(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信システム、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20231211BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20231211BHJP
H04W 12/12 20210101ALI20231211BHJP
【FI】
H04W76/10 130
H04W84/12
H04W12/12
(21)【出願番号】P 2020041090
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 善行
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 浩志
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190414(WO,A1)
【文献】特開2016-218958(JP,A)
【文献】特開2006-261938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一グループのネットワーク上に存在する
複数の無線アクセスポイントに無線で接続するための通信設定を
周期的に更新して生成する設定生成部と、
前記設定生成部が生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知部と、
前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示部と、
を備える、通信制御装置。
【請求項2】
前記無線アクセスポイントの各々に前記通信設定を通知した後に、自装置に前記通信設定を反映させる設定反映部をさらに備える、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記設定提示部は、前記設定情報を提示させるためのイベントに応じて前記設定情報を提示させる、請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記設定提示部は、前記設定情報を二次元コードで提示させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記設定提示部は、前記設定情報を媒体に印刷させることによって提示させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記設定生成部は、前記通信設定を更新するためのイベントに応じて前記通信設定を更新して生成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
通信制御装置と、
前記通信制御装置と同一グループのネットワーク上に存在する
複数の無線アクセスポイントと、
を備え、
前記通信制御装置は、
複数の前記無線アクセスポイントに無線で接続するための同一の通信設定を
周期的に更新して生成する設定生成部と、
前記設定生成部が生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知部と、
前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示部と、
を備える、通信システム。
【請求項8】
前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末をさらに備え、
前記端末は、前記設定提示部が提示させた前記設定情報に基づいて前記通信設定を設定する通信設定部を備える、請求項
7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信制御装置は、注文管理システムにおけるコントローラ装置であり、前記端末は、前記注文管理システムにおける業務端末又は個人所有の個人端末である、請求項
8に記載の通信システム。
【請求項10】
コンピュータに、
同一グループのネットワーク上に存在する
複数の無線アクセスポイントに無線で接続するための同一の通信設定を
周期的に更新して生成する設定生成ステップと、
前記設定生成ステップで生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知ステップと、
前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示ステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信システム、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファミリーレストラン又は居酒屋等の店舗では、来店客からの注文を電子データとして管理するオーダエントリシステムが利用されている。例えば、特許文献1には、所定のスペース内に設置された無線LANアクセスポイントの他に新たな無線LANアクセスポイントを設置することなく、所定のスペース外でハンディターミナルと通信可能な、オーダエントリシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーダエントリシステムは、無線ネットワークの仕組みを利用する場合、業務用のネットワークでも一般的な無線LAN(Local Area Network)機能を用いて構築される。店舗を運営する場合、通常は多くの無線アクセスポイントが店舗内に導入されることになる。また、オーダエントリシステムにおいて、従業員が注文等を行うためにスマートフォン、タブレット端末等の携帯端末を使用する場合がある。無線アクセスポイントに接続するための設定の更新を行わなくなると、例えば退職した従業員が来店し、アクセスポイントに接続して不正な注文又は注文の取消を実行してしまうなどの問題が生じうる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、複数の無線アクセスポイントに接続するための設定の更新を効率的に行わせることが可能な通信制御装置、通信システム、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、通信制御装置であって、同一グループのネットワーク上に存在する1以上の無線アクセスポイントに無線で接続するための通信設定を生成する設定生成部と、前記設定生成部が生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知部と、前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示部と、を備える。
【0007】
第1態様によれば、無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に通信設定を設定させるための設定情報を提示させることで、複数の無線アクセスポイントに端末が接続するための設定の更新を効率的に行わせることができる。
【0008】
本発明の第2態様の通信制御装置は、第1態様の通信制御装置であって、前記無線アクセスポイントの各々に前記通信設定を通知した後に、自装置に前記通信設定を反映させる設定反映部をさらに備える。
【0009】
第2態様によれば、生成した通信設定によって自装置に対して端末が無線で接続されることが可能となる。
【0010】
本発明の第3態様の通信制御装置は、第1態様又は第2態様の通信制御装置であって、前記設定提示部は、前記設定情報を提示させるためのイベントに応じて前記設定情報を提示させる。
【0011】
第3態様によれば、設定情報を提示させるためのイベントをトリガとして設定情報を提示できる。例えば、設定情報を提示させるためのイベントを任意に設定することで、ユーザの希望するタイミングで設定情報を取得することができる。
【0012】
本発明の第4態様の通信制御装置は、第1態様~第3態様のいずれかの通信制御装置であって、前記設定提示部は、前記設定情報を二次元コードで提示させる。
【0013】
第4態様によれば、端末に二次元コードを読み取らせて通信設定を設定させることで、通信設定を取得する手間を軽減させることができる。
【0014】
本発明の第5態様の通信制御装置は、第1態様~第4態様のいずれかの通信制御装置であって、前記設定提示部は、前記設定情報を媒体に印刷させることによって提示させる。
【0015】
第5態様によれば、媒体に印刷された設定情報に基づいて端末に通信設定を設定させることができる。また、媒体を介して設定情報を提供することにより、店舗等の外部からの設定情報の取得を抑制できる。
【0016】
本発明の第6態様の通信制御装置は、第1態様~第5態様のいずれかの通信制御装置であって、前記設定生成部は、前記通信設定を周期的に更新して生成する。
【0017】
第6態様によれば、通信設定を周期的に更新することでセキュリティを向上させることができる。
【0018】
本発明の第7態様の通信制御装置は、第1態様~第5態様のいずれかの通信制御装置であって、前記設定生成部は、前記通信設定を更新するためのイベントに応じて前記通信設定を更新して生成する。
【0019】
第7態様によれば、通信設定を任意のタイミングで更新することでセキュリティを向上させることができる。
【0020】
本発明の第8態様は、通信システムであって、通信制御装置と、前記通信制御装置と同一グループのネットワーク上に存在する1以上の無線アクセスポイントと、を備え、前記通信制御装置は、1以上の前記無線アクセスポイントに無線で接続するための同一の通信設定を生成する設定生成部と、前記設定生成部が生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知部と、前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示部と、を備える。
【0021】
第8態様によれば、無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に通信設定を設定させるための設定情報を提示させることで、複数の無線アクセスポイントに接続するための設定の更新を効率的に行わせることができる。
【0022】
本発明の第9態様は、第8態様の通信システムであって、前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末をさらに備え、前記端末は、前記設定提示部が提示させた前記設定情報に基づいて前記通信設定を設定する通信設定部を備える。
【0023】
第9態様によれば、提示された設定情報に基づいて端末に通信設定を設定させることで、ユーザが設定する負担を軽減することができる。
【0024】
本発明の第10態様は、第9態様の通信システムであって、前記通信制御装置は、注文管理システムにおけるコントローラ装置であり、前記端末は、前記注文管理システムにおける業務端末又は個人所有の個人端末である。
【0025】
本発明の第10態様によれば、注文管理システムにおけるコントローラ装置が無線アクセスポイントに無線で接続するための同一の通信設定を生成し、注文管理システムにおける業務端末又は個人所有の個人端末が、コントローラ装置が生成した通信設定を設定することができる。
【0026】
本発明の第11態様は、コンピュータプログラムであって、コンピュータに、同一グループのネットワーク上に存在する1以上の無線アクセスポイントに無線で接続するための同一の通信設定を生成する設定生成ステップと、前記設定生成ステップで生成した前記通信設定を前記無線アクセスポイントの各々に通知する設定通知ステップと、前記無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に前記通信設定を設定させるための設定情報を提示させる設定提示ステップと、を実行させる、コンピュータプログラム。
【0027】
第11態様によれば、無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に通信設定を設定させるための設定情報を提示させることで、複数の無線アクセスポイントに接続するための設定の更新を効率的に行わせることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無線アクセスポイントの各々に無線で接続する端末に通信設定を設定させるための設定情報を提示させることで、複数の無線アクセスポイントに接続するための設定の更新を効率的に行わせることが可能な通信制御装置、通信システム、及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る注文管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】コントローラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】コントローラの機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】業務端末又は個人端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】業務端末又は個人端末の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図6】コントローラによる設定更新処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】Wi-Fi情報がコントローラから通信装置へ通知される様子を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る注文管理システムの一部の構成を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る注文管理システムの一部の構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る注文管理システムの一部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る注文管理システム1の構成の一例を示す図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係る注文管理システム1は、ファミリーレストラン又は居酒屋等の店舗(図示省略)内に構築されるシステムである。注文管理システム1は、コントローラ10と、通信装置20、30、31と、会計装置50と、中継装置60と、を備えている。
【0033】
本実施形態に係るコントローラ10は、注文管理システム1の全体を管理するサーバ機能を備えている。コントローラ10は、通信装置20、30、会計装置50、及び中継装置60の各々と有線ネットワークN2を介して通信可能とされている。また、コントローラ10は、通信装置31と無線ネットワークN3を介して通信可能とされている。なお、有線ネットワークN2には、一例として、店舗内に有線で構築されたLAN(Local Area Network)等が適用される。無線ネットワークN3には、無線LANの規格の一例であるWi-Fi(登録商標)等が適用される。また、コントローラ10は、無線ネットワークN1のアクセスポイントとしての無線通信機能も備えている。
【0034】
本実施形態に係る通信装置20、30、31は、接客担当者が業務に使用するハンディターミナル等の業務端末40及び接客担当者が所有するスマートフォン等の個人端末42の各々と無線ネットワークN1を介して通信可能とされている。なお、業務端末40及び個人端末42は端末の一例である。また、無線ネットワークN1には、一例として、店舗内に無線で構築されたLAN等が適用される。より具体的には、無線ネットワークN1として、無線LANの規格の一例であるWi-Fi(登録商標)等が適用される。すなわち、通信装置20、30、31は、無線ネットワークN1の無線アクセスポイントとしての無線通信機能を備えている。
【0035】
通信装置30、31は、プリンタの機能も有する。本実施形態では、通信装置30は、有線ネットワークN2によってコントローラ10と接続されており、通信装置31は、無線ネットワークN3によってコントローラ10と接続されている。
【0036】
本実施形態に係る会計装置50は、有線ネットワークN2に接続されており、一例として、POS(Point Of Sales)レジスタ等が適用される。
【0037】
本実施形態に係る中継装置60は、有線ネットワークN2と外部ネットワークN4とを接続するための装置であり、一例として、ルータ等が適用される。なお、外部ネットワークN4には、一例として、インターネットやWAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等が適用される。
【0038】
例えば、通信装置20は、業務端末40又は個人端末42から無線ネットワークN1を介して受け付けた、来店客の注文を示す注文データをコントローラ10に送信する。コントローラ10では、受信した注文データを来店客毎に記憶して管理する。コントローラ10は、受信した注文データに基づいて、伝票を印刷するための伝票データを生成し、生成した伝票データを通信装置30、31に送信して伝票を出力させる。また、会計装置50では、上記通信装置30、31により印刷された伝票に基づいて、来店客毎に会計処理を行い、会計処理の完了を示す情報を、コントローラ10に送信する。
【0039】
従来では、来店客の注文は業務端末40で入力される。業務端末40は無線ネットワークN1に接続するための通信設定を独自に設定することはなかった。しかし、近年ではスマートフォン等の個人端末42を使用することで、端末の単価を抑えることが多く、さらに個人端末42を店舗で独自に用意することが増えてきている。このため、通信設定を含めて、無線ネットワークN1に接続する方法も店舗の従業員が知ることができる反面、通信設定が更新されない問題、又は店舗の従業員によって通信設定が漏洩する問題がある。店舗の従業員には高齢者も多く、そのような従業員に通信設定を簡単に更新させることが可能な技術が求められる。
【0040】
本実施形態に係るコントローラ10は、無線ネットワークN1に接続するための通信設定を更新し、店舗内に設置される通信装置20、30、31に対し、更新後の通信設定を通知する機能を有する。
【0041】
続いて、コントローラ10のハードウェア構成例を説明する。
【0042】
図2は、コントローラ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0043】
図2に示すように、コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0044】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、無線ネットワークN1の設定を更新し、更新した設定を店舗内の機器に通知する設定更新プログラムが格納されている。
【0045】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0046】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0047】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0048】
通信インタフェース17は、店舗内の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0049】
上記の設定更新プログラムを実行する際に、コントローラ10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。コントローラ10が実現する機能構成について説明する。
【0050】
次に、コントローラ10の機能構成について説明する。
【0051】
図3は、コントローラ10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0052】
図3に示すように、コントローラ10は、機能構成として、設定生成部101、設定通知部102、設定提示部103及び設定反映部104を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された設定更新プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0053】
設定生成部101は、同一グループのネットワークN2及びN3上に存在するコントローラ10及び通信装置20、30、31に、業務端末40又は個人端末42が無線で接続するための通信設定を生成する。設定生成部101が生成する通信設定としては、例えばSSID(Service Set Identifier)及びパスフレーズがある。
【0054】
設定生成部101は、上記通信設定を周期的に更新して生成してもよく、通信設定を更新するためのイベントに応じて上記通信設定を更新して生成してもよい。
【0055】
設定生成部101は、例えば、店舗を管理する本部で生成されたSSID及びパスフレーズを通信設定としてもよく、日付をハッシュ化することでSSID及びパスフレーズを生成してもよい。また、設定生成部101は、SSID及びパスフレーズを生成する際、以前に生成したSSID及びパスフレーズから予測できない値を生成してもよい。
【0056】
設定通知部102は、設定生成部101が生成した上記通信設定を、通信装置20、30、31の各々に通知する。通信装置20、30、31は、設定通知部102からの通知に応じて通信設定を更新する。
【0057】
設定提示部103は、通信装置20、30、31の各々に無線で接続する業務端末40及び個人端末42に、設定生成部101が生成した通信設定を設定させるための設定情報を、通信装置20、30、31に提示させる。
【0058】
設定提示部103は、設定情報を提示させるためのイベントに応じて、設定生成部101が生成した設定情報を、通信装置20、30、31に提示させてもよい。設定提示部103は、設定情報を二次元コードで通信装置20、30、31に提示させてもよいし、設定情報を紙等の媒体に印刷させることによって通信装置20、30、31に提示させてもよい。また、設定提示部103は、厨房、ホール等に設置されるモニタに、設定生成部101が生成した設定情報を提示してもよい。
【0059】
設定反映部104は、通信装置20、30、31の各々に、設定生成部101が生成した上記通信設定を通知した後に、コントローラ10に上記通信設定を反映させる。
【0060】
Wi-Fi(登録商標)の無線機能では、セキュリティを高めるために802.1Xなどのクライアント認証を用いて端末に接続を許可する場合、証明書をインストールする必要があり手間がかかる。また、暗号化方式WPA(WPA2)-PSK等の簡易的なアクセス方法を用いた場合、端末にSSID及びパスフレーズを設定するが、SSID及びパスフレーズの設定情報が漏洩することにより、悪意のあるユーザにより不正アクセスされるおそれがある。また、上記設定情報を定期的に更新する場合でも、WPS(Wi-Fi(登録商標) Protected Setup)などの暗号化に関する簡素な設定機能に対応していない端末が多い。
【0061】
本実施形態に係るコントローラ10は、通信設定を所定のタイミングで生成し、生成した通信設定を通信装置20、30、31に通知する。そして、本実施形態に係るコントローラ10は、通知した通信設定を業務端末40及び個人端末42に設定させるための設定情報を、通信装置20、30、31に提示させる。
【0062】
続いて、業務端末40又は個人端末42のハードウェア構成例を説明する。
【0063】
図4は、業務端末40又は個人端末42のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0064】
図4に示すように、業務端末40又は個人端末42は、CPU401、ROM402、RAM403、ストレージ404、入力部405、表示部406及び通信インタフェース407を有する。各構成は、バス409を介して相互に通信可能に接続されている。
【0065】
CPU401は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU401は、ROM402またはストレージ404からプログラムを読み出し、RAM403を作業領域としてプログラムを実行する。CPU401は、ROM402またはストレージ404に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM402またはストレージ404には、無線ネットワークN1の設定を取得し、取得した設定を更新する設定更新プログラムが格納されている。
【0066】
ROM402は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM403は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ404は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0067】
入力部405は、キーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。また入力部405として、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサ等の撮像素子を備えた撮像装置が備えられていてもよい。
【0068】
表示部406は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部406は、タッチパネル方式を採用して、入力部405として機能しても良い。
【0069】
通信インタフェース407は、店舗内の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえばWi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0070】
上記の設定更新プログラムを実行する際に、業務端末40又は個人端末42は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。業務端末40又は個人端末42が実現する機能構成について説明する。
【0071】
次に、業務端末40又は個人端末42の機能構成について説明する。
【0072】
図5は、業務端末40又は個人端末42の機能構成の例を示すブロック図である。
【0073】
図5に示すように、業務端末40又は個人端末42は、機能構成として、設定入力部411及び設定更新部412を有する。
【0074】
設定入力部411は、コントローラ10によって更新された通信設定を業務端末40又は個人端末42に設定させるために、通信装置20、30、31が提示する設定情報を入力する。設定入力部411は、数字及び文字からなる設定情報を入力してよく、撮像装置が設定情報として二次元コードを読み取り、読み取った結果から得られる設定情報を入力してもよい。
【0075】
設定更新部412は、設定入力部411が入力した設定情報に基づいて、通信設定を更新する。設定更新部412が、設定入力部411が入力した設定情報に基づいて、通信設定を更新することで、業務端末40又は個人端末42は、更新後の通信設定により、無線ネットワークN1で通信装置20、30、31と無線通信することができる。
【0076】
次に、コントローラ10の作用について説明する。
【0077】
図6は、コントローラ10による設定更新処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から設定更新プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、設定更新処理が行なわれる。
【0078】
CPU11は、通信設定を周期的に更新する場合、定期更新の設定を実行する(ステップS101)。定期更新の設定により、タイマイベントが発生する。タイマイベントには、例えば毎月1日、毎週月曜日、毎月第2金曜日等の任意の日又は曜日が指定されうる。
【0079】
ステップS101に続いて、CPU101は、定期更新の設定があるかどうか判定する(ステップS102)。ステップS102の判定の結果、定期更新の設定があれば(ステップS102;Yes)、CPU101は、タイマイベントの設定を実行する(ステップS103)。ステップS102の判定の結果、定期更新の設定がなければ(ステップS102;No)、CPU101はステップS103の処理をスキップする。
【0080】
続いてCPU101は、通信設定の更新イベントの発生を待機する(ステップS104)。
【0081】
CPU101は、通信設定の更新イベントが発生すると、発生した更新イベントが、コントローラ10、通信装置20、30、31、業務端末40、個人端末42、会計装置50等の機器からの要求によるイベント(機器イベント)であるか、又はタイマイベントであるかを判定する(ステップS105)。
【0082】
ステップS105の判定の結果、発生した更新イベントが機器イベントであれば、CPU101は、機器からの更新イベントを発生させる(ステップS106)。ステップS106に続いて、CPU101は、無線ネットワークN1の設定として、SSID及びパスフレーズの組からなるWi-Fi情報を設定する(ステップS107)。
【0083】
ステップS105の判定の結果、発生した更新イベントがタイマイベントであれば、CPU101は、タイマによる更新イベントを発生させる(ステップS108)。ステップS108に続いて、CPU101は、Wi-Fi情報の更新を許可するよう設定された許可用機器へ、Wi-Fi情報の更新前に問い合わせを実施するよう設定されているかどうか判定する(ステップS109)。Wi-Fi情報の更新を許可するよう設定された許可用機器は、例えば注文管理システム1が設置された店舗の店長が所有している業務端末40である。
【0084】
ステップS109の判定の結果、問い合わせを実施するよう設定されていなければ(ステップS109;No)、CPU101は、ステップS107のWi-Fi情報の設定を実行する。一方、ステップS109の判定の結果、問い合わせを実施するよう設定されていれば(ステップS109;Yes)、CPU101は、続いて、許可用機器へWi-Fi情報を更新するかどうか問い合わせる(ステップS110)。
【0085】
ステップS110に続いて、CPU101は、問い合わせの結果がWi-Fi情報の更新要求か、又は処理のキャンセルであるか判定する(ステップS111)。
【0086】
ステップS111の判定の結果、問い合わせの結果がWi-Fi情報の更新要求である場合には、CPU101は、ステップS107のWi-Fi情報の設定を実行する。一方、ステップS111の判定の結果、問い合わせの結果が処理のキャンセルである場合には、CPU101は、ステップS102の定期更新の設定の有無の判定に戻る。
【0087】
ステップS107のWi-Fi情報の設定を実行すると、続いて、CPU101は、設定したWi-Fi情報を通信装置20、30、31へ通知する(ステップS112)。
【0088】
図7は、Wi-Fi情報がコントローラ10から通信装置20、30、31へ通知される様子を示す図である。有線ネットワークN2又は無線ネットワークN3によって、コントローラ10からWi-Fi情報が通信装置20、30、31へ通知される。
【0089】
有線ネットワークN2に接続された通信装置20、30については、起動時、またWi-Fi情報の更新時にコントローラ10と通信してWi-Fi情報を取得する。無線ネットワークN3に接続された通信装置31は、業務端末40及び個人端末42とは異なるWi-Fi情報で無線ネットワークN3と接続されている。すなわち、通信装置31は、複数の無線インタフェースを持っている。このため、通信装置31は、無線ネットワークN3を通じて業務端末40及び個人端末42用のWi-Fi情報を取得することができる。
【0090】
ステップS112に続いて、CPU101は、ステップS107で設定したWi-Fi情報で自装置のWi-Fi情報を更新する。また、通信装置20、30、31も、取得したWi-Fi情報に基づき、自動的にWi-Fi情報を更新する(ステップS113)。
【0091】
ステップS113で自装置及び通信装置20、30、31のWi-Fi情報を更新すると、ステップS102の定期更新の設定の有無の判定に戻る。
【0092】
業務端末40及び個人端末42が常に無線通信で店舗内の装置と接続している場合には、業務端末40及び個人端末42は、通信装置31と同様に更新されたWi-Fi情報を取得することは可能である。しかし、Wi-Fi情報を自動更新する場合、既に店舗を辞めた従業員が持っていた個人端末42などの、更新する必要がない端末に対しても自動更新する可能性がある。
【0093】
従って、業務端末40及び個人端末42は、Wi-Fi情報を自動更新ではなく手動更新することが望ましい。Wi-Fi情報の設定を手動更新する場合、業務端末40及び個人端末42のユーザは、無線ネットワークN1に接続するため、SSID及びパスフレーズを業務端末40及び個人端末42に追加する必要がある。SSID及びパスフレーズを簡単に入力できるようにするため、通信装置30、31は、SSID及びパスフレーズからなるWi-Fi情報を含んだ二次元コードを出力する。二次元コードの出力は、ユーザが通信装置30、31を操作することによって行われてもよく、コントローラ10からの指示により行われてもよい。業務端末40及び個人端末42は、二次元コードを撮像装置で読み取ることでWi-Fi情報を設定する。
【0094】
具体的なユースケースを示す。
図8は、本発明の実施形態に係る注文管理システム1の一部の構成を示す図である。
図8は、コントローラ10が生成したWi-Fi情報で通信装置30のWi-Fi情報が更新された後の状態を示している。ここで、個人端末42が、更新前のWi-Fi情報を用いて無線ネットワークN1aに接続を試みた場合、通信装置30のWi-Fi情報が更新されているので、個人端末42は通信装置30に接続することができない。
【0095】
そこで、ユーザは、通信装置30を操作して、又はコントローラ10から指示させて、SSID及びパスフレーズからなるWi-Fi情報を含んだ二次元コードを出力させる。
図9は、本発明の実施形態に係る注文管理システム1の一部の構成を示す図である。
図9は、二次元コード71が印刷された紙70が通信装置30から出力されている状態を示している。個人端末42は、撮像装置(図示せず)で二次元コード71を読み取ることで、更新後のWi-Fi情報を設定することができる。
【0096】
図10は、本発明の実施形態に係る注文管理システム1の一部の構成を示す図である。
図10は、コントローラ10が生成したWi-Fi情報で通信装置30のWi-Fi情報が更新された後の状態を示している。個人端末42が、更新後のWi-Fi情報を用いて無線ネットワークN1bに接続を試みた場合、個人端末42は通信装置30に接続することができるようになる。
【0097】
業務端末40及び個人端末42は、従業員が注文を登録するために常時持ち歩くことなどから、故障して、交換することも多い。このため、交換した業務端末40及び個人端末42に対してWi-Fi情報を登録する際にも、通信装置30、31から出力する二次元コードによる設定ができる。このため、店舗における業務端末40及び個人端末42の保守作業が非常に容易になり、無線LANの仕組みを導入するコストを低減できる。
【0098】
なお、通信装置30、31によるWi-Fi情報を含んだ二次元コードの出力、又はWi-Fi情報の設定値自体の表示は、予め権限を有する従業員のみが実行できるようにしてもよい。例えば、店長等の権限を有する従業員のみが知るパスワードを通信装置30、31に入力することで、二次元コードの出力、又は設定値自体の表示が可能となるようにしてもよい。また例えば、店長等の権限を有する従業員のみが携帯する業務端末40から通信装置30、31に対して二次元コードの出力指示を送信できるようにしてもよい。
【0099】
また、店長等の権限を有する従業員のみが携帯する業務端末40の画面に、Wi-Fi情報を含んだ二次元コードを提示してもよい。権限を有する従業員のみが携帯する業務端末40の画面に二次元コードを提示させることで、Wi-Fi情報の漏洩が抑えられる。
【0100】
また、Wi-Fi情報を更新するイベントは、店長等の権限のある者による業務端末40等の操作でのみ発生可能としてもよい。
【0101】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した設定更新処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、設定更新処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0102】
また、上記各実施形態では、設定更新処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 注文管理システム
10 コントローラ
20、30、31 通信装置
40 業務端末
42 個人端末
50 会計装置
60 中継装置