(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】嵌合検知構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20231211BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2020096696
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 匡宏
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-182965(JP,A)
【文献】特開2005-269862(JP,A)
【文献】特開2009-182308(JP,A)
【文献】特開平10-248139(JP,A)
【文献】特開2011-234484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0200298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状に形成された周壁を有するフレームと、該フレームに組み付けられて前記周壁の開口を覆うカバーと、前記フレームを収容可能な収容部を有する嵌合検知部材と、を備え、
前記フレームは、前記周壁に設けられて、前記カバーが前記フレームに組み付けられた際に前記カバーの被ロック部に係合するロックアームを備え、
前記ロックアームは、前記カバーに近付いて前記被ロック部に係合する係合位置と、前記カバーから離隔して前記被ロック部に係合しない非係合位置と、に弾性変形可能に設けられ、
前記ロックアームが前記係合位置にある際に、前記フレームの前記収容部からの引抜きが許容され、
前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、前記ロックアームが前記収容部に当接することで、前記フレームの前記収容部からの引抜きが規制されることを特徴とする嵌合検知構造。
【請求項2】
前記ロックアームには、前記被ロック部から離れる方向に突出する突起が設けられ、
前記収容部には、前記フレームの前記収容部からの引抜き方向に交差して、前記突起が突き当たる突当て壁が設けられ、
前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、前記突起が前記突当て壁に当接することで、前記フレームの前記収容部からの引抜きが規制されることを特徴とする請求項1に記載の嵌合検知構造。
【請求項3】
前記ロックアーム、および前記被ロック部は、それぞれ複数設けられ、前記複数のロックアームの全てに前記突起が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の嵌合検知構造。
【請求項4】
前記フレーム、および前記カバーは、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の嵌合検知構造。
【請求項5】
前記嵌合検知部材は、前記フレームに前記カバーを組み付ける際に用いられる治具であることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の嵌合検知構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車(ハイブリッド車を含む)には、バッテリとインバータなどを相互に電気的に接続するために、従来から種々の電気接続箱が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。前述した電気接続箱は、ヒューズ、リレー、バスバなどを有して、ジャンクションブロック、ヒューズブロック、リレーボックスとも呼ばれる。本明細書では、これらを総称して、電気接続箱と記す。
【0003】
特許文献1に記載された電気接続箱は、リレー、ヒューズ、バスバ等を含む配索材と、これら配索材が収容される箱部材と、を備える。箱部材は、開口を有するケース本体と、ケース本体に挿入されて該ケース本体の開口を覆うロアカバーと、を備える。ケース本体とロアカバーは、ロック機構を介して相互に組み付けられる。ロック機構は、ケース本体の周壁の外面に突設されたコ字型のロック枠と、ロアカバーの周壁から延出されて、ロック枠に差し込まれて係止される差込み片と、を備える。差込み片には、ロック枠の差込み方向側の端面に係止するロック突起が設けられている。
【0004】
このような本体ケースにロアカバーを組み付ける際には、ロアカバーの各差込み片を、本体ケースの対応するロック枠に挿入する。これにより、各差込み片のロック突起が、ロック枠に当接する。さらに挿入が進んで、各差込み片が撓んで、ロック突起がロック枠を乗り越えて、ロック突起がロック枠の差込み方向側の端面に係止する。こうして、本体ケースにロアカバーが組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の本体ケース(フレーム)にロアカバー(カバー)を組み付ける際、ロアカバーにおける各差込み片のロック突起がロック枠に係止されているか否かを作業者が目視で確認していた。このため、各差込み片のロック突起がロック枠に係止されていない状態(半嵌合状態)のまま、次の作業工程に進んでしまう場合があった。
【0007】
本発明は、フレームおよびカバーが半嵌合状態であることを組立て過程で検知する嵌合検知構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、枠状に形成された周壁を有するフレームと、該フレームに組み付けられて前記周壁の開口を覆うカバーと、前記フレームを収容可能な収容部を有する嵌合検知部材と、を備え、前記フレームは、前記周壁に設けられて、前記カバーが前記フレームに組み付けられた際に前記カバーの被ロック部に係合するロックアームを備え、前記ロックアームは、前記カバーに近付いて前記被ロック部に係合する係合位置と、前記カバーから離隔して前記被ロック部に係合しない非係合位置と、に弾性変形可能に設けられ、前記ロックアームが前記係合位置にある際に、前記フレームの前記収容部からの引抜きが許容され、前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、前記ロックアームが前記収容部に当接することで、前記フレームの前記収容部からの引抜きが規制されることを特徴とする嵌合検知構造である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記ロックアームには、前記被ロック部から離れる方向に突出する突起が設けられ、前記収容部には、前記フレームの前記収容部からの引抜き方向に交差して、前記突起が突き当たる突当て壁が設けられ、前記ロックアームが前記非係合位置にある際に、前記突起が前記突当て壁に当接することで、前記フレームの前記収容部からの引抜きが規制されることを特徴とするとするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、前記ロックアーム、および前記被ロック部は、それぞれ複数設けられ、前記複数のロックアームの全てに前記突起が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のうち何れか一項に記載の発明において、前記フレーム、および前記カバーは、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1~4のうち何れか一項に記載の発明において、前記嵌合検知部材は、前記フレームに前記カバーを組み付ける際に用いられる治具であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、フレームのロックアームが係合位置にある際に、フレームの収容部からの引抜きが許容され、フレームのロックアームが非係合位置にある際に、ロックアームが収容部に当接することで、フレームの収容部からの引抜きが規制される。これによれば、フレームのロックアームが非係合位置にある際に、フレームの収容部からの引抜きが規制されることで、作業者は、ロックアームが非係合位置にあることを検知することができる。即ち、ロックアームが非係合位置にあることを、目視確認で見落としたとしても、フレームの収容部からの引抜きが規制されることで、作業者は、フレームおよびカバーが半嵌合状態であることを検知できる。これにより、フレームおよびカバーが半嵌合状態のまま、次の作業工程に進んでしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る嵌合検知構造が適用されて組み立てられた箱部材を示す斜視図である。
【
図3】前記箱部材の組立て過程を説明する斜視図である。
【
図4】
図3中のI-I線に沿う断面図であり、フレームのロックアームが係合位置にある際の前記嵌合検知構造を示す図である。
【
図5】前記フレームのロックアームが非係合位置にある際の前記嵌合検知構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態を
図1~5に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る嵌合検知構造1が適用されて組み立てられた箱部材2を示す斜視図である。
図2は、箱部材2の要部を拡大して示す図である。
【0016】
嵌合検知構造1は、
図1、3に示すように、フレーム3及びロアカバー4(カバー)等を含む箱部材2と、該箱部材2を収容可能な収容部10(
図3に示す)を有して、箱部材2が半嵌合状態であることを検知する嵌合検知部材11と、を備える。なお、本実施形態において、半嵌合状態とは、フレーム3に設けられて、ロアカバー4の被ロック部40(後述する)に係合するロックアーム5(後述する)が、被ロック部40に係合しない位置(非係合位置)にある状態のことを意味する。
【0017】
箱部材2は、ヒューズやリレー等の電気部品(不図示)、および配線盤(不図示)、を収容して電気接続箱を構成する。電気接続箱は、電動機の駆動力により走行する電気自動車(ハイブリッド車を含む)等の自動車に搭載されて電源から負荷に電源分配を行うものである。
【0018】
箱部材2は、
図1に示すように、枠状に形成されたフレーム本体30(周壁)を有するフレーム3と、該フレーム3に挿入されてフレーム本体30の一方(
図1における上方)の開口を覆うロアカバー4と、該フレーム3に挿入されてフレーム本体30の他方(
図1における下方)の開口を覆うアッパカバー(不図示)と、を備える。
【0019】
本実施形態では、フレーム本体30の軸方向(上下方向Y1、Y2と記す場合がある)であって、ロアカバー4がフレーム3に挿入される挿入方向を矢印Y1で示し、矢印Y1の反対方向(挿入方向の反対側)を矢印Y2(引抜き方向)で示す。また、上下方向Y1、Y2を軸とする軸周りを周方向Rと記す場合がある。なお、
図1において、箱部材2は、ロアカバー4がフレーム3の上方に描かれている。
【0020】
フレーム本体30には、
図1、2に示すように、ロアカバー4が組み付けられるカバー組付け部31が設けられている。カバー組付け部31は、フレーム本体30において、矢印Y2方向の端部を含む一部から構成されている。
【0021】
カバー組付け部31は、
図4に示すように、第1壁32と、該第1壁32の内側(フレーム本体30の内方)に対向する第2壁33と、第1壁32の外面(第2壁33と反対側の面)に設けられて、ロアカバー4の被ロック部40に係合するロックアーム5と、を備えて構成されている。第1壁32と第2壁33との間には、ロアカバー4の挿入壁部43(後述する)が挿入される。
【0022】
ロックアーム5は、
図1に示すように、フレーム本体30の周方向Rに間隔をあけて複数設けられている。ロックアーム5は、
図2、4に示すように、ロアカバー4の被ロック部40を嵌合案内するとともに弾性アーム6を含む案内壁部51と、弾性アーム6から突出して設けられて被ロック部40に係合するアーム側係合突起52と、突起部53(突起)と、を備えて構成されている。
【0023】
案内壁部51は、
図2、4に示すように、周方向Rに間隔をあけて立設される一対の立設壁部54、54と、該一対の立設壁部54、54の立設方向側の端部同士を連結するとともに第1壁32に対向する対向壁55と、該対向壁55の一部を含んで構成された弾性アーム6と、を有してコ字状に形成されている。
【0024】
対向壁55には、
図2に示すように、一対のスリット55a、55aが形成されている。一対のスリット55a、55aは、対向壁55の周方向Rに間隔をあけて設けられ、挿入方向(矢印Y1)の端部を切り欠いて、上下方向Y1、Y2に連続形成されている。対向壁55において、一対のスリット55a、55a間の一部(以下では、アーム本体61と記す)が、後述する弾性アーム6の一部を構成する。
【0025】
弾性アーム6は、
図4に示すように、対向壁55の一部から成るアーム本体61と、該アーム本体61から挿入方向(矢印Y1)に延出された延出片62と、を有して構成されている。このような弾性アーム6は、第1壁32に接離する方向に弾性変形可能に構成されているとともに、
図4示すように、第1壁32に近付いて、ロアカバー4の被ロック部40に係合する自然位置(係合位置)と、
図5示すように、第1壁32から離隔して被ロック部40に係合しない弾性位置(非係合位置)と、に変位可能に構成されている。弾性アーム6は、
図4示すように、自然位置にある際に、対向壁55の他の部分と同一平面上にあり、弾性位置にある際に、
図5示すように、第1壁32に向かう付勢力を有しつつ、被ロック部40から離隔して設けられる。
【0026】
アーム側係合突起52は、
図4に示すように、弾性アーム6の第1壁32側の内面から突出して設けられているとともに、アーム側傾斜面52aと、アーム側直交面52bと、を有して構成されている。アーム側傾斜面52aは、挿入方向(矢印Y1)に進むにしたがって、弾性アーム6から離れる方向に傾斜する傾斜面から構成されている。アーム側直交面52bは、アーム側傾斜面52aの挿入方向(矢印Y1)の端部に連続するとともに弾性アーム6の面に対して直交する直交面から構成されている。アーム側直交面52bは、ロアカバー4の後述するカバー側係合突起45のカバー側直交面45bの矢印Y2方向側に位置し、これらアーム側直交面52bとカバー側直交面45bとが対向配置される。
【0027】
本実施形態では、
図4に示すように、アーム側係合突起52のアーム側直交面52b、およりカバー側係合突起45のカバー側直交面45bのうち、アーム側直交面52bがカバー側直交面45bの矢印Y2方向側に位置し、これらアーム側直交面52bとカバー側直交面45bとが対向配置された状態を、ロック嵌合状態と記す。ロック嵌合状態では、弾性アーム6は、自然位置に設けられている。
【0028】
突起部53は、
図4に示すように、弾性アーム6の第1壁32とは反対側の外面に直交する方向に板状に突出して設けられている。突起部53は、弾性アーム6の矢印Y1の先端部において、弾性アーム6の幅方向(周方向R)の全長に連続して設けられている。この突起部53は、弾性アーム6が弾性位置にある際に、収容部10の後述する収容凹部13の突当て壁13Aに当接して引っ掛かるように構成されている。
【0029】
ロアカバー4は、
図1、4に示すように、フレーム本体30の一方(
図1における上方)の開口を覆うカバー本体41と、カバー本体41から立設されて、フレーム本体30のカバー組付け部31に組み付けられる側壁部42(
図4に示す)と、を備える。
【0030】
側壁部42は、
図4に示すように、挿入壁部43と、被ロック部40と、を備える。被ロック部40は、差込み片44と、差込み片44に設けられてカバー組付け部31のアーム側係合突起52に係合するカバー側係合突起45と、ガイド突条部46と、を備える。被ロック部40は、フレーム3のロックアーム5に対応する位置に設けられている。
【0031】
挿入壁部43は、
図4に示すように、カバー本体41から板状に立設されて、フレーム3の第1壁32と第2壁33との間に挿入されるように構成されている。
【0032】
差込み片44は、
図4に示すように、カバー本体41の周縁から挿入方向(矢印Y1)に板状に立設して設けられ、フレーム3の案内壁部51に挿入可能に構成されている。差込み片44の先端は、挿入壁部43の先端より、挿入方向(矢印Y1)側に位置している。また、差込み片44は、挿入壁部43の外方に対向して設けられ、フレーム3にロアカバー4が組み付けられた際に、挿入壁部43と差込み片44との間に、フレーム3の第1壁32が進入されるようになっている。
【0033】
カバー側係合突起45は、
図4に示すように、差込み片44の弾性アーム6に対向する外面から突出して設けられているとともに、カバー側傾斜面45aと、カバー側直交面45bと、頂面45cと、を有して構成されている。カバー側傾斜面45aは、挿入方向(矢印Y1)に進むにしたがって、差込み片44に近付く方向に傾斜する傾斜面から構成されている。このカバー側傾斜面45aの挿入方向(矢印Y1)側の端部は、差込み片44の挿入方向(矢印Y1)側の端部から矢印Y2方向に離間した位置に設けられている。カバー側直交面45bは、差込み片44の面に対して直交する直交面から構成されている。頂面45cは、カバー側傾斜面45aとカバー側直交面45bとの間に設けられているとともに、カバー側傾斜面45aは、頂面45cの挿入方向(Y1方向)側に連続して設けられ、カバー側直交面45bは、頂面45cの挿入方向の反対側(Y2方向)に連続して設けられている。
【0034】
ガイド突条部46は、
図2、4に示すように、差込み片44の外方(対向壁55)に向けて突出して一対設けられている。一対のガイド突条部46、46は、差込み片44の幅方向(R方向)の両端部に設けられているとともに、挿入方向(矢印Y1)の全長に突条に連続して設けられている。各ガイド突条部46の頂面は、カバー側係合突起45の頂面45cと同じ高さ位置になるように構成されている。一対のガイド突条部46、46は、差込み片44がロックアーム5の案内壁部51に挿入された際に、カバー側係合突起45が、ロックアーム5のアーム側係合突起52の上下方向Y1、Y2に位置するように、差込み片44を挿入ガイドする。
【0035】
嵌合検知部材11は、
図3~5に示すように、フレーム3を収容可能な収容部10を有する直方体状に形成されている。嵌合検知部材11は、フレーム3が収容部10に収容された状態で、フレーム3を支持し、開口部10A(後述する)からフレーム3内に、ヒューズやリレー等の電気部品や配線盤の設置を可能とするように構成されている。即ち、嵌合検知部材11は、電気接続箱を組み立てる際に用いられる治具である。
【0036】
収容部10は、
図4、5に示すように、開口部10Aを有する収容部本体12と、該収容部本体12に連続する複数の収容凹部13と、を有して構成されている。収容部本体12は、開口部10Aの周縁に連続する垂直壁12Aを有して構成されている。
【0037】
複数の収容凹部13は、
図4、5に示すように、フレーム3の各ロックアーム5に対応する位置に設けられている。各収容凹部13は、収容部本体12の垂直壁12Aの挿入方向(矢印Y1)の端部に連続するとともに、引抜き方向(矢印Y2)に直交(交差)する方向に延在する突当て壁13Aを有して構成されている。突当て壁13Aは、弾性アーム6が弾性位置にある際に、フレーム3の突起部53が突当て壁13Aに当接して引っ掛かることで、フレーム3の収容部10に対する引抜きが規制されるように構成されている。
【0038】
次に、嵌合検知部材11を用いて、フレーム3にロアカバー4を組み付ける手順について、
図4を参照して説明する。
【0039】
まず、予め、不図示の作業台に、嵌合検知部材11を設置する。次に、フレーム3を、カバー組付け部31が上方を向く格好で、嵌合検知部材11の収容部10に収容する。そして、フレーム3の内部の適宜の位置に、ヒューズやリレー等の電気部品、配線盤を設置して配索しておく。
【0040】
次に、フレーム3のカバー組付け部31に、ロアカバー4の側壁部42を近付ける。差込み片44がロックアーム5の案内壁部51に挿入される。挿入が進んで、差込み片44の先端が、ロックアーム5のアーム側傾斜面52aに当接する。さらに挿入が進んで、差込み片44によってアーム側傾斜面52aが押され、弾性アーム6が撓んで、弾性アーム6が弾性位置に到達する。さらに挿入が進んで、アーム側傾斜面52aにカバー側傾斜面45aが当接し、カバー側傾斜面45aがアーム側傾斜面52aに摺動する。さらに挿入が進んで、頂面45cがアーム側傾斜面52aに当接、摺動し、頂面45cがアーム側傾斜面52aを乗り越えて、カバー側直交面45bがアーム側直交面52bの挿入方向(矢印Y1)側に位置し、これらアーム側直交面52bとカバー側直交面45bとが対向配置される。弾性アーム6が弾性復帰して自然位置に設けられる。こうして、フレーム3のロックアーム5が、ロアカバー4の被ロック部40に係合して、ロック嵌合状態となる。このようにして、フレーム3のカバー組付け部31にロアカバー4を組み付ける。この後、フレーム3およびロアカバー4を、収容部10から引抜き方向(矢印Y2)に移動させて、収容部10からフレーム3およびロアカバー4を取り出す。
【0041】
ここで、収容部10から、フレーム3およびロアカバー4の引抜きが許容された場合に、フレーム3とロアカバー4がロック嵌合状態であることを作業者は認識するものの、
図5に示すように、仮に、弾性アーム6が撓んだままの弾性位置にある場合には、弾性アーム6の突起部53が、収容部10の突当て壁13Aに引っ掛かることで、フレーム3およびロアカバー4の収容部10からの引抜きが規制される。このように、フレーム3およびロアカバー4の収容部10からの引抜きが規制されることで、作業者は、フレーム3とロアカバー4が半嵌合状態であることを検知することができる。
【0042】
上述した実施形態によれば、ロックアーム5の弾性アーム6が自然位置(係合位置)にある際に、フレーム3の収容部10からの引抜きが許容され、弾性アーム6が弾性位置(非係合位置)にある際に、弾性アーム6が収容部10に当接することで、フレーム3の収容部10からの引抜きが規制される。これによれば、箱部材2の組立て過程において、フレーム3の弾性アーム6が弾性位置にある際に、箱部材2の収容部10からの引抜きが規制されることで、作業者は、箱部材2が半嵌合状態であることを検知することができる。即ち、箱部材2が半嵌合状態であることを、目視確認で見落としたとしても、箱部材2の収容部10からの引抜きが規制されることで、作業者は、箱部材2が半嵌合状態であることを検知できる。これにより、箱部材2が半嵌合状態のまま、次の作業工程に進んでしまうことを抑制することができる。
【0043】
また、ロックアーム5には、ロアカバー4(カバー)から離れる方向に突出する突起部53(突起)が設けられ、収容部10には、箱部材2の収容部10からの引抜き方向(矢印Y2)に交差して、突起部53(突起)が突き当たる突当て壁13Aが設けられている。これによれば、箱部材2が半嵌合状態であることをより一層確実に検知可能な構造を実現できる。
【0044】
また、ロックアーム5、および被ロック部40は、それぞれ複数設けられ、複数のロックアーム5の全てに突起部53(突起)が設けられている。これによれば、全てのロックアーム5が係合位置にある際に、フレーム3の収容部10からの引抜きが許容される。即ち、非係合位置にあるロックアーム5が1つでも存在した場合には、フレーム3の収容部10からの引抜きが規制されるから、作業者は、箱部材2が半嵌合状態であることを検知できる。
【0045】
また、フレーム3、およびロアカバー4(カバー)は、内部に電気部品を収容して電気接続箱を構成する。これによれば、電気接続箱を組み立てる組立て過程において、箱部材2が半嵌合状態であることを検知できる。
【0046】
また、嵌合検知部材11は、フレーム3にロアカバー4(カバー)を組み付ける際に用いられる治具である。これによれば、嵌合検知部材11が治具として用いられるものであることにより、作業工程を増やすことなく、作業者は、箱部材2が半嵌合状態であることを検知できる。
【0047】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 嵌合検知構造
3 フレーム
4 ロアカバー(カバー)
5 ロックアーム
10 収容部
11 嵌合検知部材
13A 突当て壁
30 フレーム本体(周壁)
40 被ロック部
53 突起部(突起)
Y2 引抜き方向