(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】天板付き什器システム
(51)【国際特許分類】
A47B 17/00 20060101AFI20231211BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A47B17/00 C
A47B13/00 Z
A47B13/00 B
(21)【出願番号】P 2019194792
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇之
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼本 隆之
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-299462(JP,A)
【文献】実開平03-013848(JP,U)
【文献】特開平04-117911(JP,A)
【文献】実開平06-013562(JP,U)
【文献】特開2003-289952(JP,A)
【文献】登録実用新案第3024260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 17/00
A47B 31/00
A47B 13/00-13/02
A47B 21/06
A47B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物品収納空間を有し、且つ床面に転動可能に載置される転動具、及び指先を引掛け可能な把持部を有するワゴンと、
前記床面上に左右方向に間隔をあけて配置された一対の支持脚、及び前記支持脚に支持された天板を備え、前記天板の下方に前記ワゴンを配置可能とする下部空間が確保された天板付き什器と、を備え、
前記ワゴンは、前記物品収納空間を挟んで前記左右方向の一方側が閉塞され、且つ他方側から前記物品収納空間内に物品を収納可能に構成され、
前記把持部は、前記物品収納空間を間に挟んで
前後方向に向かい合うように一対設けられ、
前記天板付き什器は、
一対の前記支持脚同士の間に架け渡されるように配置されると共に、前記下部空間の後方側に配置された幕板部と、
前記幕板部に設けられ、前記下部空間内に前記ワゴンを配置したときに、前記把持部を収納可能な収納部と、を備え
、
前記ワゴンは、前記ワゴンの向きを前後逆向きで前記天板の下方に配置可能とされていることを特徴とする天板付き什器システム。
【請求項2】
内部に物品収納空間を有し、且つ床面に転動可能に載置される転動具、及び指先を引掛け可能な把持部を有するワゴンと、
前記床面上に左右方向に間隔をあけて配置された一対の支持脚、及び前記支持脚に支持された天板を備え、前記天板の下方に前記ワゴンを配置可能とする下部空間が確保された天板付き什器と、を備え、
前記把持部は、前記物品収納空間を間に挟んで向かい合うように一対設けられ、
前記天板付き什器は、
一対の前記支持脚同士の間に架け渡されるように配置されると共に、前記下部空間の後方側に配置された幕板部と、
前記幕板部に設けられ、前記下部空間内に前記ワゴンを配置したときに、前記把持部を収納可能な収納部と、を備え、
前記幕板部は、
一対の前記支持脚同士の間に配置された幕板本体と、
前記幕板本体よりも前記下部空間側に配置され、前記幕板本体及び前記天板との間に配線空間を画成させる配線ダクト部と、を備え、
前記収納部は、前記下部空間側から前記幕板本体側に向けて窪むように前記配線ダクト部に凹状に形成されている、天板付き什器システム。
【請求項3】
請求項2に記載の天板付き什器システムにおいて、
前記配線ダクト部は、
前記幕板本体側から前方に向けて延びる受板、及び前記受板の前端縁から上方に向けて起立した起立板を有する配線受け部と、
前記配線受け部に対して前方から離脱可能に組み合わされ、前記配線受け部との間に前記配線空間を画成させる配線カバーと、を備え、
前記収納部は、前記配線カバーに形成されている、天板付き什器システム。
【請求項4】
請求項3に記載の天板付き什器システムにおいて、
前記配線カバーは、前記配線受け部に対して係脱可能な第1係止部を有し、該第1係止部による係止によって前記配線受け部に対して組み合わされている、天板付き什器システム。
【請求項5】
請求項4に記載の天板付き什器システムにおいて、
前記配線ダクト部は、前記受板の上面に取り付けられると共に、前記配線カバーを下方から支持した状態で前記配線受け部と前記配線カバーとを連結する連結具を備え、
前記配線カバーは、前記連結具に対して係脱可能な第2係止部を有し、該第2係止部による係止によって前記連結具に対して組み合わされている、天板付き什器システム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載の天板付き什器システムにおいて、
前記配線ダクト部及び前記収納部は、前記天板の左右方向に沿った横幅に対応して、左右方向に連続的に延びるように形成されている、天板付き什器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板付き什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、公共施設、医療施設、研究施設等の執務空間においては、執務を効率的に行うために、デスク装置等の天板付き什器が多く用いられている。この種の天板付き什器の側には、執務に使用する各種の物品等を収納するためにワゴンが設置され、天板付き什器と併用して使用される場合がある。
このように、互いにセットとして使用される天板付き什器及びワゴンは、天板付き什器システムとして用いられる。
【0003】
一般的にワゴンは、物品を収納するための物品収納空間が内部に形成されたワゴン本体に、床面上に転動可能に載置されるキャスタ等の転動体が組み合わされている。これにより、転動体を利用してワゴンを自在に移動させることができ、例えばワゴンを使い易い位置に配置した状態で天板付き什器と併用して利用することが可能となる。
【0004】
ところで、天板付き什器システムを利用して執務を行う際、執務者は必要に応じてデスクにおける天板の下方の下部空間内からワゴンを引き出して、物品収納空間内に収納されている各種の物品(書類等)を取り出すことがあるものの、通常時はワゴンを天板の下方に押し込んで下部空間内に配置したままの状態で執務を行う場合が多い。
【0005】
しかしながら、このような場合において、例えば配線ダクトや棚板等が下部空間内に位置するようにデスクに設けられている場合には、これら配線ダクトや棚板等に対するワゴンの接触(干渉)を防止するために、ワゴンの押し込み量が制限される場合があった。そのため、天板の下方にワゴン全体が収納される程度まで、ワゴンを押し込むような使い方を行うことが難しい場合があった。
【0006】
そこで、デスクと併用して使用可能なワゴンとして、例えば下記特許文献1に示されるように、配線ダクトが入り込み可能な切欠部を具備するワゴンが知られている。このワゴンによれば、切欠部を利用して配線ダクトとの接触を防止することが可能となるので、例えば天板の下方にワゴン全体が収納される程度までワゴンを押し込むことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、切欠部が形成された上記従来のワゴンでは、切欠部のスペース分だけ内部容量が低下してしまうので、物品収納空間として利用できる空間容積が低下してしまう。従って、機能性及び収納性が低下したワゴンとなってしまい、改善の余地がある。
【0009】
さらに、この種のワゴンとして、移動性を向上させるために例えばハンドル等の取手が左右両側にそれぞれ取り付けられた取手付きのワゴンが従来より知られている。このような取手付きのワゴンをデスクと併用して使用する場合、配線ダクト等に取手が先に干渉し易くなってしまうので、天板の下方にワゴン全体が収納される程度までワゴンを押し込むことが難しい。それに加え、配線ダクト等に対して取手が干渉した場合には、取手に傷等が付いてしまったり、取手自体が破損したりする可能性があった。
【0010】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、物品収納空間として利用できる空間容積を低下させることなく、天板の下方の下部空間内に一対の把持部を具備するワゴンを十分に押し込むように配置することが可能な天板付き什器システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る天板付き什器システムは、内部に物品収納空間を有し、且つ床面に転動可能に載置される転動具、及び指先を引掛け可能な把持部を有するワゴンと、前記床面上に左右方向に間隔をあけて配置された一対の支持脚、及び前記支持脚に支持された天板を備え、前記天板の下方に前記ワゴンを配置可能とする下部空間が確保された天板付き什器と、を備え、前記把持部は、前記物品収納空間を間に挟んで向かい合うように一対設けられ、前記天板付き什器は、一対の前記支持脚同士の間に架け渡されるように配置されると共に、前記下部空間の後方側に配置された幕板部と、前記幕板部に設けられ、前記下部空間内に前記ワゴンを配置したときに、前記把持部を収納可能な収納部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る天板付き什器システムによれば、把持部を利用してワゴンを操作でき、転動具を介してワゴンを容易に移動させることができる。そのため、把持部を利用して下部空間内へのワゴンの出し入れを容易且つスムーズに行うことができる。従って、天板の下方からワゴンを引き出した位置と、天板の下方にワゴンを収納した位置との間で、必要に応じてワゴンを出し入れしながら執務を行うことが可能である。それに加え、把持部が一対設けられているので、例えばワゴンの向きを前後逆にしながらワゴンを設置することが可能である。従って、天板付き什器に対するワゴンの組み合わせパターンの多様化を図ることができ、使い勝手の良い天板付き什器システムとすることができる。
【0013】
特に、天板の下方にワゴンを押し込んで下部空間内にワゴンを収納するような使い方を行う際、幕板部に設けられた収納部内に把持部を収納させることができる。これにより、天板の下方の下部空間内にワゴンを十分に押し込むことができ、例えば天板の下方にワゴン全体が収納される程度までワゴンを押し込むことが可能である。従って、ワゴンの飛び出しを気にすることなく効率良く執務を行うことができ、使い勝手に優れた天板付き什器システムとすることができる。
さらに、天板の下方の下部空間内にワゴンを十分に押し込んだとしても、収納部内に把持部を収納できるので、従来とは異なり、把持部に傷等が付くことや、把持部自体が破損する等といった不都合が生じ難い。
さらに、従来のようにワゴン自体に切欠部等を設ける必要がないので、物品収納空間として利用できる空間容積を低下させることがない。そのため、十分な容量の物品収納空間を確保することができ、機能性及び収納性に優れたワゴンを具備する天板付き什器システムとすることができる。
【0014】
(2)前記幕板部は、一対の前記支持脚同士の間に配置された幕板本体と、前記幕板本体よりも前記下部空間側に配置され、前記幕板本体及び前記天板との間に配線空間を画成させる配線ダクト部と、を備え、前記収納部は、前記下部空間側から前記幕板本体側に向けて窪むように前記配線ダクト部に凹状に形成されても良い。
【0015】
この場合には、配線ダクト部によって画成された配線空間を利用して、各種の電子機器に接続される配線類を天板の下方に隠れるように収納することができる。従って、各種の電子機器の使用に対応できる使い易い天板付き什器システムとすることができる。また、収納部は、配線ダクト部に凹状に形成されているので、ワゴンの収納時に、収納部の内側に収納した把持部と配線空間内に収納した配線類とを区画でき、両者が接触することを防止することが可能である。
【0016】
(3)前記配線ダクト部は、前記幕板本体側から前方に向けて延びる受板、及び前記受板の前端縁から上方に向けて起立した起立板を有する配線受け部と、前記配線受け部に対して前方から離脱可能に組み合わされ、前記配線受け部との間に前記配線空間を画成させる配線カバーと、を備え、前記収納部は、前記配線カバーに形成されても良い。
【0017】
この場合には、配線受け部に対して配線カバーを着脱させることができるので、配線空間内に配線類を容易且つ適切に収納することができ、さらに使い易い天板付き什器システムとすることができる。また、配線カバーに収納部が形成されているので、配線カバーを着脱操作する際に、例えば収納部内に指先を入れる等して、配線カバーを適切且つ安定に把持することが可能である。従って、配線カバーの着脱操作性の向上化にも繋げることができる。
【0018】
(4)前記配線カバーは、前記配線受け部に対して係脱可能な第1係止部を有し、該第1係止部による係止によって前記配線受け部に対して組み合わされても良い。
【0019】
この場合には、配線受け部に対して第1係止部を係止することで配線カバーを取り付けることができるので、ねじ部材等を用いることなく配線カバーをワンタッチで着脱することができる。
【0020】
(5)前記配線ダクト部は、前記受板の上面に取り付けられると共に、前記配線カバーを下方から支持した状態で前記配線受け部と前記配線カバーとを連結する連結具を備え、前記配線カバーは、前記連結具に対して係脱可能な第2係止部を有し、該第2係止部による係止によって前記連結具に対して組み合わされても良い。
【0021】
この場合には、連結具を利用して配線カバーを下方から支持した状態で、配線受け部と配線カバーとを連結できるので、配線カバーの姿勢を長期に亘って安定に維持することができる。従って、配線カバーに形成された収納部を利用して、安定して把持部を収納することができるうえ、例えば配線空間が狭くなってしまうような不都合が生じ難い。
さらに、配線受け部に取り付けられた連結具に対して第2係止部を係止することで配線カバーを取り付けることができるので、連結具に対しても配線カバーをワンタッチで着脱することができる。
【0022】
(6)前記配線ダクト部及び前記収納部は、前記天板の左右方向に沿った横幅に対応して、左右方向に連続的に延びるように形成されても良い。
【0023】
この場合には、天板付き什器の右側或いは左側等、任意の位置にワゴンを設置することができるので、天板付き什器に対するワゴンの組み合わせパターンのさらなる多様化を図ることができ、使い勝手の良い天板付き什器システムとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、物品収納空間として利用できる空間容積を低下させることなく、天板の下方の下部空間内に一対の把持部を具備するワゴンを十分に押し込むように配置することが可能な天板付き什器システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態を示す図であって、デスクの下方からワゴンを引き出した状態を示すデスクセットの斜視図である。
【
図2】
図1に示すワゴンをデスクの下方に押し込んだ状態を示すデスクセットの斜視図である。
【
図4】
図3に示すワゴンを矢印A方向から見た側面図である。
【
図5】
図3に示すワゴンにおける天板部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示すデスクを前方側から見た斜視図である。
【
図7】
図1に示すデスクを後方側から見た斜視図である。
【
図8】
図2に示す状態において、ワゴンの把持部を収納部に収納した状態を示す側面図である。
【
図9】
図6に示す状態において、配線ダクト部の周辺を拡大した斜視図である。
【
図10】
図9に示す配線ダクト部を後方側から見た斜視図である。
【
図11】
図10に示す状態から配線カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図9に示す状態から配線カバーを取り外した状態を前方側から見た斜視図である。
【
図13】
図9に示す状態から右側配線カバーを取り外した状態を前方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のデスクセット(本発明に係る天板付き什器システム)1は、ワゴン2と、天板11の下方にワゴン2を配置可能とする下部空間4が確保されたデスク(本発明に係る天板付き什器)3と、を備えている。
【0027】
デスク3は、床面F上に間隔をあけて配置された4本の支持脚10と、これら支持脚10に支持された天板11と、を備え、例えばオフィス等の執務室内に設置される。天板11の下方にはワゴン2を配置可能とする下部空間4が確保されている。これにより、
図1に示すように天板11の下方からワゴン2を引き出した位置と、
図2に示すように天板11の下方にワゴン2を収納した位置との間で、必要に応じてワゴン2を出し入れしながら執務を行うことが可能とされている。
【0028】
なお、
図1に示すようにワゴン2を天板11の下方から引き出した場合には、デスク3を利用して執務を行う執務者が着座する図示しない椅子の傍にワゴン2を配置することが可能とされている。これにより、ワゴン2に収納されている各種の図示しない物品(例えば書類やファイル等)を容易に取り出すことが可能とされていると共に、ワゴン2における天板部31の上面に図示しない軽量の物品を載置することが可能とされている。
【0029】
なお、本実施形態では、天板11の平面視において互いに直交する2方向を前後方向L1及び左右方向L2という。さらに前後方向L1のうち執務者側を前方といい、その反対方向を後方という。さらに、椅子に着座した状態でデスク3を利用する執務者の視点で左右を定義する。
【0030】
(ワゴン)
図1、
図3~
図5に示すように、ワゴン2は、内部に図示しない物品を収納可能な物品収納空間Rを有するワゴン本体20と、ワゴン本体20に取り付けられ、床面Fに転動可能に載置されるキャスタ(本発明に係る転動具)21と、を備えている。
【0031】
ワゴン本体20は、所定の高さH1を有する概略直方体状に形成されている。具体的には、ワゴン本体20は、左右方向L2に沿った奥行Dよりも前後方向L1に沿った幅Wの方が長く、且つ幅Wよりも上下方向L3に沿った高さH1の方が長い直方体状に形成されている。
なお、ワゴン本体20の高さH1に、キャスタ21の高さH2を加えたワゴン2全体の高さH3は、床面Fとデスク3における天板11の下面までの高さH4よりも低く設定されている。これにより、下部空間4を利用して、天板11の下方にワゴン2を配置することが可能とされている。
【0032】
ワゴン本体20は、物品収納空間Rが左右方向L2に開放されたオープンタイプとされ、例えば
図1に示すように、物品収納空間Rが椅子に着座したときの執務者側に向かい合うように、デスク3の左側に配置されて使用される。ただし、デスク3に対するワゴン2の組み合わせ位置は、この場合に限定されるものではなく、例えば執務者のニーズに応じて適宜変更して構わない。
本実施形態では、
図1に示すように、物品収納空間Rが右側に向けて開口した状態で、デスク3の左側にワゴン2を配置した場合を想定して説明を行う。
【0033】
図3~
図5に示すように、ワゴン本体20は、キャスタ21が取り付けられる底板部30と、底板部30の上方に配置された天板部31と、前後方向L1に互いに向かい合った状態で上下方向L3及び左右方向L2に沿って配置され、底板部30と天板部31とを繋ぐ前板部32及び後板部33と、上下方向L3及び前後方向L1に沿って配置された背板部34と、を備えている。
【0034】
ワゴン本体20は、上述した底板部30、天板部31、前板部32、後板部33及び背板部34が一体に組み合わされることで、これらの各板部によって囲まれる内部空間が、常時開口する物品収納空間Rとして機能する構成とされている。
なお、この場合に限定されるものではなく、例えば開閉可能な操作扉(回動式或いはスライド式等)を具備し、操作扉を開操作することで物品収納空間Rが開放される構成としても構わない。さらには、引き出し操作可能な収納棚を具備し、収納棚の内部空間を物品収納空間Rとして機能させても構わない。
【0035】
本実施形態のワゴン本体20は、前板部32及び後板部33の間に架け渡されるように、取り外し可能に組み合わされる中間棚板部35を具備している。そのため、中間棚板部35を利用して物品収納空間Rを上下に区画することが可能とされている。
物品収納空間Rのうち、中間棚板部35よりも上方に位置する空間が上部収納空間R1とされ、中間棚板部35よりも下方に位置する空間が下部収納空間R2とされる。
【0036】
図4に示すように、底板部30は、所定の厚みT1を有する枠状に形成された底枠30aと、底枠30aを覆うように形成された底板本体30bと、を備え、全体として左右方向L2よりも前後方向L1に長い平面視長方形状に形成されている。
【0037】
本実施形態では、底枠30a及び底板本体30bは、例えばスチール等の剛性を有する金属プレートを折曲加工すること等によって一体に形成されている。具体的には、底枠30aは、底板本体30bにおける4辺の外周縁部を下方に向けて折曲加工され、且つ断面U字状に折曲加工されることで形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば底枠30a及び底板本体30bを別体に形成したうえで、スポット溶接やねじ結合等によって一体に組み合わせることで底板部30を構成しても構わない。
【0038】
上述のように構成された底板部30には、4つのキャスタ21が取り付けられている。
各キャスタ21は、底枠30aの内側に収まるように底板本体30bの下面に図示しない支持枠を介して取り付けられている。キャスタ21及び支持枠は、底枠30aの四隅にそれぞれ位置するように前後方向L1及び左右方向L2に間隔をあけて配置され、例えばスポット溶接等によって底板部30に取り付けられている。
【0039】
キャスタ21は、いわゆる低床キャスタとされ、上下方向L3に平行な第1回転軸線及び床面Fに平行な第2回転軸線回りに回転可能な車輪21aを備えている。そのため、車輪21aは床面Fの面内において回転規制されることなく自在に回転可能とされている。従って、ワゴン2の全体を床面F上で容易且つスムーズに移動させることが可能とされている。
【0040】
キャスタ21は、
図4に示すように、底枠30aの下面からキャスタ21の全体が下方に突出する構成ではなく、主に車輪21aが半分程度下方に突出する構成とされている。なお、底枠30aの下面よりも車輪21aが下方に突出する飛び出し高さを、キャスタ21の高さH2としている。
そのため、デスク3における天板11の下方に予め確保された下部空間4という高さH4の制限下において、キャスタ21に関しては車輪21aの飛び出し高さ分だけを考慮すればよいので、その分、ワゴン本体20の高さH1を大きく確保することが可能とされている。
【0041】
図3~
図5に示すように、前板部32、後板部33及び背板部34は、例えばスチール等の剛性を有する金属プレートを折曲加工すること等によって一体に形成されている。具体的には、金属プレートを平面視C字状に折曲加工し、前後方向L1に向かい合った部分を前板部32及び後板部33としていると共に、残りの部分を背板部34としている。
【0042】
ただし、前板部32、後板部33及び背板部34は一体に形成されている場合に限定されるものではなく、例えばそれぞれ別体に形成したうえで、スポット溶接やねじ結合等によって一体に組み合わせることで構成しても構わない。この場合には、前板部32、後板部33及び背板部34のそれぞれを、例えば枠部材及びプレート部材等を適宜組み合わせることで構成しても構わない。
【0043】
なお、本実施形態の前板部32及び後板部33における右端縁(物品収納空間Rの開口側に位置する端縁)には、物品収納空間R側に向けて平面視C字状に折り曲げられた折曲縁部32a、33aがそれぞれ形成されている。
【0044】
さらに、前板部32及び後板部33には、上下方向L3に延びる第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41がそれぞれ一体に組み合わされている。図示の例では、第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41は、前板部32及び後板部33に対してスポット溶接によって組み合わされている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばねじ結合によって、第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41を前板部32及び後板部33に対して組み合わせても構わない。
【0045】
第1縦補強部材40は、前板部32及び後板部33における上下方向L3の全長に亘って延びるように形成され、前板部32及び後板部33の右端縁寄りに配置されている。第2縦補強部材41は、前板部32及び後板部33における上下方向L3の全長に亘って延びるように形成され、第1縦補強部材40よりも背板部34側(左側)寄りに配置されている。
【0046】
第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41には、中間棚板部35を取り付けるための棚板受座43を離脱可能に係止させる係止孔42がそれぞれ複数形成されている。
これら係止孔42は、第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41における上下方向L3の中央領域に集中して形成され、所定の間隔をあけて上下方向L3に並ぶように配置されている。
【0047】
上述のように構成された前板部32、後板部33及び背板部34は、底板部30に対して例えばスポット溶接によって一体的に組み合わされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばねじ結合等によって組み合わせても構わない。
【0048】
中間棚板部35は、4つの棚板受座43を利用して第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41に取り外し可能に支持されている。
中間棚板部35は、所定の厚みT2を有する枠状に形成された中間枠35aと、中間枠35aを覆うように形成された中間棚板35bと、を備え、全体として左右方向L2よりも前後方向L1に長い平面視長方形状に形成されている。
【0049】
本実施形態では、中間枠35a及び中間棚板35bは、例えばスチール等の剛性を有する金属プレートを折曲加工すること等によって一体に形成されている。具体的には、中間枠35aは、中間棚板35bにおける4辺の外周縁部を下方に向けて折曲加工され、且つ断面U字状に折曲加工されることで形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば中間枠35a及び中間棚板35bを別体に形成したうえで、スポット溶接やねじ結合等によって一体に組み合わせることで中間棚板部35を構成しても構わない。
【0050】
図5に示すように、4つの棚板受座43は、例えば金属プレートが複数に亘って折曲加工された金属金具であって、前板部32側に取り付けられた第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41における2つの係止孔42と、後板部33側に取り付けられた第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41における2つの係止孔42との合計4つの係止孔42にそれぞれ係止される。さらに各棚板受座43は、中間枠35aを下方から支持することが可能とされている。
【0051】
これにより、中間棚板部35は、4つの棚板受座43によって下方から支持された状態で、前板部32と後板部33との間に架け渡された状態で安定的に支持される。先に述べたように、中間棚板部35を取り付けることで、物品収納空間Rを上下に区分けすることができ、中間棚板部35よりも上方を上部収納空間R1として利用できると共に、中間棚板部35よりも下方を下部収納空間R2として利用することが可能である。
【0052】
なお、上部収納空間R1を利用して物品を収納する場合には、中間棚板部35の上面に物品を載置することで利用することが可能である。また、下部収納空間R2を利用して物品を収納する場合には、底板部30の上面に物品を載置することで利用することが可能である。
【0053】
図3~
図5に示すように、天板部31は、スチール等の剛性を有する金属プレートで形成された天板プレート50と、天板プレート50に対して一体的に組み合わされた帯状のフランジ片51と、天板プレート50に対して一体的に組み合わされた一対の接続片52と、を備えている。
【0054】
天板プレート50は、左右方向L2よりも前後方向L1に長い平面視長方形状に形成され、前板部32、後板部33及び背板部34の上端縁に対して上方から重なった状態で配置されている。
特に、天板プレート50は、左右方向L2に沿った長さがワゴン本体20の奥行Dと同等とされ、前後方向L1に沿った長さがワゴン本体20の幅Wよりも長くなるように形成されている。これにより、天板プレート50は、ワゴン本体20よりも前後方向L1に長く形成されると共に、前板部32及び後板部33よりも外方に向けて突出するように形成されている。
【0055】
天板プレート50における前側端縁、後側端縁及び左側端縁には、下方に向けてそれぞれ折り曲げられた図示しない連結片が形成されている。
フランジ片51は、天板プレート50の外縁部に沿って連続的に延びる帯状に形成されると共に、天板プレート50を外側から囲む枠状に形成されている。フランジ片51は、上記連結片を利用して天板プレート50に組み合わされている。
【0056】
図5に示すように、フランジ片51と、ワゴン本体20における前板部32及び後板部33との間には、下方に向けて開口すると共に、指先を下方から差し込み下方な把持空間53が形成されている。これにより、把持空間53内に指先を差し込みながら、フランジ片51を把持することが可能とされている。
従って、フランジ片51のうち、物品収納空間Rを挟んで左右方向L2に向かい合うように配置された部分は、一対の把持部54として機能する。
【0057】
図5に示すように、接続片52は、前後方向L1に延びるL字状に形成され、天板プレート50の下面に例えばスポット溶接等によって一体的に組み合わされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばねじ結合等によって接続片52を固定しても構わない。
【0058】
接続片52は、下方に向けて延びると共に、第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41に対して前後方向L1に重なるように接触する垂下片52aを有している。垂下片52aには、該垂下片52aを貫通する図示しない貫通孔が左右方向L2に間隔をあけて形成されている。
【0059】
上述のように構成された天板部31は、4本の連結ねじ55を利用して、前板部32、後板部33及び背板部34に対して上方に向けて取り外し可能に連結されている。
4本の連結ねじ55は、物品収納空間Rの内側から貫通孔を通じて第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41に対して螺着される。これにより、天板部31は、4本の連結ねじ55を介して第1縦補強部材40及び第2縦補強部材41が設けられた前板部32及び後板部33に対して強固に固定された状態で組み合わされている。
【0060】
上述のように構成されたワゴン2は、
図4に示すように、キャスタ21を含めた全体の高さH3が例えば680mm~710mmの範囲内に収まる高さに設定されている。そのため、床面Fとデスク3における天板11の下面との間の高さH4が予め決められたJIS規格の範囲内を満足している状況下において、ワゴン2の全体の高さをできるだけ大きく確保している。
【0061】
そのうえで、天板プレート50の厚みT3を、底板部30の厚みT1及び中間棚板部35の厚みT2よりも薄く形成している。具体的には、天板プレート50の厚みT3を10mm未満としている。なお、中間棚板部35の厚みT2及び底板部30の厚みT1は、物品を載置するための剛性を確保するために10mm以上としている。
特に、天板プレート50の厚みT3を10mm未満としているので、底板部30と中間棚板部35との間に形成される下部収納空間R2、及び中間棚板部35と天板部31との間に形成される上部収納空間R1を、例えば上下方向L3の高さが310mm~320mmの範囲内に収まる大容量空間として確保することが可能である。
【0062】
従って、上部収納空間R1内及び下部収納空間R2内に、物品として、例えば国際標準規格のA4サイズの各種書類をそれぞれ縦置きで収納することが可能とされている。これにより、例えば国際標準規格のA4サイズの各種書類をファイリングしたA4ファイル等を、その背表紙を外側に露出させた縦置き状態で、上下に2段収納するといった収納を行うことが可能である。
【0063】
(デスク)
図1、
図6及び
図7に示すように、デスク3は、先に述べたように4本の支持脚10及び天板11を備えている。天板11は、前後方向L1よりも左右方向L2に長い平面視長方形状に形成されている。ただし、天板11の形状は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0064】
4本の支持脚10は、前後方向L1及び左右方向L2に間隔をあけて配置され、天板11の四隅を下方から支持している。図示の例では、4本の支持脚10のうち左右の両側にそれぞれ配置される一対の支持脚10は、前後方向L1に延びる連結脚12によって互いに連結されている。ただし、連結脚12は必須なものではなく、具備しなくて構わない。
【0065】
さらに本実施形態のデスク3は、左右の両側に配置される一対の支持脚10同士の間に、左右方向L2に架け渡されるように配置されると共に、下部空間4の後方側に配置された幕板部60を備えている。さらに幕板部60には、
図8に示すように、天板11の下方の下部空間4内にワゴン2を配置したときに、把持部54を収納可能な収納部61が設けられている。
これら幕板部60及び収納部61について、詳細に説明する。
【0066】
図6及び
図7に示すように、幕板部60は、左右の両側に配置される一対の支持脚10同士の間に配置された立壁(本発明に係る幕板本体)70と、立壁70よりも下部空間4側、すなわち前方側に配置され、立壁70と天板11との間に配線空間72を画成させる配線ダクト部71と、を備えている。
【0067】
立壁70は、左右方向L2の両端部が、左右の両側に配置される一対の支持脚10に対してそれぞれ取り付けられている。なお、立壁70の取付け方法としては、特に限定されるものではなく、例えばねじ結合や係合等を採用することができる。
図示の例では、立壁70は、床面F及び天板11との間に所定の隙間をあけた状態で取り付けられている。そのため、立壁70は、下部空間4の全体を後方側から閉塞するのではなく、下部空間4を後方側から部分的に閉塞するように取り付けられている。
【0068】
ただし、この場合に限定されるものではなく、下部空間4の全体を後方側から閉塞するように立壁70を構成しても構わない。さらに、立壁70は左右の両側に配置される一対の支持脚10同士の間に配置されていれば良く、例えば天板11の下面から垂下するように天板11に取り付けられていても構わない。
【0069】
図6、
図9及び
図10に示すように、配線ダクト部71は、配線受け部80と、配線受け部80に対して前方から離脱可能に組み合わされた配線カバー90と、配線カバー90を下方から支持した状態で配線受け部80と配線カバー90とを連結する連結具100と、を備えている。なお、
図9では立壁70の図示を省略している。
このように配線ダクト部71は、互いに組み合わされた配線受け部80及び配線カバー90によって、上方に開口した有底のボックス状に形成されている。また、配線ダクト部71は、天板11の左右方向L2に沿った横幅に対応して、左右方向L2に連続的に延びるように横長に形成されている。
【0070】
配線受け部80は、立壁70と平行に配置され、立壁70に対して前方から接触する垂直板81と、垂直板81の上端縁から前方に向けて延びる係止板82と、垂直板81の下端縁から前方に向けて延びる受板83と、受板83の前端縁から上方に向けて起立した起立板84と、を備えている。
なお、配線受け部80は、スチール等の剛性を有する金属プレートを折曲加工することで、垂直板81、係止板82、受板83及び起立板84が連設した構成とされている。ただし、配線受け部80は、金属製に限定されるものではなく、例えば合成樹脂製としても構わない。
【0071】
このように構成された配線受け部80は、立壁70の横幅と同程度の長さとなるように左右方向L2に連続的に延びるように形成され、立壁70に対して組み合わされている。具体的には、配線受け部80は、係止板82が立壁70の上端縁に形成された係止爪70a(
図6参照)によって係止されることで、吊り下げられるように立壁70に対して組み合わされている。これにより、配線ダクト部71の全体は立壁70に対して組み合わされている。
【0072】
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば配線受け部80を立壁70に対してねじ結合等によって取り付けても構わないし、天板11の下面に対してねじ結合等によって取り付けることで立壁70の前側に配置する構成としても構わない。
【0073】
図11に示すように、受板83の後面側には、連結具100を位置決めするための位置決め溝85が形成されている。なお、
図11では配線カバー90を取り外した状態を図示している。位置決め溝85は、後方から見た平面視で例えば四角状に形成され、左右方向L2に間隔をあけて3つ形成されている。ただし、位置決め溝85の形状や個数等は、この場合に限定されるものではない。
【0074】
図6、
図9及び
図10に示すように、配線カバー90は、上述のように構成された配線受け部80に対して前方から離脱可能に組み合わされることで、配線受け部80、天板11及び立壁70との間に配線空間72を画成させることが可能とされている。
【0075】
配線カバー90は、配線受け部80の左右方向L2に沿った横幅に対応して、左右方向L2に連続的に延びるように横長に形成されている。これにより、配線カバー90は、配線受け部80の全長に亘って組み合わされている。
【0076】
本実施形態の配線カバー90は、左右方向L2の中間部で左右に2分割可能とされている。従って、配線カバー90のうち右側に位置する右側配線カバー91、及び左側に位置する左側配線カバー92を選択的に取り外すことが可能とされている。例えば
図12に示すように、右側配線カバー91及び左側配線カバー92の両方を取り外すことや、
図13に示すように、右側配線カバー91だけを取り外すことが可能とされている。
なお、
図12及び
図13では、立壁70の図示を省略している。また、右側配線カバー91及び左側配線カバー92は、同一の構成とされている。
【0077】
ただし、配線カバー90は分割されている必要はなく、左右方向L2に長い長尺の1枚構造とされていても構わない。さらには、配線カバー90を分割構造とする場合には、2分割に限定されるものではなく、例えば3分割以上の多分割であっても構わない。
【0078】
図9、
図10及び
図14に示すように、配線カバー90(右側配線カバー91及び左側配線カバー92)は、配線受け部80における起立板84に対して前方から接触する下側カバー板93と、下側カバー板93の上端縁より僅かに下方に位置する部分から後方に向かって延びた接続板94と、接続板94の後端縁から上方に向かって起立すると共に天板11の下面に対して接触する上側カバー板95と、を備えている。
なお、配線カバー90は、スチール等の剛性を有する金属プレートを折曲加工することで、下側カバー板93、接続板94及び上側カバー板95が連設した構成とされている。ただし、配線カバー90は、金属製に限定されるものではなく、例えば合成樹脂製としても構わない。
【0079】
下側カバー板93は、下端縁が受板83と同程度の高さに位置し、且つ上端縁が起立板84よりも上方であって係止板82よりも下方に位置するように形成されている。下側カバー板93には、後方に向かって突出した第1係止片(本発明に係る第1係止部)96及び第2係止片97が形成されている。
【0080】
第1係止片96は、配線受け部80における起立板84の上端縁に上方から接触すると共に、後方に向かうにしたがって下方に延びることで起立板84に対して係止可能とされている。これにより、第1係止片96は、起立板84に対して係脱可能とされている。
従って、配線カバー90の全体は、起立板84に対する第1係止片96の係止によって配線受け部80に対して前方から離脱可能に組み合わされている。
【0081】
第2係止片97は、起立板84のうち第1係止片96よりも上方に位置する部分から後方に向けて突出するように形成されている。第2係止片97は、後述する連結具100における上側係止爪103に対して下方から係止可能とされている。
【0082】
上側カバー板95の上端部は、前方に向けて折り返された頂板部95aとされている。これにより、配線カバー90は、頂板部95aを介して天板11の下面に対して面接触している。
接続板94における後端縁側は、下方に向かって膨らむ段差部98とされている。この段差部98は、後述する連結具100における連結具本体101の上端部に対して上方及び後方から係止可能とされている。
【0083】
図8~
図10に示すように、連結具100は、配線受け部80における受板83と配線カバー90の接続片52との間に位置するように、受板83の上面に取り付けられ、配線カバー90を下方から支持した状態で配線受け部80と配線カバー90とをさらに連結する役割を果たしている。
本実施形態では、配線受け部80における起立板84に形成された位置決め溝85の数に対応して3つの連結具100を具備している。ただし、連結具100の数はこの場合に限定されるものではない。
【0084】
図10及び
図15に示すように、連結具100は、横断面視C字状に形成され、上下方向L3に沿って延びる連結具本体101と、連結具本体101の下端部から前方に向かって延びると共に、左右方向L2に向かい合う一対の下側係止爪102と、連結具本体101の上端部から前方に向かって延びると共に、下方に向かって折り返された上側係止爪103と、を備えている。
【0085】
一対の下側係止爪102は、起立板84に形成された位置決め溝85の内側に後方から嵌まり込むように係止可能とされている。これにより、連結具100を上下方向L3及び左右方向L2に位置決めした状態で、配線受け部80における受板83の上面に連結具100を取り付けることが可能とされている。
【0086】
上側係止爪103は、配線カバー90における起立板84に対して後方から接触していると共に、接続片52に対して下方から接触している。これにより、連結具100は配線カバー90を下方から支持している。
なお、配線カバー90に形成された第2係止片97は、連結具100における上側係止片に対して下方から押し当たることで係止されている。また配線カバー90に形成された段差部98は、連結具本体101の上端部に対して上方及び後方側から押し当たることで係止されている。
従って、配線カバー90は、第2係止片97及び段差部98による係止によって、連結具100に対して組み合わされている。また第2係止片97及び段差部98は、連結具100に対して係脱可能な第2係止部99として機能する。
【0087】
図8に示すように、収納部61は、上述のように構成された配線ダクト部71に下部空間4側から立壁70側に向けて(すなわち前方側から後方側に向けて)窪むように凹状に形成されている。
具体的には、収納部61は配線カバー90に形成されている。先に述べたように、配線カバー90における上側カバー板95は、下側カバー板93よりも後方側に配置された状態で、接続片52を介して下側カバー板93に一体に連設されている。従って、上側カバー板95と接続片52とで画成される空間は、前方に向けて開口し、且つ後方側に凹んだ収納空間110として機能する。これにより、この収納空間110を利用して、ワゴン2における把持部54を収納することが可能とされている。
よって、上側カバー板95及び接続板94は、収納部61としても機能する。
【0088】
(デスクセットの作用)
次に、上述のように構成されたデスクセット1を使用する場合について説明する。
このデスクセット1では、
図1に示す把持部54を利用してワゴン2を操作でき、キャスタ21を介してワゴン2を床面F上で容易に移動させることができる。そのため、把持部54を利用して下部空間4内へのワゴン2の出し入れを容易且つスムーズに行うことができる。
【0089】
従って、
図1に示すように天板11の下方からワゴン2を引き出した位置と、
図2に示すように天板11の下方にワゴン2を収納した位置との間で、必要に応じてワゴン2を出し入れしながら執務を行うことが可能である。それに加え、把持部54が一対設けられているので、ワゴン2の向きを前後逆にしながらワゴン2を設置することが可能である。
しかも、
図6に示すように、配線ダクト部71及び収納部61は、天板11の左右方向L2に沿った横幅に対応して左右方向L2に連続的に延びるように形成されているので、例えばデスク3の右側或いは左側等、任意の位置にワゴン2を設置することができる。
従って、デスク3に対するワゴン2の組み合わせパターンの多様化を図ることができ、使い勝手の良いデスクセット1とすることができる。
【0090】
特に、
図2に示すように、天板11の下方にワゴン2を押し込んで下部空間4内にワゴン2を収納するような使い方を行う際、幕板部60に設けられた収納部61内に把持部54を収納させることができる。具体的には、
図8に示すように、配線カバー90に形成された収納部61における収納空間110内に把持部54を収納することができる。これにより、天板11の下方の下部空間4内にワゴン2を十分に押し込むことが可能とされ、例えば
図2に示すように天板11の下方にワゴン2の全体が収納される程度までワゴン2を押し込むことができる。従って、ワゴン2の飛び出しを気にすることなく、効率良く執務を行うことができ、使い勝手に優れたデスクセット1とすることができる。
【0091】
さらに、天板11の下方の下部空間4内にワゴン2を十分に押し込んだとしても、収納部61内に把持部54を収納できるので、従来とは異なり、把持部54に傷等が付くことや、把持部54自体が破損する等といった不都合が生じ難い。
【0092】
さらに、従来のようにワゴン2自体に切欠部を設ける必要がないので、物品収納空間Rとして利用できる空間容積を低下させることがない。そのため、十分な容量の物品収納空間Rを確保することができ、機能性及び収納性に優れたワゴン2を具備するデスクセット1とすることができる。
しかも、先に述べたように、ワゴン2における上部収納空間R1内及び下部収納空間R2内に、国際標準規格におけるA4サイズに対応したA4ファイル等を、その背表紙を外側に露出させた縦置き状態で上下に2段収納することができる。従って、高い収容量を具備するワゴン2を備えるデスクセット1とすることができ、執務を行い易い。
【0093】
以上説明したように、本実施形態のデスクセット1によれば、物品収納空間Rとして利用できる空間容積を低下させることなく、天板11の下方の下部空間4内に一対の把持部54を具備するワゴン2を十分に押し込むように配置することができるデスクセット1とすることができる。
【0094】
さらに、本実施形態のデスク3は、配線ダクト部71を有しているので、配線ダクト部71によって画成された配線空間72を利用して各種の電子機器に接続される配線類を天板11の下方に隠れるように収納することができる。従って、各種の電子機器の使用に対応できる使い易いデスクセット1とすることができる。
また、収納部61は配線ダクト部71に凹状に形成されているので、
図8に示すようにワゴン2の収納時に、収納部61における収納空間110に収納した把持部54と、配線空間72内に収納した配線類とを区画することができ、両者の接触を防止することが可能である。
【0095】
さらに、配線受け部80に対して配線カバー90を着脱させることができるので、配線空間72内に配線類を容易且つ適切に収納することができ、さらに使い易いデスクセット1とすることができる。また、配線カバー90に収納部61が形成されているので、配線カバー90を着脱操作する際に、例えば収納空間110内に指先を入れる等して配線カバー90を容易且つ安定に把持することが可能である。従って、配線カバー90の着脱操作性の向上化にも繋げることができる。
【0096】
さらに、配線受け部80に対して第1係止片96を係止することで配線カバー90を取り付けることができるので、ねじ部材等を用いることなく配線カバー90をワンタッチで着脱することができる。
【0097】
それに加え、連結具100を利用して配線カバー90を下方から支持した状態で、配線受け部80と配線カバー90とを連結できるので、配線カバー90の姿勢を長期に亘って安定に維持することができる。従って、配線カバー90に形成された収納部61を利用して、安定して把持部54を収納することができるうえ、例えば配線空間72が狭くなってしまうような不都合が生じ難い。
さらに、配線受け部80に取り付けられた連結具100に対して第2係止部99(第2係止片97、段差部98)を係止することで配線カバー90を取り付けることができるので、連結具100に対しても配線カバー90をワンタッチで着脱することができる。
【0098】
さらに、
図1及び
図2に示すように、本実施形態のデスクセット1を構成するワゴン2は、天板プレート50がワゴン本体20の外方に向けて突出するように形成されているので、ワゴン本体20のサイズに制限されることなく、天板プレート50の上面スペースを広く確保することができる。従って、天板プレート50の上面スペースを利用して、物品の載置面として利用できる広いスペースを確保することができる。そのため、天板プレート50の上面スペースを有効に活用することができ、使い勝手の良いワゴン2とすることができる。
【0099】
さらに、
図5に示す把持空間53内に下方から指先を差し込みながら、フランジ片51に対して指先を引掛けるように把持することができる。そのため、ワゴン本体20に対して効率良く外力を付与することができ、ワゴン本体20をより安定且つスムーズに移動させることができる。また、フランジ片51を利用することで、例えばC字状の取手等を設ける場合とは異なり、目立ち難くすることができる。そのため、良好な外観性を具備するワゴン2とすることができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0101】
例えば上記実施形態では、配線ダクト部71を具備するデスク3を例に挙げて説明したが、配線ダクト部71は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
この場合には、例えば立壁70自体に後方に向けて凹むように凹状の収納部61を形成し、この収納部61の内側にワゴン2の把持部54を収納する構成としても構わない。さらにこの場合において、収納部61を凹状に形成する必要はなく、例えば立壁70に貫通孔を形成し、この貫通孔内に把持部54を挿通させることで、把持部54を収納するように構成しても構わない。
いずれにしても、天板11の下方の下部空間4内にワゴン2を収納したときに、把持部54を収納することができれば、収納部61をどのように構成しても構わない。
【0102】
また上記実施形態では、中間棚板部35を具備するワゴン2を例に挙げて説明したが、中間棚板部35は必須なものではなく、具備しなくても構わない。また、中間棚板部35を具備する場合には、複数備えても構わない。さらに、転動具としてキャスタ21を例に挙げて説明したが、キャスタ21に限定されるものではなく、少なくとも床面Fを転動可能な車輪21aやボール等を具備するものであれば転動具として採用することができる。
【0103】
さらに上記実施形態では、フランジ片51を利用して把持部54を設けた構成としたが、この場合に限定されるものではなく、例えば取手を利用して把持部を構成しても構わない。いずれにしても、指先を引掛けることができれば、把持部を適宜変更して構わない。
【符号の説明】
【0104】
R…物品収納空間
F…床面
L2…左右方向
1…デスクセット
2…ワゴン
3…デスク(天板付き什器)
4…下部空間
10…支持脚
11…天板
21…キャスタ(転動具)
54…把持部
60…幕板部
61…収納部
70…立壁(幕板本体)
71…配線ダクト部
72…配線空間
80…配線受け部
83…受板
84…起立板
90…配線カバー
96…第1係止片(第1係止部)
99…第2係止部
100…連結具