IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電気化学セルのための安全なアノード
(51)【国際特許分類】
   C25C 7/02 20060101AFI20231211BHJP
   C25C 1/12 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
C25C7/02 302D
C25C7/02 302G
C25C7/02 306
C25C1/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018556386
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2017052403
(87)【国際公開番号】W WO2017187357
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P201630554
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】507128654
【氏名又は名称】インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プラド プエオ, フェリクス
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】池渕 立
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/079072(WO,A2)
【文献】特開昭60-204894(JP,A)
【文献】米国特許第5679240(US,A)
【文献】特開平9-153478(JP,A)
【文献】特開2013-014815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ構造を備える垂直アノードのタイプの電気化学セルのためのアノードであって、
- 水平電流供給導体バーと、
- 水平電流供給導体バーに接続された1つまたは複数の垂直配電バーであって、
・ 銅、アルミニウム、鉛、およびそれらの合金からなる群から選択された導電性要素のコア、ならびに
・ チタンまたはその合金、バルブ金属またはその合金、および鉛またはその合金からなる群から選択された材料の外層または外皮
を備えた垂直配電バーと、
- 垂直配電バーに取り付けられた少なくとも1つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートと
を有する電気化学セルのためのアノードにおいて、
アノード(1)は、垂直配電バー(3)の少なくとも1つとコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)の少なくとも1つとの間に配置されたアダプタ要素(6)を組み込み、
アダプタ要素(6)は電流制限器(10)を有する少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備え、
前記電流制限器アセンブリ(7)は、垂直配電バー(3)をコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に接続するように、少なくとも1つの垂直配電バー(3)および少なくとも1つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に取り付けられることを特徴とする、
電気化学セルのためのアノード。
【請求項2】
アダプタ要素(6)が、垂直配電バー(3)およびチタンでコーティングされたアノードプレート(4)に取り付けられる、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項3】
アノードのアダプタ要素(6)がチタンストリップ(8)を備え、前記チタンストリップ(8)が少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を、前記チタンストリップ(8)が前記垂直配電バー(3)に取り付けられ、前記電流制限器アセンブリ(7)が対応するコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に取り付けられるように保持する、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項4】
前記アノードの前記アダプタ要素(6)が、2つの端部を有するチタンストリップ(8)を備え、前記チタンストリップ(8)が各端部に1つずつ2つの電流制限器アセンブリ(7)を、前記チタンストリップ(8)が前記垂直配電バー(3)に取り付けられ、および前記電流制限器アセンブリ(7)のペアが対応する前記コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に取り付けられるように保持する、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項5】
電流制限器アセンブリ(7)に取り付けられた前記コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)も同じ角度を有するように、アノードのアダプタ要素(6)が、前記垂直配電バー(3)の垂直平面に対して3.25度以下の角度を定義する前記垂直配電バー(3)に取り付けられる、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項6】
前記アノードが2つ以上のアダプタ要素(6)を備え、
前記電流制限器アセンブリ(7)に取り付けられた前記チタンアノードプレート(4)も同じ角度を有するように、各アダプタ要素(6)が、前記垂直配電バー(3)の垂直平面に対して3.25度以下の角度を定義する前記垂直配電バー(3)に取り付けられ、
各アダプタ要素(6)が異なる大きさを有する、請求項5に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項7】
前記垂直配電バー(3)の前記垂直平面に対して前記アダプタ要素(6)によって定義される角度の大きさが、前記垂直配電バー(3)の長さに沿って下から上に増加する、請求項6に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項8】
前記アダプタ要素(6)の前記電流制限器(10)が、チタンストリップ(8)上に設けられたエポキシ樹脂のブロック(15)内に埋め込まれる、請求項3に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項9】
前記電流制限器アセンブリ(7)が、チタンストリップ(8)を収容する絶縁材料(13)を有したボックス(12)を備え、前記絶縁材料(13)は、端子によって前記チタンストリップ(8)に、およびもう1つの端子によって前記ボックス(12)に接続された、2つの電流制限器(10)を組み込む、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項10】
電流制限器アセンブリ(7)が、バイメタルのチタン/銅の部片(9)のペアを備え、
バイメタルのチタン/銅の部片(9)のペアの銅表面が互いに対向し、それらの間に電流制限器(10)が挿入され、
両方の相対するバイメタルの部片(9)の幅に対応する横方向において、中央および両端にくぼみが存在し、
前記くぼみはエポキシ樹脂(11)または絶縁体によって満たされる、請求項1に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項11】
電流制限器アセンブリ(7)が、絶縁材料(13)を含んだボックス(12)である少なくとも1つの外枠と、チタンストリップ(8)である少なくとも1つの内枠とを備え、
前記少なくとも1つの内枠が前記少なくとも1つの外枠内に部分的にまたは完全に収容され、
前記少なくとも1つの内枠が取り付けられ、且つ前記1つまたは複数の垂直配電バー(3)の少なくとも1つの一部分を部分的に包むように、前記少なくとも1つの外枠及び少なくとも1つの内枠がU字形輪郭を有し、
前記少なくとも1つの外枠は少なくとも1つのアノードプレート(4)に取り付けられる、請求項に記載の電気化学セルのためのアノード。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアノードを備えることを特徴とする、金属の電解採取のための電気化学セル。
【請求項13】
金属が非鉄金属である、請求項12に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は電気化学セルのための安全なアノードについて述べており、銅などの金属の電解採取のためのセルに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
最初に、容器、タンク、または電気化学セルは、他の成分の中でも、堆積されることになる金属から作られた電解質溶液によって満たされ、その中に交互の位置においてアノード/カソードペアが沈められ、これは電流が供給されたとき、カソード上に金属を堆積すると言うことができる。
【0003】
これは垂直アノードが金属の電解採取のためにセル内で用いられるとき、垂直アノードは水平電流供給導体バーと、電流供給バーに接続された垂直配電バーとに基づいた吊り下げ構造から構成され、その配電バーは銅またはアルミニウムコア、およびチタン外層または外皮によって定義されることを意味する。
【0004】
従ってコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートは配電バーに電気的に接続され、陽極電気分解はアノードプレートの表面上で行われる。
【0005】
従来型アノードは、水平電流供給バー当たりの垂直バーの数の点で複数の組み合わせを呈する。
【0006】
示されたように、金属の電解採取のための過程において用いられる従来型垂直バーは、銅またはアルミニウムコア、およびチタン外層または外皮を有するバイメタルのバーである。銅またはアルミニウムは、大電流の効果的な伝達のために必要な低い電気抵抗率を呈し、チタンは同時に、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートのこれらの垂直バーへの接続を可能にしながら、電解質の化学的腐食に対して銅またはアルミニウムを保護する。
【0007】
このようにして、最適な出力および最大能力を得るために、金属の電解採取のための過程において用いられるアノード、および具体的にはアノード表面は、カソードの近くで動作し、短いアノード-カソード距離に対して大きな表面積、例えば5cmの離隔距離で100×100センチメートルの表面を有する。これは必然的に、カソード表面上のいずれかの点において平坦さの変形または変化があった場合、アノードとカソードとの間の電気的接触、または言い換えれば短絡のリスクをもたらす。
【0008】
陰極表面はもともと不安定であり、なぜならそれらの厚さは生産過程自体の間に急速に変化するからであり、およびまたその表面上の単一の点でのカソードの厚さにおける増加はアノード-カソード距離を減少させ、これは電気抵抗を減少させ、オームの法則を適用すると問題の点におけるイオン電流を増加させるからである。
【0009】
電流またはイオン堆積を増加させることはそれらの点に堆積された金属の厚さを増加させ、それによりこれらの事象は明らかに正帰還系を呈し、これは知られているように本質的に不安点なプロセスであり、これらの場合においてアノード-カソード接触または短絡を生じることになる。
【0010】
さらにアラインメント誤差または既存の機械的変形も、直接のアノード-カソード接触、または短絡を引き起こすことになる。
【0011】
アノードとカソードとの間に直接の電気的接触が確立されると、電解質とアノードとの間の潜在的な電気化学的バリアは消失し、電解質の比較的高い抵抗も除去されることになる。これらの状況において電流は許容できない値まで急上昇し、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートを損傷または破壊し同時に、著しい生産損失を引き起こす。
【0012】
また金属および具体的には銅の電解採取のためのセル内のアノードの作業過程において、「酸ミスト」として知られている現象である、硫酸を有する酸素気泡が生成される。この「酸ミスト」は重大な環境汚染問題を生じ、工場作業者の健康に直接影響を及ぼす可能性があり、セル室内のマスクの使用が必要となり、工場が位置する領域内の環境の悪化を生じ得る。
【0013】
例えば銅電解採取の場合において、電解質は主として硫酸および硫酸銅の溶液から作られる。その正常な電気分解過程において、アノードは硫酸を保持した汚染された酸素気泡を生成し、これらの気泡の大部分は電解質から出て、周囲雰囲気の一部となり、酸ミストとして知られているものを生成する。
【0014】
さらに、電流制限器は特定の値を超えるすべての電流に反応し、その電流を打ち消す装置であり、この値は特定の装置またはモデルの特性である。
【0015】
よく知られている例は、我々の家庭内のヒューズであり、ネットワーク内で短絡または線材の直接接触があったとき、ヒューズは飛ばされて切断し、我々は暗闇に置かれる。それにより我々は、再び照明をもたらすためにヒューズをリセットまたは交換しなければならない。我々はこの例を用いてリセットすることの概念を説明しさらに、物理的短絡がもはや存在しなくなった場合、外部の介入なしに、ある期間の後に自動的に照明をもとにもどす可能性に関してより詳しく立ち入る。この場合ヒューズは自動リセットヒューズである。
【0016】
短絡に対して保護するための2つの方法があり、一方は電流を打ち消すまたはゼロに強制することであり、他方は電流を許容できるより低い値まで変調することである。両方の場合が電流制限器と見なされるが、我々は前者をデジタルオン-オフ制限器、後者をアナログ制限器と呼ぶことにする。
【0017】
また我々は、金属の電解採取のためのアノード構造を述べた、特許文献WO 2015/079072を引用することができ、これは水平支持バーと、プラスチックまたはエポキシでコーティングされたおよび垂直バーとを備え、垂直バーには25から225cmの面積を有するサブメッシュと呼ばれるアノードプレートが取り付けられ、アノードプレートにはそれぞれの配線および/またはプリント回路によって電気が供給され、それらは一連の絶縁構造によって保護され、プラスチックまたはエポキシでコーティングされたバーの内側に設置される。
【発明の概要】
【0018】
本明細書の表題に表されるように以下の本発明は、電気化学セルにおいて、および具体的には金属の電解採取において用いられる、垂直アノードのタイプの電気化学セルのための安全なアノードに関し、アノードは吊り下げ構造からなり、水平電流供給導体バーと、電流供給バーに接続された垂直配電バーであって、銅またはアルミニウムコア、およびチタン外層または外皮によって定義される配電バーとに基づく。
【0019】
この従来型実施形態に基づいて本発明の第1の目的は、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートを破壊または損傷し得る短絡を防止するために、垂直配電バーと、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートとの間の電気的接続が、電流制限器アセンブリを備えたそれぞれのアダプタ要素によってもたらされることである。
【0020】
本発明の第2の目的は、硫酸を有する酸素気泡の放散を、それらをアノードの中央部分を通して導いて低減することであり、その理由のためにアノードプレートは垂直配電バーによって定義される垂直平面に対してある角度で配置され、それらを運ぶ煙突効果を生成し、捕集器による捕集を容易にし、有害な「酸ミスト」およびその重大な環境への影響を回避する。
【0021】
これは結果として著しい経済的利点を生じ、なぜなら一方ではコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートへの破壊または損傷を防止し、他方では短絡が起きた場合、影響を受けたプレートは破壊されず、他のプレートは機能し続けるからである。
【0022】
本発明は、吊り下げ構造を備えた垂直アノードのタイプの、請求項1に定義されるような電気化学セルのためのアノードに関し、
- 水平電流供給導体バーと、
- 電流供給バーに接続された1つまたは複数の垂直配電バーであって、
・ 銅、アルミニウム、鉛、およびそれらの合金からなる群から選択された導電性要素のコア、ならびに
・ チタンまたはその合金、バルブ金属またはその合金、および鉛またはその合金からなる群から選択された材料の外層または外皮
を備えた配電バーと、
- 垂直配電バーに関連付けられた少なくとも1つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートと
を有しまたは備える電気化学セルのためのアノードにおいて、アノード(1)は、垂直配電バー(3)の少なくとも1つとコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)の少なくとも1つとの間に配置されたアダプタ要素(6)を組み込み、アダプタ要素(6)は電流制限器(10)を有する少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備え、電流制限器アセンブリ(7)は、垂直配電バー(3)をコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に接続するように、少なくとも1つの垂直配電バー(3)および少なくとも1つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート(4)に関連付けられることを特徴とする、電気化学セルのためのアノードに関する。
【0023】
「垂直配電バー」という表現によって、(垂直)吊り下げ姿勢に耐えることができ、アダプタ要素に関連付けられまたは取り付けられたあらゆる角柱状要素が意味される。1つまたは複数の「垂直配電バー」は円形、卵形、または多角形の断面を有することができ、それらは異なる縦横比を呈することができ、極限では例えば鉛パネルなどのパネルとすることができる。加えて「アノードプレート」という表現によって、アノードとして用いられるのに適し、酸素または塩素を発達させることができる少なくとも1つの表面を呈する、任意の形状およびサイズの要素が意味され、より具体的には陽極プレートは平坦な、湾曲したまたは部分的に湾曲した、波形の、中実の、多孔質の、小孔のある、切断された、エッチングされた、または穴のあいた材料とすることができる。
【0024】
この要約は、吊り下げ構造から構成された垂直アノードのタイプの電気化学セルのための安全なアノードを述べ、
- 水平電流供給導体バーと、
- 電流供給バーに接続された垂直配電バーであって、
・銅またはアルミニウムコア、および
・チタン外層または外皮
から作られた配電バーと、
- 垂直配電バーに関連付けられた少なくとも1つのコーティングされたチタンアノードプレートと
に基づき、その結果安全なアノードは、垂直配電バーの少なくとも1つと少なくとも1つのコーティングされたチタンアノードプレートとの間に配置された電流制限器アセンブリを備えたアダプタ要素を組み込み、そのアダプタ要素は対応する垂直配電バーを、アダプタ要素に取り付けられたコーティングされたチタンアノードプレートに接続する、電気化学セルのための安全なアノードを述べる。
【0025】
他の実施形態において、アノードの吊り下げ構造は具体的には、
- 水平電流供給導体バーと、
- 電流供給バーに接続された垂直配電バーであって、
・銅またはアルミニウムコア、および
・チタン外層または外皮
からなる配電バーと、
- 垂直配電バーに関連付けられた少なくとも1つのコーティングされたチタンアノードプレートと
からなる。
【0026】
本発明の1つの実用的実施形態において、安全なアノードのアダプタ要素は、垂直配電バーおよびコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートに直接取り付けられ、垂直配電バーをアノードプレートに接続する電流制限器アセンブリによって定義される。
【0027】
これはアダプタ要素が、電流制限器アセンブリ自体によって定義されることを意味する。
【0028】
本発明の実用的実施形態の第1の変形形態において、安全なアノードのアダプタ要素は、電流制限器アセンブリを保持するチタンストリップによって定義され、チタンストリップは垂直配電バーおよび対応するコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートに取り付けられ、そのアノードプレートは250から1670cmの表面積を有し、電流制限器アセンブリに取り付けられる。
【0029】
本発明の実用的実施形態の第2の変形形態において、安全アノードアダプタ要素は、その2つの端部のそれぞれに1つずつ、2つの電流制限器アセンブリを保持するチタンストリップによって定義され、チタンストリップは垂直配電バーに取り付けられ、および電流制限器アセンブリのペアは、対応するコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートに取り付けられる。
【0030】
同様に、少なくとも1つの電流制限器アセンブリを備えた安全アノードアダプタ要素は、対応する垂直配電バーに取り付けられ、垂直平面に対してわずかな角度を定義し、安全アノードアダプタ要素に取り付けられたコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートは同じ角度を有する。「わずかな角度」として、垂直線に対して小さい角度、すなわち小さな大きさの角度と理解されるべきである。図に示されるようにわずかな角度は、バー(3)の垂直平面に対して3.25度以下であることが好ましい。より好ましい実施形態においてわずかな角度は、バー(3)の垂直平面に対して3度である。
【0031】
少なくとも1つの電流制限器アセンブリを備えたアノードアダプタ要素は、それらが搭載されるわずかな角度において異なる大きさ有することができ、それらに関連付けられるアノードプレートも、垂直平面に対して異なる角度に応じて角度が付けられる。
【0032】
さらに少なくとも1つの電流制限器アセンブリを備え、それらが搭載されたわずかな角度において異なる大きさを有するアノードアダプタ要素は、対応する第2の垂直配電バーに沿って、下から上へ増加する大きさを有して取り付けられ、酸素気泡および酸の上へ向かう流れに対する煙突効果を引き起こす。
【0033】
アダプタ要素の一部を形成するチタンストリップは、管状構成を有することができ、直角に曲げられた少なくとも1つのシートに関連付けられたその中央内部部分に電流制限器を組み込み、シートは外側に延び、対応するアノードプレートがシートに取り付けられる。
【0034】
同様に、アダプタ要素の一部を形成するチタンストリップは、その上に挿入されたエポキシ樹脂または同様の材料のブロックを有することができ、その中に電流制限器が埋め込まれる。
【0035】
アノードが生き残ることは通常、前述の短絡によって影響され、他の原因によらないので、アノードはそれが著しい損傷を被らずに短絡に耐え、動作可能のままであるとき、安全であると言われることができる。
【0036】
従ってアダプタ要素の一部を形成し、電流制限器がその中に一体化された電流制限器アセンブリは、ボックスによって定義される。ボックスという用語は、チタンストリップを完全にまたは一部を、収容するまたは含むハウジング、ケース、部分的または完全なエンクロージャを意味する。ボックスは、その意図された目的に対して、および金属の電解採取のための電解槽の酸性環境に浸らされることに対して適することを条件として、任意の材料から作られることができる。好ましいケースにおいてボックスは、上述の目的に適した導電性材料から作られ、およびチタンまたはその合金から作られることがより好ましい。ボックスは、特定の実施形態においてチタンストリップが、チタンストリップを格納するボックスの絶縁材料によって絶縁されるように、絶縁材料を備えることができ、備えなくてもよく、その絶縁材は、端子によって中間のチタンストリップに、および別の端子によってボックスに接続された1つ、2つ、またはそれより多い電流制限器を組み込む。
【0037】
同様に、アダプタ要素の一部を形成し、電流制限器がその中に一体化された電流制限器アセンブリは、バイメタルのチタン/銅の部片のペアによって定義され、銅表面は互いに対向し、それらの間に電流制限器が挿入され、ポリマー層および両面上の銅のそれぞれのシートから構成され、両方の相対するバイメタルの部片の銅の幅に対応する横断する中央および周辺のくぼみが具現化され、くぼみはエポキシ樹脂または同様の絶縁体によって満たされる。
【0038】
本発明の他の目的は、前に定義されたように少なくとも1つのアノードを備えた、金属の電解採取のための電気化学セルである。好ましい場合においてセルは、非限定的に銅またはニッケルを含む、非鉄金属の電解採取のためのものである。
【0039】
以下でもたらされる説明を完全なものにするため、および本発明の特徴をより容易に理解できるようにする助けとする目的のために、本明細書には本発明の最も特徴的な詳細を表す、例示のためであり限定するものではない一組の図が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】水平電流供給バー、垂直配電バー、および垂直配電バーに関連付けられた2つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートが見られる、従来型アノードの側面図である。
図2】コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートを垂直バーに溶接することによる従来型の取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図3】コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートを垂直バーに溶接することによる従来型の取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図4】電流制限器アセンブリを備えたアダプタ要素を通じた、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートの垂直配電バーへの取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図5】電流制限器アセンブリを備えたアダプタ要素を通じた、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートの垂直配電バーへの取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図6】第1の実用的実施形態において指定されるようにチタンストリップおよび電流制限器アセンブリを備えたアダプタ要素を通じた、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートの垂直配電バーへの取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図7】第1の実用的実施形態において指定されるようにチタンストリップおよび電流制限器アセンブリを備えたアダプタ要素を通じた、コーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートの垂直配電バーへの取り付けのそれぞれ正面図および平面図である。
図8】チタンストリップから構成され、その端部においてそれぞれの電流制限器アセンブリを有する、垂直配電バーに取り付けられたアダプタ要素の正面図である。
図9】第2の実用的実施形態によりアダプタ要素が、チタンストリップおよび2つの電流制限器アセンブリを備える実施形態の平面図である。
図10】2つの実用的実施形態による、チタンストリップの端部への電流制限器アセンブリの接続のそれぞれの断面図である。
図11】2つの実用的実施形態による、チタンストリップの端部への電流制限器アセンブリの接続のそれぞれの断面図である。
図12】チタンストリップおよび2つの電流制限器アセンブリから構成されたアダプタ要素の、垂直バーへの取り付けの正面図、およびそれぞれのアノードプレートが電流制限器アセンブリに取り付けられた平面図である。
図13】チタンストリップおよび2つの電流制限器アセンブリから構成されたアダプタ要素の、垂直バーへの取り付けの正面図、およびそれぞれのアノードプレートが電流制限器アセンブリに取り付けられた平面図である。
図14】管状構成を有し、直角に曲げられた延びたシートに関連付けられたその内側に少なくとも1つの電流制限器を組み込み、対応するアノードプレートがシートに取り付けられた、アダプタ要素の一部を形成するチタンストリップの実用的実施形態の第1の変形形態の平面図である。
図15】電流制限器自体がエポキシ樹脂または同様の材料のブロック内に埋め込まれ、前述のチタンストリップは制限器によって分割され、チタンストリップは一方の端部において垂直バーに、および他方において対応するアノードプレートに取り付けられた、アダプタ要素の一部を形成するチタンストリップの実用的実施形態の第2の変形形態の平面図である。
図16】アノードプレートが垂直平面に対してわずかな角度で搭載される、実用的実施形態のそれぞれ正面図、側面図、および平面図である。
図17】アノードプレートが垂直平面に対してわずかな角度で搭載される、実用的実施形態のそれぞれ正面図、側面図、および平面図である。
図18】アノードプレートが垂直平面に対してわずかな角度で搭載される、実用的実施形態のそれぞれ正面図、側面図、および平面図である。
図19】どのようにアノードプレートがわずかな角度を有し、その角度が下側部分から上側部分まで、言い換えれば下から上へ増加し、煙突効果を生成するかを示す、一連のコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートが第2の垂直配電バーに取り付けられた実用的実施形態の正面図および平面図である。
図20】どのようにアノードプレートがわずかな角度を有し、その角度が下側部分から上側部分まで、言い換えれば下から上へ増加し、煙突効果を生成するかを示す、一連のコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレートが第2の垂直配電バーに取り付けられた実用的実施形態の正面図および平面図である。
図21】アノードプレートの角度が付けられた構成によって生成される煙突効果の結果として、気泡が追従する経路が示される、前の図の実施形態の側面図である。
図22】電流制限器を有する電流制限器アセンブリと、U字形状を有し垂直バーに取り付けられたチタンストリップである内枠とを備え、チタンストリップはU字形容器として形作られたボックスである外枠内に収容された、アダプタ要素の取り付けの正面図、および電流制限器アセンブリに取り付けられたそれぞれのアノードプレートを有する平面図である。
図23】電流制限器を有する電流制限器アセンブリと、U字形状を有し垂直バーに取り付けられたチタンストリップである内枠とを備え、チタンストリップはU字形容器として形作られたボックスである外枠内に収容された、アダプタ要素の取り付けの正面図、および電流制限器アセンブリに取り付けられたそれぞれのアノードプレートを有する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
前述の図に示されるように、および指定された番号付けによれば、従来型構成から始めてどのようなものであるかが分かり、そこではアノード1は電流供給導体バー2と、少なくとも1つのコーティングされたまたは無コーティングのチタンアノードプレート4が取り付けられた一連の垂直配電バー3とに基づく、吊り下げ構造から構成され(本明細書の以下ではこれらを単にアノードプレートと呼ぶ)、図面の図1は実用的実施形態において、アノードがどのように2つのアノードプレート4を有するかを示す。従来型実施形態においてアノードプレート4は、図面の図2に示されるようにスポット溶接5によって垂直配電バー3に取り付けられる。
【0042】
上述の従来型構成から始めて本発明の第1の目的は、図4に示されるように少なくとも1つの電流制限器アセンブリ7を備えたアダプタ要素6の組み込みに基づき、それを通して対応する垂直配電バー3からアノードプレート4への電流供給または接続が確立される。
【0043】
図4および5により1つの実用的実施形態において、アダプタ要素6は電流制限器アセンブリ7を備え、これは垂直配電バー3およびアノードプレート4に直接取り付けられ、その結果電流は垂直配電バー3から電流制限器7を通ってアノードプレートに到達する。この実施形態では電流制限器アセンブリ7自体が、アダプタ要素6として作用する。
【0044】
さらに図面の図6および7によれば、実用的実施形態の第1の変形形態においてアダプタ要素6は、その一方の端部において垂直配電バー3に取り付けられ、他方の端部において電流制限器アセンブリ7を組み込む、チタンストリップ8によって定義され、一方、図面の図8によれば、実用的実施形態の第2の変形形態においてアダプタ要素6は、垂直配電バー3に取り付けられたチタンストリップ8から作られ、これは各端部に両方の電流制限器アセンブリ7を有し、それらにはそれぞれのアノードプレート4が取り付けられ、電流は垂直配電バー3からチタンストリップ8および対応する電流制限器7を通って、アノードプレート4に到達する。
【0045】
電流制限器アセンブリは、自動リセット型であることが好ましく、当業界において入手可能な任意の機構を用いて具体化されることになり、すなわちバイメタルのブレーカ、自動リセットを有するデジタルヒューズ、自動リセットを有するアナログヒューズ、遮断または調節を有するトランジスタなどである。
【0046】
例としておよび図面の図8、9、および10によれば以下のように述べることができ、アダプタ要素6の構成要素として用いられることになる電流制限器アセンブリ7の第1のタイプは、チタン/銅のバイメタルの部片9のペアによって定義され、銅表面は互いに対向し、それらの間に電流制限器10が挿入され、ポリマーの層および両側面上の銅のそれぞれのシートから構成され、互いに対向する両方のバイメタルの部片9の銅の幅に対応する横断する中央および周辺のくぼみを有し、くぼみはエポキシ樹脂11または同様の絶縁体によって満たされる。
【0047】
このようにして図面の図8は、電流制限器アセンブリ7に関して以下を示し、2つの網掛けされた部分はバイメタルの部片9の銅に対応し、それらの周りの外形は、横断する中央および周辺のくぼみに対応するようになり、これは電流制限器10自体がそれらの間に挿入された2つのバイメタルの部片9に関連して、エポキシ樹脂11または他の絶縁材料によって満たされるようになる。
【0048】
図面の図11、12、および13による電流制限器アセンブリ7の第2のタイプは、チタンボックス12から構成されることができ、チタンストリップ8の一方の端部は挿入された絶縁材料13によって収容され、絶縁材料13は2つの電流制限器10をその中に組み込み、結果として好ましくは第2のタイプは図面の図13に示されるように、チタンストリップ8の各端部に1つずつ、2つのチタンボックス12を組み込み、これは端子によってチタンストリップ8に、および電流制限器10の他の端子によってチタンボックス12に接続され、言い換えれば電気の流れは垂直配電バー3 - チタンストリップ8 - 電流制限器10-チタンボックス12 - アノードプレート4となる。
【0049】
アダプタ当たり1つおよび2つの制限器によって表された場合に基づいて明らかであると考えられるので、アダプタ要素当たり3つ、4つなどの制限器への拡張についての説明を省いたことが留意される。
【0050】
絶縁材料13は、エポキシ樹脂もしくはプラスチック材料、または任意の他の等価な材料の層とすることができる。
【0051】
論理的に、アダプタ要素に関して述べられた構造は同様に、述べられたものと等価な他の実施形態を有することができ、従って図面の図14において以下がわかり、アダプタ要素6の一部を形成するチタンストリップ8は管状構成を有することができ、対応するアノードプレート4が取り付けられた直角に曲げられた第1のシート14に関連付けられて、その内側に完全に絶縁されて電流制限器10を収容することができる。同様に、各端部に1つずつ、直角に曲げられた2つのシート14が管状ストリップ8の内側から延び、対応するアノードプレート4が2つのシート14に取り付けられた二重構成も可能である。
【0052】
同様に図15の実施形態によれば、アダプタ要素6の一部を形成する電流制限器自体は、チタンストリップ8上に挿入されたエポキシ樹脂のブロック15内に埋め込まれることができ、2つの部分に分割され、そのチタンストリップ8は、それをそれぞれのアノードプレート4に取り付けることができるように直角に曲げられる。前の場合のようにアダプタ要素は、それを2つのアノードプレート4に取り付けるように二重構成を有することができる。
【0053】
アノード1当たりの垂直配電バー3およびアノードプレート4の数は、本発明の目的に影響を及ぼさないが、これらの適切な数は設置の性能およびコストを調整することを可能にし、結果として要素の実用的な数は、3個の垂直バー、アノード当たり30個のアダプタ要素、ただし各1つは2つのアノードプレートに供給し、従ってアノード当たり合計60個のアノードプレートとなる。さらにアノードプレートは、250から1670cmの面積を有する。
【0054】
さらに従来型アノードにおいてアノードプレート4の数は1つまたは2つであり、結果として2つのプレートの場合、図面の図1に示されるように表面当たり1つ存在する。本発明の目的はこの従来型モデルに適用されることができるが、その有効性はアノード当たり、より大きな数のアノードプレート4が設置された場合に増加し、およびまたコストおよび設置の難しさは過度に高い値を妨げ、従ってそれら2つの間の妥協が確立される。
【0055】
我々は、他とは異なるアノードプレートを定義するアノード材料の面積を、両方の面積の間の電気抵抗が十分に高いことを条件に考慮し、それらの一方との陰極接触が確立されたとき、他方は動作の少なくとも30%程度その電気分解の過程を継続できるように、考慮する。
【0056】
各アダプタ要素6は少なくとも1つの電流制限器アセンブリ7を備えるようになり、これは短絡の場合に電流を遮断するまたは少なくともその電流を許容できる値に制限するようになり、許容できる値とはアノードの完全性に対して危険でなく、電流の大きな損失を示さない値と考えられる。我々は正常動作または公称電流と同様な値を推奨するが、公称動作電流の値の5倍を超えない短絡電流まで性能に著しい影響を及ぼさずに、より高い値によって動作させ得る。
【0057】
さらに本発明の第2の目的は、陽極電気分解によって生成される「酸ミスト」の放散を制御することを試みることである。これを行うために、図1に示されるような10から30mmの間だけ離れて間隔が置かれた2つの陽極プレート4に供給するアノードに対する、銅などの金属の電解採取のためのセルにおいて、図17、20、および21に示されるように、わずかな角度でアノードプレート4を配置することによって、アノードプレートの角度の結果として、矢印「A」に従って追従される経路を得ることによって、生成された気泡を制御し、経路付けることが可能であり、これは非常に多様な方法で得られることができる。
【0058】
さらにアノードプレートの角度の大きさを変化させ、下から上に増加する角度によってそれらを配置することで、煙突効果を生じる逆さの魚骨形パターンでの配置が作成され、これは分散を避けることを可能にし、酸性気泡について、それらがアノードのアノードプレートの2つの側面の間で煙突内であるかのように制約され上昇するので、それらの制御された放散を可能にする。
【0059】
アノードプレートの角度は、述べられたように種々の方法で達成されることができ、まず、第一に図面の図5の電流制限器アセンブリ7を備えたアダプタ要素6は、所望の角度で垂直配電バー3に直接取り付けられることができ、またはチタンストリップ8自体が所望の角度に従って、対応する垂直配電バー3に取り付けられることができ、または図17および18に示されるようにチタンストリップ8自体が捻られることができ、その端部は角度が付けられることができ、対応する電流制限器アセンブリが取り付けられたとき、チタンストリップ8に取り付けられたアノードプレートは所望の角度を有するようになる。
【0060】
上へ向かう気泡の流れをアノードの内側に集中させるこの現象は以下の利点をもたらす:
【0061】
・ アノードとカソードとの間の電流の通過に対する電解質の抵抗の低減であり、なぜならアノードとカソードとの間の上へ向かう気泡は絶縁体であり、従ってそれらは電解質の実効的な抵抗を増加させるからである;
【0062】
・ カソードプレート上のより一様な銅堆積;アノードの下方部分でより高い電流密度があり、従って短絡のより高い発生率があり、言い換えれば下方部分上においてわずかに、より大きな銅の厚さがあることがよく知られている。上方部分に集中する気泡が、アノードとカソードとの間から阻止された場合、得られる銅プレートは、銅プレートの上方と下方部分の間の厚さの差がより小さく、より平坦となる;
【0063】
・ 金属の陰極堆積の過程の効率およびその品質に悪影響を及ぼす、これらの気泡がカソードに到達するようになり酸化を引き起こす可能性を低減する、および;
【0064】
・ 大きな割合の酸性気泡が2つの陽極表面の狭い内部領域を通って上昇するとき、煙突の出口における捕集器の設置は、「酸ミスト」の非常に効果的な捕集を可能にし、結果として環境汚染を著しく低減する。
【0065】
さらに図面の図22および23に示される1つの実用的実施形態において、電流制限器アセンブリ(7)は、絶縁材料(13)を含んだボックス(12)である少なくとも1つの外枠と、チタンストリップ(8)である少なくとも1つの内枠とを備え、少なくとも1つの内枠は少なくとも1つの外枠内に部分的にまたは完全に収容され、少なくとも1つの外枠および少なくとも1つの内枠は、少なくとも1つの内枠が取り付けられ、1つまたは複数の垂直配電バー(3)の少なくとも1つの一部分を部分的に包むように、U字形輪郭を有し、少なくとも1つの外枠は少なくとも1つのアノードプレート(4)に関連付けられまたは取り付けられる。
【0066】
この実施形態は、アダプタ要素の生産を簡単にし、生産コストを低減する利点を有する。実際、実施形態は、本発明によるアダプタ要素の製造、統合、および電気効率の観点からの改善をもたらすことができる。製造に関して、チタンストリップ(8)およびボックス(12)のU字形輪郭は、アダプタ要素を組み立てるために必要なチタンの量を効率的に管理および/または低減することを可能にする。容器は、2つのU字輪郭から、一方を他方の内側に配置することによって構築され、これらの輪郭は長いストリップにおいて自動的に、および溶接および難しい切断を必要とせずに折り畳み機を用いて高い効率で製造される。加えて電流制限器のリード線を溶接することは、ずっと快適におよび効率的に行われ、それ自体はロボット化されたプロセスに適し、これは非常に競争力のあるコストでの、高い製造能力を意味する。最後に電気効率に関して、電流配電バーをアダプタ自体で包み込むまたは取り囲むことによって、電流経路はアダプタの面に垂直となり、これは最大の断面および回路の最小の長さを意味することが考慮されるべきである。
【0067】
本明細書で前に述べられた実施形態は、望むならば、煙突効果を可能にする構成において用いられることができる。このような場合アノードプレートが、アノードにおいて行われる電気化学反応からのガス気泡の流れを方向付けるように、垂直位置に対して傾きまたは曲がりを有して搭載されることになる。例えばアノードプレートは、積分記号「∫」のような、またはこの目的にために適切であると当業者なら容易に認識するであろう任意の他の形状に成形されるように曲げられる。あるいはアノードプレートとアダプタ要素との間に、垂直方向に対してある角度でアノードプレートを溶接することを可能にする導電性くさびまたはシェーパーを差し込むことが可能である。
【0068】
最後に、本発明はさらに以下の実施形態A~Kに関する:
【0069】
A)吊り下げ構造から構成される垂直アノードのタイプの電気化学セルのための安全なアノードであって、
- 水平電流供給導体バーと、
- 電流供給バーに接続された垂直配電バーであって、
・銅またはアルミニウムコア、および
・チタン外層または外皮
によって定義された配電バーと、
- コーティングされ、垂直配電バーに関連付けられた少なくとも1つのチタンアノードプレートと
に基づき、安全なアノード(1)は、垂直配電バー(3)の少なくとも1つと少なくとも1つのコーティングされたチタンアノードプレート(4)との間に配置された安全アノードアダプタ要素(6)を組み込み、そのアダプタ要素(6)は電流制限器(10)がその中に一体化された少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備え、これは垂直配電バー(3)およびコーティングされたチタンアノードプレート(4)に関連付けられ、垂直配電バー(3)をコーティングされたチタンアノードプレート(4)に接続することを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0070】
B)項目Aの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、安全なアノードのアダプタ要素(6)は、電流制限器(10)がその中に一体化され、垂直配電バー(3)およびコーティングされたチタンアノードプレート(4)に取り付けられた、電流制限器アセンブリ(7)によって定義されることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0071】
C)項目Aの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、安全なアノードのアダプタ要素(6)は、少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を保持するチタンストリップ(8)によって定義され、チタンストリップ(8)は垂直配電バー(3)に取り付けられ、対応するコーティングされたチタンアノードプレート(4)は電流制限器アセンブリ(7)に取り付けられることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0072】
D)項目AおよびCの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、安全なアノードのアダプタ要素(6)は、各端部に1つずつ、2つの電流制限器アセンブリ(7)を保持するチタンストリップ(8)によって定義され、チタンストリップ(8)は垂直配電バー(3)に取り付けられ、対応するコーティングされたチタンアノードプレート(4)は電流制限器アセンブリ(7)のペアに取り付けられることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0073】
E)項目Aの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備えた安全なアノードのアダプタ要素(6)は、対応する垂直配電バー(3)に取り付けられ、垂直平面に対してわずかな角度を定義し、アダプタ要素(6)に取り付けられたコーティングされたチタンアノードプレート(4)は同じ角度を有することを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0074】
F)項目Eの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備えたアノードのアダプタ要素(6)は、それらのわずかな搭載角度において異なる大きさを有することができ、それらに関連付けられたアノードプレート(4)も、垂直平面に対して異なる角度に応じて角度が付けられることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0075】
G)項目Fの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、少なくとも1つの電流制限器アセンブリ(7)を備え、それらのわずかな搭載角度において異なる大きさを有するアノードのアダプタ要素(6)は、対応する第2の垂直配電バー(3)に沿って、下から上へ増加する大きさを有して取り付けられ、煙突効果を引き起こすことを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0076】
H)項目Cの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、アダプタ要素(6)の一部を形成するチタンストリップ(8)は管状構成を有し、直角に曲げられ少なくとも1つのシート(14)に関連付けられたその中央内部部分に電流制限器(10)を組み込み、シート(14)は外側に延び、対応するアノードプレート(4)がシート(14)に取り付けられることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0077】
I)項目Cの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、アダプタ要素(6)の一部を形成するチタンストリップ(8)は、その上に挿入されたエポキシ樹脂または同様の材料のブロック(15)を有し、その中に電流制限器(10)が埋め込まれることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0078】
J)項目Aの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、アダプタ要素(6)の一部を形成し、電流制限器(10)がその中に一体化される電流制限器アセンブリ(7)は、チタンストリップ(8)を収容したボックス(12)によって定義され、チタンストリップ(8)はそれを含んだボックス(12)の絶縁材料(13)によって絶縁され、その絶縁材料(13)は、端子によって中間チタンストリップ(8)に、および他方の端子によってボックス(12)に接続された2つの電流制限器(10)を組み込むことを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
【0079】
K)項目Aの実施形態による電気化学セルのための安全なアノードであって、アダプタ要素(6)の一部を形成し、電流制限器(10)がその中に一体化された電流制限器アセンブリ(7)は、バイメタルのチタン/銅の部片(9)のペアによって定義され、銅表面は互いに対向し、それらの間に電流制限器(10)が挿入され、ポリマー層および両側面上の銅のそれぞれの層から構成され、両方の相対するバイメタルの部片(9)の銅の幅に対応する横断する中央および周辺のくぼみを有し、くぼみはエポキシ樹脂(11)または同様の絶縁体によって満たされることを特徴とする、電気化学セルのための安全なアノード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23