(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-08
(45)【発行日】2023-12-18
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20231211BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20231211BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20231211BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20231211BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20231211BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/50 201Z
H01M50/55 301
H01M50/557
H01M50/562
(21)【出願番号】P 2020048256
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 成人
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-185733(JP,A)
【文献】特開2020-170619(JP,A)
【文献】特開2012-221804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0281681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池と、
前記第1電池に積層されている第2電池と、
前記第1電池と反対側で前記第2電池に積層されている第3電池と、を備えている電池モジュールの製造方法であって、
前記第1電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から延びている長タブと、を備えており、
前記第2電池は、前記第1電池本体に積層されている第2電池本体と、前記第2電池本体から延びている長タブと、前記第2電池本体から延びている短タブと、を備えており、
前記第3電池は、前記第2電池本体に積層されている第3電池本体と、前記第3電池本体から延びている短タブと、を備えており、
前記第1電池本体から延びている前記長タブの長さは、前記第2電池本体から延びている前記短タブの長さよりも長く、
前記第2電池本体から延びている前記長タブの長さは、前記第3電池本体から延びている前記短タブの長さよりも長く、
前記第1電池の前記長タブが前記第2電池の前記短タブに接合される第1接合工程と、
前記第1接合工程の後に、前記第1電池の前記長タブが折り曲げられることにより前記第1電池本体が前記第2電池本体に積層される第1折り曲げ工程と、
前記第1折り曲げ工程の後に、前記第2電池の前記長タブが前記第3電池の前記短タブに接合される第2接合工程と、
前記第2接合工程の後に、前記第2電池の前記長タブが折り曲げられることにより前記第2電池本体が前記第3電池本体に積層される第2折り曲げ工程と、を備えている、電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1折り曲げ工程の後では、
前記第1電池の前記長タブは、前記第1電池本体から第1方向に延びてから前記第1方向と反対方向に折り曲げられており、
前記第2電池の前記短タブは、前記第2電池本体から前記第1方向に延びており、
前記第2折り曲げ工程の後では、
前記第2電池の前記長タブは、前記第2電池本体から第1方向に延びてから前記第1方向と反対方向に折り曲げられており、
前記第3電池の前記短タブは、前記第3電池本体から前記第1方向に延びている、電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項
2に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1電池は、前記第1電池本体から前記第1方向に延びてから前記第2電池と反対側に折り曲げられている屈曲タブを更に備えている、電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1電池の前記長タブは、銅系金属から構成されている、電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1電池の前記長タブは、アルミニウム系金属から構成されている、電池モジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1折り曲げ工程の後では、前記第1電池の前記長タブの先端部は、前記第2電池の前記短タブよりも前記第1電池側に位置している、電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1折り曲げ工程の後では、前記第1電池の前記長タブの先端部は、前記第2電池の前記短タブよりも前記第1電池と反対側に位置している、電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1電池の前記長タブの折り曲げられる部分に前記長タブの幅方向及び/又は厚み方向に延びる溝部が設けられている、電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電池モジュールの製造方法であって、
前記第1接合工程の後に、接合されている前記第1電池の前記長タブと前記第2電池の前記短タブとを絶縁材で被覆する被覆工程を更に備えている、電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に電池モジュールが開示されている。特許文献1の電池モジュールは、第1電池と、第1電池に積層されている第2電池とを備えている。特許文献1の電池モジュールでは、第1電池の正極タブと、第2電池の負極タブとが、接続部材によって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電池モジュールでは、第1電池の正極タブと第2電池の負極タブとが接続部材によって接続されているので部材数が多くなると共に構成が複雑になる。そこで本明細書は、複数の電池を簡潔な構成で秩序良く積層することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する電池モジュールは、第1電池と、前記第1電池に積層されている第2電池と、を備えていてもよい。前記第1電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から第1方向に延びてから前記第1方向と反対方向に折り曲げられている長タブと、を備えていてもよい。前記第2電池は、前記第1電池本体に積層されている第2電池本体と、前記第2電池本体から前記第1方向に延びている短タブと、を備えていてもよい。前記第1電池本体から延びている前記長タブの長さは、前記第2電池本体から延びている前記短タブの長さよりも長くてもよい。前記第1電池の前記長タブは、折り曲げられている部分よりも先端側の部分で前記第2電池の前記短タブに接合されていてもよい。
【0006】
この構成によれば、第1電池と第2電池が積層されている構成において、第1電池の長タブと第2電池の短タブとを接合するための別途の接合部材が必要ないので、簡潔な構成で第1電池と第2電池を積層することができる。また、第1電池の長タブと第2電池の短タブのうち、長い方の長タブが折り曲げられた状態で第1電池本体と第2電池本体が積層されているので、第1電池本体と第2電池本体を秩序良く積層することができる。即ち、仮に短い方の短タブが折り曲げられた場合は、第1電池本体と第2電池本体が積層されたときに、長タブと短タブの長さの違いにより、第1電池本体の位置と第2電池本体の位置が第1方向にずれることが考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、第1電池本体の位置と第2電池本体の位置が第1方向にずれることを抑制できる。以上より、複数の電池を簡潔な構成で秩序良く積層することができる。
【0007】
前記第1電池は、前記第1電池本体から前記第1方向に延びてから前記第2電池と反対側に折り曲げられている屈曲タブを更に備えていてもよい。
【0008】
この構成によれば、屈曲タブが第2電池と反対側に折り曲げられているので、屈曲タブの先端部が第1電池と第2電池が積層されている方向の外側に延びることになる。そのため、屈曲タブに例えば出力端子を容易に接続することができる。出力端子を介して電池モジュールと例えばモータ等の電力供給先とを電気的に接続することができる。
【0009】
前記第1電池の前記長タブは、銅系金属から構成されていてもよい。
【0010】
銅系金属は電気伝導率が高いので、長タブが銅系金属から構成されている場合には長タブの断面積が小さくても電気伝導率を確保することができる。そのため、第1電池の長タブの厚みを薄くすることができる。これによって第1電池の長タブを折り曲げ易くすることができる。
【0011】
前記第1電池の前記長タブは、アルミニウム系金属から構成されていてもよい。
【0012】
アルミニウム系金属は比重が小さいので、長タブがアルミニウム系金属から構成されている場合には長タブの重量を軽くすることができる。長タブと短タブを備える電池モジュールにおいて長タブの重量を軽くすることができるので、電池モジュール全体としての重量を軽くすることができる。また、アルミニウム系金属を利用することによりコストを抑制することもできる。
【0013】
前記第1電池の前記長タブの先端部は、前記第2電池の前記短タブよりも前記第1電池側に位置していてもよい。
【0014】
この構成によれば、折り曲げられている長タブが元の折り曲げられていない状態に復元しようとする弾性力によって長タブの先端部が短タブを押圧する。これによって、長タブと短タブとの接合強度を高めることができる。
【0015】
前記第1電池の前記長タブの先端部は、前記第2電池の前記短タブよりも前記第1電池と反対側に位置していてもよい。
【0016】
この構成によれば、長タブを折り曲げるときに短タブの先端を起点として折り曲げることができる。そのため、長タブを折り曲げ易くすることができる。
【0017】
前記第1電池の前記長タブの折り曲げられている部分に前記長タブの幅方向及び/又は厚み方向に延びる溝部が設けられていてもよい。
【0018】
この構成によれば、溝部の存在によって長タブを折り曲げ易くすることができる。
【0019】
上記の電池モジュールは、接合されている前記第1電池の前記長タブと前記第2電池の前記短タブとを被覆する絶縁材を更に備えていてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1電池の長タブと第2電池の短タブを外部から絶縁することができる。
【0021】
上記の電池モジュールは、前記第1電池と反対側で前記第2電池に積層されている第3電池を更に備えていてもよい。前記第2電池は、前記第2電池本体から前記第1方向に延びてから前記第1方向と反対方向に折り曲げられている長タブを備えていてもよい。前記第3電池は、前記第2電池本体に積層されている第3電池本体と、前記第3電池本体から前記第1方向に延びている短タブと、を備えていてもよい。前記第2電池本体から延びている前記長タブの長さは、前記第3電池本体から延びている前記短タブの長さよりも長くてもよい。前記第2電池の前記長タブは、折り曲げられている部分よりも先端側の部分で前記第3電池の前記短タブに接合されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、上記と同様に複数の電池を簡潔な構成で秩序良く積層することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図6】実施例の電池モジュールの製造方法を示す斜視図である。
【
図7】実施例の電池モジュールの製造方法を示す平面図である。
【
図9】変形例の第1電池の第1長タブの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施例の電池モジュール1について図面を参照して説明する。
図1は、実施例の電池モジュール1の斜視図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
図3は、
図1のIII-III断面図である。
図1から
図3に示すように、電池モジュール1は、第1電池10と第2電池20を備えている。第1電池10と第2電池20はZ方向に積層されている。電池モジュール1は、第1電池10と第2電池20だけでなく、第3電池30(
図2及び
図3参照)を更に備えていてもよい。また、電池モジュール1は、更に複数の電池を備えていてもよい。複数の電池がZ方向に積層されている。第1電池10と第2電池20を含む複数の電池は、直列接続されている。本実施例では、複数の電池のうち第1電池10と第2電池20に着目して説明する。
【0025】
(第1電池10の構成)
第1電池10の構成について説明する。第1電池10は、Z方向に積層されている複数の電池のうちで、積層方向の最も外側(図面では下側)に位置している電池である。第1電池10は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池である。第1電池10は、第1電池本体11と、第1電池本体11からY方向正方向(第1方向の一例)に延びている複数のタブ(第1長タブ12(
図2参照)及び第1短タブ13(
図3参照))とを備えている。第1長タブ12と第1短タブ13は、X方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0026】
第1電池本体11は、扁平に構成されている。第1電池本体11の上面部と下面部は、第1電池本体11の他の側面部と比較して十分に面積が大きい。第1電池本体11は、第1外装体15と、第1外装体15に収容されている第1発電要素16とを備えている。第1外装体15は、例えば樹脂製のラミネートフィルムから構成されている。複数のラミネートフィルムが熱溶着によって貼り合わされることにより第1外装体15が構成されている。変形例では、第1外装体15が金属から構成されていてもよい。第1外装体15には、第1発電要素16と電解液が収容されている。
【0027】
第1発電要素16は、複数の正極、複数の負極、及び複数のセパレータを備えている(いずれも図示省略)。各正極は、例えばLiCoO2等の正極活物質を含む材料から構成されている。各正極には、例えばアルミニウム(Al)箔等の正極集電体が積層されている。各負極は、例えば炭素(C)等の負極活物質を含む材料から構成されている。各負極には、例えば銅(Cu)箔等の負極集電体が積層されている。各セパレータは、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂を含む材料から構成されている。なお、第1発電要素16の構成及び発電メカニズムについては、よく知られているので詳細な説明を省略する。
【0028】
(第1長タブ12の構成)
第1長タブ12の構成について説明する。第1長タブ12は、例えばアルミニウム系金属から板状に構成されている。
図2に示すように、第1長タブ12は、第1外装体15に収容されている第1発電要素16に電気的に接続されている。より詳細には、第1長タブ12の基端部55(図示省略)が第1外装体15の内部に配置されており、その基端部55が第1発電要素16に電気的に接続されている。第1長タブ12の基端部55は、第1発電要素16の複数の正極のそれぞれに積層されている複数の正極集電体(例えばアルミニウム箔)に接続されている。第1発電要素16で発電された電気が複数の正極集電体を介して第1長タブ12に伝達される。第1長タブ12は第1電池10の正極タブである。
【0029】
図2及び
図4に示すように、第1長タブ12のうち第1外装体15の外部に露出している部分は、第1電池本体11からY方向正方向に延びた後に屈曲部50で折り曲げられている。第1長タブ12は、第1電池10に積層されている第2電池20側に折り曲げられている。第1長タブ12は、屈曲部50においてY方向正方向と反対方向(Y方向負方向)に折り曲げられている。第1長タブ12のうち屈曲部50よりも先端側にある先端部51は、Y方向負方向に延びている。第1長タブ12の先端部51は、基端部55よりも第2電池20側に位置している。第1長タブ12の先端部51は、後述する第2電池20の第2短タブ23に接合されている。
【0030】
(第1短タブ13の構成)
第1短タブ13の構成について説明する。第1短タブ13は、例えば銅(Cu)等の金属材料から板状に構成されている。
図3に示すように、第1短タブ13は、第1外装体15に収容されている第1発電要素16に電気的に接続されている。より詳細には、第1短タブ13の基端部56が第1外装体15の内部に配置されており、その基端部56が第1発電要素16に電気的に接続されている。第1短タブ13の基端部56は、第1発電要素16の複数の負極のそれぞれに積層されている複数の負極集電体(例えば銅箔)に接続されている。第1発電要素16で発電された電気が複数の負極集電体を介して第1短タブ13に伝達される。第1短タブ13は第1電池10の負極タブである。
【0031】
第1短タブ13のうち第1外装体15の外部に露出している部分は、第1電池本体11からY方向正方向に延びた後に屈曲部52で折り曲げられている(
図3参照)。第1短タブ13は、屈曲部52で第2電池20と反対側に折り曲げられている。第1短タブ13の屈曲部52は、複数の電池10、20、30の積層方向の外側に向けて折り曲げられている。第1短タブ13のうち屈曲部52よりも先端側にある先端部53は、Z方向負方向に延びている。第1短タブ13の先端部53は、例えば、出力端子に接続される。第1短タブ13の先端部53は、出力端子を介して電力供給先(例えば、モータ等)に電気的に接続される。これによって、電池モジュール1の複数の電池10、20、30で発電された電力が電力供給先(例えば、モータ)に供給される。以下では、第1短タブ13を屈曲タブ13と呼ぶ場合がある。
【0032】
(第2電池20の構成)
第2電池20の構成について説明する。第2電池20は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池である。第2電池20は、第2電池本体21と、第2電池本体21からY方向正方向に延びている複数のタブ(第2長タブ22(
図3参照)及び第2短タブ23(
図2参照))とを備えている。第2長タブ22と第2短タブ23は、X方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0033】
第2電池本体21は、扁平に構成されている。第2電池本体21の上面部と下面部は、第2電池本体21の他の側面部と比較して十分に面積が大きい。第2電池本体21は、Z方向正方向において第1電池本体11に積層されている。第2電池本体21は、第2外装体25と、第2外装体25に収容されている第2発電要素26とを備えている。第2外装体25は、例えば樹脂製のラミネートフィルムから構成されている。複数のラミネートフィルムが熱溶着によって貼り合わされることにより第2外装体25が構成されている。変形例では、第2外装体25が金属から構成されていてもよい。第2外装体25には、第2発電要素26と電解液が収容されている。
【0034】
第2電池20の第2発電要素26の構成は、上述した第1電池10の第1発電要素16の構成と同様である。よって、第2発電要素26の構成については詳細な説明を省略する。
【0035】
(第2長タブ22の構成)
第2長タブ22の構成について説明する。第2長タブ22は、例えばアルミニウム(Al)等の金属材料から板状に構成されている。
図3に示すように、第2長タブ22は、第2外装体25に収容されている第2発電要素26に電気的に接続されている。より詳細には、第2長タブ22の基端部65が第2外装体25の内部に配置されており、その基端部65が第2発電要素26に電気的に接続されている。第2長タブ22の基端部65は、第2発電要素26の複数の正極のそれぞれに積層されている複数の正極集電体(例えばアルミニウム箔)に接続されている。第2発電要素26で発電された電気が複数の正極集電体を介して第2長タブ22に伝達される。第2長タブ22は第2電池20の正極タブである。
【0036】
図3及び
図5に示すように、第2長タブ22のうち第2外装体25の外部に露出している部分は、第2電池本体21からY方向正方向に延びた後に屈曲部60で折り曲げられている。第2長タブ22は、第2電池20に積層されている第3電池30側に折り曲げられている。第3電池30は、第1電池10と反対側で第2電池20に積層されている。第2長タブ22は、屈曲部60においてY方向正方向と反対方向(Y方向負方向)に折り曲げられている。第2長タブ22のうち屈曲部60よりも先端側にある先端部61は、Y方向負方向に延びている。第2長タブ22の先端部61は、基端部65よりも第3電池30側に位置している。第2長タブ22の先端部61は、第3電池30の第3短タブ33に接合されている。第3電池30の第3短タブ33の構成は、後述する第2電池20の第2短タブ23の構成と同様である。よって、詳細な説明を省略する。
【0037】
(第2短タブ23の構成)
第2短タブ23の構成について説明する。第2短タブ23は、例えば銅(Cu)等の金属材料から板状に構成されている。
図2に示すように、第2短タブ23は、第2外装体25に収容されている第2発電要素26に電気的に接続されている。より詳細には、第2短タブ23の基端部66が第2外装体25の内部に配置されており、その基端部66が第2発電要素26に電気的に接続されている。第2短タブ23の基端部66は、第2発電要素26の複数の負極のそれぞれに積層されている複数の負極集電体(例えば銅箔)に接続されている。第2発電要素26で発電された電気が複数の負極集電体を介して第2短タブ23に伝達される。第2短タブ23は第2電池20の負極タブである。
【0038】
第2短タブ23のうち第2外装体25の外部に露出している部分は、第2電池本体21からY方向正方向に延びている。第2短タブ23のうち第2外装体25の外部に露出している部分の長さ(即ち、第2電池本体21から延びている第2短タブ23の長さ)は、第1長タブ12のうち第1外装体15の外部に露出している部分の長さ(即ち、第1電池本体11から延びている第1長タブ12の長さ)よりも短い。つまり、第1電池本体11から延びている第1長タブ12の長さは、第2電池本体21から延びている第2短タブ23の長さよりも長い。
【0039】
第2短タブ23の先端部63は、第1電池10の第1長タブ12の先端部51に接合されている。第2短タブ23の第1電池10側の側面が第1電池10の第1長タブ12の先端部51に接合されている。第2短タブ23の先端部63は、第1長タブ12の先端部51よりも第2電池20側に配置されている(第1長タブ12の先端部51は、第2短タブ23よりも第1電池10側に配置されている)。第2短タブ23の先端部63は、例えば超音波接合やレーザ溶接によって第1電池10の第1長タブ12に接合されている。第1電池10の第1長タブ12と第2電池20の第2短タブ23とが接合されることによって、第1電池10と第2電池20が直列接続される。
【0040】
第1電池10の第1長タブ12と、第2電池20の第2短タブ23とは、第1絶縁材71によって被覆されている。第1絶縁材71は、例えばカプトン(登録商標)テープである。第1長タブ12の全体及び第2短タブ23の全体が第1絶縁材71によって被覆されている。第2電池20の第2短タブ23と、第1電池10の第1長タブ12の屈曲部50よりも基端部55側の部分との間にも第1絶縁材71が介在している。第1長タブ12の屈曲部50の内側及び外側の面が第1絶縁材71によって被覆されている。
【0041】
第2電池20の第2長タブ22と、第3電池30の第3短タブ33とは、第2絶縁材72によって被覆されている。第2絶縁材72は、例えばカプトン(登録商標)テープである。第2長タブ22の全体及び第3短タブ33の全体が第2絶縁材72によって被覆されている。第3電池30の第3短タブ33と、第2電池20の第2長タブ22の屈曲部60よりも基端部65側の部分との間にも第2絶縁材72が介在している。第2長タブ22の屈曲部60の内側及び外側の面が第2絶縁材72によって被覆されている。
【0042】
(第3電池30の構成)
第3電池30の構成は、第1短タブ13の構成を除いて上述した第1電池10の構成と同様である。第3電池30の第3電池本体31と第3長タブ32は、第1電池10の第1電池本体11と第1長タブ12の構成と同様である。第1電池10の第1短タブ13はZ方向に折り曲げられているが、第3電池30の第3短タブ33は折り曲げられていない。第3電池30の第3短タブ33は、上述した第2電池20の第2短タブ23と同様の構成である。第2電池20と第3電池30の関係は、第1電池10と第2電池20の関係と同様である。第2電池20の第2長タブ22が、第3電池30の第3短タブ33に接合されている(
図3及び
図5参照)。第2電池本体21から延びている第2長タブ22の長さは、第3電池本体31から延びている第3短タブ33の長さよりも長い。なお、第3電池30の第3長タブ32は、第4電池の第4短タブに接合されている(図示省略)。複数の電池が積層された状態で直列接続されている。
【0043】
(電池モジュール1の製造方法)
電池モジュール1の製造方法について説明する。
図6は、電池モジュール1の製造方法を示す斜視図である。
図7は、電池モジュール1の製造方法を示す平面図である。
図8は、
図6のVIII-VIII断面図である。
【0044】
(第1工程)
電池モジュール1の製造方法は、第1電池10の第1長タブ12と第2電池20の第2短タブ23とを接合する第1工程を備えている。第1工程では、
図6から
図8に示すように、第1電池10の第1長タブ12が折り曲げられていない状態で、第1電池10の第1長タブ12と、第2電池20の第2短タブ23とを接合する。より詳細には、第1電池10の第1長タブ12が第1電池本体11からY方向正方向に延び、第2電池20の第2短タブ23が第2電池本体21からY方向負方向に延びる状態で、第1長タブ12の先端部51と、第2短タブ23の先端部63とを重ね合わせて両者を接合する。例えば、超音波接合やレーザ溶接によって第1長タブ12の先端部51と、第2短タブ23の先端部63とを接合する。
第1長タブ12と第2短タブ23とを接合するときには、第1電池10の第1外装体15に設けられている複数の第1貫通孔17と、第2電池20の第2外装体25に設けられている複数の第2貫通孔27とに、位置決め用のピンが挿入されていてもよい。第1外装体15の四隅のそれぞれに、位置決め用の第1貫通孔17が設けられている。また、第2外装体25の四隅のそれぞれに、位置決め用の第2貫通孔27が設けられている。
第1長タブ12と第2短タブ23とを超音波接合によって接合する場合は、第1長タブ12の先端部51と、第2短タブ23の先端部63とを積層方向に加圧した状態で、第1長タブ12と第2短タブ23に超音波振動を付与する。超音波接合では、例えばホーンやアンビルが用いられる。なお、超音波接合やレーザ溶接についてはよく知られているので詳細な説明を省略する。
【0045】
(第2工程)
電池モジュール1の製造方法は、上記の第1工程の後に、接合された第1電池10の第1長タブ12と第2電池20の第2短タブ23とを第1絶縁材71で被覆する第2工程を備えている。第1長タブ12と第2短タブ23が外部に露出しないように両者に第1絶縁材71(例えばカプトン(登録商標)テープ)を貼り付ける。
【0046】
(第3工程)
電池モジュール1の製造方法は、上記の第2工程の後に、第1電池10の第1長タブ12を折り曲げる第3工程を備えている。より詳細には、
図6及び
図8に矢印で示すように、第1電池本体11と第2電池本体21とが互いに接近するように、第1電池本体11と第2電池本体21との間で第1長タブ12を折り曲げる。第1長タブ12を屈曲部50で折り曲げる。第1長タブ12を折り曲げるときは、第1長タブ12の屈曲部50を折り曲げ用のクランプで挟持してもよい。第1長タブ12を折り曲げることによって、第1電池本体11と第2電池本体21がZ方向に積層される(
図1から
図3参照)。
【0047】
(その後の工程)
電池モジュール1の製造方法は、上記の第3工程の後に、第2電池20の第2長タブ22と第3電池30の第3短タブ33とを接合する工程を備えている。この工程は、上述した第1工程と同様の工程である。よって、詳細な説明を省略する。また、電池モジュール1の製造方法は、接合された第2電池20の第2長タブ22と第3電池30の第3短タブ33とを第2絶縁材72で被覆する工程を備えている。この工程は、上述した第2工程と同様の工程である。よって、詳細な説明を省略する。また、電池モジュール1の製造方法は、第2電池20の第2長タブ22を折り曲げる工程を備えている。この工程は、上述した第3工程と同様の工程である。よって、詳細な説明を省略する。
【0048】
電池モジュール1が更に複数の電池を備えている場合は、上述した工程を同様の工程によって、一方の電池の長タブと他方の電池の短タブとを接合し、その後に一方の電池の長タブを折り曲げる。以上の工程によって電池モジュール1が製造される。
【0049】
[効果]
以上、実施例の電池モジュール1について説明した。上記の説明から明らかなように、電池モジュール1では、第1電池10の第1電池本体11と、第2電池20の第2電池本体21とが積層されている。第1電池10は、第1電池本体11からY方向正方向に延びてからY方向負方向に折り曲げられている第1長タブ12を備えている。第2電池20は、第2電池本体21からY方向正方向に延びている第2短タブ23を備えている。第1電池本体11から延びている第1長タブ12の長さは、第2電池本体21から延びている第2短タブ23の長さよりも長い。第1長タブ12は、折り曲げられている部分(屈曲部50)よりも先端側の部分で第2短タブ23に接合されている。
【0050】
この構成によれば、第1電池10の第1長タブ12と第2電池20の第2短タブ23とを接合するための別途の接合部材が必要ないので、簡潔な構成で第1長タブ12と第2短タブ23を接合することができる。第1電池10の第1電池本体11と、第2電池20の第2電池本体21とが積層される構成では、従来では第1長タブ12と第2短タブ23を接合するための接合部材が必要であった。これに比べて上記の構成によれば、第1電池本体11と第2電池本体21が積層される構成において、簡潔な構成で第1長タブ12と第2短タブ23を接合することができる。
【0051】
また、上記の構成によれば、互いに接合される第1長タブ12と第2短タブ23のうち、長い方の第1長タブ12が折り曲げられることによって第1電池本体11と第2電池本体21が積層されるので、第1電池本体11と第2電池本体21を秩序良く積層することができる。比較例として、仮に短い方の第2短タブ23が折り曲げられることによって第1電池本体11と第2電池本体21が積層されると、第1電池本体11の位置と第2電池本体21の位置とがY方向に相対的に位置ずれすることになる。これに対して、上記の構成によれば、第1電池本体11の位置と第2電池本体21の位置とがY方向に相対的に位置ずれすることを抑制することができる。
【0052】
以上より、上記の電池モジュール1によれば、複数の電池(第1電池10及び第2電池20)を簡潔な構成で秩序良く積層することができる。また、電池モジュール1は、第2電池20に積層されている第3電池30を備えている。第2電池20と第3電池30の関係は、第1電池10と第2電池20の関係と同様である。そのため、第2電池20と第3電池30も簡潔な構成で秩序良く積層することができる。電池モジュール1が更に複数の電池を備えている場合であっても、同様に複数の電池を簡潔な構成で秩序良く積層することができる。
【0053】
上記の電池モジュール1では、第1電池10が、第1電池本体11からY方向正方向に延びてから第2電池20と反対側(Z方向負方向)に折り曲げられている屈曲タブ13(第1短タブ13)を備えている。この構成によれば、屈曲タブ13が第2電池20と反対側に折り曲げられているので、屈曲タブ13の先端部53が第1電池10と第2電池20の積層方向の外側に向けて延びる状態になる。これによって、屈曲タブ13の先端部53を例えば出力端子に容易に接続することができる。出力端子を介して屈曲タブ13を例えばモータ等の電力供給先に電気的に接続することができる。
【0054】
上記の電池モジュール1では、第1電池10の第1長タブ12及び第2電池20の第2長タブ22がアルミニウム系金属から構成されている。アルミニウム系金属は比重が小さいので、第1長タブ12及び第2長タブ22がアルミニウム系金属から構成されている場合には第1長タブ12及び第2長タブ22の重量を軽くすることができる。第1長タブ12及び第2長タブ22の重量を軽くすることによって電池モジュール1全体としての重量を軽くすることができる。また、第1長タブ12及び第2長タブ22にアルミニウム系金属を用いることによりコストを抑制することもできる。
【0055】
第1電池10の第1長タブ12の先端部51は、第2電池20の第2短タブ23よりも第1電池10側に位置している。この構成によれば、折り曲げられている第1長タブ12が元の折り曲げられていない状態に復元しようとする弾性力によって第1長タブ12の先端部51が第2短タブ23を押圧する状態になる。これによって、第1長タブ12の先端部51が第2短タブ23に密着するので、第1長タブ12と第2短タブ23との接合強度を高めることができる。第2電池20の第2長タブ22の先端部61と、第3電池30の第3短タブ33との関係についても同様である。
【0056】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
(変形例)
(1)第1電池10の第1長タブ12及び第2電池20の第2長タブ22は、例えば銅系金属から構成されていてもよい。銅系金属は電気伝導率が高いので、第1長タブ12及び第2長タブ22が銅系金属から構成されている場合には、第1長タブ12及び第2長タブ22の断面積が小さくても導電性を確保することができる。そのため、第1長タブ12及び第2長タブ22の厚みを薄くすることができる。これによって、第1長タブ12及び第2長タブ22を折り曲げ易くすることができる。
【0058】
(2)上記の実施例では、第1電池10の第1長タブ12の先端部51が、第2電池20の第2短タブ23よりも第1電池10側に位置していた。変形例では、第1電池10の第1長タブ12の先端部51が、第2電池20の第2短タブ23よりも第1電池10と反対側に位置していてもよい。この構成によれば、第1電池10の第1長タブ12を折り曲げるときに第2電池20の第2短タブ23の先端を起点として折り曲げることができる。そのため、第1長タブ12を折り曲げ易くすることができる。第2電池20の第2長タブ22の先端部61と、第3電池30の第3短タブ33との関係についても同様である。
【0059】
(3)変形例では、
図9に示すように、第1電池10の第1長タブ12の屈曲部50に溝部59が設けられていてもよい。溝部59は、第1長タブ12の外周面に沿って延びている。溝部59は、第1長タブ12の幅方向及び厚み方向に延びている。溝部59は、第1長タブ12の周囲を一巡している。第1長タブ12は、溝部59が設けられている屈曲部50で折り曲げられる。この構成によれば、第1長タブ12を折り曲げ易くすることができる。なお、第2電池20の第2長タブ22が同様の構成を備えていてもよい。
【0060】
(4)他の変形例では、第1長タブ12に設けられている溝部59が第1長タブ12の周囲を一巡していなくてもよい。例えば、溝部59は、第1長タブ12の幅方向のみに延びていてもよい。或いは、溝部59は、第1長タブ12の厚み方向のみに延びていてもよい。第1長タブ12の幅方向又は厚み方向に溝部59が延びている構成であってもよい。即ち、第1長タブ12の屈曲部50の一部に溝部59が設けられている構成であってもよい。なお、第2電池20の第2長タブ22についても同様である。
【0061】
(5)上記の電池モジュール1は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載されてもよい。或いは、車両以外の装置に上記の電池モジュール1が搭載されてもよい。車両や装置では、電池モジュール1を配置するためのスペースが限られているので、複数の電池を簡潔な構成で秩序良く積層することができる上記の構成が特に効果的である。
【0062】
(6)第1電池10の第1長タブ12及び第2電池20の第2長タブ22が負極タブであってもよい。第1電池10の第1短タブ13及び第2電池20の第2短タブ23が正極タブであってもよい。
【0063】
(7)第1電池10と第2電池20が並列接続されていてもよい。この場合は、第1電池10の第1長タブ12及び第2電池20の第2短タブ23が同極のタブ(例えば正極タブ)である。また、第1電池10の第1短タブ13及び第2電池20の第2長タブ22が同極のタブ(例えば負極タブ)である。
【0064】
(8)変形例では、第1電池10の第1長タブ12の先端部51の全部が第2電池20の第2短タブ23に接合されていなくてもよい。第1長タブ12の先端部51の一部が第2短タブ23に接合されていればよい。
【0065】
(9)変形例では、第1電池10の第1短タブ13が屈曲部52を備えていない構成であってもよい。即ち、第1短タブ13が屈曲していない構成であってもよい。第1電池10側から積層方向(Z方向正方向)に視たときに第2電池20の第2長タブ22と第3電池30の第3短タブ33との接合部分を確認できる構成であればよい。
【0066】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0067】
1:電池モジュール、10:第1電池、11:第1電池本体、12:第1長タブ、13:屈曲タブ、15:第1外装体、16:第1発電要素、20:第2電池、21:第2電池本体、22:第2長タブ、23:第2短タブ、25:第2外装体、26:第2発電要素、30:第3電池、33:第3短タブ、50:屈曲部、51:先端部、59:溝部、71:第1絶縁材、72:第2絶縁材