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特許7399714移動要素の特定の位置でパルス信号を生成する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】移動要素の特定の位置でパルス信号を生成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
G05D3/12 Z
G05D3/12 W
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019571242
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 FR2018051563
(87)【国際公開番号】W WO2019002755
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】1755953
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519451821
【氏名又は名称】ミクロ-コントロール-スペクトラ フィジクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グヴェロ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アーレン,クリストフ
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-273584(JP,A)
【文献】特表2009-534764(JP,A)
【文献】特開2016-143111(JP,A)
【文献】特開昭63-310008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動要素(2)のトリガ位置と呼ばれる位置でパルス信号を生成する方法であって、前記移動要素(2)は、少なくとも2つの自由度による相対的な移動を受けることができ、前記方法は、トリガ位置を生成するステップを含み、前記移動要素(2)の移動の少なくとも一部の間に、以下の連続するステップの継続が反復的に実行され、前記連続するステップは、
-実際の位置と呼ばれる位置を生成するステップ(E1)であって、前記自由度に対応する軸(Xi、θX、Yi、θY、Zi、θZ)に従って定義された前記移動要素(2)の実際の位置(PRi)を生成することからなり、実際の位置を生成する前記ステップ(E1)が、前記移動要素(2)の連続する有効位置をリアルタイムで測定することからなる測定ステップ(E11)、及び補間ステップ(E12)を含み、前記実際の位置(PRi)が少なくとも前記有効位置、及び1つ以上の補間位置を含む、ステップ(E1)と、
-連続したトリガ位置に対して、毎回現在のトリガ位置と呼ばれるトリガ位置(PCi)に対し、
この現在のトリガ位置(PCi)で実際の位置を生成するステップ(E1)でリアルタイムに生成された連続する実際の位置(PRi)を比較し、これらの連続する実際の位置(PRi)から、前記現在のトリガ位置(PCi)に最も近い実際の位置(Pi)、およびこれが前記現在のトリガ位置(PCi)に対して所与の制限(L)内にあることを特定することからなる比較ステップ(E3)と、
以下の2つの条件が同時に満たされる場合、前記現在のトリガ位置(PCi)のパルス信号を生成することからなる、パルス信号を生成するステップ(E4)であって、前記条件は、
前記移動要素(2)が、前記最も近い実際の位置(Pi)に到達すること、
および、
この最も近い実際の位置(Pi)が、前記現在のトリガ位置(PCi)に対して前記所与の制限(L)内にあることである、
ステップ(E4)と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
実際の位置を生成する前記ステップ(E1)が、毎回、前記測定ステップの間に測定された2つの連続する有効位置の間の補間位置の連続を、前記移動要素の移動速度、前記有効位置を含む前記実際の位置(PRi)、および2つの連続する有効位置の間で、前記補間位置を考慮することによって、決定することからなる補間ステップ(E12)を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トリガ位置を生成する前記ステップ(E1)が、
-所望の位置を入力することからなる入力サブステップと、
-これらの所望の位置を、移動システムのエラーに関する所定の情報から前記移動要素(2)の前記相対的な移動を生成するように構成された前記移動システムに適合させ、それから前記トリガ位置を推定することからなる処置サブステップと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記比較ステップ(E3)が、
-距離パラメータの計算からなる計算サブステップ、
-この距離パラメータと所定の値との差を計算することからなる比較サブステップと、
-前記差の変動を評価し、前記差が最も低い位置を検出することからなる評価サブステップであって、前記最も近い実際の位置がこの後者の位置に対応する、評価サブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記計算サブステップが、以下の式を使用して距離パラメータDを計算することからなり、
【数1】
式中
-PRは、考慮される前記実際の位置の自由度Liに応じた座標を表し、
-PCは、前記現在のトリガ位置の自由度Liに応じた前記座標を表し、
-Nは、前記移動要素(2)の自由度Liの数を表す、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
移動要素(2)のトリガ位置と呼ばれる位置でパルス信号を生成するための装置であって、前記移動要素(2)は、少なくとも2つの自由度による相対的な移動を受けることができ、前記装置(1)は、
-トリガ位置を生成するユニット(4)と、
-前記移動要素の移動の少なくとも一部の間に、前記自由度に対応する軸(Xi、θX、Yi、θY、Zi、θZ)に従って定義された前記移動要素(2)の実際の位置(PRi)を生成するように構成された実際の位置を生成するユニット(5)であって、前記移動要素(2)の連続する有効位置を、リアルタイムで測定するように構成された測定ユニット(6)を含み、前記実際の位置(PRi)が少なくとも前記有効位置を含む、実際の位置を生成するユニット(5)と、
-現在のトリガ位置と呼ばれるトリガ位置(PCi)に対し、この現在のトリガ位置(PCi)で実際の位置を生成するユニット(5)でリアルタイムに生成された連続する実際の位置(PRi)を比較し、これらの連続する実際の位置(PRi)から、前記現在のトリガ位置(PCi)に最も近い実際の位置(Pi)、およびこれが前記現在のトリガ位置(PCi)に対して所与の制限(L)内にあることを特定するように構成される比較ユニット(8)と、
以下の2つの条件が同時に満たされる場合、前記現在のトリガ位置(PCi)のパルス信号を生成するよう構成されたパルス信号を生成するユニット(10)であって、前記条件は、
前記移動要素(2)が、前記最も近い実際の位置(Pi)に到達すること、および
この最も近い実際の位置(Pi)が、前記現在のトリガ位置(PCi)に対して前記所与の制限(L)内にあることである、ユニット(10)と、
を備えていることと特徴とする装置(1)。
【請求項7】
実際の位置を生成する前記ユニット(5)が、毎回、前記測定ユニット(6)により測定された2つの連続する有効位置の間の補間位置の連続を、前記移動要素の移動速度、前記有効位置を含む前記実際の位置、および2つの連続する有効位置の間で、前記補間位置を考慮することによって、決定するよう構成される補間ユニット(13)を備えていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
トリガ位置を生成する前記装置(4)が、
-所定の理論的トリガ位置を入力するよう構成される入力サブユニット(16)と、
-これらの理論的位置を、移動システムのエラーに関する所定の情報から前記移動要素の移動を生成するように構成された前記移動システムに適合させ、それから前記トリガ位置を推定するよう構成される処置サブユニット(17)と、
を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記比較ユニット(8)が、
-距離パラメータを計算するよう構成される計算サブユニット(24)と、
-この距離パラメータと所定の値との差を計算するよう構成される比較サブユニット(25)と、
-前記差の変動を評価し、前記差が最も低い位置を検出するよう構成される評価サブユニット(29)であって、前記最も近い実際の位置がこの位置に対応する、評価サブユニット(29)と、
を備えていることを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
-前記対象物を運ぶ支持体(3)と、
-パルスのトリガ信号の受信中に動作を実行することができる処置システムを備えた移動要素(2)であって、前記支持体(3)に対して相対的な移動を実行する、移動要素(2)と、
前記移動要素(2)の移動中にパルス信号を生成し、前記処置システムに送信することを意図する、請求項6~9のいずれか一項に指定されるようなパルス信号を生成するための装置(1)と、
を備えていることを特徴とする対象物の処置のためのアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動要素のトリガ位置と呼ばれる位置でパルス信号を生成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ただし排他的ではなく、移動要素は、例えば、処置対象物を備えた支持板(またはプラットフォーム)などの固定支持体に関する相対的な移動を受ける。
【0003】
通常、支持体および処置対象物に対する移動要素の相対的な変位(または移動)は、
-対象物が固定されている、移動要素の移動、
-移動要素と呼ばれる要素が固定されている、対象物の移動、または
-移動要素と対象物の両方の移動
によって生じ得る。
【0004】
多くの場合、移動要素は処置システムを備えている。例として、処置システムは、そのような処置システムに関連して使用される光学システム、機械システム、電気システム、および/または他の同様のシステムを含むがこれらに限定されない。この処置システムは、処置対象物の特定の場所でレーザ切断や画像撮影などの様々な動作(または処置操作、または機械的、化学的、電気的、または同様の機能)を実行することを意図しており、移動要素と対象物との間の相対的な移動中に、移動要素の特定の位置において、処置の機能が実行される。
【0005】
一般に、この種の操作を実施するために、移動要素の運動学および位置は、例えば特定の処置動作(例えばレーザ切断)が実行されるときに、所定の時間に求められる位置に到達するように構成される。より具体的には、動作は所定の瞬間、例えば定期的に選択的に実行され、移動要素の動きは、移動要素がこれらの所与の各瞬間に正しい位置に位置するように制御および修正される。
【0006】
処置操作は、一般に、主従を使用してマスター/スレーブタイプの処理アーキテクチャを制御することにより実行される。例として、マスター要素は、動作を実行する瞬間(例えば、レーザパルスを放射する瞬間)に対応し、スレーブ要素は、移動要素により適切な位置に到達することに対応する。
【0007】
したがって、上記に照らして、そのような処置操作を実行するための必要な様々な計算、修正、および制御は、実装が難しく、高価で不正確である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、従来技術のシステムのこれらの欠点を克服しようとするものである。より具体的には、本願は、移動要素のトリガ位置と呼ばれる位置でパルス信号を生成する方法に関し、移動要素は、少なくとも2つの自由度による相対的な移動を受けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、この方法は、トリガ位置を生成するステップを含み、方法は移動要素の移動の少なくとも一部の間に、以下の連続するステップの継続が反復的に実行されるようにし、連続するステップは、
-実際の位置と呼ばれる位置を生成するステップであって、自由度に対応する軸に従って定義された移動要素の実際の位置を生成することからなり、移動要素の連続する有効位置をリアルタイムで測定することからなる測定ステップを含み、実際の位置が少なくとも有効位置を含む、ステップ、
-連続したトリガ位置に対して、毎回現在のトリガ位置と呼ばれるトリガ位置に対し、
・この現在のトリガ位置で実際の位置を生成するステップでリアルタイムに生成された連続する実際の位置を比較し、これらの連続する実際の位置から、現在のトリガ位置に最も近い実際の位置、およびこれが現在のトリガ位置に対して所与の制限内にあることを特定することからなる比較ステップ、および
・以下の2つの条件が同時に満たされる場合、現在のトリガ位置のパルス信号を生成することからなる、パルス信号を生成するステップであって、条件は、
・移動要素が、最も近い実際の位置に到達すること、および
・この最も近い実際の位置が、現在のトリガ位置に対して所与の制限内にあることである、ステップである。
【0010】
したがって、(処置対象物に対する)移動要素の(相対)移動中に、移動要素の位置が決定される。これは、動作を実行する必要があるトリガ位置に最も近い位置である。この最も近い位置に到達すると、パルス(トリガ)信号が発信され、レーザカットなどの動作をトリガできる。このパルス信号は、レーザカットの制御、または光学的、機械的、化学的、または例えば画像の撮影などの他のタイプの別の動作の制御に対応することができる。
【0011】
したがって、トリガは、最も近い位置に到達したときに実行される。したがって、この方法は、マスター/スレーブの従属性を実装する。マスター要素は、求める位置の移動要素が到達し、スレーブ要素は、トリガ信号の生成であり(この位置に到達したとき)、このことは、それが容易で正確な実装を得ることを可能にする(通常の解決策のように、移動要素のいずれの正確な移動の従属も必要としない)。
【0012】
本発明の枠組みにおいて、移動要素は、自由度N(または移動または変位)に従って移動することができ、Nは2以上の整数である。例として、Nが6の場合、XY平面が互いに直交するX方向と方向Yによって定義される(例えば水平)と見なされる場合、自由度6はそれぞれ、X方向に沿った並進およびこのX方向の周りのいわゆる回転、Y方向に沿った並進およびこの方向Yの周りの回転、およびZと呼ばれる方向に沿った並進およびこのZ方向の周りの回転に対応し、方向ZはXおよびY方向に直角である。上記の方法は増加した自由度の数に適応可能である。
【0013】
有利なことに、実際の位置を生成するステップは、毎回、測定ステップの間に測定された2つの連続する有効位置の間の補間位置の連続を、移動要素の移動速度、有効位置を含む実際の位置、および2つの連続する有効位置の間で、補間位置を考慮することによって、決定することからなる補間ステップを含む。
【0014】
さらに、有利なことに、トリガ位置を生成するステップは、
-所定の所望の(トリガ)位置を入力することからなる入力サブステップ、および
-これらの所望の位置を、移動システムのエラーに関する所定の情報から移動要素の相対的な移動を生成するように構成されたトリガシステムに適合させ、それからトリガ位置を推定することからなる処置サブステップを含む。





【0015】
さらに、有利にも比較ステップは、
-距離パラメータDの計算からなる計算サブステップであって、好ましくは次の式、
【数1】
を使用し、
式中
・PRは、考慮される実際の位置の自由度Liに応じた座標を表し、
・PCは、現在のトリガ位置の自由度Liに応じた座標を表し、
・Nは、移動要素の自由度Liの数を表す、計算サブステップ、
-この距離パラメータDと所定の値との差を計算することからなる比較サブステップ、および
-差の変動を評価し、差が最も低い位置を検出することからなる評価サブステップであって、最も近い実際の位置が後者の位置に対応する、評価サブステップを含む。
【0016】
本願はまた、移動要素のトリガ位置と呼ばれる位置でパルス信号を生成する装置に関し、移動要素は、少なくとも2つの自由度による相対的な移動を受けることができる。
実施形態では、装置は、
-トリガ位置を生成するユニット、
-移動要素の移動の少なくとも一部の間に、自由度に対応する軸に従って定義された移動要素の実際の位置を生成するように構成され、実際の位置を生成するユニットが、移動要素の連続する有効位置をリアルタイムで測定するように構成された測定ユニットを含み、実際の位置が少なくとも有効位置を含む、実際の位置と呼ばれる位置を生成するユニット、
-現在のトリガ位置と呼ばれるトリガ位置に対し、この現在のトリガ位置で実際の位置を生成するユニットでリアルタイムに生成された連続する実際の位置を比較し、これらの連続する実際の位置から、現在のトリガ位置に最も近い該実際の位置、およびこれが現在のトリガ位置に対して所与の制限内にあることを特定するように構成される比較ユニット、ならびに
-以下の2つの条件が同時に満たされる場合、現在のトリガ位置のパルス信号を生成するよう構成される、パルス信号を生成するユニットであって、条件は、
・移動要素が、最も近い実際の位置に到達すること、および
・この最も近い実際の位置が、現在のトリガ位置に対して所与の制限内にあることである、ユニットを含む。
【0017】
特定の実施形態では、実際の位置を生成するユニットが、毎回、測定ユニットにより測定された2つの連続する有効位置の間の補間位置の連続を、移動要素の移動速度、有効位置を含む実際の位置、および2つの連続する有効位置の間で、補間位置を考慮することによって、決定するよう構成される補間ユニットを含む。
【0018】
さらに、特定の実施形態では、トリガ位置を生成するユニットは、
-所定の理論的トリガ位置を入力するためのサブユニット、および
-これらの理論的位置を、移動システムのエラーに関する所定の情報から移動要素の移動を生成するように構成された移動システムに適合させ、それからトリガ位置を推定するよう構成される処置サブユニットを含む。
【0019】
さらに、有利にも比較ユニットは、
-距離パラメータDを計算するよう構成される計算サブユニットであって、好ましくは次の式、
【数2】
を使用する、計算サブユニットを含み、
式中
・PRは、考慮される実際の位置の自由度Liに応じた座標を表し、
・PCは、現在のトリガ位置の自由度Liに応じた座標を表し、
・Nは、移動要素の自由度Liの数を表し、さらに、
-この距離パラメータDと所定の値との差を計算するよう構成される比較サブステップ、および
-差の変動を評価し、差が最も低い位置を検出するよう構成される評価サブステップであって、最も近い実際の位置がこの位置に対応する、評価サブステップを含む。
【0020】
本願はまた、例えば電子部品などの対象物(光学、機械、化学など)の処置アセンブリに関し、処置アセンブリは、
-対象物を運ぶ支持体、
-パルスのトリガ信号の受信中に動作(光学、機械、化学の類などのもの)を実行することができる処置システムを備えた移動要素であって、支持体に対して相対的な移動を実行する、移動要素、
-および移動要素の移動中にパルス信号を生成し、システムに送信することを意図する、上記のようなパルス信号を生成するための装置、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図は、移動要素の特定の位置でパルス信号を生成する方法と装置のより完全に近い理解を可能にする。これらの図では、同一の参照番号は類似の要素を示している。
【0022】
図1図1は、パルス信号を生成するための装置の特定の実施形態の図である。
図2図2は、移動要素の(相対)移動中の可能な自由度を概略的に示している。
図3図3は、図1の装置を比較するためのユニットの概要図である。
図4図4は、トリガ位置と呼ばれる位置に対する移動要素の移動経路を、一部概略的に示している。
図5図5は、図1の装置により実施される、パルス信号を生成する方法を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に概略的に示されている装置1は、移動要素2(図2)のトリガ位置と呼ばれる特定の位置でパルス信号を生成する装置である。
【0024】
移動要素2は、処置対象物(図示せず)を備えた支持体3(図2)、例えば支持板(またはプラットフォーム完)にして相対的な移動を受ける。
【0025】
本発明の枠組みにおいて、支持体3および対象物に対する移動要素2に関する変位(または移動)は、好ましくは、移動要素2、支持体3および固定されている対象物の移動に対応する。しかし、
-要素(移動要素と呼ばれる)が固定されている、対象物の移動、または
-移動要素と対象物の両方の移動、ということもあり得る。
【0026】
本発明の枠組みにおいて、移動要素2は、自由度Nによる相対的な移動を受けることができ、Nは2以上の整数である。
【0027】
以下に、Nが6に等しい例を示す。支持体3は、例えば、図2に示すように、X(または縦方向)と呼ばれる方向およびY(または横方向)と呼ばれる方向によって規定される水平面XYに実質的に平行に配置される。理解を容易にすることを意図する図2に表される目印Fは、水平面XYを形成する方向(または軸)XおよびYに加えて、該XY平面に直交するZ(または垂直)と呼ばれる方向(または軸)を含む。図2に示すように、6つの可能な自由度(二重の矢印で表される)はそれぞれ、
-X方向に沿った、Xiと呼ばれる平行移動、
-X方向に沿った、θXと呼ばれる回転、
-Y方向に沿った、Yiと呼ばれる平行移動、
-Y方向に沿った、θYと呼ばれる回転、
-Z方向に沿った、Ziと呼ばれる平行移動、および
-Z方向に沿った、θZと呼ばれる回転に対応している。
【0028】
この方法および装置は、別の数N(2を超えるもの)の自由度、特に、例えば複雑な多軸位置決めのフレームワークの6を超える数Nにも適用できる。
【0029】
実施形態では、移動要素2および支持体3は、処置アセンブリ(図示せず)の一部を形成する。様々な可能なタイプのこの処置アセンブリは、
-対象物を運ぶ支持体3、
-パルスのトリガ信号の受信中に動作(光学、機械、化学の類など)を実行することができる処置システムを備えた移動要素2であって、支持体3に対して相対的な移動を実行する移動要素2および処置システムならびに処置対象物、ならびに
移動要素2の移動中にパルス信号を生成し、処置システムに送信することを意図する、以下に指定されるパルス信号を生成するための装置1を含む。
【0030】
パルス信号を生成するための装置1は、図1に示すように、
-以下に指定するトリガ位置を生成するユニット4、
-いわゆる実際の位置を生成するためのユニット5を含む。ユニット5は、上述の自由度Xi、Yi、Zi、θX、θY、およびθZの少なくとも一部に従って定義される移動要素2の実際の位置を、自動的かつリアルタイムで生成するように構成される。ユニット5は、この目的のために、移動要素2の連続する有効位置をリアルタイムで測定するように構成された測定ユニット6を備える。実際の位置は、以下で指定されるように、少なくともこれらの測定された有効位置を含み、また
-中央ユニット7は、
・連続する実際の位置(実際の位置を生成するためにユニット5によってリアルタイムで生成される)のいわゆる現在のトリガ位置について、トリガ位置を生成するためのユニット4の接続9を介して受信したこの現在のトリガ位置に対して自動的にリアルタイムで比較するように構成された比較ユニット8を含む。比較ユニット8は、この比較から、(ユニット5から受信した)これらの連続する実際の位置から、現在のトリガ位置に最も近い実際の位置、およびこれを現在のトリガ位置に関する所与の制限内であることを特定するように構成されること、および、
・パルス信号を生成するユニット10であって、このユニット10は、接続11を介して比較ユニット8に接続され、比較ユニット8によって実施される処置の結果を受け取り、使用者の手段(図示せず)、好ましくは上述の処置システムへの接続12を介してパルス信号を自動的に発信することができる。
【0031】
実施形態では、パルス信号を生成するためのユニット10は、以下の2つの条件が同時に満たされる場合に、現在のトリガ位置のパルス信号を生成するように構成され、条件は、
-移動要素2が、最も近い実際の位置に到達すること、および
-この最も近い実際の位置が、現在のトリガ位置に対して指定された制限内にあることである。
【0032】
実施形態では、実際の位置を生成するためのユニット5はまた、接続14を介して比較ユニット8に接続される補間ユニット13を備える。補間ユニット13は、図1の例のように、ユニット5、または同様に中央ユニット7に統合することができる。
【0033】
補間ユニット13は、測定ユニット6によって測定された連続する2つの有効位置、毎回、例えば第1の位置または「上流位置」と、第2の位置または「下流位置」との間の補間位置の連続を決定するように構成される。補間ユニット13は、これらの第1および第2の位置、または上流と下流の位置の間の移動要素2の想定される移動速度を考慮するように構成でき、通常、これら2つの測定された連続位置の間の補間される所定の数の位置(第1および第2、または上流および下流)を決定する。現在のステップで考慮される移動速度は、測定される前のステップの移動要素2の移動速度であり得る。補間は十分に大きい補間周波数で実行され、そのため、そこでの速度の変動が物理的に大きくなりすぎず、また位置決めの分解能(resolution)が内部に維持され、それは考慮される適用により目標とされる解像度よりもはるかに低くなる。
【0034】
したがって、接続14を介して比較ユニット8に送信される実際の位置は、
-(例えば5MHzの周波数で)測定ユニット6によって測定された有効位置、および
-補間ユニット13によって決定され、より高い周波数、例えば200MHzで放射される、2つの連続する有効位置の間の補間位置を含む。
【0035】
さらに、特定の実施形態では、トリガ位置を生成するためのユニット4は、図1に示すように、
-入力要素16、例えばコンピュータキーボード、マウス、および/またはデータを入力するための任意の他の通常の手段を含む。入力要素16により、操作者は、接続18で示すように、例えばCPUタイプの中央処置装置などの処置要素17であって、
-移動システムのエラーに関する所定の情報により、そこからトリガ位置を推定するため、これらの所望の位置を、移動要素の相対的な移動を生成するように構成された移動システムに適合させるように構成された、処置要素17に所望の所定の(トリガ)位置を入力することができる。
【0036】
この目的のために、実施形態では、処置要素17は
-接続18を介して入力要素16に接続され、特に上記の移動システムの特徴を含む要素19、
-接続21を介して要素19に接続され、移動システムのエラーを決定する要素20、および、
-接続23を介して要素20に接続され、移動システムのエラーを考慮することにより(入力要素16を使用して)入力された所望の位置の修正位置に対応するトリガ位置を決定する要素22を含むことができる。
【0037】
さらに、図3に示すように、比較ユニット8(現在のトリガ位置に最も近い実際の位置を識別するように構成されている)は、
-以下で指定される距離パラメータDを計算するように構成された計算要素24、
-この距離パラメータDと記憶要素26に記録された所定の値Rとの差を計算するように構成された比較要素25、および、
-差の変動を評価し、この位置に対応する最も近い実際の位置である、差が最も低い位置を検出するように構成された評価サブユニットを含む。
【0038】
評価サブユニットは、次の2つの条件が同時に満たされるかどうかを検証する要素29を備え、
-第1の条件は、図4に示すように、最も近い実際の位置Piが、現在のトリガ位置PCiに対して所定の制限L内に位置することであり、要素25によって検証される。この図4では、現在のトリガ位置PCiが示されており、これには、所定の制限L(この場合、PCiを中心とする半径Rの円)、ならびに経路T(図4のこの例では、XY平面の図として位置している)に沿って移動する移動要素の異なる連続した実際の位置PRiが関連付けられていること、および、
-第2の条件は、移動要素2が、経路Tに沿った移動中に、異なる実際の位置PRiの中から最も近い実際の位置Piに到達することであり、要素27および28によって検証される。
【0039】
これを行うべく、
-要素28は、現在の実際の位置に先行する実際の位置の距離パラメータD(計算要素24によって計算される)を記録することを可能にする要素であり、また
-要素27は、各々の現在の実際の位置について、(要素28に記録された)先行する位置のこの距離パラメータと、この現在の実際の位置の距離パラメータD(計算要素24によって計算される)との差を計算し、この差(移動手段(moving vehicle,移動車両)が現在のトリガ位置PCiに近づく場合先に減少する)が再び増加し始めるとすぐに、最も近い実際の位置Piに到達すると結論付ける。
【0040】
好ましい実施形態では、計算要素24は、以下の式を使用して距離パラメータDを計算し、
【数3】
式中
-PRは、考慮される実際の位置の自由度Liに応じた座標を表し、
-PCは、現在のトリガ位置の自由度Liに応じた座標を表し、
-Nは、移動要素の自由度Liの数を表す。
【0041】
これを行うために、4つの自由度(N=4)に基づく実施形態の例の場合、計算要素24は、
-一方で接続14A、14B、14C、および14Dを介して受信した4つのPRi値(PR1、PR2、PR3、PR4)間の差をそれぞれ計算する要素30A、30B、30C、および30D(図1の接続14の一部を形成)と、他方で、接続9A、9B、9C、9D(図1の接続9の一部を形成)を介して受信した4つのPCi値(PC1、PC2、PC3、PC4)、
-これらの差の二乗をそれぞれ計算する要素31A、31B、31C、および31D、ならびに
-要素31A、31B、31C、および31Dによって求められる結果を合計する要素32を含む。
【0042】
任意選択的に、上記の最小二乗の計算を使用する代わりに、計算要素24はまた、例えば、絶対値の合計または別の累乗による計算などの別の計算を使用することもできる。
【0043】
以下に、パルス信号を生成するための方法(図5に示す)から、上記のような装置1の機能を説明する。
【0044】
方法は、ユニット4によって実施される、トリガ位置を生成する予備ステップE0を含む。
【0045】
方法は、さらに、移動要素の移動の少なくとも一部の間、反復的に実施される次の連続するステップの継続を含み、連続するステップは、
-ユニット5によって実装され、考慮される自由度に対応する軸に従って定義される移動要素2の実際の位置PRi(図4)を生成することからなる、実際の位置を生成するステップE1であって、
・ユニット6により実施され、移動要素の連続的な有効位置をリアルタイムで測定することからなる測定ステップE11、および
・ユニット13により実施され、毎回、測定ステップE11の間に測定された2つの連続する有効位置の間の補間位置の継続を決定することからなる補間ステップE12であって、実際の位置が測定された有効位置のすべてを含み、および補間位置がある、補間ステップE12、
を含むステップE1、
-連続したトリガ位置に対し、毎回、現在のトリガ位置PCiと呼ばれるトリガ位置に対して、
・ユニット8により実行され、実際の位置を生成するステップE1でリアルタイムに生成された連続する実際の位置を、この現在のトリガ位置PCiにて比較して、これらの連続する実際の位置PRiの中から、現在のトリガ位置PCiに最も近い実際の位置Pi、および現在のトリガ位置PCiに関して所定の限界L内にあることを特定することからなる比較ステップE3、ならびに
・ユニット10により実施され、以下の2つの条件が同時に満たされる場合に、現在のトリガ位置PCiのパルス信号を生成することからなる、パルス信号を生成するステップE4であって、条件は、
・移動要素2が、(連続して到達する異なる実際の位置PRiの中から)最も近い実際の位置Piに到達すること、および
・この最も近い実際の位置Piが、考慮される現在のトリガ位置PCiに関して所与の制限L内に位置することである、ステップE4である。
【0046】
ステップE4で(現在のトリガ位置で)パルス信号が生成されると、次のトリガ位置が新しい現在のトリガ位置と見なされ、この新しい現在のトリガ位置に対してステップE3とE4が再び実行される。これらのステップE3およびE4は、トリガ位置ごとに繰り返し実行される。
図1
図2
図3
図4
図5