IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-推論装置 図1
  • 特許-推論装置 図2
  • 特許-推論装置 図3
  • 特許-推論装置 図4
  • 特許-推論装置 図5
  • 特許-推論装置 図6
  • 特許-推論装置 図7
  • 特許-推論装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】推論装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20231211BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020031916
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135784
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-06-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海村 静也
(72)【発明者】
【氏名】田川 雄一
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/235631(WO,A1)
【文献】特開2003-221120(JP,A)
【文献】特開2010-244247(JP,A)
【文献】特開2008-201487(JP,A)
【文献】特開2000-020873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送物資が指定された輸送条件を取得する輸送条件取得部と、
輸送実績として、輸送物資と、前記輸送物資の積載単位と、前記輸送物資の輸送手段と、前記輸送物資の積載及び卸下に要する時間である積載卸下時間とが示される複数の輸送実績データを用いた学習により生成された第1の学習モデルを用いて、前記輸送条件として指定された輸送物資の積載単位と輸送手段と積載卸下時間とを推論する推論部と、
を有する推論装置。
【請求項2】
前記輸送条件取得部は、
輸送区間と、前記第1の学習モデルを用いた推論により得られた輸送手段とが指定された輸送条件を取得し、
前記推論部は、
前記輸送実績として、輸送手段と、輸送区間と、前記輸送区間を前記輸送手段で移動した際に要した移動所要時間とが示される複数の輸送実績データを用いて、輸送手段と輸送区間と、移動所要時間との関係を学習して生成された第2の学習モデルを用いて、前記輸送条件として指定された輸送区間を前記輸送条件として指定された輸送手段で移動した場合の移動所要時間を推論する請求項に記載の推論装置。
【請求項3】
前記輸送条件取得部は、
非通常時の輸送条件を取得し、
前記推論部は、
非通常時の輸送実績が示される複数の輸送実績データを用いた学習により生成された学習モデルを用いて、前記非通常時の輸送条件に対応する輸送計画の生成に用いられる値を推論する請求項に記載の推論装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送計画の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送計画業務では、各所から求められる輸送要求を入力として制約条件(輸送手段[航空機、艦船、車両等]、積載サイズ、積載及び卸下時間、移動所要時間等)を満たし、かつコストを極力抑えることができる最適な輸送手段の割当と輸送順序の決定を行っている。
【0003】
従来技術では、輸送計画をエネルギー関数の最小化問題として定式化して、このエネルギー関数の最小状態を求めることにより、輸送手段の割当と輸送順序の最適解を探索する最適解探索方法がある(例えば、特許文献1参照)。従来技術ではエネルギー関数の中に制約条件を表す制約項を設け、設定した目標値を満たす最適解を求める手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-153085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、目標値の設定方法や制約条件の変化に伴う目標値の再設定までは考慮されていない。
各所から求められる輸送要求は輸送手段に適した積載単位に整理されていないことも多い。このような場合には、輸送手段に応じて輸送物資の集約及び分割が必要となる。しかしながら、特許文献1の技術では、このような輸送物資の積載単位の調整も人手に依存しており、迅速な輸送計画の生成の妨げとなっている。
また、特許文献1の技術は、輸送所要時間(積載卸下時間+移動所要時間)の設定についても同様に人手に依存している。輸送所要時間の変更頻度は低いものの計画精度への影響が大きいため適切な条件設定が正確であり、輸送計画の生成の妨げとなっている。
【0006】
本開示は、輸送計画生成に用いる輸送計画値を推論するための学習モデルを生成する学習装置または輸送計画値を推論する推論装置により、指定された輸送条件に対応する輸送計画を効率的に生成できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る推論装置は、
輸送物資が指定された輸送条件を取得する輸送条件取得部と、
輸送実績として、輸送物資と、前記輸送物資の積載単位と、前記輸送物資の輸送手段と、前記輸送物資の積載及び卸下に要する時間である積載卸下時間とが示される複数の輸送実績データを用いた学習により生成された第1の学習モデルを用いて、前記輸送条件として指定された輸送物資の積載単位と輸送手段と積載卸下時間とを推論する推論部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、指定された輸送条件に対応する輸送計画を効率的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの構成例を示す図。
図2】実施の形態1に係る学習装置の構成例を示す図。
図3】実施の形態1に係る推論装置の構成例を示す図。
図4】実施の形態1に係る学習フェーズの例を示す図。
図5】実施の形態1に係る学習装置の動作例を示すフローチャート。
図6】実施の形態1に係る活用フェーズの例を示す図。
図7】実施の形態1に係る学習装置の動作例を示すフローチャート。
図8】実施の形態1に係るニューラルネットワークの例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態では、過去の輸送実績を教師データとした学習を行って輸送計画の生成に用いられる値(以下、輸送計画値という)を推論するための学習モデルを生成する。そして、本実施の形態では、生成された学習モデルを用いて輸送計画値を推論する。この結果、指定された輸送条件に対応する輸送計画を効率的かつ迅速に生成することができる。
なお、輸送計画値とは、本実施の形態では、輸送物資の積載単位、積載卸下時間及び移動所要時間である。
【0011】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム300を示す。
情報処理システム300は、学習装置100と推論装置200から構成される。
学習装置100は、過去の輸送実績データから輸送計画値を推論するための学習モデルを生成する。
推論装置200は、学習装置100が生成した学習モデルを用いて、輸送条件に対応した輸送計画に用いる輸送計画値を推論する。
図1では、図示を省略しているが、推論装置200は、例えば、ネットワークを介して後述する輸送所要時間算出装置800及び輸送割当スケジューリング装置900に接続される。推論装置200は、輸送計画値を輸送所要時間算出装置800及び輸送割当スケジューリング装置900に出力する。
図1では、学習装置100と推論装置200を異なるコンピュータで実現しているが、学習装置100と推論装置200とを1つのコンピュータで実現してもよい。また、学習装置100と推論装置200と輸送所要時間算出装置800と輸送割当スケジューリング装置900とを1つのコンピュータで実現してもよい。また、学習装置100と推論装置200と輸送所要時間算出装置800と輸送割当スケジューリング装置900の任意の組合せを1つのコンピュータで実現してもよい。さらに、学習装置100と推論装置200が、クラウドサーバ上に存在していてもよい。同様に、輸送所要時間算出装置800と輸送割当スケジューリング装置900もクラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0012】
学習装置100において、データ取得部101は、輸送実績が示される複数の輸送実績データを取得する。
【0013】
学習モデル生成部102は、データ取得部101により取得された複数の輸送実績データを用いた学習を行って、輸送計画値を推論するための学習モデルを生成する。
【0014】
推論装置200において、輸送条件取得部201は、輸送条件を取得する。
【0015】
推論部202は、学習モデル生成部102により生成された学習モデルを用いて、輸送条件に対応する輸送計画値を推論する。そして、学習モデル生成部102は、推論した輸送計画値を輸送所要時間算出装置800と輸送割当スケジューリング装置900に出力する。
【0016】
図2は、学習装置100のハードウェア構成例を示す。
【0017】
学習装置100は、ハードウェアとして、プロセッサ151、主記憶装置152、補助記憶装置153及び通信装置154を備える。
補助記憶装置153には、データ取得部101及び学習モデル生成部102の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置153から主記憶装置152にロードされる。そして、プロセッサ151がこれらプログラムを実行して、データ取得部101及び学習モデル生成部102の動作を行う。
図2では、プロセッサ151がデータ取得部101及び学習モデル生成部102の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
【0018】
図3は、推論装置200のハードウェア構成例を示す。
【0019】
推論装置200は、ハードウェアとして、プロセッサ251、主記憶装置252、補助記憶装置253及び通信装置254を備える。
補助記憶装置253には、輸送条件取得部201及び推論部202の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置253から主記憶装置252にロードされる。そして、プロセッサ251がこれらプログラムを実行して、輸送条件取得部201及び推論部202の動作を行う。
図3では、プロセッサ251が輸送条件取得部201及び推論部202の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
【0020】
***動作の説明***
以下では、学習装置100による学習フェーズと推論装置200による活用フェーズを説明する。
【0021】
<学習フェーズ>
図4は、学習装置100による学習フェーズの例を示す。
図4の(1)は、輸送物資から積載単位、輸送手段及び積載卸下時間を推論するための学習モデルを生成する例を示す。
図4の(2)は、輸送手段及び輸送区間から移動所要時間を推論するための学習モデルを生成する例を示す。
なお、輸送物資とは輸送される物資である。積載単位とは輸送物資を輸送手段に積載する際の単位(重さ、寸法、個数等)である。輸送手段には、航空機、艦船、車両等が含まれる。積載卸下時間とは、輸送物資の積載及び卸下に要する時間である。輸送区間とは、輸送の出発地から目的地までの区間である。移動所要時間は、輸送区間を輸送手段で移動した場合に要する時間である。
【0022】
図4の(1)では、学習装置100は、過去の輸送実績が示される複数の輸送実績データ(1)401を学習用データとして用いて学習モデル(1)501を生成する。なお、学習モデル(1)501は第1の学習モデルに相当する。
データ取得部101は、複数の輸送実績データ(1)401を取得する。
輸送実績データ(1)401には、入力1-1として輸送物資が示され、入力1-2として積載単位、輸送手段及び積載卸下時間が示される。つまり、輸送実績データ(1)401には、入力1-1の輸送物資に対して実際に適用された積載単位、輸送手段が入力1-2として示される。また、輸送実績データ(1)401には、入力1-1の輸送物資を入力1-2の積載単位で輸送手段に積載した場合の積載卸下時間が入力1-2として示される。
そして、学習モデル生成部102は、複数の輸送実績データ(1)401を学習して、輸送条件として指定された輸送物資から対応する積載単位、輸送手段及び積載卸下時間を推論するための学習モデル(1)501を生成する。つまり、学習モデル生成部102は、入力1-2の値(積載単位、輸送手段及び積載卸下時間)を入力1-1の値(輸送物資)に対する正解として用いて学習を行う。そして、学習モデル生成部102は、輸送条件として指定された輸送物資から最適な積載単位、輸送手段及び積載卸下時間を出力することができる学習モデル(1)501を生成する。
学習モデル生成部102は、生成した学習モデル(1)501を推論装置200に出力する。なお、学習モデル生成部102は後述する学習モデル(2)502とともに学習モデル(1)501を推論装置200に出力してもよい。
なお、学習装置100と推論装置200が同じコンピュータで実現される場合は、学習モデル生成部102は既定の記憶領域に学習モデル(1)501を格納する。
【0023】
図4の(2)では、学習装置100は、過去の輸送実績が示される複数の輸送実績データ(2)402を学習用データとして用いて学習モデル(2)502を生成する。学習モデル(2)502は第2の学習モデルに相当する。
データ取得部101は、複数の輸送実績データ(2)402を取得する。
輸送実績データ(2)402には、入力2-1として輸送手段と輸送区間が示され、入力2-2として移動所要時間が示される。つまり、輸送実績データ(2)402には、入力2-1の輸送手段で入力2-1の輸送区間を移動した場合に実際に発生した移動所要時間が入力2-2として示される。
そして、学習モデル生成部102は、複数の輸送実績データ(2)402を学習して、輸送条件として指定された輸送手段と輸送区間から対応する移動所要時間を推論するための学習モデル(2)502を生成する。つまり、学習モデル生成部102は、入力2-2の値(移動所要時間)を入力2-1の値(輸送手段及び輸送区間)に対する正解として用いて学習を行う。そして、学習モデル生成部102は、輸送条件として指定された輸送手段と輸送区間から最適な移動所要時間を出力することができる学習モデル(2)502を生成する。
学習モデル生成部102は、生成した学習モデル(2)502を推論装置200に出力する。
なお、学習装置100と推論装置200が同じコンピュータで実現される場合は、学習モデル生成部102は既定の記憶領域に学習モデル(2)502を格納する。
【0024】
学習モデル生成部102が用いる学習アルゴリズムとして、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、学習モデル生成部102が用いる学習アルゴリズムにニューラルネットワークを適用する例を説明する。
学習モデル生成部102は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、積載単位、輸送手段、積載卸下時間及び移動所要時間を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習装置に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0025】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)及び複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層又は2層以上でもよい。
【0026】
例えば、図8に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層(X1‐X3)に入力されると、その値に重みW1(w11‐w16)を掛けて中間層(Y1‐Y2)に入力される。そして、その結果にさらに重みW2(w21‐w26)を掛けて出力層(Z1‐Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1とW2の値によって変わる。
【0027】
本実施の形態では、2つのニューラルネットワークを使用する。
【0028】
図4の(1)の学習で用いられるニューラルネットワークは、データ取得部101によって取得される入力1-1、入力1-2(正解)の組合せに基づいて作成される輸送実績データ(1)401(学習用データ)に従って、いわゆる教師あり学習により、積載単位、輸送手段及び積載卸下時間の出力を学習する。
【0029】
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に入力1-1を入力して出力層から出力された結果が、入力1-2(正解)に近づくように重みW1とW2を調整することで学習する。
【0030】
学習モデル生成部102は、以上のような学習を実行することで学習モデル(1)501を生成し、出力する。
図4の(2)の学習も図4の(1)の学習と同様の手順で行われる。
【0031】
図5は、学習装置100の動作例を示すフローチャートである。
先ず、図4の(1)のケースを説明する。
【0032】
ステップS501において、データ取得部101が輸送実績データ(1)401を取得する。なお、ここでは、輸送実績データ(1)401として入力1-1、入力1-2を同時に取得するものとするが、入力1-1、入力1-2を関連づけて入力できればよい。このため、データ取得部101は、入力1-1、入力1-2のデータをそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
【0033】
次に、ステップS502において、学習モデル生成部102が入力1-1、入力1-2の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により学習モデル(1)501を生成する。つまり、学習モデル生成部102は、輸送物資と、積載単位と輸送手段と積載卸下時間との関係を学習し、輸送条件として指定された輸送物資の積載単位と輸送手段と積載卸下時間とを推論するための学習モデル(1)501を生成する
【0034】
最後に、ステップS503において、学習モデル生成部102は推論装置200に学習モデル(1)501を出力する。
【0035】
次に、図4の(2)のケースを説明する。
【0036】
ステップS501において、データ取得部101が輸送実績データ(2)402を取得する。なお、ここでは、輸送実績データ(1)401として入力2-1、入力2-2を同時に取得するものとするが、入力2-1、入力2-2を関連づけて入力できればよい。このため、データ取得部101は、入力2-1、入力2-2のデータをそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
【0037】
次に、ステップS502において、学習モデル生成部102が入力2-1、入力2-2の組合せに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により学習モデル(2)502を生成する。つまり、学習モデル生成部102は、輸送手段と輸送区間と、移動所要時間との関係を学習し、輸送条件として指定された輸送区間を輸送条件として指定された輸送手段で移動した場合の移動所要時間を推論するための学習モデル(2)502を生成する。
【0038】
最後に、ステップS503において、学習モデル生成部102は推論装置200に学習モデル(2)502を出力する。
【0039】
<活用フェーズ>
図6は、推論装置200による活用フェーズの例を示す。
活用フェーズでは、推論装置200は、輸送条件(1)601及び輸送条件(2)602を取得する。そして、推論装置200は、学習モデル(1)501及び学習モデル(2)502を用いて輸送計画値(1)701、輸送計画値(2)702及び輸送計画値(3)703を出力する。より具体的には、推論装置200は、輸送計画値(1)701を輸送割当スケジューリング装置900に出力する。また、推論装置200は、輸送計画値(2)702と輸送計画値(3)703を輸送所要時間算出装置800に出力する。
輸送所要時間算出装置800は、輸送計画値(2)702と輸送計画値(3)703から輸送所要時間を算出する。そして、輸送所要時間算出装置800は、算出した輸送所要時間が示される輸送計画値(4)704を輸送割当スケジューリング装置900に出力する。
輸送割当スケジューリング装置900は、輸送計画値(1)701と輸送計画値(4)704から輸送計画である輸送割当スケジュールを生成する。
【0040】
図6では、説明の便宜上、輸送条件取得部201を輸送条件取得部(1)2011と輸送条件取得部(2)2012に分けている。同様に、推論部202を推論部(1)2021と推論部(2)2022に分けている。輸送条件取得部201は二段階の動作を行うため、各段階に対応させた説明を行うために、輸送条件取得部201を輸送条件取得部(1)2011と輸送条件取得部(2)2012に分けている。同様に、推論部202も二段階の動作を行うため、各段階に対応させた説明を行うために、推論部202を推論部(1)2021と推論部(2)2022に分けている。このような理由であるため、実際には、輸送条件取得部201が輸送条件取得部(1)2011の動作と輸送条件取得部(2)2012の動作を行う。また、推論部202が推論部(1)2021の動作と推論部(2)2022の動作を行う。
【0041】
輸送条件取得部(1)2011は、輸送条件(1)601を取得する。輸送条件(1)601には、入力1-1として輸送物資が示される。
輸送条件(1)601に示される輸送物資は、例えば、輸送割当スケジューリング装置900のユーザに指定される。
【0042】
推論部(1)2021は、学習モデル(1)501を用いて、輸送条件(1)601で指定された輸送物資の積載単位と輸送手段と積載卸下時間とを推論する。
そして、推論部(1)2021は、積載単位が出力1-1として示される輸送計画値(1)701を輸送割当スケジューリング装置900に出力する。
また、推論部(1)2021は、輸送手段が出力1-2として示される輸送条件(3)603を輸送条件取得部(2)2012に出力する。
また、推論部(1)2021は、積載卸下時間が出力3-1として示される輸送計画値(3)703を輸送所要時間算出装置800に出力する。
【0043】
輸送条件取得部(2)2012は、輸送条件(2)602を取得する。輸送条件(2)602には、入力2-1として輸送区間が示される。輸送条件(2)602に示される輸送区間は、例えば、輸送割当スケジューリング装置900のユーザに指定される。
また、輸送条件取得部(2)2012は、推論部(1)2021から輸送条件(3)603を取得する。輸送条件(3)603には、入力2-1として、輸送手段が示される。
【0044】
推論部(2)2022は、学習モデル(2)502を用いて、輸送条件(2)602で指定された輸送区間を輸送条件(3)603で指定された輸送手段で移動した場合の移動所要時間を推論する。
そして、推論部(2)2022は、移動所要時間が出力2-1として示される輸送計画値(2)702を輸送所要時間算出装置800に出力する。
【0045】
輸送所要時間算出装置800は、輸送計画値(2)702の移動所要時間と輸送計画値(3)703の積載卸下時間とを加算して、輸送所要時間を得る。輸送所要時間は、積載卸下時間を含む、輸送条件(1)601の輸送物資を輸送条件(3)603の輸送手段により輸送条件(2)602の輸送区間で輸送する場合の所要時間である。
輸送所要時間算出装置800は、輸送所要時間が示される輸送計画値(4)704を輸送割当スケジューリング装置900に出力する。
【0046】
輸送割当スケジューリング装置900は、輸送計画値(1)701に示される輸送物資、輸送計画値(4)704に示される輸送所要時間に加えて、輸送要求(輸送期日や輸送優先度等)、制約条件(輸送手段の稼働状況、輸送人員数等)に基づき輸送条件を満たす輸送計画を生成する。そして、輸送割当スケジューリング装置900は、生成した輸送計画を出力する。輸送割当スケジューリング装置900は、省コストで短時間に輸送する計画を出力するために組合せ最適化技術を適用するが、スケジューリングの方法については、これに限られるものではない。
【0047】
図7は、推論装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS701において、輸送条件取得部201が輸送条件(1)601を取得する。
【0049】
次に、ステップS702において、推論部202が輸送条件(1)601を学習モデル(1)501に適用して積載単位(出力1-1)と輸送手段(出力1-2)と積載卸下時間(出力3-1)を得る。推論部202は、輸送条件(3)603を輸送条件取得部(2)2012に出力する。
【0050】
ステップS703において、輸送条件取得部201が輸送条件(2)602と輸送条件(3)603を取得する。
【0051】
ステップS704において、推論部202が輸送条件(2)602と輸送条件(3)603を学習モデル(2)502に適用して移動所要時間(出力2-1)を得る。
【0052】
ステップS705において、推論部202が輸送計画値(1)701及び輸送計画値(3)703を出力する。
【0053】
また、ステップS706において、推論部202が輸送計画値(2)702を出力する。
【0054】
なお、図7の例では、推論部202はステップS705において輸送計画値(1)701及び輸送計画値(3)703を出力する。これに代えて、推論部202は、輸送条件(3)603の出力と同じタイミングで輸送計画値(1)701及び輸送計画値(3)703を出力するようにしてもよい。
【0055】
***実施の形態の効果の説明***
本実施の形態によれば、指定された輸送条件に対応する輸送計画を効率的に生成することができる。
より具体的には、本実施の形態によれば、輸送手段に適した積載単位への集約及び分割を自動化し高速化を図るとともに、輸送所要時間の精度を向上することで迅速かつ正確な輸送計画を生成することができる。
【0056】
特に、本実施の形態は、非通常時の輸送計画の生成に効果を奏する。
例えば、自然災害の発生、疫病の蔓延、テロの発生、大規模イベントの開催等があった場合は、輸送条件が平時と異なる。このような非通常時には、例えば、利用可能な輸送手段、輸送経路が限られる等の事態が想定される。このため、非通常時では、平時とは異なる状況に応じた輸送計画を策定する必要がある。限られた時間内で人手により非通常時の輸送計画の策定を行うことは負担が高く、迅速かつ正確な輸送計画の策定が困難である。
このような非通常時に輸送計画を迅速かつ正確に生成するために、データ取得部101が非通常時の輸送実績が示される複数の輸送実績データを取得する。そして、学習モデル生成部102が非通常時の輸送条件に対応する輸送計画値を推論するための学習モデル(1)501及び学習モデル(2)502を生成する。また、輸送条件取得部201が非通常時の輸送条件を取得し、推論部202が、非通常時の輸送実績が示される複数の輸送実績データを用いた学習により生成された学習モデル(1)501及び学習モデル(2)502を用いて、非通常時の輸送条件に対応する輸送計画値を推論する。
このようにすることで、非通常時にも状況に応じた輸送計画を迅速かつ正確に生成することができる。
【0057】
***その他***
なお、本実施の形態では、学習アルゴリズムとして学習モデル生成部102が教師あり学習アルゴリズムを用いる例を説明した。しかし、用いられる学習アルゴリズムは、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習アルゴリズム以外にも、強化学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム、半教師あり学習アルゴリズム等を適用することも可能である。
【0058】
また、学習モデル生成部102、複数の輸送割当スケジューリング装置900により生成された輸送計画に基づく輸送実績データを学習用データに用いてもよい。
なお、学習モデル生成部102は、同一のエリアの複数の輸送割当スケジューリング装置900により生成された輸送計画に基づく輸送実績データを学習用データに用いてもよい。また、学習モデル生成部102は、異なるエリアで独立して動作する複数の輸送割当スケジューリング装置900により生成された輸送計画に基づく輸送実績データを学習用データに用いてもよい。また、学習用データの収集に用いる輸送割当スケジューリング装置900を後から追加することも可能であるし、後から除外することも可能である。
更に、ある輸送割当スケジューリング装置900(輸送割当スケジューリング装置900Aという)の輸送計画に基づく輸送実績データを用いて得られた学習モデルを、輸送割当スケジューリング装置900Aとは別の輸送割当スケジューリング装置900(輸送割当スケジューリング装置900Bという)の輸送計画の生成のために用いることも可能である。また、学習モデル生成部102が輸送割当スケジューリング装置900Bの輸送計画に基づく輸送実績データを用いた再学習を行い、学習モデルを更新してもよい。
【0059】
また、学習モデル生成部102の学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもできる。また、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシン等に従って機械学習を実行してもよい。
【0060】
***ハードウェア構成の補足説明***
最後に、学習装置100及び推論装置200のハードウェア構成の補足説明を行う。
図2及び図3に示すプロセッサ151及びプロセッサ251は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図2及び図3に示す主記憶装置152及び主記憶装置252は、RAM(Random Access Memory)である。
図2及び図3に示す補助記憶装置153及び補助記憶装置253は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
図2及び図3に示す通信装置154及び通信装置254は、は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置154及び通信装置254は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0061】
また、補助記憶装置153及び補助記憶装置253には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ151及びプロセッサ251により実行される。
プロセッサ151はOSの少なくとも一部を実行しながら、データ取得部101及び学習モデル生成部102の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ151がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
プロセッサ251はOSの少なくとも一部を実行しながら、輸送条件取得部201及び推論部202の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ251がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
【0062】
また、データ取得部101及び学習モデル生成部102の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置152、補助記憶装置153、プロセッサ151内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、輸送条件取得部201及び推論部202の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置352、補助記憶装置253、プロセッサ251内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、データ取得部101及び学習モデル生成部102の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、データ取得部101及び学習モデル生成部102の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
同様に、輸送条件取得部201及び推論部202の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、輸送条件取得部201及び推論部202の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0063】
また、データ取得部101及び学習モデル生成部102の「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」に読み替えてもよい。
同様に、輸送条件取得部201及び推論部202の「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」に読み替えてもよい。
また、学習装置100は、処理回路により実現されてもよい。同様に、推論装置200も処理回路により実現されてもよい。
処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
【符号の説明】
【0064】
100 学習装置、101 データ取得部、102 学習モデル生成部、151 プロセッサ、152 主記憶装置、153 補助記憶装置、154 通信装置、200 推論装置、201 輸送条件取得部、202 推論部、251 プロセッサ、252 主記憶装置、253 補助記憶装置、254 通信装置、300 情報処理システム、401 輸送実績データ(1)、402 輸送実績データ(2)、501 学習モデル(1)、502 学習モデル(2)、601 輸送条件(1)、602 輸送条件(2)、603 輸送条件(3)、701 輸送計画値(1)、702 輸送計画値(2)、703 輸送計画値(3)、704 輸送計画値(4)、800 輸送所要時間算出装置、900 輸送割当スケジューリング装置、2011 輸送条件取得部(1)、2012 輸送条件取得部(2)、2021 推論部(1)、2022 推論部(2)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8