(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】車両および車両群
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231211BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231211BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231211BHJP
B60W 30/16 20200101ALI20231211BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
G08G1/16 E
B60W30/16
(21)【出願番号】P 2019201570
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】北村 毅史
(72)【発明者】
【氏名】石井 統丈
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岸本 將裕
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-322689(JP,A)
【文献】特開2000-339599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度及び加減速度の少なくとも一方に関する情報を取得する検出部と、
前記検出部から前記情報を取得できなくなった場合に、隊列を編成する他の車両との車間距離に関する情報、
前記他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方を含む前記他の車両の走行に関する情報
、並びに、GPSから取得した情報
から推測される速度および加減速度の少なくとも一方、の少なくとも一つに基づいて、走行を制御する自動制御部と、を備える、車両。
【請求項2】
前記自動制御部は、前記他の車両との車間距離に関する情報と前記他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方から推測される速度および加減速度の少なくとも一方に基づいて、走行を制御する、請求項
1に記載の車両。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の車両を少なくとも一台含む複数の車両であって、隊列を編成して走行する複数の車両を備える、車両群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両および当該車両を含む車両群に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両が隊列を編成して走行する隊列走行を自動運転により実現する技術の開発が、急速に進んでいる。隊列走行を自動運転により行う場合、各車両は、速度センサから自車両の速度に関する情報を取得して、当該情報に基づいて自車両の走行を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隊列走行中に速度センサから自車両の速度を取得できなくなることも考えられる。このような事態においては、現状では、当該車両を停車させることになるが、停車させるまでに、当該車両はある程度の距離を進むことになる。
【0005】
その一方で、当該車両の停車方法についての検討は、未だ十分になされていない。
【0006】
本件発明は、このような点を考慮してなされたものであって、隊列走行中の車両に生じる異常への対処方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車両は、
速度及び加減速度の少なくとも一方に関する情報を取得する検出部と、
前記検出部から前記情報を取得できなくなった場合に、隊列を編成する他の車両との車間距離に関する情報、前記他の車両の走行に関する情報及びGPSから取得した情報の少なくとも一つに基づいて、走行を制御する自動制御部と、を備える。
【0008】
本発明による車両において、前記他の車両の走行に関する情報は、前記他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方を含んでよい。
【0009】
また、本発明による車両において、前記自動制御部は、前記他の車両との車間距離に関する情報と前記他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方から推測される速度および加減速度の少なくとも一方に基づいて、走行を制御してよい。
【0010】
また、本発明による車両において、前記自動制御部は、GPSから取得した情報から推測される速度および加減速度の少なくとも一方に基づいて、走行を制御してもよい。
【0011】
本発明による車両群は、上記車両を少なくとも一台含む複数の車両であって、隊列を編成して走行する複数の車両を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、隊列走行中の車両に生じる異常への対処方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施の形態による車両群と近隣車両とを示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両群に含まれる各車両の全体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明による車両群の一実施の形態を説明するための図である。
図1には、車両群1とともに、車両群1に先行して走行する先行近隣車両2および車両群1に後続して走行する後続近隣車両3が示されている。また、
図2は、
図1に示す車両群1に含まれる各車両の全体的な構成を示すブロック図である。
【0016】
本実施の形態の車両群1は、隊列を編成して隊列走行する複数の車両(以下、「隊列車両」とも呼ぶ)10a,10b,10cを含んでいる。
図1に示す例においては、隊列車両10aが車両群1の先頭に配置され、隊列車両10cが車両群1の最後尾に配置されている。そして、隊列車両10bは、隊列車両10aおよび10cの間に配置されている。なお、隊列を編成する車両群1に含まれる隊列車両の数は3台に限られず、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。以下の説明では、「i」は、「a」、「b」および「c」のうち任意の文字を表す。
【0017】
図1に示す例において、車両群1を編成する隊列車両10a,10b,10cは、自車両を自動で制御する自動運転が可能な車両である。各隊列車両10a,10b,10cは、自動運転を安全に行うための工夫がなされている。具体的には、各隊列車両10a,10b,10cは、自車両の速度に関する情報に基づいて自動運転を行うものであるが、当該速度に関する情報を取得できなくなった場合にも、安全に走行および停車するための工夫がなされている。
【0018】
以下、
図1及び
図2を参照して、車両群1及び各隊列車両10a,10b,10cの構成について、より詳細に説明する。
【0019】
図1および
図2に示すように、隊列車両10a,10b,10cは、それぞれ、車体15と、タイヤ20と、タイヤ20に駆動力及び制動力を出力する出力部30と、出力部30を自動制御する自動制御部40と、を備える。また、各隊列車両10a,10b,10cは、自車両の速度に関する情報を取得する第1検出部51と、車両群1の他の隊列車両との車間距離に関する情報を取得する第2検出部52と、GPS(Global Positioning System)受信器53と、通信機器54と、を有している。
【0020】
ここで、本明細書において「自動制御」とは、車両に乗車した人間による逐次の操作入力ではなく、外部から通信機器を通じて受信した情報や検出部から受信した情報、及び、予め入力された情報に基づいた制御を意味する。
【0021】
図2に示すように、タイヤ20は、一対の前輪21および一対の後輪22を含む。前輪21または後輪22の向きが図示しない操舵手段によって変更されることにより、自車両10iの進行方向が変更される。
【0022】
出力部30は、タイヤ20に駆動力を出力する第1出力部31と、タイヤ20に制動力を出力する第2出力部35と、を含む。
【0023】
第1出力部31は、エンジンやモータ等の駆動力出力源32と、駆動力出力源32を駆動する出力源駆動部33と、を含む。
【0024】
第2出力部35は、各タイヤ20に設けられたシュー36およびブレーキアクチュエータ37と、ブレーキアクチュエータ37を駆動するアクチュエータ駆動部38と、を含む。アクチュエータ駆動部38がブレーキアクチュエータ37を駆動することによって、シュー36が対応するタイヤ20に押しつけられ、タイヤ20の回転が摩擦抵抗により低減する。
【0025】
第1検出部51は、図示された例では、各タイヤ20の回転速度を検出して自車両10iの速度に関する情報を取得する。
【0026】
第2検出部52は、図示された例では、自車両10iの前方および/または後方に電波や光、超音波等を送信するとともに先行車両および/または後続車両からの反射波を受信し、その遅延時間に基づいて先行車両および/または後続車両との車間距離に関する情報を取得する。
【0027】
GPS受信器53は、GPS衛星から信号を受信して自車両の位置情報(以下、「GPS情報」とも呼ぶ)を取得する。
【0028】
通信機器54は、車両群1内の他の隊列車両と車間通信を行って当該他の隊列車両の走行に関する情報(例えば、当該他の隊列車両の速度や加減速度に関する情報)を取得する。
【0029】
自動制御部40は、出力源駆動部33およびアクチュエータ駆動部38を含む自車両10iの各部を制御する。自動制御部40は、自車両10iの目標速度および目標加減速度を特定する第1特定部41および第2特定部42を有する。自動制御部40は、第1特定部41または第2特定部42で特定された目標速度または目標加減速度になるように、自車両10iの出力源駆動部33やアクチュエータ駆動部38を制御する。また、自動制御部40は、第1検出部51および第2検出部52から取得された情報を記憶する記憶部43を有する。
【0030】
第1特定部41は、他の隊列車両との車間距離を保って隊列を維持するための自車両10iの目標速度および目標加減速度を、予め定められた走行計画および第1検出部51から取得した自車両10iの速度に関する情報に基づいて特定する。
【0031】
第2特定部42は、第1検出部51から自車両10iの速度に関する情報を取得できなくなった場合に、第2検出部52から取得した他の隊列車両との車間距離に関する情報に基づいて自車両10iの速度を推定し、安全に走行および停車するための自車両10iの目標速度および目標加減速度を特定する。
【0032】
なお、第1検出部51から自車両10iの速度に関する情報を取得できなくなった際の自車両10iの速度は、次のように推定する。すなわち、車両群1が一定の速度Vで走行中に第1検出部51から上記情報を取得できなくなった場合に、自車両10iとその先行隊列車両あるいは後続隊列車両との車両間隔が一定であれば、自車両10iの速度が第1検出部51から上記情報を取得できなくなる直前の速度Vに等しい速度であると推測する。一方、自車両10iとその先行隊列車両との車間距離が長くなれば、あるいは、後続隊列車両との車両間隔が短くなれば、自車両10iの速度が第1検出部51から上記情報を取得できなくなる直前の速度Vよりも遅い速度であると推測する。また、自車両10iとその先行隊列車両との車間距離が短くなれば、あるいは、後続隊列車両との車両間隔が長くなれば、自車両10iの速度が第1検出部51から上記情報を取得できなくなる直前の速度Vよりも速い速度であると推測する。
【0033】
また、安全に走行するための目標速度および目標加減速度とは、例えば、自車両10iがその先行車両に追突したり後続車両に追突されたりする虞の低い速度および加減速度である。言い換えると、自車両10iのそれまでの速度が急激に変化することなく(すなわち、急加速したり急減速したりすることなく)、自車両10iの周囲を走行する車両に自車両10iとの衝突を回避するための時間的余裕を十分に与えることが可能な速度および加減速度である。
【0034】
自動制御部40が上述した第2特定部42を有することにより、車両10iは、第1検出部51から上記情報を取得できなくなった場合であっても、それまでの速度に応じた速度または加減速度で走行および停車することができる。これにより、他の隊列車両および近隣車両2,3に追突する虞や追突されることが防止される。すなわち、隊列車両10iは、第1検出部51から上記情報を取得できなくなった場合であっても安全に走行および停車することができる。
【0035】
記憶部43は、第1検出部51から取得された速度に関する情報を、当該情報が取得された時刻に関する情報とともに記憶する速度記憶部44と、第2検出部52から取得された他の隊列車両との車間距離に関する情報を、当該情報が取得された時刻に関する情報とともに記憶する車間距離記憶部45と、を有する。
【0036】
次に、本実施の形態の隊列車両10a,10b,10cおよび車両群1の作用について説明する。ここでは、隊列走行中に車両群1の隊列車両10cに異常が生じ、隊列車両10cを安全に停車させる場合を例に挙げて説明する。
【0037】
まず、隊列車両10cに異常が生じる前の隊列車両10cの作用について説明する。隊列車両10a,10b,10cが一定の速度Vで走行中、隊列車両10cの第1特定部41では、第1検出部51から自車両10cの速度に関する情報が取得され、当該速度に関する情報および予め定められた走行計画に基づいて、自車両10cが先行する隊列車両10bと一定の間隔を保って隊列を維持するための目標速度および目標加速度が特定される。また、速度記憶部44に、第1検出部51から取得された上記速度に関する情報が、当該情報が取得された時刻に関する情報とともに、定期的に格納される。さらに、車間距離記憶部45に、第2検出部52から取得された他の隊列車両との車間距離に関する情報が、当該情報が取得された時刻に関する情報とともに、定期的に格納される。
【0038】
次に、隊列車両10cに異常が生じ、第1検出部51から自車両10cの速度に関する情報が取得できなくなると、自車両10cの第2特定部42において、第2検出部52から取得された先行する隊列車両10bと自車両10cとの車間距離に関する情報と、異常が生じる直前に車間距離記憶部45に格納された自車両10cと上記先行する隊列車両10bとの車間距離に関する情報と、が比較される。そして、異常発生前後で自車両10cと上記先行する隊列車両10bとの車間距離が等しい場合には、自車両10cの速度は異常発生直前の自車両10cの速度(すなわち速度V)に等しいものと推測して、自車両10cを安全に停車させるための目標減速度を特定する。ここで、車両10cを安全に停車させるための目標減速度は、車両10cの後続車両である後続近隣車両3が車両10cに追突することを回避可能な程度に十分に小さい減速度である。そして、特定された目標減速度に基づいて第2出力部35のアクチュエータ駆動部38が駆動されて、車両10bは減速され、停車される。
【0039】
<変形例>
以上に説明した実施形態では、第1検出部51は自車両10iの速度に関する情報を取得するものであったが、これに限られない。第1検出部51は、自車両10iの加減速度に関する情報を取得するものであってもよい。この場合、自動制御部40の第2特定部42は、第1検出部51から上記加減速度に関する情報が取得できなくなった場合に、自車両10iの走行を制御してよい。あるいは、第1検出部51は、自車両10iの速度および加減速度に関する情報を取得するものであってもよい。この場合、自動制御部40の第2特定部42は、第1検出部51から上記速度および加減速度に関する情報が取得できなくなった場合に、自車両10iの走行を制御してよい。
【0040】
また、第2検出部52は、他の隊列車両の走行に関する情報(例えば、他の隊列車両の速度や加減速度等)に基づいて自車両10iの走行を制御するものであってもよい。ここで、通常、隊列を編成する車両群1の車両10a,10b,10cは、互いの車間距離が一定に保たれるよう、互いに同じ速度あるいは加減速度で走行する。したがって、他の隊列車両の走行に関する情報から、自車両10iの速度または加減速度を推測することができる。そして、推測された速度または加減速度に基づいて、自車両10iを安全に走行または停車させるための目標速度または目標加減速度を特定することができる。さらに、他の隊列車両の走行に関する情報を取得することで、上記推測される速度または加減速度が特定された目標速度または目標加減速度となったか否かの判定を行うことができる。このため、自車両10iの速度または加減速度が上記目標速度または目標加減速度なるように自車両10iの走行を制御することが、容易である。このため、本変形例によれば、自車両10iを適切な速度または加速度で、より安全に走行および停車させることができる。
【0041】
なお、第2検出部52が他の車両の走行に関する情報に基づいて自車両10iの走行を制御するものである場合、車両10iを安全に走行または停車させるための速度または加減速度は、例えば、次のような速度または加減速度である。すなわち、隊列車両10bまたは10cに異常が生じた場合は、その先行車両10aまたは10bに追突することを防止するため、先行車両10a又は10bの速度または加速度よりも小さい速度または加速度、あるいは、先行車両10aまたは10bの減速度よりも大きい減速度である。また、車両10aまたは10bに異常が生じた場合は、その後続車両10bまたは10cに追突されることを防止するため、後続車両10bまたは10cの速度または加速度よりも大きい速度または加速度、あるいは、後続車両10b,10cの減速度よりも小さい減速度である。さらに、異常が生じた車両が車両群1の先頭を走行する隊列車両10aである場合は、上記安全に走行または停車させるための速度または加速度は、先行近隣車両2が隊列車両10aに追突されることを回避可能な程度に十分に小さい速度または加速度である。また、異常が生じた車両が車両群1の最後尾に配置された隊列車両10cである場合は、上記安全に走行または停車させるための速度または減速度は、後続近隣車両3が隊列車両10cに追突することを回避可能な程度に十分に大きい速度または十分に小さい減速度である。また、異常が生じた車両が後方に他の隊列車両を有する隊列車両10a,10bである場合は、上記安全に走行または停車させるための速度または減速度は、次のような速度または減速度である。すなわち、隊列車両10a,10bの後方を走行する他の隊列車両の速度および減速度は隊列車両10a,10bの速度および減速度に応じた速度および減速度となるため、上記安全に走行または停車させるための速度または減速度は、車両群1の最後尾を走行する隊列車両10cの速度が十分に大きくまたは減速度が十分に小さくて、後続近隣車両3が隊列車両10cに追突することを回避することができる速度または減速度である。
【0042】
もちろん、自動制御部40は、自車両10iと他の隊列車両との車間距離に関する情報と、他の隊列車両の速度及び加減速度の少なくとも一方とから推測される自車両10iの速度または加減速度に基づいて、自車両10iの走行を制御するものであってもよい。この場合、推測された速度または加減速度から安全に走行および停車させるための目標速度または目標加減速度をより適切に特定することができる。ここで、上述したように、他の隊列車両の走行に速度および加減速度に関する情報を取得した場合、推測される速度または加速度が特定された目標速度または目標加減速度になるように自車両10iを制御することが、容易である。したがって、本変形例によれば、自車両10iを適切な速度または加減速度で、より安全に走行および停車させることができる。
【0043】
また、自動制御部40は、GPS情報から推測される速度に基づいて、自車両10iの走行を制御するものであってもよい。ここで、GPS情報は自車両10iの位置情報を示すものである。このため、GPS情報を継続的に取得することで自車両10iの速度や加減速度を適切に推測することができる。したがって、推測された速度または加減速度から安全に走行および停車させるための目標速度または目標加減速度をより適切に特定することができる。また、GPS情報を利用することで、上記推測される速度や加減速度が特定された目標速度または目標加減速度になったか否かを判定することができる。したがって、自車両10iの速度または加減速度が上記目標速度または目標加減速度になるように、自車両10iを適切に制御することが容易である。このため、本変形例によれば、自車両10iを適切な速度または加速度で、より安全に走行および停車させることができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、車両10iは、速度及び加減速度の少なくとも一方に関する情報を取得する検出部(第1検出部)51と、検出部51から上記情報を取得できなくなった場合に、隊列を編成する他の車両との車間距離に関する情報、上記他の車両の走行に関する情報及びGPSから取得した情報の少なくとも一つに基づいて、走行を制御する自動制御部40と、を備える。
【0045】
このような車両10iによれば、隊列を編成する他の車両との車間距離に関する情報、他の車両の走行に関する情報、GPSから取得した情報のいずれかを利用することで自車両10iの走行状態を推測することができる。これにより、車両10iを安全に走行および停車させることができる。
【0046】
また、本実施の形態において、上記他の車両の走行に関する情報は、上記他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方を含む。これにより、他の車両の速度または加減速度に基づき、自車両10iの速度または加減速度を推測して、推測された速度または加減速度に基づいて自車両10iを安全に走行および停車させるための目標速度または目標加減速度を特定することができる。例えば先行車両への追突を防止するため、上記目標速度または目標加減速度を、先行車両の速度若しくは加速度よりも小さい速度若しくは加速度、または、先行車両の減速度よりも大きい減速度とすることができる。あるいは、後続車両からの追突を防止するため、上記目標速度または目標加減速度を、後続車両の速度若しくは加速度よりも大きい速度若しくは加速度、または、後続車両の減速度よりも小さい減速度とすることができる。これにより、車両10iを安全に走行および停車させることができる。
【0047】
また、本実施の形態において、自動制御部40は、他の車両との車間距離に関する情報と他の車両の速度及び加減速度の少なくとも一方から推測される自車両10iの速度および加減速度の少なくとも一方に基づいて、自車両10iの走行を制御してもよい。この場合、推測された速度または加減速度から安全に走行および停車させるための目標速度または目標加減速度をより適切に特定することができる。ここで、他の隊列車両の走行に速度および加減速度に関する情報を取得した場合、推測される速度または加速度が特定された目標速度または目標加減速度になるように自車両10iを制御することが、容易である。したがって、自車両10iを適切な速度または加減速度で、より安全に走行および停車させることができる。
【0048】
また、本発明において、自動制御部40は、GPSから取得した情報から推測される速度および加減速度の少なくとも一方に基づいて、走行を制御するものであってもよい。ここで、GPS情報は自車両10iの位置情報を示すものである。このため、GPS情報を継続的に取得することで自車両10iの速度や加減速度を適切に推測することができる。したがって、推測された速度または加減速度から安全に走行および停車させるための目標速度または目標加減速度をより適切に特定することができる。また、GPS情報を利用することで、上記推測される速度または加減速度が特定された目標速度または目標加減速度になるように、自車両10iを適切に制御することが容易である。したがって、自車両10iを適切な速度または加減速度で、より安全に走行および停車することができる。
【0049】
また、本実施の形態による車両群1は、上記車両10iを少なくとも一台含む複数の車両10a,10b,10cであって、隊列を編成して走行する複数の車両10a,10b,10cを備える。
【0050】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両群
2 近隣車両
3 近隣車両
10a 車両
10b 車両
10c 車両
20 タイヤ
30 出力部
40 自動制御部
51 第1検出部
52 第2検出部
53 GPS受信器
54 通信機器