(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】誘導システム及び誘導方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20231211BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019087706
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩司
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178813(JP,A)
【文献】特開2005-301726(JP,A)
【文献】特開2010-108329(JP,A)
【文献】特開平04-314191(JP,A)
【文献】特開2011-022836(JP,A)
【文献】特開2012-048394(JP,A)
【文献】特開2002-222322(JP,A)
【文献】特開2018-010416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関に来店した顧客を、係員が配置された窓口で実行
される取引処理を行う処理装置及び/又は顧客による操作が可能な処理装置によって実行される取引処理を行う処理装置に誘導する誘導システムであって、
前記顧客が希望する取引に関する情報と、前記顧客が所持する現金、記入済伝票及び税公金支払用紙を含む前記顧客の持参物の情報とを受け付ける受付手段と、
前記顧客が希望する取引に関する情報及び前記顧客の持参物の情報に応じて、前記顧客のために処理すべき複数種類の処理業務を特定する処理業務特定手段と、
特定した複数種類の前記処理業務に対応する複数種類の処理装置へ前記顧客を誘導する順序を決定する順序決定手段と、
決定された前記順序に基づいて、前記顧客を前記処理装置へ誘導する出力を行う出力手段と
を有することを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
前記処理装置は、係員が配置された窓口に設置され、前記係員による操作を受け付ける窓口処理装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記順序決定手段は、前記顧客による操作が可能な処理装置への誘導順序を前記窓口処理装置の後に設定可能であることを特徴とする請求項2に記載の誘導システム。
【請求項4】
顧客に対して前記誘導に係る識別情報を付した識別券を発券する発券手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記誘導に係る識別情報に基づいて出力を行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記顧客の誘導状況を表示出力する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4に記載の誘導システム。
【請求項6】
前記順序決定手段は、前記複数種類の処理装置による処理状況に応じて前記顧客を誘導する順序の再決定を行うことを特徴とする請求項1乃至5に記載の誘導システム。
【請求項7】
金融機関に来店した顧客を、係員が配置された窓口で
実行される取引処理を行う処理装置及び/又は顧客による操作が可能な処理装置によって実行される取引処理を行う処理装置に誘導する誘導システムが実行する誘導方法であって、
前記顧客が希望する取引に関する情報と、前記顧客が所持する現金、記入済伝票及び税公金支払用紙を含む前記顧客の持参物の情報とを受け付ける受付工程と、
前記顧客が希望する取引に関する情報及び前記顧客の持参物の情報に応じて、前記顧客のために処理すべき複数種類の処理業務を特定する処理業務特定工程と、
特定した複数種類の前記処理業務に対応する複数種類の処理装置に前記顧客を誘導する順序を決定する順序決定工程と、
決定された前記順序に基づいて、前記顧客を前記処理装置へ誘導する出力を行う出力工程と
を有することを特徴とする誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来店した顧客を誘導する誘導システム及び誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関の店舗等では、窓口で係員が対応する取引と、現金自動預払機(ATM:automatic teller machine)を顧客が操作して行う取引とが行われている。例えば、顧客の口座から現金を引き出す取引は、現金自動預払機で処理することができる。一方、小切手を現金化する取引は、窓口で行う必要がある。
【0003】
そこで、来店した顧客が受付機に希望する取引を入力した場合に、受付番号の発行と、取引の種類に応じた誘導先(窓口又は現金自動預払機)の判定とを行い、誘導先に空きが生じたときに受付番号による呼び出しを行う顧客誘導システムが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このように、現金自動預払機で処理可能な取引である場合には、顧客を現金自動預払機に誘導することで、窓口の負担を軽減し、業務の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、窓口の負担軽減と業務の効率化が不十分であるという問題点があった。現金自動預払機で処理可能な取引についても窓口で対応するケースが生じていたためである。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたものであって、窓口の負担軽減と業務の効率化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、金融機関に来店した顧客を、係員が配置された窓口で実行される取引処理を行う処理装置及び/又は顧客による操作が可能な処理装置によって実行される取引処理を行う処理装置に誘導する誘導システムであって、前記顧客が希望する取引に関する情報と、前記顧客が所持する現金、記入済伝票及び税公金支払用紙を含む前記顧客の持参物の情報とを受け付ける受付手段と、前記顧客が希望する取引に関する情報及び前記顧客の持参物の情報に応じて、前記顧客のために処理すべき複数種類の処理業務を特定する処理業務特定手段と、特定した複数種類の前記処理業務に対応する複数種類の処理装置へ前記顧客を誘導する順序を決定する順序決定手段と、決定された前記順序に基づいて、前記顧客を前記処理装置へ誘導する出力を行う出力手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記処理装置は、係員が配置された窓口に設置され、前記係員による操作を受け付ける窓口処理装置を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記順序決定手段は、前記顧客による操作が可能な処理装置への誘導順序を前記窓口処理装置の後に設定可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、顧客に対して前記誘導に係る識別情報を付した識別券を発券する発券手段をさらに備え、前記出力手段は、前記誘導に係る識別情報に基づいて出力を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記顧客の誘導状況を表示出力する表示手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記順序決定手段は、前記複数種類の処理装置による処理状況に応じて前記顧客を誘導する順序の再決定を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、金融機関に来店した顧客を、係員が配置された窓口で実行される取引処理を行う処理装置及び/又は顧客による操作が可能な処理装置によって実行される取引処理を行う処理装置に誘導する誘導システムが実行する誘導方法であって、前記顧客が希望する取引に関する情報と、前記顧客が所持する現金、記入済伝票及び税公金支払用紙を含む前記顧客の持参物の情報とを受け付ける受付工程と、前記顧客が希望する取引に関する情報及び前記顧客の持参物の情報に応じて、前記顧客のために処理すべき複数種類の処理業務を特定する処理業務特定工程と、特定した複数種類の前記処理業務に対応する複数種類の処理装置に前記顧客を誘導する順序を決定する順序決定工程と、決定された前記順序に基づいて、前記顧客を前記処理装置へ誘導する出力を行う出力工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、窓口の負担軽減と業務の効率化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、誘導システムの概念を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、誘導システムの構成を示すシステム構成図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した電子記帳機の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した取引管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、電子記帳機の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、取引管理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、振込処理の誘導先の具体例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、実施の形態に係る誘導システム及び誘導方法を説明する。
【0019】
図1は、誘導システムの概念を説明するための説明図である。
図1に示した誘導システムは、金融機関の店舗に取引管理装置10、電子記帳機20、窓口処理装置30、現金自動預払機40、ロビー入金機50及び税公金処理機60を備えている。
【0020】
金融機関の店舗等では、窓口で係員が対応する取引と、現金自動預払機40等を顧客が操作して行う取引とが行われている。従来、顧客が複数の取引を希望し、窓口で対応する取引と現金自動預払機40等で処理可能な取引とが混在する場合には、顧客を窓口に案内し、現金自動預払機40等で処理可能な取引についても窓口で対応を行っていた。また、記入済伝票などの持参物によっては現金自動預払機40等で処理できず、窓口で対応することになるため、現金自動預払機で処理できるか不明なときにも窓口に誘導していた。このように、現金自動預払機で処理可能な取引についても窓口で対応するケースが生じると、窓口の負担軽減と業務の効率化が不十分となる。
【0021】
そこで、本実施の形態では、複数種類の取引や顧客の持参物を考慮して誘導を行うことで、窓口の負担軽減と業務の効率化を実現している。具体的には、本実施の形態に係る誘導システムにおいて、金融機関の店舗を訪れた顧客は、まず電子記帳機20を操作し、希望する取引に関する入力を行う(s1)。このとき、顧客は、希望する取引の種類を選択し、選択した取引について伝票の項目を入力するとともに、持参した物(現金、記入済伝票、税公金支払用紙など)についての情報を入力する。また、顧客は複数の取引について入力を行うことができる。
【0022】
電子記帳機20は、取引に関する入力を受け付けると、案内番号を印字した案内番号札を発行する(s2)。案内番号は、顧客の誘導に係る識別情報であり、案内番号札は案内番号を付した識別券である。
【0023】
電子記帳機20は、伝票項目の入力内容をデータ化した伝票データ、持参物の入力内容をデータ化した持参物データ、案内番号を関連付けて取引管理装置10に登録する(s3)。
【0024】
取引管理装置10は、登録を受け付けると、伝票データ及び持参物データに基づいて処理業務を特定する(s4)。ここで、顧客が複数の取引を指定している場合には、処理業務は複数になる。また、顧客が1つの要望として入力していても、処理業務が複数となる場合もある。
【0025】
例えば、顧客の要望が「現金で税公金を支払う」である場合に、顧客が現金を持参していれば、処理業務は「税公金の支払い」の1つである。一方、顧客の要望が「現金で税公金を支払う」である場合に、顧客が現金を持参していなければ、税公金の支払いに用いる現金を顧客の口座から出金する必要が生じ、処理業務は「出金」と「税公金の支払い」の2つとなる。
【0026】
このように、顧客の要望を示す伝票データと、顧客の持参物を示す持参物データとを用いることで、取引管理装置10は、複数の処理業務を特定することができる。取引管理装置10は、複数の処理業務について、対応する複数の処理装置への顧客の誘導順序を決定する(s5)。
【0027】
処理装置には、窓口処理装置30、現金自動預払機40、ロビー入金機50及び税公金処理機60が含まれる。窓口処理装置30は、窓口に設置される処理装置であり、窓口での対応を行う係員による操作を受け付ける。窓口での対応が必要な処理業務については、この窓口処理装置30が誘導先となる。
【0028】
現金自動預払機40は、顧客による操作が可能な処理装置であり、顧客の口座への入金である預入れ、顧客の口座からの出金である引出し、指定した口座への振込みなどが可能である。
【0029】
ロビー入金機50は、顧客による操作が可能な処理装置であり、現金自動預払機40の上限を超える枚数の入金を受け付けることができる。税公金処理機60は、顧客による操作が可能な処理装置であり、税公金支払用紙と現金を受け付けて、税公金の支払いを行うことができる。
【0030】
図1では、「現金で税公金を支払う」場合の誘導順序を示している。顧客が現金を持参していれば、取引管理装置10は、順序R1に示すように、税公金処理機60に誘導する。すなわち、この場合には窓口での対応が不要であり、税公金処理機60のみで処理が完了する。
【0031】
顧客が現金を持参していなければ、取引管理装置10は、順序R2に示すように、まず窓口処理装置30に誘導し、窓口で出金を行った後、税公金処理機60に誘導する。すなわち、この場合には窓口での対応と、税公金処理機60での処理を順次行うことになる。なお、ここでは窓口処理装置30で出金を行っているが、現金自動預払機40で出金した後、税公金処理機60に誘導することも可能である。
【0032】
取引管理装置10は、決定した誘導順序と、各処理装置の空き状況とを用いて誘導出力の制御を行う(s6)。具体的には、次の誘導先の処理装置の空き状況を監視し、空きとなった場合に案内番号を指定して呼び出しを行う。呼び出しの出力は、表示や音を用いることができる。また、呼び出しの出力を行う装置は、各処理装置であってもよいし、別途設けてもよい。なお、複数の顧客が順番待ちをしている状態で、処理装置に空きはできたならば、先着順を基本として呼び出しを行うことになる。
【0033】
このように、金融機関の店舗に来店した顧客について、処理すべき複数種類の処理業務を特定し、特定した複数種類の処理業務に対応する複数種類の処理装置へ顧客を誘導する順序を決定し、決定した順序に基づいて顧客を誘導する出力を行うことで、窓口の負担軽減し、業務を効率化することができる。
【0034】
次に、誘導システムの構成について説明する。
図2は、誘導システムの構成を示すシステム構成図である。
図2に示したように、取引管理装置10、電子記帳機20、窓口処理装置30、現金自動預払機40、ロビー入金機50及び税公金処理機60は、金融機関店舗内で用いられる店舗用ネットワークに接続される。
【0035】
さらに、窓口処理装置30及び現金自動預払機40は、勘定系ネットワークにも接続され、勘定系ホストコンピュータ70と通信可能である。このため、窓口処理装置30及び現金自動預払機40は、顧客の口座残高の参照や更新が可能である。
【0036】
図3は、
図1に示した電子記帳機20の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、電子記帳機20は、表示操作部21、カードリーダ22、プリンタ23、通信部24、記憶部25及び制御部26を有する。
【0037】
表示操作部21は、液晶タッチパネルディスプレイなどであり、取引内容の入力受付や、案内の出力などに用いられる。カードリーダ22は、顧客のキャッシュカードを受け付けてカードIDを読み取ることができる。プリンタ23は、案内番号札の印刷出力などに用いられる。通信部24は、取引管理装置10などとの通信を行う通信インタフェースである。
【0038】
記憶部25は、ハードディスク装置等の記憶デバイスである。記憶部25は、伝票データや持参物データの一時記憶に用いることができる。また、電子記帳機20の動作履歴を記憶部25に格納することも可能である。
【0039】
制御部26は、電子記帳機20を全体制御する制御部であり、取引内容受付部26a、データ生成部26b、案内番号発行部26c及び登録処理部26dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、取引内容受付部26a、データ生成部26b、案内番号発行部26c及び登録処理部26dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0040】
取引内容受付部26aは、顧客が表示操作部21を操作して入力した取引内容を受け付ける処理部である。具体的には、希望する取引の種類の選択、選択した取引についての伝票の各項目、持参した物(現金、記入済伝票、税公金支払用紙など)についての情報を受け付けることになる。また、複数の取引について入力を受け付けることも可能である。
【0041】
データ生成部26bは、伝票項目の入力内容をデータ化して伝票データを生成し、持参物の入力内容をデータ化して持参物データを生成する処理を行う。
【0042】
案内番号発行部26cは、顧客の誘導に係る識別情報である案内番号を生成し、案内番号をプリンタ23に印字させることで案内番号札を発行する。この案内番号札は案内番号を付した識別券であり、顧客の呼び出しに用いられる。
【0043】
登録処理部26dは、伝票データ、持参物データ、案内番号を関連付けて取引管理装置10に送信することで、取引を登録する処理を行う。
【0044】
図4は、
図1に示した取引管理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、取引管理装置10は、表示部11、入力部12、通信部13、記憶部14及び制御部15を有する。
【0045】
表示部11は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部12は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。通信部13は、電子記帳機20、窓口処理装置30、現金自動預払機40、ロビー入金機50及び税公金処理機60との通信を行う通信インタフェースである。
【0046】
記憶部14は、ハードディスク装置等の記憶デバイスである。記憶部14は、取引の管理を行う取引管理データ14aを格納する。取引管理装置10の動作履歴を格納することも可能である。
【0047】
制御部15は、取引管理装置10を全体制御する制御部であり、処理業務特定部15a、誘導順序決定部15b、誘導出力制御部15c及び参照出力制御部15dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、処理業務特定部15a、誘導順序決定部15b、誘導出力制御部15c及び参照出力制御部15dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
処理業務特定部15aは、電子記帳機20から伝票データ、持参物データ及び案内番号を受け付けると、伝票データ及び持参物データに基づいて処理業務を特定する。顧客が複数の取引を指定している場合には、処理業務は複数になる。また、顧客が1つの要望として入力していても、処理業務が複数となる場合もある。
【0049】
誘導順序決定部15bは、処理業務特定部15aによって特定された複数の処理業務について、対応する複数の処理装置への顧客の誘導順序を決定する。複数の処理業務に関係性がある場合には、関係性に基づいて誘導順序を決定する。例えば、出金した貨幣を税公金の支払いに用いる場合には、出金が先、税公金の支払いが後になる。複数の処理業務に関係性がない場合には、取引の種類の組み合わせによって誘導順序を定めてもよいし、各処理装置の空き状況に基づいて誘導順序を定めてもよい。
【0050】
誘導順序決定部15bは、処理業務、誘導順序、案内番号を関連付けて取引管理データ14aに格納する。
【0051】
誘導出力制御部15cは、決定した誘導順序と、各処理装置の空き状況とを用いて誘導出力の制御を行う。具体的には、次の誘導先の処理装置の空き状況を監視し、空きとなった場合に案内番号を指定し、呼び出しの出力を行う装置に出力指示を送信する。呼び出しの出力を行う装置は、各処理装置であってもよいし、別途設けてもよい。複数の顧客が順番待ちをしている状態で、処理装置に空きはできたならば、誘導出力制御部15cは、先着順を基本として呼び出しを行う。
【0052】
誘導出力制御部15cは、呼び出し後の処理装置の動作を取得し、完了した処理業務に完了フラグを付して取引管理データ14aを更新する。そして、完了フラグを付した処理業務の次の誘導先について誘導出力を行う。
【0053】
参照出力制御部15dは、取引管理データ14aの参照要求を受け付けて、取引管理データ14aを出力する処理部である。具体的には、参照出力制御部15dは、取引管理データ14aによって示される顧客の誘導状況を表示部11に表示することができる。また、他の装置から参照要求を受け付けて、取引管理データ14aを要求元の装置に送信することも可能である。
【0054】
図5は、電子記帳機20の処理手順を示すフローチャートである。まず、電子記帳機20の取引内容受付部26aは、顧客から取引内容の入力を受け付ける(ステップS101)。データ生成部26bは、伝票項目の入力内容をデータ化して伝票データを生成し、持参物の入力内容をデータ化して持参物データを生成する(ステップS102)。
【0055】
案内番号発行部26cは、顧客の誘導に係る識別情報である案内番号を生成し、案内番号をプリンタ23に印字させることで案内番号札を発行する(ステップS103)。そして、登録処理部26dが、伝票データ、持参物データ、案内番号を関連付けて取引管理装置10に送信することで、取引を登録し(ステップS104)、処理を終了する。
【0056】
図6は、取引管理装置10の処理手順を示すフローチャートである。取引管理装置10の処理業務特定部15aは、電子記帳機20から伝票データ、持参物データ及び案内番号の登録を受け付け(ステップS201)、伝票データ及び持参物データに基づいて処理業務を特定する(ステップS202)。
【0057】
誘導順序決定部15bは、処理業務特定部15aによって特定された複数の処理業務について、対応する複数の処理装置への顧客の誘導順序を決定し(ステップS203)、処理業務、誘導順序、案内番号を関連付けて取引管理データ14aに格納する(ステップS204)。
【0058】
誘導出力制御部15cは、決定した誘導順序と、各処理装置の空き状況とを用いて次の誘導先に誘導可能であるか否かを判定する(ステップS205)。次の誘導先に誘導可能でなければ(ステップS205;No)、ステップS205を繰り返して待機する。
【0059】
次の誘導先に誘導可能となったなら(ステップS205;Yes)、誘導出力制御部15cは、案内番号を指定し、呼び出しの出力を行う装置に出力指示を送信することで誘導出力を制御する(ステップS206)。誘導出力制御部15cは、呼び出し後の処理装置の動作を取得し、完了した処理業務に完了フラグを付して取引管理データ14aを更新する(ステップS207)。そして、1つの案内番号に関連付けられた複数の処理業務の全てが誘導済であるか否かを判定する(ステップS208)。誘導済でない処理業務が残っているならば(ステップS208;No)、ステップS205に移行し、次の誘導先に誘導可能であるかを判定する。全て処理業務が誘導済となったならば(ステップS208;Yes)、1つの案内番号についての処理を終了する。
【0060】
次に、誘導先の制御の具体例について説明する。
図7は、振込処理の誘導先の具体例についての説明図である。
図7に示したように、顧客が振込処理を希望し、小切手も現金も持参していないならば、振替、すなわち口座から口座への送金により振込を行う。
【0061】
小切手がなく、現金を持参しており、現金が100枚未満であれば、現金自動預払機40が誘導先となる。また、小切手がなく、現金を持参しており、現金が100枚以上であれば、ロビー入金機50が誘導先となる。小切手を持参しており、現金がない場合、窓口処理装置30が誘導先となる。
【0062】
小切手と100枚未満の現金を持参している場合には、まず、現金自動預払機40に誘導し、現金自動預払機40に案内番号を入力させた上で持参した現金の入金を受け付けるる。現金自動預払機40は、案内番号と入金額を関連付けて取引管理装置10に送信し、取引管理装置10は、入金の処理業務を完了として取引管理データ14aを更新する。そして、取引管理装置10は、次の誘導先である窓口処理装置30に誘導し、現金自動預払機40での入金分と小切手分の振込を行わせる。
【0063】
小切手と100枚以上の現金を持参している場合には、まず、ロビー入金機50に誘導し、ロビー入金機50に案内番号を入力させた上で持参した現金の入金を受け付けるる。ロビー入金機50は、案内番号と入金額を関連付けて取引管理装置10に送信し、取引管理装置10は、入金の処理業務を完了として取引管理データ14aを更新する。そして、取引管理装置10は、次の誘導先である窓口処理装置30に誘導し、ロビー入金機50での入金分と小切手分の振込を行わせる。
【0064】
図8は、伝票の入力画面の説明図である。
図8に示すように電子記帳機20は、まず伝票入力画面G1aで取引の種類を選択させる。
図8では、「ご用件を選択してください」及び「現在のお待ち人数14人」のメッセージと、4つの種類選択ボタン(「お預入れ」、「お引出し」、「お振込み」、「税金・公共料金」)を表示している。
【0065】
伝票入力画面G1aで「お振込み」が選択されたならば、電子記帳機20は、伝票入力画面G1bで伝票項目を入力させる。
図8では、「お振込みの内容を入力してください」のメッセージと、金額、お受取人、ご依頼人などの項目を表示している。
【0066】
図9は、持参物の入力画面の説明図である。
図9に示すように電子記帳機20は、持参物入力画面G2aで持参物の種類を選択させる。
図9では、「ご持参の内容を入力してください(複数選択が可能です)」のメッセージと、4つの持参物ボタン(「現金」、「小切手」、「手形」、「その他」)を表示している。
【0067】
持参物入力画面G2aで「現金」が選択されたならば、電子記帳機20は、持参物入力画面G2bで持参物の詳細を入力させる。
図9では、紙幣と硬貨のそれぞれについて「100未満」、「100枚以上」、「不明」のいずれかのボタンを選択可能となっている。
【0068】
上述してきたように、本実施形態によれば、金融機関の店舗に来店した顧客について、処理すべき複数種類の処理業務を特定し、特定した複数種類の処理業務に対応する複数種類の処理装置へ顧客を誘導する順序を決定し、決定した順序に基づいて顧客を誘導する出力を行うことで、窓口の負担軽減し、業務を効率化することができる。
【0069】
また、処理業務の特定は、顧客の保有する書類の種類に基づいて行うことができる。また、処理装置には、係員が配置された窓口に設置され、係員による操作を受け付ける窓口処理装置が含まれる。そして、顧客による操作が可能な処理装置への誘導順序を窓口処理装置の後に設定可能である。
【0070】
また、本実施形態によれば、顧客に対し、誘導に係る識別情報を付した識別券である案内番号札を発券して、誘導に係る識別情報に基づいて誘導を行うことができる。
【0071】
また、顧客の誘導状況は取引管理装置10によって管理され、適宜表示することができる。また、複数種類の処理装置による処理状況に応じて顧客を誘導する順序の再決定を行うことができる。例えば、受付時点では窓口処理装置30の後に現金自動預払機40に誘導するとの順序を決定したとしても、その後、窓口が混み、現金自動預払機40が空いたならば、順序を変更して先に現金自動預払機40に誘導することができる。
【0072】
なお、本実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0073】
例えば、本実施形態では説明を簡明にするために、電子記帳機20、窓口処理装置30、現金自動預払機40、ロビー入金機50及び税公金処理機60を各1台例示したが、これらの装置は複数設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の誘導システム及び誘導方法は、窓口の負担軽減と業務の効率化に有用である。
【符号の説明】
【0075】
10 取引管理装置
11 表示部
12 入力部
13、24 通信部
14、25 記憶部
15、26 制御部
15a 処理業務特定部
15b 誘導順序決定部
15c 誘導出力制御部
15d 参照出力制御部
20 電子記帳機
21 表示操作部
22 カードリーダ
23 プリンタ
26a 取引内容受付部
26b データ生成部
26c 案内番号発行部
26d 登録処理部
30 窓口処理装置
40 現金自動預払機
50 ロビー入金機
60 税公金処理機
70 勘定系ホストコンピュータ