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特許7399725走行体、走行システム、及び走行制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】走行体、走行システム、及び走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231211BHJP
【FI】
G05D1/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020010690
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117736
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-134217(JP,A)
【文献】特開平09-034548(JP,A)
【文献】特開2012-048508(JP,A)
【文献】特開昭64-059509(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108762276(CN,A)
【文献】特開平11-058271(JP,A)
【文献】特開2000-306194(JP,A)
【文献】米国特許第05204814(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0310626(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体が走行している間の前記走行体の位置を検出する位置検出部と、
走行路に敷設されたガイド部材を検出することにより前記走行体を前記ガイド部材に沿って走行させる第1走行方式と、前記ガイド部材によらず前記位置検出部により検出される前記位置に基づいて前記走行体を走行させる第2走行方式とを切り替える走行制御部と、
前記ガイド部材から検出される磁気強度が所定値以上である場合に前記走行体が前記ガイド部材から脱線していないと判定し、前記ガイド部材から検出される前記磁気強度が前記所定値未満である場合に前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定する判定処理部と、
前記走行体の周囲の検知範囲を設定して、前記検知範囲の障害物を検知する障害物検知部と、
を備え、
前記障害物検知部は、前記判定処理部により前記走行体が前記ガイド部材から脱線していないと判定された場合に、前記走行体の前方を含む第1障害物検知範囲を前記検知範囲に設定し、前記判定処理部により前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、前記走行体の全周囲を囲う第2障害物検知範囲を前記検知範囲に設定し、
記判定処理部により前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、
(1)前記走行制御部は、前記第1走行方式から前記第2走行方式に切り替え、前記位置検出部により検出される前記位置の情報と、前記走行体が前記ガイド部材から脱線した脱線位置の情報とに基づいて、前記脱線位置から、前記ガイド部材上の復帰位置であって、前記脱線位置よりも前記走行体が走行すべき走行方向である第1方向側の位置である復帰位置までの復帰経路を生成し、前記走行体を前記第2走行方式により前記復帰経路を走行させ
(2)前記障害物検知部は、前記走行体が前記復帰経路を走行している間、前記第2障害物検知範囲の障害物を検知する、走行体。
【請求項2】
前記走行制御部は、さらに、前記走行体が前記ガイド部材から脱線した方向の情報に基づいて前記復帰経路を生成する、
請求項1に記載の走行体。
【請求項3】
前記判定処理部は、前記走行体が前記ガイド部材から脱線した後、前記走行体が前記ガイド部材の位置に復帰したか否かを判定し、
記判定処理部により前記走行体が前記ガイド部材の位置に復帰したと判定された場合に、前記走行制御部は、前記第2走行方式を前記第1走行方式に切り替え、かつ前記障害物検知部は、前記第2障害物検知範囲を前記第1障害物検知範囲に切り替える、
請求項1又は2に記載の走行体。
【請求項4】
前記走行制御部は、前記第2走行方式に切り替えてから前記走行体を所定時間又は所定距離だけ走行させても前記ガイド部材の位置に復帰しない場合に、前記走行体を停止させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の走行体。
【請求項5】
走行体が走行している間の前記走行体の位置を検出する位置検出ステップと、
走行路に敷設されたガイド部材を検出することにより前記走行体を前記ガイド部材に沿って走行させる第1走行方式と、前記ガイド部材によらず前記位置検出ステップにより検出される前記位置に基づいて前記走行体を走行させる第2走行方式とを切り替える走行制御ステップと、
前記ガイド部材から検出される磁気強度が所定値以上である場合に前記走行体が前記ガイド部材から脱線していないと判定し、前記ガイド部材から検出される前記磁気強度が前記所定値未満である場合に前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定する判定ステップと、
前記走行体の周囲の検知範囲を設定して、前記検知範囲の障害物を検知する障害物検知ステップと、
を一又は複数のプロセッサが実行し、
前記障害物検知ステップにおいて、前記判定ステップにより前記走行体が前記ガイド部材から脱線していないと判定された場合に、前記走行体の前方を含む第1障害物検知範囲を前記検知範囲に設定し、前記判定ステップにより前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、前記走行体の全周囲を囲う第2障害物検知範囲を前記検知範囲に設定し、
記判定ステップにより前記走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、
(1)前記走行制御ステップにおいて、前記第1走行方式から前記第2走行方式に切り替え、前記位置検出ステップにより検出される前記位置の情報と、前記走行体が前記ガイド部材から脱線した脱線位置の情報とに基づいて、前記脱線位置から、前記ガイド部材上の復帰位置であって、前記脱線位置よりも前記走行体が走行すべき走行方向である第1方向側の位置である復帰位置までの復帰経路を生成し、前記走行体を前記第2走行方式により前記復帰経路を走行させ
(2)前記障害物検知ステップにおいて、前記走行体が前記復帰経路を走行している間、前記第2障害物検知範囲の障害物を検知する、走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体、走行体システム、及び前記走行体を制御する走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫、製造ラインなどにおいて、商品、部品などの荷物(物品)を搬送する搬送車(走行体)が利用されている。例えば、作業者は、荷物が保管されている保管棚から所望の荷物を取り出して搬送車に積載する。搬送車は、予め設定された走行経路に沿って走行し、目的の場所(搬出口など)まで荷物を搬送する。例えば、搬送車は、走行経路に敷設された磁気テープ(ガイド部材の一例)を検出しながら目的地に向かって走行する。
【0003】
ここで、搬送車が磁気テープから脱線した場合に、搬送車が設定された走行経路を走行できなくなる問題が生じる。従来、前記問題を解決する技術として、搬送車が磁気テープから脱線した場合に、搬送車の車輪ユニットを揺動させて磁気テープを探索して脱線から復帰する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-147034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、搬送車が磁気テープを脱線した状況を把握できないため脱線から復帰できなかったり、復帰まで時間がかかってしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、ガイド部材を検出して走行する走行体がガイド部材から脱線した場合に、走行体を効率よく復帰させることが可能な走行体、走行システム、及び走行制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る走行体は、走行体が走行している間の前記走行体の位置を検出する位置検出部と、走行路に敷設されたガイド部材を検出することにより前記走行体を前記ガイド部材に沿って走行させる第1走行方式と、前記ガイド部材によらず前記位置検出部により検出される前記位置に基づいて前記走行体を走行させる第2走行方式とを切り替える走行制御部と、前記ガイド部材の検出状態を判定する判定処理部と、を備え、前記走行制御部は、前記判定処理部により前記ガイド部材の検出状態が前記走行体が前記第1走行方式により走行することができない状態であると判定された場合に、前記第1走行方式から前記第2走行方式に切り替える。
【0008】
本発明の他の態様に係る走行システムは、走行路に敷設されたガイド部材に沿って走行する第1走行体が走行している間の前記第1走行体の位置を検出する位置検出部と、前記第1走行体が前記ガイド部材から脱線したか否かを判定する判定処理部と、前記判定処理部により前記第1走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、前記第1走行体を前記ガイド部材の位置に復帰させる走行制御部と、前記判定処理部により前記第1走行体が前記ガイド部材から脱線したと判定された場合に、前記第1走行体の後続の第2走行体に、前記第1走行体が前記ガイド部材から脱線した脱線位置の情報と、低速走行に切り替える指示とを出力する出力処理部と、を備える。
【0009】
本発明の他の態様に係る走行制御方法は、走行体が走行している間の前記走行体の位置を検出する位置検出ステップと、走行路に敷設されたガイド部材を検出することにより前記走行体を前記ガイド部材に沿って走行させる第1走行方式と、前記ガイド部材によらず前記位置検出ステップにより検出される前記位置に基づいて前記走行体を走行させる第2走行方式とを切り替える走行制御ステップと、前記ガイド部材の検出状態を判定する判定ステップと、を一又は複数のプロセッサにより実行する走行制御方法であって、前記走行制御ステップでは、前記判定ステップにより前記ガイド部材の検出状態が前記走行体が前記第1走行方式により走行することができない状態であると判定された場合に、前記第1走行方式から前記第2走行方式に切り替える、走行制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガイド部材を検出して走行する走行体がガイド部材から脱線した場合に、走行体を効率よく復帰させることが可能な走行体、走行システム、及び走行制御方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る走行体を示す外観斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る走行体の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る走行体で利用される位置情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る走行体で利用される環境地図及び走行経路の一例を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の実施形態に係る走行体の走行状態の一例を示す図である。
図5B図5Bは、本発明の実施形態に係る走行体の走行状態の一例を示す図である。
図5C図5Cは、本発明の実施形態に係る走行体の走行状態の一例を示す図である。
図5D図5Dは、本発明の実施形態に係る走行体の走行状態の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る走行体において実行される走行制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、本発明の実施形態に係る走行体における障害物検知範囲の一例を示す図である。
図7B図7Bは、本発明の実施形態に係る走行体における障害物検知範囲の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る走行システムの構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る走行システムにおける各走行体の走行状態の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る走行システムにおける各走行体の障害物検知範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る走行体の外観斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る走行体の構成を示す機能ブロック図である。走行体1は、例えば、無人走行可能な走行車(Automatic Guided Vehicle)である。また、走行体1は、磁気テープ(本発明のガイド部材の一例)を検出しながら予め設定された走行経路を走行する磁気テープ走行方式(本発明の第1走行方式の一例)と、前記磁気テープによらず現在位置を検出しながら自律的に前記走行経路を走行するガイドレス走行方式(本発明の第2走行方式の一例)とを切り替え可能な構成を備えている。走行体1は、本発明の走行体の一例である。
【0014】
図2に示すように、走行体1は、制御部11、記憶部12、距離センサ13、報知部14、走行部15、及び通信部16を備える。走行体1は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網を介して外部機器と通信可能である。例えば、走行体1は、前記通信網を介して操作端末(不図示)と通信可能に構成されてもよい。すなわち、走行体1は、操作端末に対する作業者の操作に基づいて走行体1を走行させる遠隔操作可能なシステムで構成されてもよい。
【0015】
通信部16は、走行体1を有線又は無線で前記通信網に接続し、前記通信網を介して操作端末などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0016】
走行部15は、走行体1を走行させる駆動部である。走行部15には、駆動モータ、駆動車輪などが含まれる。走行部15は、制御部11からの指示に従って駆動モータを駆動して走行体1を走行させる。
【0017】
報知部14は、所定の情報を外部に報知する。例えば、報知部14はスピーカで構成され、所定の音声を外部に出力する。なお、報知部14は表示灯(回転灯)で構成され、所定の光(照明)を外部に出力してもよい。また、報知部14は表示パネルで構成され、所定のメッセージを表示パネルに表示してもよい。さらに、報知部14は、スピーカ、表示灯、及び表示パネルのうち少なくとも2つの部材により構成されてもよい。
【0018】
距離センサ13は、所定の障害物検知範囲AR(図7等参照)における障害物の有無及び障害物までの距離を測定する。具体的には、距離センサ13は、探査光を障害物検知範囲ARに照射し、その反射光を検出することにより前記距離を測定する。距離センサ13は、所定の周期で前記距離を測定する。なお、本実施形態では、距離センサ13としてレーザー光を挙げる。距離センサ13は、少なくとも走行体1の進行方向の前側に1箇所設置される(図1参照)。なお、距離センサ13の数は限定されず、少なくとも1つ設置されていればよい。本実施形態では、進行方向前側に設置された距離センサ13が略180度の範囲にレーザー光を照射して障害物検知範囲ARに存在する障害物(棚、荷物、壁、柱、作業者など)などの対象物までの距離を測定する。距離センサ13は、所定の周期で前記距離を測定し、測定結果を制御部11に出力する。
【0019】
なお、距離センサ13は、超音波を利用して障害物(対象物)の有無及び障害物までの距離を測定してもよい。また、走行体1は、カメラ(不図示)により撮像された撮像画像に基づいて前記距離を測定してもよい。
【0020】
記憶部12は、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含む不揮発性の記憶部である。例えば記憶部12には、制御部11に後述の走行制御処理(図6参照)を実行させるための走行制御プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。前記走行制御プログラムは、USB、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、走行体1が備えるUSBドライブ、CDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。また、前記走行制御プログラムは、外部機器から通信網を介してダウンロードされて記憶部12に記憶されてもよい。
【0021】
また記憶部12には、ピッキング情報が記憶される。前記ピッキング情報は、搬送すべき各荷物が、どの保管棚のどの位置に置かれており、それらの荷物のうちどの荷物を何個、何処へ搬送すべきかを表す情報である。また記憶部12には、荷物に関する荷物情報が記憶される。前記荷物情報は、保管棚に保管されている各荷物の数量、各荷物の重量、体積等を表す情報である。
【0022】
また記憶部12には、走行体1の走行に必要な情報が記憶される。例えば記憶部12には、走行体1が走行する走行経路RD(図4参照)を表す経路情報121が記憶される。走行経路RDは、作業者により設定された設定情報に応じて制御部11により生成される経路である(後述)。
【0023】
また記憶部12には、走行体1が走行する範囲(走行エリア)の環境を表した環境地図122のデータが記憶される。環境地図122には、走行体1が走行可能な走行路LD(通路)、棚、壁、柱など固定された障害物WD、走行路LDに敷設された磁気テープMTなどの情報が含まれる(図4参照)。記憶部12には、走行体1が使用される場所に応じた環境地図122が記憶されている。本実施形態では、走行体1が図4に示す環境地図122に対応する場所において使用される場合を例に挙げる。磁気テープMTは、例えば全ての走行路LDの中央に敷設されている。
【0024】
また記憶部12には、走行体1が走行している間の走行体1の位置(現在位置)を示す位置情報123のデータが記憶される。図3には、位置情報123の一例を示している。制御部11は、走行体1が走行している間、周知の自己位置推定方法により走行体1の位置を検出して位置情報123に登録する。位置情報123には、所定間隔の時刻ごとに、検出された位置情報(座標情報など)が登録される。
【0025】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより走行体1を制御する。
【0026】
具体的には、制御部11は、図2に示すように、走行制御部111、位置検出部112、判定処理部113、障害物検知部114、出力処理部115などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記走行制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行制御プログラムは、複数のプロセッサを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0027】
ここで、制御部11は、走行体1の走行経路RDを生成(計画)する。例えば、制御部11は、作業者が走行体1に与えた設定情報に基づいて環境地図122における走行経路RDを生成する。前記設定情報には、例えば走行体1の走行開始地点、経由地点、目的地点などの地点情報、走行体1を走行させる経路及び走行を禁止する経路などの経路情報などが含まれる。
【0028】
図4には、走行経路RDの一例を示している。図4において、符号SDは走行開始地点を示し、符号S1~S3は交差点、曲がり角など走行方向が変化する地点を示し、符号GDは目的地点を示している。また符号RDの矢印は、走行開始地点SDから目的地点GDまでの走行経路を示している。図4に示す走行経路RDは、走行体1が走行開始地点SDを出発後、直進して交差点S1(十字路)を左折し、その後直進して交差点S2(丁字路)を右折し、その後直進して曲がり角S3を右折し、目的地点GDに到着する経路である。制御部11は、生成した走行経路RDを含む経路情報121を記憶部12に記憶する。
【0029】
走行制御部111は、走行体1の走行動作を制御する。走行制御部111は、本発明の走行制御部の一例である。具体的には、走行制御部111は、走行路LDに敷設された磁気テープMT(図4参照)を検出することにより走行体1を磁気テープMTに沿って走行させる磁気テープ走行方式により走行体1を走行させる。例えば、走行制御部111は、磁気テープMTから磁気を検出しながら、経路情報121に含まれる走行経路RDに応じた走行指示を走行体1の走行部15に出力する。また、走行制御部111は、前記磁気テープ走行方式と前記ガイドレス走行方式とを切り替える。前記ガイドレス走行方式では、走行制御部111は、走行体1の現在位置(位置情報123)と経路情報121と環境地図122とに基づいて、走行経路RDに応じた走行指示を走行体1の走行部15に出力する。走行部15は、前記走行指示に従って駆動モータを駆動して走行体1を走行させる。
【0030】
位置検出部112は、走行体1が走行している間の走行体1の位置を検出する。具体的には、位置検出部112は、前記磁気テープ走行方式により走行体1が走行している間の走行体1の位置を検出する。また、位置検出部112は、前記ガイドレス走行方式により走行体1が走行している間の走行体1の位置を検出する。位置検出部112は、本発明の位置検出部の一例である。位置検出部112は、環境地図122における地図上の走行体1の位置(座標)を検出する。例えば、位置検出部112は、所定の時間間隔で距離センサ13により測定された障害物WDまでの距離に基づいて、環境地図122の地図上の位置を検出する。前記位置の検出方法は、周知の方法を採用することができる。位置検出部112は、検出した走行体1の位置情報を位置情報123(図3参照)に登録する。
【0031】
判定処理部113は、磁気テープMTの検出状態を判定する。また判定処理部113は、磁気テープMTの検出状態に基づいて、走行体1が前記磁気テープ走行方式により走行することができる状態であるか否かを判定する。判定処理部113は、本発明の判定処理部の一例である。
【0032】
例えば、判定処理部113は、磁気テープMTから検出される磁気強度が所定値以上であるか否かを判定する。そして、判定処理部113は、前記磁気強度が所定値以上である場合に、走行体1が前記磁気テープ走行方式により走行することができる状態(正常状態)であると判定し、前記磁気強度が所定値未満である場合に、走行体1が前記磁気テープ走行方式により走行することができない状態(異常状態)であると判定する。前記異常状態は、例えば、走行体1が磁気テープMTから脱線した場合、走行路LDに敷設された磁気テープMTが途切れている場合、磁気テープMTの磁気を検出する磁気センサ(不図示)に異常が生じている場合などに生じ得る。
【0033】
ここで、判定処理部113により磁気テープMTの検出状態が前記正常状態であると判定された場合、走行制御部111は、前記磁気テープ走行方式により走行体1を走行させる。一方、判定処理部113により磁気テープMTの検出状態が前記異常状態であると判定された場合、走行制御部111は、前記磁気テープ走行方式から前記ガイドレス走行方式に切り替えて走行体1を走行させる。すなわち、例えば、走行体1が前記磁気テープ走行方式により走行経路RDを走行している場合において、何らかの原因により走行体1が走行経路RDから外れて磁気テープMTから脱線した場合に、走行制御部111は、前記ガイドレス走行方式に切り替える。
【0034】
また、走行制御部111は、前記磁気テープ走行方式から前記ガイドレス走行方式に切り替えた場合、前記磁気テープ走行方式に復帰させるための処理(復帰処理)を実行する。例えば、走行体1が磁気テープMTから脱線した場合、走行制御部111は、走行体1が磁気テープMTの位置に戻るため復帰経路BRを生成し、生成した復帰経路BRに沿って走行体1を走行させる復帰処理を実行する。
【0035】
図5A図5Dは、前記復帰処理の一例を示す図である。例えば、走行体1が前記磁気テープ走行方式により交差点S1からS2に向かってD1方向に走行している場合(図5A参照)において、走行体1が位置S11で磁気テープMTからD2方向に脱線した場合(図5B参照)、走行制御部111は、復帰経路BR(図5C)を生成する。例えば、走行制御部111は、位置検出部112により検出される前記位置の情報(図3参照)と、走行体1が磁気テープMTから脱線した脱線位置S11の情報とに基づいて、復帰経路BRを生成する。また走行制御部111は、前記各情報と、走行体1が磁気テープMTから脱線した方向(D2)の情報とに基づいて復帰経路BRを生成してもよい。例えば、走行体1がD1方向に対して左側(D2方向)に脱線した場合、走行制御部111は、右側へ旋回して磁気テープMTに最短時間又は最短距離で復帰させる復帰経路BRを生成する。
【0036】
なお、磁気テープMTが走行路LDにおいて直線状に敷設されている場合において、途中で途切れている場合には、走行体1がD1方向に脱線したことになる。この場合、走行制御部111は、D1方向に直進して磁気テープMTに復帰させる復帰経路BRを生成する。
【0037】
ここで、走行制御部111は、走行体1を脱線位置S11に戻すことにより磁気テープMTに復帰させる復帰経路BRを生成してもよいが、作業効率の低下を防ぐために、目的地に向かって走行しながら磁気テープMTに復帰させる復帰経路BRを生成することが好ましい。例えば、走行体1がD1方向に対して左側(D2方向)に脱線した場合に、走行制御部111は、D1方向に進行しながら右側へ旋回することにより磁気テープMTに復帰させる復帰経路BR(図5C参照)を生成する。すなわち、走行制御部111は、磁気テープMTの脱線位置S11よりも、磁気テープMTの走行体1が走行すべき走行方向(D1)側の位置D12に復帰させる復帰経路BRを生成する。
【0038】
走行制御部111は、生成した復帰経路BRに基づいて走行体1を走行させる。また判定処理部113は、走行体1が磁気テープMTから脱線した後、走行体1が磁気テープMTの位置に復帰したか否かを判定する。走行制御部111は、判定処理部113により走行体1が磁気テープMTの位置に復帰したと判定された場合に、前記ガイドレス走行方式を前記磁気テープ走行方式に切り替える。例えば、走行制御部111が復帰経路BRに基づいて走行体1を走行させている場合において、判定処理部113が走行体1が磁気テープMTの位置に復帰したと判定した場合に、走行制御部111は、走行体1を再び前記磁気テープ走行方式により走行させる(図5D参照)。
【0039】
また、走行制御部111は、前記ガイドレス走行方式に切り替えてから走行体1を所定時間又は所定距離だけ走行させても磁気テープMTの位置に復帰しない場合には、走行体1を停止させる。
【0040】
障害物検知部114は、障害物を検知する。例えば、障害物検知部114は、距離センサ13の測定結果に基づいて障害物検知範囲AR(図7等参照)における障害物を検知する。障害物検知部114により前記障害物が検知された場合、走行制御部111は、走行体1を停止又は低速走行させる。また走行制御部111は、走行体1を、前記障害物を回避するように走行させてもよい。
【0041】
出力処理部115は、走行体1の走行状態を示す情報を出力する。例えば、走行体1が磁気テープMTから脱線した場合に、出力処理部115は、脱線したことを示す警告を報知部14に報知させる。また例えば、走行体1が磁気テープMTから脱線して復帰できなくなった場合に、出力処理部115は、走行不能であることを示す警告を報知部14に報知させる。報知部14が表示パネルの場合、出力処理部115は、表示パネルに前記警告に応じたメッセージを表示させる。
【0042】
[走行制御処理]
以下、図6を参照しつつ、走行体1において実行される走行制御処理について説明する。具体的に、本実施形態では、走行体1の制御部11によって前記走行制御処理が実行される。また制御部11は、走行体1の走行が開始されると前記走行制御処理を開始する。また制御部11は、走行体1の走行が終了(停止)されると前記走行制御処理を終了する。
【0043】
なお、本発明は、前記走行制御処理に含まれる一又は複数のステップを実行する走行制御方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行制御処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行制御処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11によって前記走行制御処理における各ステップが実行される場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサによって当該走行制御処理における各ステップが分散して実行される走行制御方法も他の実施形態として考えられる。
【0044】
ここでは、走行体1の走行が開始される前(初期設定時)に制御部11により所定の走行経路RD(図4参照)が生成されているものとする。
【0045】
走行経路RDに従って走行体1の走行が開始されると、先ずステップS11において、制御部11は、走行体1を前記磁気テープ走行方式により磁気テープMTに沿って走行させる。また制御部11は、走行体1が磁気テープMTに沿って走行中に、環境地図122における地図上の走行体1の位置(現在位置)を検出する。制御部11は、走行体1を走行させている間、位置を検出し、検出した位置の情報を位置情報123に登録していく。ステップS11は、本発明の走行制御ステップ及び位置検出ステップの一例である。
【0046】
次に、ステップS12において、制御部11は、走行体1が磁気テープMTから脱線したか否かを判定する。例えば、制御部11は、磁気テープMTから検出される前記磁気強度が所定値未満となった場合に、走行体1が磁気テープMTから脱線したと判定する。制御部11により走行体1が磁気テープMTから脱線したと判定された場合(S12:Yes)、処理はステップS13に移行する。制御部11により走行体1が磁気テープMTから脱線したと判定されない場合(S12:No)、処理はステップS11に戻る。すなわち、走行体1が磁気テープMTに沿って前記磁気テープ走行方式により正常に走行している間は、ステップS11~S12の処理を繰り返す。ステップS12は、本発明の判定ステップの一例である。
【0047】
ステップS13において、制御部11は、前記磁気テープ走行方式から前記ガイドレス走行方式に切り替える。例えば、走行体1が前記磁気テープ走行方式により交差点S1からS2に向かってD1方向に走行している場合(図5A参照)において、走行体1が位置S11で磁気テープMTからD2方向に脱線した場合(図5B参照)、制御部11は、前記磁気テープ走行方式から前記ガイドレス走行方式に切り替える。
【0048】
次に、ステップS14において、制御部11は、前記ガイドレス走行方式から前記磁気テープ走行方式に復帰させるための復帰経路BRを生成する。例えば、制御部11は、位置情報123(図3参照)と、脱線位置S11の情報と、脱線方向(D2)の情報とに基づいて、復帰経路BR(図5C参照)を生成する。
【0049】
次に、ステップS15において、制御部11は、生成した復帰経路BRに基づいて走行体1を走行させる。ステップS15は、本発明の走行制御ステップの一例である。
【0050】
次に、ステップS16において、制御部11は、走行体1が磁気テープMTに復帰したか否かを判定する。例えば、制御部11は、磁気テープMTから検出される前記磁気強度が所定値以上となった場合に、走行体1が磁気テープMTに復帰したと判定する。走行体1が磁気テープMTを脱線してから所定時間経過するまでの間(S17:No)に磁気テープMTに復帰した場合(S16:Yes)、処理はステップS11に戻り、制御部11は、前記磁気テープ走行方式に切り替えて走行体1を走行させる(図5D参照)。制御部11は、走行体1が走行している間、上述の処理を繰り返す。ステップS16は、本発明の判定ステップの一例である。
【0051】
一方、走行体1が磁気テープMTを脱線してから所定時間経過するまでの間に磁気テープMTに復帰できない場合(S16:No、S17:Yes)、処理はステップS18に移行する。
【0052】
ステップS18において、制御部11は、走行体1を停止させる。ステップS18は、本発明の走行制御ステップの一例である。
【0053】
次にステップS19において、制御部11は、走行体1が走行不能であることを示す警告を報知部14に報知させる。以上のようにして、前記走行制御処理が実行される。
【0054】
本実施形態に係る走行体1によれば、前記磁気テープ走行方式により走行している走行体1が磁気テープMTから脱線した場合に、走行体1は前記ガイドレス走行方式により磁気テープMTに復帰するための復帰処理を実行する。また前記ガイドレス走行方式では、走行体1は、前記磁気テープ走行方式で走行中に自己位置推定処理により検出した位置情報123(図3参照)に基づいて前記復帰処理を実行する。このため、短時間で走行体1を磁気テープMTに復帰させることができる。また、進行方向に応じた復帰経路BRに基づいて走行体1を磁気テープMTに復帰させることができる。よって、走行体1が磁気テープMTから脱線した場合に、走行体1を効率よく復帰させることが可能となる。
【0055】
なお、走行体1は、前記ガイドレス走行方式により走行中に走行経路RDから脱線したか否かを判定してもよい。この場合、走行体1が走行経路RDから脱線した場合に、制御部11は、前記ガイドレス走行方式により磁気テープMTを探索する前記復帰処理を実行し、磁気テープMTに復帰した場合に前記ガイドレス走行方式による走行を再開する。
【0056】
本発明は上述の実施形態に限定されない。他の実施形態について以下に説明する。
【0057】
他の実施形態として、障害物検知部114は、前記磁気テープ走行方式に対応する第1障害物検知範囲AR1と、前記ガイドレス走行方式に対応する第2障害物検知範囲AR2とを互いに異ならせてもよい。なお、第1障害物検知範囲AR1及び第2障害物検知範囲AR2のそれぞれは、障害物を検知したときに走行体1を低速走行させる範囲である低速範囲A1と、障害物を検知したときに走行体1を停止させる範囲である停止範囲A2とを含む。また低速範囲A1は、停止範囲A2よりも広い範囲に設定される。例えば、障害物検知部114は、図7Aに示すように第1障害物検知範囲AR1を、走行体1の前方を含む特定の範囲に設定し、図7Bに示すように第2障害物検知範囲AR2を、走行体1の全周囲を囲う範囲に設定する。例えば、判定処理部113により走行体1が磁気テープMTから脱線したと判定された場合に、障害物検知部114は、障害物検知範囲を、第1障害物検知範囲AR1から第2障害物検知範囲AR2に切り替える。このように、走行体1が磁気テープMTから脱線した場合に、前記障害物検知範囲を走行体1の周囲の範囲に設定することにより、走行体1は安全かつ効率よく磁気テープMTに復帰する動作を行うことができる。第1障害物検知範囲AR1は本発明の第1検知範囲の一例であり、第2障害物検知範囲AR2は本発明の第2検知範囲の一例である。
【0058】
また他の実施形態として、図8に示すように、複数の走行体1と、複数の走行体1を管理する管理装置2とを含む走行システム10が構築されてもよい。管理装置2は、通信部23を介して各走行体1と通信可能に構成される。図8には、一例として、2台の走行体1A,1Bを示しているが、走行体1の台数は限定されない。ここでは、走行体1Aと、走行体1Aの後続の走行体1Bを例に挙げる。走行システム10は、本発明の走行システムの一例である。また走行体1Aは本発明の第1走行体の一例であり、走行体1Bは本発明の第2走行体の一例である。
【0059】
例えば管理装置2は、走行体1Aから取得する情報に基づいて走行体1Bに走行指示を出力したり、走行体1Bから取得する情報に基づいて走行体1Aに走行指示を出力したりする。走行体1A,1Bのそれぞれは、同一の構成を備えてもよい。すなわち、走行体1A,1Bのそれぞれにおいて、位置検出部112は走行体の位置を検出し、判定処理部113は走行体が磁気テープMTから脱線したか否かを判定し、走行制御部111は走行体が磁気テープMTから脱線した場合に走行体を磁気テープMTの位置に復帰させる。
【0060】
ここで、例えば走行体1Aが磁気テープMTから脱線した場合に(図9参照)、走行体1Aの出力処理部115は、脱線したことを示す情報(脱線情報)を管理装置2に送信する。前記脱線情報には、脱線した位置(脱線位置S11)、方向(脱線方向D2)、時刻(脱線時刻)などの情報が含まれる。管理装置2の制御部21は、走行体1Aから前記脱線情報を受信すると、前記脱線情報に応じた情報、例えば脱線位置S11の情報と、脱線位置S11の手前から低速走行に切り替える走行指示とを走行体1Bに出力する。
【0061】
走行体1Bの走行制御部111は、前記脱線位置S11の情報と前記走行指示とを受信すると、例えば位置検出部112が検出する位置情報に基づいて、走行体1Bが所定位置に到達したときに走行体1Bの走行速度を低速に切り替えて走行させる。
【0062】
また、走行体1Bが前記走行指示に基づいて前記低速走行を行っている場合において、走行体1Bの判定処理部113は、走行体1Aが磁気テープMTから脱線した脱線位置S11において走行体1Bが脱線したか否かを判定する。そして、管理装置2の制御部21は、走行体1Bが前記脱線位置S11において脱線しない場合には、走行体1Bに、前記低速走行から通常走行に切り替える走行指示を出力する。走行体1Bの走行制御部111は、前記走行指示を受信すると走行体1Bの走行速度を通常速度に切り替えて走行させる。
【0063】
一方、管理装置2の制御部21は、走行体1Bが脱線位置S11において脱線した場合には、走行体1Bに走行を停止させる停止指示及び警告を出力する。走行体1Bの走行制御部111は、走行体1Bを停止させる。また走行体1Bの出力処理部115は、例えば走行不能であることを示す警告を報知部14に報知させる。
【0064】
また他の実施形態として、例えば図10に示すように、管理装置2は、走行体1Aが磁気テープMTから脱線した場合に、走行体1Bの障害物検知範囲が走行体1Aの後方を補って障害物検知処理を実行してもよい。図10には、走行体1Aの障害物検知範囲AR1aと、走行体1Bの障害物検知範囲AR1bとを示している。例えば障害物検知範囲AR1a,AR1bのそれぞれは、走行体1A,1Bそれぞれの前方180度の範囲に設定されている。走行体1Aが磁気テープMTから脱線していない場合には、走行体1Aは、障害物検知範囲AR1aにおける障害物を検知し、走行体1Bは、障害物検知範囲AR1bにおける障害物を検知する。
【0065】
一方、走行体1Aが磁気テープMTから脱線した場合には(図10参照)、走行体1Aは、障害物検知範囲AR1a,AR1bにおける障害物を検知する。具体的には、走行体1Aが磁気テープMTから脱線した場合、走行体1Bの障害物検知部114は障害物検知範囲AR1bにおける障害物の検知情報を管理装置2に送信する。そして管理装置2の制御部21は、前記検知情報を取得すると走行体1Aに前記検知情報に応じた情報を送信する。例えば、走行体1Bの障害物検知部114が障害物検知範囲AR1bにおいて障害物を検知した場合、管理装置2の制御部21は、走行体1Aに低速走行に切り替える走行指示を送信する。走行体1Aの走行制御部111は、管理装置2から前記走行指示を受信すると、低速走行に切り替える。このように、前方の走行体1Aが脱線した場合に、後方の走行体1Bにより走行体1Aの死角(ここでは後方)を補うことにより、走行体1Aの復帰処理を安全かつ効率よく実行させることができる。
【0066】
障害物検知範囲AR1aは本発明の第1検知範囲の一例であり、障害物検知範囲AR1bは本発明の第2検知範囲の一例である。また、走行体1Aの障害物検知部114は本発明の第1障害物検知部の一例であり、走行体1Bの障害物検知部114は本発明の第2障害物検知部の一例である。
【0067】
上述の走行システム10は、管理装置2を含まなくてもよい。すなわち、複数の走行体1のそれぞれが、前記脱線情報、前記検知情報などの各種情報を互いにやり取りして、自身の走行を制御してもよい。また、上述の走行システム10において、各走行体1の制御部11に含まれる各処理部、例えば走行制御部111、位置検出部112、判定処理部113、障害物検知部114、出力処理部115の一部又は全部が、管理装置2の制御部21に含まれてもよい。
【0068】
本発明の走行体は、走行車、搬送車(車両)に限定されない。すなわち、本発明の走行体には、前記磁気テープ走行方式と前記ガイドレス走行方式とを切り替え可能な構成を備えるあらゆる移動体が含まれる。また、本発明のガイド部材は、磁気テープに限定されず、所定波長の光を発する発光部材(発光テープ)、所定の色が着色された着色部材(色テープ)などであってもよい。すなわち、本発明の第1走行方式には、走行ガイド用の媒体を利用して走行体1を走行させる様々なガイド走行方式が含まれる。これに対して、本発明の第2走行方式には、前記走行ガイド用の媒体を必要としないガイドレス走行方式が含まれる。
【0069】
上述した実施形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味及び前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0070】
1 :走行体
2 :管理装置
10 :走行システム
11 :制御部
13 :距離センサ
14 :報知部
15 :走行部
111 :走行制御部
112 :位置検出部
113 :判定処理部
114 :障害物検知部
115 :出力処理部
121 :経路情報
122 :環境地図
123 :位置情報
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10