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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/58 20060101AFI20231211BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20231211BHJP
   C12G 3/04 20190101ALI20231211BHJP
   C12C 5/04 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A23L2/00 M
A23L2/58
A23L2/38 C
C12G3/04
C12C5/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019166446
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021040573
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 梓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 利久
(72)【発明者】
【氏名】谷川 篤史
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-024151(JP,A)
【文献】特開2019-106925(JP,A)
【文献】特開2018-061467(JP,A)
【文献】特開2018-121591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
C12G
C12C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラメルと、黄色成分と、を含有し、
前記黄色成分が、キハダ抽出物及びベニバナ黄色素からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記カラメルの含有量が、ビールテイスト飲料の全質量を基準として、0.015質量%以上0.05質量%以下であり、
前記黄色成分の含有量が、ビールテイスト飲料の全質量を基準として、0.004質量%以上0.05質量%以下であり、
苦味価が5未満である、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
液の色度が9未満である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
液の色度に対する泡のa値の比が、-0.31以上0.17未満である、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
前記カラメルの質量に対する前記黄色成分の質量の比が9/1超1/6以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
泡の見た目の白さ、泡持ち等のビールテイスト飲料の泡特性を改善する技術手段についてはこれまでにも種々検討がなされてきた。例えば、特許文献1には、泡の見た目の白さに優れ、また視覚から感じられる口当たりの印象及びクリーミーな印象が優れたビールテイスト飲料として、Lab色空間における白色校正板に対する泡のΔE値が12以下である、ビールテイスト飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-61467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、泡の見た目の特性に優れるビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、カラメルと、黄色成分と、を含有し、黄色成分が、黄色色素及び黄色を示す植物エキスからなる群より選択される少なくとも1種である、ビールテイスト飲料に関する。本発明に係るビールテイスト飲料は、黄色色素及び黄色を示す植物エキスからなる群より選択される少なくとも1種と、カラメルとを含むため、泡の見た目の特性に優れている。
【0006】
上記ビールテイスト飲料の苦味価は、5未満であってよい。上記ビールテイスト飲料の液の色度は、9未満であってよい。
【0007】
上記ビールテイスト飲料において、液の色度に対する泡のa値の比は、-0.31以上0.17未満であってよい。
【0008】
上記ビールテイスト飲料において、カラメルの質量に対する黄色成分の質量の比が9/1超1/6以下であってよい。
【0009】
上記黄色成分は、キハダ抽出物及び/又はベニバナ黄色素であってよい。この場合、泡の見た目の特性がより一層優れたものとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、泡の見た目の特性に優れるビールテイスト飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、カラメルと、黄色成分と、を含有する。黄色成分は、黄色色素及び黄色を示す植物エキスからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0013】
本明細書において、ビールテイスト飲料とは、ビール様の香味及び外観を有する飲料を意味する。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、例えば、苦味価が5未満であることができるため、ビール代替飲料又はビール類似飲料としても好適である。
【0014】
ビールテイスト飲料は、アルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料であってもよく、アルコール度数が1v/v%未満であるノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。
【0015】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、ビールテイスト飲料としてのアルコール感を担保する観点から、アルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料であってよい。ビールテイストアルコール飲料は、例えば、蒸留アルコールを添加したものであってもよく、発酵工程を介してアルコールを含むものとなったものであってもよい。なお、アルコール度数とは、ビールテイスト飲料に含まれるエタノールの含有量を意味する。
【0016】
ビールテイストアルコール飲料としては、これに限られるものではないが、例えば、酒税法(平成三十年法律第五十九号)上のビール、発泡酒、その他の発泡性酒類、リキュールに分類されるものが挙げられる。本実施形態に係るビールテイストアルコール飲料は、上記例示したものに限られない。
【0017】
ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、特に制限されず、例えば、1v/v%以上、2v/v%以上、3v/v%以上、4v/v%以上、又は5v/v%以上であってよい。また、ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、20v/v%以下、15v/v%以下、10v/v%以下、9v/v%以下、8v/v%以下、7v/v%以下、6v/v%以下、5v/v%以下、4v/v%以下、又は3v/v%以下であってよい。
【0018】
ノンアルコールビールテイスト飲料は、実質的にアルコールを含有しないビールテイスト飲料である。ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数は、1v/v%未満であればよく、0.5v/v%以下であってよく、0.1v/v%以下であってよく、0.005v/v%未満(0.00v/v%)であってもよい。
【0019】
ビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法(訓令)「3清酒 3-4アルコール分」に記載されている振動式密度計法に基づいて測定することができる。
【0020】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発泡性である。本明細書において発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)以上であることをいう。本実施形態に係るビールテイスト飲料におけるガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm)程度であってもよく、0.235MPa(2.4kg/cm)程度であってもよい。
【0021】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、カラメルを含有する。カラメルは、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物を熱処理して得られるものであり、食品添加物として利用されている。カラメルは、製造方法に応じて、カラメルI類、カラメルII類、カラメルIII類及びカラメルIV類に分類される。カラメルI類、カラメルII類、カラメルIII類及びカラメルIV類は、それぞれ既存添加物名簿収載品目リスト(公益財団法人 日本食品化学研究振興財団、平成26年1月30日改正)に掲載されているカラメルI、カラメルII、カラメルIII及びカラメルIVを意味する。カラメルは、市販品を用いることができる。市販のカラメルとしては、例えば、液体カラメル(例えば、池田糖化工業株式会社製)、粉末カラメル(例えば、池田糖化工業株式会社製)が挙げられる。
【0022】
カラメルの含有量は、ビールテイスト飲料の全質量を基準として、0.001質量%以上、0.002質量%以上、0.003質量%以上、0.004質量%以上、0.005質量%以上、0.007質量%以上、0.008質量%以上、0.010質量%以上、0.015質量%以上、又は0.020質量%以上であってよく、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0.05質量%以下であってよい。
【0023】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、黄色成分を含有する。黄色成分は、黄色色素及び黄色を示す植物エキスからなる群より選択される少なくとも1種である。黄色色素としては、ベニバナ黄色素、菊花色素、マリーゴールド色素、黄色4号、ゲンチアナ、クチナシ色素、パプリカ色素、カロテン色素、エンジュ等が挙げられる。ベニバナ黄色素は、ベニバナ(Carthamus tinctorius Linne)の花から抽出して得られる色素であって、サフラーイエロー類を主成分とするものである。
【0024】
黄色を示す植物エキスとは、水に溶解したときに黄色の水溶液が得られる植物エキスである。黄色植物エキスとしては、キハダ抽出物、ゲンチアナ抽出液、ベニバナ抽出液、菊花抽出液、マリーゴールド抽出液、クチナシ抽出液、パプリカ抽出液が挙げられる。キハダは黄膚、黄檗、黄柏とも呼ばれるミカン科キハダ属の落葉高木である。キハダ抽出物は、例えば、ミカン科キハダ(Phellodendron amurense RUPR.又はPhellodendron chinense Schneider(Rutaceae))の樹皮より、水、熱水、又はエタノールで抽出して得られたもの(キハダ樹皮エキス)である。キハダ抽出物は、公知の方法でミカン科キハダの樹皮から抽出されたものであってよく、市販品であってもよい。
【0025】
黄色成分は、泡の見た目の特性により一層優れる観点から、キハダ抽出物及び/又はベニバナ黄色素であることが好ましい。黄色成分は、泡の見た目の特性が良好になるとともに、好ましい香味(例えば、好ましい苦味)を付与できる観点から、キハダ抽出物であることが好ましい。
【0026】
黄色成分の含有量は、ビールテイスト飲料の全質量を基準として、0.001質量%以上、0.002質量%以上、0.003質量%以上、0.004質量%以上、0.005質量%以上、0.007質量%以上、0.008質量%以上、0.010質量%以上、0.015質量%以上、又は0.020質量%以上であってよく、0.5質量%以下、0.1質量%以下、又は0.05質量%以下であってよい。
【0027】
カラメルの質量(C)に対する黄色成分の質量(C)の比(C/C)は、例えば、泡の見た目の特性により一層優れる観点及び/又はビールテイスト飲料の泡持ちがより一層優れる観点から、9/1超1/6以下、6/1以上1/5以下、3/1以上1/4以下、又は2/1以上1/3以下であってよい。
【0028】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価は、5未満、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下又は0であってよい。ビールテイスト飲料の苦味価は、0以上、0.5以上、1以上又は1.5以上であってよい。
【0029】
苦味価は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。苦味価は、例えば、ビールテイスト飲料に添加するイソα酸、ホップ(乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキス等)等の苦味成分の配合量を調整することで、上記範囲で適宜設定することができる。
【0030】
ビールテイスト飲料の液の色度は、例えば、3以上、4以上、5以上、6以上、又は7以上であってよく、12以下、11以下、10以下、9以下、又は9未満であってよい。ビールテイスト飲料の液の色度は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.8 色度 8.8.2 吸光度法」に記載されている方法によって測定される。
【0031】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の泡のa値は、-2.0以上、-1.9以上、-1.8以上、-1.7以上、-1.6以上、-1.5以上、-1.4以上、-1.3以上、-1.2以上、-1.1以上、-1.0以上、-0.8以上、-0.6以上、-0.4以上、又は-0.2以上であってよく、2.0以下、1.8以下、1.6以下、1.4以下、1.2以下、1.0以下、又は0.8以下であってよい。泡のaは数値が大きいほど赤みが強いことを示す。
【0032】
泡のa値は、原料の種類及びその使用量を制御することにより調整することができる。例えば、上述したカラメル及び黄色成分の合計含有量は、泡のa値が上述する範囲となるように調整されてよい。
【0033】
ビールテイスト飲料の泡のa値は、後述する実施例に記載の方法によって測定される。
【0034】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の液の色度に対する泡のa値の比(a値/色度)は、-0.31以上、-0.28以上、-0.25以上、-0.20以上、-0.15以上、-0.10以上、-0.05以上、-0.00以上、又は0.05以上であってよく、0.17未満、0.15以下、又は0.10以下であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料の液の色度に対する泡のa値の比は、例えば、-0.31以上0.17未満、-0.28以上0.17未満、-0.25以上0.17未満、-0.20以上0.17未満、-0.15以上0.15以下、-0.10以上0.15以下、-0.05以上0.10以下、-0.00以上0.10以下、又は0.05以上0.10以下であってよく、0.17未満、0.15以下、又は0.10以下であってよい。
【0035】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。本明細書において麦原料とは、麦又は麦加工物をいう。麦としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦が挙げられる。麦加工物としては、例えば、麦エキス、麦芽、モルトエキスが挙げられる。麦エキスは、麦から糖分及び窒素分を含む麦エキス分を抽出することにより得られる。麦芽は麦を発芽させることにより得られる。モルトエキスは、麦芽から糖分及び窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られる。麦原料は、1種を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
【0036】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、ホップ及び水以外の原料に含まれる麦芽の比率(以下、「麦芽比率」ともいう。)が、ホップ及び水以外の原料全量に対して、1.5質量%以下、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.1質量%以下であってもよく、0.0質量%であってもよい。つまり、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦芽比率が0.0質量%である、非麦芽ビールテイスト飲料であってよい。麦芽比率は、例えば、0.1質量%以上、又は0.3質量%以上であってもよい。
【0037】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料以外の植物原料を含んでもよい。言い換えれば、当該ビールテイスト飲料は、原料として、植物原料を使用したものであってよい。麦原料以外の植物原料としては、例えば、とうもろこし、米類、コウリャン等の穀類;馬鈴薯、サツマイモ等のイモ類;大豆、エンドウ等の豆類等が挙げられる。麦原料以外の植物原料としては、1種を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料としてスターチ、グリッツ等の澱粉原料を含んでいてもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として、大豆、エンドウ及びとうもろこしからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、原料として、大豆及びエンドウからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として、上記植物原料に由来するタンパク質又はその分解物(例えば、大豆タンパク分解物、エンドウタンパク分解物)を含んでいてよい。
【0038】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料及びホップを含まないことが好ましく、原料として麦芽及びホップを含まないことがより好ましい。ホップには、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスが含まれ、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品も含まれる。
【0039】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、苦味料(但し、上記黄色成分に含まれるものを除く。)を含んでいてもよく、該苦味料を含んでいなくてもよい。苦味料(但し、上記黄色成分に含まれるものを除く。)としては、例えば、ホップ、ホップ由来の苦味物質、カフェイン、ペプチド類、テオブロミン、ナリンジン、ニガキ抽出物、ニガヨモギ抽出物、及びキナ抽出物が挙げられる。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料としてホップを含んでいないことが好ましい。
【0040】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)であってもよい。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。
【0041】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、飲料に通常配合される着色料(例えば、カラメル色素)、甘味料、香料、酸味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、塩類等の添加剤を含んでいてもよい。
【0042】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0043】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト飲料のもととなる飲料原料に、カラメルと、黄色成分と、を配合することを含む。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、飲料原料に、カラメルと、黄色成分とを配合すること以外は、常法に従って製造することができる。カラメル及び黄色成分は、飲料原料に同時に添加してもよいし、任意の順番で別々に添加してもよい。
【0044】
以下、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法の一例を説明する。当該製造方法は、水(又は炭酸水)と、必要に応じて蒸留アルコールと、各種添加剤(例えば、窒素源(例えば、大豆タンパク質、エンドウタンパク質等のタンパク質)、及び酸味料(例えば、乳酸))とを原料タンクに配合する配合工程を含む。配合工程において各成分を混合して得た混合液をろ過するろ過工程と、ろ過工程でろ過したろ過液を殺菌する第一の殺菌工程と、第一の殺菌工程で殺菌した殺菌済みのろ過液をビン、缶、ビン、ペットボトル等の容器に充填する充填工程と、充填工程で容器に充填されたろ過液を容器ごと殺菌する第二の殺菌工程と、を更に含んでいてよい。第一及び第二の殺菌工程は、ビールテイスト飲料の香味を維持しやすいという観点から、実施しなくてもよい。
【0045】
配合工程は、各成分がよく混ざるよう、撹拌機等により撹拌しながら混合してもよい。また、ろ過工程は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。第一の殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行ってもよく、同様の処理を行うことができるのであれば、これに限定されることなく適用可能である。充填工程は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填してもよい。第二の殺菌工程は、所定の温度及び所定の時間でろ過液を容器ごと加熱することにより行うことができる。第一の殺菌工程及び第二の殺菌工程を行わない無殺菌充填を行うことも可能である。また、発泡性の飲料とする場合は、例えば、第一の殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
【0046】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、泡の見た目の特性が良好であるという効果を奏する。したがって、本発明は、飲料原料にカラメル及び黄色成分を配合することを含む、ビールテイスト飲料の泡の見た目を改善する方法と捉えることもできる。
【実施例
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
<試験例1:ビールテイスト飲料の製造及び泡の見た目の評価>
[ビールテイスト飲料の製造]
次に示すカラメル及び黄色成分(キハダ抽出物、ベニバナ黄色素)を準備した。
・カラメルI類(池田糖化工業株式会社製)
・キハダ抽出物
・ベニバナ黄色素(商品名:サンエローNo.2SFU、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
【0049】
乳酸、大豆タンパク質分解物(不二製油株式会社製)、水溶性大豆多糖類(不二製油株式会社製)、炭酸水及び純水と、必要により、カラメル及び/又は黄色成分と、スピリッツ(ウォッカ、サッポロビール社製)及び市販発泡酒とを表1~2に示す組成(単位:質量部)となるように混合して、液の色度が約4であるサンプルA-1~A-3と、液の色度が約8であるサンプルB-1~B-6とを調製した。
【0050】
ビールテイスト飲料のガス圧は、0.255MPaであり、ビールテイスト飲料の苦味価(BU)は5未満であった。
【0051】
[ビールテイスト飲料の評価]
ビールテイスト飲料の液の色度は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.8 色度 8.8.2 吸光度法」に記載されている方法によって測定した。
【0052】
(泡のLab値の測定)
測定するビールテイスト飲料の泡サンプルは、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.29 泡-NIBEM-Tを用いた泡持ち測定法-6.(4)泡サンプルの準備 1~8」に記載の手順と同様に調製した。
【0053】
すなわち、測定開始1時間前までにサンプルを20.0±0.5℃の恒温室により、温度調節を行った。次にニードルバルブが閉じていることを確認し、Inpack 2000 Sampling Deviceに炭酸ガスを接続して2barに圧力を調整した。台座横レバーが終了位置へ戻してあることを確認し、カラムにサンプルを置いた。サンプリングチューブ先がサンプルの上部に接触するまで安全グリップを押し下げた。台座横レバーを完全に手前に引き下げてピアシングした後、安全グリップをカチッと音がするまで押し下げた。ニードルバルブを開放して炭酸ガスの供給を行った。フラッシャーヘッドの下にグラス等を置き、フラッシャーヘッドを数秒押して約20mLのサンプルでサンプリングチューブとホース内をフラッシングし、その後、グラス内のサンプルは廃棄した。抽出ノズルがグラスの真中に位置するように、フラッシャーヘッドの下に洗浄済みのグラスを置き、フラッシャーヘッドを押して3~4秒でグラス内に泡を充填した。グラスが泡で満たされたらすぐに泡の抽出を止め、泡サンプルを得た。
【0054】
泡サンプルのCIE規格のL、a、bの測定は、各ビールテイスト飲料を、Inpack 2000 Sampling Deviceにより3~4秒間泡立たせた後、フラッシャーヘッドを用いてグラスに泡の充填を始めてから30秒後に、2次元色彩計(株式会社パパラボ社製)を使用して泡サンプルを撮影することにより行った。各サンプルに対して3回測定を繰り返し、その平均値を測定値とした。L、a及びbは、1cm四方の領域を約500万画素(2456×2058画素)に分割して、それぞれをLab色空間にプロットし、平均値を求めることにより測定した。測定結果を表1~3に示す。白色校正板(L=100,a=0,b=0)に対する泡のΔE値(以下、単に「泡のΔE値」ともいう。)は、Lab(L表色系)の立体色空間上での人の目の色識別域に近似するように定義された計算式(CIE2000色差式)によって算出された値である。なお、表1中の「ND」は、測定不実施を示す。
【0055】
得られたビールテイスト飲料の泡を目視で観察することにより官能評価を行った。官能評価は、選抜された識別能力のある6名のパネルにより、「泡の色み」、「ドリンカビリティーを想起させる泡」、「爽快な飲み口を想起させる泡」及び「泡のきめ細かさ」について、5段階で官能評価を行い、その平均値を評価スコアとした。
【0056】
「泡の色み」は、評点が低いほど色みが弱く、評点が高いほど、色みが強いことを示す。色みが弱いほど、泡の見た目が優れたものとなる。
【0057】
「ドリンカビリティーを想起させる泡」とは、ビールらしい泡であることを意味する。泡によってドリンカビリティーが想起される程度が小さいほど評点が低く、泡によってドリンカビリティーが想起される程度が高いほど評点が高くなる。泡によってドリンカビリティーが想起される程度が高いほど(評点が高いほど)、泡の見た目が優れたものとなる。
【0058】
「爽快な飲み口を想起させる泡」とは、炭酸感を想起させる泡であることを意味する。泡によって爽快な飲み口が想起される程度が小さいほど評点が低く、泡によって爽快な飲み口が想起される程度が高いほど評点が高くなる。
【0059】
「泡のきめ細かさ」は、泡がきめ細かくないほど評点が低く、泡がきめ細かいほど評点が高くなる。
【0060】
「泡の色み」の評価項目では、評点が低いほど(泡の色みが弱いほど)、泡の見た目の特性により優れていると評価される。「ドリンカビリティーを想起させる泡」、「爽快な飲み口を想起させる泡」及び「泡のきめ細かさ」の評価項目では、評点が高いほど、泡の見た目の特性により優れていると評価される。
【0061】
パネル間の評価基準を統一するため、下表に示す試験品A-1及び試験品B-1における「泡の色み」を3.0点、「ドリンカビリティーを想起させる泡」、「爽快な飲み口を想起させる泡」及び「泡のきめ細かさ」を1.0点に設定した。パネルによる評価は、試験品A-1及び試験品B-1に対する違いを評価することによりなされたものである。官能評価結果を下表に示す。
【0062】
【表1】

【表2】
【0063】
カラメルとキハダ抽出物とを含むビールテイスト飲料が、泡の見た目に優れていることが示された。