(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】サラウンドサウンドおよびノイズキャンセリングを有する蝸牛刺激システム
(51)【国際特許分類】
A61F 11/00 20220101AFI20231211BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61F11/00 305
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2018548131
(86)(22)【出願日】2017-03-09
(86)【国際出願番号】 US2017021579
(87)【国際公開番号】W WO2017156276
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】セベット、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステパネク、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】プラダン、ガウラフ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ブルックラー、ケネス エイチ.
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】内藤 真徳
【審判官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3766331(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0093329(US,A1)
【文献】国際公開第2014/027605(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/00 - 11/14
H04S 1/00 - 7/00
G10L 21/00 - 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を生成するためのシステムであって、前記システムは、ユーザの頭部または首の周囲の位置にある複数のマルチチャンネル刺激電極に結合されるように構成されており、
外部源からの音声コンテンツを表すマルチチャンネルサラウンドサウンドフォーマットの信号である音声入力信号を受信するための信号入力と、
前記信号入力に結合されており、前記音声入力信号に基づき複数のマルチチャンネルサラウンドサウンド刺激信号を生成するように構成されているマルチチャンネルコンバータと、
前記ユーザの近辺における周囲音声コンテンツを表すマルチチャンネル周囲ノイズ信号を受信するためのマルチチャンネルマイクロフォン入力と、
前記マイクロフォン入力と前記コンバータとの間に結合されており、前記マルチチャンネル周囲ノイズ信号に基づきマルチチャンネルサウンドキャンセリング信号を生成するように構成されているサウンドキャンセリングプロセッサと、を備え、
前記コンバータは、前記マルチチャンネルサウンドキャンセリング信号
と前記音声入力信号とに基づき、前記複数のマルチチャンネル刺激電極に結合されているときに前記ユーザの聴神経を刺激し聴覚による知覚を提供するように構成されている形態で前記
マルチチャンネルサラウンドサウンド刺激信号を生成
し、キャリア信号を前記音声入力信号の音声周波数により変調し、前記キャリア信号の周波数は前記音声入力信号の前記音声周波数よりも高く、
前記マルチチャンネルサウンドキャンセリング信号は、
(i)前記マルチチャンネル周囲ノイズ信号と同一の周波数およびコンテンツを有するが前記マルチチャンネル周囲ノイズ信号と位相が180°ずれている成分を有する、
(ii)前記マルチチャンネルサラウンドサウンド刺激信号の生成を制御するように構成されている制御信号である、
(iii)前記音声入力信号と足し合わされる音声信号である、のうちの1つ以上である、システム。
【請求項2】
前記複数のマルチチャンネル刺激電極をさらに備え、前記電極の各々は前記ユーザの前記頭部または前記首へ取り付けられるように構成されており、前記マルチチャンネルサラウンドサウンド刺激信号のうちの1つを受信するように前記コンバータに結合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マルチチャンネルコンバータは少なくとも前方刺激信号と、左方刺激信号と、右方刺激信号とを生成し、
前記マルチチャンネル刺激電極は、前記前方刺激信号、前記左方刺激信号、および前記右方刺激信号をそれぞれ受信するように結合されている、少なくとも前方刺激電極、左方刺激電極、および右方刺激電極を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンバータは、中央前方刺激信号、左前方刺激信号および右前方刺激信号のうちの1つ以上を有する前記前方刺激信号を生成し、
前記前方刺激電極は中央前方電極、左前方電極および右前方電極のうちの1つ以上を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンバータは、左後方刺激信号および右後方刺激信号のうちの1つ以上を有する前記刺激信号を生成し、
前記刺激電極は左後方電極および右後方電極のうちの1つ以上を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記刺激電極を前記ユーザに固定するように構成されているマウントデバイスをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記サウンドキャンセリングプロセッサは前記サウンドキャンセリング信号を生成するように構成され、前記サウンドキャンセリング信号は
(iii)前記音声入力信号と足し合わされるように構成されている音声信号である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サウンドキャンセリングプロセッサは前記サウンドキャンセリング信号を生成し、前記サウンドキャンセリング信号は
(ii)前記刺激信号の前記生成を制御するように構成されている制御信号である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記刺激信号によって提供される聴覚の音量、相対音量、周波数コンテンツまたは音色のうちの1つ以上を制御するための制御装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンバータに結合されている、変圧器を備えるドライバをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
マルチチャンネルマイクロフォンをさらに備え、前記マルチチャンネルマイクロフォンの各々は、前記ユーザへ取り付けられるように構成されており、前記マルチチャンネルマイクロフォン入力に対し結合されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記刺激電極と前記マルチチャンネルマイクロフォンとをユーザに取り付けるように構成されている取付デバイスをさらに備える、請求項
11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、例えば聴覚障害を有する人々において、聴覚による知覚を電気的に刺激する蝸牛刺激デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
聴覚による知覚を外部から電気的に刺激する蝸牛刺激システムおよび方法は、一般に知られており、また、例えばジンク(Zink)の特許文献1、リトヴァク(Litvak)の特許文献2、シュライヒ(Schleich)の特許文献3、シュライヒの特許文献4、およびグッドマン(Goodman)の特許文献5に開示されている。これらの文献の全てをあらゆる目的のために参照により本明細書において援用する。これらのシステムおよび方法では、聴覚による知覚を提供すべく蝸牛および聴神経を刺激する電気信号を伝送するように、ユーザの頭部に配置された電極が用いられる。しかしながら、改良された電気的に刺激されるサウンドシステムの継続的な必要性が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第3,766,331号明細書
【文献】米国特許第8,126,565号明細書
【文献】米国特許第8,417,348号明細書
【文献】米国特許第8,948,877号明細書
【文献】米国特許第9,071,896号明細書
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の実施形態に従う蝸牛刺激システムの概略図。
【
図2】
図1に示されるプロセッサ/制御の実施形態のブロック図。
【
図3】様々な方向にサウンドを生じさせ、側方定位の認知を提供するシステムの使用の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態に従う蝸牛刺激システムは、音声入力信号を受信するための信号入力と、その信号入力に結合されているマルチチャンネル蝸牛コンバータと、を備える。蝸牛コンバータは、音声入力信号に基づき複数のマルチチャンネルサラウンドサウンド蝸牛刺激信号を生成する。他の実施形態では、複数のマルチチャンネル蝸牛刺激電極をさらに備える。それらの電極の各々は、ユーザへの取付け用に構成されており、マルチチャンネルサラウンドサウンド蝸牛刺激信号のうちの1つを受信するように結合されている。依然として、他の実施形態は周囲ノイズ信号を受信するためのマイクロフォン入力と、そのマイクロフォン入力と蝸牛コンバータとの間に結合されているサウンドキャンセリングプロセッサと、を備える。サウンドキャンセリングプロセッサは周囲ノイズ信号に基づきサウンドキャンセリング信号を生成し、蝸牛コンバータはそのサウンドキャンセリング信号に基づきサラウンドサウンド蝸牛刺激信号を生成する。実施形態では、蝸牛コンバータは両耳間レベル差、両耳間時間差の一方または両方を有するマルチチャンネル刺激信号を生成する。
【0006】
図1は、本発明の実施形態に従う、サラウンドサウンド性能とノイズキャンセリング性能との一方または両方を有する蝸牛および聴神経刺激システム10を示す。示されるように、システム10はマルチチャンネル刺激電極12、マルチチャンネルマイクロフォン14、およびプロセッサ/制御16を備える。示される実施形態は、中央前方チャンネル電極12FC、左前方チャンネル電極12FL、右前方チャンネル電極12FR、左方チャンネル電極12L、右方チャンネル電極12R、中央後方チャンネル電極12BC、左後方チャンネル電極12BLおよび右後方チャンネル電極12BRを備える。他の実施形態(示されない)は、より多数またはより少数の電極12を有する。右方チャンネルマイクロフォンおよび左方チャンネルマイクロフォン14L,14Rが
図1には示されているが、しかしながら他の実施形態(示されない)は、より多数またはより少数のマイクロフォン14を有する。複数の電極12および複数のマイクロフォン14は、ユーザの頭部または首の周囲の離隔した複数の位置に取付けられるように、またはその位置に装着されるように構成される。例えば、示される実施形態では、電極12およびマイクロフォン14は、ユーザの頭部または首に取付けられることが可能なストラップ18などの構造体に対し、離隔した位置に取付けられる。ストラップ18上のバックル20などのカプラーによって、ストラップをユーザに固定することが可能となる。
【0007】
プロセッサ/制御16は、外部の音声信号源(示されない)に結合されることが可能な入力を有する。システム10は、例えば、モバイルデバイス、DVDプレーヤ、ならびにケーブル放送、衛星放送およびテレビジョン放送、ならびに劇場などの他の音声コンテンツ源に対するインターフェースとなるように構成されることが可能である。音声信号に応答して、プロセッサ/制御16は、関連するチャンネル刺激電極12に結合されているマルチチャンネルサラウンドサウンド電極駆動信号を生じる。サラウンドサウンド駆動信号をユーザに対し印加することによって、サラウンドサウンドの質の高い再現および空間的性質(例えば、指向性および側方定位を有するようにシーケンス化された)を伴う聴覚による知覚を生じる。タイミングと強度との指示に基づいて、ユーザの頭部の周囲においてサウンドを移動させることが可能である。実施形態では、プロセッサ/制御16はまた、周囲ノイズ信号源(マイクロフォン14など)に結合される入力を有する。周囲ノイズ信号に応答して、プロセッサ/制御16によってサラウンドサウンド駆動信号は、周囲ノイズの無指向性(global)および/または指向性のキャンセリングを生じるように生成され、それによって所望のサラウンドサウンド音声の、強化された聴覚を可能とする。
【0008】
図2は、本発明の実施形態に従うプロセッサ/制御16のブロック図である。示される実施形態は、蝸牛コンバータ30、ドライバ32、ノイズキャンセラ34および制御36を備える。実施形態では、蝸牛コンバータ30、ノイズキャンセラ34の一方または両方などのプロセッサ/制御16のコンポーネントは、例えばプログラムされたプロセッサ(関連するメモリを備える)、ディジタル信号プロセッサ、ディスクリート回路部品(図示せず)のうちの1つ以上として実装されることが可能である。蝸牛コンバータ30は、入力として、複数のマルチチャンネル電極12の各々(例えば、示される実施形態における、中央前方信号、左前方信号、右前方信号、右方信号、左方信号、後方信号、左後方信号および右後方信号)に対応するマルチチャンネルサラウンドサウンドフォーマットの音声信号を受信する。任意の既知のサラウンドサウンド技術およびフォーマットの範囲が、システム10において用いられることが可能である。コンバータ30はそれら入力された音声信号を、入力された音声信号の音声コンテンツについての聴覚による知覚をユーザにおいて生成することが可能な特性または信号パラメータを有する、対応するマルチチャンネル蝸牛および神経刺激信号に変換する。例として、蝸牛コンバータ30は、この変換機能を提供するように上記の背景技術の欄において特定される米国特許に開示される種類の構造および/または方法、またはその他の既知であるものなど従来の構造および/または方法を用いることが可能である。簡潔に、また例として言えば、蝸牛コンバータ30は、関連するチャンネルの音声コンテンツに対応する音声周波数によって変調される低いRF周波数(例えば約60kHz)の信号を提供することが可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、プロセッサ/制御16は信号源からマルチチャンネル音声信号を受信し、蝸牛コンバータ30はそれらの入力信号の各々を関連する刺激信号に変換する。他の実施形態では、プロセッサ/制御16はシングルチャンネル音声信号または電極12より少数のチャンネルを有する信号を受信する。そうした実施形態は、システム10の各々のチャンネルに対応する信号を、それらの個々のチャンネル信号が蝸牛コンバータ30によって処理される前に生成する、サラウンドサウンドジェネレータまたはシンセサイザ(図示せず)を備えることが可能である。
【0010】
実施形態では、蝸牛コンバータ30によって生成されるチャンネル刺激信号は、電極12に対し印加される前にドライバ32に対し印加される。ドライバ32は、例えば変圧器、または刺激信号の電圧レベルおよび/または電流レベルを刺激信号がユーザに対し印加されるときに有効な聴覚結果を提供することが可能なレベルに変換もしくは変更する他のコンポーネントを備えることが可能である。
【0011】
ノイズキャンセラ34は、ユーザの近辺における周囲ノイズを表す信号を受信する。周囲ノイズ信号に応答して、ノイズキャンセラ34は信号を生成し、その信号は蝸牛コンバータ30に結合された後に、周囲ノイズを効果的に打ち消すように蝸牛コンバータに刺激信号を生成させる。既知のものなど従来のノイズキャンセリング方法が、この目的のために用いられることが可能である。例えば、蝸牛コンバータ30は、周囲ノイズ信号と同一の周波数およびコンテンツを有するが周囲ノイズ信号と位相が180°ずれている成分を有する刺激信号を生成することが可能である。実施形態では、ノイズキャンセラ34は周囲ノイズ信号に特有の制御信号を生成することが可能である。これらの実施形態では、蝸牛コンバータ30は、制御信号を用いてチャンネル刺激信号の生成を制御することが可能である。他の実施形態では、ノイズキャンセラ34は、音声信号が蝸牛コンバータによって処理される前に、周囲ノイズを効果的にキャンセリングするように、蝸牛コンバータ30に対し印加される音声信号と足し合わされている音声信号を生成することが可能である。
【0012】
実施形態では、ノイズキャンセラ34は全てのチャンネル刺激信号について同一のノイズキャンセリング効果を生成することにより無指向性に機能する。そうした実施形態では、例えば、周囲ノイズ信号はマイクロフォン14Rと14Lとのいずれによっても提供されることが可能である。他の実施形態では、ノイズキャンセラ34は、14Rおよび14Lなどのいくつかの異なるマイクロフォンの各々によって提供される異なる方向からの周囲ノイズを表すマルチチャンネル周囲ノイズ信号を用い、方向を特定したノイズキャンセリングを提供するチャンネル刺激信号を蝸牛コンバータ30に生成させる。例えば、電極12FL、12L、12BLの1つ以上に対し印加される刺激信号によって提供されるノイズキャンセリング効果は、マイクロフォン14Lによって提供される周囲ノイズ信号に基づくことが可能であり、また電極12FR、12R、12BRの1つ以上に対し印加される刺激信号は、マイクロフォン14Rによって提供される周囲ノイズ信号に基づくことが可能である。そうした指向性の、またはマルチチャンネルのノイズキャンセリングは、例えば片側の難聴を有するユーザにとって特に有効であることがある。
【0013】
制御36は蝸牛コンバータ30、ドライバ32、ノイズキャンセラ34のうちの1つ以上に結合され、システム10を制御するようにユーザによって作動されることが可能である。例として、制御36は刺激信号によって提供される聴覚の音量と、電極12同士の間のバランスすなわち相対音量と、を制御することが可能である。他の実施形態では、聴覚の周波数コンテンツまたは音色は制御36によって制御されることが可能である。
【0014】
他の実施形態は、上記のものに代えて、または加えて、頭部の周囲の複数の電極(接触部分に組み込まれることが可能な)のアレイを備える。半規管の角加速器に結合されている内耳に対する直線加速器すなわち耳石は、約10kHzから60kHz超におよぶ搬送波周波数を有する。電極のうちの1つに対し印加可能な対応する刺激の周波数は、ピッチの知覚を生成してよい。半規管の刺激(例えば、電極の第2のセットに対し印加される信号による)は、ヨーおよびロールの知覚を生成してよい。ヘッドバンドにおけるさらなる追加の電極は、ベクトル刺激を生成するように刺激することが可能である。追加の電極は聴覚およびバイノーラルの刺激のための60kHzの搬送波周波数を有することが可能である。特定の生成に関するサラウンドサウンド出力によっては、さらなる追加の60kHzのキャリア周波数電極が、サラウンドサウンド効果を生成するように追加される(例えばヘッドバンドに対し)ことが可能である。
【0015】
図3は、ユーザに対し取付けられる中央前方チャンネル電極12FC、中央後方チャンネル電極12BC、左方チャンネル電極12L、および右方チャンネル電極12Rと、側方定位の認知または異なるサウンドの空間的位置の認知をユーザに提供するためのそれらのチャンネル電極による複数の異なる方向の刺激を示す線と、の概略図である。両耳間時間差(“ITD”、異なるチャンネル電極によって提供される刺激間の時間差)、両耳間レベル差(“ILD”、異なるチャンネル電極によって提供される刺激間のレベルまたは振幅の差)の一方または両方は、ユーザの頭部内のサウンドの位置および指向性(すなわち側方定位)の認知を操作するように用いられることが可能である。ILDは、各耳に到達する音圧レベル(SPL)における差の使用によって高周波数を有するサウンドの空間位置を反映するのに特に有用であることがある。ITDは、各耳に到達するサウンドの時間差によって低周波数における側方定位の認知を提供するのに特に有用である。実施形態では、ILD、ITDの一方または両方は、サウンドの位置(例えばユーザの前方、後方、左方、右方の1つ以上に)の認知を操作するようにプロセッサ/制御16によってチャンネル電極同士の間に提供される。ILD、ITDの一方または両方を変化させることによって、動的に変化するサウンドの位置の認知もまた提供されることが可能となる。
【0016】
本発明は好適な実施形態を参照して記載されているが、当業者は、変更が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形式上および細部においてなされることが可能であることを認識する。