(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20231211BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01R13/52 302E
H01R43/00 B
(21)【出願番号】P 2021170210
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】外村 洋志
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-074312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のコネクタハウジングにコネクタ端子が収容されたコネクタ本体と、
硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する
歯科用印象材で形成され、前記コネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部を取外し可能に塞
ぐ硬化状態のキャップと、
絶縁材料で形成され、前記コネクタ本体の内部における前記開口部の側に、前記キャップ及び前記コネクタ端子の相互間に位置するように配置されて、前記コネクタ端子に対する前記
歯科用印象材の接触から前記コネクタ端子を保護する保護部材と、
を備えたことを特徴とするキャップ付きコネクタ。
【請求項2】
前記
歯科用印象材が、アルジネート印象材であることを特徴とする請求項
1に記載のキャップ付きコネクタ。
【請求項3】
前記保護部材が、絶縁樹脂で形成されたシート部材であることを特徴とする請求項1
又は2に記載のキャップ付きコネクタ。
【請求項4】
前記保護部材が、前記キャップにおける、前記コネクタ本体の内部で前記コネクタ端子と対面する内面部に付着した状態で前記コネクタ本体の内部に設置されていることを特徴とする請求項1~
3のうち何れか一項に記載のキャップ付きコネクタ。
【請求項5】
硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する可塑性材料を、所定の塗布板に、筒状のコネクタハウジングにコネクタ端子が収容されたコネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部よりも広範囲に延在するように硬化前の状態で塗布する塗布工程と、
前記塗布板に塗布された硬化前の前記可塑性材料を、絶縁材料で形成されて前記コネクタ端子に対する前記可塑性材料の接触から前記コネクタ端子を保護する保護部材が前記コネクタ端子との相互間に配置された状態で、前記コネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部を塞ぐように当該開口部に押し付ける押付け工程と、
前記開口部を塞いだ前記可塑性材料を硬化させるとともに前記塗布板を除去し、前記開口部を取外し可能に塞いだ状態で硬化したキャップを完成させる硬化工程と、
を備えたことを特徴とするキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項6】
前記コネクタ本体を保持可能な治具本体部に、前記コネクタ本体の前記開口部に対して開閉可能となるように前記塗布板が取り付けられたコネクタ治具を用意し、前記塗布工程の直前又は直後の段階で、前記コネクタ治具の前記治具本体
部に前記コネクタ本体を保持させる保持工程を、更に備え、
前記押付け工程は、前記保護部材が前記コネクタ端子との相互間に配置された状態で、硬化前の前記可塑性材料が塗布された前記塗布板を前記開口部に対して閉じる工程であることを特徴とする請求項
5に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項7】
前記硬化工程は、前記開口部を塞いだ前記可塑性材料を所定時間に亘って大気に曝して放置することで自然硬化させる工程であることを特徴とする請求項
5又は6に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項8】
前記押付け工程は、前記塗布板に塗布された硬化前の前記可塑性材料の、前記コネクタ端子と対面する面に前記保護部材を付着させ、当該保護部材の付着後の前記可塑性材料を前記開口部に押し付ける工程であることを特徴とする請求項
5~7のうち何れか一項に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項9】
前記可塑性材料が、歯科用印象材であることを特徴とする請求項5に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項10】
前記可塑性材料が、アルジネート印象材であることを特徴とする請求項9に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【請求項11】
前記保護部材が、絶縁樹脂で形成されたシート部材であることを特徴とする請求項5に記載のキャップ付きコネクタ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方コネクタとの嵌合側の開口部がキャップで塞がれたキャップ付きコネクタと、そのようなキャップ付きコネクタを製造するキャップ付きコネクタ製造方法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には種々の電子機器が搭載されており、これらの電子機器に電力や制御信号を伝送するためにワイヤーハーネスが車内に配索されている(例えば、特許文献1参照)。車内に配索されたワイヤーハーネスは、車両システムの有無によっては端部のコネクタが相手方コネクタと嵌合されずにフリーとなる場合がある。フリーとなったコネクタは、相手方コネクタとの嵌合側の開口部からの水や異物の侵入を防ぐこと等を目的として、当該開口部がキャップで塞がれることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のようなキャップは、大きさや形状が異なるコネクタ種類毎に用意しなければならない。キャップの多くは樹脂製となるが、コネクタ種類毎にキャップを用意するには、コネクタの各種類に応じた金型が必要となり、また、製造の手間もかかるためコストの増大を招く恐れがある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、製造に関する手間やコストを抑えることができるキャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、キャップ付きコネクタは、筒状のコネクタハウジングにコネクタ端子が収容されたコネクタ本体と、硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する歯科用印象材で形成され、前記コネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部を取外し可能に塞ぐ硬化状態のキャップと、絶縁材料で形成され、前記コネクタ本体の内部における前記開口部の側に、前記キャップ及び前記コネクタ端子の相互間に位置するように配置されて、前記コネクタ端子に対する前記歯科用印象材の接触から前記コネクタ端子を保護する保護部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、キャップ付きコネクタ製造方法は、硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する可塑性材料を、所定の塗布板に、筒状のコネクタハウジングにコネクタ端子が収容されたコネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部よりも広範囲に延在するように硬化前の状態で塗布する塗布工程と、前記塗布板に塗布された硬化前の前記可塑性材料を、絶縁材料で形成されて前記コネクタ端子に対する前記可塑性材料の接触から前記コネクタ端子を保護する保護部材が前記コネクタ端子との相互間に配置された状態で、前記コネクタ本体における相手方コネクタとの嵌合側の開口部を塞ぐように当該開口部に押し付ける押付け工程と、前記開口部を塞いだ前記可塑性材料を硬化させるとともに前記塗布板を除去し、前記開口部を取外し可能に塞いだ状態で硬化したキャップを完成させる硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のキャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法によれば、製造に関する手間やコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態にかかるキャップ付きコネクタを示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図1に示されているキャップ付きコネクタの、
図1中のV11-V11線に沿った断面を示す模式的な断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタを製造するためのキャップ付きコネクタ製造方法を、その作業の流れを表す模式的なフローチャートで示した図である。
【
図4】
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタが、
図3に示されたキャップ付きコネクタ製造方法によって製造される様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法の一実施形態について説明する。まず、キャップ付きコネクタの一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態にかかるキャップ付きコネクタを示す模式的な斜視図であり、
図2は、
図1に示されているキャップ付きコネクタの、
図1中のV11-V11線に沿った断面を示す模式的な断面図である。
【0012】
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタ1は、車両の内部に配索されるワイヤーハーネス2の端部コネクタであり、コネクタ本体11と、キャップ12と、保護部材13と、を備えている。このキャップ付きコネクタ1は、相手方コネクタと嵌合されずにフリーとなる場合にはコネクタ本体11の内部への水や異物の侵入を防ぐためにキャップ12で開口部111aが塞がれたままで車内に設置される。他方で、相手方コネクタと嵌合されて使用される場合にはキャップ12及び保護部材13が除去されて相手方コネクタとの嵌合が行われる。
【0013】
コネクタ本体11は、筒状のコネクタハウジング111にコネクタ端子112が収容されたものであり、本実施形態では、コネクタハウジング111に2本のコネクタ端子112が配列されて収容されている。各コネクタ端子112は、ワイヤーハーネス2をなす電線21の端部に接続されている。
【0014】
キャップ12は、硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する可塑性材料12aで形成された部材である。本実施形態では、この可塑性材料12aとしては、歯科において歯型の型取り等に用いられる歯科用印象材、より具体的には、アルジネート印象材が採用されている。キャップ12は、この可塑性材料12aがコネクタ本体11のコネクタハウジング111における相手方コネクタとの嵌合側の開口部111aを取外し可能に塞いだ状態で硬化した部材となっている。コネクタ本体11が相手方コネクタと嵌合されて使用される場合には、このキャップ12は除去されて廃棄される。
【0015】
保護部材13は、絶縁材料で形成され、コネクタ本体11を構成するコネクタハウジング111の内部における開口部111aの側に、キャップ12及びコネクタ端子112の相互間に位置するように配置される。本実施形態では、保護部材13は、絶縁樹脂で形成されたシート部材、より具体的には、コネクタハウジング111の開口部111aの形状に合わせて長円形状に形成されたビニールシートとなっている。この保護部材13は、コネクタ端子112に対する可塑性材料12aの接触からコネクタ端子112を保護する。保護部材13は、キャップ12における、コネクタ本体11のコネクタハウジング111の内部でコネクタ端子112と対面する内面部121に付着した状態でコネクタハウジング111の内部に設置されている。コネクタ本体11が相手方コネクタと嵌合されて使用される場合には、この保護部材13はキャップ12とともに除去されて廃棄される。
【0016】
以上に説明した実施形態のキャップ付きコネクタ1によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、詳細については後述するように、硬化前の可塑性材料12aをコネクタ本体11の開口部111aへと押し付けてその形状になじませて開口部111aを塞ぎ、後は硬化させるだけでキャップ付きコネクタ1を得ることができる。また、開口部111aの閉塞時には可塑性材料12aとコネクタ端子112との相互間に保護部材13が配置されて可塑性材料12aとコネクタ端子112との接触が防がれる。この保護部材13により、コネクタ端子112に硬化前の可塑性材料12aが接触して付着することによる、相手方コネクタとの嵌合時における端子同士の導通不良等を容易に抑えることができる。以上の構成によれば、開口部111aの閉塞は不定形状の可塑性材料12aによって行われるので金型は不要であり、導通不良等の抑制を含む作業も、保護部材13を挟んだ可塑性材料12aの開口部111aへの押付けだけであり製造の手間も抑えることができる。つまり、本実施形態のキャップ付きコネクタ1によれば、製造に関する手間やコストを抑えることができる。
【0017】
ここで、本実施形態では、可塑性材料12aが、歯科用印象材であるアルジネート印象材となっている。この構成によれば、入手が容易で扱い易い歯科用印象材、特にはアルジネート印象材がキャップ12を形成する可塑性材料12aとして用いられるので、製造に関する手間を一層抑えることができる。
【0018】
また、本実施形態では、保護部材13が、絶縁樹脂で形成されたシート部材となっている。この構成によれば、シート部材の扱い易さに由来して、保護部材13の設置に関する手間を一層抑えることができる。
【0019】
また、本実施形態では、保護部材13が、キャップ12の内面部121に付着した状態でコネクタ本体11の内部に設置されている。この構成によれば、硬化前で他の部材の付着が容易な可塑性材料12aに保護部材13を付着させ、その後に開口部111aに押し付けるといった後述の手法により、キャップ12の形成と保護部材13の配置とを手間を抑えて容易に行うことができる。
【0020】
次に、
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタ1を製造するためのキャップ付きコネクタ製造方法について説明する。
【0021】
図3は、
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタを製造するためのキャップ付きコネクタ製造方法を、その作業の流れを表す模式的なフローチャートで示した図である。また、
図4は、
図1及び
図2に示されているキャップ付きコネクタが、
図3に示されたキャップ付きコネクタ製造方法によって製造される様子を示す模式図である。
【0022】
本実施形態におけるキャップ付きコネクタ製造方法は、
図3に示されているように保持工程S11、塗布工程S12、押付け工程S13、及び硬化工程S14、を備えている。
【0023】
保持工程S11は、次のようなコネクタ治具3を用意し、塗布工程S12の直前の段階で、コネクタ治具3にコネクタ本体11を装着して保持させる工程である。コネクタ治具3は、
図4に示されているように、コネクタ本体11を保持可能な治具本体部31に、コネクタ本体11の開口部111aに対して開閉可能となるように可塑性材料12aの塗布板32が取り付けられて構成されている。
【0024】
本実施形態では、治具本体部31は、矩形箱状の部材であって、一の側壁が除かれて図中の装着方向D11にコネクタ本体11を装着可能な装着口311が形成されている。また、この装着口311から装着されたコネクタ本体11のコネクタ端子112から延びる電線21を治具本体部31の外部へと延出させるための電線延出口312が、図中左側の側壁が切り欠かれて形成されている。さらに、この電線延出口312と対面する側壁が除かれて、コネクタ本体11の開口部111aを外部に露出させる開口露出口313が形成されている。そして、この開口露出口313における底壁側の端部に可塑性材料12aの塗布板32が、図中の開閉方向D12に開閉可能にヒンジ連結されている。
【0025】
保持工程S11では、可塑性材料12aが未塗布の塗布板32が開かれた治具本体部31における装着口311からコネクタ本体11が装着される。そして、電線延出口312から電線21が延出され、開口露出口313から開口部111aが露出された状態でコネクタ本体11が保持される。
【0026】
次の塗布工程S12では、開かれた状態の塗布板32における、閉塞時にコネクタ本体11の開口部111aと対面する内面321に、可塑性材料12aが、当該開口部111aよりも広範囲に延在するように硬化前の状態で塗布される。本実施形態では、この可塑性材料12aは、コネクタ本体11の開口部111aの形状に合わせて長円形に塗布される。
【0027】
押付け工程S13では、塗布板32に塗布された硬化前の可塑性材料12aが、保護部材13がコネクタ端子112との相互間に配置された状態で、コネクタ本体11の開口部111aを塞ぐように当該開口部111aに押し付けられる。本実施形態では、可塑性材料12aの押付けは、塗布板32が開口露出口313に向かって閉じられることで行われる。また、この際には、硬化前の可塑性材料12aの、コネクタ端子112と対面する面に保護部材13が付着され、当該保護部材13の付着後の可塑性材料12aを開口部111aに押し付けるように塗布板32が閉じられる。
【0028】
この後の硬化工程S14は、開口部111aを塞いだ可塑性材料12aを硬化させる工程となっている。本実施形態では、可塑性材料12aとしてのアルジネート印象材は、所定の容器から取り出されて塗布板32に塗布されて大気に曝された時点から硬化が始まる。硬化工程S14では、開口部111aを塞いだ可塑性材料12aが所定時間に亘って大気に曝されて放置されることで可塑性材料12aが自然硬化することとなっている。そして、硬化工程S14では、硬化後に塗布板32が開かれることで当該塗布板32が除去され、開口部111aを取外し可能に塞いだ状態で硬化したキャップ12が完成する。このキャップ12の完成を以て、キャップ付きコネクタ1が完成し、
図3及び
図4に示されているキャップ付きコネクタ製造方法が終了する。
【0029】
以上、
図3及び
図4を参照して説明した実施形態のキャップ付きコネクタ製造方法によれば、金型が不要で、保護部材を挟んだ可塑性材料の開口部への押付けだけでキャップ付きコネクタを製造することができる。つまり、本実施形態のキャップ付きコネクタ製造方法によれば、製造に関する手間やコストを抑えることができる。
【0030】
また、本実施形態では、保持工程S11で、コネクタ治具3の治具本体部31にコネクタ本体11が保持され、押付け工程S13は、硬化前の可塑性材料12aが塗布された塗布板32を閉じる工程となっている。この構成によれば、コネクタ本体11が治具本体部31に保持されることで、当該コネクタ本体11の開口部111aと、塗布板32上の可塑性材料12aと、が互いに位置決めされることとなる。このように位置決めされた状態で塗布板32が閉じられてコネクタ本体11の開口部111aが可塑性材料12aで塞がれてキャップ12が形成されるので、キャップ12による開口部111aの閉塞を高精度で行うことができる。
【0031】
また、本実施形態では、硬化工程S14は、開口部111aを塞いだ可塑性材料12aを所定時間に亘って大気に曝して放置することで自然硬化させる工程となっている。この構成によれば、ただ放置するだけで硬化が行われるので、製造に関する手間を一層抑えることができる。
【0032】
また、本実施形態では、押付け工程S13は、硬化前の可塑性材料12aに保護部材13を付着させ、当該保護部材13の付着後の可塑性材料12aをコネクタ本体11の開口部111aに押し付ける工程となっている。この構成によれば、保護部材13の付着と、その後の押付けという手法により、キャップ12の形成と保護部材13の配置とを手間を抑えて容易に行うことができる。
【0033】
尚、以上に説明した実施形態はキャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法の代表的な形態を示したに過ぎず、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法は、その骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0034】
例えば、上述の実施形態では、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法の一例として、車両の内部に配索されるワイヤーハーネス2の端部コネクタとしてのキャップ付きコネクタ1と、その製造方法が例示されている。しかしながら、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法は、これに限定されるものではなく、車両以外の場所に配策されるワイヤーハーネスの端部コネクタや、その製造方法であってもよく、その具体的な設置態様を問うものではない。
【0035】
また、上述の実施形態では、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法の一例として、コネクタハウジング111に2つのコネクタ端子112が収容されたコネクタ本体11を備えたキャップ付きコネクタ1と、その製造方法が例示されている。しかしながら、キャップ付きコネクタ、及びキャップ付きコネクタ製造方法は、これに限定されるものではなく、コネクタ端子の収容数等といった具体的なコネクタ態様は任意に設定し得るものである。
【0036】
また、上述の実施形態では、可塑性材料の一例として、歯科用印象材、より具体的にはアルジネート印象材が採用された可塑性材料12aが例示されている。しかしながら、可塑性材料は、これに限るものではなく、硬化前には可塑性を有し所定の条件下で硬化する材料であれば、歯科用印象材以外の、例えば紫外線硬化樹脂等であってもよい。また、歯科用印象材を採用する場合であっても、アルジネート印象材以外の、例えばシリコーン印象材等であってもよい。ただし、歯科用印象材、特にアルジネート印象材が、入手が容易で扱い易い点は上述した通りである。
【0037】
また、上述の実施形態では、保護部材の一例として、絶縁樹脂で形成されたシート部材が採用された保護部材13が例示されている。しかしながら、保護部材は、これに限るものではなく、シート部材以外の板材やブロック材等であってもよい。ただし、シート部材が採用された保護部材13によれば、その扱い易さに由来して設置に関する手間を一層抑えることができる点は上述した通りである。
【0038】
また、上述の実施形態では、保護部材の一例として、キャップ12の内面部121に付着された保護部材13が例示されている。しかしながら、保護部材は、これに限るものではなく、キャップ及びコネクタ端子の相互間に位置するように配置されるものであれば、キャップの内面部から離された状態で配置されたものであってもよい。ただし、キャップ12への保護部材13の付着により、キャップ12の形成と保護部材13の配置とを手間を抑えて容易に行うことができる点は上述した通りである。
【0039】
また、上述の実施形態では、キャップ付きコネクタ製造方法の一例として、コネクタ治具3にコネクタ本体11を保持させる保持工程S11を備え方法が例示されている。しかしながら、キャップ付きコネクタ製造方法は、これに限るものではなく、コネクタ治具等は用いずに、例えば作業者がコネクタ本体を一方の手で持ち、他方の手で、塗布板に塗布した可塑性部材を開口部に押し付ける等といった方法であってもよい。しかしながら、コネクタ治具3を用いることで、コネクタ本体11の開口部111aと可塑性材料12aとが互いに位置決めされ、キャップ12による開口部111aの閉塞を高精度で行うことができる点は上述した通りである。
【0040】
また、上述の実施形態では、保持工程の一例として、塗布工程S12の直前に行われる保持工程S11が例示されている。しかしながら、保持工程は、これに限るものではなく、塗布工程の直後に行われる工程であってもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、硬化工程の一例として、可塑性材料を自然硬化させる硬化工程S14が例示されている。しかしながら、硬化工程は、これに限るものではなく、例えば可塑性材料として紫外線硬化樹脂を用い、紫外線照射を行うことで硬化を行う工程等であってもよい。ただし、自然硬化を採用した硬化工程S14によれば、製造に関する手間を一層抑えることができる点は上述した通りである。
【0042】
また、上述の実施形態では、押付け工程の一例として、保護部材13の付着後の可塑性材料12aをコネクタ本体11の開口部111aに押し付ける押付け工程S13が例示されている。しかしながら、押付け工程は、これに限るものではなく、可塑性材料に付着させることなくコネクタ本体の内部に保護部材を配置し、可塑性材料を開口部に押し付ける工程等であってもよい。ただし、保護部材13の付着後の可塑性材料12aを押し付ける押付け工程S13によれば、キャップ12の形成と保護部材13の配置とを手間を抑えて容易に行うことができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0043】
1 キャップ付きコネクタ
2 ワイヤーハーネス
3 コネクタ治具
11 コネクタ本体
12 キャップ
12a 可塑性材料
13 保護部材
21 電線
111 コネクタハウジング
111a 開口部
112 コネクタ端子
121 内面部
31 治具本体部
32 塗布板
311 装着口
312 電線延出口
313 開口露出口
D11 装着方向
D12 開閉方向
S11 保持工程
S12 塗布工程
S13 押付け工程
S14 硬化工程