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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20231211BHJP
【FI】
F16H57/04 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023529731
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2022021495
(87)【国際公開番号】W WO2022270213
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2021105241
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004141
【氏名又は名称】弁理士法人紀尾井坂テーミス
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】横山 和彦
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-278345(JP,A)
【文献】特開2008-185078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動歯車機構を収容するハウジングを有し、
前記ハウジングはクーラントが流れる流路を有し、
径方向視において前記流路は前記差動歯車機構とオーバーラップする部分を有し、
前記流路は前記差動歯車機構の出力軸の軸心を通り且つ重力方向に直交する水平面よりも上方に位置する部分を有し、
前記クーラントは、前記差動歯車機構の上方に位置する壁部の上方を流れるように構成されている、ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記流路は前記差動歯車機構の出力軸の軸心を通り且つ重力方向に直交する水平面よりも下方に位置する部分を有する、ユニット。
【請求項3】
請求項1において、
軸方向視において、前記流路は前記ハウジングとオーバーラップする部分を有する、ユニット。
【請求項4】
請求項2において、
軸方向視において、前記流路は前記ハウジングとオーバーラップする部分を有する、ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
軸方向視において、前記流路は前記差動歯車機構の出力軸の軸心を囲うように配置された弧状部分を含む形状を有する、ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記ハウジングは、前記クーラントと接する外表面と、オイルと接する内表面と、を有する壁部を前記水平面よりも上方に有する、ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記流路は、前記ハウジング内に位置し且つ前記ハウジングの上部に設けられたキャッチタンクに隣接して配置されている、ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記流路において、前記クーラントの導入部および排出部が、前記水平面よりも上方に設けられている、ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータおよび動力伝達機構を有するユニットを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-185078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユニットは、モータおよび動力伝達機構を収容するハウジングを有する。モータおよび動力伝達機構を構成する部品が回転して発熱することにより、ハウジングの温度が上昇する。ユニットには、冷却水等のクーラントが流れる流路が設けられる。ハウジングは、クーラントとの熱交換により温度上昇が低減される。
【0005】
ハウジングとクーラントとの熱交換効率を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様におけるユニットは、
差動歯車機構を収容するハウジングを有し、
前記ハウジングはクーラントが流れる流路を有し、
径方向視において前記流路は前記差動歯車機構とオーバーラップする部分を有し、
前記流路は前記差動歯車機構の出力軸の軸心を通り且つ重力方向に直交する水平面よりも上方に位置する部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、ハウジングとクーラントとの熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、車両に搭載されるユニットを説明するスケルトン図である。
図2図2は、ユニットの外観図である。
図3図3は、ユニットの断面模式図である。
図4図4は、遊星減速ギア周りの拡大図である。
図5図5は、モータケースを、第2ケース部材を取り外した状態で上方から見た図である。
図6図6は、ユニットにおける冷却水の流れを説明する図である。
図7図7は、デフケースによるオイルの掻き上げを説明する図である。
図8図8は、ギアケースを回転軸方向から見た図である。
図9図9は、図8におけるA-A線に沿って冷却室を切断した断面図である。
図10図10は、冷却室内の冷却路を説明する図である。
図11図11は、図10のA-A断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本明細書における用語の定義を説明する。
「ユニット」は、「モータユニット」、「動力伝達装置」等とも呼ばれる。モータユニットは、少なくともモータを有するユニットである。動力伝達装置は、少なくとも動力伝達機構を有する装置であり、動力伝達装置は、例えば、歯車機構及び/又は差動歯車機構である。モータ及び動力伝達機構を有する装置であるユニットは、モータユニット及び動力伝達装置の双方の概念に属する。
【0010】
「ハウジング」は、モータ、ギア、インバータを収容するものである。ハウジングは1つ以上のケースから構成される。
【0011】
「3in1」とは、モータを収容するモータケースの一部と、インバータを収容するインバータケースの一部とが、一体形成された形式を意味する。たとえば、カバーとケースが1つのケースを構成する場合、「3in1」では、モータを収容するケースとインバータを収容するケースが一体に形成されている。
【0012】
「モータ」は、電動機機能及び/又は発電機機能を有する回転電機である。
【0013】
第1要素(部品、部分等)に接続された第2要素(部品、部分等)、第1要素(部品、部分等)の下流に接続された第2要素(部品、部分等)、第1要素(部品、部分等)の上流に接続された第2要素(部品、部分等)と述べた場合、第1要素と第2要素とが動力伝達可能に接続されていることを意味する。動力の入力側が上流となり、動力の出力側が下流となる。また、第1要素と第2要素は、他の要素(クラッチ、他の歯車機構等)を介して接続されていても良い。
【0014】
「所定方向視においてオーバーラップする」とは、所定方向に複数の要素が並んでいることを意味し、「所定方向にオーバーラップする」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいることが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバーラップしていることを説明した文章があるとみなして良い。
【0015】
「所定方向視においてオーバーラップしていない」、「所定方向視においてオフセットしている」とは、所定方向に複数の要素が並んでいないことを意味し、「所定方向にオーバーラップしていない」、「所定方向にオフセットしている」と記載する場合と同義である。「所定方向」は、たとえば、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
図面上において複数の要素(部品、部分等)が所定方向に並んでいないことが図示されている場合は、明細書の説明において、所定方向視においてオーバーラップしていないことを説明した文章があるとみなして良い。
【0016】
「所定方向視において、第1要素(部品、部分等)は第2要素(部品、部分等)と第3要素(部品、部分等)との間に位置する」とは、所定方向から観察した場合において、第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが観察できることを意味する。「所定方向」とは、軸方向、径方向、重力方向、車両走行方向(車両前進方向、車両後進方向)等である。
例えば、第2要素と第1要素と第3要素とが、この順で軸方向に沿って並んでいる場合は、径方向視において、第1要素は第2要素と第3要素との間に位置しているといえる。図面上において、所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることが図示されている場合は、明細書の説明において所定方向視において第1要素が第2要素と第3要素との間にあることを説明した文章があるとみなして良い。
【0017】
軸方向視において、2つの要素(部品、部分等)がオーバーラップするとき、2つの要素は同軸である。
【0018】
「軸方向」とは、ユニットを構成する部品の回転軸の軸方向を意味する。「径方向」とは、ユニットを構成する部品の回転軸に直交する方向を意味する。部品は、例えば、モータ、歯車機構、差動歯車機構等である。
【0019】
遊星歯車機構の回転要素(例えば、サンギア、キャリア、リングギア等)が他の要素と「固定されている」とは、直接固定されていても良いし、別部材を介して固定されていても良い。
【0020】
「回転方向の下流側」とは、車両前進時における回転方向または車両後進時における回転方向の下流側を意味する。頻度の多い車両前進時における回転方向の下流側にすることが好適である。遊星歯車機構における回転方向の下流側とは、ピニオンギアの公転方向の下流側を意味する。
【0021】
「キャッチタンク」は、オイルが導入されるタンク(コンテナ)の機能を有する要素(部品、部分等)である。タンクの外側からタンクにオイルが供給されることを、「キャッチ」と表現している。キャッチタンクは、たとえばハウジングの少なくとも一部を利用して設けられるか、ハウジングと別体で設けられる。キャッチタンクとハウジングとを一体形成することにより、部品点数削減に寄与する。
【0022】
「クーラント」は冷媒であり、熱交換媒体の一種である。たとえば、「クーラント」は、液体(冷却水等)、気体(空気等)等である。クーラントはオイルを含む概念であるが、本明細書においてオイルとクーラントとが併記されている場合は、クーラントはオイルとは異なる材料で構成されていることを意味する。
【0023】
「熱交換部」は、異なる2つの熱交換媒体間で熱交換を行う要素(部品、部分等)である。2つの熱交換媒体の組合せは、たとえば、オイルと冷却水、冷却水と空気、空気とオイル等がある。熱交換部は、例えば、熱交換器(オイルクーラ)、クーラントの流れる流路、ヒートパイプ、等がある。本件では、熱交換部として、例えばハウジングに形成されたクーラントの流れる流路を用いると好適である。これにより、ユニットの寸法の縮小に寄与することができる。
【0024】
ハウジングに形成されたクーラントの流れる流路とは、ハウジングと一体形成された部分である。例えば、クーラントと、ハウジング内のオイル及び/又は空気と、の熱交換がハウジングの壁部を介して行われる。
【0025】
「車室」は、車両において乗員が乗り込む部屋を意味する。
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、車両に搭載されるユニットを説明するスケルトン図である。
図2は、ユニットの外観図である。
図3は、ユニットの断面模式図である。図3は、インバータケースを取り除いた状態を示している。
図4は、遊星減速ギア周りの拡大図である。
図5は、モータケースを、第2ケース部材を取り外した状態で上方から見た図である。
図6は、ユニットにおける冷却水の循環システムを示す図である。
図7は、ギアケースのキャッチタンクを説明する図である。
【0027】
図1に示すように、ユニット1は、3in1ユニットとして、モータ2と、モータ2が出力した動力を車両の駆動輪K、Kに伝達する動力伝達機構3と、モータ2の電力変換装置であるインバータ7(図2参照)を有する。
【0028】
実施の形態では、図1に示すように、ユニット1は、動力伝達機構3として、遊星減速ギア4(減速歯車機構、遊星歯車機構)、差動機構5(差動歯車機構)および出力軸であるドライブシャフトDA、DBを有する。
ユニット1では、モータ2の回転軸X回りの出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフトDA、DBと、が設けられている。ドライブシャフトDA、DBの軸線は、モータ2の回転軸Xと同軸であり、差動機構5はモータ2と同軸である。
【0029】
ユニット1では、モータ2の出力回転が、遊星減速ギア4で減速されて差動機構5に入力された後、ドライブシャフトDA、DBを介して、ユニット1が搭載された車両の左右の駆動輪K、Kに伝達される。
ここで、遊星減速ギア4は、モータ2の下流に接続されている。差動機構5は、遊星減速ギア4を介してモータ2の下流に接続されている。ドライブシャフトDA、DBは、差動機構5の下流に接続されている。
【0030】
図2に示すように、ユニット1は、3in1タイプのハウジングとして、モータ2、動力伝達機構3およびインバータ7を収容するハウジングHSを有する。ハウジングHSは、1つ以上のケースから構成される。ハウジングHSは、例えば、モータ2を収容するモータケース10と、動力伝達機構3を収容するギアケース14と、インバータ7を収容するインバータケース17と、を有する。回転軸X方向におけるモータケース10の一端側に、ギアケース14が接合されている。ユニット1を車両に搭載した状態における、モータケース10の重力方向上方にインバータケース17が接合されている。
【0031】
インバータ7は、平滑コンデンサ、パワー半導体素子、ドライバ基板等を備えた電子部品である。インバータ7は、不図示の配線によってモータケース10内のモータ2と電気的に接続されている。
インバータケース17内には、インバータ7を冷却する冷却水CL(図6参照)が通流する冷却路CP2が形成されている。
【0032】
モータ2は、軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)とオーバーラップする部分を有する(図3参照)。ここで、「軸方向視において」とは、回転軸X方向から視て、という意味である。なお、「径方向視において」とは、回転軸X方向の径方向から視て、という意味である。
軸方向視において、モータ2は遊星減速ギア4(減速歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、遊星減速ギア4(減速歯車機構)は差動機構5(差動歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、遊星減速ギア4(減速歯車機構)はモータ2にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)は遊星減速ギア4(減速歯車機構)にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、差動機構5(差動歯車機構)はモータ2にオーバーラップする部分を有する。
軸方向視において、モータ2は差動機構5(差動歯車機構)とオーバーラップする部分を有する。
【0033】
図3に示すように、モータケース10は、第1ケース部材11と、第1ケース部材11に外挿される第2ケース部材12と、第1ケース部材11の一端に接合されるカバー部材13を有する。第1ケース部材11は、円筒状の支持壁部111と、支持壁部111の一端111aに設けられたフランジ状の接合部112と、を有している。
支持壁部111はモータ2の回転軸Xに沿わせた向きで設けられている。支持壁部111の内側には、モータ2が収容される。
【0034】
第2ケース部材12は、円筒状の周壁部121と、周壁部121の一端121aに設けられたフランジ状の接合部122と、周壁部121の他端121bに設けられたフランジ状の接合部123と、を有している。
第2ケース部材12の周壁部121は、第1ケース部材11の支持壁部111に外挿可能な内径で形成されている。
第1ケース部材11と第2ケース部材12は、第1ケース部材11の支持壁部111に、第2ケース部材12の周壁部121を外挿して互いに組み付けられている。
【0035】
周壁部121の一端121a側の接合部122は、回転軸X方向から、第1ケース部材11の接合部112に当接している。これら接合部122、112は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
【0036】
図5に示すように、第1ケース部材11の支持壁部111の外周には、突起111bが設けられている。突起111bは回転軸Xを間隔を空けて囲む1つの壁である。支持壁部111において突起111bは、回転軸X方向の一端から他端に向かって位相をずらして螺旋状に設けられている。突起111bは、支持壁部111の全周に亘って、支持壁部111の外周を取り巻いている。
【0037】
図3に示すように、第1ケース部材11の支持壁部111に、第2ケース部材12の周壁部121が外挿される。この状態において周壁部121の内周は、支持壁部111の螺旋状の突起111bの外周に当接しているため、周壁部121と支持壁部111の間には空間が形成される。この空間は、回転軸Xを間隔をあけて囲むと共に、回転軸X方向に連続する螺旋状に形成される。この螺旋状の空間によって、クーラントである冷却水CL(図6参照)が通流する冷却路CP1が形成される。なお、図6では螺旋状の冷却路CP1を、簡略化して直線状に示している。
【0038】
第1ケース部材11の支持壁部111の外周では、突起111bが設けられた領域の両側に、リング溝111c、111cが形成されている。リング溝111c、111cには、シールリング113、113が外嵌して取り付けられている。
これらシールリング113は、支持壁部111に外挿された周壁部121の内周に圧接して、支持壁部111の外周と、周壁部121の内周との間の隙間を封止する。
【0039】
第2ケース部材12の他端121bには、内径側に延びる壁部120(カバー)が設けられている。壁部120は、回転軸Xに直交する向きで設けられている。壁部120の回転軸Xと交差する領域に、ドライブシャフトDAが挿通する開口120aが開口している。
【0040】
壁部120の、モータ2側(図中、右側)の面に、開口120aを囲み、モータ2側に延びる筒状のモータ支持部125が設けられている。
モータ支持部125は、後記するコイルエンド253bの内側に挿入されている。モータ支持部125は、ロータコア21の端部21bに回転軸X方向の隙間をあけて対向している。モータ支持部125の内周には、ベアリングB1が支持されている。モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部125で支持されている。
【0041】
壁部120の、差動機構5側(図中、左側)の面に、差動機構5側に延びる筒壁部126が設けられている。筒壁部126は、開口120aを囲む筒状であり、筒壁部126の内周には、ベアリングB2が支持されている。ベアリングB2は、後記するデフケース50の筒壁部61を支持する。
【0042】
カバー部材13は、回転軸Xに直交する壁部130と、接合部132とを有する。
第1ケース部材11から見てカバー部材13は、差動機構5とは反対側(図中、右側)に位置している。カバー部材13の接合部132は、第1ケース部材11の接合部112に回転軸X方向から接合されている。カバー部材13と第1ケース部材11は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。この状態において第1ケース部材11は、支持壁部111の接合部122側(図中、右側)の開口が、カバー部材13で塞がれている。
【0043】
カバー部材13では、壁部130の中央部に、ドライブシャフトDAの挿通孔130aが設けられている。
挿通孔130aの内周には、リップシールRSが設けられている。リップシールRSは、図示しないリップ部をドライブシャフトDAの外周に弾発的に接触させている。挿通孔130aの内周と、ドライブシャフトDAの外周との隙間が、リップシールRSにより封止されている。
壁部130における第1ケース部材11側(図中、左側)の面には、挿通孔130aを囲む周壁部131が設けられている。周壁部131の内周には、ドライブシャフトDAがベアリングB4を介して支持されている。
【0044】
接合部132の内径側には、モータ支持部135および接続壁136が設けられている。モータ支持部135は、周壁部131から見てモータ2側(図中、左側)に設けられている。モータ支持部135は、回転軸Xを間隔を空けて囲む筒状を成している。
モータ支持部135の外周には、円筒状の接続壁136が接続されている。接続壁136は、壁部130側(図中、右側)の周壁部131よりも大きい外径で形成されている。接続壁136は、回転軸Xに沿う向きで設けられており、モータ2から離れる方向に延びている。接続壁136は、モータ支持部135と接合部132とを接続している。
【0045】
モータ支持部135の内側を、モータシャフト20の一端20a側が、モータ2側から周壁部131側に貫通している。
モータ支持部135の内周には、ベアリングB1が支持されている。モータシャフト20の外周が、ベアリングB1を介してモータ支持部135で支持されている。
ベアリングB1と隣り合う位置には、リップシールRSが設けられている。
【0046】
接続壁136の内周に、油孔136a、136bが開口している。接続壁136で囲まれた空間(内部空間Sc)に、油孔136aからオイルOLが流入する。内部空間Scに流入したオイルOLは、油孔136bから排出される。リップシールRSは、接続壁136内のオイルOLのモータ2側への流入を阻止するために設けられている。
【0047】
ギアケース14は、周壁部141と、周壁部141におけるモータケース10側の端部に設けられたフランジ状の接合部142と、を有している。周壁部141における接合部142と対向側(図中、左側)の端部には、後記するベアリングB2の支持部145が設けられている。周壁部141は、接合部142に接続する筒壁部141aと、支持部145に接続する傾斜部141c(壁部)と、これら筒壁部141aと傾斜部141cとを接続する接続壁部141bとを有する。筒壁部141aと接続壁部141bは、接合部142から段階的に縮径して傾斜部141cに接続する。傾斜部141cは、接続壁部141bから支持部145に向かって内径側に傾斜する。周壁部141の内側に、動力伝達機構3である遊星減速ギア4と差動機構5が収容される。
【0048】
ギアケース14は、モータケース10から見て差動機構5側(図中、左側)に位置している。ギアケース14の接合部142は、モータケース10の第2ケース部材12の接合部123に、回転軸X方向から接合されている。ギアケース14と第2ケース部材12は、ボルト(図示せず)で互いに連結されている。
【0049】
接合されたモータケース10およびギアケース14の内部に形成される空間は、第2ケース部材12の壁部120(カバー)によって、2つに区画される。壁部120のモータケース10側がモータ2を収容するモータ室Saであり、ギアケース14側が動力伝達機構3を収容するギア室Sbである。カバーである壁部120は、ハウジングHSの内部において、モータ2と差動機構5に挟まれる。
【0050】
カバーは、ハウジングHS内に収容された部分を有するものであれば良く、壁部120のように、全体がハウジングHSに収容されていても良い。また、カバーは、たとえば、第2ケース部材12とは別体としても良い。この場合、カバーは、モータケース10とギアケース14で挟んで固定しても良い。なお、カバーの一部がハウジングHS外に露出しても良い。
【0051】
モータ2は、円筒状のモータシャフト20と、モータシャフト20に外挿された円筒状のロータコア21と、ロータコア21の外周を間隔を空けて囲むステータコア25とを、有する。
【0052】
モータシャフト20では、ロータコア21の両側に、ベアリングB1、B1が外挿されて固定されている。
ロータコア21から見てモータシャフト20の一端20a側(図中、右側)に位置するベアリングB1は、カバー部材13のモータ支持部135の内周に支持されている。他端20b側(図中、左側)に位置するベアリングB1は、第2ケース部材12の円筒状のモータ支持部125の内周に支持されている。
【0053】
モータ支持部135、125は、後記するコイルエンド253a、253bの内径側で、ロータコア21の一方の端部21aと他方の端部21bに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置されている。
【0054】
ロータコア21は、複数の珪素鋼板を積層して形成したものである。珪素鋼板の各々は、モータシャフト20との相対回転が規制された状態で、モータシャフト20に外挿されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成している。珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
【0055】
ロータコア21の外周を囲むステータコア25は、複数の電磁鋼板を積層して形成したものである。ステータコア25は、第1ケース部材11の円筒状の支持壁部111の内周に固定されている。
電磁鋼板の各々は、支持壁部111の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252と、を有している。
【0056】
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用している。ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸X方向の長さが長くなっている。
【0057】
なお、ロータコア21側に突出する複数のティース部252の各々に、巻線を集中巻きした構成のステータコアを採用しても良い。
【0058】
第2ケース部材12の壁部120(モータ支持部125)には、開口120aが設けられている。モータシャフト20の他端20b側は、開口120aを差動機構5側(図中、左側)に貫通して、ギアケース14内に位置している。
モータシャフト20の他端20bは、ギアケース14の内側で、後記するサイドギア54Aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向している。
【0059】
モータシャフト20と壁部120の開口120aの間にはリップシールRSが挿入されている。
ギアケース14の内径側には、遊星減速ギア4と差動機構5を潤滑するためのオイルOLが封入されている。
リップシールRSは、ギアケース14内のオイルOLがモータケース10内に流入することを阻止するために設けられている。
【0060】
図4に示すように、モータシャフト20の、ギアケース14内に位置する領域に遊星減速ギア4のサンギア41がスプライン嵌合している。
【0061】
サンギア41の外周には歯部41aが形成されており、歯部41aには段付きピニオンギア43の大径歯車部431が噛合している。
【0062】
段付きピニオンギア43は、サンギア41に噛合する大径歯車部431(ラージピニオン)と、大径歯車部431よりも小径の小径歯車部432(スモールピニオン)とを有している。
大径歯車部431と小径歯車部432は、回転軸Xに平行な軸線X1方向に並んで配置された、一体のギア部品である。
【0063】
小径歯車部432の外周は、リングギア42の内周に噛合している。リングギア42は、回転軸Xを間隔を空けて囲むリング状を成している。リングギア42の外周には、係合歯が設けられ、係合歯が接続壁部141bの内周に設けられた歯部146aにスプライン嵌合している。リングギア42は、回転軸X回りの回転が規制されている。
【0064】
大径歯車部431および小径歯車部432の内径側をピニオン軸44が貫通している。段付きピニオンギア43は、ピニオン軸44の外周にニードルベアリングNB、NBを介して回転可能に支持されている。
【0065】
図3に示すように、差動機構5は、入力要素であるデフケース50(デファレンシャルケース)と、出力要素であるドライブシャフトDA、DB(出力軸)、差動要素である差動歯車セットを有する。詳細な説明は省略するが、デフケース50は、回転軸方向に組み付けられた2つのケース部材から構成しても良い。
【0066】
デフケース50は、遊星減速ギア4の段付きピニオンギア43を支持するキャリアとしても機能する。段付きピニオンギア43は、ピニオン軸44を介して、デフケース50に回転可能に支持されている。図7に示すように、3つの段付きピニオンギア43は、回転軸X周りの周方向に間隔を空けて配置されている。
【0067】
図3に示すように、デフケース50内には、差動歯車セットとして、傘歯車式のデファレンシャルギアであるピニオンメートギア52と、サイドギア54A、54Bが設けられている。ピニオンメートギア52は、ピニオンメートシャフト51に支持されている。
ピニオンメートシャフト51は、回転軸X上に配置された中心部材510と、中心部材510の外径側に連結されたシャフト部材511を有する。図示は省略するが、複数のシャフト部材511が回転軸X周りの周方向に等間隔で設けられている。シャフト部材511は、デフケース50の径方向に延びる支持孔69に挿通され、支持されている。
【0068】
ピニオンメートギア52は、シャフト部材511の各々に1つずつ外挿され、回転可能に支持されている。
【0069】
デフケース50では、回転軸X方向における中心部材510の一方側にサイドギア54Aが位置し、他方側にサイドギア54Bが位置する。サイドギア54A、54Bは、それぞれデフケース50に回転可能に支持される。
サイドギア54Aは、回転軸X方向における一方側から、ピニオンメートギア52に噛合している。サイドギア54Bは、回転軸X方向における他方側から、ピニオンメートギア52に噛合している。
【0070】
デフケース50の一端側(図中、右側)の中央部には、開口60と、開口60を囲み、モータケース10側に延びる筒壁部61が設けられている。筒壁部61の外周は、ベアリングB2を介して、第2ケース部材12の壁部120に支持されている。
【0071】
デフケース50の内部には、開口60を挿通したドライブシャフトDAが、回転軸X方向から挿入されている。ドライブシャフトDAは、カバー部材13の壁部130の挿通孔130aを貫通し、モータ2のモータシャフト20と、遊星減速ギア4のサンギア41の内径側を回転軸X方向に横切って設けられている。
【0072】
図3に示すように、デフケース50の他端側(図中、左側)の中央部には、貫通孔65と、貫通孔65を囲む筒壁部66が形成されている。筒壁部66に、ベアリングB2が外挿されている。筒壁部66に外挿されたベアリングB2は、ギアケース14の支持部145で保持されている。デフケース50の筒壁部66は、ベアリングB2を介して、ギアケース14で回転可能に支持されている。
【0073】
支持部145には、ギアケース14の開口部145aを貫通したドライブシャフトDBが、回転軸X方向から挿入されている。ドライブシャフトDBは、支持部145で回転可能に支持されている。筒壁部66は、ドライブシャフトDBの外周を支持する軸支持部として機能する。
開口部145aの内周には、リップシールRSが固定されている。リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフトDBに外挿されたサイドギア54Bの筒壁部540の外周に弾発的に接触している。
これにより、サイドギア54Bの筒壁部540の外周と開口部145aの内周との隙間が封止されている。
【0074】
デフケース50の内部では、ドライブシャフトDA、DBの先端部が、回転軸X方向に間隔を空けて対向している。
ドライブシャフトDA、DBの先端部の外周に、デフケース50に支持されたサイドギア54A、54Bがスプライン嵌合している。サイドギア54A、54BとドライブシャフトDA、DBとが、回転軸X周りに一体回転可能に連結されている。
【0075】
この状態においてサイドギア54A、54Bは、回転軸X方向で間隔をあけて、対向配置されている。サイドギア54A、54Bの間に、ピニオンメートシャフト51の中心部材510が位置している。
ピニオンメートギア52は、回転軸X方向の一方側に位置するサイドギア54Aおよび他方側に位置するサイドギア54Bに、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
【0076】
図4に示すように、デフケース50の一端側(図中、右側)の、開口60の外径側に、ピニオン軸44の一端44a側の支持孔62が形成されている。デフケース50の他端側(図中、左側)には、ピニオン軸44の他端44b側の支持孔68が形成されている。
【0077】
支持孔62、68は、回転軸X方向にオーバーラップする位置に形成される。支持孔62、68は、それぞれ、段付きピニオンギア43を配置する位置に合わせて、回転軸X周りの周方向に間隔を空けて形成される。ピニオン軸44の一端44aが支持孔62に挿入され、他端44bが支持孔68に挿入される。ピニオン軸44は、他端44bが支持孔68に圧入されることで、ピニオン軸44はデフケース50に対して相対回転不能に固定されている。ピニオン軸44に外挿された段付きピニオンギア43は、回転軸Xに平行な軸線X1回りに回転可能に支持されている。
【0078】
図示は省略するが、ギアケース14の内部には、潤滑用のオイルOLが貯留されている。デフケース50が回転軸X回りに回転すると、オイルOLがデフケース50によって掻き上げられる。
詳細な説明は省略するが、デフケース50、ピニオン軸44等には、デフケース50に掻き上げられたオイルOLを導入するための油路、油孔等が設けられている。これによって、ベアリングB2、ニードルベアリングNB等の回転部材にオイルOLが導入されやすくなっている。
【0079】
また、図7に示すように、ギアケース14内の、デフケース50の上部に、キャッチタンク15が設けられている。キャッチタンク15は、回転軸Xと直交する鉛直線VLを挟んだ一方側(図中、左側)に位置している。キャッチタンク15と、デフケース50の収容部140とは、連通口147を介して連通している。デフケース50によって掻き上げられて飛散したオイルOLの一部は、連通口147からキャッチタンク15内に流入して捕集される。
【0080】
ユニット1を搭載した車両の前進走行時に、モータケース10側から見てデフケース50は、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに回転する。図4に示すように、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、ギアケース14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43の大径歯車部431は、図7に示すように、軸線X1回りを時計回り方向に自転しながら、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに公転する。
【0081】
キャッチタンク15は、鉛直線VLを挟んだ左側、すなわちデフケース50の回転方向における下流側に位置している。これにより、回転軸X回りに回転するデフケース50で掻き上げられたオイルOLの多くが、キャッチタンク15内に流入できるようになっている。
図3に示すように、キャッチタンク15は、油路151aを介して、リップシールRSとベアリングB2との間の空間Rxに接続している。また、キャッチタンク15は、不図示の油路、配管等を介して、オイルクーラ83(図6参照)に接続している。オイルクーラ83は、不図示の配管、油路等を介して、接続壁136に形成された油孔136a(図3参照)に接続している。なお、図3は、説明のためにキャッチタンク15を仮想線で示しており、キャッチタンク15の実際の位置を反映したものではない。
【0082】
ギアケース14の周壁部141には、油孔Haが形成されている。油孔Haは、不図示の配管を介して、内部空間Scに形成された油孔136bと接続している。油孔136bを介して内部空間Scから排出されたオイルOLは、油孔Haから再びギア室Sb内部に供給される。
【0083】
図2に示すように、ギアケース14の傾斜部141c(壁部)には、冷却室9が設けられている。図6に示すように、冷却室9の内部には冷却水CLが流通する冷却路CP3が設けられている。冷却路CP3には、モータケース10の冷却路CP1を通流した後の冷却水CLが導入される。
【0084】
図6に示すように、ユニット1には、冷却水CLの循環システム80が設けられている。循環システム80は、前記したモータケース10の冷却路CP1と、インバータケース17の冷却路CP2と、冷却室9の冷却路CP3との間で、冷却水CLを循環させる。循環システム80は、さらに、冷却路CP3と冷却路CP2の間に、オイルクーラ83、ウォーターポンプWPおよびラジエータ82を備えており、これらは冷却水CLが通流する配管等で接続されている。
【0085】
ウォーターポンプWPは、冷却水CLを循環システム80内において圧送する。
ラジエータ82は、冷却水CLの熱を放熱して冷却する装置である。
【0086】
オイルクーラ83は、冷却水CLと、オイルOLとの熱交換を行う熱交換器である。オイルクーラ83には、ギアケース14のギア室Sb内に設けられたキャッチタンク15で捕集されたオイルOLが導入される。オイルOLは、冷却水CLとの熱交換により冷却される。冷却されたオイルOLは、モータケース10の油孔136aから内部空間Scに供給される。なお、オイルクーラ83に供給するオイルOLは、キャッチタンク15で捕集されたオイルOLに限定されず、ハウジングHSに適宜設けた別の油路から供給しても良い。また、オイルクーラ83から排出されたオイルOLを、内部空間Scとは別の箇所に供給しても良い。
【0087】
冷却水CLは、冷却室9の冷却路CP3を通流した後に、オイルクーラ83に供給される。冷却水CLは、オイルクーラ83においてオイルOLとの熱交換が行われた後に、ラジエータ82で冷却され、再びインバータケース17の冷却路CP2に供給される。
【0088】
図2に示すように、冷却室9は、ギアケース14の傾斜部141c(壁部)に設けられている。
傾斜部141cは、モータケース10から離れる方向に縮径する円錐台形状である。傾斜部141cの周囲のスペースは、ギアケース14が縮径している分だけ、ユニット1のモータケース10等の周囲のスペースと比べて大きい。実施の形態では、冷却室9を傾斜部141c周りのスペースに配置する。以下、冷却室9の構成について説明する。
【0089】
図8は、ギアケース14を回転軸X方向から見た図である。
図9は、図8におけるA-A線に沿って冷却室9の本体部90を切断した断面図である。なお、図9では、説明の便宜上、ギアケース14およびドライブシャフトDBを仮想線で示している。
図10は、冷却室9内部の冷却路CP3を説明する図である。図10では、冷却室9の内部を破線で示している。
図11は、図10のA-A断面の模式図である。図11では、ギアケース14の内部を簡略化して示している。
【0090】
図8に示すように、冷却室9は、ギアケース14の上部に設けられたキャッチタンク15に隣接して配置されている。冷却室9は、回転軸X方向から視て弧状の部材である本体部90(弧状部分)を有する。本体部90は、ドライブシャフトDBを囲むように、回転軸X周りの周方向に配置され、傾斜部141cに接合される。図9に示すように、本体部90は、傾斜部141cのモータケース10側(図中、右側)の端部141dと、反対側(図中、左側)の端部141eに接合される。
【0091】
図9に示すように、本体部90は、第1壁部91と、第2壁部92と、を有する。
第1壁部91は、一方の端部91aが、傾斜部141cの一方の端部141dに接合される。第1壁部91は、回転軸X方向に沿って延びる。第1壁部91の他方の端部91bは、傾斜部141cと間隔を空けている。
【0092】
第2壁部92は、一方の端部92aが端部141eに接合される。第2壁部92は、回転軸Xの径方向外側に延びる。第2壁部92は、本体部90をギアケース14に取り付けた状態で、回転軸Xに対して略直交する向きで設けられている。第2壁部92の他方の端部92bは、第1壁部91の端部91bと接続する。
【0093】
図9に示すように、冷却室9には、断面視において、本体部90の第1壁部91および第2壁部92と、傾斜部141cとに囲まれた三角形状の空間が形成される。この空間が、クーラントである冷却水CLが通流する冷却路CP3を構成する。すなわち、クーラントの流れる流路である冷却路CP3は、ハウジングHSと一体形成された部分である。
【0094】
図11に示すように、傾斜部141cは、ギアケース14の内部に形成されたキャッチタンク15の壁面の一部を構成する。すなわち、冷却路CP3とキャッチタンク15は、傾斜部141cを挟んで隣接している。
【0095】
図10に示すように、回転軸X方向から見て、冷却路CP3は、回転軸Xと直交する鉛直線VLの一方側から、回転軸Xの下方を経由して、鉛直線VLの他方側まで延びる弧状をなしている。冷却路CP3の長手方向における一端と他端は、それぞれ本体部90の第3壁部93で閉じられている。
第3壁部93、93は、第1壁部91と、第2壁部92と、傾斜部141cの壁面とに跨がって接続している。
【0096】
図10に示すように、回転軸X方向から視て、冷却路CP3は、回転軸Xを囲む弧状を成している。冷却路CP3は、回転軸Xを通り、鉛直線VLと直交する水平面Sに対して、上方に位置する部分と下方に位置する部分を有する。
【0097】
本体部90の鉛直線VL方向上方には、冷却水CLの導入部95および排出部96が設けられている。
導入部95は、本体部90の第1壁部91を貫通して設けられた開口部95aと、開口部95aの周りを囲み、鉛直線VL方向上方に延びる周壁部95bとを有する。導入部95は、開口部95aを介して、冷却路CP3の、回転軸X周りの周方向における一端側(図中、右側)に連通する。
【0098】
排出部96は、本体部90の第1壁部91を貫通して設けられた開口部96aと、開口部96aの周りを囲み、鉛直線VL方向上方に延びる周壁部96bとから構成される。排出部96は、開口部96aを介して、冷却路CP3の、回転軸X周りの周方向における他端側(図中、左側)に連通する。
【0099】
導入部95および排出部96は、水平面Sより上方に位置している。冷却路CP3は、水平面Sより上方に位置し、導入部95および排出部96に接続する部分と、下方に位置する部分を有する。言い換えると、導入部95は、冷却路CP3の水平面Sよりも下方に位置する部分を介して、排出部96に接続される。
【0100】
導入部95の周壁部95bは、不図示の配管等を介して、モータケース10の冷却路CP1(図6参照)に接続している。排出部96の周壁部96bは、不図示の配管等を介して、ラジエータ82(図6参照)に接続している。図8に示すように、キャッチタンク15は、回転軸X方向から視て、導入部95が配置された鉛直線VLの一方側に位置している。
【0101】
図11に示すように、傾斜部141cの内表面は、回転軸Xより上方において、キャッチタンク15に貯留されているオイルOLに接する。図9に示すように、傾斜部141cの内表面は、回転軸Xより下方において、ギア室Sbに貯留されるオイルOLと接する。
一方、傾斜部141cの外表面は、冷却路CP3に導入された冷却水CLに接する。すなわち、壁部である傾斜部141cを介して、ギアケース14内部のオイルOLと、冷却路CP3の冷却水CLとが熱交換を行うことが可能である。
【0102】
かかる構成のユニット1の作用を説明する。
図1に示すように、ユニット1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、遊星減速ギア4と、差動機構5と、ドライブシャフトDA、DBと、が設けられている。
【0103】
図3に示すように、モータ2が駆動されて、ロータコア21が回転軸X回りに回転すると、ロータコア21と一体に回転するモータシャフト20を介して、遊星減速ギア4のサンギア41に回転が入力される。
【0104】
遊星減速ギア4では、サンギア41が、モータ2の出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50が、入力された回転の出力部となっている。
【0105】
図4に示すように、サンギア41が入力された回転で回転軸X回りに回転すると、段付きピニオンギア43(大径歯車部431、小径歯車部432)が、サンギア41側から入力される回転で、軸線X1回りに回転する。
ここで、段付きピニオンギア43の小径歯車部432は、ギアケース14の内周に固定されたリングギア42に噛合している。そのため、段付きピニオンギア43は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに公転する。
【0106】
ここで、段付きピニオンギア43では、小径歯車部432の外径が大径歯車部431の外径よりも小さくなっている。
これにより、段付きピニオンギア43を支持するデフケース50が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア4のサンギア41に入力された回転は、段付きピニオンギア43により、大きく減速されたのちに、デフケース50(差動機構5)に出力される。
【0107】
図3に示すように、デフケース50が入力された回転で回転軸X回りに回転することにより、デフケース50内で、ピニオンメートギア52と噛合するドライブシャフトDA、DBが回転軸X回りに回転する。これによりユニット1が搭載された車両の左右の駆動輪K、K(図1参照)が、伝達された回転駆動力で回転する。
【0108】
図3に示すように、ギア室Sbの内部には、潤滑用のオイルOLが貯留される。ギア室Sbにおいては、モータ2の出力回転の伝達時に、貯留されたオイルOLが、回転軸X回りに回転するデフケース50により掻き上げられる。
図3および図4に示すように、掻き上げられたオイルOLにより、サンギア41と大径歯車部431との噛合部と、小径歯車部432とリングギア42との噛合部と、ピニオンメートギア52とサイドギア54A、54Bとの噛合部とが潤滑される。
【0109】
図7に示すように、デフケース50は、回転軸X周りの反時計回り方向CCWに回転する。
ギアケース14の上部には、キャッチタンク15が設けられている。キャッチタンク15は、デフケース50の回転方向における下流側に位置しており、デフケース50で掻き上げられたオイルOLの一部が、キャッチタンク15内に流入する。
【0110】
図3に示すように、キャッチタンク15に流入したオイルOLの一部は、油路151aを介して、リップシールRSとベアリングB2との間の空間Rxに供給され、ベアリングB2を潤滑する。キャッチタンク15に流入したオイルOLの一部は、不図示の油路、配管等を介してオイルクーラ83に導入され、冷却水CLとの熱交換により冷却される。
【0111】
冷却されたオイルOLはオイルクーラ83から排出され、不図示の油路、配管等を介して接続壁136に形成された内部空間Sc(図3参照)に供給される。内部空間Scに供給されたオイルOLは、ベアリングB1、B4を潤滑し、油孔136bから排出される。油孔136bから排出されたオイルOLは、不図示の配管等を介して、油孔Haからギア室Sb内に供給される。
【0112】
図3に示すように、ハウジングHSのギアケース14は、差動機構5の回転軸Xの径方向を囲う壁部として、傾斜部141cを有している。図2に示すように、この傾斜部141cに冷却室9が配置されている。冷却室9の内部には冷却路CP3が設けられている。
図10に示すように、冷却路CP3には、導入部95の周壁部95bおよび開口部95aを介して、冷却路CP2(図6参照)を通流した後の冷却水CLが導入される。冷却路CP3の長手方向の一端側に導入された冷却水CLは、冷却路CP3の他端側の排出部96に向かって流れる。
【0113】
図9および図11に示すように、傾斜部141cは冷却路CP3の一部を構成している。すなわち、傾斜部141cの外表面は、冷却路CP3を通流する冷却水CLに接する。傾斜部141cと冷却路CP3が熱交換を行うことで、ハウジングHSのギアケース14の温度上昇が低減される。
【0114】
さらに、傾斜部141cの内表面は、ギア室SbのオイルOLに接している。具体的には、傾斜部141cの内表面は、回転軸Xより上方(図8の水平面Sより上方)においては、キャッチタンク15に貯留されたオイルOLに接する(図11参照)。傾斜部141cの内表面は、回転軸Xより下方(図8の水平面Sより下方)においては、ギア室Sbの下部に貯留されたオイルOLに接する。
【0115】
このように、傾斜部141cがオイルOLに接することで、オイルOLの熱が傾斜部141cに伝達される。すなわち、傾斜部141cを介して、ギア室SbのオイルOLと、冷却路CP3を通流する冷却水CLとの熱交換が行われる。ギア室Sb内部の部品との熱交換により温度が上昇したオイルOLが、オイルOLよりも温度が低い冷却水CLと熱交換を行うことにより、冷却される。
【0116】
このように、ギアケース14の傾斜部141cが冷却路CP3の一部を構成することで、冷却水CLが傾斜部141cに直接接触するため、オイルOLとの熱交換効率を向上させることができる。
【0117】
オイルOLとの熱交換を行った冷却水CLは、排出部96の開口部96aおよび周壁部96bを介して冷却路CP3から排出される。冷却路CP3から排出された冷却水CLは、ラジエータ82(図6参照)で冷却されてから、冷却路CP2に供給される。
【0118】
図2に示すように、冷却路CP3を形成する冷却室9は、回転軸X方向において、ハウジングHSの傾斜部141cにオーバーラップする位置に配置される。傾斜部141c周りのスペースを活かして冷却室9を配置することで、ユニット1の回転軸Xの径方向の寸法の縮小に寄与する。
【0119】
図8に示すように、傾斜部141cを取り巻くように配置された冷却室9は、回転軸Xの径方向において傾斜部141cとオーバーラップしている。これによって、ユニット1の回転軸X方向の寸法の縮小にも寄与する。
【0120】
図8に示すように、冷却室9の本体部90は、回転軸Xを通り、且つ鉛直線VL方向に直交する水平面Sよりも上方に位置する部分を有する。また、図2に示すように、本体部90は、差動機構5の鉛直線VL方向上方に位置する部分を有する。さらに、本体部90は、段付きピニオンギア43と回転軸X方向にオーバーラップする部分を有する。このように、冷却室9の本体部90は、ユニット1における鉛直線VL方向上方に位置する部分を有している。
【0121】
図3に示すように、ユニット1は、モータ2と差動機構5が同軸であり、差動機構5は回転軸X方向視において、モータ2とオーバーラップする部分を有している。このように、モータ2と差動機構5が同軸のユニット1では、鉛直線VL方向(車高方向)下方よりも鉛直線VL方向(車高方向)上方が、レイアウト制約が緩くなる。冷却室9の本体部90が、レイアウト制約の緩いユニット1の鉛直線VL方向上方に位置する部分を有することで、冷却路CP3における冷却水CLの流路面積を大きくすることができる。これによって、冷却水CLが傾斜部141cの外表面と接する面積が増加し、オイルOLとの熱交換率を向上させることができる。
【0122】
水平面Sよりも上方に位置する冷却水CLの導入部95は、水平面Sより下方に位置する部分を有する冷却路CP3を介して、排出部96に接続される。これにより、導入部95から冷却路CP3に導入された冷却水CLを、重力を利用して排出部96まで通流させることができる。前記したように循環システム80(図6参照)には冷却水CLを圧送するウォーターポンプWPが備えられているが、重力を利用することで、冷却水CLをさらにスムーズに通流させることができる。
【0123】
図8に示すように、冷却室9はキャッチタンク15に隣接して配置され、さらにキャッチタンク15は、冷却水CLの導入部95側に位置している。冷却水CLは、冷却路CP3を通流してオイルOLと熱交換を行うことにより、温度が上昇する。熱交換を行う前の導入部95側の冷却水CLは、排出部96側の冷却水CLよりも低温である。キャッチタンク15を導入部95側に位置させることで、キャッチタンク15に貯留されたオイルOLと、導入部95側の低温の冷却水CLとの熱交換を行うことができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0124】
ユニット1は、車両の走行風を受けにくい車両後方側に配置されることがある。図8に示すように、ユニット1を車両に搭載すると、ユニット1が配置された空間SPの上方には、車室VRが配置される。車両には、ユニット1の配置された空間SPと車室VRを連通する通気口VPが設けられている。
【0125】
車室VRにおいて空調装置を駆動する、または車室VRの窓を開けることによって、車室VR内の空気Airが通気口VPから排出され、空間SPに流入する。車室VR内の空気Airは、外気温に合わせた温度調整がなされる。例えば、外気温が高い時には、車両において冷房が使用され、または窓が開けられる。また、例えば、外気温が低い時には暖房が使用される。
【0126】
外気温に応じて温度調整された空気Airが空間SPに流入すると、空間SPに配置されたハウジングHSと熱交換を行う。これによって、走行風を受けにくい車両の後方側においても、ハウジングHSを適正温度に近づける方向で熱交換を行うことができる。さらに、ハウジングHSに取り付けられた冷却室9も、空気Airとの熱交換を行うことができる。これによって、冷却室9の温度上昇を低減することができ、結果として冷却室9を通流する冷却水CLと、ハウジングHS内部のオイルOLとの熱交換効率が向上する。熱交換効率を向上させることによって、冷却室9を小型化することができ、ハウジングHS全体の寸法の縮小に寄与する。
なお、車室VR内の空気Airが、空間SPに流入しやすいように、ファン等を設けても良い。
【0127】
以上の通り、実施の形態にかかるユニット1は、以下の構成を有する。
(1)ユニット1は、
差動機構5(差動歯車機構)を収容するハウジングHSを有する。
ハウジングHSは冷却水CL(クーラント)が流れる流路として冷却路CP3を有する。
回転軸Xの径方向視(径方向視)において、冷却路CP3は、差動機構5とオーバーラップする部分を有する。
冷却路CP3は、差動機構5の出力軸であるドライブシャフトDBの軸心と同軸の回転軸Xを通り且つ鉛直線VL方向(重力方向)に直交する水平面Sよりも上方に位置する部分を有する。
【0128】
このように構成することで、ハウジングHSとクーラントである冷却水CLとの熱交換効率を向上させることができる。
ユニット1における、差動機構5周辺の、水平面Sより上方側はレイアウト制約が緩く、スペースに余裕がある。このスペースを利用して、冷却路CP3を有する冷却室9を配置する。これによって、ハウジングHSと冷却路CP3を通流する冷却水CLとの接触面積が増加し、冷却水CLとハウジングHSとの熱交換効率が向上する。
【0129】
(2)冷却路CP3は、水平面Sよりも下方に位置する部分を有する。
【0130】
冷却路CP3が設けられた冷却室9が、水平面Sより上方に位置する部分に加えて、水平面Sより下方に位置する部分も有する。これによって、ハウジングHSと冷却路CP3を通流する冷却水CLとの接触面積が増加し、冷却水CLとハウジングHSとの熱交換効率が向上する。
【0131】
(3、4)回転軸X方向視(軸方向視)において、冷却路CP3はハウジングHSとオーバーラップする部分を有する。
【0132】
このように構成することで、冷却路CP3が、回転軸Xの径方向においてハウジングHSから突出することが低減されるため、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0133】
(5)回転軸X方向視(軸方向視)において、差動機構5の出力軸であるドライブシャフトDBの軸心である回転軸Xを囲うように配置された弧状部分(本体部90)を含む形状を有する。
【0134】
冷却室9の本体部90を弧状部分として形成し、回転軸Xを囲うように傾斜部141cに接合させることで、冷却路CP3の流路面積を維持しつつ、冷却室9がユニット1から大きく突出することが低減されるため、ユニット1の寸法の縮小に寄与する。
【0135】
(6)ハウジングHSは、冷却水CLと接する外表面と、オイルOLと接する内表面と、を有する傾斜部141c(壁部)を水平面Sよりも上方に有する。
【0136】
傾斜部141cは、冷却路CP3の一部を構成し、外表面において冷却水CLに接する。傾斜部141cの内表面は、水平面Sより上方において、キャッチタンク15の壁面を構成し、オイルOLに接する。傾斜部141cの壁面を介して、冷却水CLとオイルOLの熱交換が行われるため、熱交換効率が向上する。
【0137】
実施の形態では、傾斜部141c(壁部)を、オイルOLが供給されるキャッチタンク15の一部として構成する例を説明したが、これに限定されない。キャッチタンク15以外にも、ハウジングHS内でオイルOLが流れる油路の一部、オイルガイドによってガイドされたオイルOLが供給されるハウジングHSの壁部等を、壁部とすることができる。
【0138】
本発明のある態様において、動力伝達機構3は、例えば、歯車機構、環状機構等を有する。
歯車機構は、例えば、減速歯車機構、増速歯車機構、差動歯車機構(差動機構)等を有する。
減速歯車機構及び増速歯車機構は、例えば、遊星歯車機構、平行歯車機構等を有する。
環状機構は、例えば、無端環状部品等を有する。
無端環状部品等は、例えば、チェーンスプロケット、ベルトとプーリ等を有する。
【0139】
差動機構5は、例えば、傘歯車式のデファレンシャルギア、遊星歯車式のデファレンシャルギア等である。
差動機構5は、入力要素であるデファレンシャルケースと、出力要素である2つの出力軸と、差動要素である差動歯車セットと、を有する。
傘歯車式のデファレンシャルギアにおいて、差動歯車セットは傘歯車を有する。
遊星歯車式のデファレンシャルギアにおいて、差動歯車セットは遊星歯車を有する。
【0140】
ユニット1は、デファレンシャルケースと一体回転するギアを有する。
例えば、平行歯車機構のうちのファイナルギア(デフリングギア)は、デファレンシャルケースと一体に回転する。例えば、遊星歯車機構のキャリアとデファレンシャルケースとが接続している場合、ピニオンギアがデファレンシャルケースと一体に回転(公転)する。
【0141】
例えば、モータ2の下流に減速歯車機構が接続されている。減速歯車機構の下流に差動歯車機構が接続されている。即ち、モータ2の下流には、減速歯車機構を介して差動歯車機構が接続されている。なお、減速歯車機構に替えて増速歯車機構としても良い。
シングルピニオン型の遊星歯車機構は、例えば、サンギアを入力要素とし、リングギアを固定要素とし、キャリアを出力要素とすることができる。
ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、例えば、サンギアを入力要素とし、リングギアを出力要素とし、キャリアを固定要素とすることができる。
シングルピニオン型又はダブルピニオン型の遊星歯車機構のピニオンギアは、例えば、ステップドピニオンギア、ノンステップドピニオンギア等を用いることができる。
ステップドピニオンギアは、ラージピニオンおよびとスモールピニオンとを有する。例えば、ラージピニオンをサンギアに噛合させると好適である。例えば、スモールピニオンをリングギアに嵌合させると好適である。
ノンステップドピニオンギアは、ステップドピニオンギアではない形式である。
【0142】
本実施形態では、本発明のある態様におけるユニット1を車両に搭載する例を説明したが、この態様に限定されない。本発明は、車両以外にも適用することができる。また、本実施形態において複数の実施例、変形例が記載されている場合は、これらを任意に組み合わせても良い。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0144】
1 :ユニット
2 :モータ
5 :差動機構(差動歯車機構)
14 :ギアケース
141c :傾斜部(壁部)
9 :冷却室
90 :本体部(弧状部分)
HS :ハウジング
DA、DB :ドライブシャフト(出力軸)
X :回転軸(軸心)
CL :冷却水(クーラント)
CP3 :冷却路(流路)
VL :鉛直線方向(重力方向)
S :水平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11