(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理システム、及び、情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20231211BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2019181987
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小島 孝之
(72)【発明者】
【氏名】滝川 紗佳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信也
(72)【発明者】
【氏名】関根 光雄
(72)【発明者】
【氏名】関 将俊
(72)【発明者】
【氏名】中野 信一
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-034744(JP,A)
【文献】特開2008-134899(JP,A)
【文献】特開2017-040981(JP,A)
【文献】特開2019-091360(JP,A)
【文献】特開2002-149830(JP,A)
【文献】特開2002-007577(JP,A)
【文献】中国実用新案第204130045(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の健康記録情報を取得する取得部と、
前記健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、健康改善の必要性を示す改善指示を出力する出力条件に該当するか否かを判定する判定部と、
前記出力条件に該当すると判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた前記改善指示
として、健康改善に関する指示を前記対象者に通知するための情報を出力する出力部と、
を備え、
前記判定部は、前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定し、
前記出力部は、前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示
として、改善指導を行う機関に予約を行う、情報管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記解除条件に該当すると判定された場合に、前記対象者の状態を、前記出力条件に対応付けられた改善指示を出力する前における初期状態とは異なる経過観察状態に変更し、
前記出力部は、前記対象者が前記出力条件に該当した場合において、前記対象者が前記経過観察状態にある場合には、前記対象者が前記初期状態にある場合に出力される改善指示とは異なる改善指示を出力する、請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記改善指示に対応付けられた期限までに、前記改善指示に対応付けられた条件を達成しない場合、前記解除条件に該当しないと判定する、請求項1又は2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記改善指示が、対象者によるアクションの実行の指示を含み、
前記判定部は、前記期限までに、前記対象者が前記アクションを実行しない場合、前記解除条件に該当しないと判定する、請求項3に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記健康改善をより強く促す
更なる指示として、外部のサービスを提供する装置に対し、前記対象者へのサービスの提供を抑止させ、又は強制させるための情報を出力する、請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記対象者の行動により、前記対象者又は第三者の状態の悪化の可能性があるか否かを判定し、
前記出力部は、前記悪化の可能性があると判定された場合に、前記健康改善に関する指示として、前記対象者の行動の制約を指示する情報を出力する請求項1乃至
5のいずれか1つに記載の情報管理装置。
【請求項7】
対象者の端末と、情報管理装置とを備える情報管理システムであって、
前記端末は、
前記対象者の健康記録情報を収集する収集部と、
収集した前記対象者の健康記録情報を前記情報管理装置に送信し、前記情報管理装置から指示に関する情報を受信する通信部と、
受信した前記指示を前記対象者に通知する通知部と、
を備え、前記情報管理装置は、
前記端末から、対象者の健康記録情報を取得する取得部と、
前記健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、健康改善の必要性を示す改善指示を出力する出力条件に該当するか否かを判定する判定部と、
前記出力条件に該当すると判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた前記改善指示
として、健康改善に関する指示を前記対象者に通知するための情報を出力する出力部と、
を備え、
前記判定部は、前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定し、
前記出力部は、前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示
として、改善指導を行う機関に予約を行う、情報管理システム。
【請求項8】
対象者の健康記録情報を取得し、
前記健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、健康改善の必要性を示す改善指示を出力する出力条件に該当するか否かを判定し、
前記出力条件に該当すると判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた前記改善指示
として、健康改善に関する指示を前記対象者に通知するための情報を出力し、
前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定し、
前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示
として、改善指導を行う機関に予約を行う、
各処理をコンピュータに実行させる、情報管理プログラム。
【請求項9】
対象者の健康記録情報を取得する取得部と、
前記健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、健康改善の必要性を示す改善指示を出力する出力条件に該当するか否かを判定する判定部と、
前記出力条件に該当すると判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた前記改善指示を出力する出力部と、
を備え、
前記判定部は、前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定し、
前記出力部は、
前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示
として、前記対象者に症状を体感させる機能の実行を指示する情報を出力する
、情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報管理装置、情報管理システム、及び、情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者等の健康記録情報(PHR)を用いて、患者等の健康増進に寄与する情報を提供する技術が知られている。例えば、PHRデータを解析して、疾病発症リスク等を算出する技術が知られている。また、将来予想図や疾病発症リスク等が、生活習慣を改善した場合にどのように変化するかを試算する技術も知られている。さらに、患者のPHRに加えて、患者の医療嗜好情報も用いて、クリニカルパスを設定する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-79466号公報
【文献】国際公開WO2015/050174号公報
【文献】特表2015-524095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、対象者の健康増進を効果的に促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報管理装置は、取得部と、判定部と、出力部とを備える。取得部は、対象者の健康記録情報を取得する。判定部は、前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定する。出力部は、前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示を、新たな改善指示としてさらに出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、情報管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る改善指示に関する状態の遷移の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る情報管理装置のブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る対象者データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る条件テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る指示テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るPHRデータの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る指示中における判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る通常の状態における判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る経過観察状態における判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る条件テーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る指示テーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係るPHRデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下に図面を参照して、情報管理装置、情報管理システム、及び、情報管理プログラムの実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る情報管理システムは、例えば対象者のPHR(Personal Health Record:健康記録情報)に基づいて、対象者の健康改善に関する改善指示を出力するか否かを判定する。
【0008】
図1は、情報管理システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報管理システム1は、情報管理装置10と、対象者の第1端末40a及び40bと、対象者の第2端末50a及び50bと、ウェアラブル端末61乃至65と、外部サーバ80a及び80bとを備える。
【0009】
情報管理システム1において、情報管理装置10と、対象者の第1端末40a及び40bと、対象者の第2端末50a及び50bと、ウェアラブル端末61乃至65と、外部サーバ80a及び80bとは、それぞれ有線又は無線によるネットワークNWによって相互に通信可能に接続される。
【0010】
なお、以下において、対象者の第1端末40a及び40bを区別せずに表現する場合に、単に「第1端末40」と表記する場合がある。同様に、対象者の第2端末50a及び50b、並びに、外部サーバ80a及び80bについても、それぞれ「第2端末50」、「外部サーバ80」と表記する場合がある。また、ウェアラブル端末61乃至65を区別せずに表現する場合に、単に「ウェアラブル端末60」と表記する場合がある。なお、
図1に示す情報管理システム1は、2台の第1端末40a及び40b、2台の第2端末50a及び50b、2台の外部サーバ80a及び80bを含むが、各装置の台数は任意であり、例えば3台以上の第1端末40がネットワークNWに接続されていてもよい。同様に、情報管理システム1は、第1端末40及び第2端末50以外のその他の対象者の端末を含んでもよい。
【0011】
図1に示す情報管理装置10は、例えば健康管理サービスを提供する企業のデータセンタ等に設置されるコンピュータである。情報管理装置10は、例えば、第1端末40から対象者のPHRを取得し、対象者の健康状態が、健康改善に関する改善指示を出力する条件に該当するか否かを判定する。そして、情報管理装置10は、条件に該当すると判定された対象者に対して改善指示を出力する。
【0012】
図1に示す第1端末40は、例えば、対象者30a又は対象者30bが携帯するスマートフォン等の装置である。
図1に示すように、例えば、第1端末40aは、対象者30aにより携帯され、第1端末40bは、対象者30bにより携帯される。なお、以下において、対象者30a及び30bを区別せずに表現する場合に、単に「対象者30」と表記する場合がある。また、
図1に示す情報管理システム1において、改善指示の対象となる対象者は2人であるが、対象者の人数は任意であり、例えば3人以上の対象者30を改善指示の対象としてもよい。
【0013】
第1端末40は、例えば、対象者30の歩数等の運動量を示す情報や、対象者30により入力された、食事内容や服薬等に関する情報を、情報管理装置10に送信する。また、第1端末40は、例えば、情報管理装置10から改善指示に関する情報を受信して、対象者30に向けて表示させる。
【0014】
図1に示す第2端末50は、例えば、対象者30の所有する自動車のカーナビゲーションシステム等の装置である。また、第2端末50は、例えば、対象者30の自宅や職場等に設置されたコンピュータやテレビ等であってもよい。第2端末50は、例えば、情報管理装置10から改善指示に関する情報を受信して、対象者30に向けて表示させる。
【0015】
ウェアラブル端末60は、対象者30により装着される装置である。ウェアラブル端末60は、対象者30のPHRを取得し、又は対象者30に対して、後に説明する改善指示に対応する刺激を与えることにより、対象者30に心臓疾患や脳卒中等の疾病の症状等を疑似体験させる。
【0016】
図1に示すウェアラブル端末61は、対象者30aにより装着されるヘッドフォン型の装置であり、例えば対象者30aに対して騒音等の刺激を出力する。また、
図1に示すウェアラブル端末62は、対象者30aにより装着される腕時計型の装置であり、例えば対象者30aの血圧や脈拍等のPHRを取得するとともに、対象者30aの腕に圧力や刺突等の刺激を出力する。
図1に示すウェアラブル端末63は、対象者30aにより装着されるネックレス型の装置であり、例えば対象者30aに対して電気ショック等の刺激を出力する。
【0017】
また、
図1に示すウェアラブル端末64は、対象者30bの胸部に装着されるパッド状の装置であり、例えば対象者30aの血圧や脈拍等のPHRを取得するとともに、対象者30aの胸部に圧力や電気ショック等の刺激を出力する。
図1に示すウェアラブル端末65は、対象者30bにより装着されるヘッドマウントディスプレイ型の装置であり、例えば対象者30aが視認できる明度を調整する等の刺激を出力する。
【0018】
外部サーバ80は、情報管理装置10の管理者(不図示)及び対象者30とは異なる第三者のデータセンタ等に設置されるコンピュータである。外部サーバ80aは、例えば、対象者30が受信する医療機関により管理され、対象者30の受診記録等を情報管理装置10に出力する。また、外部サーバ80bは、例えば、対象者30が勤務する企業の社員食堂の運営会社により管理され、対象者30に提供する食堂のメニューに関する情報を処理する。なお、外部サーバ80は、これらに限られず、例えば、保険会社や交通機関等により管理され、対象者30が加入する保険料の計算や、対象者30が利用する鉄道等の乗降管理を行うものであってもよい。
【0019】
本実施形態において、情報管理装置10が出力する改善指示は、例えば、対象者30の健康状態が改善したと認められる条件である解除条件を含む。また、本実施形態において、情報管理装置10が出力する改善指示は、例えば、対象者30の健康状態が改善したと認められなかった場合に追加で新たに出力する改善指示である追加指示に関する情報をさらに含む。これにより、情報管理装置10は、例えば、対象者30に対して改善指示が出力されたか否か、又は改善指示に対して対象者30の健康状態がどのように変化したかに基づいて、改善指示を解除し、又は追加の改善指示を出力する。これに伴い、改善指示を受ける対象者30の改善指示に関する状態は、
図2に示すように段階的に変化する。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る改善指示に関する状態の遷移の一例を示す図である。本実施形態における情報管理システム1による処理が開始される前において、すなわち初期状態においては、
図2に示す対象者30の改善指示に関する段階は、符号100Aに示す「通常」の段階となる。この場合において、情報管理装置10は、対象者30の健康状態が、改善指示を出力する条件に該当したと判定した場合、対象者30に対する改善指示を出力する。これにより、対象者30の改善指示に関する段階は、符号100Cに示す「指示あり」の段階に遷移する。なお、以下において、対象者30の改善指示に関する段階を、単に「対象者30の段階」と表記する場合がある。
【0021】
図2に示すように、本実施形態における対象者30の段階のうち、「指示あり」の段階は、対象者30に対する健康改善を促す度合いの強さに応じて、符号C1乃至C5に示す5つの段階にさらに区分される。まず、「通知」C1は、対象者30に対して、健康改善に関する指示として、例えば、健康改善を促すメッセージ等の情報を出力される段階を示す。次に、「予約」C2は、対象者30に対して、健康改善に関する指示として、例えば、健康診断や診察の予約等が強制的にされることにより、具体的な行動が要求される段階を示す。次に、「制限」C3は、対象者30に対する健康改善に関する指示として、例えば、交通機関の利用や食事の注文の制限など、対象者30の行動が制約される段階を示す。次に、「連動」C4は、対象者30に対して、健康改善に関する指示として、例えば、医療保険の保険料の値上がり等、対象者30と第三者との関係に影響が及ぼされた段階を示す。そして、「刺激(疑似体験)」C5は、対象者30に対して、健康改善に関する指示として、例えば、心臓疾患や脳卒中等の症状を疑似体験させるために、電気ショック等の物理的な刺激が加えられる段階を示す。なお、物理的な刺激は、対象者に症状を体感させる機能の一例である。
【0022】
このように、対象者30の段階が複数の段階に区分された場合において、「通常」100Aの段階にある対象者30が改善指示Aを出力する条件に該当したと判定された場合、情報管理装置10は、まず「通知」C1の段階に対応する改善指示を出力する。すなわち、情報管理装置10は、
図2の符号1001に示すように、対象者30の段階を、「通常」から「通知」C1の段階に更新する。本実施形態において、当該改善指示は、改善指示を出力するか否かを判定するための発動条件と、健康改善が認められたか否かを判定するための解除条件とに対応付けられる。また、本実施形態における改善指示は、対象者の健康改善が認められなかった場合に追加で出力される改善指示である追加指示にさらに対応付けられる。
【0023】
例えば、「通知」C1の段階に対応する改善指示の出力を受けた対象者30の健康状態が改善しなかった、すなわち解除条件に該当しなかったと判定される場合、情報管理装置10は、対象者30に対する追加指示をさらに出力する。本実施形態において、追加指示は、対応付けられた改善指示の段階よりも、より高い段階に対応する。例えば、「通知」C1の段階に対応する改善指示に対応付けられた追加指示により出力される改善指示は、「予約」C2や「制限」C3等の段階に対応する改善指示である。すなわち、情報管理装置10は、対象者30に対して追加指示を出力することにより、対象者30の段階を、
図2の符号1071に示すように、「通知」C1の段階よりも高い段階に更新する。
【0024】
一方、例えば、「通知」C1の段階に対応する改善指示の出力を受けた対象者30の健康状態が改善した、すなわち解除条件に該当したと判定される場合、情報管理装置10は、対象者30に対する当該改善指示を解除する指示を出力する。この際、情報管理装置10は、対象者30の段階を、「通常」100Aの段階ではなく、
図2の符号1101に示すように、「経過観察」100Bの段階に更新する。
【0025】
情報管理装置10は、対象者30の段階が「経過観察」100Bに移行してから、例えば、改善指示に対応付けられた観察期間を経過した場合、対象者30の段階を、
図2の符号1111に示すように、「通常」100Aの段階に更新する。一方、「経過観察」100Bの段階にある対象者30が、観察期間の経過前に、改善指示を出力する条件に再び該当したと判定された場合、情報管理装置10は、「通知」C1よりも上の段階、例えば「予約」C2や「制限」C3の各段階に対応する改善指示を出力する。すなわち、情報管理装置10は、対象者30の段階が「通常」100Aであるか「経過観察」100Bであるかに応じて、それぞれ段階が異なる改善指示を出力する。例えば、情報管理装置10は、既に改善指示を受けた対象者30に対しては、「通常」100Aの段階にある対象者30に対して出力する改善指示よりも上の段階の改善指示を出力する。
【0026】
図2に示すような処理を実行する情報管理装置10の機能について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る情報管理装置のブロック図である。
図3に示すように、情報管理装置10は、通信I/F(Interface)11と、入力I/F12と、ディスプレイ13と、記憶回路14と、処理回路15とを備える。
【0027】
通信I/F11は、処理回路15に接続され、ネットワークNWを介して接続された各種の装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信I/F11は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0028】
入力I/F12は、処理回路15に接続され、情報管理装置10の管理者(不図示)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15に出力する。例えば、入力I/F12は、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等である。
【0029】
ディスプレイ13は、処理回路15に接続され、処理回路15から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ13は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0030】
記憶回路14は、処理回路15に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。本実施形態では、記憶回路14は、例えば、対象者データ141、条件テーブル142、指示テーブル143及びPHRデータ144を記憶する。
【0031】
対象者データ141は、対象者30の段階を、対象者30のその他の属性に関する情報と対応付けて記憶する。対象者データ141に記憶される情報は、例えば情報管理装置10の管理者により入力され、後に説明する出力機能153により更新される。
【0032】
図4は、第1の実施形態に係る対象者データの一例を示す図である。例えば、対象者データ141は、
図4に示すように、「対象者ID」と、「性別」と、「年齢」と、「職種」と、「段階」とを対応付けた情報である。ここで、
図4における「対象者ID」は、対象者30を一意に識別する識別子(Identifier)を示す。「性別」、「年齢」及び「職種」は、それぞれ当該対象者30の性別、年齢、及び職種を示す。「段階」は、当該対象者30の段階を示す。本実施形態において、「段階」には、
図2に示す「通常」、「経過観察」の各段階、又は改善指示に対応する指示を示す「指示ID」が登録される。指示IDについては、後に説明する。なお、対象者データ141が記憶する項目は一例であり、一部の項目を省略してもよく、またその他の項目を有してもよい。
【0033】
例えば、
図4に示す1段目のレコードは、対象者ID「P0001」の対象者30は「43歳」の「男性」であり、職種は「販売員」であること、並びに改善指示に関する段階は「経過観察」であることを示す。同様に、
図4に示す2段目のレコードは、対象者ID「P0002」の対象者30は「46歳」の「女性」であり、職種は「事務職」であること、並びに改善指示に関する段階は「M001」であることを示す。また、
図4に示す3段目のレコードは、対象者ID「P0003」の対象者30は「46歳」の「男性」であり、職種は「技術職」であること、並びに改善指示に関する段階は「通常」であることを示す。なお、本実施形態において、対象者30aの対象者IDは「P0001」であり、対象者30bの対象者IDは「P0002」であるものとする。
【0034】
図5は、第1の実施形態に係る条件テーブルの一例を示す図である。例えば、条件テーブル142は、
図5に示すように、「条件ID」と、「発動条件」と、「段階」と、「指示ID」と、「解除条件」と、「解除期限」と、「追加指示ID」とを対応付けた情報である。ここで、
図5における「条件ID」は、改善指示を出力する条件を一意に識別する識別子を示す。「発動条件」は、改善指示を出力する条件の内容を示す。なお、発動条件は、出力条件の一例である。
【0035】
図5における「段階」は、当該改善指示を出力する対象となる、対象者30の段階を示す。本実施形態においては、「通常」段階、又は「経過観察」段階のいずれかの段階にのみ改善指示が出力される場合には、「段階」はそれぞれ「通常」又は「経過観察」を記憶する。一方、「-」は、「通常」段階及び「経過観察」段階のいずれにおいても改善指示が出力されることを示す。「指示ID」は、当該発動条件に該当した場合に出力される改善指示を一意に識別する識別子を示す。「解除条件」は、当該改善指示の出力が解除される条件の内容を示す。「解除期限」は、対象者30が当該「解除条件」に該当する期限を示す。「追加指示ID」は、「解除期限」までに「解除条件」に該当しない場合に、対象者30に対して追加で出力される改善指示を一意に識別する識別子を示す。条件テーブル142に記憶される情報は、例えば情報管理装置10の管理者により入力される。
【0036】
例えば、
図5に示す条件テーブル142の1段目のレコードは、条件ID「A001」は、対象者30の「血糖値が110を超える」ことを発動条件として、指示ID「M002」の改善指示が出力されることを示す。また、条件ID「A001」は、対象者30の段階が、「通常」及び「経過観察」のいずれにおいても出力される。また、条件ID「A001」の改善指示は、対象者30が「●●錠を1日3回服用」することを「14日間」続けたと判定された場合に解除される。一方、対象者30が解除条件に該当しないと判定された場合、追加の改善指示として、指示ID「M012」及び「M052」が出力される。
【0037】
また、
図5の符号1421に示すように、本実施形態において、条件テーブル142は、同一の発動条件に対して、「段階」が異なる2つの改善指示に関するレコードが登録されている。これにより、対象者30が同一の発動条件「体重>標準体重×1.1」に該当した場合であっても、出力される改善指示、解除条件、及び追加で出力される改善指示は、当該対象者30の段階が「通常」であるか「経過観察」であるかに応じて異なる。
【0038】
例えば、対象者30が発動条件に該当したと判定される場合において、対象者30の段階が「通常」であるときは、指示ID「M001」の改善指示が出力される。当該改善指示は、対象者30が「7日以内」に「1週間で50000歩以上歩いた」と判定された場合に解除される一方、解除条件に該当しないと判定された場合は追加の改善指示として指示ID「M031」及び「M051」の改善指示が出力される。一方、例えば、対象者30が発動条件に該当したと判定される場合において、対象者30の段階が「経過観察」であるときは、指示ID「M008」及び「M031」の改善指示が出力される。当該改善指示は、対象者30が「7日以内」に「医療機関で受診した」と判定された場合に解除される一方、解除条件に該当しないと判定された場合は追加の改善指示として指示ID「M071」及び「M091」の改善指示が出力される。
【0039】
なお、条件テーブル142に記憶される情報はこれに限られず、例えば、発動条件に対象者30が該当するか否かの判定処理を行うためのタイミング(例えば8時間おき、又は毎日17時等)がさらに記憶されていてもよい。
【0040】
指示テーブル143は、改善指示に関する情報を記憶する。
図6は、第1の実施形態に係る指示テーブルの一例を示す図である。本実施形態において、指示テーブル143は、例えば、
図6に示すように、「指示ID」と、「指示内容」と、「送信先」とを対応付けて記憶する。指示テーブル143に記憶される情報は、例えば情報管理装置10の管理者により入力される。
【0041】
図6において、「指示内容」は、当該指示IDが示す改善指示の内容を示す。「送信先」は、情報管理装置10が当該改善指示を出力する送信先を示す。例えば、
図6に示す1番目のレコードは、指示ID「M001」の改善指示は、「対象者スマートフォン」に、「体重が増加しています。1週間で5万歩を目指して下さい。」というメッセージを出力させるための情報が送信されることを示す。同様に、
図6に示す2番目のレコードは、指示ID「M002」の改善指示は、「対象者スマートフォン」に、「血糖値が上昇しています。食事を制限して下さい。」というメッセージを出力させるための情報が送信されることを示す。同様に、
図6の符号1431に示すレコードは、指示ID「M008」の改善指示は、「対象者スマートフォン」に、「健康リスクが悪化しています。改善しなければ保険料が上がります。」というメッセージを出力させるための情報が送信されることを示す。なお、例えば、
図6に示す指示テーブル143において、指示IDが「M00X」の指示は、
図2に示す段階のうち、「通知」C1の段階に対応する指示である。この場合において、指示ID「M008」の改善指示の指示内容は、保険料が上がることについて言及しており、指示ID「M001」及び「M002」の指示内容よりも、対象者30に対して健康改善をより強く促すものとなっている。なお、「体重が増加しています。1週間で5万歩を目指して下さい。」というメッセージは、対象者によるアクションの実行の指示の一例である。
【0042】
また、
図6の符号1432に示すレコードは、指示ID「M011」の改善指示は、「対象者スマートフォン」に健康食品の広告を表示させるための情報が送信されること、指示ID「M012」の改善指示は、「対象者のカーナビゲーションシステム」に、「血糖値が上昇しています。自動車の利用は控えて下さい。」というメッセージを出力させるための情報が送信されることを、それぞれ示す。なお、指示IDが「M01X」の指示も、指示IDが「M00X」のものと同様に、
図2に示す段階のうち、「通知」C1の段階に対応する指示である。しかし、指示ID「M011」の改善指示は、メッセージの代わりに広告を表示させる点が指示ID「M00X」のものと異なる。また、指示ID「M012」の改善指示は、メッセージを表示させる対象となる装置が、指示ID「M00X」のものと異なる。
【0043】
また、
図6の符号1433に示すレコードは、指示ID「M031」の改善指示は、「医師のパソコン」に、「血糖値が上昇しています。自動車の利用は控えて下さい。」というメッセージを出力させるための情報が送信されること、指示ID「M032」の改善指示は、例えば「医療機関サーバ」に、対象者30の診察を予約させるための情報が送信されることを、それぞれ示す。なお、
図6に示す指示テーブル143において、指示IDが「M03X」の指示は、
図2に示す段階のうち、「予約」C2の段階に対応する指示である。
【0044】
また、
図6の符号1434に示すレコードは、指示ID「M051」の改善指示は、「社員食堂サーバ」に、対象者30によるメニューの注文を制限させるための情報が送信されることを示す。なお、
図6に示す指示テーブル143において、指示IDが「M05X」の指示は、
図2に示す段階のうち、「制限」C3の段階に対応する指示である。
【0045】
また、
図6の符号1435に示すレコードは、指示ID「M071」の改善指示は、「保険会社サーバ」に、対象者30に対する保険料を値上げさせるための情報が送信されることを示す。なお、
図6に示す指示テーブル143において、指示IDが「M07X」の指示は、
図2に示す段階のうち、「連動」C4の段階に対応する指示である。
【0046】
また、
図6の符号1436に示すレコードは、指示ID「M091」の改善指示は、「ウェアラブル端末」に、対象者30に対する電気ショックを発動させるための情報が送信されることを示す。なお、
図6に示す指示テーブル143において、指示IDが「M09X」の指示は、
図2に示す段階のうち、「刺激」C5の段階に対応する指示である。
【0047】
なお、指示テーブル143に記憶される情報はこれに限られず、例えば、各改善指示が、
図2に示す段階C1乃至C5のうちいずれに対応するものであるかを示す項目をさらに記憶してもよい。
【0048】
PHRデータ144は、対象者30のPHRに関する情報を記憶する。
図7は、第1の実施形態に係るPHRデータの一例を示す図である。
図7に示すように、PHRデータ144は、PHRの「種別」と、「日時」と、「値」とを対応付けて記憶する。また、PHRデータ144は、例えば一人の対象者30ごとに一つのテーブルを保持する。例えば、
図7に示すPHRデータ144には、対象者IDが「P0001」である対象者30aのPHRが登録される。PHRデータ144は、後に説明する取得機能151により更新される。
【0049】
例えば、
図7に示すPHRデータ144の1段目乃至4段目のレコードは、いずれも「2019年5月20日」に取得された対象者30aのPHRデータを示す。例えば、
図7に示す1段目のレコードは、同日の対象者30aの「歩数」が「6245歩」であること、2段目のレコードは、同日の対象者30aの「体重」が「77.3kg」であることをそれぞれ示す。同様に、例えば、
図7に示す3段目のレコードは、同日の対象者30aの「食事量」が「3200kCal」(例えば摂取カロリー量換算)であること、4段目のレコードは、同日の対象者30aの「飲酒量」が「ビール瓶大瓶2本」であることをそれぞれ示す。
【0050】
また、
図7に示すPHRデータ144は、その他の日に取得された対象者30aのPHRも同一のテーブルに含む。例えば、
図7に示す5段目のレコードは、「2019年5月20日11時00分」の対象者30aの「血圧」が「134/92」であることを示す。また、例えば、
図7の符号1441に示すレコードは、「2019年5月23日9時00分」において、対象者30aが健康診断を受診したこと、「血糖値」が「115mg/dL」であることを示す。同様に、例えば、
図7の符号1442に示すレコードは、「2019年5月27日」において、「体重」が「75.8kg」であること、「血圧」が「128/86」であることを示す。
【0051】
なお、PHRデータ144が記憶する項目は一例であり、例えば、身長やBMIなどのその他の項目をさらに記憶してもよい。例えば、PHRデータ144は、公知のGPS(Global Positioning System)等により取得される、対象者30の位置情報や移動量等をさらに記憶してもよい。また、PHRデータ144は、例えば、PHRが取得された日ごとに一つのテーブルを保持してもよい。
【0052】
図3に戻って、処理回路15は、取得機能151と、判定機能152と、出力機能153とを実行することで、情報管理装置10全体の動作を制御する。ここで、取得機能151は、取得部の一例である。判定機能152は、判定部の一例である。出力機能153は、出力部の一例である。ここで、例えば、
図3に示す処理回路15の構成要素である取得機能151、判定機能152及び出力機能153の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路14に記録されている。処理回路15は、各プログラムを記憶回路14から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、
図3の処理回路15内に示された各機能を備えることとなる。
【0053】
なお、取得機能151、判定機能152及び出力機能153の全ての処理機能がコンピュータによって実行可能な1つのプログラムの形態で、記憶回路14に記録されていてもよい。例えば、このようなプログラムは、情報管理プログラムとも称される。この場合、処理回路15は、情報管理プログラムを記憶回路14から読み出し、読み出した情報管理プログラムを実行することで、情報管理プログラムに対応する取得機能151、判定機能152及び出力機能153を実現する。
【0054】
処理回路15における取得機能151は、対象者30のPHRを取得する。例えば、取得機能151は、ネットワークNWを介して、対象者30の第1端末40からPHRを受信する。取得機能151は、取得したPHRを、PHRデータ144に格納する。
【0055】
判定機能152は、PHRが取得された時点、又はその他の判定処理を行うためのタイミングにおいて、PHRの取得状況に基づいて、対象者30の健康改善に関する条件を判定する。判定機能152は、例えば、
図7に示すPHRデータ144の血糖値「115mg/dL」というPHRを取得機能151が取得した時点において、対象者ID:P0001の対象者30aが、
図5に示す条件テーブル142に登録されたいずれかの発動条件に該当するか否かを判定する。この場合において、判定機能152は、対象者30aが、条件ID「A001」の発動条件「血糖値が110を超える」に該当したと判定し、判定結果を出力機能153に出力する。なお、
図5に示すように、条件ID「A001」は、対象者30aの段階が「通常」又は「経過観察」のいずれの段階においても適用される。
【0056】
判定機能152は、対象者30aが、条件ID「A001」の発動条件に該当したと判定した場合、対象者30aが、条件ID「A001」の解除条件に該当するか、すなわち「●●錠を1日3回服用しているか」を判定し、判定結果を出力機能153に出力する。
【0057】
また、判定機能152は、例えば、
図7に示すPHRデータ144の体重「77.3kg」というPHRを取得機能151が取得した時点においても、対象者ID:P0001の対象者30aが、
図5に示す条件テーブル142に登録されたいずれかの発動条件に該当するか否かを判定する。この場合において、判定機能152は、
図5に示す条件テーブル142に、「体重」に関する同一の発動条件に対応付けられた条件IDが、「A031」と「A032」の2つ登録されていると判定する。
図5に示すように、条件ID「A031」の改善指示は、対象者30の段階が「通常」の場合に適用され、条件ID「A033」の改善指示は、対象者30の段階が「経過観察」の場合に適用される。この場合において、判定機能152は、対象者30aが、条件ID「A031」と「A032」とに共通する発動条件に該当するか否かを判定する。判定機能152は、対象者30aが発動条件に該当すると判定した場合、対象者30aの段階が「通常」と「経過観察」とのいずれであるかを特定する。そして、判定機能152は、対象者30aの段階に対応する条件IDを特定し、判定結果を出力機能153に出力する。
【0058】
出力機能153は、判定機能152による判定結果に基づいて、ネットワークNWを介して、改善指示を出力する。例えば、出力機能153は、
図5に示す条件テーブル142の条件ID「A001」の発動条件に対象者30aが該当したと判定された場合、
図1に示す対象者30aの第1端末40aに、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M002」に対応するメッセージを出力する。この場合において、出力機能153は、条件ID「A001」の解除条件に対象者30aが該当したと判定された場合、指示ID「M002」の改善指示を解除する指示を出力する。一方、出力機能153は、条件ID「A001」の解除条件に対象者30aが該当することなく解除期限が経過したと判定された場合、対象者30aの第1端末40aに、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M012」に対応するメッセージを出力する。この場合、出力機能153は、さらに、指示ID「M032」に対応する診察の予約指示を、
図1に示す外部サーバ80aである「医療機関サーバ」に出力する。
【0059】
また、出力機能153は、例えば、
図5に示す条件テーブル142の条件ID「A031」の発動条件に対象者30bが該当したと判定された場合、
図1に示す対象者30bの第1端末40bに、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M001」に対応するメッセージを出力する。この場合において、出力機能153は、条件ID「A031」の解除条件に対象者30bが該当したと判定された場合、指示ID「M001」の改善指示を解除する指示を出力する。一方、出力機能153は、条件ID「A031」の解除条件に対象者30aが該当することなく解除期限が経過したと判定された場合、対象者30bの第1端末40aに、
図6に示す指示テーブル143の指示ID指示ID「M011」に対応する広告を表示させる指示を出力する。この場合、出力機能153は、
図1に示す外部サーバ80bである「社員食堂サーバ」に、指示ID「M051」に対応するメニューの注文制限に関する指示をさらに出力する。
【0060】
また、出力機能153は、例えば、
図5に示す条件テーブル142の条件ID「A032」の発動条件に対象者30bが該当したと判定された場合、
図1に示す対象者30bの第1端末40bに、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M008」に対応するメッセージを出力する。この場合、出力機能153は、医師のパソコン(不図示)に、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M031」に対応するメッセージをさらに出力する。この場合において、出力機能153は、条件ID「A032」の解除条件に対象者30bが該当したと判定された場合、指示ID「M008」及び「M031」の改善指示を解除する指示を出力する。一方、出力機能153は、条件ID「A032」の解除条件に対象者30aが該当することなく解除期限が経過したと判定された場合、保険会社サーバ(不図示)に、
図6に示す指示テーブル143の指示ID「M071」に対応する保険料の値上げに関する指示を出力する。この場合、出力機能153は、例えば、
図1に示す対象者30bが装着するパッド状のウェアラブル端末64に、指示ID「M091」に対応する電気ショック発動の指示をさらに出力する。
【0061】
次に、第1の実施形態に係る情報管理システム1による処理の手順について、
図8乃至
図11を用いて説明する。
図8は、第1の実施形態に係る情報管理処理の一例を示すフローチャートである。ここで、
図8におけるステップS101は、例えば、情報管理装置10の処理回路15が取得機能151に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS102、S103、S110、S120、及びS130は、例えば、処理回路15が判定機能152に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。なお、以下の各図に示す処理の順序は一例であり、一部の処理の実行順序が逆になってもよいし、複数の処理が同時に並行して実行されてもよい。
【0062】
例えば、
図8に示すように、まず、処理回路15は、対象者のPHRを取得したか否かを判定する(ステップS101)。処理回路15は、対象者のPHRを取得したと判定した場合(ステップS101:Yes)、ステップS103に移行する。
【0063】
一方、処理回路15は、対象者のPHRを取得していないと判定した場合(ステップS101:No)、例えば、条件テーブル142に登録された判定処理を行うためのタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS102)。処理回路15は、判定処理を行うためのタイミングが到来していないと判定した場合(ステップS102:No)、ステップS101に戻って処理を繰り返す。一方、処理回路15は、判定処理を行うためのタイミングが到来したと判定した場合(ステップS102:Yes)、ステップS103に移行する。
【0064】
次に、処理回路15は、対象者データ141から、対象者の段階を抽出し(ステップS103)、対象者に対して発動済みの指示があるか否かを判定する(ステップS110)。処理回路15は、発動済みの指示があると判定した場合(ステップS110:Yes)、ステップS200に移行する。
【0065】
図9は、第1の実施形態に係る指示中における判定処理の一例を示すフローチャートである。ここで、
図9におけるステップS201、S210及びS220は、例えば、処理回路15が判定機能152に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS211、S221及びS222は、例えば、処理回路15が出力機能153に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。
【0066】
例えば、
図9に示すように、処理回路15は、条件テーブル142を参照し、出力中の改善指示の解除条件を抽出する(ステップS201)。次に、処理回路15は、対象者のPHRの取得状況に基づき、抽出した解除条件に該当したか否かを判定する(ステップS210)。処理回路15は、解除条件に該当したと判定した場合(ステップS210:Yes)、改善指示を解除する指示を出力するとともに、対象者データ141の対象者の段階を「経過観察」に更新し(ステップS211)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0067】
一方、処理回路15は、解除条件に該当していないと判定した場合(ステップS210:No)、出力中の改善指示の判定期間が経過したか否かを判定する(ステップS220)。処理回路15は、判定期間がまだ経過していないと判定した場合(ステップS220:No)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0068】
一方、処理回路15は、判定期間が既に経過したと判定した場合(ステップS220:Yes)、条件テーブル142から、出力中の改善指示に対応する追加指示IDを抽出する。そして、処理回路15は、指示テーブル143を参照して、抽出した追加指示IDに対応する指示を特定し、出力する(ステップS221)。そして、処理回路15は、対象者データ141の対象者の段階に登録された指示IDを、追加指示IDに更新し(ステップS222)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0069】
図8に戻って、処理回路15は、発動済みの指示がないと判定した場合(ステップS110:No)、対象者データ141を参照し、対象者が経過観察状態であるか否かを判定する(ステップS110)。処理回路15は、経過観察中ではない、すなわち通常の状態であると判定した場合(ステップS110:No)、ステップS300に移行する。
【0070】
図10は、第1の実施形態に係る通常の状態における判定処理の一例を示すフローチャートである。ここで、
図10におけるステップS301、S310及びS320は、例えば、情報管理装置10の処理回路15が判定機能152に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS311及びS312は、例えば、処理回路15が出力機能153に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。
【0071】
例えば、
図10に示すように、処理回路15は、条件テーブル142を参照し、指示条件のうち、通常の状態に対応する指示条件を抽出する(ステップS301)。次に、処理回路15は、対象者のPHRの取得状況に基づき、抽出した指示条件の発動条件に該当したか否かを判定する(ステップS310)。処理回路15は、発動条件に該当したと判定した場合(ステップS310:Yes)、条件テーブル142から、指示条件に対応する指示IDを抽出する。そして、処理回路15は、指示テーブル143を参照して、抽出した指示IDに対応する、通常の状態に対応する指示を特定し、出力する(ステップS311)。そして、処理回路15は、対象者データ141の対象者の段階に指示IDを登録し(ステップS312)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0072】
一方、処理回路15は、発動条件に該当していないと判定した場合(ステップS310:No)、全ての指示条件について処理したか否かを判定する(ステップS320)。処理回路15は、全ての指示条件について処理していないと判定した場合(ステップS320:No)、ステップS301に戻って処理を繰り返す。一方、処理回路15は、全ての指示条件について処理したと判定した場合(ステップS320:Yes)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0073】
図8に戻って、処理回路15は、経過観察中であると判定した場合(ステップS110:Yes)、ステップS400に移行する。
図11は、第1の実施形態に係る経過観察状態における判定処理の一例を示すフローチャートである。ここで、
図11におけるステップS410、S412、S420及びS430は、例えば、情報管理装置10の処理回路15が判定機能152に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS411、S421及びS422は、例えば、処理回路15が出力機能153に対応するプログラムを記憶回路14から読み出して実行することにより実現される。
【0074】
例えば、
図11に示すように、処理回路15は、対象者30の経過観察段階において、観察期間を経過したか否かを判定する(ステップS410)。処理回路15は、観察期間を経過したと判定した場合(ステップS410:Yes)、対象者データ141の対象者の段階を「通常」に更新し(ステップS411)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0075】
一方、処理回路15は、観察期間を経過していないと判定した場合(ステップS410:No)、条件テーブル142を参照し、指示条件のうち、経過観察状態に対応する指示条件を抽出する(ステップS412)。次に、処理回路15は、対象者のPHRの取得状況に基づき、抽出した指示条件の発動条件に該当したか否かを判定する(ステップS420)。
【0076】
処理回路15は、発動条件に該当したと判定した場合(ステップS420:Yes)、条件テーブル142から、指示条件に対応する指示IDを抽出する。そして、処理回路15は、指示テーブル143を参照して、抽出した指示IDに対応する、経過観察状態に対応する指示を特定し、出力する(ステップS421)。そして、処理回路15は、対象者データ141の対象者の段階に指示IDを登録し(ステップS422)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0077】
一方、処理回路15は、発動条件に該当していないと判定した場合(ステップS420:No)、全ての指示条件について処理したか否かを判定する(ステップS430)。処理回路15は、全ての指示条件について処理していないと判定した場合(ステップS430:No)、ステップS412に戻って処理を繰り返す。一方、処理回路15は、全ての指示条件について処理したと判定した場合(ステップS430:Yes)、
図8に示すステップS130に移行する。
【0078】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能151は、対象者の健康記録情報を取得する。判定機能152は、前記健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、健康改善の必要性を示す改善指示を出力する出力条件に該当するか否かを判定する。出力機能153は、前記出力条件に該当すると判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた前記改善指示を出力する。そして、判定機能152は、前記改善指示の出力後における前記対象者の健康記録情報の取得状況に基づいて、前記対象者の状態が、前記改善指示を解除できる解除条件に該当するか否かを判定する。出力機能153は、前記解除条件に該当しないと判定された場合に、前記出力条件に対応付けられた改善指示よりも健康改善をより強く促す指示を、新たな改善指示としてさらに出力する。すなわち、第1の実施形態に係る情報管理システム1は、対象者に、改善指示に応じた健康改善が見られない場合、対象者に対して、健康改善をより強く促す追加の改善指示を出力するので、対象者の健康増進を効果的に促進することができる。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、判定機能152は、前記改善指示に対応付けられた期限までに、前記改善指示に対応付けられた条件を達成しない場合、前記解除条件に該当しないと判定する。これにより、第1の実施形態に係る情報管理システム1は、すなわち、解除条件が満たされたか否かを、指示を出力した時点からの経過時間を計測することにより判定できるので、簡易な構成で、対象者の健康改善の有無を判定することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、追加指示を除く改善指示は、「通常」又は「経過観察」のいずれかの状態にある対象者30に対してのみ出力される構成について説明したが、これに限られない。例えば、情報管理装置10は、条件ID「A031」に対応する発動条件に該当し、指示ID「M001」の改善指示が既に出力されている対象者30が、さらに条件ID「A001」に対応する発動条件に該当したとする。この場合、情報管理装置10は、対象者30に対する指示ID「M001」の改善指示がまだ解除されていない場合であっても、対象者30に対し、条件ID「A001」に対応する指示ID「M002」の改善指示をさらに出力してもよい。すなわち、対象者30に対して、2つ以上の改善指示が同時に出力されるような構成であってもよい。また、改善指示に対応する追加の改善指示が出力され、又は2つ以上の改善指示が同時に出力された場合において、いずれかの改善指示のみが解除され、その他の改善指示は維持されるような解除条件がさらに設定されていてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、PHRを対象者30の第1端末40から取得する構成について説明したが、これに限られず、取得機能151は、例えば、PHRを外部サーバ80等のその他の装置から取得してもよい。例えば、対象者30が医療機関で受診した場合、医療機関に設置された外部サーバ80から、情報管理装置10に受診完了を示すPHRが送信されるような構成であってもよい。この場合において、情報管理装置10は、例えば、外部サーバ80から受診完了を示すPHRを取得することにより、対象者30が医療機関で受診したと判定してもよい。
【0082】
本実施形態では、PHRを対象者30の第1端末40から取得する構成について説明したが、これに限られず、例えば、PHRを外部サーバ80等のその他の装置から取得してもよい。例えば、対象者30が医療機関で受診した場合、医療機関に設置された外部サーバ80から、情報管理装置10に受診完了を示すPHRが送信されるような構成であってもよい。この場合において、情報管理装置10は、例えば、外部サーバ80から受診完了を示すPHRを取得することにより、対象者30が医療機関で受診したと判定してもよい。
【0083】
なお、取得したPHRの内容を判断材料として用いる構成について説明したが、これに限られず、例えば、PHRを取得したか否か、又はPHRを取得したタイミング等、すなわちPHRの取得状況そのものを判断材料としてもよい。例えば、対象者30が医療機関を受信したか否かが解除条件として改善指示に対応付けられている場合において、情報管理装置10が、改善指示に対応付けられた解除期限までに医療機関を受診したことを示すPHRを取得していないときは、対象者30が医療機関で受診していない、すなわち解除条件が満たされないと判定してもよい。
【0084】
また、情報管理装置10が、追加の指示を、改善指示に対応付けられた解除期限を経過するまでに解除条件に該当しなかった場合に出力する構成について説明したが、これに限られない。例えば、追加の指示を出力するか否かを判定する条件である追加条件が、改善指示にさらに対応付けられ、追加条件に該当した時点で追加の指示が出力されるような構成であってもよい。例えば、情報管理装置10は、解除条件が「毎日●●錠を3回服用する」である場合において、対象者30が1日でも●●錠を服用していない日があったと判定した場合、追加条件に該当したとして、解除期限が経過しない場合であっても、追加の指示を出力してもよい。
【0085】
また、本実施形態においては、対象者に症状を体験させる機能の実行を指示する情報、及び、対象者へのサービスの提供を抑止させ、又は強制させるための情報物理的な刺激を与える指示が、対象者30が解除条件に該当しない場合の追加の改善指示として出力される例について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、対象者30の段階が「経過観察」である場合に、対象者30が発動条件に該当した場合の改善指示として、これらの指示が出力されてもよい。
【0086】
また、情報管理装置10が、対象者30に健康改善を促す改善指示を出力する構成について説明したが、これに限られず、対象者30の健康改善が著しい場合に、保険料の値下げや交通機関の割引等のインセンティブに関する情報を出力するような構成であってもよい。
【0087】
(第2の実施形態)
PHRを用いて改善指示を出力する構成は、上で述べたものに限られない。例えば、第2の実施形態における情報管理装置20(不図示)は、PHRとして、対象者の位置情報や加速度等を検出できる場合に、対象者の移動距離や移動速度、移動時の振動等を特定することにより、対象者の移動手段を推定してもよい。これにより、情報管理装置20は、徒歩で移動すべき距離を、対象者30が自動車で移動したことを推定した場合に、対象者30に対する改善指示として、徒歩での移動を促すようなメッセージを出力してもよい。
【0088】
また、対象者30がインフルエンザ等の感染症を発症した場合、対象者30が外出することで、第三者への感染が拡大するおそれがある。そこで、情報管理装置20は、PHRとして、対象者30が感染症を発症したことを取得できる場合、改善指示として、感染の拡大を防ぐための指示を出力してもよい。例えば、情報管理装置20は、交通機関のサーバに、対象者30の交通系ICカードによる鉄道やバス等の交通機関の利用を抑制させるような指示を出力してもよい。なお、交通機関の利用は、対象者の行動の一例であり、第三者への感染の拡大のおそれは、第三者の状態の悪化の可能性の一例である。
【0089】
本実施形態における、上記のような処理を実行する情報管理装置20は、なお、以下の実施の形態において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。例えば、
図3に示す情報管理装置10と同様に、通信I/F(Interface)11と、入力I/F12と、ディスプレイ13とを備える。一方、本実施形態における情報管理装置20は、記憶回路14及び処理回路15の代わりに、記憶回路24及び処理回路25を備える。
【0090】
記憶回路24は、例えば、条件テーブル142、指示テーブル143及びPHRデータ144に代えて、以下に図示する条件テーブル242、指示テーブル243及びPHRデータ244を記憶する。
図12は、第2の実施形態に係る条件テーブルの一例を示す図である。
図12に示すように、第2の実施形態に係る条件テーブル242には、
図5に示す条件テーブル142の各レコードに加えて、さらに、符号2423に示すレコードが登録されている。
【0091】
図12の符号2423に示すレコードは、条件ID「A071」は、対象者30が「感染症を発症」することを発動条件として、対象者30の段階が、「通常」及び「経過観察」のいずれにおいても、指示ID「M019」及び「M052」の改善指示が出力されることを示す。また、符号2423に示すレコードは、条件ID「A071」に対応する改善指示は、対象者30の「感染症が治癒」することを解除条件とすることを示す。一方、符号2423に示すレコードの「解除期限」及び「追加指示ID」の「-」は、条件ID「A071」に対応する解除期限は設定されておらず、また追加の改善指示も対応付けられていない、すなわち対象者30の感染症が治癒しなくとも追加の改善指示が出力されることはないことを示す。
【0092】
図13は、第2の実施形態に係る指示テーブルの一例を示す図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る指示テーブル243には、
図6に示す指示テーブル143の各レコードに加えて、さらに、符号2437及び2438に示す各レコードが登録されている。
【0093】
図13の符号2437に示すレコードは、指示ID「M019」の改善指示は、「対象者スマートフォン」に、「感染のおそれがあります。外出を控えてください。」というメッセージを出力させるための情報が送信されることを示す。なお、指示ID「M019」の改善指示も、
図6に示す指示IDが「M01X」の指示と同様に、
図2に示す段階のうち、「通知」C1の段階に対応する指示である。
【0094】
同様に、符号2438に示すレコードは、指示ID「M052」の改善指示は、「交通機関サーバ」に、対象者30による「鉄道やバスへの乗車を抑止」させるための情報が送信されることを示す。なお、指示ID「M052」の改善指示も、
図6に示す指示IDが「M05X」の指示と同様に、
図2に示す段階のうち、「制限」C3の段階に対応する指示である。なお、「鉄道やバスへの乗車を抑止」させるための情報は、行動の制約を指示する情報の一例である。
【0095】
図14は、第2の実施形態に係るPHRデータの一例を示す図である。
図14に示すように、第2の実施形態に係るPHRデータ244には、
図7に示すPHRデータ144の各レコードに加えて、さらに、符号2443に示すレコードが登録されている。例えば、
図14の符号2443に示すレコードは、「2019年10月31日」において、対象者30aが「A型インフルエンザに感染」したことを示す。
【0096】
図12乃至
図14に示す各テーブルを備える情報管理装置20の処理回路25は、取得機能251と、判定機能252と、出力機能253とを実行することで、情報管理装置20全体の動作を制御する。
【0097】
取得機能251は、例えば、
図14の符号2443のレコードに示すような、対象者30aの感染症の発症に関するPHRをさらに取得する。この場合において、判定機能252は、対象者30aが、対象者30aの段階が「通常」又は「経過観察」のいずれの段階にあるかにかかわらず、
図12の符号2423に示す条件ID「A071」の発動条件「感染症発症」に該当したと判定する。そして、判定機能252は、判定結果を出力機能253に出力する。出力機能253は、
図1に示す対象者30aの第1端末40aに、
図13に示す指示テーブル243の符号2437に示す指示ID「M019」に対応するメッセージを出力する。また、出力機能253は、
図13に示す指示テーブル243の符号2438に示す指示ID「M052」に対応する「鉄道やバスへの乗車の抑止」に関する指示を、交通機関のサーバに出力する。
【0098】
また、取得機能251は、例えば、対象者30aの感染症が治癒したことを示すPHRを取得する。この場合において、判定機能252は、対象者30aの状態が、
図12の符号2423に示す条件ID「A071」の解除条件に該当したと判定し、判定結果を出力機能253に出力する。出力機能253は、指示ID「M019」の改善指示を解除する指示を、第1端末40aに出力する。また、出力機能253は、指示ID「M052」の改善指示を解除する指示を、交通機関のサーバに出力する。
【0099】
このように、第2の実施形態によれば、判定機能252は、前記対象者の行動により、前記対象者又は第三者の状態の悪化の可能性があるか否かを判定する。また、出力機能253は、前記悪化の可能性があると判定された場合に、前記健康改善に関する指示として、前記対象者の行動の制約を指示する情報を出力する。これにより、感染症を発症した対象者の行動による感染症の拡大等を抑止することができる。
【0100】
本実施形態では、感染症の第三者への感染の拡大のおそれがある場合に交通機関の利用を抑止する改善指示が出力される構成について開示したが、これに限られない。例えば、情報管理装置20は、対象者30が鉄道やバス等の交通機関を利用することにより、要求される運動量の低下が懸念される場合にも、交通機関の利用を抑止する改善指示を出力するような構成であってもよい。また、交通機関の利用を抑止する改善指示は、例えば、最寄駅の手前の駅でアラームが鳴る等、対象者30に運動を促すような改善指示であってもよい。なお、交通機関の利用による運動量の低下は、対象者の状態の悪化の可能性の一例である。
【0101】
なお、出力される改善指示の内容は、各実施形態で説明したものに限られない。例えば、注意喚起のメッセージが、対象者30の第1端末40や、医師のパソコンに出力される例を説明したが、これに限られず。対象者30の家族の端末や、対象者30が勤務する企業の上司の端末等に出力されるような改善指示であってもよい。また、テレビ画面や、街頭のディスプレイ等、その他の装置に対象者30に対するメッセージが表示されるような改善指示であってもよい。また、刺激を与える改善指示は、例えば、対象者30に症状を疑似体験させる薬剤を投与する指示や、対象者30に呼吸困難を疑似体験させる指示等、公知の症状の疑似体験に関する指示であってもよい。
【0102】
上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0103】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0104】
また、各実施の形態における情報管理システムの構成は上記したものに限られず、例えば、第1端末40又は第2端末50等のその他のコンピュータが処理回路15の一部又は全部の機能を実装してもよく、また記憶回路14が記憶する内容の一部又は全部を記憶してもよい。また、情報管理装置10の処理回路15が備える各機能がクラウド上に実装され、記憶回路14が記憶する内容がクラウド上に記憶されてもよい。
【0105】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、対象者の健康増進を効果的に促進することができる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1 情報管理システム
10 情報管理装置
11 通信I/F
12 入力I/F
13 ディスプレイ
14 記憶回路
141 対象者データ
142 条件テーブル
143 指示テーブル
144 PHRデータ
15 処理回路
151 取得機能
152 判定機能
153 出力機能