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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】搬送補助装置及び放射線検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20231211BHJP
   B07C 5/346 20060101ALN20231211BHJP
【FI】
G01N23/04
B07C5/346
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020010836
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117113
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】南埜 雄飛
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-328101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N23/00-G01N23/2276
G01B15/00-G01B15/08
B65B、B65C、B65D、B65F、B65G、B65H、B07B、B07C
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の入口及び出口に設けられる放射線の漏洩を防止する障害物の少なくとも一方に対して前記被検物の上流側の面を前記搬送方向に沿って下流側に押し込む押し込み部を有する、搬送補助装置。
【請求項2】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の入口及び出口に設けられる放射線の漏洩を防止する障害物の少なくとも一方に対して前記被検物を前記搬送方向に沿って押し込む押し込み部を有し、
前記押し込み部は、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側に設けられ、前記搬送路に前記被検物を搬送する搬送面を有する搬送部と、
前記搬送面から上方に突出する1又は複数の突起と
を有する、送補助装置。
【請求項3】
前記押し込み部は、前記放射線検査装置内の前記搬送路の上方、又は、前記搬送路の前記放射線検査装置よりも上流側の上方に設けられ、前記障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、請求項1又は請求項2に記載の搬送補助装置。
【請求項4】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側にあり前記放射線検査装置に向けて被検物を入れる上流側の第1補助コンベヤと、前記放射線検査装置の前記搬送路の下流側にあり前記放射線検査装置から前記被検物を出す下流側の第2補助コンベヤとの少なくとも一方を有する補助コンベヤ部と、
前記上流側の第1補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の入口から前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部よりも前記搬送方向の上流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の上流側ボックスを有し、前記下流側の第2補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の出口から前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部よりも前記搬送方向の下流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の下流側ボックスを有する、ボックス部と、
前記上流側ボックスがあるとき、前記上流側の第1補助コンベヤの上方で前記上流側ボックスから前記上流側の第1補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する上流側障害物を有し、前記下流側ボックスがあるとき、前記下流側の第2補助コンベヤの上方で前記下流側ボックスから前記下流側の第2補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する下流側障害物を有する、障害物と、
前記上流側ボックスに前記上流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記上流側障害物に対して前記被検物の上流側の面前記搬送方向に沿って下流側に押し込む上流側押し込み部を有し、前記下流側ボックスに前記下流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記下流側障害物に対して前記被検物の上流側の面前記搬送方向に沿って下流側に押し込む下流側押し込み部を有する、押し込み部と
を有する、搬送補助装置。
【請求項5】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側にあり前記放射線検査装置に向けて被検物を入れる上流側の第1補助コンベヤと、前記放射線検査装置の前記搬送路の下流側にあり前記放射線検査装置から前記被検物を出す下流側の第2補助コンベヤとの少なくとも一方を有する補助コンベヤ部と、
前記上流側の第1補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の入口から前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部よりも前記搬送方向の上流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の上流側ボックスを有し、前記下流側の第2補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の出口から前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部よりも前記搬送方向の下流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の下流側ボックスを有する、ボックス部と、
前記上流側ボックスがあるとき、前記上流側の第1補助コンベヤの上方で前記上流側ボックスから前記上流側の第1補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する上流側障害物を有し、前記下流側ボックスがあるとき、前記下流側の第2補助コンベヤの上方で前記下流側ボックスから前記下流側の第2補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する下流側障害物を有する、障害物と、
前記上流側ボックスに前記上流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記上流側障害物に対して前記被検物を押し込む上流側押し込み部を有し、前記下流側ボックスに前記下流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記下流側障害物に対して前記被検物を押し込む下流側押し込み部を有する、押し込み部と
を有し、
前記補助コンベヤ部の前記上流側の第1補助コンベヤは、前記上流側の第1補助コンベヤの上流の第1搬送部から受け渡される前記被検物を上流側から下流側に移動させる上流側搬送面を有し、
前記押し込み部の前記上流側押し込み部は、前記上流側搬送面から上方に突出する1又は複数の突起を有する、送補助装置。
【請求項6】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側にあり前記放射線検査装置に向けて被検物を入れる上流側の第1補助コンベヤと、前記放射線検査装置の前記搬送路の下流側にあり前記放射線検査装置から前記被検物を出す下流側の第2補助コンベヤとの少なくとも一方を有する補助コンベヤ部と、
前記上流側の第1補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の入口から前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部よりも前記搬送方向の上流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の上流側ボックスを有し、前記下流側の第2補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の出口から前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部よりも前記搬送方向の下流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の下流側ボックスを有する、ボックス部と、
前記上流側ボックスがあるとき、前記上流側の第1補助コンベヤの上方で前記上流側ボックスから前記上流側の第1補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する上流側障害物を有し、前記下流側ボックスがあるとき、前記下流側の第2補助コンベヤの上方で前記下流側ボックスから前記下流側の第2補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する下流側障害物を有する、障害物と、
前記上流側ボックスに前記上流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記上流側障害物に対して前記被検物を押し込む上流側押し込み部を有し、前記下流側ボックスに前記下流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記下流側障害物に対して前記被検物を押し込む下流側押し込み部を有する、押し込み部と
を有し、
前記補助コンベヤ部の前記下流側の第2補助コンベヤは、前記放射線検査装置の前記搬送路から受け渡される前記被検物を上流側から下流側に移動させる下流側搬送面を有し、
前記押し込み部の前記下流側押し込み部は、前記下流側搬送面から上方に突出する1又は複数の突起を有する、送補助装置。
【請求項7】
前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部と前記上流側障害物との間の前記搬送方向に沿う距離は、前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部と前記下流側障害物との間の前記搬送方向に沿う距離に比べて小さい、請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の搬送補助装置。
【請求項8】
前記上流側の第1補助コンベヤ及び前記上流側ボックスがないとき、前記押し込み部は、前記放射線検査装置の前記搬送路よりも上流側の上方に設けられ、前記放射線検査装置の放射線の漏洩を防ぐ前記放射線検査装置の前記入口の前記上流側障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、請求項4に記載の搬送補助装置。
【請求項9】
前記下流側の第2補助コンベヤがないとき、前記押し込み部は、前記放射線検査装置内の前記搬送路の上方、又は、前記放射線検査装置よりも下流側の上方に設けられ、障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、請求項4に記載の搬送補助装置。
【請求項10】
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置と、
前記放射線検査装置とともに用いられる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の搬送補助装置と
を有する放射線検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検査装置に荷物を入れる、又は、放射線検査装置から荷物を出す際に用いる搬送補助装置、及び、放射線検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物等の種々の大きさ、形状、及び、重量の荷物をX線検査装置などの放射線検査装置を通して確認することがある。放射線検査装置に荷物を入れる場合、その荷物は、放射線検査装置のコンベヤの搬送力により、放射線が放射線検査装置から漏洩することを防止する放射線防護カーテン等の障害物を押し退けて放射線検査装置に入れられる。放射線検査装置から荷物を出す場合、その荷物は、放射線検査装置のコンベヤの搬送力により、放射線防護カーテン等の障害物を押し退けて放射線検査装置から出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-109979号公報
【文献】特開2004-69385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、X線検査装置等の放射線検査装置の入口又は出口で荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置、及び、放射線検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、搬送補助装置は、搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる。搬送補助装置は、放射線検査装置の入口及び出口に設けられる放射線の漏洩を防止する障害物の少なくとも一方に対して被検物の上流側の面を搬送方向に沿って下流側に押し込む押し込み部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態から第5実施形態に係る荷物処理システムを示す概略図。
図2】第1実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を含む放射線検査エリアの概略図。
図3図2に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図4図3に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図5図4に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図6図5に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図7】第1実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、及び、放射線検査システムの概略的な斜視図。
図8】第1実施形態に係る荷物処理システムの放射線検査システムの放射線検査装置の防護カーテン(障害物)への荷物の押し込み動作を説明するフローチャート。
図9】第1実施形態に係る荷物処理システムの放射線検査装置をX軸に沿って上流側から下流側を見た状態を示す概略図。
図10】第1実施形態の第1変形例に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を含む放射線検査エリアの概略図。
図11図10に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図12図11に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図13図12に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図14】第1実施形態の第1変形例に係る荷物処理システムの放射線検査システムの放射線検査装置の防護カーテン(障害物)への荷物の押し込み動作を説明するフローチャート。
図15】第2実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を含む放射線検査エリアの概略図。
図16】第2実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、及び、放射線検査システムの概略的な斜視図。
図17】第2実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図18図17中の符号XVIIIで示す位置の概略的な拡大図。
図19】第3実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を含む放射線検査エリアの概略図。
図20図19に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図21図20に示す状態から荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を動作させた状態を示す概略図。
図22】第3実施形態の第1変形例に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部を含む放射線検査エリアの概略図。
図23】第4実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部の概略的な斜視図。
図24】第5実施形態に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部の概略図。
図25】第5実施形態の第1変形例に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部の概略図。
図26】第5実施形態の第2変形例に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部の概略図。
図27】第5実施形態の第3変形例に係る荷物処理システムにおいて、上流側の第1搬送部、放射線検査システム、下流側の第2搬送部の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1実施形態に係る放射線検査システム24の搬送補助装置34について、図1から図9を用いて説明する。
【0008】
図1に示すように、本実施形態に係る放射線検査システム24は、郵便物等の荷物を処理する荷物処理システム10の一部として用いる。荷物処理システム10は、例えば、荷物登録エリア12と、放射線検査エリア14と、検査後搬送エリア16とを有する。図示しないが、荷物登録エリア12の上流には、荷物収集エリアが存在し得る。放射線検査エリア14の上流側には、荷物登録エリア12がある。放射線検査エリア14の下流側には、検査後搬送エリア16がある。
【0009】
ここでは、説明の簡略化のため、荷物の搬送方向Dが床面に平行な直線状であるものとする。そして、荷物の搬送方向Dに沿ってX軸を取り、鉛直方向にZ軸を取り、X軸及びZ軸に直交する方向にY軸を取る。
【0010】
荷物登録エリア12は、複数の第1搬送部(上流側搬送部)22を有する。第1搬送部22は、荷物処理システム10の荷物登録エリア12及び放射線検査エリア14をまたいで存在する。
【0011】
荷物処理システム10は、荷物登録エリア12の複数の第1搬送部22上において、例えば荷物を撮影するとともに、重量測定を行う。荷物処理システム10は、荷物登録エリア12において、例えば、荷物登録エリア12から放射線検査システム24に搬送する荷物(被検物)の大きさ、形状、及び、重量に関する情報、並びに、放射線検査システム24に搬送される荷物の順番に関する情報等を特定する。すなわち、荷物登録エリア12において、各荷物が荷物処理システム10に認識され、登録される。
【0012】
荷物登録エリア12において、荷物は、第1搬送部22と交差する搬送部23により、ある第1搬送部22から異なる第1搬送部22に移動可能である。
【0013】
放射線検査エリア14は、第1搬送部22の下流側に、X線等の放射線を用いて荷物の内部を検査する放射線検査システム24を有する。
【0014】
放射線検査エリア14は、複数の第1搬送部22のほか、複数の第2搬送部(下流側搬送部)26を有する。下流側の第2搬送部26と、上流側の第1搬送部22との間には、それぞれ、放射線検査システム24がある。第1搬送部22及び第2搬送部26は、放射線検査システム24の一部となり得る。
【0015】
第2搬送部26は、荷物処理システム10の放射線検査エリア14及び検査後搬送エリア16をまたいで存在する。第2搬送部26は、検査後搬送エリア16に荷物を搬送する。検査後搬送エリア16において、荷物は、第2搬送部26と交差する搬送部27により、ある第2搬送部26から異なる第2搬送部26に移動可能である。検査後搬送エリア16において、荷物は、例えば行先ごとに複数の第2搬送部26から1つが選択される。行先には、各地だけでなく、再度の荷物チェック用の機器を含む。
【0016】
第1搬送部22及び第2搬送部26は、後述する制御部38に有線又は無線で接続されていることが好適である。制御部38は、第1搬送部22及び第2搬送部26の搬送面の速度を制御する。制御部38は、第2搬送部26の搬送面の移動速度を、後述する放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の移動速度よりも高速に制御することが好適である。
【0017】
第1搬送部22及び第2搬送部26は、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等、種々のコンベヤを用いることができる。
【0018】
図2から図6に示すように、放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、放射線検査装置32に対して上流側に配置される搬送補助装置34と、第1搬送部22の下流側端部よりも上流側で、下流側端部の近傍に配置される荷物検知装置(センサユニット)36と、制御部38とを有する。図2から図6中の各荷物P11,P12,P13,P14,P15の大きさは、同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
本実施形態における放射線検査装置32は、公知のものを適宜に用いることができる。放射線検査装置32の一例は、X線検査装置である。一般に、放射線検査装置32は、ベース42と、ベース42に対して荷物を所定の方向Dに搬送するコンベヤ44と、放射線発生器46と、ラインセンサ48と、遮蔽ボックス(トンネル)50と、放射線防護カーテン(障害物)52,54とを有する。
【0020】
ベース42は、床面に設置され、又は、キャスター等により床面に対して移動可能に固定される。ベース42は、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。
【0021】
遮蔽ボックス50は、ベース42の上側でトンネル状に形成されている。遮蔽ボックス50はベース42と協働して、放射線検査装置32の外装を形成する。遮蔽ボックス50は、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。放射線検査装置32のコンベヤ44は、トンネル状の遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bを通るように配置されている。遮蔽ボックス50の入口50aは、放射線検査装置32の入口でもあり、遮蔽ボックス50の出口50bは、放射線検査装置32の出口でもある。放射線検査装置32のコンベヤ44は、例えばゴム材や樹脂材により無端ベルトとして形成されている。コンベヤ44の搬送面45の搬送方向Dは所定の方向に決められている。放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部は、遮蔽ボックス50の入口50aよりも上流側にある。放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部は、遮蔽ボックス50の出口50bよりも下流側にある。このため、コンベヤ44の上流側端部及び下流側端部は、ベース42及び遮蔽ボックス50から外側に突出する。
【0022】
遮蔽ボックス50の例えば天井及び内壁には、放射線を検出するラインセンサ48が配設されている。ラインセンサ48は、搬送方向Dに直交する方向に延びている。
【0023】
放射線発生器46は、例えばベース42に配設されている。放射線発生器46は、被検物を検査する際、コンベヤ44及びラインセンサ48に向けてX線等の放射線を放出する。放射線検査装置32は、ラインセンサ48により、荷物の中身の像を得る。
【0024】
遮蔽ボックス50の入口50aは、コンベヤ44の搬送面45と協働して、例えば略矩形状の開口として形成されている。遮蔽ボックス50の入口50aには、防護カーテン(上流側障害物)52が吊るされている。各ストリップ52aは、入口50aの上端とコンベヤ44の搬送面45との間を連続する。各ストリップ52aの下端は、コンベヤ44の搬送面45に僅かに接触していることが好適である。防護カーテン52は、遮蔽ボックス50の入口50aの上縁から吊り下げられ、放射線遮断機能を有する複数のストリップ(垂)52aを有する。防護カーテン52の複数のストリップ52aは、搬送方向(X軸方向)Dに直交するY軸方向に隙間なく並べられている。防護カーテン52は、放射線発生器46から発生した放射線が直接的に入口50aを通して遮蔽ボックス50の外部に漏洩することを防止するとともに、荷物や遮蔽ボックス50の内壁により反射した放射線が入口50aを通して遮蔽ボックス50の外部に漏洩することを防止する。
【0025】
防護カーテン52の各ストリップ52aは、例えば粉末状の鉛をゴム材に分散させた鉛ゴム製の板で形成されている。防護カーテン52は、鉛の代わりに、SUSやタングステン等の放射線遮蔽効果を発揮する金属材を用いることができる。いずれにしても防護カーテン52の各ストリップ52aは、放射線の遮蔽を行う必要があるため、鉛等を含まない単なるゴム板材等のカーテンに比べて重量がある。
【0026】
遮蔽ボックス50の出口50bは、コンベヤ44の搬送面45と協働して、例えば略矩形状の開口として形成されている。遮蔽ボックス50の出口50bの上縁には、防護カーテン(下流側障害物)54が吊るされている。防護カーテン54は、防護カーテン52と同様に形成されている。
【0027】
制御部38は、搬送補助装置34及び荷物検知装置36に有線又は無線で接続されている。制御部38は、搬送補助装置34及び荷物検知装置36を適宜に制御可能である。制御部38は、例えば放射線検査エリア14にある。制御部38は、放射線検査エリア14の外側に配置されていてもよい。図1中、制御部38は、放射線検査エリア14に1つであるように描いたが、本実施形態では、各放射線検査システム24が制御部38を有するものとして説明する。
【0028】
制御部38は、例えばCPUがROM等のメモリに格納された制御プログラムをRAMに展開して実行する。制御部38は、プログラムを、ネットワークを介して搬送補助装置34及び荷物検知装置36に供給し、搬送補助装置34及び荷物検知装置36のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理によっても実現可能である。制御部38の制御は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0029】
搬送補助装置34は、防護カーテン52に対して荷物を押し込む押し込み部(押し込み機構)60を有する。押し込み部60は、搬送面(上流側搬送面)64を有する上流側の補助コンベヤ(補助コンベヤ部)62と、補助コンベヤ62の搬送面64に設けられた1又は複数の突起(押し込み部)66とを有する。補助コンベヤ62は、例えばゴム材や樹脂材により無端ベルトとして形成されている。本実施形態では、補助コンベヤ62の搬送面64の搬送方向(X軸方向)に離間した2か所に突起(突起部)66が配置されている。突起66は、搬送面64上で互いに最も離間する位置にあることが好適である。突起66は、補助コンベヤ62の搬送面64の1箇所にあってもよく、3箇所以上にあってもよい。搬送補助装置34は、X軸方向に離間する突起66の間に荷物の後端が配置されるように構成されている。
【0030】
図7に示すように、突起66は、搬送面64の搬送方向に離間する位置にあるだけでなく、搬送面64の移動方向(搬送方向)Dに直交する方向(Y軸方向)に複数が並んでいることが好適である。1つの突起66がY軸方向に長く形成されているよりも、短く形成されているものが並んでいることにより、各突起66のメンテナンスが容易である。図7中、突起66は、Y軸方向に並んだ例を示すが、単にY軸方向に並べられているだけでなく、中央の突起66が側方の突起66に対してX軸方向にずれた位置にあってもよい。図7中、突起66はY軸方向に3つ並んでいるが、1又は2つであってもよく、4つ以上が並んでいてもよい。
【0031】
例えば、Y軸方向に並ぶ複数の突起66の高さは、それぞれ同じ高さにしてもよく、一部を異なる高さにしてもよい。この場合、種々の高さの突起66を用いて荷物を防護カーテン52に押し込むことに用いることができる。
【0032】
突起66は、例えば硬質ゴム材や樹脂材等で形成されている。搬送面64に対する突起66の高さは、適宜に設定可能である。突起66の高さが低い場合、荷物が突起66を乗り越え、荷物が突起66の上に乗る可能性がある。突起66の高さは、例えば搬送を想定する荷物の高さの半分程度であることが好適である。突起66の高さに応じて、第1搬送部22と補助コンベヤ62との間、及び、補助コンベヤ62と放射線検査装置32のコンベヤ44との間に突起66を通す隙間が必要である。このため、第1搬送部22の下流側端部の高さよりも、補助コンベヤ62の搬送面64の上流側端部の高さを低くすることが好適である。同様に、補助コンベヤ62の搬送面64の下流側端部の高さよりも、コンベヤ44の上流側端部の高さを低くすることが好適である。
【0033】
制御部38は、補助コンベヤ62の搬送面64の動作を制御する。制御部38は、例えば、搬送面64の上流側端部に突起66を配置する状態に補助コンベヤ62の搬送面64の動作を制御可能である。すなわち、制御部38は、突起66を第1搬送部22の下流側端部と補助コンベヤ62の搬送面64の上流側端部との間の隙間に意図して配置することができる。
【0034】
本実施形態において、補助コンベヤ62の下流側端部と、遮蔽ボックス50の入口50a又は防護カーテン52との間の距離は、搬送を想定する最小の荷物のX軸方向に沿う長さよりも小さいことが好適である。本実施形態において、防護カーテン52と、防護カーテン52から上流側に突出する放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の上流側端部との間の距離は、極力小さく形成されている。
【0035】
遮蔽ボックス50の出口50b又は防護カーテン54と、防護カーテン54から下流側に突出する放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の下流側端部との間の距離は、例えば、遮蔽ボックス50の入口50a又は防護カーテン52と、遮蔽ボックス50の入口50a又は防護カーテン52から上流側に突出する放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の上流側端部との間の距離と同程度に形成されている。
【0036】
荷物検知装置36は、第1搬送部22を挟むように投光部72及び受光部74を有する。荷物検知装置36は、制御部38に制御され、第1搬送部22から放射線検査装置32に向けて搬送する各荷物の前端及び後端を検出する。荷物検知装置36は、複数の投光部72及び受光部74有することにより、種々の高さ及び形状の荷物の前端及び後端を検出可能である。
【0037】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは特に、第1搬送部22から放射線検査装置32に向けて搬送する荷物を放射線検査装置32の防護カーテン52に押し込む押し込み動作について説明する。
【0038】
第1搬送部22の下流側端部と補助コンベヤ62の搬送面64の上流側端部との間に突起66を通す隙間を形成し、かつ、荷物を第1搬送部22から補助コンベヤ62の搬送面64に受け渡すため、第1搬送部22の下流側端部の高さよりも、補助コンベヤ62の搬送面64の上流側端部の高さを低くする。同様に、補助コンベヤ62の搬送面64の下流側端部の高さよりも、コンベヤ44の上流側端部の高さを低くする。放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送方向及び搬送高さを、第2搬送部26の上流側端部での搬送方向及び搬送高さに略一致させる。放射線検査システム24は、この状態で用いる。ここでは、放射線検査システム24は、制御部38による制御により、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の速度よりも、第2搬送部26の搬送速度を早くする。
【0039】
荷物処理システム10は、荷物登録エリア12において、荷物登録エリア12から放射線検査システム24に向けて搬送する荷物の大きさ、形状、重量を計測し、荷物の情報を得るとともに、放射線検査エリア14中の複数の放射線検査システム24から行先を選択する。荷物処理システム10は、その行先となる放射線検査システム24に向かわせる荷物に電子的に番号を付す。荷物は荷物処理システム10で決めた番号の順に放射線検査システム24に向けて搬送される。図2から図6に示す荷物P11,P12,P13,P14,P15は、第1搬送部22により例えば同一ピッチで下流側に搬送される。
【0040】
放射線検査システム24の荷物検知装置36は、第1搬送部22の下流側端部の近傍で、第1搬送部22により搬送される各荷物P11,P12,P13,P14,P15の前端及び後端を検出する。制御部38は、各荷物P11,P12,P13,P14,P15が荷物検知装置36を通過したか否か判断する(S11)。荷物検知装置36による各荷物P11,P12,P13,P14,P15の前端及び後端の検出時間と第1搬送部22の搬送速度から、制御部38は、各荷物P11,P12,P13,P14,P15のX軸方向に沿う長さを認識する。制御部38は、荷物登録エリア12で得た形状及び大きさに関する情報を得て、X軸方向に沿う長さを認識してもよい。この場合、荷物検知装置36は、荷物の後端が通過した時間を検知可能であればよい。
【0041】
制御部38は、第1搬送部22の動作による、第1搬送部22から補助コンベヤ62の搬送面64への荷物の受け渡しタイミングに対して、補助コンベヤ62の搬送面64の動作タイミングを調整する。具体的には、制御部38は、ある荷物の後端が第1搬送部22から補助コンベヤ62の搬送面64上に移動したときに、突起66が第1搬送部22の下流側端部と補助コンベヤ62の搬送面64の上流側端部との間の隙間にある状態となるように、補助コンベヤ62の搬送面64の位置を調整する(S12)。
【0042】
例えば図2及び図3に示すように、放射線検査システム24は、第1搬送部22の下流側端部で、荷物を、第1搬送部22から搬送補助装置34の補助コンベヤ62の搬送面64に受け渡す。制御部38は、第1搬送部22の搬送速度及び荷物が荷物検知装置36を通過した通過時間により、荷物の前端が補助コンベヤ62の搬送面64に載置されたか判断する(S13)。例えば、荷物の前端が補助コンベヤ62の搬送面64に載置された直後に補助コンベヤ62を動作させる(S14)。図2に示すように、突起66は、荷物P13の後方に位置する。
【0043】
図2に示すように、補助コンベヤ62の搬送面64及び放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送力により、例えば荷物P13が防護カーテン52に当接する。防護カーテン52に当接した荷物P13の重量が軽量で、防護カーテン52を押し退けることができず、補助コンベヤ62の搬送面64及び放射線検査装置32のコンベヤ44に対して荷物P13が滑り、遮蔽ボックス50の外側にその荷物P13が留まっているものとする。
【0044】
補助コンベヤ62の搬送面64に対して荷物P13が滑っているため、図3に示すように、搬送補助装置34の突起66は、搬送面64の移動にしたがって移動し、防護カーテン52に当接した荷物P13を搬送方向Dに沿って上流側から下流側に向かって押圧する。
【0045】
図4に示すように、搬送補助装置34の突起66で後方から押された荷物P13の前端は、防護カーテン52を押し退け、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送により、遮蔽ボックス50内に入る。防護カーテン52を押し退けた荷物P13の後端は、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送により、遮蔽ボックス50内に入る。
【0046】
その後、荷物P13の後方にある突起66が補助コンベヤ62の下流側端部に到達したか否か判断する(S15)。一旦、荷物P13の後方にある突起66が補助コンベヤ62の下流側端部に到達したとき、補助コンベヤ62の動作を停止させる(S16)。
【0047】
遮蔽ボックス50内に荷物P13の後端が入り、防護カーテン52が閉じられた後、放射線検査装置32は、放射線発生器46から放射線を発し、ラインセンサ48で放射線を受光する。放射線検査装置32は、例えば荷物P13の像を得る。
【0048】
なお、補助コンベヤ62のX軸方向に沿う搬送面64の長さ又は第1搬送部22の下流側端部と放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間の距離に比べて荷物の長さが長い場合、荷物は搬送方向Dに離間した突起66の一方に載る場合がある。補助コンベヤ62の搬送面64が搬送方向Dに向けて移動することで、補助コンベヤ62の搬送面64の下流側端部と放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間の隙間から突起66が下側に向けて移動し、別の突起66が荷物の後方に位置する。荷物P13が第1搬送部22から補助コンベヤ62の搬送面64に受け渡されたとき、放射線検査システム24は、荷物P13の姿勢を維持する。荷物処理システム10は、第1搬送部22及び補助コンベヤ62の搬送面64の移動速度を調整することで、荷物同士の間隔を維持する。
【0049】
このように、放射線検査装置32は、荷物P13が遮蔽ボックス50の入口50aで滞留することを防止する。荷物P13は、防護カーテン52に接触した状態で回転するなど、荷物P13の姿勢が変えられ、荷物P13が防護カーテン52に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、第1搬送部22で荷物P13の後から搬送される荷物P14が先に遮蔽ボックス50内に入ることを防止する。このため、荷物は、荷物処理システム10が荷物登録エリア12で決めた順に、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の入口50aを通る。
【0050】
例えば図3及び図4に示すように、遮蔽ボックス50内の荷物P12が軽量で、下流側の防護カーテン54を押し退けることができず、放射線検査装置32のコンベヤ44に対して荷物P12が滑り、遮蔽ボックス50の出口50bでその荷物P12が留まっているものとする。
【0051】
図5に示すように、防護カーテン54に当接した荷物P12の後方から、放射線検査を終えた別の荷物P13を当接させる。複数の荷物P12,P13が一緒に、防護カーテン54を押圧し、図6に示すように、防護カーテン54を押し退ける。複数の荷物P12,P13は、一緒に、防護カーテン54を押し退けて遮蔽ボックス50の外側に出る。
【0052】
このように、荷物登録エリア12で登録された被検物(荷物)は、放射線検査システム24に搬送された順に、放射線検査システム24を通る。
【0053】
放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送速度よりも第2搬送部26の搬送速度の方が速い。先行する荷物P12が放射線検査装置32のコンベヤ44から第2搬送部26に受け渡される際に、複数の荷物P12,P13が分離する。
【0054】
このような動作を繰り返し、特に、搬送補助装置34により、放射線遮蔽ボックス50の入口50aでの荷物の滞留が防止され、荷物がコンベヤ44を所定の搬送方向に沿って流される。制御部38は搬送補助装置34を動作させ、例えば所定ピッチで、防護カーテン52に対して荷物を順に押し込む。
【0055】
このように、本実施形態に係る放射線検査システム24は、搬送補助装置34を用い、補助コンベヤ62の搬送面64に固定した突起66で後方から荷物を押圧することで、各荷物を放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内に確実に入れることができる。このため、荷物が遮蔽ボックス50の入口50aで滞留することを防止することができる。そして、放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順に、そのままの順で実行することができる。
【0056】
2ヶ所の突起66同士が補助コンベヤ62の搬送面64において、X軸方向に最も離間した位置にある。2ヶ所の突起66の両方に同時に1つの荷物が載置されることが防止される。そして、例えば第1搬送部22の下流側端部の荷物の後端の位置に対して、補助コンベヤ62の突起66の位置を調整することで、補助コンベヤ62の搬送面64に荷物の後端が載置されたとき、突起66を確実に荷物の後方に配置することができる。
【0057】
本実施形態に係る放射線検査システム24は、公知の放射線検査装置32をそのまま用いることができる。もちろん、例えば上述した構成を有する新たな放射線検査装置32を用いることも可能である。
【0058】
放射線検査システム24は、遮蔽ボックス50内から荷物Pを、第1搬送部22で搬送された順(P11,P12,P13,P14,P15の順)にそのままの順で取り出すことができる。このとき、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送速度よりも、第2搬送部26の搬送速度を速くすることで、複数の荷物が意図せず一体化することを防止する。
【0059】
図9に示すように、防護カーテン52は、遮蔽ボックス50の入口50aの上縁から吊り下げられた複数のストリップ(垂)52aを有する。各ストリップ52aは、放射線を遮蔽するために例えば鉛が含まれ、適宜の重量がある。各ストリップ52aのうち、遮蔽ボックス50の外側を向いた側には、シート状部材(摩擦抵抗低下素材)52bが貼り付けられている。シート状部材52bとして、片面に粘着性を有する例えばフッ素樹脂フィルム等の樹脂材製シートが用いられる。シート状部材52bは、帯電を防止することが好適である。シート状部材52bは、各ストリップ52aの下端を含む位置に貼り付けられていることが好適である。シート状部材52bは、ストリップ52aの下端を含む位置に貼り付けられていることが好適であるが、上端を含む位置に貼り付けられている必要はない。シート状部材52bの上端は、放射線検査装置32で検査対象として意図する荷物の高さによる。
【0060】
荷物がシート状部材52bに接するときに生じる摩擦抵抗は、荷物が防護カーテン52のストリップ52aに直接接するときに生じる摩擦抵抗よりも低い。このため、シート状部材52bは、防護カーテン52のストリップ52aに荷物が直接接する場合よりも荷物との摩擦抵抗を低くし、コンベヤ44の搬送面45の移動と防護カーテン52による荷物の回転及び滞留を抑制する。
【0061】
なお、シート状部材52bの下端など、荷物と多く接触する位置は、例えば上流側に向かって凸の半球状に形成されていてもよい。シート状部材52bの下端が半球状である場合にシート状部材52bの下端に荷物が当接するとき、ストリップ52aの下端が平面である場合に対して接触面積が小さくなる。荷物が各ストリップ52aに与える押圧力はシート状部材52bの存在の有無に影響しない。下端を半球状に形成したシート状部材52bは、小さい面積で荷物の圧力を受けるため、ストリップ52aの下端を揺動させやすい。したがって、荷物が防護カーテン52を押し退けやすい。シート状部材52bの下端など、荷物と多く接触する位置の形状は、荷物との接触面積を減らすことができる形状であればよい。このため、シート状部材52bは、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の入口50aでの荷物の滞留を抑制できる。
【0062】
シート状部材52bは、遮蔽ボックス50の出口50b側の防護カーテン54のうち、荷物と確実に接触する、内側にも貼り付けられていることが好適である。このため、シート状部材52bは、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の出口50bでの荷物の滞留を防止できる。
【0063】
本実施形態によれば、搬送補助装置34は、コンベヤ(搬送路)44を所定の搬送方向Dに搬送される荷物(被検物)に放射線を照射して荷物(被検物)を検査する放射線検査装置32とともに用いる。搬送補助装置34は、放射線検査装置32の入口50a及び出口50bに設けられる放射線の漏洩を防止する放射線防護カーテン(障害物)52,54の少なくとも一方に対して荷物(被検物)を搬送方向Dに沿って押し込む押し込み部60を有する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、X線検査装置等の放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34及び放射線検査システム24を提供することができる。
【0065】
(第1変形例)
第1実施形態の第1変形例について、図10から図14を用いて説明する。
【0066】
図10から図13に示すように、搬送補助装置34は、防護カーテン52に対して荷物を押し込む押し込み部(押し込み機構)80を有する。押し込み部80は、搬送方向D(X軸方向)に沿って延びる第1レール(アクチュエータ)82と、上下方向(Z軸方向)に沿って延びる第2レール(アクチュエータ)84と、第2レール84に設けられた押圧部86とを有する。
【0067】
第1レール82は、例えば第1搬送部22の上方にあるフレーム88に支持されている。フレーム88は、荷物検知装置36と遮蔽ボックス50との間の第1搬送部22上にあることが好適である。第1レール82は、放射線遮蔽ボックス50又は天井に支持されていてもよい。第1レール82は、X軸方向に延びた状態で、Z軸方向(上下方向)に移動可能である。
【0068】
第2レール84は、Z軸方向(上下方向)に延びた状態で、第1レール82に対してX軸方向に沿って移動可能である。第2レール84は、第1レール82を介して、例えばフレーム88に支持されている。第1レール82及び第2レール84はそれぞれフレーム88に対して例えば直線的に移動する。
【0069】
押圧部86は、放射線遮蔽ボックス50の入口50aの放射線防護カーテン52に対して接離する方向(入口50aの放射線防護カーテン52に対して近接する方向、及び、入口50aの放射線防護カーテン52から離隔する方向)に移動可能であるとともに、放射線検査装置32のコンベヤ44又は第1搬送部22に接離する方向(放射線検査装置32のコンベヤ44又は第1搬送部22に近接する方向、及び、放射線検査装置32のコンベヤ44又は第1搬送部22から離隔する方向)に移動可能である。入口50aの放射線防護カーテン52に対して接離する方向と、放射線検査装置32のコンベヤ44又は第1搬送部22に接離する方向とは、互いに交差する方向である。
【0070】
押し込み部80は、第1レール82及び第2レール84とともに、例えばY軸方向に移動可能な第3レールを有していてもよい。
【0071】
第1変形例において、搬送補助装置34は、第1搬送部22の下流側端部と放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間に荷物を押し込む押し込み部60を有していてもよく、有していなくてもよい。ここでは、第1搬送部22の下流側端部と放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部とが隣接し、押し込み部60が存在しない場合を例にして説明する。
【0072】
なお、第1搬送部22及び放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の高さは、所定の状態に決められている。フレーム88に対して第1レール82及び第2レール84を移動させたとき、押圧部86の下端が第1搬送部22及び放射線検査装置32のコンベヤ44に接触することが防止されている。
【0073】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは特に、荷物を放射線検査装置32の防護カーテン52に押し込む押し込み動作について説明する。
【0074】
押し込み部80は、図10に示す位置が第1レール82、第2レール84及び押圧部86の初期位置であるとする。初期位置は、第1レール82がZ軸方向の上方にあり、第2レール84が上流側にあり、押圧部86の下方を荷物が通過可能な位置である。押し込み部80は、図12に示す位置が第1レール82、第2レール84及び押圧部86の停止位置(所定位置)であるとする。
【0075】
第1実施形態で説明したように、放射線検査システム24の制御部38は、荷物検知装置36を用い、第1搬送部22の下流側端部の近傍で、荷物P21の後端を検出する。制御部38は、第1搬送部22の搬送速度に基づいて、各時間における動いている荷物P21の後端位置を算出する。
【0076】
放射線検査システム24の荷物検知装置36は、第1搬送部22の下流側端部の近傍で、第1搬送部22により搬送される荷物の前端及び後端を検出する。制御部38は、荷物が荷物検知装置36を通過したか否か判断する(S21)。
【0077】
押し込み部80は、初期位置にあるとする(S22)。図10に示すように、第1搬送部22上に載置された荷物P21は、放射線検査装置32のコンベヤ44及び防護カーテン52に向かって移動する。制御部38は、押圧部86の下方を荷物P21の後端が通ったか否か、判断する(S23)。
【0078】
制御部38は、ある時間における荷物の後端のX軸及びZ軸の座標を算出する。制御部38は、押圧部86の下側を荷物P21の後端が通った直後に、第1レール82及び第2レール84を動作させ、荷物P21の後端に向けて押圧部86を移動させる。制御部38は、押圧部86をある時間において、荷物の後端が位置するX軸及びZ軸の座標に向かって移動させる。
【0079】
図11に示すように、制御部38は、荷物P21の後端に押圧部86を接触させる(S24)。そして、制御部38は、第1搬送部22の搬送速度と、第2レール84とを同一速度で、搬送方向Dに沿って移動させる。
【0080】
図12に示すように、制御部38は、押圧部86の移動による防護カーテン52に向けた荷物P21の移動補助により、防護カーテン52を押し退けて、荷物P21を遮蔽ボックス50内に入れる。制御部38は、押圧部86を、遮蔽ボックス50及び防護カーテン52と接触しない停止位置で停止させる。押圧部86と荷物P21とが分離する(S25)。
【0081】
図13に示すように、制御部38は、第1レール82に対して第2レール84を上方に移動させ、押圧部86を上方に移動させるとともに、第2レール84を搬送方向Dとは反対方向に移動させ、第1搬送部22上の初期位置で停止させる(S26)。その後、図10から図13に示す一連の動作を繰り返す。制御部38は搬送補助装置34を動作させ、例えば所定ピッチで、防護カーテン52に対して荷物を順に押し込む。
【0082】
このため、各荷物は、押し込み部80により、防護カーテン52を押し退けて確実に遮蔽ボックス50内に押し込まれる。
【0083】
なお、ある荷物を押圧部86で押圧した後、次の荷物の押圧のために押圧部86が初期位置に戻り切れない場合、第1搬送部22の搬送速度を調整する(S27)。これは、第1搬送部22の停止を含む。
【0084】
このように、本変形例に係る放射線検査システム24によれば、押し込み部80の押圧部86が荷物を追いかけて荷物の後端に押圧部86を近接又は当接させた後、所定の位置まで、第1搬送部22の搬送速度と同じ速度で後端を押圧する。このため、荷物を放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内に確実に入れることができ、荷物が遮蔽ボックス50の入口50aで滞留することを防止することができる。そして、放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P21,P22の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0085】
本変形例においても、公知の放射線検査装置32をそのまま用いることができる。本変形例において、新たな放射線検査装置32を用いることも可能である。
【0086】
本変形例によれば、搬送補助装置34は、コンベヤ(搬送路)44を所定の搬送方向Dに搬送される荷物(被検物)に放射線を照射して荷物(被検物)を検査する放射線検査装置32とともに用いる。搬送補助装置34は、放射線検査装置32の入口50aに設けられる放射線の漏洩を防止する放射線防護カーテン52に対して荷物(被検物)を搬送方向Dに沿って押し込む押し込み部80を有する。
【0087】
本変形例によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0088】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図15から図18を用いて説明する。本実施形態は、第1変形例を含む第1実施形態の変形例である。第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、説明を省略する。
【0089】
本実施形態の放射線検査システム24は、第1実施形態で説明した遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに配置した防護カーテン52,54の位置を変更する。図15及び図16に示すように、本実施形態では、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bから、防護カーテンが取り外されている。本実施形態においても、公知の放射線検査装置32を用いることができる。本実施形態において、新たな放射線検査装置32を用いることも可能である。
【0090】
放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送補助装置(上流側搬送補助装置)34と、第2搬送補助装置(下流側搬送補助装置)134と、荷物検知装置36と、制御部38とを有する。
【0091】
第1搬送部22の下流側端部と、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間には、第1搬送補助装置(上流側搬送補助装置)34がある。放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部と、第2搬送部26の上流側端部との間には、第2搬送補助装置(下流側搬送補助装置)134がある。
【0092】
第1搬送補助装置34は、上流側ボックス(ボックス部)56と、上流側放射線防護カーテン(上流側障害物)52と、第1押し込み部60とを有する。
【0093】
第1押し込み部60は、搬送面64を有する上流側の第1補助コンベヤ62及び上流側突起(押し込み部)66を有する。
【0094】
上流側ボックス56は、遮蔽ボックス50と同様に、トンネル状に形成されている。上流側ボックス56は、遮蔽ボックス50と同様に、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。上流側ボックス56は、放射線遮蔽ボックス50の入口50aから上流側の第1補助コンベヤ62の下流側端部よりも搬送方向の上流側に延びる。
【0095】
上流側ボックス56の上流側の入口56aは、上流側の第1補助コンベヤ62の搬送面64と協働して、例えば略矩形状の開口として形成されている。上流側ボックス56の入口56aの上縁には、防護カーテン52が吊るされている。防護カーテン52の下端は、上流側の第1補助コンベヤ62の搬送面64に僅かに接触する。上流側ボックス56の出口56bは、遮蔽ボックス50の上流側の端面に固定されている。上流側ボックス56と放射線遮蔽ボックス50との接続位置から放射線が漏洩することが防止されている。
【0096】
第2搬送補助装置134は、下流側ボックス(ボックス部)58と、下流側放射線防護カーテン(下流側障害物)54と、第2押し込み部160とを有する。
【0097】
第2押し込み部160は、搬送面(下流側搬送面)164を有する下流側の第2補助コンベヤ(補助コンベヤ部)162、及び、1又は複数の下流側突起(押し込み部)166を有する。
【0098】
下流側の第2補助コンベヤ162は、上流側の第1補助コンベヤ62と同様に形成されている。第2補助コンベヤ162の搬送面164のX軸に沿う長さは、第1補助コンベヤ62の搬送面64のX軸に沿う長さと同じであっても、異なっていてもよい。下流側突起(突起部)166は、上流側の突起66と同様に形成されている。
【0099】
下流側ボックス58は、遮蔽ボックス50と同様に、トンネル状に形成されている。下流側ボックス58は、遮蔽ボックス50及び上流側ボックス56と同様に、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。下流側ボックス58は、放射線遮蔽ボックス50の出口50bから下流側の第2補助コンベヤ162の上流側端部よりも搬送方向の下流側に延びる。
【0100】
下流側ボックス58の出口58aは、下流側の第2補助コンベヤ162の搬送面164と協働して、例えば略矩形状の開口として形成されている。下流側ボックス58の出口58aの上縁には、防護カーテン54が吊るされている。防護カーテン54の下端は、下流側の第2補助コンベヤ162の搬送面164に僅かに接触する。下流側ボックス58の入口58bは、放射線遮蔽ボックス50の下流側の端面に固定されている。下流側ボックス58と放射線遮蔽ボックス50との接続位置から放射線が漏洩することが防止されている。
【0101】
第1補助コンベヤ62の下流側端部と上流側防護カーテン52との間の搬送方向Dに沿う距離L1は、第2補助コンベヤ162の上流側端部と下流側防護カーテン54との間の搬送方向Dに沿う距離L2に比べて小さい。
【0102】
制御部38は、第1搬送補助装置34、第2搬送補助装置134、及び、荷物検知装置36に有線又は無線で接続されている。制御部38は、第1搬送補助装置34、第2搬送補助装置134、及び、荷物検知装置36を適宜に制御可能である。
【0103】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について説明する。
【0104】
荷物は荷物処理システム10で決めた番号の順に第1搬送部22で所定の放射線検査システム24に向けて搬送される。
【0105】
第1実施形態で説明したように、制御部38は第1搬送補助装置34を動作させ、例えば所定ピッチで、防護カーテン52に対して荷物を順に押し込む。
【0106】
第1搬送補助装置34の突起66で後方から押された荷物P33は、防護カーテン52を押し退け、第1補助コンベヤ62の搬送面64の搬送により、放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡され、遮蔽ボックス50内に入る。遮蔽ボックス50の入口50aには防護カーテンが存在しないため、荷物は、干渉されることなく、コンベヤ44の搬送面45の搬送力により、遮蔽ボックス50内に入る。遮蔽ボックス50の出口50bには防護カーテンが存在しないため、荷物は、干渉されることなく、コンベヤ44の搬送面45の搬送力により、遮蔽ボックス50から外側に搬送される。
【0107】
ここで、第1搬送補助装置34において、ある荷物P33を押圧する突起66が第1補助コンベヤ62の搬送面64の下流側端部にあるとき、荷物P33の後端は放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部近傍又はそれよりも搬送方向の下流側にある。制御部38は、放射線検査装置32のコンベヤ44の長さ及び搬送速度に応じて、ある荷物P33の後端が放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部を通る時間を算出する。したがって、制御部38は、第2搬送補助装置134の制御において、ある荷物P33の後端が放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部を通ったときに、搬送面164に固定された突起166が、搬送面164の上流側端部にあるように制御する。したがって、突起166で、荷物P33を後方から押圧する。このため、荷物P33は、第2補助コンベヤ162の搬送面164の搬送力により、防護カーテン54に対して押し込まれ、防護カーテン54を押し退けて、外部に出される。外部に出された荷物P33は、第2搬送部26により第2搬送部26の下流側に搬送される。
【0108】
このように、荷物は、第1補助コンベヤ62の搬送面64の移動に追従する突起(上流側押し込み突起)66により、防護カーテン52に対して押し込まれる。したがって、第1搬送補助装置34は、放射線検査装置32のコンベヤ44に向けて荷物を、防護カーテン52を押し退けて入れる。放射線検査システム24は、各荷物が防護カーテン52で滞留することを防止する。このため、荷物が防護カーテン52に接触した状態で回転するなど、第1搬送部22で搬送された荷物の姿勢が変えられ、荷物が防護カーテン52に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、第1搬送部22で荷物の後から搬送される荷物が先に遮蔽ボックス50内に入ることを防止する。
【0109】
ここで、第1補助コンベヤ62の下流側端部と上流側防護カーテン52との間の距離を小さくする場合、荷物の後端を第1補助コンベヤ62の搬送面64に乗せる前に荷物の前端が防護カーテン52に接触する可能性がある。このとき、荷物の後端が突起66よりも上流側にあり、突起66が荷物の下側を走行するだけで、荷物に搬送方向Dに沿う押圧力を付加できない可能性がある。
【0110】
これに対し、本実施形態では、第1補助コンベヤ62の下流側端部と上流側防護カーテン52との間の距離L1を小さくすることで、第1補助コンベヤ62の下流側端部と上流側防護カーテン52との間の距離を大きくする。このため、荷物の前端が防護カーテン52に接触する前に荷物の後端を第1補助コンベヤ62の搬送面64に乗せ、突起66で、荷物を防護カーテン52に対して押圧することができる。
【0111】
同様に、荷物は、第2補助コンベヤ162の搬送面164の移動に追従する突起(下流側押し込み突起)166により防護カーテン54に対して押し込まれる。したがって、第2搬送補助装置134は、放射線検査装置32のコンベヤ44から放射線検査装置32の外部に向けて荷物を、防護カーテン54を押し退けて取り出す。放射線検査システム24は、各荷物が防護カーテン54で滞留することを防止する。このため、荷物が防護カーテン54に接触した状態で回転するなど、第1搬送部22、放射線検査装置32のコンベヤ44で搬送された荷物の姿勢が変えられ、荷物が防護カーテン52に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、第1搬送部22でその荷物の後から放射線検査装置32のコンベヤ44に搬送される荷物が先に第2搬送部26に出されることを防止する。
【0112】
したがって、第1搬送部22で搬送された荷物の姿勢が変更されにくい状態で、荷物は、第1搬送部22から搬送された順(P31,P32,P33の順)に、放射線検査システム24を通り、第2搬送部26に搬送される。
【0113】
ここで、第2補助コンベヤ162の下流側端部と下流側防護カーテン54との間の距離を小さくする場合、荷物の後端を第2補助コンベヤ162の搬送面164に乗せる前に荷物の前端が防護カーテン54に接触する可能性がある。このとき、荷物の後端が突起166よりも上流側にあり、突起166が荷物の下側を走行するだけで、荷物に搬送方向Dに沿う押圧力を付加できない可能性がある。
【0114】
これに対し、本実施形態では、第2補助コンベヤ162の下流側端部と上流側防護カーテン52との間の距離L2を大きくする。このため、荷物の前端が防護カーテン54に接触する前に荷物の後端を第2補助コンベヤ162の搬送面164に乗せ、突起166で、荷物を防護カーテン54に対して押圧することができる。
【0115】
本実施形態では、放射線検査システム24が第1搬送補助装置34及び第2搬送補助装置134の両方を有する例として説明した。放射線検査システム24は、第1搬送補助装置34があれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能である。同様に、放射線検査システム24は、第2搬送補助装置134があれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能である。放射線検査システム24は、第1搬送補助装置34及び第2搬送補助装置134の少なくとも一方を有していてもよい。
【0116】
搬送補助装置34,134は、コンベヤ(搬送路)44を所定の搬送方向Dに搬送される荷物(被検物)に放射線を照射して荷物を検査する放射線検査装置32とともに用いる。搬送補助装置34,134は、補助コンベヤ部と、ボックス部と、カーテン部(障害物)と、押し込み突起部(押し込み部)とを有する。補助コンベヤ部は、放射線検査装置32の搬送路44の上流側にあり放射線検査装置32に向けて荷物を入れる上流側の第1補助コンベヤ62と、放射線検査装置32の搬送路44の下流側にあり放射線検査装置32から荷物を出す下流側の第2補助コンベヤ162との少なくとも一方を有する。ボックス部は、上流側の第1補助コンベヤ62があるとき、放射線検査装置32の入口50aから上流側の第1補助コンベヤ62の下流側端部よりも搬送方向Dの上流側に延びるトンネル状の上流側ボックス56を有する。ボックス部は、下流側の第2補助コンベヤ162があるとき、放射線検査装置32の出口50bから下流側の第2補助コンベヤ162の上流側端部よりも搬送方向Dの下流側に延びるトンネル状の下流側ボックス58を有する。カーテン部(障害物)は、上流側ボックス56があるとき、上流側の第1補助コンベヤ62の上方で上流側ボックス56から上流側の第1補助コンベヤ62に向かって吊り下げられる上流側防護カーテン(上流側障害物)52を有する。カーテン部は、下流側ボックス58があるとき、前流側の第2補助コンベヤ162の上方で下流側ボックス58から下流側の第2補助コンベヤ162に向かって吊り下げられる下流側防護カーテン(下流側障害物)54を有する。押し込み突起部(押し込み部)は、上流側ボックス56に上流側防護カーテン52があるとき、荷物に対して上流側から下流側の上流側防護カーテン52に対して荷物を押し込む上流側押し込み突起(上流側押し込み部)66を有する。押し込み部は、下流側ボックス58に下流側防護カーテン54があるとき、荷物に対して上流側から下流側の下流側防護カーテン54に対して荷物を押し込む下流側押し込み突起(下流側押し込み部)166を有する。
【0117】
本実施形態によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本実施形態によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置134、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0118】
各荷物の形状、大きさ、重量等は放射線検査システム24の上流の荷物登録エリア12で認識される。図17及び図18に示すように、突起66の高さよりも高さが低い荷物が第1搬送部22を通して放射線検査システム24に搬送されることがある。制御部38は、荷物P43の搬送方向Dの下流側(前方側)に突起66を配置してもよい。このとき、突起66が防護カーテン52を押し退けるため、荷物P43が突起66に追従して、上流側ボックス56内に入れられる。このため、突起66は、荷物P43を後方から防護カーテン52を押し退けるように押し込むために用いられるわけではない。突起66は、防護カーテン52を押し退け、荷物P43を追従して上流側ボックス56内に入れるために用いることができる。なお、上述したように、荷物P43を突起66で押圧してもよい。
【0119】
図17及び図18に示す例によっても、第1搬送部22で搬送された荷物の姿勢が変更されにくい状態で、各荷物は、第1搬送部22から搬送された順(P41,P42,P43,P44の順)に、放射線検査システム24を通り、第2搬送部26に搬送される。
【0120】
(第3実施形態)
第3実施形態について、図19から図21を用いて説明する。本実施形態は、第1変形例を含む第1実施形態、及び、第2実施形態の変形例である。第1実施形態、及び、第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、説明を省略する。
【0121】
本実施形態の放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送補助装置34と、第2搬送補助装置134と、荷物検知装置36と、制御部38とを有する。本実施形態の放射線検査システム24は、放射線検査装置32に第2搬送補助装置134として後述する押し込み部(押し込み機構)180を取り付けて用いる例について説明する。
【0122】
第1搬送補助装置34は、第1実施形態の第1変形例で説明したように、荷物を防護カーテン52に押し込む第1押し込み部80を有する。これについては、説明を省略する。
【0123】
第2搬送補助装置134は、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内に取り付けられている。第2搬送補助装置134は、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内の荷物を遮蔽ボックス50の出口50bに吊るされた防護カーテン54に押し込む第2押し込み部180を有する。
【0124】
押し込み部180は、搬送方向D(X軸方向)に沿って延びるレール182と、上下方向(Z軸方向)に沿って移動し下端が押圧部とされるピストンロッド186を有するアクチュエータ(シリンダ)184とを有する。レール182は、例えば遮蔽ボックス50の天井又は内壁に配設されている。アクチュエータ184の上端は、レール182に支持されている。アクチュエータ184は、レール182によりX軸方向(搬送方向Dに沿う方向)に所定範囲内で移動可能である。
【0125】
制御部38は、第1搬送補助装置34、第2搬送補助装置134、及び、荷物検知装置36に有線又は無線で接続されている。制御部38は、第1搬送補助装置34、第2搬送補助装置134、及び、荷物検知装置36を適宜に制御可能である。
【0126】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について説明する。
【0127】
荷物は荷物処理システム10で決めた番号の順に第1搬送部22で所定の放射線検査システム24に向けて搬送される。
【0128】
第1実施形態の第1変形例で説明したように、第1搬送補助装置34の第1押し込み部80を動作させ、防護カーテン52に対して荷物を順に押し込む。
【0129】
第1搬送補助装置34の押圧部86で後方から押された荷物は、防護カーテン52を押し退け、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送力により遮蔽ボックス50内に入る。
【0130】
ここで、第1搬送補助装置34において、ある荷物を押圧する押圧部86が遮蔽ボックス50の入口50aに最も近づいた所定位置にある(図12参照)とき、その荷物の後端は放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部近傍又はそれよりも搬送方向の下流側にある。制御部38は、放射線検査装置32のコンベヤ44の長さ及び搬送速度に応じて、ある荷物の後端が放射線検査装置32のコンベヤ44の適宜の位置を通る時間を算出する。したがって、制御部38は、第2搬送補助装置134の制御において、ある荷物P52の後端が放射線検査装置32のコンベヤ44とピストンロッド186の下端との間を通ったときに、レール182に対してアクチュエータ184のピストンロッド186を動かし、ピストンロッド186が荷物P52を後方から押圧(当接)するように制御する。ピストンロッド186は、遮蔽ボックス50の出口50bに最も近づいた所定位置(図21参照)まで、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送速度と同じ速度で移動する。このため、荷物P52は、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送力及びピストンロッド186の押圧力により、防護カーテン54に対して押し込まれ、防護カーテン54を押し退けて、外部に出される。外部に出された荷物P52は、放射線検査装置32のコンベヤ44から第2搬送部26に受け渡され、第2搬送部26の下流側に搬送される。
【0131】
このように、荷物は、第1押し込み部80の押圧部86により、防護カーテン52に対して押し込まれる。したがって、第1搬送補助装置34は、放射線検査装置32のコンベヤ44に向けて荷物を、防護カーテン52を押し退けて入れる。放射線検査システム24は、各荷物が防護カーテン52で滞留することを防止する。このため、荷物が防護カーテン52に接触した状態で回転するなど、第1搬送部22で搬送された荷物の姿勢が変えられ、荷物が防護カーテン52に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、第1搬送部22でその荷物の後から搬送される荷物が先に遮蔽ボックス50内に入ることを防止する。
【0132】
同様に、荷物は、第2押し込み部180のピストンロッド186により防護カーテン54に対して押し込まれる。したがって、第2搬送補助装置134は、放射線検査装置32のコンベヤ44から放射線検査装置32の外部に向けて荷物を、防護カーテン54を押し退けて取り出す。放射線検査システム24は、各荷物が防護カーテン54で滞留することを防止する。このため、荷物が防護カーテン54に接触した状態で回転するなど、第1搬送部22、及び、放射線検査装置32のコンベヤ44で搬送された荷物の姿勢が変えられ、荷物が防護カーテン54に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、第1搬送部22でその荷物の後から放射線検査装置32のコンベヤ44に搬送される荷物が先に第2搬送部26に出されることを防止する。
【0133】
したがって、第1搬送部22で搬送された荷物の姿勢が変更されにくい状態で、各荷物は、第1搬送部22から搬送された順(P51,P52,P53,P54の順)に、放射線検査システム24を通り、第2搬送部26に搬送される。
【0134】
本実施形態によれば、押し込み部80,180は、放射線検査装置32内の搬送路44の上方、又は、搬送路44の放射線検査装置32よりも上流側の上方に設けられ、障害物52,54に対して接離する方向(X軸方向)、及び、搬送路44に近接する方向及び搬送路44から離隔する接離する方向と交差する方向(Z軸方向)に移動可能な押圧部86,186を有する。
【0135】
本実施形態によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本実施形態によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置134、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0136】
このように、図15から図17に示す上流側の第1補助コンベヤ62及び上流側ボックス56がないとき、第1搬送補助装置34は、図15から図17に示す押し込み部60の代わりに、例えば、図19から図21に示す押し込み部80を有することが好適である。
【0137】
図15及び図17に示す下流側の第2補助コンベヤ162がないとき、第2搬送補助装置134は、図15及び図17に示す押し込み部160の代わりに、例えば、図19図21に示す押し込み部180、又は、後述する図22に示す押し込み部280を有することが好適である。
【0138】
なお、放射線検査システム24は、第1搬送補助装置34があれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能である。同様に、放射線検査システム24は、第2搬送補助装置134があれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能である。第2実施形態で説明したのと同様に、第1押し込み部80を含む第1搬送補助装置34と、第2押し込み部180を含む第2搬送補助装置134とは、少なくとも一方があればよい。
【0139】
(第1変形例)
図22を用いて第3実施形態の第1変形例について説明する。
【0140】
図22に示す第2搬送補助装置134は、下流側ボックス(ボックス部)58と、下流側放射線防護カーテン(下流側障害物)54と、第2押し込み部280とを有する。
【0141】
第2押し込み部280は、例えば第1押し込み部80と同様の構成を有する。ここでは、搬送方向D(X軸方向)に沿って延びる第1レール282が下流側ボックス58の内壁又は天井に支持されている。第1レール282は、Z軸方向(上下方向)に移動可能である。第2レール284は、Z軸方向(上下方向)に延び、第1レール282に対してX軸方向に沿って移動可能である。第1レール282及び第2レール284はそれぞれ下流側ボックス58に対して例えば直線的に移動する。押圧部286は第2レール284に支持される。
【0142】
押圧部286は、下流側ボックス58の出口58aの放射線防護カーテン54に対して接離する方向(出口58aの放射線防護カーテン54に対して近接する方向、及び、出口58aの放射線防護カーテン54から離隔する方向)に移動可能であるとともに、第2搬送部26に接離する方向(第2搬送部26に近接する方向及び離隔する方向)に移動可能である。出口58aの放射線防護カーテン54に対して接離する方向と、第2搬送部26に接離する方向とは、互いに交差する方向である。
【0143】
なお、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の出口50bには防護カーテン54がない。
【0144】
荷物は、第2押し込み部280の押圧部186により防護カーテン54に対して押し込まれる。したがって、第2搬送補助装置134は、放射線検査装置32のコンベヤ44から第2搬送部26に搬送した荷物を、防護カーテン54を押し退けて取り出す。放射線検査システム24は、各荷物が防護カーテン54で滞留することを防止する。このため、荷物が防護カーテン54に接触した状態で回転するなど、第1搬送部22、及び、放射線検査装置32のコンベヤ44で搬送された荷物の姿勢が変えられ、荷物が防護カーテン54に接触した状態で滞留することが防止される。したがって、放射線検査装置32のコンベヤ44から第2搬送部26に後から搬送される荷物が先に防護カーテン54を通して第2搬送部26の下流側に搬送されることを防止する。そして、放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P61,P62,P63の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0145】
通常、放射線検査装置32の近傍には、漏洩する放射線を防護するための防護壁を設けることがあり得る。第2搬送補助装置134の押し込み部280を放射線検査装置32の下流側に配置する場合、下流側ボックス58を防護壁の代わりに用いることができる。
【0146】
(第4実施形態)
第4実施形態について、図23を用いて説明する。本実施形態は、第1変形例を含む第1実施形態、第2実施形態、及び、第1変形例を含む第3実施形態の変形例である。第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、説明を省略する。
【0147】
放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送補助装置34と、第2搬送補助装置134と、荷物検知装置36と、制御部38とを有する。
【0148】
図23に示す例では、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の入口50a側は、例えば公知の放射線検査装置32をそのまま維持している。放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の入口50aの近傍には、第1実施形態の第1変形例で説明した第1搬送補助装置34の押し込み部80が配設されている。
【0149】
放射線検査装置32の遮蔽ボックス50の出口50b側は、防護カーテン54の位置を変更している。遮蔽ボックス50の出口50b側には、第2搬送補助装置134が配設されている。第2搬送補助装置134は、第2実施形態で説明したように、下流側ボックス58と、下流側防護カーテン54と、第2押し込み部160とを有する。
【0150】
本実施形態に係る放射線検査システム24は、このような組み合わせにより、第1搬送補助装置34により、第1搬送部22を搬送された荷物が防護カーテン52を押し退けて、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内のコンベヤ44の搬送面45に入れられる。また、遮蔽ボックス50内に入れられた荷物は、第2搬送補助装置134により、荷物が防護カーテン54を押し退けて、第2搬送部26に受け渡され、第2搬送部26の下流に搬送される。
【0151】
ここでは、第1搬送補助装置34として、第1実施形態の第1変形例で説明した押し込み部80を用い、第2搬送補助装置134として、第2実施形態で説明した押し込み部160を用いる例について説明した。第1搬送補助装置34として、第1実施形態で説明した押し込み部60を用い、第2搬送補助装置134として、第3実施形態で説明した押し込み部180を用いてもよい。
【0152】
本実施形態によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本実施形態によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置134、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0153】
(第5実施形態)
第5実施形態について、図24を用いて説明する。本実施形態は、各変形例を含む第1実施形態から第4実施形態の変形例である。本実施形態は、第1実施形態から第4実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、説明を省略する。
【0154】
図24に示すように、本実施形態の放射線検査システム24は、第1実施形態で説明した遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに配置した防護カーテン(障害物)52,54を除去する。遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bの防護カーテン52,54は取り外すことができる。このため、本実施形態においても、公知の放射線検査装置32を用いることができる。本実施形態において、新たな放射線検査装置32を用いることも可能である。
【0155】
放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送装置234aと、第2搬送装置234bとを有する。
【0156】
第1搬送装置234aは、第1搬送部22と放射線検査装置32との間にある。第2搬送装置234bは、放射線検査装置32と第2搬送部26との間にある。
【0157】
第1搬送装置234aは、上流側ボックス(遮蔽体)256と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の入口50aでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす上流側搬送部292とを有する。ここでの上流側搬送部292は、荷物の搬送方向を水平面内でずらす例である。
【0158】
上流側ボックス256は、遮蔽ボックス50と同様に、トンネル状に形成されている。上流側ボックス256は、遮蔽ボックス50と同様に、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。上流側ボックス256は、放射線遮蔽ボックス50の入口50aから上流側に延びる。
【0159】
上流側ボックス256は、遮蔽部256aと、開口256bとを有する。
【0160】
遮蔽部256aは、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dの上流側に壁面として形成されている。遮蔽部256aは、放射線遮蔽ボックス50の内側から放射線遮蔽ボックス50の入口50aを通して漏洩し得る放射線を遮断する。遮蔽部256aは、搬送方向Dの上流側に、X軸に交差し、放射線を遮断する適宜の面があればよい。遮蔽部256aは、例えば、搬送方向Dに平行なX軸に直交するYZ平面に平行な面として形成されている。
【0161】
開口256bは、遮蔽部256aと放射線検査装置32のコンベヤ44との間にあり、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dとは異なる方向に開口する。図24に示す例では、開口256bは、Y軸方向に貫通する。
【0162】
開口256bには、上流側搬送部292が通されている。上流側搬送部292は、第1搬送部22の下流側端部と、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間にある。上流側搬送部292は、例えばX軸に平行な第1搬送部22に沿って搬送された荷物を例えばY軸方向に沿って移動させる第1搬送体292aと、第1搬送体292aで搬送された荷物を例えばX軸方向に沿って移動させ、放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡す第2搬送体292bとを有する。本実施形態では、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の上流側端部と、第1搬送部22の搬送面の下流側端部との間の経路は、略同じ高さにある。これら第1搬送体292a及び第2搬送体292bにより、第1搬送部22で搬送された荷物は水平面内(XY平面上)で略L字状に曲がり、放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。本実施形態では、第1搬送部22の下流側端部、及び、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部において、第1搬送部22の搬送面の搬送方向は、Y軸方向にずれているが、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送方向Dと平行な方向である。
【0163】
なお、本実施形態の上流側ボックス256は、第1搬送部22の下流側端部まで覆うように形成されている。第1搬送部22は、上流側ボックス256の遮蔽部256aからY軸方向にずれ、X軸方向に貫通する開口256cを通して上流側に延びる。
【0164】
第2搬送装置234bは、下流側ボックス(遮蔽体)258と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の出口50bでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす下流側搬送部296とを有する。ここでの下流側搬送部296は、荷物の搬送方向を水平面内でずらす例である。
【0165】
下流側ボックス258は、遮蔽ボックス50及び上流側ボックス256と同様に、トンネル状に形成されている。下流側ボックス258は、遮蔽ボックス50及び上流側ボックス256と同様に、放射線が外部に漏洩することを防止するため、例えば複数層の適宜の厚さの鉄板等で形成されている。下流側ボックス258は、放射線遮蔽ボックス50の出口50bから下流側に延びる。
【0166】
下流側ボックス258は、遮蔽部258aと、開口258bとを有する。
【0167】
遮蔽部258aは、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dの下流側に壁面として形成されている。遮蔽部258aは、放射線遮蔽ボックス50の内側から放射線遮蔽ボックス50の出口50bを通して漏洩し得る放射線を遮断する。遮蔽部258aは、搬送方向Dの下流側に、X軸に交差し、放射線を遮断する適宜の面があればよい。遮蔽部258aは、例えば、搬送方向Dに平行なX軸に直交するYZ平面に平行な面として形成されている。
【0168】
開口258bは、放射線検査装置32のコンベヤ44と遮蔽部258aとの間にあり、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dとは異なる方向に開口する。図24に示す例では、開口258bは、Y軸方向に貫通する。
【0169】
開口258bには、下流側搬送部296が通されている。下流側搬送部296は、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部と第2搬送部22の上流側端部との間にある。下流側搬送部296は、例えばX軸に平行な放射線検査装置32のコンベヤ44に沿って搬送された荷物を例えばY軸方向に沿って移動させる第1搬送体296aと、第1搬送体296aで搬送された荷物を例えばX軸方向に沿って移動させ、第2搬送部26に受け渡す第2搬送体296bとを有する。本実施形態では、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の下流側端部と、第2搬送部26の搬送面の上流側端部との間の経路は、略同じ高さにある。これら第1搬送体296a及び第2搬送体296bにより、放射線検査装置32のコンベヤ44で搬送された荷物は水平面内(XY平面上)で略L字状に曲がり、第2搬送部26に受け渡される。本実施形態では、放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部、及び、第2搬送部22の上流側端部において、第2搬送部26の搬送面の搬送方向は、Y軸方向にずれているが、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の搬送方向Dと平行な方向である。
【0170】
なお、本実施形態の下流側ボックス258は、第2搬送部26の上流側端部まで覆うように形成されている。第2搬送部26は、下流側ボックス258の遮蔽部258aからY軸方向にずれ、X軸方向に貫通する開口258cを通して下流側に延びる。
【0171】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について説明する。
【0172】
第1搬送部22により放射線検査システム24に搬送される荷物は、上流側ボックス256の開口256cを通して、上流側ボックス256内に入れられる。荷物は、第1搬送部22から上流側搬送部292の第1搬送体292aに受け渡されると、第1搬送体292aにより、搬送方向がX軸方向からY軸方向に変化する。さらに、荷物は、第1搬送体292aから第2搬送体292bに受け渡されると、第2搬送体292bにより、搬送方向がY軸方向からX軸方向に変化する。荷物は、上流側搬送部292の第2搬送体292bから放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。このため、荷物は、略L字状の軌跡を描いて、第1搬送部22から放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。
【0173】
放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡された荷物は、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内で放射線発生器46からの放射線の放射を受け、放射線検査される。このとき、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bから、放射線が漏洩し得る。遮蔽ボックス50の入口50aから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の入口50aと遮蔽部256aとの間の上流側ボックス256で遮断される。遮蔽ボックス50の出口50bから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の出口50bと遮蔽部258aとの間の下流側ボックス258で遮断される。
【0174】
このように、本実施形態に係る放射線検査システム24は、防護カーテン52,54の代わりに、第1搬送装置234a及び第2搬送装置234bを用いることで、放射線が遮蔽ボックス50の外側に漏洩することを防止することができる。
【0175】
なお、放射線検査システム24のコンベヤ44に搬送され、検査された荷物は、放射線検査システム24のコンベヤ44の下流側端部から、下流側搬送部296の第1搬送体296aに受け渡され、搬送方向がX軸方向からY軸方向に変更される。荷物は下流側搬送部296の第1搬送体296aから第2搬送体296bに受け渡され、搬送方向がY軸方向からX軸方向に変更される。荷物は第2搬送体296bの下流側端部から第2搬送部26に受け渡される。荷物は、第2搬送部26から下流側の検査後搬送エリア16に向けて搬送される。
【0176】
そして、本実施形態に係る放射線検査システム24は、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに防護カーテン52,54が存在しないため、荷物が遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bで滞留することが防止される。そして、放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P71,P72,P73,P74の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0177】
本実施形態に係る第1搬送装置234aは、コンベヤ(搬送路)44を所定の搬送方向Dに搬送される荷物(被検物)に放射線を照射して荷物を検査する放射線検査装置32とともに用いる。第1搬送装置234aは、放射線検査装置32から搬送方向Dに沿って上流側に延びる上流側ボックス(上流側の遮蔽体)256と、上流側の搬送部292とを有する。上流側ボックス256は、コンベヤ(搬送路)44の搬送方向Dの上流側にあり、放射線検査装置32の内側から放射線検査装置32の入口50aを通して漏洩し得る放射線を遮断する上流側の遮蔽部256aと、上流側の遮蔽部256aと放射線検査装置32のコンベヤ(搬送路)44との間にあり、搬送方向Dとは異なる方向に開口する開口256bとを有する。搬送部292は、上流側ボックス256の開口256bを通して上流側ボックス256の外側から内側に荷物を搬送する。
【0178】
本実施形態に係る第2搬送装置234bは、コンベヤ(搬送路)44を所定の搬送方向Dに搬送される荷物(被検物)に放射線を照射して荷物を検査する放射線検査装置32とともに用いる。第2搬送装置234bは、放射線検査装置32から搬送方向Dに沿って下流側に延びる下流側ボックス(下流側の遮蔽体)258と、下流側の搬送部296とを有する。コンベヤ(搬送路)44の搬送方向Dの下流側にあり、放射線検査装置32の内側から放射線検査装置32の出口50bを通して漏洩し得る放射線を遮断する下流側の遮蔽部258aと、下流側の遮蔽部258aと放射線検査装置32のコンベヤ44との間にあり、搬送方向Dとは異なる方向に開口する開口258bとを有する。下流側の搬送部296は、下流側ボックス258の開口258bを通して下流側ボックス258の内側から外側に荷物を搬送する。
【0179】
以上説明したように、本実施形態によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な第1搬送装置234a、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本実施形態によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な第2搬送装置234b、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0180】
(第1変形例)
図25を用いて第5実施形態の第1変形例について説明する。
【0181】
本変形例では、第1搬送部(上流側搬送部)22と第2搬送部26との間の放射線検査システム24が略U字状又は略コ字状に形成されている。本変形例では、第1搬送部22の搬送方向はX軸方向ではなく、Y軸方向に沿う。第2搬送部22の搬送方向はX軸方向ではなく、Y軸方向に沿う。
【0182】
第1搬送装置234aは、上流側ボックス(遮蔽体)256と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の入口50aでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす上流側搬送部292とを有する。本変形例では、上流側搬送部292の搬送方向は、X軸方向に沿う。
【0183】
第2搬送装置234bは、下流側ボックス(遮蔽体)258と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の出口50bでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす下流側搬送部296とを有する。本変形例では、下流側搬送部296の搬送方向は、X軸方向に沿う。
【0184】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について説明する。
【0185】
第1搬送部22により放射線検査システム24に搬送される荷物は、第1搬送部22の下流側端部から、上流側搬送部292で受け渡される。上流側搬送部292は、Y軸方向に沿う荷物の搬送方向を、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(X軸方向)に向ける。荷物は、上流側搬送部292から放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。
【0186】
放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡された荷物は、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内で放射線発生器46からの放射線の放射を受け、放射線検査される。このとき、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bから、放射線が漏洩し得る。遮蔽ボックス50の入口50aから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の入口50aと遮蔽部256aとの間の上流側ボックス256で遮断される。遮蔽ボックス50の出口50bから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の出口50bと遮蔽部258aとの間の下流側ボックス258で遮断される。
【0187】
このように、本変形例に係る放射線検査システム24は、防護カーテン52,54の代わりに、第1搬送装置234a及び第2搬送装置234bを用いることで、放射線が遮蔽ボックス50の外側に漏洩することを防止することができる。
【0188】
なお、放射線検査システム24のコンベヤ44に搬送され、検査された荷物は、放射線検査システム24のコンベヤ44の下流側端部から、下流側搬送部296の上流側端部で受け渡される。下流側搬送部296の下流側端部で、荷物は第2搬送部26に受け渡される。第2搬送部26は、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dに沿う荷物の搬送方向を、Y軸方向に向ける。荷物は、第2搬送部26から下流側の検査後搬送エリア16に向けて搬送される。
【0189】
本変形例に係る放射線検査システム24は、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに防護カーテン52,54が存在しないため、荷物が遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bで滞留することが防止される。放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P81,P82,P83の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0190】
第1搬送部22の搬送方向と第2搬送部26の搬送方向とは、互いに反対方向としているが、第1搬送部22の搬送方向と第2搬送部26の搬送方向とが互いに平行で同一方向にしてもよい。
第1搬送部22と放射線検査装置32のコンベヤ44とを隣接させることができる場合、上流側搬送部292は不要になり得る。放射線検査装置32のコンベヤ44と第2搬送部26とを隣接させることができる場合、下流側搬送部296は不要になり得る。
【0191】
以上説明したように、本変形例によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な第1搬送装置234a、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本変形例によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な第2搬送装置234b、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0192】
(第2変形例)
図26を用いて第5実施形態の第2変形例について説明する。
【0193】
放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送装置234aと、第2搬送装置234bとを有する。
【0194】
第1搬送装置234aは、上流側ボックス(遮蔽体)256と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の入口50aでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす上流側搬送部322とを有する。ここでの上流側搬送部322は、荷物の搬送方向を上下方向にずらす例である。
【0195】
上流側ボックス256は、第5実施形態で説明したのと同様に、遮蔽部256aと、開口256bとを有する。本変形例では、開口256bは、Z軸方向に貫通する。
【0196】
開口256bには、上流側搬送部322が通されている。
【0197】
ここで、第1搬送部22は、上流側ボックス256の遮蔽部256aからZ軸方向に沿って下側にずれている。第1搬送部22の下流側端部は、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部に対してX軸方向に沿って上流側にある。第1搬送部22の搬送方向と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向とは、X軸に平行であるが、Z軸方向にずれている。上流側搬送部322は、第1搬送部22の下流側端部と、放射線検査装置32のコンベヤ44の上流側端部との間にある。このため、上流側搬送部322は、上流側から下流側に向かって上がるように傾斜する。第1搬送部22の搬送面の高さは、放射線検査装置32のコンベヤ44に近づくほど、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の高さに近づけられる。
【0198】
第2搬送装置234bは、下流側ボックス(遮蔽体)258と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の出口50bでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす下流側搬送部326とを有する。ここでの下流側搬送部326は、荷物の搬送方向を上下方向にずらす例である。
【0199】
下流側ボックス258は、第5実施形態で説明したのと同様に、遮蔽部258aと、開口258bとを有する。本変形例では、開口258bは、Z軸方向に貫通する。
【0200】
開口258bには、下流側搬送部326が通されている。
【0201】
ここで、第2搬送部26は、下流側ボックス258の遮蔽部258aからZ軸方向に沿って下側にずれている。第2搬送部22の上流側端部は、放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部に対してX軸方向に沿って下流側にある。放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向と、第2搬送部26の搬送方向とは、X軸に平行であるが、Z軸方向にずれている。下流側搬送部326は、放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側端部と、第2搬送部26の上流側端部との間にある。このため、下流側搬送部326は、上流側から下流側に向かって下がるように傾斜する。第2搬送部26の搬送面の高さは、放射線検査装置32のコンベヤ44に近づくほど、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45の高さに近づけられる。
【0202】
荷物処理システム10の放射線検査システム24の作用について説明する。
【0203】
第1搬送部22により放射線検査システム24に搬送される荷物は、第1搬送部22の下流側端部から、上流側搬送部322の上流側端部で受け渡される。上流側搬送部322は、上流側ボックス256の開口256bを通して、荷物を上流側ボックス256内に入れる。荷物が第1搬送部22から上流側搬送部322に受け渡されると、Z軸方向にずれた荷物の搬送方向が、次第に放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向Dに近づけられる。荷物は、上流側搬送部322から放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。このため、荷物は、第1搬送部22から放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡される。
【0204】
放射線検査装置32のコンベヤ44に受け渡された荷物は、放射線検査装置32の遮蔽ボックス50内で放射線発生器46からの放射線の放射を受け、放射線検査される。このとき、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bから、放射線が漏洩し得る。遮蔽ボックス50の入口50aから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の入口50aと遮蔽部256aとの間の上流側ボックス256で遮断される。遮蔽ボックス50の出口50bから漏洩する放射線は、遮蔽ボックス50の出口50bと遮蔽部258aとの間の下流側ボックス258で遮断される。
【0205】
このように、本変形例に係る放射線検査システム24は、防護カーテン52,54の代わりに、第1搬送装置234a及び第2搬送装置234bを用いることで、放射線が遮蔽ボックス50の外側に漏洩することを防止することができる。
【0206】
なお、放射線検査システム24のコンベヤ44に搬送され、検査された荷物は、放射線検査システム24のコンベヤ44の下流側端部から、下流側搬送部326の上流側端部で受け渡される。荷物は下流側ボックス258の開口258bを通して下流側搬送部326の下流側端部に搬送される。下流側搬送部326の下流側端部で、荷物は第2搬送部26に受け渡される。荷物は、第2搬送部26から下流側の検査後搬送エリア16に向けて搬送される。
【0207】
そして、本変形例に係る放射線検査システム24は、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに防護カーテン52,54が存在しないため、荷物が遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bで滞留することが防止される。放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P91,P92,P93,P94,P95,P96の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0208】
以上説明したように、本変形例によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な第1搬送装置234a、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本変形例によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを防止可能な第2搬送装置234b、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0209】
(第3変形例)
図27を用いて第5実施形態の第3変形例について説明する。
【0210】
放射線検査システム24は、放射線検査装置32と、第1搬送装置234aと、第2搬送装置234bとを有する。
【0211】
第1搬送装置234aは、上流側ボックス(遮蔽体)256と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の入口50aでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす上流側リフト(上流側搬送部)422とを有する。本変形例は、第5実施形態の第2変形例で説明した上流側搬送部322の代わりに、上流側リフト422を用いる。リフト422は、第1搬送部22の下流側にあり、第1搬送部22で搬送された荷物をZ軸に沿って下側から上側に移動させることができる。リフト(搬送部)422の上面(搬送面)は、上下方向に移動可能である。リフト422の上面は、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45と同じ高さに配置可能である。リフト422は、上側に移動させたとき、放射線検査装置32のコンベヤ44に荷物を受け渡すことができる。
【0212】
なお、リフト422は、上流側ボックス(遮蔽体)256のZ軸方向に貫通する開口256bを通して、放射線検査装置32のコンベヤ44に荷物を受け渡す位置に配置することができる。
【0213】
同様に、第2搬送装置234bは、下流側ボックス(遮蔽体)258と、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送方向D(遮蔽ボックス50の出口50aでの放射線の漏洩方向)に対して荷物の搬送方向をずらす下流側リフト(下流側搬送部)426とを有する。本変形例は、第5実施形態の第1変形例で説明した下流側搬送部326の代わりに、下流側リフト426を用いる。リフト426は、放射線検査装置32のコンベヤ44の下流側にあり、放射線検査装置32のコンベヤ44で搬送された荷物をZ軸に沿って上側から下側に移動させることができる。リフト(搬送部)426の上面(搬送面)は、上下方向に移動可能である。リフト426の上面は、放射線検査装置32のコンベヤ44の搬送面45と同じ高さに配置可能である。リフト426は、上側に移動させたとき、放射線検査装置32のコンベヤ44から荷物を受け取ることができる。
【0214】
なお、リフト426は、下流側ボックス(遮蔽体)258のZ軸方向に貫通する開口258bを通して、放射線検査装置32のコンベヤ44から荷物を受け取る位置に配置することができる。
【0215】
本変形例に係る放射線検査システム24は、遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bに防護カーテン52,54が存在しないため、荷物が遮蔽ボックス50の入口50a及び出口50bで滞留することが防止される。放射線検査システム24は、各荷物の放射線検査を、第1搬送部22で搬送された順(P101,P102,P103,P104の順)に、そのままの順で実行することができる。
【0216】
以上説明したように、本変形例によれば、放射線検査装置32の入口50aで荷物が滞留することを防止可能な第1搬送装置234a、及び、放射線検査システム24を提供することができる。本変形例によれば、放射線検査装置32の出口50bで荷物が滞留することを可能な第2搬送装置234b、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0217】
[付記]
(付記1)
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送装置であって、
前記搬送路の前記搬送方向の上流側にあり、前記放射線検査装置の内側から前記放射線検査装置の入口を通して漏洩し得る放射線を遮断する上流側の遮断部と、前記上流側の遮断部と前記放射線検査装置の前記搬送路との間にあり、前記搬送方向とは異なる方向に開口する開口とを有し、前記放射線検査装置から前記搬送方向に沿って上流側に延びる上流側の遮蔽体と、
前記上流側の遮蔽体の前記開口を通して前記上流側の遮蔽体の外側から内側に前記被検物を搬送する上流側の搬送部と、
を有する、搬送装置。
(付記2)
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送装置であって、
前記搬送路の前記搬送方向の下流側にあり、前記放射線検査装置の内側から前記放射線検査装置の出口を通して漏洩し得る放射線を遮断する下流側の遮断部と、前記下流側の遮断部と前記放射線検査装置の前記搬送路との間にあり、前記搬送方向とは異なる方向に開口する開口とを有し、前記放射線検査装置から前記搬送方向に沿って下流側に延びる下流側の遮蔽体と、
前記下流側の遮蔽体の前記開口を通して前記下流側の遮蔽体の内側から外側に前記被検物を搬送する下流側の搬送部と、
を有する、搬送装置。
(付記3)
前記搬送路の上流側端部又は下流側端部は、前記搬送部の下流側端部又は上流側端部に隣接し、
前記搬送路の搬送面の上流側端部又は下流側端部と、前記搬送部の搬送面の上流側端部又は下流側端部とは、略同じ高さにある、付記1又は付記2に記載の搬送装置。
(付記4)
前記搬送部の搬送面の高さは、前記搬送路に近づくほど、前記搬送路の搬送面の高さに近づけられる、付記1又は付記2に記載の搬送装置。
(付記5)
前記搬送路の搬送面の前記搬送方向は、前記搬送部の搬送面の搬送方向と同一平面にある、付記1又は付記2に記載の搬送装置。
(付記6)
前記搬送部の搬送面は、上下方向に移動可能であり、
前記搬送部の前記搬送面は、前記搬送路の搬送面と同じ高さに配置可能である、付記1又は付記2に記載の搬送装置。
以上説明したように、上述した実施形態によれば、X線検査装置等の放射線検査装置32の入口50a又は出口50bで荷物が滞留することを防止可能な搬送補助装置34,134、搬送装置234a,234b、及び、放射線検査システム24を提供することができる。
【0218】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、この出願の出願時特許請求の範囲を付記する。
[付記1]
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の入口及び出口に設けられる放射線の漏洩を防止する障害物の少なくとも一方に対して前記被検物を前記搬送方向に沿って押し込む押し込み部を有する、搬送補助装置。
[付記2]
前記押し込み部は、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側に設けられ、前記搬送路に前記被検物を搬送する搬送面を有する搬送部と、
前記搬送面から上方に突出する1又は複数の突起と
を有する、付記1に記載の搬送補助装置。
[付記3]
前記押し込み部は、前記放射線検査装置内の前記搬送路の上方、又は、前記搬送路の前記放射線検査装置よりも上流側の上方に設けられ、前記障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、付記1又は付記2に記載の搬送補助装置。
[付記4]
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置とともに用いる搬送補助装置であって、
前記放射線検査装置の前記搬送路の上流側にあり前記放射線検査装置に向けて被検物を入れる上流側の第1補助コンベヤと、前記放射線検査装置の前記搬送路の下流側にあり前記放射線検査装置から前記被検物を出す下流側の第2補助コンベヤとの少なくとも一方を有する補助コンベヤ部と、
前記上流側の第1補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の入口から前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部よりも前記搬送方向の上流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の上流側ボックスを有し、前記下流側の第2補助コンベヤがあるとき、前記放射線検査装置の出口から前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部よりも前記搬送方向の下流側に延び、放射線の漏洩を防止する、トンネル状の下流側ボックスを有する、ボックス部と、
前記上流側ボックスがあるとき、前記上流側の第1補助コンベヤの上方で前記上流側ボックスから前記上流側の第1補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する上流側障害物を有し、前記下流側ボックスがあるとき、前記下流側の第2補助コンベヤの上方で前記下流側ボックスから前記下流側の第2補助コンベヤに向かって吊り下げられ、放射線の漏洩を防止する下流側障害物を有する、障害物と、
前記上流側ボックスに前記上流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記上流側障害物に対して前記被検物を押し込む上流側押し込み部を有し、前記下流側ボックスに前記下流側障害物があるとき、前記被検物に対して上流側から下流側の前記下流側障害物に対して前記被検物を押し込む下流側押し込み部を有する、押し込み部と
を有する、搬送補助装置。
[付記5]
前記補助コンベヤ部の前記上流側の第1補助コンベヤは、前記上流側の第1補助コンベヤの上流の第1搬送部から受け渡される前記被検物を上流側から下流側に移動させる上流側搬送面を有し、
前記押し込み部の前記上流側押し込み部は、前記上流側搬送面から上方に突出する1又は複数の突起を有する、付記4に記載の搬送補助装置。
[付記6]
前記補助コンベヤ部の前記下流側の第2補助コンベヤは、前記放射線検査装置の前記搬送路から受け渡される前記被検物を上流側から下流側に移動させる下流側搬送面を有し、
前記押し込み部の前記下流側押し込み部は、前記下流側搬送面から上方に突出する1又は複数の突起を有する、付記4又は付記5に記載の搬送補助装置。
[付記7]
前記上流側の第1補助コンベヤの下流側端部と前記上流側障害物との間の前記搬送方向に沿う距離は、前記下流側の第2補助コンベヤの上流側端部と前記下流側障害物との間の前記搬送方向に沿う距離に比べて小さい、付記4乃至付記6のいずれか1に記載の搬送補助装置。
[付記8]
前記上流側の第1補助コンベヤ及び前記上流側ボックスがないとき、前記押し込み部は、前記放射線検査装置の前記搬送路よりも上流側の上方に設けられ、前記放射線検査装置の放射線の漏洩を防ぐ前記放射線検査装置の前記入口の前記上流側障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、付記4に記載の搬送補助装置。
[付記9]
前記下流側の第2補助コンベヤがないとき、前記押し込み部は、前記放射線検査装置内の前記搬送路の上方、又は、前記放射線検査装置よりも下流側の上方に設けられ、障害物に対して接離する方向、及び、前記搬送路に近接する方向及び前記搬送路から離隔する前記接離する方向と交差する方向に移動可能な押圧部を有する、付記4に記載の搬送補助装置。
[付記10]
搬送路を所定の搬送方向に搬送される被検物に放射線を照射して前記被検物を検査する放射線検査装置と、
前記放射線検査装置とともに用いられる、付記1乃至付記9のいずれか1に記載の搬送補助装置と
を有する放射線検査システム。
【符号の説明】
【0219】
10…荷物処理システム、12…荷物登録エリア、14…放射線検査エリア、16…検査後搬送エリア、22…第1搬送部、24…放射線検査システム、26…第2搬送部、32…放射線検査装置、34…搬送補助装置、36…荷物検知装置、38…制御部、42…ベース、44…コンベヤ、45…搬送面、46…放射線発生器、48…ラインセンサ、50…放射線遮蔽ボックス、50a…入口、50b…出口、52…上流側放射線防護カーテン、54…下流側放射線防護カーテン、60…押し込み部、62…補助コンベヤ、64…搬送面、66…突起。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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