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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電動送風機及びそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
F04D29/58 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019197846
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021071082
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 武史
(72)【発明者】
【氏名】坂上 誠二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】菊地 聡
(72)【発明者】
【氏名】湧井 真一
(72)【発明者】
【氏名】床井 博洋
(72)【発明者】
【氏名】中津川 潤之介
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0266426(US,A1)
【文献】国際公開第2017/082224(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
A47L 9/00
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車の軸方向の下流に周方向にそれぞれ翼を持つ前段の軸流ディフューザおよび後段の軸流ディフューザと、
前記軸流ディフューザの半径方向の内側に位置し、前記軸流ディフューザと前記軸方向に重なる位置に配置されるステータおよびロータと、
羽根車に設けられた吸込口と前記軸流ディフューザの流路を通る第1の流路と、
反羽根車側の軸受を保持し、開口部が設けられるエンドブラケットと、
少なくとも流路の一部が前記開口部から前記ステータの外周面に接触して軸方向に通る第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路とを接続し、前記ステータの外周面の羽根車側端部近くから前記前段の軸流ディフューザの出口まで形成され、前記後段の軸流ディフューザの前記翼に向かって傾斜して形成される円環状の流路の接続部とを備え、
前記ステータは、半径方向寸法より軸方向寸法が長く、
前記第2の流路は、前記接続部よりも前記羽根車から遠い位置にあり、
前記開口部の開口面積は、前記接続部の流路断面積以上の大きさであり、前記第2の流路を通って前記接続部から流れる風で前記後段の軸流ディフューザの前記翼の空気の流れの剥離を抑制する構成とした
ことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
羽根車の軸方向の下流に周方向にそれぞれ翼を持つ前段の軸流ディフューザおよび後段の軸流ディフューザと、
前記軸流ディフューザの半径方向の内側に位置し、前記軸流ディフューザと前記軸方向に重なる位置に配置されるステータおよびロータと、
前記羽根車に設けられた吸込口と前記軸流ディフューザの流路を通る第1の流路と、
反羽根車側の軸受を保持し、開口部が設けられるエンドブラケットと、
少なくとも流路の一部が前記開口部から前記ステータの外周面に接触して軸方向に通る第2の流路と、
前記第1の流路と前記第2の流路を接続し、前記ステータの外周面の羽根車側端部近くから前記前段の軸流ディフューザの出口まで形成され、前記後段の軸流ディフューザの前記翼に向かって傾斜して形成される円環状の流路の接続部とを備え、
前記ステータは、半径方向寸法より軸方向寸法が長く、
前記第2の流路は、前記接続部よりも前記羽根車から遠い位置にあり、前記接続部の流路は、前記ステータの外周から第1の流路にかけて、反羽根車側に軸方向へ傾斜しており、前記第2の流路を通って前記接続部から流れる風で前記後段の軸流ディフューザの前記翼の空気の流れの剥離を抑制する構成とした
ことを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
前記接続部の流路が前記ステータの外周から前記第1の流路にかけて、半径方向にあるか、または、前記羽根車側へ傾斜している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動送風機。
【請求項4】
前記接続部の流路と前記第1の流路が接続される、前記軸流ディフューザの前記接続部の上下流のハブ面は、同一半径または下流側のハブ面の半径が小さい
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動送風機。
【請求項5】
前記接続部の流路は、電動機部を覆うモータハウジングの内壁に形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動送風機。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の前記電動送風機を備えた電気掃除機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機及びそれを搭載した電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動送風機としては、下記の特許文献1が開示されている。
特許文献1には、添付の図1図4に図示されるように、「上下に延びる中心軸(C)周りに回転するインペラ(10)と、インペラ(10)の下方に配置されステータ(24)を有してインペラ(10)を回転させるモータ(20)と、ステータ(24)を収納するモータハウジング(21)と、インペラ(10)とモータハウジング(21)とを収納してモータハウジング(21)との隙間に第1流路(5)を構成するファンケーシング(2)とを備え、ファンケーシング(2)の上部はインペラ(10)の上方を覆い、かつ上下方向に開口する吸気口(103)を有し、ファンケーシング(2)の下部には第1流路(5)を介して吸気口(103)に連通する排気口(104)が設けられ、モータハウジング(21)にはモータハウジング(21)の内面に固定されるステータ(24)の上面よりも下方において、径方向に貫通して第1流路(5)に連通する流入口(21a)が設けられ、モータハウジング(21)は流入口(21a)から上方に延びて前記ステータ(24)よりも上方の空間に連通される第2流路(6)を有する、送風装置(1)。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-105269号公報(図1図4、段落0012~0037等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気掃除機は粉塵によるフィルタの目詰まりや、掃除対象の床の材質等の運転条件によって動作風量が大きく変化する。そのため、電気掃除機は広い風量範囲で吸引力が強い電動送風機が求められる。また、電気掃除機の使い勝手から、電動送風機の小型化や軽量化が求められる。そのため、放熱領域が減少し、電動送風機内部の発熱密度は増加し、電動機や軸受の冷却性能向上が必要となっている。
【0005】
また、翼付ディフューザは設計点風量において優れた圧力回復を行うことが出来るが、非設計点風量においては、ディフューザ翼の入口角と、空気流れのディフューザへの流入角との不一致によりディフューザ性能が低下する。そのため、電気掃除機の吸引力は設計点風量では高いが、非設計点風量では低下する恐れがあった。
【0006】
コードレススティック型もしくは自律走行型のような電池(2次電池)で駆動する掃除機は、電池容量の関係から電動送風機の消費電力が小さく、最大風量も小さい。そのため、フィルタの目詰り時にごみ搬送能力が低下し、掃除機の吸引力が低下する課題がある。さらに、コードレススティック型もしくは自律走行型のような電池(2次電池)で駆動する掃除機は、小型で軽量であることが求められ、掃除機に搭載される電動送風機は広い風量範囲で吸引力が強いこと、および小型であることの両立が求められる。
【0007】
前記したように、特許文献1は、「インペラ(10)とモータ (20)とを収納したモータハウジング(21)との隙間に第1流路(5)を構成するファンケーシング(2)とを備え、ファンケーシング(2)の上部はインペラ(10)の上方を覆い、かつ上下方向に開口する吸気口(103)を有し、ファンケーシング(2)の下部には第1流路(5)を介して吸気口(103)に連通する排気口(104)が設けられ、モータハウジング(21)にはモータハウジング(21)の内面に固定されるステータ(24)の上面よりも下方において、径方向に貫通して第1流路(5)に連通する流入口(21a)が設けられ、モータハウジング(21)は流入口(21a)から上方に延びて前記ステータ(24)よりも上方の空間に連通される第2流路(6)を有する。」と記載されている。すなわち、特許文献1には第1流路(5)の流れは、第2流路(6)に流れ込み、ステータ(24)より上方に存在するファン側の玉軸受の軸受(26)付近を流れ、その後、反ファン側のすべり軸受の軸受(26)を冷却し、電動機 (モータ20)外部に排気されていることが示されている。
【0008】
特許文献1の送風機(1)は、第1流路(5)の風量が径方向に貫通して第1流路(5)に連通する流入口(21a)を通り、第2流路(6)へ流れることで、流路の圧力損失(抵抗)によって連通する流入口(21a)より下流の第1流路(5)の風量は、流入口(21a)より上流の風量に対して減少する。
【0009】
なお、翼付ディフューザは設計点風量において優れた圧力回復を行うことが出来るが、設計点風量より風量が低下した場合は、ディフューザ翼の入口角と空気流れのディフューザへの流入角の不一致によりディフューザ性能が低下し、電気掃除機の吸引力が低下する可能性がある。また、第2流路(6)の流入口(21a)から上方に延びてステータ(24)よりも上方の空間に連通される第2流路(6)は、小型であることから流路面積が小さく、さらに、電動機 (20)内部で曲がりながら流れるため、流路の圧力損失が大きく、冷却風量が低下し、電動機 (モータ20)内部の温度が高くなり、電動機効率が低下する懸念がある。
【0010】
本発明は上記実状に鑑み上述の課題を解決すべく創案されたものであり、広い風量域において高効率、かつ小型で軽量な電動送風機及びそれを備えた電気掃除機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の電動送風機は、羽根車の軸方向の下流に周方向にそれぞれ翼を持つ前段の軸流ディフューザおよび後段の軸流ディフューザと、前記軸流ディフューザの半径方向の内側に位置し、前記軸流ディフューザと前記軸方向に重なる位置に配置されるステータおよびロータと、羽根車に設けられた吸込口と前記軸流ディフューザの流路を通る第1の流路と、反羽根車側の軸受を保持し、開口部が設けられるエンドブラケットと、少なくとも流路の一部が前記開口部から前記ステータの外周面に接触して軸方向に通る第2の流路と、前記第1の流路と前記第2の流路とを接続し、前記ステータの外周面の羽根車側端部近くから前記前段の軸流ディフューザの出口まで形成され、前記後段の軸流ディフューザの前記翼に向かって傾斜して形成される円環状の流路の接続部とを備え、前記ステータは、半径方向寸法より軸方向寸法が長く前記第2の流路は、前記接続部よりも前記羽根車から遠い位置にあり、前記開口部の開口面積は、前記接続部の流路断面積以上の大きさであり、前記第2の流路を通って前記接続部から流れる風で前記後段の軸流ディフューザの前記翼の空気の流れの剥離を抑制する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広い風量域において高効率、かつ小型で軽量な電動送風機及びそれを備えた電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の第1実施形態に係る電動送風機の外観図。
図1B図1Aに示す電動送風機の縦断面図。
図2A】第1実施形態の羽根車の斜視図。
図2B図2Aに示す羽根車の断面図。
図3】羽根車側の軸流型ディフューザ翼をシュラウド側から見た斜視図。
図4】後段の軸流型ディフューザ翼をシュラウド側から見た斜視図。
図5】送風機部をシュラウド側から見た斜視図。
図6】第1実施形態の電動送風機と、従来技術と同様にディフューザ出口で電動機内部へ流れが流入する構成を有した送風機の送風機効率の比較を示す図。
図7】本発明の第2実施形態における電動送風機の縦断面図。
図8】本発明の第1実施形態における電動送風機を適用した電気掃除機の斜視図。
図9図8に示す電気掃除機における掃除機本体のI方向矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<<第1実施形態>>
図8は、本発明の第1実施形態における電動送風機200を適用した電気掃除機300の斜視図である。
図9は、第1実施形態の電気掃除機300における掃除機本体100のI方向矢視断面図である。
本発明の第1実施形態に係る電気掃除機300について説明する。
【0015】
<電気掃除機300の構成>
電気掃除機300は、掃除機本体100と、掃除機本体100が取り付けられる保持部102と、利用者が把持するグリップ部103と、塵埃を吸引する吸口体105とを備えている。
電気掃除機300の駆動源の電池ユニット108(図9参照)は、充電台107(図8参照)を用いて充電される。電池ユニット108は掃除機本体100に収容されている。
【0016】
掃除機本体100には、塵埃を集塵する集塵室101と、集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(図9参照)とが収納されている。
保持部102の一端部には、グリップ部103が設けられている。グリップ部103には、電動送風機200の入/切を行うスイッチ部104(図8参照)が設けられている。
保持部102の他端部には、吸口体105が取り付けられている。吸口体105と吸込気流を発生させる掃除機本体100とは、接続部106で接続されている。
【0017】
電気掃除機300の使用に際し、利用者はグリップ部103のスイッチ部104を「入」操作する。すると、掃除機本体100に収納された電動送風機200の運転が開始され、吸口体105に吸込気流が発生する。吸込気流により吸口体105から床面Y(図8参照)上の塵埃が吸込まれる。吸込まれた塵埃は、接続部106を通って掃除機本体100の集塵室101に集塵される。
【0018】
<掃除機本体100>
次に、掃除機本体100について説明する。
図9に示すように、掃除機本体100の内部には、電動送風機200、電池ユニット108、駆動用回路109、および集塵室101が配置されている。
電池ユニット108は、電動送風機200を駆動する。電動送風機200は、吸口体105での吸引力を発生させる。
掃除機本体100は、本体グリップ部110と吸口開口111がを備えている。
利用者は、本体グリップ部110を把持して、掃除機本体100を保持部102から取り外し、ハンディ掃除機として使用することができる。
【0019】
図8に示す本体スイッチ部112は、掃除機本体100をハンディ掃除機として使用する際の電動送風機200の入/切を行うスイッチである。本体スイッチ112は、掃除機本体100を保持部102に取り付けているときでも、スイッチ部104に代えて「入/切」操作できる。
なお、図8図9に示す電気掃除機300は、吸口開口111(図9参照)と接続部106とが取り外し可能なコードレス掃除機を示しているが、電池を搭載していない電源コード付きの掃除機でもよい。
【0020】
<電動送風機200>
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る電動送風機200の外観図であり、図1Bは、図1Aに示す電動送風機200の縦断面図である。なお、図1Bでは電動送風機200に環状の防振ゴム19を適用した場合を示す。
次に、電動送風機200について説明する。なお、図1Bには代表的な空気の流れを図B1の左側のみに実線矢印α1および点線矢印α2で示している。
【0021】
電動送風機200は、図8図9に示す電気掃除機300に、羽根車1の側が下部の吸口体105に向いて取り付けられる。
電動送風機200は、図1Bに示すように、送風機部201の半径方向内側に電動機部202が構成されている。
送風機部201は、吸引空気流の上流から、回転翼である羽根車1、羽根車側軸流型ディフューザ翼23、後段の軸流型ディフューザ翼24、および翼なしディフューザ25を設置されている。翼なしディフューザ25の下流には、排気口16が設けられている。
【0022】
羽根車1の側(羽根車1に近い側)の軸流型ディフューザ翼23は、羽根車1の半径方向における羽根車1の側のモータハウジング2の内壁2aと外壁2bとの間に位置する。
反羽根車1の側(羽根車1に遠い側)に配置される後段の軸流型ディフューザ翼24は、羽根車1の半径方向における反羽根車1の側のモータハウジング9の内壁9aと外壁9bとの間に位置している。
【0023】
翼なしディフューザ25は、内壁9aと外壁9bから形成されている。
電動機部202は、モータハウジング2の内壁2aと、モータハウジング9の内壁9aとで覆われている。
電動機部202の内部には、開口部15と、冷却用の第2の流路14とが構成されている。
【0024】
開口部15は、エンドブラケット13に設けられている。エンドブラケット13は、電動機部202の軸方向であって反羽根車1の側の軸受11を保持している。
第2の流路14は、少なくとも一部がステータコア8の外周と開口部15を通っている。
電動送風機200の側部には、羽根車1と羽根車側軸流型ディフューザ翼23、後段の軸流型ディフューザ翼24、および翼なしディフューザ25を通る第1の流路17が設けられている。第1の流路17は、吸口体105での吸引力の空気流が流れる流路である。
【0025】
電動送風機200は、第1の流路17と第2の流路14とを接続して連通させる接続部28を有している。つまり、第2の流路14と第1の流路17とは、羽根車側軸流型ディフューザ翼23と後段軸流型ディフューザ翼24の間の接続部28で連結されている。接続部28を形成することで、ベンチュリ効果でエンドブラケット13の開口部15から冷却風を発生させて(詳細は後記)、羽根車側軸流型ディフューザ翼23、後段の軸流型ディフューザ翼24、および翼なしディフューザ25での風速を増加させる。これにより、電動機部202の冷却性能向上と電動送風機200の広作動範囲での高効率化を図れる。
【0026】
第2の流路14は、接続部28に対して軸方向の反羽根車1の側に位置している。
また、開口部15の開口面積は、接続部28の流路断面積以上の大きさをもって構成されている。これにより、接続部28でのベンチェリ効果を促進し、第2の流路14から接続部28へ流れる風で電動機部202をより冷却できる。
ここで、接続部28の流路断面積は、流路に直交する断面において、最小の面積となる断面積であり、断面にフィレットやR形状がある場合は、フィレットやR形状を無視して算出してもよい。
【0027】
なお、開口部15から巻線の一部が出て、駆動用回路109(図9参照)に電気的に接続される。ここで、開口部15を通る構成の場合は巻線を無くした際の面積が接続部28の流路断面積以上であればよい。さらに、開口部15の構成は四角の穴でも、丸穴、他の形状の穴でもよい。
【0028】
図1Bに示す羽根車1は熱可塑性樹脂製である。羽根車1は、回転軸5の端部に螺刻された雌ねじに、固定ナット18が螺着されて固定されている。ここで、第1実施形態では、回転翼である羽根車1を回転軸5の端部に雌ねじを設け、固定ナットを用いて固定される場合を例示したが、圧入して固定してもよい。また、図1Bに示す羽根車1は、斜流型羽根車を示すが、遠心型、軸流型羽根車でもよい。
電動機部202は、ロータコア7と、その外周部に配置されるステータコア8とが設置されている。
【0029】
ロータコア7は、モータハウジング9内に収納される回転軸5に固定されている。
ステータコア8の外周部には、巻線が巻かれている。巻線は、電動送風機200に備わる駆動用回路109(図9参照)に電気的に接続されている。
【0030】
ロータコア7は希土類系のボンド磁石を有してなる。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石や、ネオジム磁石等を用いることができる。ロータコア7は回転軸5に一体成形されるか、または、固定されている。なお、電動送風機200の運転回転速度は50,000~200,000cycle/minである。
【0031】
なお、本実施形態では、ロータコア7に永久磁石を用いているが、これに限定されず、無整流子電動機の一種であるリラクタンスモータなどを使用してもよい。
羽根車1とロータコア7との間には軸受10を備えている。ロータコア7に対して、軸受10の回転軸5の方向の反対側に軸受11を備えている。回転軸5の一方側の軸受10と他方側の軸受11とで、回転軸5を回転自在に支持している。
【0032】
羽根車1に近い側のモータハウジング2は、軸受10を支持するエンドブラケット12と締結されている。羽根車1から遠い側のモータハウジング9は、エンドブラケット13を介して軸受11を支持している。モータハウジング9は、開口部15を有するエンドブラケット13と締結されている。エンドブラケット13は、金属製である。エンドブラケット13は、モータハウジング9に圧入されるか、または、インサート成型によりモータハウジング9と一体成型されている。
【0033】
ロータコア7の端部には、回転体(羽根車1、ロータコア、回転軸5等)の偏芯を是正するためのバランスリング6が設置されている。
バランスリング6における回転体のアンバランス側を切削することで、回転体のアンバランス量を最小化している。これにより、電動送風機200の騒音および振動の低減を図っている。
【0034】
羽根車1の側(羽根車1に近い側)のモータハウジング2の外周部には、周方向3箇所に爪状突起20が設けられている。反羽根車1の側(羽根車1から遠い側)のモータハウジング9の外周部に設けた突起部22と、羽根車1の側のモータハウジング2の取付穴21とが嵌合されて接続される。また、羽根車1の側の軸流ディフューザ翼23の翼枚数と、反羽根車1の側のモータハウジング9の端部の突起22及び羽根車1の側のモータハウジング2の取付穴21の個数とは、翼枚数と取付穴21の最大公約数で構成されている。こうして、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23及び後段の軸流ディフューザ翼24の周方向位置が所定の周方向位置になるようにし、量産性の向上を図っている。
【0035】
図1Bに示す羽根車1を覆うファンケーシング3は、羽根車1の側のモータハウジング2の外周部とファンケーシングの内面3aが接触し、モータハウジング2に接着固定される。また、ファンケーシング3の掃除機本体100の設置部には、図1Bに示す防振ゴム19が設置されている。防振ゴム19を設けることで、電動送風機200の振動の抑制と、ファンケーシング3と掃除機本体100の設置部との間の空気の漏れを防止することで、低騒音化と高効率化を図っている。
【0036】
羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23は、設計点において、羽根車1から流出した流れと翼入口角度を略一致させ、圧力損失を低減している。これにより、軸流型ディフューザ翼23により、流れの回転方向速度成分を減少させることで、ディフューザ効果を高め、送風機効率を向上している。また、軸流型ディフューザ翼23の軸方向下流に設置された後段の軸流型ディフューザ翼24は、軸流型ディフューザ翼23から流出された流れの回転方向速度成分を更に減少させる。また、後段の軸流型ディフューザ翼24の下流の翼なし軸流ディフューザ25は、軸方向端部の開口部16に向かい、半径方向の内向き側に流路断面積が拡大している。これにより、回転軸5の方向の空気の流れの減速を高め、更なる送風機効率の向上が図れる。
【0037】
<電動送風機200内における空気の流れ>
次に、電動送風機200内における空気の流れを説明する。
図1Bに示す電動機部202を駆動して、羽根車1を回転させると、ファンケーシング3の空気吸込口4から空気が流入し、羽根車1内に流入する。流入した空気は斜流型羽根車の場合は、羽根車1内で昇圧しながら、回転軸5の方向から吸い込んだ流れに半径方向成分を与え、回転軸5の方向から傾いた流れを発生させる。こうして、羽根車出口1aでは回転方向成分と回転軸5の方向成分を持つ流れとなり羽根車1から流出される。
【0038】
羽根車1から流出された空気流は、羽根車側軸流型ディフューザ翼23と、後段軸流型ディフューザ翼24を通る際に、翼(23、24)に沿って流れることで、流れの回転方向速度成分が減少される。さらに、翼なしディフューザ25を通る流れは、反羽根車1の側のモータハウジング9の開口部16に向かうにつれ、流路断面積が増加することにより、回転軸5の方向速度が減速され、圧力回復された後、開口部16から排気される。なお、第1の流路17は、図1Bの実線矢印α1に示すように、ファンケーシング3の空気吸込口4からモータハウジング9の開口部16までの流路である。
【0039】
羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の出口風速は、反羽根車1の側のモータハウジング9の開口部16の風速より速く、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の出口は、開口部16より静圧が低い。
第2の流路14は、図1Bの破線矢印α2に示すように、電動機の軸受11を保持する反羽根車1の側のエンドブラケット13に設けられた開口部15と、少なくとも流路の一部がステータコア8の外周を通る。
【0040】
図1Bに示す第2の流路14と第1の流路17とは、羽根車側軸流型ディフューザ翼23の出口と後段軸流型ディフューザ翼24との間の接続部28で連結されている。また、第2の流路14は、接続部28よりも軸方向下流に位置し、開口部15の開口面積は、前記接続部28の流路断面積以上の大きさをもっている。
接続部28は羽根車1の側のモータハウジング2と反羽根車1の側のモータハウジング9で形成され、接続部28はステータコア8の外周部から第一の流路17に向かうにつれ、後段の軸流型ディフューザ翼24側の軸方向へ傾斜している。これにより、接続部28を流れる空気の流れは、円滑に第一の流路17を流れる空気流と合流でき、風量を増加させられる。
【0041】
第2の流路14内の流れは、羽根車側軸流型ディフューザ翼23出口の風速が速いことで、静圧が低くなり、ベンチュリ効果により、エンドブラケット13の開口部15から羽根車側軸流ディフューザ23の出口の接続部28へと向かう流れが発生する。第2の流路14の流れは、反羽根車側のエンドブラケット13の開口部15から温度の低い流れを、電動機202内へ吸い込む。これにより、反羽根車1の側の軸受11を冷却し、ステータコア8の外周側を流れることで、ステータコア8、その巻線を冷却しながら、接続部28に流れる。
【0042】
電動機部202の内部の羽根車1側のエンドブラケット12の流れは、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の出口で生じるベンチュリ効果と、ロータコア7の回転による旋回成分の流れがあり、当該流れにより軸受10および羽根車1の側のエンドブラケット12が冷却される。
接続部28から第1の流路17へ流れ込んだ流れは、羽根車1で昇圧した流れと合流し、後段の軸流型ディフューザ翼24に流れ、翼なしディフューザ部25を通ることで、減速され、反羽根車1の側のモータハウジング9の開口部16から排気される。なお、後段の軸流型ディフューザ翼24を通る風量は、羽根車1から羽根車側の軸流型ディフューザ翼23を通る風量と、第2の流路14から接続部28を通り流れ込む風量が合わさり、電動送風機200の内部で最大風量となる。
【0043】
後段の軸流型ディフューザ翼24は、風量が小さい非設計点において、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の後縁で後流渦が発生しやすく、後段の軸流型ディフューザ24の入口流れが複雑となりやすい。しかし、本構成の後段の軸流型ディフューザ翼24は、接続部28からの風量が羽根車側の軸流型ディフューザ翼23と合流し、後段の軸流型ディフューザ24に流れる。
【0044】
これにより、非設計点においても、後段の軸流型ディフューザ24の内部の風量が増加する。そのため、後段の軸流型ディフューザ24の内部の剥離が抑制され、送風機効率が向上する。なお、反羽根車1の側のエンドブラケット13の開口部15から接続部28へ向かう風量は、羽根車1の側の軸流ディフューザ23の出口の風量が増加する大風量側で多く流れる。このため、本構成では大風量側の送風機効率が向上でき、幅広い運転範囲での高効率化が可能となる。
【0045】
<送風機部201>
次に、第1実施形態の送風機部201の構成を説明する。
図2Aは第1実施形態の羽根車1の斜視図であり、図2Bは羽根車1の断面図である。
図3は、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23をシュラウド側から見た斜視図である。
図4は後段の軸流型ディフューザ翼24をシュラウド側から見た斜視図である。
図5は送風機部201をシュラウド側から見た斜視図である。
なお、図3図5では、ディフューザ翼(23、24)のシュラウドを構成するモータハウジングの外壁を説明のために削除して示す。
【0046】
<羽根車1>
先ず、図2A図2Bを用いて、本発明に係る一実施形態における回転翼の羽根車1について説明する。
羽根車1は、ハブ板26と複数枚の羽根27とを有して構成されている。ハブ板26と羽根27は熱可塑性樹脂で一体成形されている。
【0047】
ハブ板26の裏面側には凸部26a(図2B参照)が設けられている。羽根車1を回転させて凸部26aを削ることで、羽根車1のバランス修正を行うことができる。これにより、羽根車1のアンバランス量を小さくし、振動や騒音の低減を図ることができる。
【0048】
羽根車1は、ボス曲面29aが羽根車外周部にかけ回転軸5の方向(図2Bの下方向)に傾斜した斜流羽根車である。図2A図2Bでは、シュラウド板を持たないオープン型斜流羽根車の羽根車1を示しているが、シュラウド板の有無にかかわらず遠心羽根車でもよい。
【0049】
次に、第1実施形態の送風機201について説明する。
図1Bに示すように、一例の送風機201は、羽根車1の軸方向下流側に周方向等間隔で配置された羽根車側の軸流型ディフューザ翼23が15枚設置されている。羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の翼は、羽根車1の側のモータハウジング2の内壁2aと外壁2bの間に設けられ、モータハウジング2と一体で成型されている。後段の軸流型ディフューザ翼24は、反羽根車のモータハウジング9の内壁9aと外壁9bの間に設置され、モータハウジング9と一体成型されている。また、後段の軸流型ディフューザ24の翼枚数は、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23と同一で構成されている。
【0050】
図5に示す羽根車側ディフューザ翼23のシュラウド側(外周側)後縁23dと後段の軸流型ディフューザ翼24のシュラウド側(外周側)前縁24cの周方向位置は、周方向に略一致している。
低風量側の効率を向上させるには、羽根車側ディフューザ翼23の後縁23dと後段の軸流型ディフューザ24の前縁24cの周方向位置を略一致させることで実現できる。大風量側の効率を向上させるには、(23、24)翼間ピッチ(360/Zd)の15~50%がよい。
【0051】
図1Bに示すように、羽根車側軸流型ディフューザ翼23のハブ面30と後段の軸流型ディフューザ翼24のハブ面31は、略一致している。ここで、羽根車側軸流型ディフューザ翼23のハブ面30と後段の軸流型ディフューザ翼24のハブ面31とは面一にすることが望ましい。例えば、合流後のモータハウジング9の内壁9aが大きくハブ面の径が大きく流路に突出した場合、軸流型ディフューザ翼23、24での損失が増加するからである。
【0052】
なお、後段の軸流型ディフューザ翼24のハブ面31を羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23のハブ面30より、半径方向内側にしても、接続部28からの流れの流入によりはく離が抑えられ高効率化が可能である。
ここで、上記構成の電動送風機200は、ベンチュリ効果による後段の軸流型ディフューザ翼24内の風量増加により、大風量側での送風機効率は増加する。更に、低風量側は羽根車1の側と後段の軸流型ディフューザ翼24との周方向位置により、送風機効率が増加する。これにより、更なる広い運転風量範囲での高効率化が可能となる。
【0053】
図1Bに示すように、羽根車1の側のモータハウジング2の内壁2aと反羽根車のモータハウジング9の内壁9aは、軸方向に隙間を有し、第1の流路14と第2の流路17を接続する接続部28を構成している。
接続部28は、電動機202の内側から第1の流路17にかけ、半径方向から後段ディフューザ翼24側に傾斜する円環状の流路である。
【0054】
羽根車1の側のモータハウジング2の内壁2aと反羽根車のモータハウジング9の外壁9aは、嵌め合い部32により各モータハウジング2の芯を出すことで、接続部28の流路面積確保と、組み立て性向上を図っている。
【0055】
図3に示す羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の高さ方向の形状は、羽根車側のモータハウジング2の内壁2aから外壁2bにかけ、反羽根車側(羽根車1から離れる側)に傾斜し(図1B参照)、半径方向の中央付近から外周部にかけ、回転軸5の方向上流に戻る傾斜を有して、高さ方向に湾曲している。
【0056】
図3に示すように、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23のシュラウド側の翼弦長さL2(前縁23cと後縁23dを結んだ線)は、ハブ側(内壁2aの側)の翼弦長さL1に比べて長い。なお、シュラウド側の翼弦長L2は、羽根車1の出口のシュラウド側の風速が速いため、緩やかな形状とすることで損失を抑制し、高効率化を図っている。また、軸流型ディフューザ翼23を高さ方向に湾曲させることで、ディフューザのハブ側(内壁2a側)の翼面(軸流型ディフューザ翼23の面)およびハブ面(内壁2a)で生じる2次流れを抑えることができる。そのため、ディフューザ内部(軸流型ディフューザ翼23の内壁2a側の翼面および内壁2a)のはく離を抑制でき、高効率化が可能となる。
【0057】
図4に示すように、後段の軸流型ディフューザ翼24は、翼なしディフューザ25に向かうにつれ翼厚さt24(翼の後縁側の翼厚さ)が厚く、羽根車1の側の軸流ディフューザ翼23の翼厚さt23(図3参照)より厚い。
【0058】
図5に示す後段の軸流型ディフューザ翼24の翼弦長L3は、羽根車側の軸流型ディフューザ翼23のシュラウド側の翼弦長さL2と略同一である。後段の軸流ディフューザ翼24の翼弦長L3を大きくとるとともに、図4に示すように、後段の軸流ディフューザ翼24の後縁にかけて翼厚さt24を大きく取ることで、流れの減速を緩やかにでき、静圧回復を高められ、高効率化が図れる。
【0059】
図5に示すように、後段の軸流ディフューザ翼24の下流に位置する翼なしのディフューザ流路25の軸方向長さL5は、羽根車側と後段の軸流型ディフューザ翼の軸方向長さL4と略同一の長さを持つ。
【0060】
図1Bに示すように、翼なしディフューザ流路25は、反羽根車1の側のモータハウジング9の開口部16に向かうにつれ、流路断面積が増加している。したがって、翼なしディフューザ流路25内の流れ(図1Bの実線矢印α1、図1Bの破線矢印α2)は軸方向速度が減速されて圧力回復された後、開口部16から排気される。なお、翼なしディフューザ流路25は、反羽根車1の側のモータハウジング9の開口部16に向かうにつれ、半径方向内側(図1Bの回転軸5の側)に流路が広がる。翼なしディフューザ流路25は、軸方向に進むにつれ流路断面積が増加することで、翼なしディフューザ流路25内で圧力回復され高い送風機効率が実現できる。
【0061】
ここで、軸流型ディフューザ翼23、24の形状について説明する。
羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23および反羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼24は、図3に示す翼弦長(例えば、ディフューザ翼23の前縁23aから後縁23bを結ぶ長さL1)と翼取付間隔の円周方向に沿った距離で割ったソリディティが1より小さい翼形状を持つ。なお,ソリディティは1より小さければ、回転軸5の方向に成型する金型構成で製造でき、高効率化と生産性向上が可能である。
【0062】
図6に第1実施形態の電動送風機200と、従来技術と同様にディフューザ出口で電動機内部へ流れが流入する構成を有した送風機の送風機効率の比較を示す。なお、図6は横軸に設計点風量を1とした無次元風量を、縦軸に送風機効率の流体解析結果を示す。図6の送風機効率の定義は、吸込体積流量と送風機出入口の静圧上昇との積を,送風機の軸動力で除したものである。
【0063】
図6から、第1実施形態を搭載した電動送風機200(図6の白抜き四角)は、従来技術の送風機(図6の黒丸)に比べて、広い運転範囲で送風機効率が向上できることがわかる。また、特に設計点より大風量側にかけて効率向上が可能であることが分る。
すなわち、第1実施形態の電動送風機200は、広い運転範囲で効率を高く維持できる。したがって、広い範囲で吸込力が高い電気掃除機300(図8参照)を提供できる。
【0064】
第1実施形態では、一例として、図1Bに示す接続部28は、羽根車1の側のモータハウジング2の内壁2aと反羽根車1のモータハウジング9の内壁9aの回転軸5の方向隙間で形成されているが、モータハウジング2、9のどちらかに、図1Bに示す半径方向または回転軸5の方向のどちらかに傾斜した複数の孔で接続部28を形成してもよい。また、図1Bに示すように、接続部28は、ステータコア8から第1の流路17にかけ、後段ディフューザ翼24側に傾斜する円環状の流路にすることで、後段のディフューザ翼24の剥離を効率よく抑制する構成を得ている。なお、接続部28を半径方向または羽根車1の側に傾斜する接続部で構成しても、モータ冷却と高効率化が可能である。
【0065】
以上説明した第1実施形態の電動送風機200によれば、羽根車1の回転軸5の方向下流に周方向に翼を持つ軸流ディフューザ23、24と、軸流ディフューザ23、24の半径方向内側に位置し、軸流ディフューザ23、24と軸方向に重なる位置のステータ(8)乃至ロータ(7)と、羽根車1に設けられ空気吸込口4と軸流ディフューザ流路を通る第1の流路17と、反羽根車1の側の軸受11を保持し、開口部15が設けられたエンドブラケット13と、少なくとも流路の一部がステータコア8の外周と開口部15を通る第2の流路14と、第1の流路17と第2の流路14を接続する接続部28とを備えている。
そして、第2の流路14は、接続部28よりも反羽根車1の側に位置し、開口部15の開口面積は、接続部28の流路断面積以上の大きさを有している。
【0066】
これにより、広い風量域において高効率かつ、小型で軽量な電動送風機200を提供できる。したがって、電動機202のステータ(8)、軸受11、10を冷却し、小型で広い風量域において吸引力を向上した電気掃除機300を得ることができる。
【0067】
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態について、図7を用いて説明する。
図7は本発明の第2実施形態における電動送風機200Aの縦断面図である。
第2実施形態の電動送風機200Aは、第1実施形態の電動送風機200と異なり、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23の入口に接続部28Aが設置されている。
電動送風機200Aは、前記第1実施形態と基本的な構成は同じであるので同一要素については同一符号を用い、その説明を省略する。
【0068】
第2の流路14の流れは、羽根車側軸流型ディフューザ翼23入口の風速が速いことで、静圧が低くなり、ベンチュリ効果により、反羽根車1のエンドブラケット13の開口部15から羽根車側軸流ディフューザ23入口の接続部28Aへと向かう流れが発生する。
第2流路14の流れは、反羽根車1の側のエンドブラケット13の開口部15から温度の低い流れを、電動機部202の内部へ吸い込むことで、反羽根車1の側の軸受11を冷却し、ステータコア8の外周側を流れることで、ステータコア8、巻線を冷却しながら、接続部28Aに流れる。
【0069】
なお、第1実施形態で示した接続部28と、第2実施形態で示した接続部28Aは併用してもよい。その場合は第2の流路14を周方向に分けた流路にすることで、羽根車1の側の軸流型ディフューザ翼23、24から出た流れが、電動機202内流路へ流れることを防止することで、各ディフューザ翼23、24の剥離の抑制が可能となる。
【0070】
以上説明した第2実施形態の電動送風機200Aによれば、羽根車1の回転軸5の方向下流に周方向に翼を持つ軸流ディフューザ23、24と、軸流ディフューザ23、24の半径方向内側に位置し、軸流ディフューザ23、24と軸方向に重なる位置に配置される電動機部202のステータ(8)乃至ロータ(7)と、羽根車1に設けられた空気吸込口4から軸流ディフューザ流路を通る第1の流路17と、反羽根車1の側の軸受11を保持し、開口部15が設けられるエンドブラケット13と、少なくとも流路の一部がステータコア8の外周と開口部15を通る第2の流路14と、第1の流路17と第2の流路14を接続する接続部28Aとを備えている。
そして、接続部28Aは、回転軸5の方向における羽根車1と軸流型ディフューザ23の入口との間に位置し、第2の流路14は、接続部28Aよりも回転軸5の方向下部に位置し、開口部15の開口面積は、接続部28Aの流路断面積以上の大きさを有している。
【0071】
これにより、広い風量域において高効率かつ、小型で軽量な電動送風機200Aを提供できる。したがって、電動機部202のステータ(8)、軸受11を冷却し、小型で広い風量域において吸引力を向上した電気掃除機300を得ることができる。
【0072】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分りやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部については、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 羽根車
2 羽根車側モータハウジング(モータハウジング)
2a 羽根車側のモータハウジングの内壁(モータハウジングの内壁、軸流ディフューザの上流のハブ面)
4 空気吸込口(吸込口)
5 回転軸(軸)
7 ロータコア(ロータ)
8 ステータコア(ステータ)
9 反羽根車側のモータハウジング(モータハウジング)
9a 反羽根車側のモータハウジングの内壁(モータハウジングの内壁軸流、軸流ディフューザの下流のハブ面)
11 軸受(反羽根車側の軸受)
13 反羽根車側のエンドブラケット(エンドブラケット)
14 第2の流路
15 開口部
17 第1の流路
23 羽根車側のディフューザ翼(軸流ディフューザ)
24 後段のディフューザ翼(軸流ディフューザ)
25 翼なしディフューザ
28 接続部
200 電動送風機
300 電気掃除機
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9