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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】配車サーバー、プログラム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020002222
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021111095
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉川 紘史
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-346634(JP,A)
【文献】特開2011-113445(JP,A)
【文献】特開2017-033206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて前記ユーザーに配車を行う配車サーバーであって、
車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出部と、
前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する分類部と、
同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行う配車伺い送信部と、
前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車する配車実行部と、
を備
前記分類部は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する、
配車サーバー。
【請求項2】
請求項1記載の配車サーバーであって、
前記分類部は、前記配車可能な車両から前記移動距離又は時間が設定範囲内の車両を前記配車伺いの送信候補として抽出し、前記送信候補としての前記配車可能な車両から前記相対的に近いグループの車両の分類を行い、前記次の相対的に近いグループの車両を分類する際に前記設定範囲を設定に応じて大きくし前記送信候補としての前記配車可能な車両の抽出を行う、
配車サーバー。
【請求項3】
請求項2記載の配車サーバーであって、
前記移動距離又は時間の所定範囲は、前記ユーザーからの配車依頼によって指定され、
前記分類部は、前記設定範囲が前記所定範囲よりも大きくなる場合又は前記送信候補としての前記配車可能な車両が抽出されなかった場合、前記車両抽出部で抽出された前記配車可能な車両から前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類する、
配車サーバー。
【請求項4】
請求項1~の何れか一項に記載の配車サーバーであって、
前記車両抽出部は、前記配車実行部により前記相対的に近いグループの車両から受諾を受け付けない場合、前記次の相対的に近いグループの車両を分類するために、前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を再度抽出する、
配車サーバー。
【請求項5】
ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて前記ユーザーに配車を行う配車サーバーの配車プログラムであって、
車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得機能と、
前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出機能と、
前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する分類機能と、
同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行う配車伺い送信機能と、
前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車する配車実行機能と、
を配車サーバーに実現させ、
前記分類機能は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する、
配車プログラム。
【請求項6】
請求項5記載の配車プログラムであって、
前記分類機能は、前記配車可能な車両から前記移動距離又は時間が設定範囲内の車両を前記配車伺いの送信候補として抽出し、前記送信候補としての前記配車可能な車両から前記相対的に近いグループの車両の分類を行い、前記次の相対的に近いグループの車両を分類する際に前記設定範囲を設定に応じて大きくし前記送信候補としての前記配車可能な車両の抽出を行う、
配車プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の配車プログラムであって、
前記移動距離又は時間の所定範囲は、前記ユーザーからの配車依頼によって指定され、
前記分類機能は、前記設定範囲が前記所定範囲よりも大きくなる場合又は前記送信候補としての前記配車可能な車両が抽出されなかった場合、前記車両抽出機能で抽出された前記配車可能な車両から前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類する、
配車プログラム。
【請求項8】
請求項5~7の何れか一項に記載の配車プログラムであって、
前記車両抽出機能は、前記配車実行機能により前記相対的に近いグループの車両から受諾を受け付けない場合、前記次の相対的に近いグループの車両を分類するために、前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を再度抽出する、
配車プログラム。
【請求項9】
ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて配車サーバーが前記ユーザーに配車を行う配車方法であって、
前記配車サーバーが、車両から位置情報及び稼働情報を取得し、
前記配車サーバーが、前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出し、
前記配車サーバーが、前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類し、
前記配車サーバーが、同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行い、
前記配車サーバーが、前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車し、
前記分類は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する、
配車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の車両をユーザーに配車するための配車サーバー、プログラム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置としては、例えば特許文献1に記載のタクシー配車装置がある。
【0003】
このタクシー配車装置は、端末装置から配車依頼があると、配車依頼のあった端末装置から所定の距離にあるタクシーを特定し、特定したタクシーに配車伺いデータを送信する。そして、タクシー端末装置から返信される配車可否データに基づいて配車するタクシーを決定する。
【0004】
配車するタクシーの決定では、配車可否データに基づく配車可能なタクシーの中から最も乗客(ユーザー)に近いタクシーを選択する。
【0005】
しかし、この場合は、配車後に乗客がタクシーに乗車するまでの待ち時間を短くできるが、最も近いタクシーから配車可否データが返信されない限り、配車するタクシーを決定することができず、配車に要する時間が長くなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-269347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする問題点は、配車に要する時間が長くなるおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて前記ユーザーに配車を行う配車サーバーであって、車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部と、前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出部と、前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する分類部と、同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行う配車伺い送信部と、前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車する配車実行部と、を備え、前記分類部は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する配車サーバーを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて前記ユーザーに配車を行う配車サーバーの配車プログラムであって、車両から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得機能と、前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出する車両抽出機能と、前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する分類機能と、同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行う配車伺い送信機能と、前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車する配車実行機能と、を配車サーバーに実現させ、前記分類機能は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する配車プログラムを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて配車サーバーが前記ユーザーに配車を行う配車方法であって、前記配車サーバーが、車両から位置情報及び稼働情報を取得し、前記配車サーバーが、前記車両の位置情報及び稼働情報並びに前記配車依頼の位置情報に基づいて前記ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両を抽出し、前記配車サーバーが、前記抽出された車両を前記移動距離又は時間に応じて前記ユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類し、前記配車サーバーが、同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、該配車伺いの一斉送信を前記ユーザーに相対的に近いグループから順に行い、前記配車サーバーが、前記送信した配車伺いに対する前記車両からの受諾を受け付けると前記受諾の送信元の車両を前記ユーザーに配車し、前記分類は、前記配車可能な車両の内、前記移動距離又は時間の順で前記ユーザーに最も近いものから設定された数の車両を相対的に近いグループの車両として分類し、次の相対的に近いグループの車両を分類する際に既に前記相対的に近いグループとして分類されている車両を前記配車可能な車両から除外する、配車方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配車伺いを複数の車両に対してユーザーに相対的に近いグループから順に一斉送信することで配車伺いの送信回数を低減し、且つ配車伺いを送信した車両の何れか一つから受諾を受け付けたときに送信元の車両をユーザーに配車することができ、配車に要する時間を短縮することができる。
【0012】
しかも、相対的に近いグループの車両から順に配車伺いを送信することにより、ユーザーに対して相対的に遠い車両が不用意に配車されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る配車サーバーを適用した配車システムの概念図である。
図2図1の配車サーバーを示すブロック図である。
図3図1の配車システムによる配車処理の優先配車権の行使時処理を示すフローチャートである。
図4】車両の抽出を示す概念図である。
図5】優先配車権の行使時処理において、相対的に近いグループの車両の分類を示す概念図である。
図6図1の配車システムによる配車処理の最初の非行使時処理を示すフローチャートである。
図7】優先配車権の非行使時処理において、相対的に近いグループの車両の分類を示す概念図である。
図8】優先配車権の非行使時処理において、相対的に近いグループの車両の分類を示す概念図である。
図9図1の配車システムによる配車処理の次の非行使時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
配車に要する時間を短縮するという目的を、配車可能な車両をユーザーに対する遠近のグループに分類し、相対的に近いグループから順にグループ内の車両に一斉に配車伺いを送り、それに対する受諾を受信したときに送信元の車両を配車することにより実現した。
【0015】
すなわち、本発明の配車サーバー3は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて、ユーザーに配車を行うものであり、図1及び図2のように、車両情報取得部23と、車両抽出部25と、分類部27と、配車伺い送信部29と、配車実行部31とを備える。なお、配車サーバー3は、タクシー等の旅客車両をユーザーに配車する場合の他、トラック等の貨物車両をユーザーに配車して貨物を集荷する場合等にも適用できる。
【0016】
配車依頼は、ユーザーが使用する端末装置9上のアプリケーション(以下、「アプリ」と称する)や端末装置9を用いた通話によって行うことが可能である。通話によって配車依頼を行う場合は、ユーザーが位置情報を配車サーバー3の管理会社や運営会社等に連絡して配車依頼を行い、管理会社や運営会社等の作業者が配車サーバー3に対して連絡を受けた位置情報を含む配車依頼を入力すればよい。
【0017】
車両情報取得部23は、車両5から位置情報及び稼働情報を取得する。車両抽出部25は、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する。分類部27は、移動距離又は時間に応じ、抽出された車両5をユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する。配車伺い送信部29は、同一グループの車両5に対して、受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、配車伺いの一斉送信を相対的に近いグループから順に行う。配車実行部31は、送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに配車する。
【0018】
分類部27は、配車可能な車両5の内、移動距離又は時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を、相対的に近いグループの車両5として分類してもよい。なお、相対的に近いグループの車両5を分類することは、それ以外の車両5を相対的に遠いグループの車両5として分類することにもなる。従って、少なくとも一つの相対的に近いグループの車両5を分類すれば、必然的に少なくとも二つのグループに分類することになる。次の相対的に近いグループの車両5を分類する際には、既に相対的に近いグループとして分類されている車両5を配車可能な車両5から除外する。
【0019】
ただし、車両5の分類手法は、上記に限られるものではない。例えば、移動距離又は時間の少なくとも一つの閾値の前後で車両5を分類してもよい。また、分類部27は、相対的に近いグループを順次分類するのではなく、事前に配車可能な車両5を複数のグループに分類しておいてもよい。
【0020】
また、車両5の分類手法では、移動距離や移動時間に、それ以外の要素を組み合わせることも可能である。例えば、移動距離や移動時間からは相対的に近いグループに入らない車両であっても、一定要件下で相対的に近いグループとみなしてもよい。
【0021】
一定要件下の車両5としては、ユーザーの満足度が高くなることが予想される車両5や営業機会を提供したい車両5等である。満足度が高くなることが予想される車両5は、例えば、配車依頼を行っているユーザーが過去にアプリ等によって高評価をつけたドライバーの車両5、ユーザーが女性の場合に女性のドライバーの車両5、苦情を受けることが少ないドライバーの車両5、予想到着時間に遅れることが少ないドライバーの車両5等である。営業機会を提供したい車両5は、例えば、実車率が低い車両5等である。実車率は、車両5の全走行距離に対して、乗客を乗せて走行した距離の占める割合のことである。
【0022】
相対的に近いグループの車両5を分類する場合、分類部27は、配車可能な車両5から移動距離又は時間が設定範囲内の車両5を配車依頼の送信候補として抽出し、送信候補としての配車可能な車両5から相対的に近いグループの車両5を分類してもよい。この場合は、次の相対的に近いグループの車両5を分類する際には、設定範囲を設定に応じて大きくし、送信候補としての配車可能な車両5の抽出を行う。
【0023】
移動距離又は時間の所定範囲は、ユーザーからの配車依頼によって指定し、或いは事前に設定したものであってもよい。
【0024】
分類部27は、移動距離又は時間の所定範囲がユーザーの配車依頼により指定されて設定範囲が所定範囲よりも大きくなる場合、又は送信候補としての配車可能な車両が抽出されなかった場合、車両抽出部25で抽出された配車可能な車両5から相対的に近いグループの車両5を分類してもよい。
【0025】
また、車両抽出部25は、配車実行部31により相対的に近いグループの車両5から受諾を受け付けない場合、次の相対的に近いグループの車両5を分類するために、ユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両5を再度抽出してもよい。
【0026】
配車プログラムは、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて、ユーザーに配車を行う配車サーバー3のプログラムであり、車両情報取得機能と、車両抽出機能と、分類機能と、配車伺い送信機能と、配車実行機能とを配車サーバー3に実現させる。車両抽出機能と、分類機能と、配車伺い送信機能と、配車実行機能は、それぞれ配車サーバー3の上記車両情報取得部23と、車両抽出部25と、分類部27と、配車伺い送信部29と、配車実行部31としての機能に対応する。
【0027】
配車方法は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付けて、配車サーバー3がユーザーに配車を行う配車方法である。
【0028】
配車方法では、配車サーバー3が、車両5から位置情報及び稼働情報を取得し、配車サーバー3が、車両5及び配車依頼の位置情報に基づいてユーザーまでの移動距離又は時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出し、配車サーバー3が、移動距離又は時間に応じて抽出された車両5をユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類し、配車サーバー3が、同一グループの車両に対して前記受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、配車依頼の一斉送信を相対的に近いグループから順に行い、配車サーバー3が、送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると受諾の送信元の車両5をユーザーに配車する。
【実施例1】
【0029】
[配車システム]
図1は、本発明の実施例1に係る配車サーバーを適用した配車システムの概念図である。
【0030】
配車システム1は、ユーザーの位置情報を含む配車依頼を受け付け、配車サーバー3がユーザーに配車を行うものであり、配車サーバー3と車両5とをネットワーク7により通信可能に接続して構成されている。なお、図1では、理解容易のためにユーザーの端末装置9及び車両5をそれぞれ1台のみ示しているが、実際は、複数台の端末装置9及び車両5が配車システム1内に存在している。
【0031】
配車は、ユーザーに車両5を割り当て、割り当てた車両5を配車依頼で指定された位置情報に応じた場所に向かわせることである。本実施例において、配車依頼は、ユーザーが所持する端末装置9上でアプリを実行することによって行われる。
【0032】
端末装置9は、多機能携帯電話やタブレットコンピュータ等の情報処理装置(コンピューター)によって構成され、アプリの実行によりネットワーク7を介して配車サーバー3と通信可能になる。
【0033】
配車依頼を行うときは、端末装置9のユーザーインターフェース11上で少なくとも出発地の位置情報を入力させる。なお、ユーザーインターフェース11は、例えばタッチパネル式のディスプレイである。
【0034】
端末装置9の位置情報は、ユーザーの位置情報であり、その入力は、GPS(Global Positioning System)等の測位技術を利用して行えばよい。ただし、ユーザー又は端末装置9の位置情報は、住所や座標を指定することも可能である。
【0035】
本実施例の配車依頼では、ユーザーまでの移動時間の所定範囲も入力させる。本実施例の所定範囲は、ユーザーの許容する待ち時間(ユーザーまでの移動時間)であり、その入力は、プルダウンによる指定や任意の時間の指定によって行えばよい。なお、所定範囲は、後述する車両5の抽出がユーザーまでの移動距離に基づいて行われる場合、これに応じて移動時間ではなく移動距離であってもよい。こうして入力された位置情報と所定範囲とを含めた配車依頼を、配車依頼データとして端末装置9から配車サーバー3に送信する。
【0036】
配車サーバー3は、配車依頼に応じて配車伺いを車両5に送信し、配車伺いに対する受諾を送信した車両5をユーザーに配車する。配車サーバー3の詳細は後述する。
【0037】
本実施例の車両5は、タクシーであり、情報処理装置(コンピューター)からなる車載端末13を有している。車載端末13は、アプリの実行によりネットワーク7を介して配車サーバー3と通信可能に接続されている。これにより、車載端末13は、車両5の位置情報及び稼働情報を配車サーバー3に送信し、配車サーバー3から配車伺いを受信可能となっている。
【0038】
この車載端末13は、車両5のドライバーが操作するドライバーインターフェース15を備えている。ドライバーインターフェース15は、例えばタッチパネル式のディスプレイからなり、情報の入力及び表示を可能とする。このドライバーインターフェース15は、車載端末13で配車伺いを受信すると、配車伺いに対する受諾を行うか否かを選択可能とする。選択された受諾を行うか否かの情報は、配車サーバー3に送信される。なお、受諾を行うか否かの選択は、自動的に行うことも可能である。例えば、走行により乗客を探す、いわゆる「流し」で見つけた乗客を乗せた場合は、新しい稼働情報を配車サーバー3に送信する前、自動的に配車伺いを拒否する。
【0039】
[配車サーバー]
図2は、配車サーバー3を示すブロック図である。
【0040】
配車サーバー3は、情報処理装置(コンピューター)によって構成されており、通信インターフェース17と、制御部19と、記憶部21とを備えている。
【0041】
通信インターフェース17は、端末装置9や車両5を含む外部装置に対するデータの送受信を行う通信デバイスである。
【0042】
制御部19は、配車サーバー3の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーであり、記憶部21は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリーである。
【0043】
本実施例の制御部19は、記憶部21内の配車プログラムを実行することにより、車両情報取得部23と、車両抽出部25と、分類部27と、配車伺い送信部29と、配車実行部31として動作する。これにより、配車サーバー3は、車両情報取得部23と、車両抽出部25と、分類部27と、配車伺い送信部29と、配車実行部31とを備える構成となっている。
【0044】
なお、これら制御部19の動作による各部は、それぞれ或いはいくつかをまとめて異なるプロセッサーによって構成してもよい。
【0045】
車両情報取得部23は、車両情報取得機能を実現し、車両5から位置情報及び稼働情報を取得する。具体的には、車両5から送信された位置情報及び稼働情報を車両情報取得部23が受信により取得する。
【0046】
車両抽出部25は、車両抽出機能を実現し、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する。
【0047】
具体的には、車両抽出部25は、車両5からユーザーまでの移動時間を予測し、その予測した移動時間が所定範囲内である車両5を配車可能な車両5として抽出する。移動時間の予測は公知の手法で行うことが可能である。なお、配車可能な車両5は、乗客を乗せていない空車状態のものをいう。また、空車状態には、所定時間以内、例えば数分以内に空車状態になる見込みの車両5も含むようにすることも可能である。
【0048】
また、車両抽出部25は、後述する配車実行部31により相対的に近いグループの車両5から受諾を受け付けない場合、次の相対的に近いグループの車両5を分類するために、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5を再度抽出する。
【0049】
分類部27は、分類機能を実現し、抽出された車両5を移動時間に応じてユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する。本実施例の分類部27は、まず、配車可能な車両5から移動時間が設定範囲内の車両5を後述する配車伺いの送信候補として抽出する。
【0050】
そして、分類部27は、送信候補の配車可能な車両5の内、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5をユーザーに相対的に近いグループの車両5として分類する。
【0051】
次の相対的に近いグループの車両5を分類する際には、ユーザーまでの移動時間の設定範囲を設定に応じて大きくし、送信候補としての配車可能な車両5の抽出を行う。そして、既に相対的に近いグループとして分類されている車両5を配車可能な車両から除外した上で、上記同様に車両5を分類する。分類する車両5の数は、一定であるが、ユーザーから遠いグループほど多くなる等のように任意に設定可能である。
【0052】
また、分類部27は、設定範囲が所定範囲よりも大きくなる場合又は送信候補としての配車可能な車両5を抽出できなかった場合、車両抽出部25で抽出された配車可能な車両5から相対的に近いグループの車両5を抽出する。
【0053】
また、本実施例の分類部27は、優先配車権が行使されている場合、優先配車権を行使しているドライバーの配車可能な車両5のみを対象として、相対的に近いグループの車両5の分類を行う。
【0054】
優先配車権は、所定期間内での配車伺い数に対する受諾数の割合(受諾率)及び受諾数の何れか一方又は双方が所定基準を満たす場合にドライバーに付与されるものである。この優先配車権は、優先配車権管理機能を実現する優先配車権管理部33により、付与、行使、及び失効が管理される。管理情報は、配車サーバー3の記憶部21に記憶されている。
【0055】
配車伺い送信部29は、配車伺い送信機能を実現し、同一グループの車両5に対して受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、配車伺いの一斉送信をユーザーに相対的に近いグループから順に行う。
【0056】
本実施例の配車伺い送信部29は、相対的に近いグループの車両5が分類されるたびに、分類されたグループの車両5に一斉に配車伺いを送信する。これにより、配車伺い送信部29は、グループの車両5が順次分類されることに応じ、複数のグループの車両5に順次配車伺いの一斉送信を行う。
【0057】
配車伺いは、ユーザーからの配車依頼に対応した内容を示すデータである。この配車伺いは、配車依頼の識別情報等と共にユーザーの位置情報等を含み、配車依頼に応じて作成したもの、又は配車依頼に識別情報等の必要な情報を付加したものの何れであってもよい。
【0058】
配車実行部31は、配車実行機能を実現し、送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると、受諾の送信元の車両5をユーザーに配車する。本実施例の配車実行部31は、所定時間内に相対的に近いグループの車両5から受諾を受け付けない場合、車両抽出部25に通知して、配車可能な車両5を再度の抽出を行わせる。
【0059】
なお、次の相対的に近いグループの車両5に配車伺いが送信された後であっても、前の相対的に近いグループの車両5から受諾を受信した場合、この受諾を優先して配車してもよい。
【0060】
[配車処理]
図3は、図1の配車システム1による配車処理の優先配車権の行使時処理を示すフローチャートであり、図4は、車両5の抽出を示す概念図、図5は、相対的に近いグループの車両5の分類を示す概念図である。
【0061】
図3のフローチャートは、ユーザーからの配車依頼を配車サーバー3が受信することによって開始される。まず、ステップS1では、図4のように、配車サーバー3の車両抽出部25がユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5の抽出を行う。すなわち、車両抽出部25は、ユーザーの位置情報を中心とした所定範囲内において、車両5の位置情報及び稼働情報を参照して配車可能な車両5を抽出する。
【0062】
次いで、ステップS2では、配車サーバー3の分類部27が抽出した車両5に対し、優先配車権の行使中の車両5の有無を判断する。この判断は、配車サーバー3の記憶部21内の管理情報に基づいて行えばよい。
【0063】
かかる判断は、本実施例において、分類部27の機能としているが、専用の機能部を設けてもよい。優先配車権の行使中の車両5がある場合はステップS3へ移行し、ない場合は図6の優先配車権の最初の非行使時処理へ移行する。
【0064】
ステップS3では、配車サーバー3の分類部27が、優先配車権の行使中の車両5の内、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループとして分類する。
【0065】
例えば、設定された数が5台の場合は、図5の斜線で示す車両5が相対的に近いグループとなる。なお、図5では、ユーザーに対する距離の遠近で想定的に近い車両5が選択されているが、本実施例では、移動時間を基準に判断するため、実際はユーザーに対する距離が遠い車両5であっても相対的に近いグループになる可能性がある。図4及び図5だけでなく、図7及び図8でも同様である。
【0066】
優先配車権の行使中の車両5が設定された数を超えている場合は、その中から設定された数の車両5が分類され、優先配車権の行使中の車両5が設定された数よりも少ない場合は、優先配車権の行使中の全ての車両5が分類される。
【0067】
ステップS4では、配車サーバー3の配車伺い送信部29が、ステップS3で分類された相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉に送信する。車両5側では、配車伺いを受領すると、車載端末13のドライバーインターフェース15上に配車伺いに対する受諾を行うか否かの選択画面が表示される。ドライバーが受諾か否かの選択をした場合は、車載端末13から選択に応じた受諾を行うか否かの情報が配車サーバー3に送信される。
【0068】
ステップS5では、配車サーバー3の配車実行部31が、送信した配車伺いに対する車両5から受諾を受け付けたか否かを判断する。この判断は、配車実行部31の機能としているが、専用の機能部によって行ってもよい。
【0069】
なお、受諾の受け付けは、配車伺いから所定時間内とする。受諾を受け付けた場合は、ステップS6へ移行し、受諾を受け付けない場合は、図9の次の非行使時処理へ移行する。
【0070】
ステップS6では、配車サーバー3の配車実行部31が受諾の送信元の車両5をユーザーに配車する。送信元の特定は、受諾情報に車両5を識別する車両識別情報やドライバーを識別するドライバー識別情報を含めることで行うことができる。配車が実行されると、処理が終了する。
【0071】
なお、優先配車権の行使時処理は省略してもよい。この場合は、ステップS1の車両5の抽出後に図6のフローチャートへ移行すればよい。
【0072】
図6は、図1の配車システム1による配車処理の最初の非行使時処理を示すフローチャート、図7及び図8は、相対的に近いグループの車両5の分類を示す概念図である。
【0073】
図6のフローチャートでは、まず、ステップS11において、配車サーバー3の分類部27が、ステップS1で抽出された配車可能な車両5から移動時間が設定範囲内の車両5を配車依頼の送信候補として抽出する。設定範囲は、例えば初期値として5分等が設定される。ただし、設定範囲は、時間、地域、天候等の外的要因に応じて任意に設定可能である。
【0074】
送信候補の車両5が抽出できた場合は、ステップS12へ移行し、できない場合は、ステップS17へ移行する。
【0075】
ステップS12では、配車サーバー3の分類部27が、設定範囲がユーザーの指定した所定範囲よりも小さいか否かを判断する。なお、ステップS12とステップS11は、いずれを先に行ってもよい。
【0076】
設定範囲が所定範囲よりも小さい場合は、ステップS13へ移行し、設定範囲が所定範囲よりも大きい場合は、ステップS17へ移行する。
【0077】
ステップS13では、配車サーバー3の分類部27が、送信候補の車両5の内、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループとして分類する。なお、ステップS13の処理は、送信候補の車両5を対象としている以外、ステップS3と同様である。例えば、設定された数が5台の場合は、図7の斜線で示す車両5が相対的に近いグループとなる。
【0078】
次いで、ステップS14では、ステップS4と同様、配車サーバー3の配車伺い送信部29がステップS13で分類された相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉に送信する。
【0079】
ステップS15では、ステップS5と同様、配車サーバー3の配車実行部31が送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断する。受諾を受け付けた場合は、ステップS16へ移行し、受諾を受け付けない場合は、図9の次の非行使時処理へ移行する。
【0080】
ステップS16では、ステップS6と同様、配車サーバー3の配車実行部31が受諾の送信元の車両5をユーザーに配車し、処理が終了する。このように、本実施例では、まず相対的に近いグループの車両5に対して配車伺いを一斉に送信して、受諾の送信元の車両5をユーザーに配車できる。このため、ユーザーから相対的に遠い車両5が不用意に配車されることが抑制される。
【0081】
ステップS17では、配車サーバー3の分類部27が、ステップS1で抽出した設定範囲外の配車可能な車両5の内、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループとして分類する。例えば、設定された数が5台の場合は、図8の斜線で示す車両5が相対的に近いグループとなる。
【0082】
次いで、ステップS18では、ステップS4と同様、配車サーバー3の配車伺い送信部29がステップS17で分類された相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉に送信する。
【0083】
ステップS19では、ステップS5と同様、配車サーバー3の配車実行部31が送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断する。受諾を受け付けた場合は、ステップS16へ移行して配車が行われる。一方、受諾を受け付けない場合は、処理が終了する。
【0084】
このように、本実施例では、送信候補の車両5から相対的に近いグループの車両5を抽出できなかった場合(送信候補の車両5を抽出できなかった場合や設定範囲がユーザーが設定した所定範囲を超えているような場合)でも、配車可能な車両5から相対的に近いグループの車両5に対して配車伺いを一斉に送信して配車することにより、ユーザーから相対的に遠い車両5が不用意に配車されることが抑制される。
【0085】
図9は、図1の配車システム1による配車処理の次の非行使時処理を示すフローチャートである。
【0086】
図9のフローチャートでは、まず、ステップS21において、配車サーバー3の車両抽出部25が、ステップS1と同様に、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5の再度の抽出を行う。
【0087】
次いで、ステップS22では、設定範囲を拡大して送信候補としての配車可能な車両5を抽出する。設定範囲の拡大は、例えば5分から10分へ拡大するように、設定された時間間隔分を直前の設定範囲に付加すればよい。こうして拡大した設定範囲を用い、送信候補の抽出をステップS11と同様にして行う。
【0088】
このように、本実施例では、設定範囲を段階的に大きくして車両5を再度抽出することで、直前の車両5の抽出時の設定範囲内に残りの車両5が存在しない場合や設定された数よりも少ない場合に対応できる。また、直前の車両5の抽出時からの状況の変化に応じた車両5の抽出を行うことができる。状況の変化は、例えば、直前の抽出時と比較して、車両5がユーザーに対して近づいたり遠ざかること等のように移動時間に影響を与える状況の変化をいう。
【0089】
送信候補の車両5が抽出できた場合は、ステップS23へ移行し、できない場合は、ステップS28へ移行する。
【0090】
ステップS23では、ステップS12と同様にして、配車サーバー3の分類部27が設定範囲がユーザーの設定した所定範囲よりも小さいか否かを判断する。そして、設定範囲が所定範囲よりも小さい場合はステップS24へ移行し、設定範囲が所定範囲よりも大きい場合はステップS28へ移行する。
【0091】
ステップS24では、配車サーバー3の分類部27が、送信候補の車両5の内、既に相対的に近いグループとして分類されている車両5を除外した上で、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループとして分類する。この分類は、ステップS13と同様である。
【0092】
ステップS25では、ステップS14と同様にして、配車サーバー3の配車伺い送信部29が、分類された相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉に送信する。
【0093】
ステップS26では、ステップS15と同様にして、配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断し、受諾を受け付けた場合、ステップS27へ移行し、受諾を受け付けない場合、ステップS21へ戻る。
【0094】
ステップS27では、ステップS16と同様に、受諾の送信元の車両5をユーザーに配車して処理が終了する。
【0095】
一方、ステップS28では、配車サーバー3の分類部27が、ステップS22で抽出した配車可能な車両5の内、既に相対的に近いグループとして分類されている車両5を除外した上で、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループとして分類する。
【0096】
次いで、ステップS29及びS30では、ステップS18及びS19と同様、相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉に送信し、配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けたか否かを判断する。受諾を受け付けた場合は、ステップS27へ移行して配車が行われる。一方、受諾を受け付けない場合は、処理が終了する。
【0097】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例の配車サーバー3は、車両5から位置情報及び稼働情報を取得する車両情報取得部23と、車両5の位置情報及び稼働情報並びに配車依頼の位置情報に基づいて、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5を抽出する車両抽出部25と、抽出された車両5を移動時間に応じてユーザーに対する遠近の少なくとも二つのグループに分類する分類部27と、同一グループの車両5に対して受け付けた配車依頼に対応する配車伺いを一斉に送信し、この配車伺いの一斉送信をユーザーに相対的に近いグループから順に行う配車伺い送信部29と、送信した配車伺いに対する車両5からの受諾を受け付けると受諾の送信元の車両5をユーザーに配車する配車実行部31とを備える。
【0098】
従って、本実施例では、配車伺いを複数の車両5に対してユーザーに相対的に近いグループから順に一斉送信することで配車伺いの送信回数を低減し、且つ配車伺いを送信した車両5の何れか一つから受諾を受け付けたときに送信元の車両5をユーザーに配車することができ、配車に要する時間を短縮することができる。
【0099】
このように構成しても、相対的に近いグループの車両5から順に配車伺いを送信することにより、ユーザーに対して相対的に遠い車両5が不用意に配車されることを抑制でき、配車率の向上に寄与することができる。配車率とは、ユーザーからの配車依頼に対する配車の成功率をいう。
【0100】
分類部27は、配車可能な車両5の内、移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループの車両5として分類し、次の相対的に近いグループの車両5を分類する際に、既に相対的に近いグループとして分類されている車両5を配車可能な車両5から除外する。
【0101】
従って、本実施例では、容易且つ確実に相対的に近いグループから順に配車伺いを一斉送信することが可能である。
【0102】
また、分類部27は、配車可能な車両5から移動時間が設定範囲内の車両5を配車伺いの送信候補として抽出し、送信候補としての配車可能な車両5から相対的に近いグループの車両5の分類を行い、次の相対的に近いグループの車両5を分類する際に、設定範囲を設定に応じて大きくし送信候補としての配車可能な車両5の抽出を行う。
【0103】
このように、本実施例では、設定範囲を段階的に大きくして送信候補の車両5を抽出することで、直前の車両5の抽出時の設定範囲内に残りの送信候補の車両5が存在しない場合や設定された数よりも少ないような場合に対応でき、配車率の向上に寄与できる。
【0104】
また、移動時間の所定範囲は、ユーザーからの配車依頼によって指定され、分類部27は、設定範囲が所定範囲よりも大きくなる場合又は設定範囲内で送信候補としての配車可能な車両5が抽出されなかった場合、車両抽出部25で抽出された配車可能な車両5から移動時間の順でユーザーに最も近いものから設定された数の車両5を相対的に近いグループの車両5として分類する。
【0105】
従って、本実施例では、設定範囲内の車両5の送信候補としての抽出の可否、及び設定範囲がユーザーの設定した所定範囲よりも小さいか否かの判断により、所定範囲よりも小さい設定範囲内の車両5を確実に配車することを可能とする。
【0106】
また、設定範囲内の車両5を配車できない場合や所定範囲内の車両5を配車できない場合でも、配車可能な車両5の中から相対的に近いグループの車両5に配車伺いを一斉送信することで、ユーザーへの配車に要する時間を短縮することができる。この場合、ユーザーが意図しない配車をキャンセルする可能性があるが、配車伺いの一斉送信を繰り返し行わないので、無駄になる恐れのある処理を抑制できる。
【0107】
また、車両抽出部25は、配車実行部31により相対的に近いグループの車両5から受諾を受け付けない場合、次の相対的に近いグループの車両5を分類するために、ユーザーまでの移動時間が所定範囲内の配車可能な車両5を再度抽出する。
【0108】
従って、本実施例では、直前の車両5の抽出時からの状況の変化に応じた車両5の抽出を行うことができる。
【0109】
本実施例の配車プログラムは、配車サーバー3に上記各部に基づく機能を実現させることにより、配車サーバー3と同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
本実施例の配車方法は、配車サーバー3を用いて上記各部の機能に基づく処理を行わせることで、配車サーバー3と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0111】
3 配車サーバー
5 車両
25 車両抽出部
27 分類部
29 配車伺い送信部
31 配車実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9