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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】乳化毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20231211BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231211BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/42
A61K8/73
A61Q5/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019067929
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164478
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】小林 佳那子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 範子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052841(JP,A)
【文献】特開2008-019185(JP,A)
【文献】国際公開第2010/016591(WO,A1)
【文献】特開2017-057189(JP,A)
【文献】東レ・ダウコーニング株式会社 パーソナルケア用シリコーンのカタログ、2006年10月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、下記成分(E)、及び下記成分(F)を含有し、前記成分(A)の含有割合が0.3~5.0質量%、前記成分(B)の含有割合が0.05~1.0質量%、前記成分(C)の含有割合が0.2~1.5質量%、前記成分(D)の含有割合が0.1~2.0質量%である、乳化毛髪化粧料。
成分(A):25℃における粘度6万~1000万mPa・sのシリコーン化合物
成分(B):下記式(1)で表される化合物
1-N+(CH33- (1)
(上記式中、R1は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を示す。X-はCl-又はBr-を示す。)
成分(C):下記式(2)で表される化合物
2-C(=O)-NH-C36-N+(CH33- (2)
(上記式中、R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数11~21の脂肪族炭化水素基を示す。Y-はCl-又はBr-を示す。)
成分(D):ノニオン性界面活性剤
成分(E):エステル油、前記成分(A)以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分
成分(F):水
【請求項2】
前記成分(D)がソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルである請求項1に記載の乳化毛髪化粧料。
【請求項3】
前記成分(E)がイソノナン酸イソノニル及び/又はイソノナン酸トリデシルを含む請求項1又は2に記載の乳化毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに、下記成分(G)を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の乳化毛髪化粧料。
成分(G):炭素数12~24の脂肪族アルコール
【請求項5】
さらに、下記成分(H)を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の乳化毛髪化粧料。
成分(H):セルロース系増粘剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、紫外線、ブロー、ブラッシング、洗髪、カラーリングなどの影響により損傷を受け、パサつき、ハリやコシの低下、ツヤの低下、指通りやまとまりの悪化などが生じる場合がある。従来、これらを改善することを目的として、洗い流さない毛髪化粧料が上市されている。
【0003】
洗い流さない毛髪化粧料の剤型としては、水をほとんど配合しないオイル剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、ウォーター剤型などがある。乳化剤型の毛髪化粧料(乳化毛髪化粧料)は、水、油分、及び多価アルコールなどを含むことにより、毛髪にまとまりや保湿感を付与するという利点がある。このような乳化剤型の毛髪化粧料としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-87164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗い流さない毛髪化粧料には、さらに、サラサラした感触とし、指どおりを良くするという感触(サラサラ感)が求められることがある。サラサラ感を付与するために、毛髪化粧料にシリコーン油を配合することが考えられる。しかしながら、乳化毛髪化粧料に、低重合度のシリコーン油を配合した場合は充分なサラサラ感を得ることができず、一方、高重合度のシリコーン油を配合した場合は乳化毛髪化粧料に含まれる他の成分との親和性が低く乳化安定性が劣るという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、毛髪に充分なサラサラ感を付与することができ、乳化安定性に優れる乳化毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、成分(A):25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物、特定のカチオン性界面活性剤である成分(B)及び成分(C)、成分(D):ノニオン性界面活性剤、成分(E):エステル油、上記成分(A)以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分、並びに、成分(F):水を含有し、上記成分(A)~(D)の含有割合がそれぞれ特定の範囲内である乳化毛髪化粧料によれば、毛髪に充分なサラサラ感を付与することができ、乳化安定性に優れる乳化毛髪化粧料が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、下記成分(E)、及び下記成分(F)を含有し、上記成分(A)の含有割合が0.3~5.0質量%、上記成分(B)の含有割合が0.05~1.0質量%、上記成分(C)の含有割合が0.1~2.5質量%、上記成分(D)の含有割合が0.1~2.0質量%である、乳化毛髪化粧料を提供する。
成分(A):25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物
成分(B):下記式(1)で表される化合物
1-N+(CH33- (1)
(上記式中、R1は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を示す。X-はCl-又はBr-を示す。)
成分(C):下記式(2)で表される化合物
2-C(=O)-NH-C36-N+(CH33- (2)
(上記式中、R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数11~21の脂肪族炭化水素基を示す。Y-はCl-又はBr-を示す。)
成分(D):ノニオン性界面活性剤
成分(E):エステル油、上記成分(A)以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分
成分(F):水
【0009】
上記成分(D)はソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0010】
上記成分(E)はイソノナン酸イソノニル及び/又はイソノナン酸トリデシルを含むことが好ましい。
【0011】
上記乳化毛髪化粧料は、さらに下記成分(G)を含有することが好ましい。
成分(G):高級アルコール
【0012】
上記乳化毛髪化粧料は、さらに下記成分(H)を含有することが好ましい。
成分(H):セルロース系増粘剤
【発明の効果】
【0013】
本発明の乳化毛髪化粧料は、毛髪に充分なサラサラ感を付与することができ、乳化安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の乳化毛髪化粧料は、25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物;下記式(1)で表される化合物;下記式(2)で表される化合物;ノニオン性界面活性剤;エステル油、25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分;並びに水を少なくとも含有する。
1-N+(CH33- (1)
(上記式中、R1は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を示す。X-はCl-又はBr-を示す。)
2-C(=O)-NH-C36-N+(CH33- (2)
(上記式中、R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数11~21の脂肪族炭化水素基を示す。Y-はCl-又はBr-を示す。)
【0015】
なお、本明細書において、25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物を「成分(A)」、上記式(1)で表される化合物を「成分(B)」、上記式(2)で表される化合物を「成分(C)」、ノニオン性界面活性剤を「成分(D)」、エステル油、25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分を「成分(E)」、水を「成分(F)」とそれぞれ称する場合がある。
【0016】
本発明の乳化毛髪化粧料は、さらに、高級アルコールを含有することが好ましい。また、本発明の乳化毛髪化粧料は、さらに、セルロース系増粘剤を含有してもよい。なお、本明細書において、高級アルコールを「成分(G)」、セルロース系増粘剤を「成分(H)」とそれぞれ称する場合がある。
【0017】
すなわち、本発明の乳化毛髪化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、及び成分(F)を少なくとも含有する。本発明の乳化毛髪化粧料は、成分(G)を含有することが好ましい。また、本発明の乳化毛髪化粧料は、成分(H)を含有してもよい。本発明の乳化毛髪化粧料は、上記成分(A)~(H)以外の成分を含有してもよい。また、本発明の乳化毛髪化粧料に含まれる各成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)、成分(G)、成分(H)、及び他の成分等の各成分は、それぞれ、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0018】
[成分(A)]
成分(A)は、25℃における粘度6万~1000万mPa・sのシリコーン化合物である。成分(A)を配合することにより、本発明の乳化毛髪化粧料は毛髪に充分なサラサラ感を付与することができる。成分(A)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0019】
成分(A)の25℃における粘度は、6万~1000万mPa・sであり、好ましくは8万~100万mPa・sである。上記粘度が6万mPa・s以上であることにより、充分なサラサラ感を付与することができる。上記粘度が100万mPa・s以下であることにより、乳化安定性に優れる。
【0020】
成分(A)としては、ジメチコノール、ジメチルポリシロキサン、変性シリコーンなどが挙げられる。ジメチコノールとは、ジメチルポリシロキサンの末端メチル基が水酸基に置換されたものである。変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどが挙げられる。変性シリコーンとしては、アミノ変性ジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0021】
成分(A)のジメチコノールの市販品としては、商品名「YF3802A」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。成分(A)のジメチルポリシロキサンの市販品としては、商品名「TSF451-100MA」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、商品名「DOWSIL BY11-026」、商品名「DOWSIL SH200 60000CS」(ダウ・東レ株式会社製)などが挙げられる。成分(A)のアミノ変性ジメチルポリシロキサンの市販品としては、商品名「XF42-B8922」、商品名「XF42-C0330」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0022】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(A)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.3~5.0質量%であり、好ましくは0.3~3.0質量%、より好ましくは0.4~1.5質量%である。上記含有割合が0.3質量%以上であることにより、毛髪に充分なサラサラ感を付与することができる。上記含有割合が5.0質量%以下であることにより、乳化安定性に優れる。上記成分(A)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(A)の含有割合の合計である。
【0023】
[成分(B)]
成分(B)は下記式(1)で表される化合物である。成分(B)は、αゲルを形成するための成分であり、ゲルネットワークを形成し、これにより成分(E)の液滴が安定的に存在することができる。成分(B)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
1-N+(CH33- (1)
【0024】
上記式中、R1は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数12~22の脂肪族炭化水素基を示す。上記炭素数は、好ましくは16~22である。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状アルケニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキニル基が挙げられる。中でも、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
【0025】
上記式中、X-は、第四級アンモニウムカチオンのカウンターアニオンであり、Cl-又はBr-を示す。
【0026】
成分(B)としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムブロミド)、ベヘントリモニウムクロリド(塩化アルキルトリメチルアンモニウム)、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムブロミド)などが挙げられる。
【0027】
成分(B)を含む市販品としては、商品名「VARISOFT 300」、商品名「VARISOFT 85 Pellets」(以上、エボニックジャパン株式会社製)、商品名「ARQUAD 18-50」(AkzoNobel社製)、商品名「CTAC 30KC」(KCI社製)、商品名「NIKKOL CA-2250E」(日光ケミカルズ株式会社製)、商品名「GENAMIN KDMP-J」(クラリアント社製)、商品名「コータミン86W」(花王株式会社製)などが挙げられる。
【0028】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(B)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.05~1.0質量%であり、好ましくは0.1~1.0質量%、より好ましくは0.2~0.7質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であることにより、安定なαゲルを形成し、乳化安定性(特に、高温下での経時安定性)に優れる。また、毛髪にしっとり感を付与することができる。さらに、毛髪に柔軟性を付与することができる。上記含有割合が1.0質量%以下であることにより、べたつきや皮膚への刺激を抑制することができる。上記成分(B)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(B)の含有割合の合計である。
【0029】
[成分(C)]
成分(C)は下記式(2)で表される化合物である。成分(C)は、成分(D)との組み合わせにより成分(A)を微分散させることができる。成分(C)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
2-C(=O)-NH-C36-N+(CH33- (2)
【0030】
上記式中、R2は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数11~21の脂肪族炭化水素基を示す。上記炭素数は、好ましくは13~21である。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状アルケニル基、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキニル基が挙げられる。中でも、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
【0031】
上記式中、Y-は、第四級アンモニウムカチオンのカウンターアニオンであり、Cl-又はBr-を示す。
【0032】
成分(C)としては、例えば、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0033】
成分(C)を含む市販品としては、商品名「VARISOFT PATC」(エボニックジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0034】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(C)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.1~2.5質量%であり、好ましくは0.2~1.5質量%、より好ましくは0.3~1.0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であることにより、成分(D)と組み合わせ用いることで成分(A)を微分散させることができ、乳化安定性(特に、高温下における経時安定性)に優れる。また、毛髪に柔軟性を付与することができる。さらに、毛髪のしっとり感をより向上することができる。上記含有割合が2.5質量%以下であることにより、べたつきを抑制することができる。上記成分(C)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(C)の含有割合の合計である。
【0035】
[成分(D)]
成分(D)は、ノニオン性界面活性剤である。成分(D)は、成分(C)との組み合わせにより成分(A)を微分散させることができる。成分(D)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0036】
成分(D)としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。
【0037】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。また、ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。
【0038】
グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれも含む。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどが挙げられる。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
【0039】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは、ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルのいずれも含む。ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
ポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジミリスチン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジベヘン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルが挙げられる。
【0042】
成分(D)としては、中でも、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに好ましくは、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリルである。ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルは、親水基が比較的大きいノニオン性界面活性剤であるため、成分(A)表面に配列している成分(C)の隙間に浸入しやすいものと推測され、成分(A)の分散安定性がより良好となり、本発明の乳化毛髪化粧料のキメがより細かくなる。
【0043】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(D)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.1~2.0質量%であり、好ましくは0.2~1.5質量%、より好ましくは0.2~1.0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であることにより、成分(C)と組み合わせ用いることで成分(A)を微分散させることができ、乳化安定性(特に、高温下における経時安定性)に優れる。上記含有割合が2.0質量%以下であることにより、べたつきを抑制することができる。また、上記含有割合が2.0質量%を超えると、成分(B)や成分(C)による毛髪の柔軟性向上の効果を低下させる場合がある。上記成分(D)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(D)の含有割合の合計である。
【0044】
[成分(E)]
成分(E)は、エステル油、成分(A)以外のシリコーン油、炭化水素油、及び植物油からなる群より選択される1以上の油性成分である。なお、成分(A)以外のシリコーン油とは、25℃における粘度が6万mPa・s未満のシリコーン油である。成分(E)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0045】
上記エステル油としては、例えば、オクタン酸セチル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)などが挙げられる。
【0046】
上記シリコーン油としては、例えば、メチルポリシロキサン(ジメチコン)、高重合メチルポリシロキサンなどのジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサンなどのメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどの変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどが挙げられる。
【0047】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、椿油などが挙げられる。
【0048】
成分(E)は、25℃で液状である液状油である。より好ましくは、成分(E)の25℃の粘度が、1000mPa・s以下であり、さらに好ましくは500mPa・s以下である。上記粘度の下限値は、特に限定されない。なお、上記粘度は、例えば、粘度計を用いて、No.2またはNo.3ローターを使用して回転速度12rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業株式会社製、TV-22型粘度計を使用することができる。
【0049】
成分(E)としては、中でも、イソノナン酸イソノニル及び/又はイソノナン酸トリデシルを含むことが好ましい。イソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸トリデシルは成分(A)の分散性が良好であるため、本発明の乳化毛髪化粧料を容易に製造することができる。
【0050】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(E)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、2.0~20.0質量%であることが好ましく、より好ましくは3.0~15.0質量%、さらに好ましくは4.0~10.0質量%である。上記含有割合が2.0質量%以上であると、乳化安定性により優れる。上記含有割合が20.0質量%以下であると、流動性に優れると共に、べたつきを抑制することができる。上記成分(E)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(E)の含有割合の合計である。
【0051】
[成分(F)]
成分(F)は水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(F)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、50.0~90.0質量%であることが好ましく、より好ましくは60.0~85.0質量%である。
【0052】
[成分(G)]
成分(G)は高級アルコールである。成分(G)は、本発明の乳化毛髪化粧料の乳化安定性をより向上させることができる。成分(G)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0053】
成分(G)としては、炭素数が12~24の脂肪族アルコールが挙げられ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、デシルテトラデカノール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
【0054】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(G)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.5~5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.7~3.0質量%、さらに好ましくは1.0~2.5質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、乳化安定性により優れる。上記含有割合が5.0質量%以下であると、乳化毛髪化粧料の流動性がより一層向上する。上記成分(G)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(G)の含有割合の合計である。
【0055】
[成分(H)]
成分(H)はセルロース系増粘剤である。成分(H)は、成分(B)~(E)を用いて形成されるαゲル構造を適度にくずすものと推測され、αゲルの弾性を低下させ、乳化状態を保ちつつ流動性を向上させることができる。また、流動性が向上することで、ディスペンサーやポンプ容器などにも広く用いることができ、容器適性にも優れる。成分(H)は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0056】
成分(H)としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
【0057】
本発明の乳化毛髪化粧料中の成分(H)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の乳化毛髪化粧料100質量%に対して、0.05~1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~0.8質量%、さらに好ましくは0.2~0.5質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であると、流動性がより向上する。上記含有割合が1.0質量%以下であると、べたつきを抑えることができる。上記成分(H)の含有割合は、本発明の乳化毛髪化粧料中の全ての成分(H)の含有割合の合計である。
【0058】
[その他の成分]
本発明の乳化毛髪化粧料は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記成分(A)~(H)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分等が挙げられる。具体的には、例えば、エタノール等の低級アルコール;多価アルコール;成分(A)及び(E)以外の油性成分;アニオン性界面活性剤、成分(B)及び(C)以外のカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の成分(B)~(D)以外の界面活性剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);ピリビニルピロリドン等の皮膜形成性高分子化合物;カオリン、シリカ、タルク等の粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリなどが挙げられる。
【0059】
本発明の乳化毛髪化粧料は、乳化剤型の毛髪化粧料であり、クリーム剤型、乳液剤型などが挙げられる。本発明の乳化毛髪化粧料は、水中油(O/W)型の乳化化粧料であることが好ましい。また、本発明の乳化毛髪化粧料としては、例えば、アウトバストリートメント、整髪剤などが挙げられる。特に、本発明の乳化毛髪化粧料は、刺激性のあるカチオン性界面活性剤の配合量が比較的少ないため、アウトバストリートメントとして好ましく使用できる。本発明の乳化毛髪化粧料は、例えば、毛髪の広がりを抑え毛髪をまとめる目的、毛髪に艶を与える目的、ドライヤーやヘアアイロン等の熱から毛髪を保護する目的、毛髪の指どおりを向上する目的、毛髪の柔軟性を向上する目的で用いられる。
【0060】
本発明の乳化毛髪化粧料の使用方法は、特に限定されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。(i)洗髪しタオルドライ後に、本発明の乳化毛髪化粧料を、毛髪に全体的又は部分的に適量塗布し、ドライヤー等を用いて乾燥させる。(ii)乾いた毛髪又は僅かに湿らせた毛髪に、本発明の乳化毛髪化粧料を全体的又は部分的に適量塗布し、必要に応じてヘアアイロンを用いるなどして、整髪する。本発明の乳化毛髪化粧料を、他の整髪剤と併用して整髪を行ってもよい。
【0061】
本発明の乳化毛髪化粧料は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、ホモミキサー、パドルミキサー等で攪拌して製造することができる。
【0062】
本発明は、上記式(1)で表される化合物[成分(B)]、上記式(2)で表される化合物[成分(C)]、及びノニオン性界面活性剤[成分(D)]を、それぞれ特定の割合で組み合わせて用いることにより、25℃における粘度6万~100万mPa・sのシリコーン化合物[成分(A)]を、水[成分(F)]及び油性成分[成分(E)]からなる乳化系中に微分散させ、優れた乳化安定性を有する乳化毛髪化粧料が得られることを特徴とする。また、本発明の乳化毛髪化粧料は、高温下における経時安定性にも優れる。
そのメカニズムは、下記のように推測される。成分(B)は、αゲルを形成してゲルネットワーク中に成分(E)を取り込むことにより、成分(E)を良好に乳化させる。そして、成分(C)及び成分(D)が、成分(E)中に成分(A)を相溶又は微分散させる。これにより、成分(A)が乳化系中に安定に存在することができる。成分(C)のみ又は成分(D)のみでは、充分に成分(A)を相溶又は微分散できないところ、異なる成分である成分(C)と成分(D)を併用することにより、成分(A)を充分に相溶又は微分散できたことが特徴である。
【0063】
そして、本発明の乳化毛髪化粧料は、成分(A)を特定の割合で配合することにより、毛髪に充分なサラサラ感を付与することができる。また、成分(A)が微分散され、乳化安定性に優れるため、乳化毛髪化粧料のキメが細かい。また、成分(B)を特定の割合で配合することにより、毛髪にしっとり感も付与することができる。
【実施例
【0064】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。なお、実施例2は参考例1と読み替えるものとする。
【0065】
実施例1~10、比較例1~7
表に記した各成分(成分(A)~(H)及びその他の成分)を用い、実施例及び比較例の各化粧料(乳液)を常法により調製した。
【0066】
表に記載の主な成分は、以下の通りである。
【0067】
<成分(A)>
高重合シリコーン(1000万mPa・s):商品名「DOWSIL BY11-026」、ダウ・東レ株式会社製、25℃における粘度約1000万mPa・s
高重合シリコーン(6万mPa・s):商品名「DOWSIL SH200 60000CS」、ダウ・東レ株式会社製、25℃における粘度約6万mPa・s
高重合シリコーン(100万mPa・s):商品名「TSF451-100MA」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、25℃における粘度約100万mPa・s
<成分(A’)>
高重合シリコーン(1800万mPa・s):商品名「XF49-811」、モメンティヴ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、25℃における粘度約1800万mPa・s
<成分(B)>
ステアルトリモニウムクロリド:商品名「コータミン86W」、花王株式会社製
ベヘントリモニウムクロリド:商品名「GENAMIN KDMP-J」、クラリアント社製
<成分(C)>
パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド:商品名「VARISOFT PATC」、エボニックジャパン株式会社製
<成分(D)>
ステアリン酸ソルビタン:商品名「TEGO SMS」、エボニックジャパン株式会社製
ステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS-V」、BASF社製
セテス-2:商品名「EMALEX 102」、日本エマルジョン株式会社製
<成分(E)>
ジメチコン(20mPa・s):商品名「DOW CORNING TORAY SH 200 C FLUID 20 CS」、ダウ・東レ株式会社製、25℃における粘度20mPa・s
ジメチコン(200mPa・s):商品名「DOW CORNING TORAY SH 200 C FLUID 200 CS」、ダウ・東レ株式会社製、25℃における粘度200mPa・s
<成分(H)>
ヒドロキシエチルセルロース:商品名「HECダイセル SE850」、株式会社ダイセル製
【0068】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0069】
(1)生地のキメ
実施例及び比較例で得られた各化粧料約0.2gを、ガラス板上に薄く延ばし、化粧料の状態を目視観察し、以下の基準で判定した。
[判定基準]
○(良好):粒状物は観察されず、均質である。
△(使用可能):粒状物は観察されないものの、不均質である。
×(不良):視認可能な大きさの粒状物が観察される。
【0070】
(2)経時安定性(高温安定性)
実施例及び比較例で得られた各化粧料について、調製後50℃で24時間保管した後の性状を目視にて観察し、以下の基準で判定した。
[判定基準]
○(良好):油水分離やクリーミングが生じない。
×(不良):油水分離又はクリーミングが生じた。
【0071】
(3)サラサラ感
毛束(人毛、長さ30cm、重さ10g)に各化粧料約0.7gを塗布し、ドライヤーにて乾燥後、手ぐしを通した際の、指どおりの良否(摩擦による抵抗感の大きさ)を評価し、以下の基準で判定した。
○(良好):摩擦による抵抗感がほとんど感じられない。
△(使用可能):摩擦による抵抗感が感じられるものの、化粧料を塗布していない毛束と比べると抵抗感が明らかに低下している(指どおりが良化している)。
×(不良):化粧料を塗布していない毛束と比べて、抵抗感の低下が感じられない、又は、僅かな低下が感じられる程度である(指どおりの明確な良化がない)。
【0072】
(4)しっとり感
上記(3)の評価後、毛束全体を横から握るように触り、しっとりした感触(水分を含んだような感触)の有無を評価し、以下の基準で判定した。
○(良好):しっとりとした感触が明らかに感じられる。
△(使用可能):しっとりとした感触がやや感じられる。
×(不良):しっとりした感触が感じられない。
【0073】
(5)べたつきのなさ
上記(3)の評価後、毛束全体を横から握るように触り、べたつきの有無を評価し、以下の基準で判定した。
○(良好):べたつきを感じない、又は、わずかにべたつきを感じるが実用上許容できる。
×(不良):明らかにべたつきを感じ、実用上不快である。
【0074】
【表1】
【0075】
本発明の乳化毛髪化粧料(実施例)は、生地のキメ及び高温下での経時安定性に優れており、乳化安定性に優れると評価された。さらに、サラサラ感、しっとり感、及びべたつきのなさに優れると評価された。一方、成分(A)を配合しない場合(比較例1)、及び成分(A)の代わりに粘度の低いシリコーン化合物を用いた場合(比較例2)、サラサラ感に劣ると評価された。成分(A)の代わりに粘度の高いシリコーン化合物を用いた場合(比較例3)、生地のキメ及び高温下での経時安定性に劣り、乳化安定性が劣ると評価された。成分(B)を配合しない場合(比較例4)、高温下での経時安定性に劣り、乳化安定性が劣ると評価された。成分(C)及び成分(D)のうちの一方でも配合しない場合(比較例5及び6)、生地のキメに劣り、乳化安定性が劣ると評価された。成分(E)を配合しない場合(比較例7)、生地のキメ及び高温下での経時安定性に劣り、乳化安定性が劣ると評価された。
【0076】
さらに、実施例1、4、7の乳化化粧料については、上記(3)の評価後、毛束を長さ方向に折り曲げるように、毛束の長さ方向の中間部分を握り、毛髪の柔軟性を評価した。その結果、実施例1、4、7の乳化化粧料を塗布した毛束は、乳化化粧料を塗布していない毛束よりも、明らかに折り曲げる際の毛髪の反発力が弱くなっていると感じられ、毛髪の柔軟性が良好であった。
【0077】
さらに、以下に、本発明の乳化毛髪化粧料の処方例を示す。
【0078】
(処方例1:ヘアミルク)
高重合ジメチコン(10万mPa・s) 1.0質量%
高重合ジメチコノール(8万mPa・s) 1.0質量%
ステアルトリモニウムクロリド 0.3質量%
パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド 0.8質量%
ステアリン酸ソルビタン 0.4質量%
アモジメチコン(1200mPa・s) 0.5質量%
ジメチコン(20mPa・s) 2.0質量%
ジメチコン(200mPa・s) 1.0質量%
イソノナン酸イソノニル 2.0質量%
スクワラン 1.0質量%
アルガニアスピノサ核油 1.0質量%
エタノール 3.0質量%
グリセリン 5.0質量%
プロピレングリコール 0.5質量%
セタノール 2.0質量%
ヒドロキシエチルセルロース 0.2質量%
酢酸トコフェロール 0.05質量%
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)
0.1質量%
香料 適量
精製水 残部
合計 100質量%
【0079】
(処方例2:ヘアクリーム)
高重合ジメチコン(6万mPa・s) 3.0質量%
ステアルトリモニウムクロリド 0.8質量%
パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド 0.5質量%
ステアリン酸グリセリル 1.0質量%
ジメチコン(10mPa・s) 3.0質量%
イソノナン酸イソノニル 3.0質量%
ミネラルオイル 5.0質量%
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 2.0質量%
アルガニアスピノサ核油 0.5質量%
マカデミアナッツ油 0.3質量%
ホホバ油 0.3質量%
グリセリン 8.0質量%
プロピレングリコール 0.4質量%
セタノール 4.0質量%
酢酸トコフェロール 0.05質量%
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)
0.1質量%
加水分解ヒアルロン酸 0.1質量%
香料 適量
精製水 残部
合計 100質量%