知することができる。このような位置感知センサ1221は、光ファイバセンサ、フォトセンサ、近接センサおよびビジョンセンサのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0086】
特に、光ファイバセンサ(Fiber Optic Sensor)は、ガラス繊維を用いて製作され、近接した物体を非接触で感知するセンサである。このような光ファイバセンサは、ガラス繊維自体が光を感知することもでき、別の素子が光を収容すると、それに関する信号をガラス繊維ケーブルが伝達することもできる。光ファイバセンサは、一般的なフォトセンサとは異なり、レンズが除去されることができるため、超小型に製作が可能であり、狭い場所にも容易に設置することができる。このような光ファイバセンサとしては、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)、OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)、BOTDA(Brillouin Optical Time Domain Analysis)、BOCDA(Brillouin Optical Corelation Domain Analysis)などがある。
【0087】
図4に図示されているように、一般的に、ダイコーター2がスラリーを塗布するコーティング対象になる基材(図示せず)は、平面に載置されることもできるが、図4に図示されているように、ローラ3に載置されて通過することもできる。この際、基材自体の厚さを無視することができれば、ダイ21のリップ22と前記基材との間隔gが略10cmである。センサモジュール122の高さhは、このようなリップ22と基材との間隔gより小さいときに、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態でもセンサモジュール122がダイコーター2の厚さ方向に移動することができる。これにより、ダイコーター2を別の検査ラインに移して測定してからまた生産ラインに移す過程を行う必要がなく、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態ですぐダイコーター2を検査することができる。したがって、本発明の一実施形態によると、センサモジュール122の高さhは、リップ22とコーティング対象になる基材との間隔gより小さく、略8cmより小さいことができる。また、センサモジュール122が、前記リップ22とコーティング対象になる基材との間において、他の構成に接触するか干渉を受けることなく移動することが好ましい。したがって、これを調節するために、本発明の一実施形態による移動部121は、センサアセンブリー12をダイコーター2の幅方向に移動させるロッドを含むことができる。
【0088】
本発明の一実施形態による位置感知センサ1221は、超小型に製作されることができ、非接触式でリップ22の位置を感知し、センサモジュール122が移動する途中にもリップ22の位置を迅速かつ正確に感知しなければならない。このために、本発明の一実施形態による位置感知センサ1221は、光ファイバセンサであることが好ましい。特に、ダイ21の内部には、センサを別に設置することができないため、投光部と受光部が別に形成されず、いずれも一つのセンサ本体に形成された反射型センサであることが好ましい。
【0089】
距離感知センサ1222は、以降、リップ22またはシム23の座標値を導き出すと、前記リップ22またはシム23の座標値に該当する位置でリップ22またはシム23の高さを測定する。このような距離感知センサ1222としては、一般的な反射型変位センサを使用することができ、レーザ変位センサおよび超音波変位センサのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0090】
特に、レーザ変位センサは、レーザ送信部がレーザを送信すると、当該物体に反射して戻り受信するまでの所要時間を用いて特定の距離を測定する。本発明の一実施形態による距離感知センサ1222は、レーザ変位センサであることが好ましい。
【0091】
図5は本発明の一実施形態によるダイコーター検査装置1のブロック図である。
【0092】
本発明の一実施形態によるダイコーター検査装置1は、第1ダイ211と、第2ダイ212と、前記第1ダイ211と前記第2ダイ212との間に形成されたシム23とを含むダイコーター2を検査する装置であって、前記ダイコーター2の厚さ方向に移動し、前記ダイコーター2のリップ22または前記シム23を検査するセンサモジュール122と、前記センサモジュール122の動作を制御する制御部13と、前記リップ22または前記シム23の厚さl1~l5(図6に図示されている)に関する基準データが格納されている格納部14とを含み、前記センサモジュール122は、前記リップ22の位置を感知する位置感知センサ1221と、前記リップ22または前記シム23の高さを測定する距離感知センサ1222とを含み、前記制御部13は、前記センサモジュール122が前記ダイコーター2の厚さ方向に移動する度に前記センサモジュール122の座標値を認識する第1エンコーダ131と、前記位置感知センサ1221が送信する信号を受信する受信部132と、前記リップ22または前記シム23の位置を判断する判断部133と、前記座標値に基づいて演算し、前記リップ22の座標値または前記シム23の座標値を導き出す演算部134とを含む。
【0093】
制御部13は、センサアセンブリー12から信号を受信すると、それにしたがって、センサアセンブリー12の動作、すなわち、センサモジュール122と移動部121の動作を制御し、リップ22またはシム23の座標値を演算し、リップ22またはシム23の高さによりダイコーター2の不良有無を判断する。このような制御部13は、第1エンコーダ131と、受信部132と、判断部133と、演算部134とを含む。制御部13としては、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などを使用することが好ましいが、これに制限されず、様々な論理演算プロセッサが使用可能である。
【0094】
格納部14は、ダイコーター検査装置1の動作を処理および制御するためのプログラムと各プログラムの遂行中に発生する各種のデータまたは受信した信号などを格納する。このような格納部14には、リップ22またはシム23の厚さl1~l5に関する基準データが格納されており、リップ22またはシム23の高さに関する基準データも格納されている。また、格納部14は、第1エンコーダ131が角の座標値を認識すると、認識した角の座標値を格納し、以降、演算部134がリップ22またはシム23の座標値を導き出すと、このようなリップ22またはシム23の座標値を格納し、距離感知センサ1222がリップ22またはシム23の高さを測定すると、このようなリップ22またはシム23の高さの測定データも格納する。このような格納部14は、ダイコーター検査装置1に内蔵されることもできるが、別の格納サーバとして設けられることもできる。格納部14は、不揮発性メモリ装置および揮発性メモリ装置を含む。不揮発性メモリ装置は、体積が小さく且つ軽量であり、外部の衝撃に強いNANDフラッシュメモリであり、揮発性メモリ装置は、DDR SDRAMであることが好ましい。
【0095】
第1エンコーダ131は、センサモジュール122がダイコーター2の厚さ方向に移動する度に前記センサモジュール122の座標値を認識する。第1エンコーダ131は、センサモジュール122の座標値をリアルタイムで認識することが好ましく、この際、センサモジュール122の移動量を感知して座標に換算することで認識することができる。このような座標値は、任意に選定された基準から測定された相対的な座標であることができる。また、以降、位置感知センサ1221が受信部132に送信する第1信号が第2信号に変更されると、位置感知センサ1221がリップ22の角を感知したものであるため、その時のセンサモジュール122の座標値を前記角の座標値として認識することができる。
【0096】
受信部132は、位置感知センサ1221が送信する信号を受信する。前記位置感知センサ1221は、リップ22の角を感知すると受信部132に送信する第1信号を第2信号に変更する。これにより、制御部13にリップ22の角を感知したか否かを知らせることができる。
【0097】
判断部133は、受信部132が受信する信号に応じて、前記角を境界としてリップ22またはシム23の位置を判断する。すなわち、角を基準にセンサモジュール122の前方にはリップ22が位置するかまたはシム23が位置するか、また、センサモジュール122の後方にはリップ22が位置するかまたはシム23が位置するかを判断する。ここで、前方とは、センサモジュール122が移動する方向を指し、後方とは、センサモジュール122が移動する方向の反対方向を指す。また、以降、距離感知センサ1222がリップ22またはシム23の高さを測定すると、リップ22またはシム23の高さの測定データと、リップ22またはシム23の高さに関する基準データとを比較して不良有無を判断する。
【0098】
演算部134は、リップ22またはシム23の位置および前記座標値に基づいて演算し、前記リップ22の座標値または前記シム23の座標値を導き出す。具体的には、リップ22またはシム23の厚さl1~l5に関する基準データを格納部14からロードし、リップ22またはシム23の位置を反映して前記角の座標値とリップ22またはシム23の厚さl1~l5に関する基準データを演算することで、リップ22またはシム23の座標値を導き出す。特に、演算部134は、角の座標値に対して、リップ22またはシム23の厚さl1~l5の半分を演算することで、前記リップ22または前記シム23の座標値を導き出すことができる。この際、リップ22またはシム23の位置に応じて前記演算が変化する。仮に、角を基準にリップ22がセンサモジュール122の前方に、シム23が後方に位置した場合、演算部134は、角の座標値にリップ22の厚さl1~l3の半分を加算してリップ22の座標値を導き出す。また、角の座標値からシム23の厚さl4~l5の半分を減算してシム23の座標値を導き出す。
【0099】
制御部13は、第2エンコーダ135をさらに含むこともできる。第2エンコーダ135は、移動部121がレール11に沿ってダイコーター2の長さ方向に移動する度に移動部121の座標値を認識する。上述のように、センサモジュール122は、移動部121と連結され、移動部121がレール11に沿って移動すると、ダイコーター2の長さ方向にもともに移動する。これにより、ダイ21のリップ22またはシム23の直進度を検査することもできる。この際、第2エンコーダ135が移動部121の座標値を認識して、直進度の不良が発生した位置の座標値を認識することもできる。もしくは、シム23のガイド231が存在する部分の座標値と存在していない部分の座標値に関するデータをロードし、自動で当該座標に移動して、センサモジュール122がリップ22またはシム23の組立公差などを検査することができる。このような第2エンコーダ135は、移動部121の座標値をリアルタイムで認識することが好ましく、この際、移動部121の移動量を感知して座標に換算することで認識することができる。このような座標値は、任意の基準から測定された相対的な座標であることができる。
【0100】
今まで述べたセンサアセンブリー12、制御部13および格納部14の各構成要素は、メモリ上の所定の領域で行われるタスク、クラス、サブルーチン、プロセス、オブジェクト、実行スレッド、プログラムのようなソフトウェア(software)や、FPGA(field‐programmable gate array)やASIC(application‐specific integrated circuit)のようなハードウェア(hardware)で実現されることができ、また、前記ソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせからなることもできる。前記構成要素は、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に含まれていることもでき、複数のコンピュータにその一部が分散して分布されることもできる。
【0101】
また、各ブロックは、特定の論理的機能を実行するための一つ以上の実行可能なインストラクションを含むモジュール、セグメントまたはコードの一部を示すことができる。また、いくつかの代替実行例では、ブロックで言及した機能が順序から逸脱して発生することも可能である。例えば、連続して図示されている二つのブロックは、実は実質的に同時に行われることも可能であり、そのブロックが時々該当する機能に応じて逆順に行われることも可能である。
【0102】
図6は本発明の一実施形態によるダイコーター2のリップ22を拡大した上面拡大図である。
【0103】
上述のダイコーター検査装置1を用いてダイコーターの検査方法を行うためには、先ず、センサモジュール122がダイコーター2の厚さ方向に移動する(S301)。このようなセンサモジュール122は、図6に図示されているように、第1ダイ211から前記第2ダイ212に向かう方向に移動することができる。
【0104】
センサモジュール122は、位置感知センサ1221および距離感知センサ1222を含み、このような位置感知センサ1221および距離感知センサ1222は、図6に図示されているように、互いに前記ダイコーター2の長さ方向と平行に配置されることができる。また、上述のように、本発明の一実施形態によるダイコーター用シム23は、少なくとも一つのガイド231を含む。また、センサモジュール122は、このようなガイド231を通過するように移動し、この際、センサモジュール122で位置感知センサ1221は、ガイド231が存在しない第1経路R1に沿って移動し、センサモジュール122で距離感知センサ1222は、ガイド231が存在する第2経路R2に沿って移動することができる。これにより、位置感知センサ1221は、リップ22の存在可否によりリップ22の角を認識することができ、距離感知センサ1222は、リップ22の高さまたはシム23の高さを測定することができる。ここで、シム23の高さとは、シム23のガイド231の高さであることが好ましい。
【0105】
センサモジュール122がダイコーター2の厚さ方向に移動する途中に、位置感知センサ1221がリップ22の角を感知する(S302)。これにより、位置感知センサ1221は、制御部13の受信部132に送信する信号を第1信号から第2信号に変更する。
【0106】
光ファイバセンサまたはフォトセンサには、反射型センサと投受光型センサがある。反射型センサは、投光部と受光部がいずれも一つのセンサ本体に形成され、物体を感知すると、受光部に光が受信されるセンサである。また、投受光型センサは、投光部と受光部が別に設けられ、互いに対向して設置され、受光部が光を受信している間に物体を感知すると、受光部に受信していた光が遮断されるセンサである。上述のように、ダイ21の内部にはセンサを別に設置することができないため、本発明の一実施形態による位置感知センサ1221は、反射型センサであることが好ましい。
【0107】
一方、第1エンコーダ131は、センサモジュール122が移動する度にセンサモジュール122の座標値を認識する。制御部13の受信部132が位置感知センサ1221から前記第2信号を受信すると、その際、第1エンコーダ131は、センサモジュール122の座標値を角の座標値として認識する(S303)。また、格納部14は、前記角の座標値を格納する。
【0108】
例えば、センサモジュール122が、図6に図示されているように、第1ダイ211の第1リップ221の上方を通過しながら移動すると、位置感知センサ1221は、第1リップ221を感知しているため、受光部が光を受信するオン(On)信号を制御部13の受信部132に送信する。しかし、センサモジュール122が第1リップ221を全て通過すると、第1リップ221がそれ以上存在せず、第1ダイ211と第3ダイ213との間の第1シム233が介在された空間が現れる。しかし、上述のように、位置感知センサ1221は、シム23のガイド231が存在しない第1経路R1に沿って移動するため、位置感知センサ1221は、何も感知できなくなる。すなわち、位置感知センサ1221の受光部は、光を受信することができないため、オフ(Off)信号を受信部132に送信する。したがって、位置感知センサ1221の受光部が光を受信する状態からそれ以上光を受信することができない瞬間、センサモジュール122が通過する地点が第1リップ221の第1角2211である。また、位置感知センサ1221が受信部132に送信する信号がオン信号からオフ信号に変更される瞬間、第1エンコーダ131は、センサモジュール122の座標値を第1角2211の座標値として認識する。ここで、前記第1信号は、オン信号であり、前記第2信号は、オフ信号である。また、格納部14は、前記第1角2211の座標値を格納する。
【0109】
一方、センサモジュール122が、仮に、前記第1シム233が介在された空間の上方を通過しながら移動する場合、位置感知センサ1221は、何も感知することができないため、受光部が光を受信することができないオフ(Off)信号を制御部13の受信部132に送信する。しかし、センサモジュール122が前記第1シム233が介在された空間を全て通過すると、第3ダイ213の第3リップ223が現れる。これにより、位置感知センサ1221は、第3リップ223を感知し、受光部が光を受信するため、またオン(On)信号を受信部132に送信する。したがって、位置感知センサ1221の受光部が光を受信できなかった状態からまた光を受信する瞬間、センサモジュール122が通過する地点が第3リップ223の第2角2231である。また、位置感知センサ1221が受信部132に送信する信号がオフ信号からオン信号に変更される瞬間、第1エンコーダ131は、センサモジュール122の座標値を第2角2231の座標値として認識する。ここで、前記第1信号はオフ信号であり、前記第2信号はオン信号である。また、格納部14は、前記第2角2231の座標値を格納する。
【0110】
前記のような方法で、センサモジュール122の位置感知センサ1221は、ダイコーター2のリップ22の角を感知し、格納部14は、このような角の座標値を格納することができる。
【0111】
一方、制御部13の受信部132が位置感知センサ1221から前記第2信号を受信すると、判断部133は、前記感知された角を基準にリップ22またはシム23の位置を判断する。例えば、受信部132が受信する信号がオン信号からオフ信号に変更されると、位置感知センサ1221がリップ22を感知している途中にシム23が介在された空間が現れたものである。したがって、前記角を基準に、センサモジュール122の前方にはシム23が位置し、センサモジュール122の後方にはリップ22が位置する。一方、受信部132が受信する信号がオフ信号からオン信号に変更された場合、位置感知センサ1221がシム23が介在された空間を通過して何も感知することができなかった状態から、リップ22を感知したものである。したがって、前記角を基準に、センサモジュール122の前方にはリップ22が位置し、センサモジュール122の後方にはシム23が位置する。
【0112】
さらに、判断部133は、前記位置を判断したリップ22が第1リップ221~第3リップ223のうち如何なるリップ22であるかも判断し、シム23が第1シム233および第2シム234のうち如何なるシム23であるかも判断する。上述のように、センサモジュール122は、第1ダイ211から第2ダイ212に向かう方向に移動し、それぞれのリップ22の角の座標値が格納される。したがって、受信部132が受信する信号が最も先にオン信号からオフ信号に変更された場合、当該角は第1リップ221の角であり、第1リップ221の角を基準に前方には第1シム233が位置し、後方には第1リップ221が位置する。
【0113】
一方、格納部14には、リップ22またはシム23の厚さl1~l5に関する基準データも格納されている。したがって、判断部133が上記のようにリップ22またはシム23の位置を判断した後、演算部134が前記格納されたリップ22またはシム23の厚さに関する基準データを用いて、前記リップ22または前記シム23の座標値を導き出す。リップ22またはシム23の厚さl1~l5は、最初に製作する時から製作のための設計データが存在する。また、リップ22またはシム23が良品である場合には、このような設計データに誤差範囲内の厚さを有する。したがって、前記リップ22またはシム23の厚さに関する基準データは、前記設計データであることができる。
【0114】
演算部134は、格納部14から前記リップ22またはシム23の厚さl1~l5に関する基準データをロードする。また、前記角の座標値に対して、前記リップ22またはシム23の厚さの半分を演算し、前記リップ22またはシム23の座標値を導き出す(S304)。この際、前記リップ22またはシム23の位置を反映して演算する。
【0115】
例えば、第1角2211を基準に前方には第1シム233が位置し、後方には第1リップ221が位置するため、演算部134は、第1シム233の厚さl4と第1リップ221の厚さl1に関する基準データを格納部14からロードする。また、前記第1角2211の座標値に、第1シム233の厚さl4の半分を加算すると、第1シム233のピントの座標値が導き出され、これを第1シム233の座標値として定める。また、前記第1角2211の座標値から、第1リップ221の厚さl1の半分を減算すると、第1リップ221のピントの座標値が導き出され、これを第1リップ221の座標値として定める。
【0116】
前記のような方法で、演算部134は、ダイコーター2のすべてのリップ22とシム23の座標値を導き出すことができる。また、格納部14は、このようなリップ22とシム23の座標値を格納することができる。
【0117】
リップ22とシム23の座標値が導き出されたため、センサモジュール122は、このような座標値に該当する位置に移動する(S305)。また、センサモジュール122に含まれた距離感知センサ1222が、前記位置で、リップ22またはシム23の高さを測定する(S306)。距離感知センサ1222は、それぞれのリップ22またはシム23が距離感知センサ1222から離隔した距離を測定する。したがって、前記リップ22またはシム23の高さは、任意の基準から測定された相対的な高さであることができる。ただし、これに制限されず、距離感知センサ1222の地表面からの高さがすでに格納部14に格納されていると、前記リップ22またはシム23の高さは、地表面から測定された絶対的な高さであり得る。このように距離感知センサ1222がそれぞれのリップ22またはシム23の高さを測定すると、このようなリップ22またはシム23の測定データが格納部14に格納される。
【0118】
判断部133は、リップ22またはシム23の測定データに基づいて、ダイコーター2の不良有無を判断することができる(S306)。具体的には、格納部14には、リップ22またはシム23の高さに関する基準データも格納されている。これも、ダイコーター2の製作のための設計データであることができる。これにより、判断部133が格納部14から前記リップ22またはシム23の高さに関する基準データをロードする。また、リップ22またはシム23の高さの測定データと、リップ22またはシム23の高さに関する基準データとを比較してダイコーター2の不良有無を判断することができる。仮に、二つのデータを比較して測定データが誤差範囲内に含まれると、ダイコーター2の組立公差が大きくないことであるため、判断部133は、当該ダイコーター2を良品と判断する。しかし、仮に、二つのデータを比較して測定データが誤差範囲から逸脱すると、ダイコーター2の組立公差が大きいことであるため、判断部133は、当該ダイコーター2を不良と判断する。
【0119】
図7は本発明の他の実施形態によるダイコーター2aとダイコーター検査装置1aの斜視図である。
【0120】
本発明の他の実施形態によると、図7に図示されているように、レール11aが第1ダイ211の一面に一体に形成される。これにより、別の結合部を介して結合して形成される場合よりも、レール11aとダイ21が互いにより強固に固定されることができる。これにより、ダイコーター2aとレール11aが分離されるか、互いに位置がずれることをより確実に防止することができる。
【0121】
図8は本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2bとダイコーター検査装置1の斜視図である。
【0122】
本発明のさらに他の実施形態によると、図8に図示されているように、レール11bが第1ダイ211の一面に埋め込まれて形成される。これにより、ダイコーター2bの厚さ方向の体積を減少させることができる。この際、レール11bが第1ダイ211と一体に形成されることもできるが、これに制限されず、レール11bが第1ダイ211とは別に形成され、前記第1ダイ211の一面に陥没した溝が形成されて、レール11bが前記溝に挿入された後に別の結合部で結合することもできる。
【0123】
図9は本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1cの斜視図である。
【0124】
本発明のさらに他の実施形態によると、図9に図示されているように、センサアセンブリー12a、12b、12cが複数形成される。これにより、複数のセンサモジュール122がより迅速に様々な位置でリップ22またはシム23を検査することができる。図9にはセンサアセンブリー12a、12b、12cが3個形成されているように図示されているが、これに制限されず、センサアセンブリー12a、12b、12cは、様々な個数に形成されることができる。
【0125】
図10は本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1dの斜視図である。
【0126】
本発明のさらに他の実施形態によると、図10に図示されているように、移動部121がダイコーター2の長さ方向と平行な軸を中心に回転する回転部を含む。ダイコーター2が生産ラインに装着された状態でセンサアセンブリー12dがすぐダイコーター2を検査した後、回転部が回転する。これにより、センサアセンブリー12dは、ダイコーター2の外側に位置し、ダイコーター2のリップ22とコーティング対象になる基材との間に障害物が無くなる。これにより、ダイコーター2がすぐ前記基材にスラリーをコーティングすることができるため、生産効率を増大させることもできる。また、以降、またダイコーター2を検査する時には、回転部がまた逆方向に回転し、センサアセンブリー12dがダイコーター2のリップ22に向かって位置することができる。
【0127】
図11は本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1eの斜視図である。
【0128】
本発明のさらに他の実施形態によると、図11に図示されているように、センサアセンブリー12eがレール11から脱着される。ダイコーター2が生産ラインに装着された状態でセンサアセンブリー12eがダイコーター2を検査した後、センサアセンブリー12eがレール11から脱着される。これにより、ダイコーター2のリップ22とコーティング対象になる基材との間に障害物が無くなり、ダイコーター2がすぐ前記基材にスラリーをコーティングすることができる。また、以降、またダイコーター2を検査する時には、センサアセンブリー12eがレール11にまた装着され、センサアセンブリー12eがダイコーター2のリップ22に向かって位置することができる。
【0129】
図12図14は本発明のさらに他の実施形態によるダイコーター2とダイコーター検査装置1fの斜視図である。
【0130】
本発明のさらに他の実施形態によると、図12図14に図示されているように、前記レール11に沿って移動し、前記ダイコーター2のリップ22または前記シムを検査する少なくとも一つのセンサアセンブリー12fを含む。
【0131】
前記センサアセンブリー12fは、前記レール11に沿って前記ダイコーター2の長さ方向に移動する移動部121と、前記移動部121と連結され、前記ダイコーター2の厚さ方向に移動し、前記リップまたは前記シムを検査するセンサモジュール122とを含む。
【0132】
前記センサモジュール122は、前記移動部121と連結され、前記ダイコーター2の吐出口部分をスキャンして、前記ダイコーター2の幅方向に前記リップ22と前記シム23の形状を二次元的に検出する2D(2次元)ラインセンサ1223と、前記2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップ22の角からシム23の角までの高さを測定した測定高さ値と予め設定された設定高さ値を比較して不良有無を検査する検査部1224とを含む。
【0133】
移動部121は、レール11に沿ってダイコーター2の長さ方向に移動し、特に、移動部121がレール11に沿って摺動することができる。このために、レール11と移動部121は、互いにスライド結合することができ、さらには、レール11または移動部121のうち少なくとも一つには、輪またはローラが形成されることもできる。
【0134】
2Dラインセンサ1223は、前記ダイコーター2をダイコーターの幅方向にスキャンして、前記ダイコーター2に含まれたリップ22とシム23の連結された形状を二次元的なイメージとして検出する。すなわち、2Dラインセンサ1223は、図13に図示されているようなダイコーター2の側面イメージを検出する。より詳細に説明すると、2Dラインセンサ1223は、図13および図14を参照すると、右側に第1ダイ211の第1リップ221、左側に第2ダイ212の第2リップ222、第1ダイ211と第2ダイ212との間に第3ダイ213の第3リップ223、第1ダイ211と第3ダイ213との間に第1シム233、第3ダイ213と第2ダイ212との間に第2シム234が凹凸形状に連結されたイメージとして検出する。
【0135】
この際、2Dラインセンサ1223は、2Dレーザ変位センサまたはラインスキャナとも言い、レーザ光源が広いことから、リップとシムの幅、広さ、厚さ、段差、傾斜、屈曲、表面粗さ、および摩耗度などの形状を二次元に測定することができる。
【0136】
特に、2Dラインセンサ1223は、移動部121によってダイコーター2の長さ方向に移動し、これにより、ダイコーター2全体のリップとシムの連結された形状をイメージとして検出することができる。
【0137】
一方、2Dラインセンサの高さhは、前記リップ22とコーティング対象になる基材との間隔gより小さくなければならない。これは、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態でも2Dラインセンサ1223がダイコーター2の幅方向に移動することができる。これにより、ダイコーター2を別の検査ラインに移して測定した後また生産ラインに移す過程を行う必要がなく、ダイコーター2が生産ラインに装着された状態ですぐダイコーター2を検査することができる。これにより、2Dラインセンサ1223の高さhは、リップ22とコーティング対象になる基材との間隔gより小さい。例えば、ダイ21のリップ22と前記基材との間隔gが略10cmであると、2Dラインセンサ1223の高さhは、略8cmより小さいことができる。また、2Dラインセンサ1223が前記リップ22とコーティング対象になる基材との間に、他の構成に接触するか干渉を受けることなく移動することが好ましい。したがって、これを調節するために、本発明の一実施形態による移動部121は、センサアセンブリー12fをダイコーター2の幅方向に移動させるロッドを含むことができる。
【0138】
検査部1224は、2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップとシムのイメージによりリップとシムとの間の高さを測定し、測定された測定高さ値と予め設定された設定高さ値とを比較して組立不良有無を検査する。すなわち、検査部1224は、測定高さ値が設定高さ値の範囲内に位置すると正常と判断し、範囲外に位置すると組立不良と判断する。
【0139】
より詳細に説明すると、検査部1224は、リップと第1シムとの間の高さを測定した第1測定高さ値と設定高さ値を比較して組立不良有無を1次に検査し、リップと第2シムとの間の高さを測定した第2測定高さ値と設定高さ値とを比較して組立不良有無を2次に検査する。これにより、前記1次および2次とも正常と判断された場合には組立正常と決定され、前記1次または2次の一つでも不良と判断された場合には組立不良と決定される。
【0140】
一方、検査部1224は、2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップ22と前記シム23の連結された二次元的なイメージ形状を用いて、2個以上のダイ配列状態を検査する。すなわち、検査部1224は、第1リップ221、第2リップ222および第3リップ223が同じ水平線上に位置するかを検査し、この際、前記リップのいずれか一つでも同じ水平線上に位置しない場合、組立不良と判断する。
【0141】
一方、検査部1224は、前記2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップ22の角に対する二次元的なイメージ形状を用いて、2個以上のダイ21に備えられたリップ(すなわち、第1および第2リップ)が同じ水平線上に位置するか検査する。すなわち、検査部1224は、第1リップと第2リップが同じ水平線上に位置しないと、組立不良と判断する。
【0142】
一方、検査部1224は、前記2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップ22の角と前記シム23の角に対する二次元的なイメージ形状を用いてシム23の厚さを測定し、前記シム23の厚さにより吐出ギャップを検査する。すなわち、検査部1224は、測定吐出ギャップと設定吐出ギャップが一致しないと、組立不良と判断する。
【0143】
一方、検査部1224は、前記2Dラインセンサ1223を介して検出されたリップ22と前記シム23の二次元的なイメージ形状を拡大して表面粗さを検査することができる。この際、検査部1224は、リップとシムの表面粗さが設定数値以上を超える場合、不良と判断することができる。
【0144】
一方、センサアセンブリー12fにおいて、2Dラインセンサ1223は、設定された時間ごとに前記ダイコーター2をスキャンして、前記リップ22の角と前記シム23の角の形状を連続して検出し、検査部1224は、前記2Dラインセンサ1223を介して連続して測定された前記リップ22の角に対する位置変化または前記シム23の角に対する位置変化により前記ダイ21と前記シム23の摩耗度を検査する。ここで、検査部1224は、前記2Dラインセンサ1223を介して測定されたリップとシムのイメージで表面粗さによりダイとシムの摩耗度を検査することもできる。
【0145】
一方、前記センサアセンブリー12fは、前記2Dラインセンサ122が前記ダイコーター2の幅方向の一端から他端までスキャンするように、前記2Dラインセンサ1223を前記ダイコーター2の幅方向に移動させる移動ロッド1225をさらに含む。これにより、前記2Dラインセンサ122は、ダイコーター2の幅方向の全体を安定的にスキャンすることができる。
【0146】
一方、検査部1224は、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などを使用することが好ましいが、これに制限されず、様々な論理演算プロセッサが使用されることができる。
【0147】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施され得ることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであって限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲、またその均等概念から導き出される様々な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0148】
1 検査装置
2 ダイコーター
3 ローラ
11 レール
12 センサアセンブリー
13 制御部
14 格納部
21 ダイ
22 リップ
23 シム
121 移動部
122 センサモジュール
1221 位置感知センサ
1222 距離感知センサ
1223 2Dラインセンサ
1224 検査部
131 第1エンコーダ
132 受信部
133 判断部
134 演算部
135 第2エンコーダ
211 第1ダイ
212 第2ダイ
213 第3ダイ
221 第1リップ
222 第2リップ
223 第3リップ
231 ガイド
232 ベース
233 第1シム
234 第2シム
2211 第1角
2231 第2角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14